JPH0650341A - 流体軸受 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、油等の流体を潤滑油として使用する
静圧軸受において、回転軸の表面に作用する流体による
摩擦を低減し、回転軸の高速化並びに回転起動の円滑化
を可能にした流体軸受を提供する。 【構成】軸受本体１の内周面の周方向に設けられた複数
の軸受ポケット３に供給される液圧によって回転軸５を
ラジアル軸承する流体軸受において、前記軸受ポケット
内に邪魔板１０を設け、この邪魔板１０液圧の絞り４の
出口と対面し、絞り４の出口から供給される液圧を回転
軸５の回転方向に対し反対方向に流れを整流する切欠部
１１を形成し、この切欠部１１で整流された液圧を軸受
ポケット３の回転後方から邪魔板１０に対して回転軸５
側の軸受ポケットへ拡散させるためにランド部２と邪魔
板１０との間に排出口２０を形成したことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、回転軸を液圧によって
ラジアル軸承する流体軸受に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の流体軸受は図４で示すように、
軸受本体１の内周面の周方向にランド部２によって升型
に仕切られて凹設された複数の軸受ポケット３を備え、
この軸受ポケット３に油を供給する出口が絞り４を介し
て開設され、回転軸５を液圧によってラジアル軸承した
構造のものが一般的である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記静圧流体軸受に使
用される流体は図４で示すように、回転軸５の回転によ
り軸受ポケット３内でつれ回りによる流体の流れ６を起
し、回転軸５の表面では回転軸回転方向の流れが生じ、
軸受ポケット３の底面では回転軸の回転と逆方向の流れ
が生じて軸受ポケット３内に図５で示すような速度勾配
が発生していた。この勾配が大きいほど回転軸５に作用
する摩擦が大きい。この時、絞り４の出口から噴出した
流体が回転軸５の表面に直接当るため、回転軸５の表面
に当った流体の一部には回転軸５の回転方向とは逆方向
の流れが発生し、回転軸５の回転を止めようとする摩擦
が大きくなる問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の問題
点を解決するために成されたものであり、その特徴とす
る構成は、軸受本体の内周面の周方向にランド部により
仕切られて凹設され、絞り出口から液圧が供給される複
数の軸受ポケットを備え、回転軸を液圧によってラジア
ル軸承する流体軸受において、前記軸受ポケット内に邪
魔板を設け、この邪魔板に前記絞り出口と対面し、絞り
出口から供給される液圧を回転軸の回転方向に対し反対
方向に流れを整流する切欠部を形成し、この整流された
液圧を軸受ポケットの回転後方から邪魔板に対して回転
軸側の軸受ポケットへ拡散させるべくランド部と邪魔板
間に排出口を形成したものである。

【０００５】

【作用】上記の構成により、絞り出口から供給される液
圧は邪魔板の切欠部に当って常に回転軸の回転方向と逆
方向に流れ、ランド部と邪魔板間で回転軸回転後方の排
出口から回転軸側の軸受ポケット内に流入する。これに
より、回転軸の表面に作用する摩擦が著しく低減され、
摩擦による発熱量を減少する。また、回転軸の初動の力
が小さくて済み、回転起動の応答性を良好にする。

【０００６】

【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図１において、１は軸受本体である。この軸受本体
１はハウジング１ａと、このハウジング１ａ内に圧入さ
れた軸受金１ｂとによって構成されている。

【０００７】前記軸受金１ｂに回転軸５が回転可能に軸
承され、軸受金１ｂの内周面の周方向にランド部２によ
り仕切られて凹設された複数の軸受ポケット３を備え、
軸受ポケット３には絞り４を通って供給される液圧の出
口を有している。

【０００８】８はポンプであり、タンク９から汲み上げ
た液圧を各絞り４を介して各軸受ポケット３に供給す
る。

【０００９】前記各軸受ポケット３内に邪魔板１０が設
けられている。この邪魔板１０には図２及び図３で示す
ように、前記絞り４の出口と対面し、絞り４の出口から
供給される液圧を回転軸５の回転方向に対し反対方向に
流れを整流し、かつ邪魔板１０に対し絞り４側の軸受ポ
ケット３内に拡散する切欠部１１が形成されている。こ
の切欠部１１は回転軸５の軸方向に軸受ポケット３の幅
分一杯に形成されている。軸受ポケット３の回転後方に
は、ランド部２と邪魔板１０によって排出口２０が形成
され、この排出口２０を介して回転軸５側の軸受ポケッ
トと絞り４側の軸受ポケットとが連通している。

【００１０】図３において、１２は軸受ポケット３両側
のランド部２に凹設された液圧の逃がし溝であり、タン
ク９に通じている。

【００１１】本発明は上記の通りの構造であるから、図
２及び図３で示すように、絞り４の出口から供給される
液圧は邪魔板１０の切欠部１１に当って常に回転軸５の
回転方向に対し反対方向の一定方向に整流され、かつ絞
り４側の軸受ポケット３内に拡散する。排出口２０を介
して回転軸５側の軸受ポケット３内へ流入し、逃がし溝
１２からタンク９に戻される。

【００１２】これにより、絞り４の出口から噴出する液
圧は邪魔板１０の切欠部１１で遮られ、回転軸５の表面
には直接当ることがない。従って、回転軸５の摩擦トル
クの大きさを決定する液圧（流体）の速度勾配を乱すこ
とがなくなり、回転軸５に作用する摩擦が著しく低減さ
れる。

【００１３】また、前記したように、絞り４の出口から
供給される液圧が邪魔板１０の切欠部１１に当って常に
回転軸５の回転方向に対し反対方向の一定方向に整流さ
れ、かつ排出口を介して回転軸回転後方から回転軸５側
の軸受ポケット３内に流入し、回転軸５側の軸受ポケッ
ト３に回転軸５回転方向の液圧の流れが生じるため、回
転軸５の初動の力が小さくて済み、回転起動の応答性を
良好にする。

【００１４】

【発明の効果】以上のように本発明によると軸受本体の
内周面の周方向にランド部により仕切られて凹設され、
絞り出口から液圧が供給される複数の軸受ポケットを備
え、回転軸を液圧によってラジアル軸承する流体軸受に
おいて、前記軸受ポケット内に邪魔板を設け、この邪魔
板に前記絞り出口と対面し、絞り出口から供給される液
圧を回転軸の回転方向に対し反対方向に流れを整流する
切欠部を形成し、この整流された液圧を軸受ポケットの
回転後方から邪魔板に対して回転軸側の軸受ポケットへ
拡散させるべくランド部と邪魔板間に排出口を形成した
構成であるから、絞り出口から供給される液圧は邪魔板
の切欠部に当って常に一定方向に流れ、回転軸の表面に
は当らないため、回転軸の表面に作用する摩擦が著しく
低減することができ、摩擦による発熱量を減少し、高速
化が達成できる。また、回転軸側の軸受ポケットに拡散
して流入する流体は回転軸が停止していても常に後に回
転される回転軸の回転方向に流れているので回転軸の初
動の力が小さくて済み、回転起動の動力エネルギーを低
減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の軸受の断面図

【図２】本発明の軸受の要部を回転方向に展開した断面
図

【図３】図２のＡ−Ａ線矢視図

【図４】従来の軸受の要部を回転方向に展開した断面図

【図５】従来の軸受における軸受ポケット内に発生する
流体の流れの速度分布図

【符号の説明】

１ 軸受本体 ２ ランド部 ３ 軸受ポケット ４ 絞り ５ 回転軸 １０ 邪魔板 １１ 切欠部 ２０ 排出口

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸受本体の内周面の周方向にランド部に
   より仕切られて凹設され、絞り出口から液圧が供給され
   る複数の軸受ポケットを備え、回転軸を液圧によってラ
   ジアル軸承する流体軸受において、前記軸受ポケット内
   に邪魔板を設け、この邪魔板に前記絞り出口と対面し、
   絞り出口から供給される液圧を回転軸の回転方向に対し
   反対方向に流れを整流する切欠部を形成し、この整流さ
   れた液圧を軸受ポケットの回転後方から邪魔板に対して
   回転軸側の軸受ポケットへ拡散させるべくランド部と邪
   魔板間に排出口を形成したことを特徴とする流体軸受。