JPH0650312A - 流体抵抗減少用の要素を有する部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造が簡単で安価であり、しかも多方面に使
用可能であり、そしてどの流入方向にもかかわらず流体
抵抗の減少をもたらす部材を提供する。 【構成】 多角形の断面形状と部材の少なくとも個々の
稜線に設けられた抵抗減少用の要素とを有する角柱状の
部材が、部材の少なくとも個々の稜線にそれぞれこの稜
線に沿って延びるガイド面を設けられ、ガイド面は稜線
を囲む断面形状を持ち、部材の壁と間隔をおいて配置さ
れる。本質的に直方体の構造を有する部材では、部材の
流体にさらされる全ての稜線がガイド面を備えガイド面
の断面形状は４分の１円周形状である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、多角形の断面形状
と、部材の少なくとも個々の稜線に設けられる流体抵抗
減少用の要素とを備えた角柱状の部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】このような角柱状の部材は、流体に対し
て不利な形状のために大きな抵抗係数を有し、それゆえ
比較的高い流体抵抗を有するということが知られてい
る。

【０００３】部材に空気力学的に望ましい被覆をするこ
とは、すでに一般に知られている。しかしながら、その
ような被覆は製造技術や組み立て技術の点で非常に費用
がかかり、高価である。また、多くの場合、この種の部
材を完全に被覆することは部材の機能上の理由から不可
能である。例えばクレーン構造、橋の構造あるいは通常
の鉄骨構造において使用され、支柱の特定の面をウイン
チ台車の走行面又は同様のものとして空けておく必要が
ある井桁が挙げられるだろう。さらに、高空でクレーン
上にに配置される運転室又は機械室は相当な風の負荷を
受けるため、クレーンに作用する風力にかなりの影響を
受ける。

【０００４】ドイツ公開番号１９２６２４８号に示され
るように、クレーンブリッジ又はコンベヤーの為の井桁
の稜線に周囲の流れを改善すべく角を丸くする要素を備
え付けることはすでに知られている。この角を丸くする
要素は本質的に、これらの稜線のところにできる渦巻き
を防ぐために井桁の稜線に望ましい形状を付与するとい
う課題を持っている。従って、公知の支柱に対して比較
的複雑な断面形状のものが開発されたが、そのような支
柱は製造費用のため高価になり、あまり使われなかっ
た。この公知の角を丸くする要素は、確かに特定の流入
方向に対しては支柱の風の抵抗の減少をもたらすが、こ
のことは理想的な流入方向以外の風の抵抗は単純な断面
形状のものより大きいという犠牲を払って得られたもの
であるということがあり得る。

【０００５】ある流体に対して常に特定の方向性を有す
る物体においては、流体内におかれる面の特定部分の前
羽根状のガイド面により流体の流れをより良くする様に
作用する事もすでに知られている（ＤＥ８２０２１１
９．８ Ｕ１）。そのような装置はしかし狭い範囲の流
入方向にしか効果的ではないので、本発明が基本的に問
題とする課題を解決することはできない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】この発明の課題は、製
造が簡単で安価であり、しかも多方面に使用可能であ
り、そしてどの流入方向にもかかわらず流体抵抗の明白
な減少をもたらす部材を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そのため、この発明で
は、多角形の断面形状と部材の少なくとも個々の稜線に
設けられた抵抗減少用の要素とを有する角柱状部材であ
って、部材の少なくとも個々の稜線にそれぞれこの稜線
に沿って延びるガイド面が設けられ、ガイド面は稜線を
囲む断面形状を持ち、部材の壁と間隔をおいて配置され
ているようにする。

【０００８】

【作用】この発明によれば、部材自体はその形状に変わ
りはなく、その例えば製造技術上又は機能上から与えら
れた形状を維持する。部材の個々の稜線はそれぞれこの
稜線に沿って延びるガイド面が与えられ、ガイド面はそ
の稜線を包み込む断面形状をもち部材の壁に対して間隔
をおいて配置されている。これらのガイド面は流体を稜
線の重要な部分において十分に乱れの少ないように保
ち、その結果流出部のよどみゾーン及び渦巻きゾーンを
狭くしそれゆえ抵抗を比較的少なく抑えるという作用を
なす。

【０００９】ガイド面の断面形状は意図された形態にし
たがって本質的に均等に曲げられ、そして部材のそれぞ
れの稜線を形成する壁面に対してほぼ平行に延びる。そ
れにより部材の周囲を流れる媒体は十分に衝撃なく部材
壁とガイド面との間に流れ入る。媒体は均等に曲げられ
たガイド面により常に方向を転換させられそして再び部
材の壁面に対して十分平行にこの壁とガイド面との間の
空間から流れ出る。

【００１０】この発明によるガイド面はそれぞれ個々の
重要な稜線に設けられ、そこでこれらの稜線の周りの流
れを上述の方法で改善する。しかし幾つかの又は全ての
稜線を同じガイド面で覆うことはまた意味のあることで
もある。そこでは個々のガイド面がともに作用すること
ができ、その結果、全体の作用は個々のガイド面の個々
の作用の和よりも良くなる。

【００１１】従来の矩形の断面形状を持つ井桁にも、こ
の部材の少なくとも長い稜線がガイド面を与えられる事
が、この発明により考えられている。そのような井桁は
本質的に同様に良好な、支柱軸を横切る方法の流れに対
しガイド面を持たない支柱に比べて少ない抵抗を持つ。
なぜなら、流入部分における流れも流出部分における流
れもそれぞれガイド板により案内され、そして渦巻きの
形成が減少または阻止されるからである。ほぼ直方体の
構成を持つ部材、例えば高所クレーンの運転室では、本
質的に部材の流れにさらされる全ての稜線にガイド面が
与えられている。

【００１２】ガイド面の断面形状はこの発明によれば４
分の１円周形状であり得る。これらはしたがって互いに
垂直な壁により形成される稜線の被覆に特に適してい
る。そのような４分の１円周形状は特に望ましくは縦に
分割された管から製造される。そのような管は標準的な
部材であり、多くの寸法で市販されている。縦分割は比
較的簡単な装置を用いることにより簡単で安価な方法で
可能である。

【００１３】しかしながら特に鈍角または鋭角の稜線を
被覆する場合は、ガイド面はこれらの稜線の断面形状に
あった押出し成形による形状の金属または樹脂から製造
されるのが適している。他に考えられるのは、ガイド面
を金属板を曲げて製造することである。

【００１４】ガイド面はこの発明の形態にしたがって一
方でガイド面と及び/または他方で部材と取り外し可能
に接合された接合支柱を介してその都度部材に固定され
る。

【００１５】

【実施例】以下、この発明の幾つかの実施例を図面を参
照しながら詳細に説明する。

【００１６】図１及び図２はそれぞれ矩形の断面形状を
持つ支柱（梁）２を示す。支柱２の長稜線３ａから３ｄ
にはそれぞれガイド面４、４ａから４ｄが設けられてい
る。ガイド面４ａから４ｄはそれぞれ４分の１円周の断
面形状を持ち、それは割り当てられた支柱２の長稜線を
囲み、４分の１円周断面形状の終縁はそれぞれ割り当て
られた長稜線を形成する支柱２の壁面に対して平行に延
びている。

【００１７】図１に示された支柱２に対する左右対称な
流体の流れ込みでは、流線の一部６はガイド面の外側を
流れ、ガイド面はこの流線にとって角を丸くした稜線の
作用を有し従って抵抗の形成は比較的少ない。流線の他
の部分８は二つの流入側のガイド面４ａ、４ｂの間に入
りそして二つの流れ１０、１２に分かれる。この二つの
流れは流入側の二つのガイド面４ａ、４ｂと支柱２の壁
部との間を通り抜け、それから流出側のガイド面４ｃ、
４ｄに迎えられ、支柱２の流れの方向では後ろ側の稜線
３ｃ、３ｄを回るよう導かれる。流出部で流れ１０、１
２は再び流線６で表わされる流れと一つになる。

【００１８】図２は図１の構成で、図１とは異なり支柱
２の稜線３ｂの方向に向いている流れの場合を示してい
る。ここでも支柱２の流入側の稜線３ｂに設けられたガ
イド面４ｂは角を丸くした稜線の様に作用し、流れを少
ない抵抗で二つの内部の流れ１４、１６にわけ、それら
は二つの外側のガイド面４ａ、４ｃにより稜線３ａ、３
ｃを回って流出部へと導かれ、そこで流線１８で示され
る外部の流れと再び一つになる。

【００１９】図３は矩形の断面形状を持つ支柱２の斜視
図である。ここで支柱２の４個の長稜線３にはそれぞれ
４分の１円周断面形状を持つガイド面４が設けられてい
る。ガイド面４はそれぞれ接合支柱２０により支柱２の
壁と接合されている。接合支柱２０はそれ自体公知の、
従って詳細には説明しない方法で、例えばねじによりガ
イド面４及び/又は支柱２と取り外し可能に接合されて
いるので、ガイド面は例えば支柱からなる構造を組み立
てた後に取り付け又は取り外すことができる。

【００２０】図４は三角形の箱断面形状を持つ支柱２２
を示す。流れの方向２４で前側の二つの稜線２６、２８
にそれぞれガイド面３０、３２が設けられ、それらは再
び同じように、その流入縁部及び流出縁部が支柱２の稜
線２６、２８を形成する壁に対して平行になるように、
設けられた稜線を取り囲む。流れの方向では後ろ側の稜
線３４はこの実施例ではガイド面を持たない。なぜなら
稜線それ自体が流出に望ましい形状を示しているからで
ある。図４による構成は例えば主として常に同じ方向の
流れにさらされる支柱に適している。一つの適用例は川
の中におかれる橋の支柱又はそれと同様のものである。

【００２１】図５は高い風の抵抗にさらされる高所クレ
ーンの運転室３６を示す。運転室３６の４個の垂直な長
稜線にガイド面３８が配され、それらは水平方向の風に
際して図１及び図２をもとに述べられたのと同じように
作用する。運転室３６の天井壁により限定される稜線に
は、同様の方法でガイド面４０が、床面により限定され
る稜線にはガイド面４２が設けられる。

【００２２】前述の様に、直角の稜線に設けられるガイ
ド面は縦方向に４分された環状断面形状を持つものから
製造することができる。

【００２３】

【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
製造が簡単で安価であり、しかも多方面に使用可能であ
り、そしてどの流入方向にもかかわらず流体抵抗の減少
をもたらす部材を提供することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】４個の長稜線に設けられた４分の１円周形状の
ガイド面を有する箱型断面形状板桁と左右対称な流入を
示す図。

【図２】図１とは異なる方向の流れの場合の図１の構成
を示す図。

【図３】ほぼ図１及び図２にしたがったガイド板を持つ
箱型断面形状井桁の斜視図で、ガイド面を井桁に固定す
るための接合支柱をも示す図。

【図４】三角形の箱断面形状と好ましい稜線に配された
二つのガイド板とを持つ井桁を示す図。

【図５】長稜線及び個々の横の稜線に配されたガイド面
を持つ高所クレーンの運転室を示す図。

【符合の説明】

２，２２…支柱 ３，２６，２８，３４…稜線 ４，４ａ〜４ｂ，３０，３２，３８…ガイド板 ６，８…流線 ２０…接合支柱

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【手続補正書】

【提出日】平成５年７月２８日

【手続補正４】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

【図３】

【図４】

【図５】

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多角形の断面形状と部材の少なくとも個
   々の稜線に設けられた抵抗減少用の要素とを有する角柱
   状の部材であって、部材の少なくとも個々の稜線にそれ
   ぞれこの稜線に添って延びるガイド面が設けられ、ガイ
   ド面は稜線を囲む断面形状を持ち、部材の壁と間隔をお
   いて配置されていることを特徴とする角柱状の部材。
2. 【請求項２】 ガイド面の断面形状は均等に曲げられて
   おり、部材の稜線を形成する壁面に対して平行に延びて
   いることを特徴とする請求項１記載の部材。
3. 【請求項３】 部材が矩形の断面形状を持つ井桁であっ
   て、少なくとも部材の長稜線にガイド面が与えられてい
   ることを特徴とする請求項１または２に記載の部材。
4. 【請求項４】 部材が直方体形状の構造を有するもので
   あって、その流体にさらされる全ての稜線にガイド面が
   与えられていることを特徴とする請求項１または２に記
   載の部材。
5. 【請求項５】 ガイド面の断面形状が４分の１円周形状
   であることを特徴とする請求項１から４に記載の部材。
6. 【請求項６】 ガイド面は縦に分割された管の断片から
   なることを特徴とする請求項１乃至５の何れかに記載の
   部材。
7. 【請求項７】 ガイド面は押出し成形による形状の金属
   または樹脂から製造されていることを特徴とする請求項
   １乃至５の何れかに記載の部材。
8. 【請求項８】 ガイド面は金属板を曲げた部材として製
   造されていることを特徴とする請求項１乃至５の何れか
   に記載の部材。
9. 【請求項９】 ガイド面はガイド面及び/または部材と
   取り外し可能に接合された接合支柱を介して部材に固定
   されていることを特徴とする請求項１乃至８の何れかに
   記載の部材。