JPH06501454A - グリシン/nmda受容体複合体の機能性拮抗剤による情緒障害の治療 - Google Patents

グリシン/nmda受容体複合体の機能性拮抗剤による情緒障害の治療

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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるため要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 発明の名称 グリシン/NMDA受容体複合体の 機能性拮抗剤による情緒障害の治療 技術分野 本発明は、情緒障害の臨床治療に関する。詳しくは、N−メチル−D−アスパル テート(N−methyl−D−aspartate;NMDA)−受容体の複 合体において機能的拮抗特性を持つ一部の化合物を用いて行う、重篤なうつ病を 含む情緒障害の臨床治療に関する。 背景技術 グルタミン酸塩(glutamate)の亜種であるN−メチル−D−アスパル テート(N−methyl−D−aspartate; NMDA)受容体と、 これに関連する陽イオンチャンネルは、ストリキニーネ非感受性グリシン受容体 (strychnine−insensitive glycine rece ptor)とアロステリック的に結合して、 「超分子複合体(supramo lecular complex) J(1)を形成する。この「超分子複合体 」が活性化されすぎると1発作障害、虚血性脳障害、その他の神経朔理を含む神 経心理薬理上の様々な疾患が起こるとされてきた。また、この「超分子複合体」 について、ストリキニーネ非感受性グリシン受容体へのリガンド結合が構造的に められる点、さらにストリキニーネ非感受性グリシン受容体の中枢神経系での領 域別分布、このどちらも、ストリキニーネ感受性グリシン受容体のそれとは著し く異なっていることが報告されている。さらに、NM DA−受容体複合体が活 性化するためには、アフリカッメカエル(!ettopus>の卵母細胞の例で 見られるように、グリシンが存在することが絶対に必要であるとも報告されてい る(19)。 米国特許庁に係属中の、1989年8月8日付米国出願番号第07/390.7 45号明細書において、スコルニツクら(Skolnick et al、)は 、NMDA−受容体複合体のストリキニーネ非感受性グリシン変調部位に半アゴ ニスト(partial agonist)特性を持つ化合物を、精神薬理上治 療に有効である量、患者に投与して、NMDA−受容体複合体の過度の活性化を 原因とする神経薬理系疾患を治療する方法を開示している。スコルニツクらは、 l−アミノシクロプロパンカルボン酸(1−aminocycIopropan ecarboxylic acid)とその誘導体をNMDA−受容体複合体に 対する良好なな半アゴニスト剤として開示している。上記係属中の1989年8 月8日付米国出願番号第07/390,745号特許出願は、参照することによ り本明細書の一部とする。 1−アミノシクロプロパン−カルボン酸(1−aminoc−ycl。 propane−carboxylic acid; ACPC)は、NMDA −受容体複合体のストリキニーネ非感受性グリシン結合部位に対して選択性を持 つ強力な半アゴニスト剤であることが証明されている(12)、また、化合物2 −アミノ−7−ホスホノ−へブタン酸(2−amino−7−phosphon o−heptanoic acid)は、(1)で述べられているように、NM DA−受容体に対する競合拮抗剤であると報告されている(バーキンズ(Per kinS)、1981)、さらに、化合物(+)−5−メチル−10,11−ジ ヒドロ−5H−ジベンゾ[a、d]シクロへブテン−5,10−イミン((+) −5−methyl−10,1l−dihydro−58−dibenzo [ a、d] eyelopheptene−s、 10−1m1ne)は、NMD Aをゲートとする陽イオンチャンネル内で作用すると考えられる非競合(n。 n−competitive) NMDA拮抗副であると報告されている。 発明の要旨 すなわち、本発明は、情緒障害を臨床治療するものである。また、本発明は、情 緒障害のうちで症例が最も多(、患者を無能力化する各種臨床症状を伴う重篤な うつ病を治療するものである。さらに1本発明は。 現在の治療方法では抗うつ薬が適するとされている精神障害(例えば、パニック 症状、食欲不振、病的飢餓および強迫症状)を治療するものである。さらにまた 、本発明は、現在汎用されている抗うつ薬(例えば、モノアミン作動経路により 直接作用する抗うつ薬)よりも副作用が少ない、重篤なうつ病とこれに合併する 精神障害を治療するものである。 上記目的達成のため、本発明はさらに、NMDA−受容体複合体に対して機能性 拮抗特性を持つ化合物の有効量を患者に投与することにより情緒障害の治療方法 を提供する。 本発明の方法に有用な機能性拮抗化合物としては、NMDA−受容体複合体のう ち、ストリキニーネ非感受性グリシン部位に対する半アゴニスト剤と他の部位で NMDA−受容体に作用する競合拮抗剤および非競合拮抗剤剤があげられる。 本発明で最も好ましい機能性拮抗剤は、NMDA−受容体複合体のストリキニー ネ非感受性グリシン変調部位に作用する半アゴニスト荊である。 しかしながら 、NMDA−受容体複合体に対する競合拮抗剤および非競合拮抗剤も、本発明の 方法の機能性拮抗剤として有用である。 本発明に有用であるNMDA−受容体複合体上のストリキニーネ非感受性グリシ ン変調部位に対する半アゴニスト剤の代表例として2次の一般式■およびIaで 表され化合物が挙げられる: (式中Aは −NH2,−NHRIまたはNR1R2を示し:Bは−OHまたは  −〇R3を示し、 f(1,R2およびR3は同一であっても、互いに異なっ ていてもよく、それぞれ低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルキル基、ヒドロ キシル基、アルコキシ基、オキソ基、メルカプト基、アリール基またはアミノ基 、もしくは製剤的に許容し得るこれらの化合物の塩を示す): (式中A1は −NH2,−NHRlまたは−NRIR2を示し、 B+は − OHまたは一0R3を示し;R1,li2またはR3は同一であっても、互いに 異なっていてもよく、それぞれ低級アルキル基、または製剤的に許容し得るその 塩を示す)。 本発明に有用である、NMDA−受容体複合体に対する非競合あるいは競合の拮 抗特性を持つ化合物としては、(+)−5−メチル−10,11−ジヒド0−5 H−ジベンゾ[a、dコシクロペンテン−5,1o−イミン((+)−5−me thyl−10,II−dihydro−5H−dibenzo [a、d]  cyclopentene−5,10−1m1ne)、2−アミノ−7−ホスホ ノへブタン酸(2−amino−7−phosphon。 heptanoic acid)、2−アミノ−5−ホスホノ−へブタン酸(2 −amino−5−phosphonohepta−noic acid)、シ ス−4−ホスホノメチル−2−ピペリジンカルボン酸(Cis−4−phosp honomethyl−2−piperidine carboxylic a cid)、3−[(±)−2−カルボキシピペラジン−4−イルコブロビルー1 −ホ、スホン酸(3−[(±)−2−carboxypiperazin−4− yl] propyl−1phosphonic acid)、および製剤的に 許容し得るこれらの化合物の塩を挙げることが出来る。 つぎに、本明細書で用いる用語の意味を明確にするため、次の通り用語の定義を 定める。 「機能性拮抗剤(functional antagonist) Jとは、ヒ トに薬学的効果がある特性を持ち、NM DAにより開閉される陽イオンチャン ネルの過度の活性を減らすことができる化合物を言う、この機能性拮抗剤には、 NMDA−受容体複合体に対する競合および非競合の拮抗物性を持つ化合物とN MDA=受容体複合体のストリキニーネ不感受性グリシン変調部位に対して半ア ゴニスト物性を持つ化合物とがある。 「半アゴニスト(partial agonist)物性を持つ化合物」とは、 内因性神経伝達物質であるグリシンと比較して、半アゴニスト物性を持つ化合物 を言う、この種化合物の代表例としては、上記一般式■およびlaT表される1 −アミノシクロ−プロパンカルボン酸(1−aminocyclo−propa necarboxylic acid)の誘導体を挙げる二とが出来る。 r NMDA−受容体に対する競合拮抗物性を持つ化合物」とは、内因性神経伝 達物質であるグルタミン酸塩(glutamate)およびアスパルテート(a spartate)と比較して、競合拮抗物性を持つ化合物を言う3本発明で用 いる競合拮抗剤としては、例えば2−アミノ−7−ホスホノへブタン酸(2−a mino−7−phosphonoheptar+oic acid)、2−ア ミノ−5−ホスホノペンタン酸 (2−am 1no−5−phosphono pentanoic acid) (42)、シス−4−ホスホノメチル−2− ピペリジンカルボン酸(Cis−4−phosphonomethyl−2−p iperidinecarboxytic acid) (43)、3−[(± )−2−カルボキシピペラジン−4−イルコブロビルーl−ホスホン酸(3−[ (±)−2−carboxypiperazin−4−ylコ propyl− 1−phosphonic acid)(44)、および製剤的に許容し得るこ れらの化合物の塩を挙げることが出来る。 「非競合拮抗物性を持つ化合物」とは、ストリキニーネ非感受性グリシン受容体 またはNMDA−受容体とは異なる部位、例えば陽イオンチャンネル内の部位に おいてNMD人ゲートの陽イオンチャンネルの活性を減らすことが出来る化合物 を言う0本発明で用いる非競合拮抗剤としては、(+)−5−メチル−10,I I−ジヒドロ−5H−ジベンゾロa、dコシクローへブテン−5,10イミン( (+)−5−nethyl−10,II−dihydro−58−dibenz o [a、d] cyclo−hepten−5,10−1m1ne)および薬 学的に許容し得るこの化合物の塩が挙げられる。 rw*障害Jとは、別に定義する場合を除き、NMDA=受容体複合体が過剰に 活性化されることが原因となって、あるいはこれと関連して起こる情緒障害(m ooddisorders)を言う、具体例としては1重篤なうつ病、双極性障 害(bipolar disorder)、気分変調(dysthymia)。 季節性情動障害(seasonal affective disorder) などがあるが、この具体例を本定義に含むものとする。 「低級アルキル基」とは、炭素数1〜8のアルキルラジカルであって、iir、 頌でも分岐鎖のいずれでもよく、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル 基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、te’rt−プチル基、アミル 基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などを挙げることが出 来る。 「ハロゲン元素」とは、フッ素、塩素、シュウ素およびヨウ素を言う。 「ヒドロキシル基」とは、−0)1を言う。 「低級アルコキシ基」とは、低級アルキル−〇−基を言う。 「オキソ基」 とは、−〇基を言う。 「メルカプト基」 とは、−SH基を言う。 「アリール基(aryl)Jとは、芳番族炭化水素基から誘導される有機ラジカ ル、例えばベンゼンから誘導されるフェニル基などを言う。 「アミノ基」とは、−NH2基を言う。 「アミノ保護基」とは、合成法におけるアシルラジカルまたはベンゾイルラジカ ルなどを言う。 「薬学的に許容される塩」とは1本発明の機能性拮抗物性を持つ化合物の酸付加 塩、アルミニウム塩、水和物、アルコラード、その他の塩であって、温血動物に 生理的に適合するものを言う、酸付加塩は強酸2弱酸のいずれからでも形成する ことが出来る6強酸・の代表例としては塩酸、硫酸及びリン酸を挙げることが出 来る0弱酸の代表例としては、フマル酸、マレイン酸2コハク酸、シュウ酸、ク エン酸、酒石酸、シクロヘクサミン酸などを挙げることが出来る。 さらにこれもまた、意味を明確にするため、略語のリストを次に掲げる。 (1) NMDA; N−メチル−D−アスパルテート(N−methyl−D −aspartate) (2) ACPC+ 1−アミノシクロプロパンカルボン酸(1−aminoc yclopropanecarboxylic acid)(3) ACPCM + メチル1−アミノシクロプロパンカルボキシレート (methyl l−aminocyclopropanecarboxala te)(4)^CPCE;エチルl−アミノシクロプロパンカルボキシレート (ethyl 1−aminocyclopropanecarboxylat e)(5) MK−801; (+)−5−メチル−10,11−ジヒドロ−5 11−ジベンゾ[a、d] シクロへブテン−5,lO−イミン((+)−5− methyl−10,1l−dihydro−5H−dibenzo [a、d ]cycloheptene−5,10−1m1ne)(6) AP−7,2− アミノ−7−ホスホノへブタン酸(2−amino−7−phosphonoh eptanoic acid)(7) AP−5: 2−アミノ−5−ホスホノ へブタン酸(2−amino−5−phosphonoheptanoic a cid)(8) CG5−19755.シス−4−ホスホノメチル−2−ビペ・ リジンカルボン酸 (cis−4−phosphonomethyl−2−piperidine  carboxylic acid) (9) NPC−12626; 3− [(±)−2−カルボキシピペラジン− 4−イル]プロピルー1−ホスホン酸 (3−[(±)−2−carboxypiperadin−4−yl] pro pyl−1−phosphonic acid) 図面の簡単な説明 上記の説明、以下に述べる説明さらには添付図面により1本発明は完全に理解さ れよう、但し、この図面は説明のためのみのものであって、この図面をもって本 発明を制限することはできない。 図1は1強制水泳試験中の不動化時間および広がりを持つ区域での徘徊時間に対 するl−アミノシクロプロパンカルボン酸の効果を示す図である。 図2Aは、1−アミノシクロプロパンカルボン酸の薬理作用(強制水泳試験中の 不動化時間)に対するグリシンの効果を示す図である。 図3人は、1−アミノシクロプロパンカルボン酸の薬理作用(広がりを持つ区域 の徘徊時間)に対するグリシンの効果を示す図である。 発明の詳細な説明 当業者が本発明を容易に実施出来るようにするため、以下本発明の詳細な説明す る。但し、当業者により本発明の趣旨または範囲内で、この詳細な説明中に・含 まれる技術操作や実施例から改良や変法を造ることが可能であることを理由とし て本発明を不当に制限することはできない。 本発明は、NMDA−受容体複合体が活性化されすぎたために起こる情緒障害の 治療に関する。さらに詳しくは、二の超分子複合体の機能性拮抗剤を使用する情 緒障害の治療に関する。つまり、NMDA−受容体複合体の機能性拮抗剤を本発 明により投与する二とによIJ 、N M D A−受容体複合体が活性化され すぎたため、これ(二関連して。 あるいはこれが原因となって起こる情緒障害を治療することを目的とする。さら に、本発明の開示(二従(A機能性拮抗剤としてストリキニーネ不感受性グリシ ン受容体の半アゴニスト剤を用いると、NMDA−受容体複合体を完全に遮断し たり、この遮断を維持する場合に見られる副作用を起こすことなく、上記の情緒 障害を治療することが出来る。この半アゴニスト副を用(\ることによって(N MDA−受容体の競合および非競合拮抗剤と対比して)、例えば患者の分裂病様 症状、正常NMDA−受容体が媒介するシナプシス形成力の喪失(恐らく(よ、 学習と記憶に関連する)、記憶喪失、錯乱状態、筋肉弛緩などの副作用を防止す ることが出来る。 本発明で使用する半アゴニスト剤のうち、好ましし1例としては上記の一般式I およびIaで表される化合物が挙げられる。これらの化合物は市場で購λするこ ともできるし、いわゆる当業者が知っている常法に、より調製することもできる 0例えば、1−アミノシクロプロパンカルボン酸の低級アルキルエステルは、親 化合物をフィシャアー法(Fischer esterification)で エステル化することにより調製することが出来る。さらζ二。 一般式IまたはIaで表され、かつ、 「A」が低級アミノ基または低級−ジア ルキルアミノ部分である化合物は、必要な場合にはアミノ部分の部位を「アミノ 保護基」で保護しながら、1−アミノシクロプロパンカルボン酸低級アルキルエ ステルを所望の低級ハロゲン化アルキルと反応させた後、常法で保護解除するこ とにより、容易に調製することが出来る。 本発明において強力な競合的または非競合的な拮抗剤を用いると、NMDA−受 容体複合体が完全遮断される場合もあるが、それであるからといって、これらの 化合物を本発明から除外するものではない、すなわち、NMDA−受容体複合体 に対する本発明の機能性拮抗剤は、各々複合体の過剰活性化を統制する能力を持 っており。 従ってそれぞれ情緒障害の治療に有効である。 本発明に用いつる競合的および非競合的拮抗剤の供給についていうと、2−アミ ノ−7−ホスホノへブタン酸(AP−7)はリサーチバイオケミカル社(Res earch Biochemical Inc、; RBI)またはトクリス  ニューラミン(Tocris Neuramin)から市販されている。また、  (+)−5−メチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a、d]シク ロへブテン−5,10−イミン(MK−801)の調製方法は、アンダー、ラン ら(Anderson et a、1.)の英国特許書GB2,004,873 B (1982)により開示されている。この英国特許明細書を、参照すること により、本明細書の一部とする。競合N〜ID八−受へ体拮抗剤、つまりAP− 5,CG5−19755およびNPC−12626を調製する合成方法は、かね てから文献で公知となっているか、あるいは当業者自身が容易に合成方法を確定 することが出来る。 以下、 「薬理」と「製剤組成」の二部にわけて説明する。 「薬理」の部では 、薬理試験とその結果について説明するが、これにより本発明の範囲内のNMD A−受容体複合体の機能性拮抗剤の優れた情緒障害治療効果が明白となる。また 、 「薬理」の部では図1.2人および2Bについて詳細な説明を行う、これに 続く 「製剤組成」の部では本発明の機能性拮抗剤による情緒障害治療の場合の 投与量と投与方法について説明する。 ■ N−メチル−〇−アスパルテート(NM[)A)受容体複合体が活性化すること により(1)、中枢神経系の特定領域において、長期相乗作用(long te rm potentiaLion; LTP)として知られるシナプシス効果の 長期にわたる増大が起きる(2.3)、逃れられ得るストレスではこの様なこと は起こらないが、逃れられないストレスに暴露されると、NMDA−受容体を高 密度で含有している領域である(5.6)カバ(4)のCa1層のLTP発生が 阻害されることが最近証明された。逃れられないストレスはさらに、行動性、う つ病症候群も誘発するが、これは臨床的に有効な抗うつ薬によって拮抗すること ができる(7)、このことから本発明者は、NMDA−受容体複合体がストレス により誘発される行動欠陥を始めとする情緒障害に関連するとの仮説をたてた。 臨床的に有効な抗うつ薬のスクリーニング試験に汎用されている動物モデル(8 ,9)を用いてストリキニーネ非感受性グリシン変調部位の機能性拮抗剤を評価 することによりこの新しい仮説の検討を行った。 二の試験結果により、2−アミノ−7−ホスホノへブタン酸などの競合的NMD A拮抗副(10)、(+)−5−メチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベン ゾ[a、 d] シクロへブタン−5,10−イミンなどの非競合的拮抗剤(1 1)および1−アミノシクロ−プロパンカルボン酸などのストリキニーネ非感受 性グリシン変調部位の半アゴニスト剤(12)は、上記の動物モデルにより臨床 的に有効な抗うつ薬と同等の効果を挙げることを見い出した。このことから、N MDA−受容体複合体の機能性拮抗剤は、新たな分類の情緒障害治療薬(例えば 、抗うつ薬など)であることが認められた。 マウスを用いた強制水泳(8)およびlまたは尾部懸吊試験(9)により、本発 明の代表的な化合物の薬理的な評価を行った。この試験は本来は抗うつ薬のスク リーニング(13,14>のために設計されたもので、マウスがこれらの逃れ得 ないストレス因子に曝されると、活発に逃れようとするが、どうしても逃れられ ないとマウスが典型的に示す不動化を減少させる能力を判定基準、とじて、抗う つ薬の臨床的有効性を判断している。これらの試験の予測可能な有効性(15) 、および薬理的な特異性(13,14)から、うつ病を代表する動物モデルであ ると考えられている(16)。 ポーソルトら(Porsolt et al、)(8)が述べてい方法により、 Nr!(/H5D種の雄マウス(25−30g)を6分間強制的に泳がせ、その 6分間の最後の4分間内の不動化時間を測定した。この強制水泳試験[F(4, 71>=17. P<0.0001コではAP−7により投与量依存性の顕著な 不動化時間の減少が認められ、しかもこの場合、広がりを持つ区域での徘徊時間 (運動能活性の尺度)に影響はなかった(下記表1参照)、この試験に於て、M K−801(11,’ 17)による不動化時間の顕著な減少も認められた。  MK−801の効果は二相的で(表1)で、最大限の減少(0,5mg/kgで 92%)が認められると共に、これと平行して広がりを持つ区域での徘徊時間の 増加(34%)も認められた。しかしながら、MK−801の投与量を変えたと ころ(0,1および1mg/kg)、不動化時間を顕著に減少させたが(43− 54%)、徘徊時間には変化を認めなかった(下記表1参照)。 グリシンは、ストキニン非感受性グリシン受容体にアロステリック的に作用する ことにより、NMDAをゲートとする陽イオンチャンネル(18)の伝達を増大 させると報告されているが(18)、アフリカッメカエルの卵母細胞(19)お よびラットの視覚皮質の初代培養(20)による最近の研究では、NMDAゲー トの陽イオンチャン、ネルの開閉にはグリシンが絶対不可欠である可能性が示さ れている1本発明者は、ストリキニーネ非感受性グリシン部位に高い親和性と半 アゴニスト性をもつリガンドがNMDAに拮抗することが出来、従って本発明の 治療方法として有効ではないか、との仮説を持った。そこで、ストリキニーネ非 感受性グリシン受容体に高い親和性(k、 32nM)を持っているが、 [3 H] MK−801を刺激して(12) NMDAゲートの陽イオンチャンネル 内の部位に結び付ける作用においては、グリシンより著しく劣るACPCを用い てこの仮説の検討を行った1強制水泳試験おいて、ACPCは投与量依存性[F (6,94)=7. P<0.00011の不動化減少効果を示し、200rA g/kg(図1)を投与したときに最大の減少(65%)を認めた。徘徊時間に っては、ACPCは中等度(600mg/kgで29z)ではあるが統計的には 顕著な[F(5,60)=10. P<0.0001]増加効果が認められたが 、しかしながらこの作用は強制水泳試験で認められた不動化の減少とは関連がな いと考えられる。つまり、不動化に対する効果は徘徊時間に変化を与えない投与 量では顕著に現れるが、投与量を増して行くと(>200mg/kg)、徘徊時 間は増加するが、不動化の減少は認められなかった(図1)。 さらに本発明者は、ACPCがストリキニーネ非感受性グリシン受容体に対する 半アゴニスト作用により薬理作用を発現する、だとすればグリシンの脳中濃度を 高くすることによりこの効果を抑制あるいは阻止で、きる筈であるとの仮説を持 った。そこで、グリシンを非経口的に投与(800mg/kg) した後、AC PC(400mg/kg)を与えて強制水泳試験を行ったところ全く効果がなく (図2A)、また広がりを持つ区域でのACPCによる運動能効果に対しても1 部分的な拮抗が認められた(図2B)、このグリシン投与量は、本来行動を活性 化する能力はないが(図2)、カバ[ストリキニーネ非感受性グリシン受容体が 高密度で存在する部位(21)]のグリシン濃度を62%(図2の解説)高める のに十分な量であった。これらの観察結果、および2 ACPCのストリキニー ネ感受性グリシン受容体に対する親和力が極めて低い(IC5゜>1mM)(1 2)ことからみると、ACPCの薬理作用にはNMDAゲートの陽イオンチャン ネルと結び付いたストリキニーネ非感受性グリシン受容体が介在していると考え られる。 一方、抗うつ薬スクリーニング手段としての強制水泳試験は、マウスでは有効性 をラットのように高く予測できない(22)ため、尾部懸垂試験[抗うつ薬スク リーニング試験で用いられるもう一つの動物モデル(9)]によってACPCの 効果をさらに検討した。この動物モデルでは、臨床的に有効な抗うつ薬をマウス に急速投与、6分間の尾部懸架の間に、不動化の減少効果を認めたことが報告さ れている(9)、他の種類よりも基本的に不動化の傾向が高いC57B1/6J 種のマウス(23)を選択し、 ACPCについてこの試験を行ったところ、投 与量依存性[F(2,31)=29. P<O,ooolコがある不動化の減少 効、果を認めた(図1、挿入図)。 上記の試験方法(8,9,13,14)で得た1−アミノシクロプロパンカルボ ン酸の試験結果から、この化合物はヒトに対しても抗うつ作用を持っている可能 性が高く、又。 一般式■とTaで表されるこの化合物の誘導体も情緒障害の治療に有効であり、 具体的には薬理的活性をもつ抗うつ薬であると考えられる。一般式rおよびla で表され本発明で使用出来る効果的な化合物の例としては、特にI−アミノシク ロプロパン−カルボン酸、1−アミノシクロプロパンカルボン酸メチルエステル 、1−アミノシクロプロパンカルボン酸エチルエステル、および薬学的に許容し 得るこれらの化合物の塩が挙げられる。 下記表2の試験結果は、本発明の方法によって一般式■およびIaの化合物が有 効であることを示している。また、これらの試験結果によって、下記表1の解説 で述べられているように水泳による不動化に対して1−アミノシクロプロパンカ ルボン酸とそのメチルエステル(ACPCM)が有効である二とが分かる0表2 の試験結果によると、ACPCMの最小有効量(50mg/kg)はACPC( 100mg/kg)よりも著しく低いことを示している0表2の試験結果から。 情緒障害の臨床治療に使用するには、これらの半アゴニスト化合物のうちで、A CPCMが最も効果があり有益であると考えられる。 AP−7ような競合NMDA−受容体拮抗剤(10)とMK−801(24)の ような使用依存性を持つチャンネル遮断剤(非競合拮抗剤〉については、両方と も本発明の方法に効用はある。 しかしながら、選択的に前臨床試験モデル(25−27)を用いた前臨床研究で は、これら二つの化合物には好ましくない副作用の可能性があり、また安全性も 低いことが示唆されているため、本発明の方法に使用するのは限られたものと成 ろう、これと対照的に、変調部位を介するリガンドゲートのイオンチャンネルの 活性を変えるのみであるACPCのような物賀には副作用が少なく、かつ安全性 もより好ましいものとなっている。さらに、例えばベンゾジアゼピン類(ben zodiazepines)のGABAゲートの塩化物チャンネルに対する作用 も、この例として挙げることが出来る(19.31)、つまり、NMDA−受容 体複合体のストリキニーネ非感受性グリシン変調部位に対する半アゴニスト剤を 利用することが、これらの化合物開発の中心点である。現に、ACPCのような 半アゴニスト剤は、競合的(32,33)、非競合的(34,35)NMDA− 受容体拮抗剤と同様に、動物モデルにおける抗葛藤(an ticonf ]  1ct)作用を持っているが(36)、NMDA−受容体拮抗剤に見られる筋肉 弛緩あるいは運動失調を伴わない(35,38)、従って、NMDA−受容体複 合体のストリキニーネ非感受性グリシン変調部位に対する半アゴニスト特性を有 する化合物は、本発明の方法にとり最も好ましいものと考えられる。 本明細書で開示している試験結果によると、NMDA−受容体複合体のリガンド は二つの動物モデルにおい、て不可避のストレス因子による行動欠損を減少させ ることが出来るし、その効果も臨床的に有効な抗うつ薬に匹敵する(8.9)( 表1解説;図1)、情動障害の病態生理に関して本発明の端緒となった上記の仮 説を立て、三環性抗うつ剤の神経化学的効果の前臨床研究(39)とほぼ同−の 方法によりこの仮説を検討した。その結果、本明細書に開示されているように、 NMDA−受容体複合体の特異的なリガンドが動物モデルにおいて臨床的に効果 のある抗うつ薬の作用と同等の能力があり2本明細書で開示している化合物が新 規性がある効用を持つことが証明された。 表1 水泳による不動化および広がりを持つ区域における徘徊時間に対するAP −7とMK−802の効果 薬剤 投与量 不動化時間 % 活性 %対照 144±6 (28) 145 ±5(9)AP−740141±21 (7) 144±5(4)80 153 ±9 (10) i67±16 (3)100 93±8本 (20)−351 53±5 (+1)200 55±13本# (11) −62134±10  (17)対照 140±12 (8) 150±10 (8)Mk−8010, 180:t−10本 (8) −43144±4 (8)0.5 11±4寧#  (8) −92201土3*# (8) +34解説:水泳ストレスによる不 動化に対する競合(AP−7)および非競合(MK−801)NMDA−受容体 拮抗剤の効果を旧H/HSD種の雄マウスを対象としてホーソルトら(8)の方 法により試験を行った。不動化時間は強制水泳の最後の4分間で測定した。広が りをもつ区域(43X43X20cm)での徘徊時間(活性)は薄明り(広がり をもつ区域の中央にく50ルツクス)で5分間活性モニターコンピューター(オ ハイオ州コロンバスのオントーバリメックス、コロンバスインストルメント社:  Opto−Varimex、 Columbus lnstruments、  Columbus、 OH)を用いて測定した0MK−801とAP−7は、 試験のそれぞれ15分前および30分前に腹腔内注射した。 MK−801は食 塩水に溶解した。AP−7は0.5N NaOHに溶解した(8容積%)後、食 塩水を溶液に加えた。対照には等量の対応する賦形剤を与えた。数値は、中間値 と中間値の標準誤差を士をつけて表すもので、括弧内の数は、動物数である。単 位は、投与量mg/kg、不動化時間と徘徊時間は秒である。 符号:r寧J対照群と有意に異なる:「#」他の群全てと有意に異なる(p<o 、os、スチューデントーニューマン ケウルズ試験; Student−Ne wman Keuls test)、イミブラミン(10−30mg/kg)に ついても、強制水泳試験の不、勧化時間に投与量依存性の減少が認められた(2 8−69%)、これら不動化時間減少の程度はボーソルトらの報告(8)と類似 していた。 表2 水泳による不動化に対するACPCおよびACPCMの効果薬剤 投与量  不動化時間 % 対照 = 137±12 (+4) ACPC−メチルエステル 25 136±8 (11) −85089±17 1 (13) −35 1,0040±18m (3) −7115069±10* (9) −50 対照 −136±7 (40) APC25119±15 (11) −1350102±15 (10) −2 5 100101±15本 (10) −2620047±ls* (10) −6 530078±101 (10) −4340068f21* (10) −5 060071±121 (10) −48解説: ACPC−メチルエステルと ACPCの水泳による不動化時間に対する効果。 不動化時間は表1に述べる方法によって測定した。符号: [*J対照群と顕著 に異なる、P<0.05、スチューデントーニューマンーケウルズ試験、ACP C−メチルエステルの最小有効量(50mg/kg)は、ACPC(loomg /kg)よりも著しく低かった。 さらに本発明の実施希望者の理解を助けるため、次の図1および2により詳しい 説明を加える。これらの図面は本発明の機能性拮抗剤による情緒障害の治療特性 を評価するために用いた動物実験モデルで得た試験結果を内容としている。 [ 強制水泳による不動化時間と広がりを持つ区域での徘徊時間に対するACPCの 効果、符号二円、強制水泳による不動化時間(秒);三角、広がりを持つ区域で の徘徊時間(秒)、「本」賦形剤群(VER)と顕著に異なる、P<0.05、 スチューテントーニューマンーケウルズ試験、数値は、中間値に加え、中間値の 標準誤差に士をつけて表す。 強制水泳試験で用いた動物数は、VERで40. ACPC25mg/kgで1 1. 50−600mg/kgでlOであった。広がりを持つ区域試験で用いた 動物数は、VEHで23.50および600mg/kgで5.1100−400 i/kgで10であった。NIH/HSD[の雄のマウス(25−30g)にA CPCを食塩水に溶解したものを腹腔内注射した。対照には等量の食塩水を投与 した。15分後マウスを深さ6cmの水(22−25℃)を満たした円筒(直径 10cm;高さ25cm)にスれて強制的に泳がせ、その最後の4分間内の不動 化時間を上記の方法により測定した(8)。 広がりを持つ区域での徘徊時間は、表1で述べた方法によりACPCを注射した 15分後、5分間測定した。 挿入図:尾部懸垂による不動化に対するACPCの効果。 数値は、中間値に加え、6分間試験中の不動化時間(秒)の標準誤差を士をつけ て表した。この試験で用いた動物数はVE)Iで16、ACPC,200mg/ kgで6,300mg/kgで9、そして、400mg/kgで7であった。  C57Bl/6J種の雄マウス[20−25g] (ジャクラン研究所、メリー ランド州、バーハーバ−; Jackson Laboratories、 B ar Harbor、 ME)にACPCを注射した。 15分後マウスの尾部 を懸垂して、上記の方法(9,23)により不動化時間を測定した。 ACPC の最大投与量(400mg/kg>では広がりを持つ区域での徘徊時間に中等度 の増加(18%)が認められた0強制水泳試験において、数種のストリキニーネ 非感受性グリシン受容体競合拮抗剤を用いたが、不動化時間を減少させることは できなかった。すなわち、本発明の化合物と同一条件下で(表1および図1)、 7−クロロキヌレン酸(7−chlorokynurenic acid)(2 5−250mg/kg)、インドール−2−カルボン酸(indole−2−c arboxylic acid;12cA)(25−200mg/kg)、3− アミノ−1−ヒドロキシ−ピロリドン(3−amin。 −I−hydroxy−pyrrolidone: HA−966)(2,5− 10mg/kg)、シクロoイシン(cycloleucine)(100−4 00mg/kg)およびl−アミノシクロブタンカルボン酸(1−aminoc yclobut′anecarboxylic acid; ACBC)(50 −100mg/kg)を試験した。この中イくツカノ化合物()IA−966、 r2cA、ACBC) i:、強制水泳以前からはっきりと存在していて、試験 の遂行に支障があったかも知れない運動失調を始めとする行動に著量な効果を認 めた。更に、いくつかの化合物(12cA、HA−966)は、強制水泳と併用 した際に、動物を死亡に至らしめた。これらの化合物が、ストリキニーネ非感受 性グリシン受容体(グリシンと比較して)との親和力が比較的に低いこと、中枢 神経系に対する浸透力が乏しいことが理由となって、強制水泳試験で効果がなか ったのであろう。 112Aおよび2B ACPCの薬理作用に対するグリシンの効果0強制水泳試験最後の4分間内の不 動化時間(秒)(図2A)、および5分間試験内の広がりを持つ区域での徘徊時 間(図2B)。 各群マウス10匹宛とした。 符号:「零」対応する賦形剤群と顕著に異なる; 「#」賦形剤−ACPC群と顕著に異なる(P<0.05、スチューデントーニ ューマンーケウルズ試験)。 ACPCを与える(400+ag/kg)45分前に、NIH/HSD種のマウ スにグリシン(8ooB/kg)または等量の食塩水を腹腔内投与した。ACP C投与の15分後、表1で述べる方法によりこれらの動物の強制水泳試験あるい は広がりを持つ区域での試験を行った。上記のグリシン投与量は、非経口的に大 量を投与する場合にはグリシンの脳中濃度を高める必要がある旨の先の報告(4 0)に基づいて選択・したものである、平行して行った実験では、グリシン80 0mg/kgを腹腔内投与し、その60分後にカバ[ストリキニーネ非感受性グ リシン受容体を高い密度で含有している(21)]のグリシン濃度が(0,69 ±0.02μmol/gから1゜12±0.05μmol/gまで)62%上昇 した。他のアミノ酸類(グルタミン酸(glutamate)、セリン(ser ine)、タウリン(taurine)、GA BAおよびアニリン)の濃度は 変わらなかった(データ省略)、アミノ酸の濃度は、アイソクラチック分離法を 併用し、かつ0−フタルアルデヒドとβ−メルカプト−エタノによりアミノ酸か ら誘導体を誘導してこれをカラムいれたものを用いたHPLC/ECにより側木 発明の機能性拮抗剤は、製剤上許容し得る適当なキャリヤーまたは希釈剤と組み 合わせて注射用無菌製剤組成に処方したり、あるいは通常の投与経路(例えば、 経口投与)による液体または固体剤形の製剤に調製することが出来る。従って、 下記の裂開方法および賦形剤は単に代表例であって、これを本発明の方法を制限 するものと解釈してはならない。 本発明の機能性拮抗剤を最終剤形に製剤する場合。 製剤上許容し得る塩として使用すること、およびこれを単独使用すること、ある いは裂開的に活性を有する他の化合物と併用または合剤とすること、その何れも 可能である。 本発明の機能性拮抗剤の注射組成を所望する場合、例えば植物油、合成脂肪酸グ リセリド、高級脂肪酸またはプロピレングリコールのエステルなどの水性または 非水性溶媒に溶解、懸濁または乳化し、必要な場合には可溶化剤、浸透剤、沈澱 防止剤、乳化剤、安定剤および防腐剤などの従来からの添加剤を配合して注射裂 開に調製する。 本発明の機能性拮抗剤の一つを経口剤に調製する場合には、所望に応じて通常使 用されており、かつ製剤上許容し得るラクトース、微結晶状セルロース、コーン スターチ、ステアリン酸などの打錠用賦形剤を使用して最終剤形に調製する。 本発明の化合物の使用量は、情緒障害の重篤度とタイプ、NMDA−受容体活性 の過剰量によって異なる。 しかしながら、注射の場合の投与量は、体重1キロ当り0.1から20mgまで 、好ましくは体重1キロ当り2から10mgまでである。最も好ましい投与量は 、言うまでもなく情緒障害のコントロールを可能にするに十分な量である。 本発明の機能性拮抗剤は単位処方量に調製することが出来る。この場合「単位処 方量(unit dosage)」とはヒトの一元的投与量として適当な、物理 的に個々別々である単位を言う、各単位には、製剤上許容し得る希釈剤、キャリ ヤーまたは賦形剤を勘案して計算された所定量の本発明の機能性拮抗剤を含有し ている。・このような単位製剤の規格は使用化合物と所望の効果によって定まり 、患者の体内では各化合物は薬力学に従って作用する。 投与量は、情緒障害の重篤度に従って速やかに調整する。この調整は資格ある当 業者によって行われる。 本発明を上記のごとく説明したが、これを多くの方法により変更することが可能 であることは明白である。 このような変更は本発明の趣旨と範囲から逸脱していると見なすことはできない 、従って当業者にとり明白な上記のごとき変更はすべて下記の請求の範囲内とす る。 次の文献は、それぞれ参照することにより本明細書の一部とする。 文献 i、Foster、 A、C,& Fagg、 G、E、 Nature 32 9゜395〜398 (1987)。 2、CollinCollin、 G、L、、 Kehl、 S、J、 & M clennan、 H。 J、 Physiol、 334.33−46(1983)。 3、)larris、 E、W、、 Gannog、 A、H,& Cotma n、 C,W。 Brain Res、 323.123−137 (1984)。 4、 5hors、 T、J、、 5eib、 T、B、、 Levine、  S &Thompson、 R,F、5cience 244.224−226  (1989)。 5、Monaghan、 D、T、、 Ho1ets、 V、R,、Toy、  D、W、 &Cotman、 I、、W、、 Nature 306.176− 179 (1983)。 6、Monaghan、 D、T、、 Yao、 D、、 Olverman、  )Ij、、Watkins、 J、C,& Cotman、 C,W、 Ne urosci、 Lett、 52゜252−258 (1984)。 7、 5)+anks、 N、 & An:5rnan、 H,Psychop harm、 99゜8、Porsolt、 R,D、、 Bertin、 A、  & Jalfre、 M、 Arch。 Int、Pharmacodyn、Ther、229,327−336 (19 77)。 9、5teru、L、、Chermat、R,、Th1erry、B、& Si mon。 P、Psychopharm、85,367−370 (1985)。 10、Perkins、M、N、、5tone、T、W、、Coff1ns、J 、F、&Curry、K、 Neurosci、Lett、23,333−33 6 (1281)。 11、Wong、E、H,F、、Kemp、J、A、、Pr1estley、T 、。 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N−メチル−D−アスパルテート(N−Methyl−D−Aspart ate; NMDA)受容体複合体に対する機能性拮抗特性と、重篤なうつ病く  双極性障害、気分変調または季節性感情障害からなる群から選ばれた情緒障害 の治療のためのNMDA受容体複合体のストリキニーネ非感受性グリシン変調部 位に対する半アゴニスト特性とを有する化合物からなる医薬組成物。 2、上記情緒障害か重篤なうつ病である請求項1に記載の医薬組成物。 3、上記化合物が、次の一般式 (式中、Aは、−Nl2.−Nl(I’!1または−NR’R2を示し、Bは、 −OHまたは一0R3を示し、R1、R2およびR3は、同一であっても互いに 異なっていてもよく、それぞれ低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルキル基、 ヒドロキシル基、アルコキシ基、オキソ基、メルカプト基、アリール基、または アミノ基、あるいは製剤上許容し得るこれらの化合物の塩を示す)で表される化 合物である請求項1に記載の医薬組成物。 4、上記化合物が次の一般式 (式中、A1は、−Nl2.−NFIRI または−NR’R2を示し、B1は 、−OHまたは一〇R3を示し、R1、R2およびR3は、同一であっても互い に異なっていてもよく、それぞれ低級アルキル基または製剤上許容し得るその塩 を示す)で表される化合物である請求項1に記載の医薬組成物。 5 上記化合物が、 1−アミノシクロプロパンカルボン酸(1−aminocyclo−propa necarboxylic acid)、1−アミノシクロプロパンカルボン酸 メチルエステル(1−aminocyclopropanecarboxyLL c acid methyl ester)、ニーアミノシクロプロパンカルボ ン酸エチルエステル(1−aminocyclopropanecarboxy lic acid ethyl ester)、または、 製剤上許容し得るこれらの化合物の塩、である請求項3に記載の医薬組成物。 6、次の化合物、 2−アミノ−7−ホスホノへブタン酸(2−amino−7−phos−pho noheptanoic acid)、2−アミノ−5−ホスホノへブタン酸( 2−amino−5−phos−phonoheptanoic acid)、 シス−4−ホスホノメチル−2−ピペリジンカルボン酸(cis−4−phos phonomethyl−2−piperidine carboxylicl −ホスホン酸(3−[(±)−2−carboxypiperazin−4−y l]propyl−1−phosphonic acid)、または、製剤上許 容し得るこれらの化合物の塩、を含有している、NMDA受容体に対する競合拮 抗特性を有する医薬組成物。 7、上記化合物が2−アミノ−7−ホスホノへブタン酸、または製剤上許容し得 るその塩である請求項6に記載の医薬組成物。 8、次の化合物、 1−アミノシクロプロパンカルボン酸く1−aminocyclo−propa necarboxylic acid)、1−アミノシクロプロパンカルボン酸 メチルエステル(1−aminocyclopropanecarboxyHc  acid methyl ester)、1−アミノシクロプロパンカルボン 酸エチルエステル(1−aminocyclopropanecarboxyl ic acid athyl ester)、2−アミノ−7−ホスホノへブタ ン酸(2−amino−7−phos−phonoheptanoic aci d)、または、製剤上許容し得るこれらの化合物の塩、を含有している、NMD A受容体複合体に対する機能性拮抗体の医薬組成物。 9、上記機能性拮抗体が1−アミノシクロプロピルカルボン酸または製剤上許容 し得るこれらの化合物の塩である請求項8に記載の医薬組成物。 10、上記機能性拮抗体が1−アミノシクロプロパンカルボン酸メチルエステル である請求項8に記載の医薬組成物。 国際調査報告

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 1.情緒障害の治療方法において、N−メチル−D−アスパルテート(N−Me thyl−D−Aspartate;NMDA)受容体複合体に対して機能性拮 抗特性を持つ化合物の有効量を患者に投与することからなる治療方法。
  2. 2.上記情緒障害が重篤なうつ病、双極性障害、気分変調または季節性感情障害 である請求項1に記載の治療方法。
  3. 3.上記情緒障害が重篤なうつ病である請求項2に記載の治療方法。
  4. 4.上記投与化合物がNMDA−受容体複合体のストリキニーネ非感受性グリシ ン変調部位に対して半アゴニスト特性を持っている請求項1に記載の治療方法。
  5. 5.上記投与化合物がNMDA−受容体複合体のストリキニーネ非感受性グリシ ン変調部位に対して半アゴニスト特性を持ち、かつ次の一般式; ▲数式、化学式、表等があります▼一般式I(式中Aは−NH2,−NHR1ま たは−NR1R2を示し;Bは−OHまたは−OR3を示し;R1、R2および R3は同一であっても、互いに異なっていてもよく、それぞれ低級アルキル基、 ハロゲン置換低級アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、オキソ基、メル カプト基、アリール基、またはアミノ基、あるいは製剤上許容し得るこれらの化 合物の塩を示す)で表される化合物である請求項1に記載の治療方法。
  6. 6.上記投与化合物がNMDA−受容体複合体のストリキニーネ非感受性グリシ ン変調部位に対して半アゴニスト特性を持ち、かつ次の一般式; ▲数式、化学式、表等があります▼一般式Ia(式中A1は−NH2,−NHR 1または−NR1R2を示し;B1は−OHまたは−OR3を示し;R1、R2 およびR3は同一であっても、互いに異なっていてもよく、それぞれ低級アルキ ル基または製剤上許容され得るその塩を示す)で表される化合物である請求項1 に記載の治療方法。
  7. 7.上記化合物が、 l−アミノシクロプロパンカルボン酸(1−aminocy・clo−prop anecarboxylic acid)、l−アミノシクロプロパンカルボン 酸メチルエステル(l−aminocyclopropanecarboxyl ic acid methylester)、 l−アミノシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(l−aminocycl opropanecarboxylic acid ethyl ester) 、または、 製剤上許容され得るこれらの化合物の塩、である請求項5に記載の治療方法。
  8. 8.上記化合物が l−アミノシクロプロパンカルボン酸(l−aminocyclo−propa necarboxylic acjd)、l−アミノシクロプロパンカルボン酸 メチルエステル(1−aminocyclopropanecarboxyli c acid methyl ester)、l−アミノシクロプロパンカルボ ン酸エチルエステル(l−aminocyclopropanecarboxy lic acid ethyl ester)、または、 製剤上許容され得るこれらの化合物の塩である請求項6に記載の治療方法。
  9. 9.上記投与化合物がNMDA−受容体複合体に対して非競合拮抗特性持ってい る請求項1に記載の治療方法。
  10. 10.上記化合物が(+)−5−メチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベン ゾ[a,d]シクロペンチン−5,10−イミン((+)−5−methyl− 10,11−dihydro−5H−dibenzo[a,d]cyclo−p entene−5,10−imine)、または、製薬上許容し得るその塩であ る請求項9に記載の治療方法。
  11. 11.上記投与化合物がNMDA−受容体に対して競合拮抗特性を持っている請 求項1に記載の治療方法。
  12. 12.上記投与化合物が 2−アミノ−7−ホスホノヘプタン酸(2−amino−7−phos−pho noheptanoic acid)、2−アミノ−5−ホスホノヘプタン酸( 2−amino−5−phos−phonoheptanoic acid)、 シス−4−ホスホノメチル−2−ピペラジンカルボン酸(cis−4−phos phonomethyl−2−piperadine carboxylica cid)、 3−[(±)−2−カルボキシピペラジン−4−イル]プロピル−1−ホスホン 酸(3−[(±)−2−carboxypiperazin−4−yl]pro pyl−l−phosphonic acid)、または、製剤上許容し得るこ れらの化合物の塩、である請求項11に記載の治療方法。
  13. 13.上記投与化合物が2−アミノ−7−ホスホノヘプタン酸、または製剤上許 容し得るその塩である請求項11に記載の治療方法。
  14. 14.重篤なうつ病の治療方法において、N−メチル−D−アスパルテート(N MDA)に対する機能性拮抗剤の有効量を患者に投与し、かつ前記の機能性拮抗 剤が1−アミノシクロプロピルカルボン酸(1−aminocyclo−pro pylcarboxylic acid)、1−アミノシクロプピプルカルボン 酸メチルエス・テル(1−aminocyclopropylcarboxyl ic acid methyl ester)、1−アミノシクロプロピルカル ボン酸エチルエステル(1−aminocyclopropylcarboxy lic acid ethyl ester)、(+)−5−メチル−10,1 1−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロペンテン−5,10−イミン( (+)−5−methyl−10,11−dihydro−5H−dibenz o[a,d]cyclopentene−5,10−imine)、2−アミノ −7−ホスホノヘプタン酸(2−amino−7−phos−phonohep tanoic acid)、および、製剤上許容し得るこれらの化合物の塩、よ りなる群から選ばれるものである治療方法。
  15. 15.上記投与機能性拮抗剤が1−アミノシクロプロパンカルボン酸、または、 製剤上許容し得る塩である請求項14に記載の治療方法。
  16. 16.上記投与機能性拮抗剤が1−アミノシクロプロパンカルボン酸メチルエス テルである請求項14に記載の治療方法。
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