【発明の詳細な説明】
ディーゼル原料の水素化による
ディーゼル燃料の製造
本発明は、炭化水素原料からのディーゼル燃料の製造に係る。さらに詳述すれば
、本発明は、第1及び第2水素化領域での芳香族物質含有炭化水素原料の水素化
(これにより、低減された芳香族物質含量を有するディーゼル燃料を生成する)
を介するディーゼル燃料の製造に係る。
ディーゼル燃料の製造において、炭化水素原料の転化から製造されるディーゼル
燃料は環境問題及び経済的に許容されるものでなければならない。許容されるデ
ィーゼル燃料は低イオウ含量(たとえば最大500ppm)及び低芳香族物質含
量を有する。ディーゼル仕様として、ヨーロピアンディーゼル燃料の仕様(セタ
ン指数45〜50及び20〜25%を越えない芳香族物質含量を有する)に類似
するものが設定されることが予想されている。
従って、本発明の目的は、芳香族物質含有炭化水素原料から許容される低減され
た芳香族物質含量を有するディーゼル燃料を製造する経済的な方法を提供するこ
とにある。
本発明の1態様によれば、炭化水素原料の水素化によるディーゼル燃料の製法が
提供される。原料は約149〜260℃(約300〜約500’F)の沸点を有
する成分約10容量%及び少な(とも約260℃(約500°F) 、399℃
(750°F)以下の沸点を有する成分約90容量%でなる。
該製法は、炭化水素原料を、水素化触媒の存在下、第1水素化領域を水素ガスに
対して並流接触状態で通過させ、これにより原料を少な(とも部分的に水素化す
ることを包含する。この第1水素化領域からガス相流出物を除去する。ガス相流
出物は水素及び蒸発した液状物質を含有する。第1水素化領域からは、部分的に
水素化された液状炭化水素流出物も除去される。液状炭化水素流出物を、第2水
素化領域において、水素化触媒の存在下、該液状炭化水素流出物に対して向流状
態で水素ガスを第2水素化領域に流入させることによってさらに水素化する。こ
の第2水素化領域から、水素及び蒸発した液状物質でなるガス相流出物及びディ
ーゼル燃料を含有する液相流出物を回収する。
1具体例では、原料の少なくとも40%は288℃(5506F)以上の沸点を
有する物質でなる。
本発明に従って水素化されるディーゼル炭化水素原料の代表的な例は下記の特性
を有する。
密度(A、P、I) 20〜35
H/C芳香族比 1.4〜1,9
イオウ(重量%)0.2〜1.2
窒素(重量%) 0.01〜0.1
FIA (容量%)
芳香族 35〜8゜
オレフィン 1〜4
飽和物質 残余
蒸留(’C)
初期沸点 154〜216 (310〜420’F)10% 227〜254
(440〜490’F)50% 277〜293 (530〜560’F)90
% 329〜349 (625〜660’F)最終沸点 360〜382 (6
80〜720’F)しかしながら、本発明の範囲はかかるディーゼル炭化水素原
料に限定されないことが理解されるべきである。
好適な1具体例では、第1水素化領域における触媒は非貴金属でなる。がかる代
表的な例としては、ニッケル、ラニーニッケル、コバルト−モリブデン、ニッケ
ルーモリブデン及びニッケルータングステンが挙げられる。第2水素化領域にお
ける触媒は貴金属又は非貴金属でなる。貴金属触媒の例としては白金及びパラジ
ウムがある(これに限定されない)。
触媒は、好適には、アルミナ、シリカ、ケイソウ土、マグネシア、ジルコニア、
又は他の無機酸化物又はゼオライト(単独又は組合せ)の如き支持体1;担持さ
れる。
好ましくは、第1水素化領域は、温度約288〜約399℃(約550〜約75
0″F) 、さらに好適には約316〜約377℃(約600〜約710°F)
、圧力約600〜約2.000psig、さらに好適には約750〜約1.50
0psig、 LH8V 0.3〜約2.0時間−1で操作される。第2水素化
領域は、好ましくは温度約288〜約371℃(約550〜約700°F)、さ
らに好適には約316〜約357℃(約600〜約675°F)、圧力約600
〜約2.000psig、さらに好適には約750〜約1.500psig。
LBSV約0,3〜約2.0時間−1で操作される。2つの水素化領域は単一の
反応器内又は異なる反応器内にあり、各水素化領域は少なくとも1つの反応段階
を含む。
好適な1具体例では、第1及び第2水素化領域から成分の一部を凝縮させ、凝縮
した蒸発液状成分を残りのガス成分から分離し、第1又は第2水素化領域へ液状
原料として戻す。かかる液状原料を第2水素化領域に戻す際、液状原料は第2水
素化領域への原料(すなわち、第1水素化領域からの液状流出物)の冷却材とし
て作用し、第2水素化領域における最大温度を制御する。
別法では、蒸発した液状成分の全部を凝縮させ、第1又は第一2水素化領域へ液
状原料として戻す。他の別法では、蒸発した液状成分の一部を凝縮させて、約1
77℃(約350°F)以上で沸騰する物質を、ガソリンの如き液状物質よりも
通常軽質の通常ガス状の成分(水素を含む)から分離する。好ましくは、かかる
成分は約29〜約177℃(約85〜350°F)で沸騰する。非凝縮成分を分
離領域に送給し、これにより、ガソリン及び/又は他の低沸点物質を水素から分
離する。ガソリンを後の使用のため回収し、一方、水素を第1及び/又は第2水
素化領域へ再循環する。
さらに他の具体例では、第1水素化領域は第1及び第2の反応段階を包含し、第
2水素化領域は1つの反応段階を包含する。かかる具体例は、高芳香族物質含量
(たとえば約80容量%(FIA)以上)を有するディーゼル原料を水素化する
ことに特に有効である。この具体例において、第1水素化領域の各反応段階は上
述の温度、圧力及びLH3V条件下で操作され、各反応段階は好ましくは非貴金
属水素化触媒を包含する。
さらに好適には、第1水素化領域のかかる具体例を使用する場合、第1及び第2
水素化領域からのガス相流出物を充分に冷却させて、その蒸発した液状成分の少
なくとも一部を凝縮させ、凝縮した蒸発液状成分を残りのガス成分から分離し、
液状原料として第1又は第2水素化領域に戻す。水素を含む残りのガス成分を第
1の水素含有ガス流及び第2の水素含有ガス流に分ける。第1の水素含有ガス流
を好ましくは温度約288〜約399℃(約550〜約750’F)に加熱し、
第1水素化領域の第1の反応段階に送る。一方、第2の水素含有ガス流を第1水
素化領域の第2の反応段階に「冷たい」水素流として送る。すなわち、この流れ
は予め加熱されず、好ましくは温度約38〜約60℃(約100〜140’F)
であり、第1水素化領域の第2の反応段階への流入前の第1の反応段階からの流
出物の冷却材として作用する。
次に、本発明を図面を参照して詳述する。
図1は本発明の水素化法の第1具体例の概略図であり、図2は本発明の水素化法
の第2具体例の概略図であり、図3は本発明の水素化法の第3具体例の概略図で
あり、図4は本発明の水素化法の第4具体例の概略図である。
図面を参照すれば、図1に示すように、芳香族物質含有ディーゼル炭化水素原料
の水素化を反応器10(多孔プレート又は有孔プレートでなる仕切り部材12.
14及び24で分画されている)で行う。仕切り部材12.14及び24は反応
器10を第1又は上方反応領域16、蒸気解放領域20及び第2又は下方反応領
域18に分画する。
第1反応領域16には、仕切り部材12の上に支持された非貴金属水素化触媒の
固定床22が充填されている。
第2反応領域18には、貴金属又は非貴金属水素化触媒でなる水素化触媒の固定
床23が充填されている。触媒床23は仕切り部材24上に支持されている。仕
切り部材24は反応器の底部に位置し、下方チャンバー又は領域26の上方境界
を限定する。
新鮮な芳香族物質を含有するディーゼル原料をライン46からライン40に供給
すると共に、ライン36から水素富有流を供給する。新鮮な原料と水素との混合
物はライン40を進み、分離器34からの凝縮再循環液を収容するライン44と
合流する。新鮮な原料、水素及び再循環液の混合物は、ライン42、熱交換器3
0を介して、水素化反応器10の頂部から第1水素化領域16へ入る。別法では
、新鮮な原料が予熱を必要としないほど充分に熱い場合、原料をライン43から
ライン42へ導入してもよい。
新鮮な原料、再循環液及び水素の混合物は、相当量の芳香族物質が水素化されて
所望のディーゼル燃料生成物を生成する条件下の第1水素化領域16の触媒床2
2を下方に向かって通過する。好ましくは、第1水素化領域は、温度約288〜
約399℃(約550〜約750°F)、さらに好適には約316〜約377℃
(約600〜約710°F)、圧力約600〜約2.000psig、さらに好
適には約750〜約1.500psigSLH3V約0.3〜約2.0時間−1
で操作される。
第1水素化領域16からの流出物は液相とガス相との2相混合物である。液相は
新鮮な原料のより高い沸点を有する成分の混合物である。ガス相は水素、不活性
ガス状不純物、及び新鮮な原料中のより低い沸点を有する成分と一般的に同様の
組成をもつ蒸発した液状炭化水素の混合物である。
流出物の液相は蒸気解放領域20、仕切り部材14を通って、第2水素化領域1
8内へ入る。
第2水素化領域18内で、ライン48を介して導入されだ補充用水素はチャンバ
ー26を通り、第2水素化領域18の触媒床23を上方に向かって通過し、これ
により、水素は液相流出物と向流状態で接触し、残留する芳香族物質を水素化す
る。好ましくは、かかる向流接触は温度約38〜約60°C(約100〜約14
0°F)の「冷たい」補充用水素との間で行われる。液相流出物と「冷たい」水
素との向流接触は、高い82分圧及びより低い操作温度をもたらすことに役立つ
ものであり、これらは、化学平衡を飽和化合物の生成に向かってシフトさせる(
すなわち、より高い芳香族転化率を提供する)。好ましくは、第2水素化領域1
8は、温度約288〜約371°C(約550〜約700°F)、さらに好適に
は約316〜約357℃(約600〜約675°F)、圧力約600〜約2.0
00psig、好適には約750〜約1.500psig、 LH3V約3V3
〜2.’0時間弓で操作される。
さらに、第2水素化領域18内での液相流出物と水素ガスとの向流接触は、溶解
された[12S及びN113不純物を液相流出物から取り去るよう作用し、これ
により水素分圧及び従って触媒の性能の両方が向上する。
第2水素化領域18からの液状流出物を、次いで反応器IOのチャンバー26内
に溜めて、蒸気を解放させると共に水素が漏れないようにライン50への出口を
密封する。ライン50内で収集された液状生成物は所望のディーゼル燃料生成物
を含有している。次いで、ディーゼル原料から不純物を取り除くために、さらに
液の処理(たとえば蒸留によって)を行う。
第2水素化領域18からもガス相流出物が生成される。
このガス相流出物は、過剰な水素、不活性ガス状不純物及び第1水素化領域16
からのガス相流出物中に含有されていたものと同様の組成をもつ蒸発した炭化水
素を含有する。
第1水素化領域16及び第2水素化領域18からのガス相流出物を蒸気解放領域
20に集める。合わせたガス相フラクションをライン28を介して回収し、熱交
換器52を通過させることによって冷却する。次いで蒸気混合物をライン54を
介して凝縮器/熱交換器30へ送り、まだ熱い蒸気混合物を使用してライン42
内の反応原料を予熱する。次に、蒸気混合物を凝縮器32へ送り、ここで蒸発し
た液相成分を液体へと再凝縮する。得られた2相(ガス及び液)混合物(水素、
不活性ガス及び再液化された炭化水素を含有する)を分離器34へ送給し、液相
とガス相とを分離する。液相をライン44へ送り、次いでライン42においてラ
イン40からの新鮮な原料及び水素と混合し、反応器10の第1水素化領域16
に再循環する。一方、ガス相(水素及び不活性ガスを含有する)をライン36を
介して分離器34から回収する。装置内に不活性ガス状不純物が充満するのを防
ぐため、ライン36内のガスをライン56を介して部分的に排出する。
ライン36内のガス相の残りをコンプレッサー38を介してライン40へ送り、
ここでガス相をライン46からの新鮮な原料と混合する。ライン48からの新鮮
な水素ガスをライン58、ライン36へ送給し、再循環水素が第1水素化領域1
6で必要とされる量に対して充分でない場合には、新鮮な水素を再循環ガスと混
合させることもできる。
図2に示す別法では、ライン146からの新鮮なディーゼル原料及びライン13
6内の水素含有ガス流をライン140内で合わせ、熱交換器130へ送り、ここ
でディーゼル原料及び水素を加熱し、ライン142へ送り、次いで反応器110
の第1水素化領域116へ送給する。あるいは、原料の予熱を必要としない場合
には、原料をライン143からライン142へ導入してもよい。原料は非貴金属
水素化触媒の固定床122と接触し、液相及びガス相を含有する流出物は仕切り
部材112を通って蒸気解放領域120内へ入る。流出物の液相は蒸気解放領域
120を通って下方に流れ、仕切り部材114を介して第2水素化領域118へ
入る。
第2水素化領域118内において、ライン148及びチャンバー126を介して
導入された水素は、流出物が触媒床123を通過する際、液相流出物と向流状態
で接触し、これによって液状流出物中に残留する芳香族物質を水素化する。第2
水素化領域118からの流出物の液状部分は、仕切り部材124を介してチャン
バー126内へ入り、蒸気を解放し、水素が漏れないようにライン150への出
口を密封する。液状ディーゼル燃料生成物をライン150から回収する。
第1水素化領域116及び第2水素化領域118からのガス相流出物を蒸気解放
領域120で収集する。合わせたガスフラクションをライン128を介して取り
出し、凝縮器/熱交換器130へ送り、ここで水素、不活性ガス及び蒸発した液
状炭化水素でなる熱い蒸気混合物によりライン140からの原料を予熱する。次
いで、ガス状混合物をライン154を介して凝縮器132に送り、蒸発した液相
成分を凝縮して液とする。得られた2相(液及びガス)混合物を分離器134へ
送り、液相とガス相とに分離する。液相をライン144、再循環ポンプ145及
びライン160を通って蒸気解放領域120へ送給する。液相の一部をライン1
61へ分岐してライン140へ送り、再循環原料として第1水素化領域116へ
送給してもよい。
蒸気解放領域120に入ったライン160内の液状再循環流は第1水素化領域1
16からの熱い液相流出物と接触して冷却材として作用し、液相流出物の温度を
適宜な入口温度まで低下させ、触媒床123の最高温度を制御する。
分離器134からライン136を介してガス相を取り出す。
装置内に不活性ガス状不純物が充満するのを防ぐために、ライン136内のガス
をライン156を介して部分的に排出してもよい。ライン136内のガス相の残
りをコンプレッサー138、次いでライン140へ送り、ガス相をライン146
からの新鮮な原料と混合する。再循環水素の量が第1水素化領域116で必要と
する量に対して充分でない場合には、ライン148から新鮮な水素ガスをライン
158、ライン136へ送り、新鮮な水素を再循環ガスと混合することができる
。
図3に示すように、他の別法では、ライン246から供給される新鮮なディーゼ
ル原料及びライン237内の水素含有ガス流をライン240内で合わせて、熱交
換器230を通過させ、そこでディーゼル原料及び水素を加熱する。ディーゼル
原料及び水素の混合物をライン242、次いで反応器210の第1水素化領域2
16へ送る。
あるいは、原料を予熱する必要がない場合には、原料をライン243からライン
242へ導入してもよい。原料は非貴金属水素化触媒の固定床222と接触し、
第1水素化領域216からの反応流出物は仕切り部材212を通って蒸気解放領
域220へ入る。流出物は液相とガス相とを含有する。流出物の液相は蒸気解放
領域220を通って下方へ向い、仕切り部材214を介して第2水素化領域21
8内へ入る。
第2水素化領域218内において、ライン248及びチャンバー226を介して
導入された水素は、流出物が触媒床223を通過する際、液相流出物と向流状態
で接触し、これによって液状流出物中に残留する芳香族物質を水素化する。第2
水素化領域218からの流出物の液相部分を仕切り部材224を介してチャンバ
ー226内へ送り、これにより蒸気を解放し、水素の漏れを防止するためライン
250への出口を密封する。液状ディーゼル燃料生成物をライン250から回収
し、不純物を除去するためにさらに処理を行う。
第1水素化領域216及び第2水素化領域218からのガス相流出物を蒸気解放
領域220で収集する。合わせたガスフラクションをライン228を介して取り
出し、凝縮器/熱交換器230へ送り、ここで水素、不活性ガス及び蒸発した液
状炭化水素でなる熱い蒸気混合物を使用してライン240内の原料を予熱する。
次いで、ガス状混合物をライン254を介して凝縮器232へ送る。凝縮器23
2内で、一般的に約177℃(約350°F)以上の沸点を有する蒸発した液状
炭化水素の重質部分を凝縮させて液相を形成させると共に、一方、残りのガスは
水素、不活性ガス及び約29〜177℃(約85〜350°F)の沸点を有する
ガソリン及び軽質成分を含有する。次いでガス及び液相を分離器234へ送り、
ここでガス相と液相とを分離する。凝縮された重質炭化水素を含有する液相を分
離器234からライン244を介して取り出し、再循環ポンプ255、ライン2
60へ送給し、蒸気解放領域220へ再循環させる。再循環液は前述したように
冷却材として作用して、第1水素化領域216からの液状流出物の温度を下げ、
触媒床223の最高温度を制御する。
ガス相を分離器234からライン236を介して取り出す。
ガス相は水素、不活性ガス、及び一般的に約177℃(約350°F)以下の沸
点を有するガソリン及び他の軽質炭化水素を含有する。次いで、ガス相を分離及
び回収システム262へ送給し、ガス相を、ガソリン及び軽質炭化水素を含有す
る液状フラクションと、水素及び不活性ガスを含有するガスフラクションとに分
離する。液状フラクションをライン263から回収し、水素及び不活性ガスを含
有するガスフラクションをライン237を介して取り出し、コンプレッサー23
8へ送り、ライン240内でライン246から供給される新鮮な原料と混合する
。不活性ガス不純物の充満を防ぐために、ガス相の一部をライン256を介して
排出してもよい。再循環水素の量が第1水素化領域216での必要量を満たすに
充分でない場合には、新鮮な水素ガスをライン248からライン258、ライン
237へ送り、ここで新鮮な水素を再循環ガスと混合させてもよい。
図4に示すように、さらにもう1つの別法では、ライン346内の新鮮なディー
ゼル原料、及びライン358内の新鮮な水素を含有するガス流及びライン337
内の再循環水素を含有するガス流をライン340内で合わせ、熱交換器368及
び330へ送給し、ここでディーゼル原料及び水素を温度約288〜399℃(
約550〜750°F)に加熱する。次いで、ディーゼル原料及び水素の混合物
をライン342へ送り、次いで反応器310内の第1水素化領域316の第1反
応段階316aへ送る。あるいは、原料を予熱する必要がない場合には、原料を
ライン343からライン342へ導入できる。原料は非貴金属水素化触媒の固定
床322aと接触し、第1反応段階316aからの反応流出物は仕切り部材31
2aを通り、第1水素化領域316の第2反応段階316bへ入る。流出物は、
第2反応段階316bへ入る前に、ライン364から送給される温度約38〜約
60℃(約100〜約140°F)の再循環された「冷たい」水素と接触する。
このように、この「冷たい」水素は反応段階316aからの流出物の冷却材とし
て作用する。
流出物は、再循環された「冷たい」水素によって冷却されるとすぐに、第1水素
化領域316の第2反応段階316bへ入り、ここで流出物は非貴金属触媒の固
定床322bと接触する。次いで、反応流出物を仕切り部材312bを介して蒸
気解放領域320へ送る。流出物は液相及びガス相を含有する。反応段階316
bから得られた流出物の液相を蒸気解放領域320を通って下方へ送り、仕切り
部材314を介して第2水素化領域318内へ送給する。
第2水素化領域318内において、ライン348及びチャンバー326を介して
導入された水素は、流出物が触媒床323を通過する際、液相流出物と向流状態
で接触し、これによって液状流出物中に残留する芳香族物質を水素化する。第2
水素化領域318からの流出物の液相部分を仕切り部材324を介してチャンバ
ー326へ送り、蒸気を解放させると共に、水素の漏れを防ぐためライン350
への出口を密封する。液状ディーゼル燃料生成物を、熱交換器366及び368
を通過させた後、ライン350から回収し、不純物を除去するためにさらに処理
を行う。
第1水素化領域316の第2反応段階316b及び第2水素化領域318から得
られたガス相流出物を蒸気解放領域320内で収集する。合わせたガスフラクシ
ョンをライン328を介して取り出し、熱交換器330へ送り、ここで水素、不
活性ガス及び蒸発した液状炭化水素の熱い蒸気混合物を使用してライン340内
の原料を予熱する。
次いで、この混合物をライン354を介して凝縮器332へ送る。凝縮器332
内において、蒸発した液相成分の少な(とも一部を液体に再凝縮する。得られた
2相(液及びガス)混合物を分離器334へ送り、ここで液相とガス相とを分離
する。液相をライン344を介して分離器334から取り出し、凝縮器/熱交換
器332、ライン360、熱交換器366及びライン362を介して蒸気解放領
域320へ送給する。熱交換器332及び366は、蒸気解放領域320及び第
2水素化領域318へ再循環させる際、液相を加熱するよう機能する。
水素を含有するガス相をライン336を介して分離器334から取り出す。ライ
ン336内のガスを、装置内にガス状不純物が充満しないように、ライン356
を介して部分的に排出してもよい。ガス相の残りを2つの水素含有ガス流に分け
る。ライン337内の再循環水素を含有する第1のガス流をライン340へ送り
、この第1のガス流を新鮮な原料及び補充用水素と混合する。補充用水素、再循
環水素及び新鮮な原料でなる混合物を熱交換器368及び330で加熱し、ライ
ン342へ送り、上述したように第1水素化領域の第1反応段階316aへ送給
する。一方、再循環水素を含有する第2のガス流をライン364へ送る。このガ
ス流は加熱され、しかも「冷たい」水素を含有しており、第1水素化領域の第2
反応段階316bに送給され、ここで「冷たい」水素は第1反応段階316aか
らの流出物を冷却する。
本発明の利点は、芳香族物質含有ディーゼル原料を環境的に許容されつるディー
ゼル燃料生成物へ転化する経済的な方法を提供することにある。本発明は、第1
水素化領域において原料と水素とを並流状態で接触させ、次いで原料と水素とを
向流状態で接触させることによって、優れたディーゼル燃料生成物を生成するの
に必要な反応を行わせるに好適な水素分圧プロフィールを提供する。さらに、凝
縮液状炭化水素が第2水素化領域へ再循環される際、かかる再循環された液体は
第1水素化領域からの流出物を冷却し、第2水素化領域内の触媒床の最高温度を
制御する。本発明は、所望ならば、2つの水素化領域から得られたガス相流出物
を重質フラクションと軽質フラクションとに分離し、凝縮された重質フラクショ
ンを第1又は第2水素化領域のいずれかへ再循環させると共に、ガス状軽質フラ
クションをガソリン生成物を回収するために、さらに処理に供することもできる
。
生成物として回収されたディーゼル燃料の代表的なものは下記のようi特性−を
有する。
密度(A、P、1.) 33〜36
H/C芳香族比 1.7〜2.0
イオウ < 500ppm
窒素 < 5 ppm
FI^(容量%)
芳香族 20〜35
オレフイン 0.3〜0.7
飽和物質 残余
蒸留(℃)
初期沸点 204 (400°F)
10% 243 (470°F)
50% 288 (550°F)
90% 343(650°F)
最終沸点 366(690°F)
本発明の範囲は、ここに挙げたディーゼル生成物に限定されないことは理解され
よう。
又、本発明の製法により、5〜10容量%もしくはそれ以下の低い芳香族物質含
量を有するディーゼル生成物が得られることも予期できるであろう。
しかしながら、本発明の範囲は上述した特別な具体例に限定されるものではない
ことが理解されるべきである。本発明は詳述した側辺外にも実施され、これらの
例も添付の請求の範囲内に含まれる。
国際調査報告 or↑711905/n1nζり