JPH0649726Y2 - 壁パネルの取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は建物の外壁や内壁を構成するのに用いる壁パ
ネルの取付構造に関する。

（従来の技術） 最近建物の壁面用の内外装材として、主板部の四周に折
曲片部を連設した浅い箱状の金属板製の壁パネルが多く
用いられるようになつた。そしてこの壁パネルの建物躯
体への取付構造としては、折曲片部に適宜の間隔でＬ形
の取付金具を固着し、建物躯体に固着した通しアングル
状の下地材に前記取付金具をタツピンねじにより締付固
定するのが一般的である。

（考案が解決しようとする問題点） ところが上記従来の取付構造においては、建物躯体に取
付けた下地材に壁パネルを１枚ずつタツピンねじの施工
により固定していくため、先ず壁パネルを所定位置に保
持するのに手間がかかり、さらにタツピンねじのねじ込
作業も手間がかかるものであつたので、壁面施工の作業
性が劣り、特に高所作業の場合は長時間の作業は安全上
も問題があつた。

この考案は上記従来の問題点を解決するもので、建物躯
体への取付を容易におこなうことができる壁パネルの取
付構造を提供しようとするものである。

（問題点を解決するための手段） しかしてこの考案の壁パネルの取付構造は、主板部の周
囲に折曲片部を連設した浅い箱状のパネル本体の上部折
曲片部に、上方に向かうフランジ部を連設し、下地材へ
の取付用のタツピンねじが挿通される取付穴を前記フラ
ンジ部に穿設するとともに、下向きに開口する略Ｕ字形
断面を有し、折曲部に続く両側片の間隔が開口端部に向
つて狭くなつている挾持片部と、前記挾持片部の一端部
に連設され下端部が外方に向つて傾斜した導入片部と、
前記挾持片部の他端部に連設されたパネル取付用の取付
片部とをそなえて成り前記開口端部における前記両側片
間の開口巾を下地材の上向片部の板厚より小とした金属
板製の取付金具を、前記パネル本体の下部折曲片部に取
付け、建物躯体に固設した水平方向に延びる下地材の上
向片部を前記取付金具の挾持片部内に嵌込み、前記フラ
ンジ部の取付穴に挿通したタツピンねじにより該フラン
ジ部を前記下地材に締付固定して成る。

（作用） この考案において壁パネルを建物躯体に取付ける際に
は、パネル本体の下端部に取付けた取付金具の下向きに
開口する挾持片部を、建物躯体に固設した水平方向に延
びる下地材の上向片部に引掛け、該上向片部を開口端部
から挾持片部内に嵌込む。これによつて挾持片部は下地
材を挾持して壁パネルが下地材から離間するのを防止す
るので、壁パネルの下端部を下地材にワンタツチで固定
することができる。このとき導入片部は、下地材の上向
片部を挾持片部内に導入するガイドとして作用し、壁パ
ネルの下地材への引掛作業を容易にし、また挾持片部は
開口巾より上方の両側片間隔が広くなつているので、開
口端部を通過した下地材の上向片部は確実容易に挾持片
部内に嵌入し、また壁パネルのひずみや下地材のねじれ
が多少あつても同様に下地材を挾持片部内に確実に嵌入
することができる。

上記の取付金具による壁パネルの下端部保持状態におい
て、壁パネルの上端部は、上部折曲片部に連設したフラ
ンジ部の取付穴に挿通されるタツピンねじによつて、下
地材に固定する。このとき壁パネルは下端部が下地材に
保持されているので、壁パネルの保持は容易であり、さ
らに壁パネルの上辺部以外についてはタツピンねじによ
る取付作業を必要としないので、短時間で壁パネルの取
付作業をおこなうことができるのである。

（実施例） 以下第１図および第２図によりこの考案の一実施例を説
明する。

図中、１はパネル本体で、ほうろう用脱炭鋼板を浅い箱
状に折曲成形してほうろう加工を施したほうろうパネル
から成り、２は主板部、３は上部折曲片部、４はこの上
部折曲片部３に連設されたフランジ部、５は下部折曲片
部、６は側部折曲片部である。７は下部折曲片部５に取
付けた取付金具で、ステンレス製のブラインドリベツト
９によりパネル本体１に固着されている。このブライン
ドリベツト９の挿通用のパネル本体の穴1aは、ほうろう
加工前に穿設され、その後ほうろう加工を施してある。
取付金具７はステンレス板を折曲成形して成り、第２図
に示すように下向きに開口する略Ｕ字形断面を有する挾
持片部11の一端部に、下端部が外方に向つて傾斜した導
入片部12を連設し、挾持片部11の他端部に水平方向に折
曲つた取付片部13を連設して成る。挾持片部11は、頂部
の折曲部14に、垂直な側片15と、開口端部11aに向つて
側片15との間隔が狭くなるように傾斜した側片16とを連
設して成り、開口端部11aにおける側片15,16間の開口巾
は、後述の下地材19の上向片部19aの板厚より小となる
ように、折曲成形されている。また17は取付片部13に穿
設したブラインドリベツト挿通用の穴である。

一方パネル上部のフランジ部４には、タツピンねじ30挿
通用の取付穴21を穿設してある。なお図中、22は一方の
側部折曲片部６に連設した上下方向に延びるフランジ
部、23はこのフランジ部22の端縁をパネル表面側に浅く
折返した折返片部で、これらは雨水が目地部から建物躯
体側に侵入するのを防止するために必要に応じて設ける
ものである。また24はフランジ部22の下端部に設けた段
部、25はフランジ部４の側端部に設けた段部、26は下部
折曲片部５と側部折曲片部６のコーナ部に設けた切欠
で、いずれも壁パネル並設時にパネル同士の干渉を避け
かつ雨水をパネル表面側に排出させるためのものであ
る。

上記構成の壁パネル20を用いて建物の壁面施工をおこな
うには、建物躯体に固着した水平方向に延びる下地材19
の上向片部19aに、壁パネル下端部の取付金具７の挾持
片部11を引掛け、上向片部19aを開口端部11aから挾持片
部11内に嵌入させる。これによつて壁パネル20の下端部
はワンタツチで下地材19に保持されるので、必要に応じ
て図示しないストツパねじ等によるパネルの芯出しをお
こないつつ、壁パネル上端部のフランジ部４の取付穴21
に挿通されるタツピンねじ30によつて、壁パネル20の下
地材19への固着作業をおこなえばよいが、これらの作業
は壁パネル20の下端部の保持を必要としないので短時間
で容易におこなうことができる。

上記のようにして壁面構成後、数日に壁パネルの補修な
どのために特定の壁パネルを取外す場合は、タツピンね
じ30取外し後、壁パネル20の上端部を上段側の壁パネル
と干渉しない位置まで屋外側へ移動させて壁パネルを小
角度だけ傾斜させ、この傾斜状態で壁パネル20を上方へ
引上げて、パネル下端部の取付金具７を下地材19から引
抜けばよい。また補修後の壁パネル20の元の位置への取
付けは上記と逆の手順でおこなえばよく、このようにし
て他の壁パネルとは無関係に所望の壁パネルの脱着をお
こなうことができ、同様に最初の壁面構成時においても
壁パネル取付順序は何ら制約を受けることなく自由にお
こなえるのである。

この考案は上記実施例に限定されるものではなく、たと
えば上記実施例では取付金具７をほうろう加工後のパネ
ル本体１にブラインドリベツト９により取付けたので、
パネル本体１は全面がほうろう被覆され耐久性に富むと
いう長所を有するが、このかわりに従来のＬ形金具と同
様に溶接により取付金具をパネル本体に固着する構成と
してもよい。また取付金具の挾持片部11の形状は、第３
図乃至第５図に示すように、側片15が傾斜し側片16が垂
直状のもの（第３図）、側片15および16が共に傾斜して
いるもの（第４図）、折曲部14が角形に折曲つているも
の（第５図）等、第２図以外の形状としてもよい。

なおこの考案はほうろうパネル以外の各種材質の壁パネ
ルにも適用できるものである。

（考案の効果） 以上説明したようにこの考案によれば、壁パネルの下端
部をワンタツチで下地材に保持させることができ、壁パ
ネルの建物躯体への取付を短時間で容易におこなうこと
ができ、壁面施工の作業性および安全性向上に寄与する
ものである。

また壁パネル上端部のフランジ部を上段側の壁パネルよ
りも屋外側へ引出した状態で壁パネルを上下させること
により、壁面構成後において任意の壁パネルだけを自由
に脱着できるので、壁パネルの補修が容易であり、最初
の壁面構成時にも取付順序の制約を受けることがないの
で取付作業が容易におこなえる。

さらに取付金具の挾持片部は、開口部より上方の両側片
間隔が広くなつているので、開口巾寸法にばらつきがあ
つても、開口端部を通過した下地材の上向片部は確実容
易に挾持片部内に嵌入するとともに、挾持片部が確実に
上向片部を挾持し、壁パネル下端部はガタつくことなく
しつかりと下地材に保持される。また壁パネル取外し時
には、取付金具の開口端部が下地材の平板状の上向片部
を挾圧しているだけなので、上向きの引抜力は小さくて
済み、取外し作業が容易におこなえる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す壁パネルの斜視図、
第２図は同じく建物躯体への取付状態を示す縦断面図、
第３図乃至第５図はこの考案の他の実施例を示す取付金
具の縦断面図である。 １…パネル本体、４…フランジ部、５…下部折曲片部、
７…取付金具、８…取付金具、９…ブラインドリベツ
ト、11…挾持片部、11a…開口端部、12…導入片部、13
…取付片部、14…折曲部、15…側片、16…側片、19…下
地材、19a…上向片部、20…壁パネル、21…取付穴、22
…フランジ部、23…折返片部、30…タツピンねじ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】主板部の周囲に折曲片部を連設した浅い箱
   状のパネル本体の上部折曲片部に、上方に向かうフラン
   ジ部を連設し、下地材への取付用のタツピンねじが挿通
   される取付穴を前記フランジ部に穿設するとともに、 下向きに開口する略Ｕ字形断面を有し、折曲部に続く両
   側片の間隔が開口端部に向つて狭くなつている挾持片部
   と、前記挾持片部の一端部に連設され下端部が外方に向
   つて傾斜した導入片部と、前記挾持片部の他端部に連設
   されたパネル取付用の取付片部とをそなえて成り前記開
   口端部における前記両側片間の開口巾を下地材の上向片
   部の板厚より小とした金属板製の取付金具を、前記パネ
   ル本体の下部折曲片部に取付け、 建物躯体に固設した水平方向に延びる下地材の上向片部
   を前記取付金具の挾持片部内に嵌込み、前記フランジ部
   の取付穴に挿通したタツピンねじにより該フランジ部を
   前記下地材に締付固定して成る壁パネルの取付構造。