JPH0649298A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0649298A
JPH0649298A JP20375992A JP20375992A JPH0649298A JP H0649298 A JPH0649298 A JP H0649298A JP 20375992 A JP20375992 A JP 20375992A JP 20375992 A JP20375992 A JP 20375992A JP H0649298 A JPH0649298 A JP H0649298A
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JP
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weight
thermoplastic resin
polymer
resin
resin composition
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JP20375992A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Mishima
育宏 三島
Kazuhito Wada
一仁 和田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 オレフィン系樹脂の以外の熱可塑性樹脂組成
物(A)5〜95重量%と、エポキシ基と反応性を有する
官能基をもつオレフィン系樹脂(B)5〜95重量%とか
らなるもの(C)100 重量部に対し、スチレン系重合
体、アルキル(メタ)アクリレート系重合体、塩化ビニ
ル系重合体のうちの1種以上の重合体(e)100 重量部
に、エポキシ基を含有する単量体0.05〜50重量%、芳香
族ビニル化合物50〜99.95 重量%およびこれらと共重合
可能なモノマー0〜49.5重量%からなる単量体(d)5
〜200 重量部を(e)にグラフトせしめたグラフト重合
体(D)0.5 〜200 重量部を配合してなる熱可塑性樹脂
組成物。 【効果】 耐表層剥離性にすぐれるほか、すぐれた耐熱
性、流動性を兼ね備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性樹脂組成物に関
する。さらに詳しくは、耐表層剥離性にすぐれた熱可塑
性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、異種の特性をもつポリマー同士を
アロイ化して樹脂を改質する方法が盛んに検討されてい
る。たとえば、ポリオレフィンとスチレン系樹脂あるい
は塩化ビニル系樹脂とのアロイ化については、エチレン
−酢酸ビニル共重合体によりアロイ化する方法(特公昭
60−36178号公報)、ポリエチレン−EPDM変
性物によりアロイ化する方法(特開昭63−30403
9号公報、特開平1−165640号公報)、ポリプロ
ピレンとスチレン系樹脂とのブロック体によりアロイ化
する方法(特開平2−199127号公報、特開平2−
199128号公報、特開平2−199129号公報)
などについて報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の方法では、ポリマー同士の相溶化が不十分であ
り、射出成形などの高剪断下において、樹脂成形品の表
層剥離が起こるなどの問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題を解決するため鋭意検討した結果、エポキシ基と反応
性を有する官能基をもつオレフィン系樹脂とオレフィン
系樹脂以外の熱可塑性樹脂とからなるものに対し、スチ
レン系重合体、アルキル(メタ)アクリレート系重合
体、塩化ビニル系重合体のうちの1種以上の重合体に、
エポキシ基を有する単量体および芳香族ビニル系化合物
を含浸させ重合してなるグラフト重合体含有樹脂組成物
を配合すると、驚くべきことに、射出成形品の表層剥離
が起こりにくくなることを見出した。
【0005】すなわち本発明はオレフィン系樹脂以外の
熱可塑性樹脂(A)5〜95重量%とエポキシ基と反応性
を有する官能基をもつオレフィン系樹脂(B)5〜95重
量%とからなるもの(C)100 重量部に対し、スチレン
系重合体、アルキル(メタ)アクリレート系重合体、塩
化ビニル系重合体のうち、1種以上の重合体(e)100
重量部を水中に懸濁させ、エポキシ基を含有する単量体
0.05〜50重量%、芳香族ビニル化合物50〜99.95 重量%
およびこれらと共重合可能なモノマー0〜49.5重量%か
らなる単量体(d)5〜200 重量部を重合体(e)に含
浸させ、重合してなるグラフト重合体(D)0.5 〜200
重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0006】
【作用および実施例】本発明の熱可塑性樹脂組成物に用
いられるオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂(A)と
しては、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リフェニレンオキサイド樹脂などがあげられる。このう
ち、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂がグラフト重合
体(D)を使用した際の耐表層剥離性改善の効果が顕著
なので好ましい。
【0007】前記(A)として好ましいスチレン系樹脂
としては、たとえばAS樹脂、ABS樹脂、AES樹
脂、AAS樹脂、α−メチルスチレン−アクリロニトリ
ル共重合体、アクリロニトリル−マレイミド−スチレン
共重合体、アクリロニトリル−α−メチルスチレン−マ
レイミド−スチレン共重合体、ポリスチレン、ハイイン
パクトスチレンなどがあげられるが、その中でも芳香族
ビニル化合物10〜85%(重量%、以下同じ)、シアン化
ビニル化合物15〜40%、N−置換マレイミド化合物0〜
50%およびこれらと共重合可能な他のビニル化合物0〜
20%を共重合したスチレン系樹脂がとくに好ましい。
【0008】前記とくに好ましいスチレン系樹脂の共重
合に用いられる芳香族ビニル化合物としては、たとえば
スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロ
ルスチレン、β−イソプロペニルナフタレンなどがあげ
られる。
【0009】前記共重合に用いられるシアン化ビニル化
合物としては、たとえばアクリロニトリル、メタアクリ
ロニトリルなどがあげられる。
【0010】前記共重合に用いられるN−置換マレイミ
ド化合物としては、たとえばN−フェニルマレイミド、
N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プ
ロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−
ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−タ
ーシャリーブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレ
イミドなどがあげられる。
【0011】前記共重合に用いられる共重合可能な他の
ビニル化合物としては、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリ
レート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−エ
チルヘキシルメタクリレート、メタクリル酸などがあげ
られる。
【0012】前記(A)として好ましい塩化ビニル系樹
脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルが80%以上の
塩化ビニル共重合体および前記塩化ビニル系樹脂を塩素
化した、後塩素化塩化ビニル系樹脂などがあげられる。
共重合するモノマーとしては、エチレン、酢酸ビニルな
どのモノビリデン化合物があげられる。
【0013】前記(A)としてはまた前記スチレン系樹
脂5〜95%と前記塩化ビニル系樹脂95〜5%からなるも
のも好ましい。
【0014】前記(A)の重合は公知の方法を使用する
ことができ、その種類、操作についてとくに制限はな
い。重合終了後は既知の方法によりパウダーとすること
ができる。
【0015】本発明に用いられるエポキシ基と反応性を
有する官能基をもつオレフィン系樹脂(B)は、その官
能基によってエポキシ基と反応し、あるいは水素結合な
どを形成し、強固な相互作用により変性剤(D)と相溶
しやすくなる。変性剤(D)はオレフィン系以外の樹脂
(A)と相溶しやすい幹部をもっているので、官能基を
もつオレフィン系樹脂(B)は変性剤(D)を介してオ
レフィン以外の樹脂(A)と相溶しやすくなり、その結
果本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐表層剥離性が著しく
改良されるものと考えられる。
【0016】前記(B)の例としては、たとえばポリプ
ロピレン、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体、
高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリ
エチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、ポ
リブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1などのポリオ
レフィン類またはそのオリゴマー類、エチレン−プロピ
レンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、ブチルゴム、ブタジエンゴ
ム、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−アクリル
酸エステル共重合体などのポリオレフィン系エラストマ
ー類など、およびこれらの2種以上の混合物などで、か
つ、エポキシ基と反応性を有するカルボン酸、アミン、
アミド、イミドなどの官能基を有する重合体があげられ
る。
【0017】前記官能基のうち、カルボン酸およびその
無水物がとくに好ましく、耐熱性の点からはエポキシ基
と反応性の基を有するポリプロピレンおよびプロピレン
50%以上の共重合体が好ましい。
【0018】(B)中の官能基の量は好ましくは0.1 〜
20%、さらに好ましくは0.3 〜10%である。0.1 %未満
では耐表層剥離性が低下し、20%を超えると流動性や耐
衝撃性が低下する。
【0019】前記官能基を有するオレフィン系樹脂
(B)は公知の方法、たとえばオレフィン単量体と官能
基含有単量体との共重合、ポリオレフィンへの官能基含
有単量体の含浸重合、溶融混練によるグラフト共重合な
どによることができ、その操作などについては特別の制
限はない。重合終了後は既知の方法によりパウダーとす
ることができる。
【0020】本発明に用いられるグラフト重合体(D)
はスチレン系重合体、アルキル(メタ)アクリレート系
重合体、塩化ビニル系重合体のうちの1種以上からなる
重合体(e)にエポキシ基を含有する単量体、芳香族ビ
ニル化合物およびそれらと共重合可能なモノマーからな
る単量体(d)を含浸させ重合してえられたグラフト重
合体含有樹脂組成物であって、前記オレフィン系以外の
熱可塑性樹脂(A)とエポキシ基と反応性を有する官能
基をもつオレフィン系樹脂(B)との相溶性を促進する
変性剤として作用するものである。
【0021】本発明に用いられる前記重合体(e)は、
スチレン系重合体、アルキル(メタ)アクリレート系重
合体、塩化ビニル系重合体のうちの1種以上の重合体か
らなるものである。
【0022】スチレン系重合体としては、ポリスチレ
ン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン
−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−
スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−メチ
ルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−α−メ
チルスチレン−スチレン共重合体、無水マレイン酸−ス
チレン共重合体、マレイミド−スチレン共重合体、マレ
イミド−スチレン−アクリロニトリル共重合体およびこ
れら共重合体のゴム強化樹脂などがあげられる。
【0023】これらのスチレン系重合体のうち、ポリメ
チルメタクリレートあるいはポリ塩化ビニルと相溶しや
すい重合体が好ましいが、とくに芳香族ビニル化合物50
〜85%、シアン化ビニル化合物15〜40%、およびこれら
と共重合可能な他のビニル化合物20%以下を共重合した
重合体が、耐表層剥離性の改良の点から好ましい。
【0024】前記アルキル(メタ)アクリレート系重合
体としては、たとえばポリメチル(メタ)アクリレー
ト、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル
(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレー
トなどの単独重合体およびメチル(メタ)アクリレート
−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチルメタク
リレート−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−
α−メチルスチレン−スチレン共重合体、メチルメタク
リレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体などが
あげられるが、耐表層剥離性の点から、メチルメタクリ
レート含量60%以上からなる重合体が好ましい。
【0025】前記塩化ビニル系重合体としては、ポリ塩
化ビニル、塩化ビニルが80%以上の塩化ビニル共重合体
などがあげられる。共重合するモノマーとしては、エチ
レン、酢酸ビニルなどのモノビニリデン化合物があげら
れる。
【0026】前記重合体(e)は耐熱性の点から、Tg
が50℃以上であるものが好ましい。
【0027】前記重合体は公知の方法でえることがで
き、その操作などについてとくに制限はない。
【0028】前記重合体(e)はそれ自体ではオレフィ
ンと親和性のある官能基をもたないのでオレフィンと相
溶化できず、耐表層剥離性は改善されないが、前記単量
体(d)を(e)に含浸、重合させグラフトすることに
よってオレフィンと親和性のある芳香族ビニル重合体部
分ができ、さらにエポキシ基が導入される結果オレフィ
ン系樹脂以外の熱可塑性樹脂(A)とエポキシ基と反応
性を有する官能基をもつオレフィン系樹脂(B)との相
溶性を大きくし、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐表層
剥離性を改良するものである。
【0029】前記重合体(e)のグラフトに用いられる
単量体(d)は、エポキシ基を含有する単量体0.05〜50
%、好ましくは0.1 〜30%、芳香族ビニル化合物50〜9
9.95%、好ましくは70〜99.9%、およびこれらと共重合
可能な単量体49.5%以下、好ましくは20%以下からなる
ものである。
【0030】エポキシ基を有する単量体としては、たと
えばグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(エ
タ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあ
げられる。
【0031】エポキシを含有する単量体が0.05%未満で
は、成形品の表層剥離性が著しく、50%を超えると流動
性の低下が大きくなる。
【0032】前記芳香族ビニル化合物としては、たとえ
ばスチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、ク
ロルスチレン、β−イソプロペニルナフタレンなどがあ
げられるが、成形品の表層剥離性の点から芳香族ビニル
化合物の80重量%以上がスチレン、メチルスチレン、α
−メチルスチレン、β−イソプロペニルナフタレンであ
るものが好ましい。
【0033】芳香族ビニル化合物が、50%未満または9
9.5%を超えると、成形品の表層剥離性が著しくなる。
【0034】前記エポキシ基含有単量体や芳香族ビニル
化合物と共重合可能なモノマーは必ずしも使用する必要
はないが、使用するばあいは49.5%以内の範囲で、たと
えばブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、ステアリルアクリレートなどの長鎖のアルキル
(メタ)アクリレートなどがあげられる。該共重合可能
なモノマーの量が49.5%を超えると耐表層剥離性が低下
する。
【0035】前記単量体(d)を前記重合体(e)にグ
ラフトするには重合体(e)を水性懸濁液中に分散さ
せ、10時間の半減期となる分解温度が80〜180 ℃である
ラジカル重合開始剤を単量体(d)100 部(重量部、以
下同じ)当り0.01〜5部添加し、この重合開始剤の分解
が実質的に起こらず、かつ単量体(d)が重合を開始し
ない条件に加熱して、重合体(e)中に単量体(d)を
70%以上含浸させたのち、懸濁液の温度を上昇させて、
重合し、重合を完結させる。
【0036】前記ラジカル重合開始剤は、10時間の半減
期をえるための分解温度が80〜180℃であるものが好ま
しく、そのなかでも85〜170 ℃の範囲内にあるものがと
くに好ましい。80℃未満では含浸中に単量体の単独重合
が生じグラフト率が低下する傾向がある。また180 ℃を
超える温度では重合体の熱分解反応が生じやすい。
【0037】前記重合開始剤の例としては、t−ブチル
−パーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオ
キサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチル
パーオキシヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイ
ド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシイソプロピルカーボネート、ジクミルパーオキサ
イド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、ジ−t
−ブチル−ジパーオキシフタレートがあげられる。
【0038】前記水性懸濁液は、基本的には、ビニル単
量体の水性懸濁重合と同じであり、重合体(e)の粒子
と、好ましくは重合開始剤をあらかじめ溶解させた単量
体(d)とを、水性懸濁重合に使用できる懸濁剤、たと
えばメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、アルキルベンゼンスルホン酸塩など、
あるいは難溶性無機物質、たとえば、リン酸カルシウ
ム、酸化マグネシウムなどの存在下で水性媒体中に撹
拌、分散させる。水性懸濁液中の重合体(e)の粒子と
単量体(d)の濃度は、懸濁系の撹拌が均一に行われる
限り変更可能であるが、一般に水100 部に対して、重合
体(e)および単量体(d)の合計10〜100部程度で行
われる。
【0039】この水性懸濁液を使用する重合開始剤の分
解が生じない条件下に加熱して、単量体(d)を重合体
(e)の粒子に含浸させる。
【0040】含浸は単量体(d)の70%以上、好ましく
は85%以上が重合体(e)の粒子に含浸または付着され
るまで懸濁液を撹拌して行う。
【0041】含浸の条件は含浸促進と単量体の単独重合
回避とのバランスから、通常は温度60〜110 ℃、撹拌時
間は、0.5 時間〜6時間程度が好ましい。
【0042】前記単量体の含浸量は、懸濁液を濾過して
単量体が含浸した重合体(e)をとり出し、ガスクロマ
トグラフィーで(e)中の単量体量を測定することによ
り知ることができる。
【0043】含浸工程後、懸濁液の撹拌を続けながら、
さらに温度を上げて含浸した単量体の重合を行う。重合
温度は使用する重合開始剤の分解が効率的に起こる温
度、一般的に80〜140 ℃が好ましく、また重合体の熱分
解が起きると物性を損なうため200 ℃以下が好ましい。
重合中の温度は必ずしも一定である必要はなく、懸濁液
の安定状態、単量体の重合状態、グラフト重合体の生成
状態により、2段あるいはそれ以上に変更することもで
きる。重合は一般に3〜20時間で行なわれる。
【0044】重合終了後は重合体(e)の粒子の形状が
ほぼそのまま維持されているので、冷却後通常の懸濁液
と同様に処理し、グラフト重合体含有樹脂組成物粒子と
してえることができる。
【0045】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、パウダー
状の熱可塑性樹脂(A)およびオレフィン系樹脂
(B)、グラフト重合体含有樹脂組成物(D)、配合剤
などをともにブレンドしてえられるが、その操作につい
てはとくに限定されるものではない。
【0046】本発明の熱可塑性樹脂組成物中の樹脂
(A)と(B)との比は重量比で5/95〜95/5の範囲
であることが好ましく、そのなかでも15/85〜85/15が
とくに好ましい。(A)の量が前記範囲未満では耐熱性
が低下し、前記範囲を超えると流動性が著しく低下す
る。
【0047】前記グラフト重合体(D)は、熱可塑性樹
脂(A)とオレフィン系樹脂(B)との合計100 部に対
し、0.5 〜200 部、好ましくは、1〜100 部用いられ
る。(D)の量が0.5 量部未満では成形品の耐表層剥離
性は改良され難く、200 部を超えると、流動性の低下が
著しくなる。
【0048】本発明の熱可塑性樹脂はまた、通常よく知
られた酸化防止剤、熱安定剤、滑剤はもとより、必要に
応じて適宜UV吸収剤、顔料、帯電防止剤および難燃
剤、難燃助剤を併せて使用することもできる。とくにス
チレン系樹脂、オレフィン系樹脂に用いられるフェノー
ル系抗酸化剤、ホスファイト系安定剤、塩化ビニル系樹
脂に配合されるスズ系安定剤、鉛系安定剤、および各種
脂肪酸エステル、金属石鹸、ワックス類などの内外滑剤
などは、本発明の熱可塑性樹脂を成形用樹脂としてより
高性能なものとするために用いることができる。
【0049】本発明の熱可塑性樹脂は、耐表層剥離性に
すぐれ、かつ耐熱性、流動性の点でもすぐれたものであ
り、射出成形、押出成形、シート成形などの成形法によ
り家庭電化製品やOA機器の部品やハウジングなど、自
動車の内外装部品などの分野に好ましく使用される。
【0050】以下、本発明を具体的な実施例で示すが、
これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
【0051】参考例1 (グラフト重合体(D)の製造)攪拌機付きの10リット
ル重合機に、チッ素雰囲気下で、水200 部、アルキルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム0.1 部、リン酸カルシウム
2部、ビーズ状のポリメチルメタクリレート50部、スチ
レン45部、グリシジルメタクリレート5部、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド0.5 部を入れ、95℃に昇温した。95
℃で2時間含浸したのち115 ℃に昇温し5時間重合し
た。
【0052】重合終了後、脱水、乾燥してグラフト重合
体(D−1)をえた。
【0053】同様にして表1に示す組成の重合体(e−
2〜e−4)を用い、表2に示す組成の単量体からグラ
フト重合体含有樹脂組成物(D−2〜D−4)をえた。
【0054】なお表1〜3で使用した略号は下記のもの
を表している。
【0055】MMA:メチルメタクリレート AN:アクリロニトリル St:スチレン GMA:グリシジルメタクリレート PMI:N−フェニルマレイミド αS:α−メチルスチレン PBD:ポリブタジエン
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】参考例2 (エポキシ基との反応性を有する官能基をもつオレフィ
ン系樹脂(B)の製造)三井石油化学(株)製ポリプロ
ピレン、商品名ポリプロハイポールJ−600 100 部と無水マレイン酸1部とを押出機で混練し、無水
マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(B)をえた。
【0059】実施例1 表3に示す樹脂(A−1)40部、参考例2でえられた無
水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(B)60部、グラ
フト重合体(D−1)10部をスーパーミキサーでブレン
ドし、44m/m2軸押出し機でペレットを製造した。
【0060】このペレットから5オンス射出成形機で、
スクリュー回転数80rpm 、ノズル設定温度230 ℃の条件
で試験片を成形した。
【0061】
【表3】
【0062】実施例2〜4、比較例1および2 実施例1と同様の方法で表3に示す組成の(A−1)、
(A−2)、参考例2で製造した(B)および参考例1
で製造した(D−1〜D−3)を用いて、表5に示す組
成の熱可塑性樹脂組成物をえ、その試験片を成形した。
【0063】実施例5 表4に示す塩化ビニル樹脂(A−3)40部、参考例2で
製造した(B)60部、グラフト重合体(D−1)10部、
安定剤としてジブチルスズマレート2部、滑剤としてポ
リエチレンワックス1部をスーパーミキサーでブレンド
し、44m/m2軸押出し機でペレットを製造した。
【0064】このペレットから5オンス射出成形機で、
スクリュー回転数80rpm 、ノズル設定温度170 ℃の条件
で試験片を成形した。
【0065】
【表4】
【0066】実施例6および7、比較例3〜5 実施例5と同様の方法で表3および4に示す組成の
(A)、参考例2で製造した(B)およびグラフト重合
体(D−1)、(D−4)を用いて表5に示す組成の熱
可塑性樹脂組成物をえ、その試験片を成形した。
【0067】えられた成形品について、その耐表層剥離
性、熱変形温度および流動性について調べた。
【0068】その結果を表5に示す。
【0069】なお、成形品の耐表層剥離性は、前記の成
形機を使用し、厚さ2.5mm の平板成形品のゲート部から
の剥離性を評価した。評価は、目視による5点法とし、
最高を5点、最低を1点とした。すなわち、評価は、数
字が大きいほど、耐表層剥離性にすぐれていることを示
す。
【0070】耐熱性はASTM D−256 規格に基づ
き、18.6kg/cm2 荷重の熱可塑性樹脂組成物変形温度で
評価した。
【0071】流動性は、前記の成形機を使用し、厚さ3
mm×幅10mmの蚊取り線香状の金型における流動距離で評
価した。単位はmmで表わした。
【0072】
【表5】
【0073】表5の結果から実施例に代表される本発明
の熱可塑性樹脂組成物はとくに耐表層剥離性、流動性に
すぐれ、かつ耐熱性もよいことがわかる。
【0074】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐表層
剥離性にすぐれ、しかも流動性、耐熱性にもすぐれてお
り、その成形品は家電製品やOA機器の部品やハウジン
グ、自動車の内外装部品などに使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 27/06 LEQ 9166−4J LER 9166−4J LEZ 9166−4J LFB 9166−4J 27/24 LFZ 9166−4J 51/00 LKP 7142−4J LKS 7142−4J 101/00 LSZ 7242−4J

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂
    (A)5〜95重量%とエポキシ基と反応性を有する官能
    基をもつオレフィン系樹脂(B)5〜95重量%とからな
    るもの(C)100 重量部に対し、スチレン系重合体、ア
    ルキル(メタ)アクリレート系重合体、塩化ビニル系重
    合体のうちの1種以上の重合体(e)100 重量部を水中
    に懸濁させ、エポキシ基を含有する単量体0.05〜50重量
    %、芳香族ビニル化合物50〜99.95 重量%およびこれら
    と共重合可能なモノマー0〜49.5重量%からなる単量体
    (d)5〜200 重量部を重合体(e)に含浸させ、重合
    してなるグラフト重合体(D)0.5 〜200 重量部を配合
    してなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 グラフト重合体(D)が、10時間の半減
    期となる分解温度が80〜180 ℃であるラジカル重合開始
    剤を、重合開始剤の分解が実質的に起こらず、かつ単量
    体(d)が重合を開始しない条件に加熱して、単量体
    (d)100 重量部に対し、0.01〜5重量部加えたもの
    を、重合体(e)と混合し、重合体(e)中に前記ラジ
    カル重合開始剤を加えた単量体を70重量%以上含浸させ
    たのち、懸濁液の温度を上昇させて、重合し、重合を完
    結させた重合体である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 単量体(d)において、芳香族ビニル化
    合物がその80重量%以上が、スチレン、メチルスチレ
    ン、α−メチルスチレン、β−イソプロペニルナフタレ
    ンのうちの1種以上である請求項1記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 重合体(e)において、スチレン系重合
    体が、芳香族ビニル化合物50〜85重量%、シアン化ビニ
    ル化合物15〜40重量%、およびこれらと共重合可能な他
    のビニル化合物0〜20重量%を共重合した重合体である
    請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 重合体(e)において、アルキル(メ
    タ)アクリレート系重合体が、メチルメタクリレート60
    重量%以上からなる重合体である請求項1記載の熱可塑
    性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂
    (A)が、スチレン系樹脂および(または)塩化ビニル
    系重合体である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂
    (A)が、芳香族ビニル化合物10〜85重量%、シアン化
    ビニル化合物15〜40重量%、N−置換マレイミド化合物
    0〜50重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル化
    合物0〜20重量%を共重合したスチレン系樹脂である請
    求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂
    (A)が、塩化ビニル80重量%以上からなる塩化ビニル
    系樹脂、あるいは該塩化ビニル系樹脂を塩素化した、後
    塩素化塩化ビニル系樹脂である請求項1記載の熱可塑性
    樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 オレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂
    (A)が、請求項7のスチレン系樹脂5〜95重量%と請
    求項8の塩化ビニル系樹脂95〜5重量%とからなる請求
    項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 オレフィン系樹脂(B)が、プロピレ
    ン50重量%以上を重合してなる請求項1記載の熱可塑性
    樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 オレフィン系樹脂(B)におけるエポ
    キシ基と反応性を有する官能基が、カルボン酸またはそ
    の無水物である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
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