JPH0647259B2 - 回転式加硫プレス機の金型自動交換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ゴムやプラスチツクの回転式加硫プレス機に
挿着した複数の金型を自動的に交換するための装置に関
する。

〔従来の技術〕

防振ゴムブツシユ等の加硫成形には、上型と下型若しく
は更に横方向に割つた中型とからなる一組の金型を用
い、この金型の内部に１つ又は２つ以上の円筒金具をセ
ツトした後、金型を加硫プレス機に挿着して所定温度に
加熱し、金型のキヤビテイ内にゴムを射出することによ
つて行なわれる。加硫成形後は、金型分解機により一組
の金型を加硫プレス機から引き出し、上型と中型を下型
から順次分解してオートハンド等で製品を取り出し、逆
の順序で金型を組みながら内部に円筒金具をセツトした
後、加硫プレス機に挿着して加硫成形を繰り返すように
なつている。

最近では加硫成形の能率向上のため、金型分解機による
製品の取り出し中にも加硫成形を行なえるように、回転
盤の同一円周上に複数の金型と加硫プレスのための機構
を具えた回転式加硫プレス機が使用され、回転盤を間欠
的に回転させつつ加硫プレスを行なうようになってい
る。

しかし、複数の金型を具えた回転式加硫プレス機では同
一金型での加硫成形の能率は向上するものの、製品品種
を変更する場合等には複数の金型を全て他種の金型に交
換しなければならない。

この金型交換作業は従来から手作業により行なつていた
が、重い金型の出し入れに非常に時間がかかり、例えば
金型10組の回転式加硫プレス機で約１時間の交換時間を
要していた。特に最近では多品種少量生産の傾向にある
ため、金型の交換頻度が高くなり、交換時間の短縮が強
く望まれていた。

又、回転式加硫プレス機では金型の交換作業には長い時
間を必要とするため、新しい金型を予め所定温度に加熱
しても交換作業中に温度が低下してしまい、射出成形開
始前に加硫プレス機で新しい金型を再加熱する必要があ
る等、加熱エネルギーの損失が大きく又金型交換から射
出成形に移るまでの立ち上り時間が長くなる問題があつ
た。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明はかかる従来の事情に鑑み、複数の金型を具えた
回転式加硫プレス機における金型の交換時間を短縮しう
る金型自動交換装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本発明による回転式加硫プレ
ス機の金型自動交換装置は、回転盤の同一円周上に複数
の金型を挿着した回転式加硫プレス機の回転盤に一端を
隣接し外方に延長配置した金型移送装置と、金型移送装
置の途中に設けた金型分解組立機と、金型移送装置の他
端側に設けた金型供給台と、金型移送装置の他端及び金
型供給台から等距離に設置された金型反転装置とを具
え、当該金型反転装置は支柱に沿い移動可能に該支柱に
支持した中空軸と、中空軸を支柱に沿い移動させる駆動
装置と、中空軸内に軸方向に移動せず回転可能に挿通し
た回転軸と、中空軸の一端に固定され回転軸の一端に連
結した回転軸の回転駆動装置と、回転軸の他端に固定し
た反転アームと、反転アームの回転軸への固定位置から
両側等距離に夫々相対的に接離可能に設けられた各１対
の金型把持片と、反転アームに夫々固定され１対の金型
把持片を相対的に接離せしめる把持片駆動装置とを具え
たことを特徴とする。

〔実施例〕

本発明装置の一具体例を第１図ないし第４図により説明
する。

第１図に示す回転式加流プレス機１は、回転盤２の同一
円周上に複数の金型３（上型、中型、下型、及び必要に
応じて搬送用基台からなる）を挿着し、回転盤２を間欠
的に回転させながら連続して射出成形を行なう公知のも
のである。

回転式加硫プレス機１には、回転盤２に一端を隣接し、
外方に延長した金型移送装置４が設置してある。金型移
送装置４は第２図に示すように、金型３又は搬送用基台
に固定した係合用突起部37に係合する金型取出治具30
を、一端と他端の間に設けられたモーター31により回転
する歯車に取り付けたチエーン32に支持してある。加硫
プレス機１の回転盤２上の駆動ラム33′の下降により、
可動盤33に挿着した金型３が射出口を具えた上方の固定
盤34から引き離され、金型３又は搬送用基台に固定して
ある係合用突起部37が上方から金型取出治具30に係合す
るようになつている。金型取出治具30に係止された金型
３は、チエーン32の駆動により金型移送装置４の一端と
他端の間を移送される。又、金型取出治具30に係止した
金型３を加硫プレス機１に挿着するには、逆に金型３を
金型移送装置４の一端に送ることによつて自動的に可動
盤33に挿着され、駆動ラム33′で可動盤33を上昇させれ
ば金型３の係合用突起部37が金型取出治具30から分離で
きる。

金型移送装置４の途中には、金型分解・組立装置35、36
が設置してあり、金型移送装置４で移送される金型３を
分解して下型から上型や中型を取り外し、又は分解され
た下型に中型や上型を組み込む操作を行なう。又、分解
した金型３からの製品の取り出しや金型３への円筒金具
のセツトはオートハンド22、23で行なう。

金型移送装置４の他端側延長線上には、金型の供給コン
ベア６が設置してあり、金型移送装置４側の一端に設け
た金型供給台５に金型を順次供給するようになつてい
る。供給コンベア６に並列して金型の排出コンベア８が
設置してあり、供給コンベア６の一端の前記金型供給台
５は排出コンベア８の一端に水平に移動できるスライド
コンベア７となつている。又、供給コンベア６の大部分
は予熱炉９で覆われ、内部を通過する金型を所定の温度
に加熱できるようになつている。尚、金型供給台５への
金型の供給はコンベアによらずオートハンド等の他の装
置によることも可能である。

金型移送装置４の他端と金型供給台５の中間には金型反
転装置10が設置してある。金型反転装置10は第３図及び
第４図に示す如く、地上に一端を固定して立設した支柱
11に支持板12が支柱11に沿い移動可能に支持され、支持
板12上には中空軸13が一端で該支柱11に平行に固定さ
れ、中空軸13内には回転軸14が回転可能に挿通されてい
る。支柱11には油圧シリンダ等からなる駆動装置15が設
けてあり、中空軸13とその一端を固定した支持板12を支
柱11に沿い移動させるようになつている。又、支柱11に
は支持板12の一端側への移動を規制するためのストツパ
ー１６が固定してある。回転軸14の一端は中空軸13の一
端から支持板12を貫通して延長し、モーター等の回転駆
動装置17に連結されている。回転軸14の他端には直線棒
状の反転アーム18の中央が回転軸１４にはＴ字状に固定
してあり、中空軸13の他端と摺動可能に当接している。
反転アーム18の中央から等距離の両端には夫々１対の金
型把持片19が接離可能に設けてあり、各金型把持片19の
互いに相対する内側には金型３の突起（具体的には下型
又は金型搬送用基台に形成される）が嵌合する把持用溝
部20が形成してある。反転アーム18の両端には夫々エア
シリンダー等の把持片駆動装置21が固定してあり、夫々
連結された金型把持片19を相対的に接離する方向に移動
させるようになつている。

尚、反転アーム18は直線棒状でなく、例えば90゜に折曲
させ又は十字状に交差させることも可能であり、これら
の場合には１対の金型把持片19が金型移送装置４の他端
にあるとき、他の１対の金型把持片19の位置に金型供給
台５及び供給コンベア６を配置すれば良く、更に供給コ
ンベア６と排出コンベア８を平行させず配置することも
できる。

〔作用〕

上記金型交換装置により、加硫プレス機１に挿着されて
いる複数の金型３を全て他種の複数の金型３′に交換す
る操作を説明する。

まず、加硫プレス機１の金型３を一組ずつ金型移送装置
４に引き出し、金型分解・組立機35，36で分解して製品
を回収し、再度組立て空の状態で加硫プレス機１に挿着
し、この操作を繰返して交換すべき全組の金型３につい
て行なう。この状態で加流プレス機１の回転盤２を間欠
的に回転させながら、複数の金型３を一組ずつ金型移送
装置４でその一端に引き出し、そのまゝ他端に移送す
る。尚、別の方法として、金型３を金型移送装置４で引
き出し通常の如く製品を回収した後、金型移送装置４の
一端側に戻しながら金型を組み、組んだ金型を更に他端
に移送しても良い。一方、供給コンベア６には必要な数
の金型３′を順番に載せ、予熱炉９で所定温度に加熱し
ながら、一組ずつ新しい金型３′を供給コンベア６によ
り金型供給台５に供給する。

交換されるべき金型３が金型移送装置４の他端に到達し
且つ新しい金型３′が金型供給台５に供給された後、金
型反転装置10の反転アーム18を回転駆動装置17により回
転し、金型移送装置４の他端と金型供給台５を結ぶ直線
上に停止させる。次に、一対の金型把持片19を離間させ
たまま反転アーム18を駆動装置15により下降させ、スト
ツパー16により金型把持片19の把持用溝部20を下型又は
搬送用基台の突起に合せて停止させる。そこで反転アー
ム18の両端の各一対の金型把持片19を夫々の把持片駆動
装置21で接近させ、交換されるべき金型３と新しい金型
３′とを夫々把持する。その後、反転アームを駆動装置
15で上昇させ、更に回転駆動装置17で180゜回動し、駆動
装置15でストツパー16の停止位置まで下降させることに
より、交換されるべき金型３を金型供給台５上に及び新
しい金型３′を金型移送装置４の他端上に反転させて位
置せしめ、把持片駆動装置21で各一対の金型把持片19を
離間させる。駆動装置15により反転アーム18を上昇させ
た後、金型供給台５上に残つた交換されるべき金型３は
スライドコンベア７で排出コンベア８の一端に移動さ
れ、排出コンベア８で回収される。又、新しい金型３′
は金型移送装置４の他端から一端に移送し、更に加硫プ
レス機１の回転盤２に挿着される。

以上の工程を繰返すことにより、全ての金型を交換で
き、従来は手作業により10組の金型の交換に約１時間を
要していたのに対し、本装置によれば５分で交換が終了
する。又、新しい金型３′は所定温度に予熱してあるの
で、加硫プレス機１で加熱する時間を省略出来る。

尚、新しい金型３′を挿着する際に、防振ゴムブツシユ
の加硫成形では新しい金型３′に円筒金具をセツトする
必要がある。

上記実施例では下型を排出コンベア８で搬送しながらオ
ートハンド26で内筒金具をセットし、更に中型、及び上
型を組んでから供給コンベア６、金型反転装置10及び金
型移送装置４を経て加硫プレス機１に挿着し、全ての金
型３′の挿着後一組ずつ金型移送装置４で引き出して通
常の如くオートハンドで外筒金具をセツトする。又、内
筒金具のセツトは加硫プレス機１に挿着する前に一組ず
つ金型移送装置４で一端から他端に移送しながらオート
ハンドでセツトしても良いし、金型供給台５に送る前に
排出コンベア８上で全ての円筒金具をセツトすることも
オートハンド等の増設により可能である。

本発明の金型交換装置は、上述した複数の金型３を全て
他種の複数の金型３′に交換する場合だけでなく、連続
した加硫成形工程において下型のみを同種の別の下型に
交換するためにも利用出来る。

即ち、射出成形の完了した一組の金型３を加硫プレス機
１から金型移送装置４で引き出し、金型分解・組立機3
5，36とオートハンド22，23で金型を分解して製品を取
り出し、下型（必要に応じ搬送用基台を含む）のみを金
型移送装置４の他端に移送すると共に、製品は製品シユ
ート24や製品コンベア25で回収する。一方、別の下型に
は排出コンベア８上でオートハンド26により内筒金具を
セツトし、排出コンベア８の他端でスライドコンベア27
により供給コンベア６に移し、予熱炉９で加熱しながら
金型供給台５に供給する。次に、上述したように金型反
転装置10で下型を交換し、新しい下型を金型移送装置４
の他端から一端に移送しながらオートハンド28、23で更
に外側金具をセツトし、金型分解・組立機35，36で中型
と上型を再度組立てた後、金型移送装置４の一端から加
硫プレス機１に挿着して加硫成形を繰返す。この下型交
換を行なう加硫成形によれば通常最も体積が小さいため
冷却しやすい下型を所定温度に予熱した新しい下型に交
換するので、加硫プレス機１での金型３の加熱時間を短
縮でき、通常の加硫成形の能率を更に向上させることが
可能である。

尚、通常の加硫成形に平行して新しい金型３′の準備作
業をし又はその逆の準備作業をするため等の目的で、供
給コンベア６及び／又は排出コンベア８を縦に２段ない
し３段に構成し、スライドコンベア７を縦方向にも移動
するスライドリフター等に変更することも本発明の範囲
内である。

〔発明の効果〕

本発明によれば、ゴムやプラスチツクの射出成形に用い
る複数の金型を具えた回転式加硫プレス機において、製
品品種を変更する場合等に複数の金型を他種の複数の金
型に全交換する作業を自動的に行ない、交換時間を従来
の手作業によつていた場合よりも遥かに短縮出来る。

又、同じ金型での射出成形工程においても、下型のみを
予熱した同種の下型に変換でき、射出成形の能率を改善
向上することが出来る。

又、予熱炉を設けて新しい金型若しくは下型を加熱して
おけば、加硫プレス機での余分な加熱時間を要せず、直
ちに加硫成形に移れるので能率が更に一層改善される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一具体例である金型交換装置を含む加
硫プレス装置の説明図であり、第２図は第１図の金型交
換装置に含まれる金型移送装置の一部切欠側面図であ
り、第３図は金型反転装置の側面図及び第４図は金型反
転装置の一部切欠正面図である。 １……加硫プレス機、２……回転盤 ３……金型、３′……新しい金型 ４……金型移送装置、５……金型供給台 ６……供給コンベア、７……スライドコンベア ８……排出コンベア、９……予熱炉 10……金型反転装置、11……支柱 12……支持板、13……中空軸 14……回転軸、15……駆動装置 17……回転駆動装置、18……反転アーム 19……金型把持片、20……把持用溝部 21……把持片駆動装置 22、23、26、28……オートハンド 30……金型取出治具、32……チエーン 35、36……金型分解・組立機 37……係合用突起部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転盤の同一円周上に複数の金型を挿着し
   た回転式加硫プレス機の回転盤に一端を隣接し外方に延
   長配置した金型移送装置と、金型移送装置の途中に設け
   た金型分解組立機と、金型移送装置の他端側に設けた金
   型供給台と、金型移送装置の他端及び金型供給台から等
   距離に設置された金型反転装置とを具え、当該金型反転
   装置は支柱に沿い移動可能に該支柱に支持した中空軸
   と、中空軸を支柱に沿い移動させる駆動装置と、中空軸
   内に軸方向に移動せず回転可能に挿通した回転軸と、中
   空軸の一端に固定され回転軸の一端に連結した回転軸の
   回転駆動装置と、回転軸の他端に固定した反転アーム
   と、反転アームの回転軸への固定位置から両側等距離に
   夫夫相対的に接離可能に設けられた各１対の金型把持片
   と、反転アームに夫々固定され１対の金型把持片を相対
   的に接離せしめる把持片駆動装置とを具えてなる回転式
   加硫プレス機の金型自動交換装置。
2. 【請求項２】金型供給台に金型を順次供給する供給コン
   ベアと、供給コンベアの少なくとも一部に設けた金型の
   予熱炉とを更に具えたことを特徴とする、請求項(1)記
   載の回転式加硫プレス機の金型自動交換装置。