JPH064712B2 - 表面疎水性全芳香族ポリアミドの製造方法 - Google Patents
表面疎水性全芳香族ポリアミドの製造方法Info
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- JPH064712B2 JPH064712B2 JP22195885A JP22195885A JPH064712B2 JP H064712 B2 JPH064712 B2 JP H064712B2 JP 22195885 A JP22195885 A JP 22195885A JP 22195885 A JP22195885 A JP 22195885A JP H064712 B2 JPH064712 B2 JP H064712B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、表面疎水性全芳香族ポリアミドの製造方法で
あり、さらに詳しくは、全芳香族ポリアミドを損傷させ
ることなく、その表面のみを疎水性に変える方法に関す
るものである。
あり、さらに詳しくは、全芳香族ポリアミドを損傷させ
ることなく、その表面のみを疎水性に変える方法に関す
るものである。
(従来の技術) 耐熱性高分子として、アミド結合にて結合された二価の
炭化水素基のすべてが芳香族環性基である、いわゆる全
芳香族ポリアミドからなる繊維、フイルム等の成型物
は、高強力、高弾性率、優れた耐熱性の故に、種々の用
途に有用である。特に、かかる繊維は、その高強力、高
弾性率の性質のため、強化用繊維として種々の熱可塑性
樹脂、ゴムおよび熱硬化性樹脂に添加され、該組成物の
力学的性質、耐熱性等が検討されている〔例えば、ポリ
マー、エンジニアリング アンド サイエンス,第14
巻,633頁(1974)、ジャーナルアプライド ポ
リマー サイエンス,第20巻,435頁(197
6)、ラバー ケミストリーアンド テクノロジー,第
50巻,945頁(1977)参照〕。
炭化水素基のすべてが芳香族環性基である、いわゆる全
芳香族ポリアミドからなる繊維、フイルム等の成型物
は、高強力、高弾性率、優れた耐熱性の故に、種々の用
途に有用である。特に、かかる繊維は、その高強力、高
弾性率の性質のため、強化用繊維として種々の熱可塑性
樹脂、ゴムおよび熱硬化性樹脂に添加され、該組成物の
力学的性質、耐熱性等が検討されている〔例えば、ポリ
マー、エンジニアリング アンド サイエンス,第14
巻,633頁(1974)、ジャーナルアプライド ポ
リマー サイエンス,第20巻,435頁(197
6)、ラバー ケミストリーアンド テクノロジー,第
50巻,945頁(1977)参照〕。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、全芳香族ポリアミドは、該ポリアミドの
アミド基間の水素結合のため、一般に、吸湿およびそれ
による寸法変化が大きく、例えば、全芳香族ポリアミド
フイルムは、ポリイミドフイルムと比較して10倍以上
も吸湿膨張率が大きい。ジャーナル オブ ポリマー
サイエンス,ポリマー ケミストリー エデイション
第19巻,1133頁(1981)には、ジメチルスル
ホキシド中で全芳香族ポリアミドをN−アルキル置換す
る技術が開示されていて、これによって吸湿率の低下、
あるいは吸湿安定性の向上が期待できるが、実際には、
この方法の中間体であるN−金属化全芳香族ポリアミド
およびN−アルキル化全芳香族ポリアミド表面が損傷を
受けたり、表面に緻密層が存在する場合には、それが破
壊されたりするため、吸湿率の低下、吸湿安定性の向上
は、実現しないことが判明した。また、全芳香族ポリア
ミドの熱処理が特開昭47−43419号公報等に開示
されており、これにより結晶性が上り、それに伴って吸
湿特性が向上することも考えられるが、その程度は、非
常に小さく、また、該全芳香族ポリアミドが脆くなって
しまうなどの欠点もある。
アミド基間の水素結合のため、一般に、吸湿およびそれ
による寸法変化が大きく、例えば、全芳香族ポリアミド
フイルムは、ポリイミドフイルムと比較して10倍以上
も吸湿膨張率が大きい。ジャーナル オブ ポリマー
サイエンス,ポリマー ケミストリー エデイション
第19巻,1133頁(1981)には、ジメチルスル
ホキシド中で全芳香族ポリアミドをN−アルキル置換す
る技術が開示されていて、これによって吸湿率の低下、
あるいは吸湿安定性の向上が期待できるが、実際には、
この方法の中間体であるN−金属化全芳香族ポリアミド
およびN−アルキル化全芳香族ポリアミド表面が損傷を
受けたり、表面に緻密層が存在する場合には、それが破
壊されたりするため、吸湿率の低下、吸湿安定性の向上
は、実現しないことが判明した。また、全芳香族ポリア
ミドの熱処理が特開昭47−43419号公報等に開示
されており、これにより結晶性が上り、それに伴って吸
湿特性が向上することも考えられるが、その程度は、非
常に小さく、また、該全芳香族ポリアミドが脆くなって
しまうなどの欠点もある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、前記した問題を解決するため、鋭意研究
の結果、全芳香族ポリアミドの表面を、求電子試薬を用
いてN−置換変性することにより、上記問題を解決でき
ることを見い出し、本発明に到達した。
の結果、全芳香族ポリアミドの表面を、求電子試薬を用
いてN−置換変性することにより、上記問題を解決でき
ることを見い出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、一般式-NH-Ar1-NH-CO-Ar2-COおよ
び/または-NH-Ar3-CO-なる繰返し単位(式中、Ar1,Ar
2,Ar3はそれぞれ独立に二価の芳香族環性基を表わす)
を有する全芳香族ポリアミドを、アルカリ金属化炭化水
素またはアルカリ土類金属化炭化水素と反応させて、該
ポリアミド表面のアミド結合の一部または全部をN−金
属塩とし、次いで、ハロゲン化合物、ヘテロ環化合物、
エステル化合物またはアルケン化合物と反応させること
を特徴とする表面疎水性全芳香族ポリアミドの製造方法
である。
び/または-NH-Ar3-CO-なる繰返し単位(式中、Ar1,Ar
2,Ar3はそれぞれ独立に二価の芳香族環性基を表わす)
を有する全芳香族ポリアミドを、アルカリ金属化炭化水
素またはアルカリ土類金属化炭化水素と反応させて、該
ポリアミド表面のアミド結合の一部または全部をN−金
属塩とし、次いで、ハロゲン化合物、ヘテロ環化合物、
エステル化合物またはアルケン化合物と反応させること
を特徴とする表面疎水性全芳香族ポリアミドの製造方法
である。
本発明に用いられる全芳香族ポリアミドは、アミド結合
の少なくとも85モル%以上が芳香族環性ジアミン、芳
香族環性ジカルボン酸成分より得られるものである。そ
の構造例としては、ポリパラベンズアミド、ポリパラフ
エニルレンテレフタルアミド、ポリ−4,4′−ジアミノ
ベンズアニリドテレフタルアミド、ポリパラフエニレン
−2,6−ナフタリツクアミド、コポリパラフエニレン/
4,4′(3,3′−ジメチルビフエニレン)−テレフタルア
ミド、コポリパラフエニレン/2,5−ピリジレン−テレ
フタルアミド、ポリオルソフエニレンフタルアミド、ポ
リメタフエニレンフタルアミド、ポリパラフエニレンフ
タルアミド、ポリオルソフエニレンイソフタルアミド、
ポリメタフエニレンイソフタルアミド、ポリパラフエニ
レンイソフタルアミド、ポリオルソフエニレンテレフタ
ルアミド、ポリメタフエニレンテレフタルアミド、ポリ
−1,5−ナフタレンフタルアミド、ポリ−4,4′−ジフエ
ニレン−オルソ−フタルアミド、ポリ−4,4′−ジフエ
ニレンイソフタルアミド、ポリ−1,4−ナフタレンフタ
ルアミド、ポリ−1,4−ナフタレンイソフタルアミド、
ポリ−1,5−ナフタレンイソフタルアミド等、および
これらの芳香族ジアミンのベンゼン核の一部をハロゲン
で置換した化合物、さらには、これらの芳香族ジアミン
のベンゼン核の一部をピペラジン、2,5−ジメチルピペ
ラジン、2,5−ジエチルピペラジンで置換した化合物等
に代表される脂環式アミンを含む芳香族ポリアミド、ま
たは芳香族ジアミンが3,3′−オキシジフエニレンジア
ミン、3,4′−オキシジフエニレンジアミン等のエーテ
ル基、アルキル基、 等の基により結合された2このフエニル基を含む芳香族
ポリアミド、または上述の芳香族ポリアミドのコポリマ
ー、たとえば、ポリ−3,3′−オキシジフエニレンテレ
フタルアミド/ポリパラフエニレンテレフタルアミド共
重合体、ポリ−3,4′−オキシジフエニレンテレフタル
アミド/ポリパラフエニレンテレフタルアミド共重合体
等を挙げることができる。
の少なくとも85モル%以上が芳香族環性ジアミン、芳
香族環性ジカルボン酸成分より得られるものである。そ
の構造例としては、ポリパラベンズアミド、ポリパラフ
エニルレンテレフタルアミド、ポリ−4,4′−ジアミノ
ベンズアニリドテレフタルアミド、ポリパラフエニレン
−2,6−ナフタリツクアミド、コポリパラフエニレン/
4,4′(3,3′−ジメチルビフエニレン)−テレフタルア
ミド、コポリパラフエニレン/2,5−ピリジレン−テレ
フタルアミド、ポリオルソフエニレンフタルアミド、ポ
リメタフエニレンフタルアミド、ポリパラフエニレンフ
タルアミド、ポリオルソフエニレンイソフタルアミド、
ポリメタフエニレンイソフタルアミド、ポリパラフエニ
レンイソフタルアミド、ポリオルソフエニレンテレフタ
ルアミド、ポリメタフエニレンテレフタルアミド、ポリ
−1,5−ナフタレンフタルアミド、ポリ−4,4′−ジフエ
ニレン−オルソ−フタルアミド、ポリ−4,4′−ジフエ
ニレンイソフタルアミド、ポリ−1,4−ナフタレンフタ
ルアミド、ポリ−1,4−ナフタレンイソフタルアミド、
ポリ−1,5−ナフタレンイソフタルアミド等、および
これらの芳香族ジアミンのベンゼン核の一部をハロゲン
で置換した化合物、さらには、これらの芳香族ジアミン
のベンゼン核の一部をピペラジン、2,5−ジメチルピペ
ラジン、2,5−ジエチルピペラジンで置換した化合物等
に代表される脂環式アミンを含む芳香族ポリアミド、ま
たは芳香族ジアミンが3,3′−オキシジフエニレンジア
ミン、3,4′−オキシジフエニレンジアミン等のエーテ
ル基、アルキル基、 等の基により結合された2このフエニル基を含む芳香族
ポリアミド、または上述の芳香族ポリアミドのコポリマ
ー、たとえば、ポリ−3,3′−オキシジフエニレンテレ
フタルアミド/ポリパラフエニレンテレフタルアミド共
重合体、ポリ−3,4′−オキシジフエニレンテレフタル
アミド/ポリパラフエニレンテレフタルアミド共重合体
等を挙げることができる。
本発明に用いられる全芳香族ポリアミドは、種々の形態
のものが可能で、特に制限はなく、例えば、繊維(マル
チフイラメント、スフ、チョップドストランド、モノフ
イラメント)、フアイブリッド、フイルム、織布、不織
布、シート、紙、粉体などが挙げられる。
のものが可能で、特に制限はなく、例えば、繊維(マル
チフイラメント、スフ、チョップドストランド、モノフ
イラメント)、フアイブリッド、フイルム、織布、不織
布、シート、紙、粉体などが挙げられる。
全芳香族ポリアミドからのこれらの成形品の製造法は、
本発明を実施する上で特に制限はない。
本発明を実施する上で特に制限はない。
本発明に用いられるアルカリ金属化炭化水素またはアル
カリ土類金属化炭化水素は、ナトリウムナフタレン、ナ
トリウムベンゾフエノン、ブチルリチウム、メチルリチ
ウムといったアルキルリチウム、グリニヤ試薬等があげ
られる。
カリ土類金属化炭化水素は、ナトリウムナフタレン、ナ
トリウムベンゾフエノン、ブチルリチウム、メチルリチ
ウムといったアルキルリチウム、グリニヤ試薬等があげ
られる。
本発明において、全芳香族ポリアミドをアルカリ金属化
炭化水素またはアルカリ土類金属化炭化水素と反応させ
て、該ポリアミド表面のアミド結合の一部または全部を
N−金属塩とする処理において、溶媒を用いる方が好ま
しい。例えば、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、エーテ
ル、ジオキサン等、一般にジメチルスルホキシドより極
性の低い非プロトン性溶媒があげられる。
炭化水素またはアルカリ土類金属化炭化水素と反応させ
て、該ポリアミド表面のアミド結合の一部または全部を
N−金属塩とする処理において、溶媒を用いる方が好ま
しい。例えば、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、エーテ
ル、ジオキサン等、一般にジメチルスルホキシドより極
性の低い非プロトン性溶媒があげられる。
一方、上記の全芳香族ポリアミドのN−金属塩をハロゲ
ン化合物、ヘテロ環化合物、エステル化合物、またはア
ルケン化合物と反応させて、N−置換化する処理におい
て、溶媒を用いない方が好ましいが、例えば、ヘキサ
ン、ペンタン、ベンゼン、エーテル、ジオキサン等、一
般にジメチルスルホキシドより極性の低い非プロトン性
溶媒を用いることも可能である。
ン化合物、ヘテロ環化合物、エステル化合物、またはア
ルケン化合物と反応させて、N−置換化する処理におい
て、溶媒を用いない方が好ましいが、例えば、ヘキサ
ン、ペンタン、ベンゼン、エーテル、ジオキサン等、一
般にジメチルスルホキシドより極性の低い非プロトン性
溶媒を用いることも可能である。
本発明に用いられるハロゲン化合物、ヘテロ環化合物、
エステル化合物またはアルケン化合物としては、ヨウ化
メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化オクチ
ル、ヨウ化ステアリル、臭化メチル、臭化エチル、臭化
プロピル、臭化オクチル、臭化ステアリル、臭化ベンジ
ル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化オクチル、塩化ス
テアリル、塩化ベンジル、エチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド、N−メチルアジリジン、N−メチルア
ゼチジン、メシロキシプロパン、メシロキシオクチル、
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリルアル
デヒド等の化合物、および水酸基、カルボキシル基等活
性水素を持たない他の脂肪族ハロゲン化合物をあげるこ
とができる。
エステル化合物またはアルケン化合物としては、ヨウ化
メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化オクチ
ル、ヨウ化ステアリル、臭化メチル、臭化エチル、臭化
プロピル、臭化オクチル、臭化ステアリル、臭化ベンジ
ル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化オクチル、塩化ス
テアリル、塩化ベンジル、エチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド、N−メチルアジリジン、N−メチルア
ゼチジン、メシロキシプロパン、メシロキシオクチル、
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリルアル
デヒド等の化合物、および水酸基、カルボキシル基等活
性水素を持たない他の脂肪族ハロゲン化合物をあげるこ
とができる。
本発明の表面疎水性全芳香族ポリアミドを製造するに
は、全芳香族ポリアミドをジメチルスルホキシドより極
性の低い上記の非プロトン性溶媒中で、アルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属化炭化水素を用いてN−金属塩と
し、次いで、ハロゲン化合物、ヘテロ環化合物、エステ
ル化合物またはアルケン化合物を用いて、N−置換反応
させればよい。これらの反応に際して使用されるジメチ
ルスルホキシドより極性の低い非プロトン性溶媒やハロ
ゲン化合物、ヘテロ環化合物、エステル化合物、アルケ
ン化合物等は、必要あれば精製、脱水等の前処理を施し
た後に用いることが好ましく、また、反応を阻害しない
他の溶剤を存在せしめることも可能である。
は、全芳香族ポリアミドをジメチルスルホキシドより極
性の低い上記の非プロトン性溶媒中で、アルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属化炭化水素を用いてN−金属塩と
し、次いで、ハロゲン化合物、ヘテロ環化合物、エステ
ル化合物またはアルケン化合物を用いて、N−置換反応
させればよい。これらの反応に際して使用されるジメチ
ルスルホキシドより極性の低い非プロトン性溶媒やハロ
ゲン化合物、ヘテロ環化合物、エステル化合物、アルケ
ン化合物等は、必要あれば精製、脱水等の前処理を施し
た後に用いることが好ましく、また、反応を阻害しない
他の溶剤を存在せしめることも可能である。
N−金属化反応の温度および時間についても特に制限は
なく、一般には、反応温度は約0℃〜系の沸点の間、特
に好ましくは5℃〜100℃の間で用いられ、反応時間
も1秒〜5時間程度が適当である。
なく、一般には、反応温度は約0℃〜系の沸点の間、特
に好ましくは5℃〜100℃の間で用いられ、反応時間
も1秒〜5時間程度が適当である。
N−金属化反応の濃度についても特に制限はなく、特に
好ましくは0.01mol/〜0.1mol/である。ハロゲン
化合物、ヘテロ環化合物、エステル化合物、アルケン化
合物を用いたN−置換反応温度および時間についても特
に制限はなく、一般には、反応温度は約0℃〜該ハロゲ
ン化合物、ヘテロ環化合物、エステル化合物またはアル
ケン化合物の沸点の間、特に好ましくは20℃〜100
℃の間が用いられ、反応時間も1秒〜10時間程度が適
当である。
好ましくは0.01mol/〜0.1mol/である。ハロゲン
化合物、ヘテロ環化合物、エステル化合物、アルケン化
合物を用いたN−置換反応温度および時間についても特
に制限はなく、一般には、反応温度は約0℃〜該ハロゲ
ン化合物、ヘテロ環化合物、エステル化合物またはアル
ケン化合物の沸点の間、特に好ましくは20℃〜100
℃の間が用いられ、反応時間も1秒〜10時間程度が適
当である。
ハロゲン化合物、ヘテロ環化合物、エステル化合物また
はアルケン化合物を用いたN−置換反応の濃度について
も特に制限はなく、特に好ましくは、溶媒を用いない方
法である。
はアルケン化合物を用いたN−置換反応の濃度について
も特に制限はなく、特に好ましくは、溶媒を用いない方
法である。
本発明の方法により、全芳香族ポリアミドの表面層がN
−置換反応を受けていると信じられ、全芳香族ポリアミ
ド表面のN−置換基は、赤外吸収スペクトル法、ATR
法、化学分析電子分光法(ESCA)、水の接触角測定
などの方法で検出できる。
−置換反応を受けていると信じられ、全芳香族ポリアミ
ド表面のN−置換基は、赤外吸収スペクトル法、ATR
法、化学分析電子分光法(ESCA)、水の接触角測定
などの方法で検出できる。
(発明の効果) 本発明の方法による表面疎水性全芳香族ポリアミドの特
徴は、表面のアミド基のN位が置換されたことによる吸
湿率および吸湿膨張率の減少である。これは、N−置換
反応により、表面の芳香族ポリアミドのアミド基の水素
結合が破壊され、疎水性である置換基が表面を覆うため
であろうと推察できる。また、本発明では、全芳香族ポ
リアミドのN−金属塩に対してジメチルスルホキシドよ
り貧溶媒であり、極性の低い非プロトン性溶媒を用い
て、N−置換反応をすることにより表面を損傷させずに
処理できる特徴も有する。したがって、全芳香族ポリア
ミドまたはその成形品のもっていた諸特徴、例えば、高
強度、高モジュラス、耐熱性、高い引裂抵抗、高温での
寸法安定性など、ほとんど犠牲にすることなく疎水化で
きるのである。
徴は、表面のアミド基のN位が置換されたことによる吸
湿率および吸湿膨張率の減少である。これは、N−置換
反応により、表面の芳香族ポリアミドのアミド基の水素
結合が破壊され、疎水性である置換基が表面を覆うため
であろうと推察できる。また、本発明では、全芳香族ポ
リアミドのN−金属塩に対してジメチルスルホキシドよ
り貧溶媒であり、極性の低い非プロトン性溶媒を用い
て、N−置換反応をすることにより表面を損傷させずに
処理できる特徴も有する。したがって、全芳香族ポリア
ミドまたはその成形品のもっていた諸特徴、例えば、高
強度、高モジュラス、耐熱性、高い引裂抵抗、高温での
寸法安定性など、ほとんど犠牲にすることなく疎水化で
きるのである。
(実施例) 以下、本発明を一層明確にするために実施例を挙げて説
明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するも
のでないことはいうまでもない。なお、実施例におい
て、吸湿膨張率は、試料を窒素気流下、100℃で絶乾
し、室温まで冷却後、相対湿度90%の雰囲気下でTM
A(熱応力歪測定装置)にて、その伸びを測定すること
により、以下の式を用いて算出した。
明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するも
のでないことはいうまでもない。なお、実施例におい
て、吸湿膨張率は、試料を窒素気流下、100℃で絶乾
し、室温まで冷却後、相対湿度90%の雰囲気下でTM
A(熱応力歪測定装置)にて、その伸びを測定すること
により、以下の式を用いて算出した。
実施例1 エーテル25ml中にテトラエッチ (潤工社商品名,ナ
トリウムナフタレン)0.54mlを添加し、窒素気流化、
室温で攪拌した。長さ2cm、巾2cmのポリ(p−フエニ
レンテレフタルアミド)フイルム(特公昭57−178
86の方法による)を、上記エーテル系に添加し、3分
間浸漬してナトリウム化反応を行った。次いで、臭化n
−プロピル1mlに、このナトリウム化したフイルムを1
0分間、窒素気流下に室温で浸漬し、反応後、水、アセ
トンで洗浄して風乾した。このようにして、表面をN−
n−プロピル化したポリ(p−フエニレンテレフタルア
ミド)フイルムの吸湿膨張率は4.4×10-5mm/mm・%RHで
あり、未処理のポリ(p−フエニレンテレフタルアミ
ド)フイルムのそれ(10.8×10-5mm/mm・%RH)に比
べ、6割も吸湿による寸法変化を押えることができた。
トリウムナフタレン)0.54mlを添加し、窒素気流化、
室温で攪拌した。長さ2cm、巾2cmのポリ(p−フエニ
レンテレフタルアミド)フイルム(特公昭57−178
86の方法による)を、上記エーテル系に添加し、3分
間浸漬してナトリウム化反応を行った。次いで、臭化n
−プロピル1mlに、このナトリウム化したフイルムを1
0分間、窒素気流下に室温で浸漬し、反応後、水、アセ
トンで洗浄して風乾した。このようにして、表面をN−
n−プロピル化したポリ(p−フエニレンテレフタルア
ミド)フイルムの吸湿膨張率は4.4×10-5mm/mm・%RHで
あり、未処理のポリ(p−フエニレンテレフタルアミ
ド)フイルムのそれ(10.8×10-5mm/mm・%RH)に比
べ、6割も吸湿による寸法変化を押えることができた。
実施例2 臭化n−プロピルの代りに臭化ベンジル1mlを用いた以
外は、実施例1の実験を繰返した。この場合、表面をN
−ベンジル化したポリ(p−フエニレンテレフタルアミ
ド)フイルムの吸湿膨張率は8.5×10-5mm/mm・%RHであ
り、未処理のフイルムのそれ(10.8×10-5mm/mm・%R
H)に比べ、2割吸湿による寸法変化を押えることがで
きた。
外は、実施例1の実験を繰返した。この場合、表面をN
−ベンジル化したポリ(p−フエニレンテレフタルアミ
ド)フイルムの吸湿膨張率は8.5×10-5mm/mm・%RHであ
り、未処理のフイルムのそれ(10.8×10-5mm/mm・%R
H)に比べ、2割吸湿による寸法変化を押えることがで
きた。
実施例3 テトラエッチの代りに2.5mol/のn−ブチルリチウム
ヘキサン溶媒0.42ml、臭化n−プロピルの代りに臭化n
−オクチル1mlを用いた以外は、実施例1の実験を繰返
した。この場合、表面をN−オクチル化したポリ(p−
フエニレンテレフタルアミド)フイルムの吸湿膨張率は
9.2×10-5mm/mm・%RHであり、未処理のフイルムのそれ
(10.8×10-5mm/mm・%RH)に比べ、1割吸湿による寸
法変化を押えることができた。
ヘキサン溶媒0.42ml、臭化n−プロピルの代りに臭化n
−オクチル1mlを用いた以外は、実施例1の実験を繰返
した。この場合、表面をN−オクチル化したポリ(p−
フエニレンテレフタルアミド)フイルムの吸湿膨張率は
9.2×10-5mm/mm・%RHであり、未処理のフイルムのそれ
(10.8×10-5mm/mm・%RH)に比べ、1割吸湿による寸
法変化を押えることができた。
実施例4 ポリ(p−フエニレンテレフタルアミド)フイルムの代
りにポリ(p−フエニレンテレフタルアミド)繊維(糸
径は12.1μm)(ケプラー ,デュボン社製)500
mgは用いた以外は、実施例1を繰返した。この場合、表
面をN−n−プロピレル化したポリ(p−フエニレンテ
レフタルアミド)繊維の吸湿率は3.5%であり、未処理
の繊維のそれ(5.0%)に比べ、30%吸湿性を押える
ことができた。また、吸湿速度も非常に小さくなった。
りにポリ(p−フエニレンテレフタルアミド)繊維(糸
径は12.1μm)(ケプラー ,デュボン社製)500
mgは用いた以外は、実施例1を繰返した。この場合、表
面をN−n−プロピレル化したポリ(p−フエニレンテ
レフタルアミド)繊維の吸湿率は3.5%であり、未処理
の繊維のそれ(5.0%)に比べ、30%吸湿性を押える
ことができた。また、吸湿速度も非常に小さくなった。
実施例5 ポリ(p−フエニレンテレフタルアミド)フイルムの代
りにポリ(p−フエニレンテレフタルアミド)繊維(ケ
プラー ,デュボン社製)の織布〔平均(10本)糸径
12.1μm〕500mgを用いた以外は、実施例1を繰返
した。この場合、表面をN−n−プロピル化したポリ
(p−フエニレンテレフタルアミド)繊維の吸湿率は3.
7%であり、未処理の織布のそれ(5.1%)に比べ、30
%吸湿性を押えることができた。
りにポリ(p−フエニレンテレフタルアミド)繊維(ケ
プラー ,デュボン社製)の織布〔平均(10本)糸径
12.1μm〕500mgを用いた以外は、実施例1を繰返
した。この場合、表面をN−n−プロピル化したポリ
(p−フエニレンテレフタルアミド)繊維の吸湿率は3.
7%であり、未処理の織布のそれ(5.1%)に比べ、30
%吸湿性を押えることができた。
Claims (4)
- 【請求項1】一般式-NH-Ar1-NH-CO-Ar2-CO-および/また
は-NH-Ar3-CO-なる繰返し単位(式中、Ar1,Ar2,Ar3は
それぞれ独立に二価の芳香族環性基を表わす)を有する
全芳香族ポリアミドを、アルカリ金属化炭化水素または
アルカリ土類金属化炭化水素と反応させて、該ポリアミ
ド表面のアミド結合の一部または全部をN−金属塩と
し、次いで、ハロゲン化合物、ヘテロ環化合物、エステ
ル化合物またはアルケン化合物と反応させることを特徴
とする表面疎水性全芳香族ポリアミドの製造方法。 - 【請求項2】全芳香族ポリアミドとして全芳香族ポリア
ミド繊維を用いる特許請求の範囲第1項記載の製造方
法。 - 【請求項3】全芳香族ポリアミドとして全芳香族ポリア
ミド織布を用いる特許請求の範囲第1項記載の製造方
法。 - 【請求項4】全芳香族ポリアミドとして全芳香族ポリア
ミドフイルムを用いる特許請求の範囲第1項記載の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22195885A JPH064712B2 (ja) | 1985-10-07 | 1985-10-07 | 表面疎水性全芳香族ポリアミドの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22195885A JPH064712B2 (ja) | 1985-10-07 | 1985-10-07 | 表面疎水性全芳香族ポリアミドの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6281426A JPS6281426A (ja) | 1987-04-14 |
JPH064712B2 true JPH064712B2 (ja) | 1994-01-19 |
Family
ID=16774822
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22195885A Expired - Lifetime JPH064712B2 (ja) | 1985-10-07 | 1985-10-07 | 表面疎水性全芳香族ポリアミドの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH064712B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5310824A (en) * | 1991-12-03 | 1994-05-10 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Water repellent aramids |
US6045907A (en) * | 1998-10-09 | 2000-04-04 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Grafted poly(p-phenylene terephthalamide) fibers |
-
1985
- 1985-10-07 JP JP22195885A patent/JPH064712B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6281426A (ja) | 1987-04-14 |
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