JPH0645997B2 - シールド掘削機後方の地盤沈下防止装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は市街地等におけるトンネル構築に際し、シール
ド工法を使用した場合のシールド掘削機後方の地盤沈下
防止装置に係るものである。

（従来の技術） 従来のこの種のトンネル構築に使用されるシールド掘削
機は、スキンプレートの後部にワイヤーブラシタイプ等
のテールパツキングが設けられ、且つ地山とセグメント
との空隙部に対する裏込材注入用の注入パイプが前記ス
キンプレートの外側に配設されていた。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら前記従来のシールド掘削機の後部に設けら
れたワイヤーブラシタイプ等のテールパツキングは、シ
ールド掘削機の掘進中に礫以外の地下水、土砂、泥水材
あるいは裏込材等の坑内への流入を有効に阻止すること
ができないこと、さらには地山とセグメントとの空隙部
に、裏込材をセグメント内側の注入口より注入する際、
テールパツキングが注入口を通過した後に裏込材の注入
開始となるので、その間、テールパツキング箇所から、
地下水や泥水等が坑内へ流入すること等により、掘削さ
れた地山の崩壊を招来する惧れがある。さらに裏込材の
充填不備等によつて周辺地盤の沈下を防止することがで
きないばかりか、場合によつては重大な人災事故を招き
かねない。このため、特に被圧水下の施工においては、
坑内への流入を完全に阻止しなければならない。

また、裏込材の同時注入を行うための注入パイプがシー
ルド掘削機のスキンプレートの外側に配管されているの
で、シールド掘削機の方向制御が困難となる。

特に、曲線部や礫層地盤等では、方向制御に著しい困難
をきたす。

本発明はこのような従来技術の有する問題点に鑑みて提
案されたものであつて、その目的とする処は、地下水、
泥水等の坑内への流入が防止され、裏込材の同時注入を
損なうことなくシールド掘削機の方向制御が容易に行な
われるシールド掘削機後方の地盤沈下防止装置を提供す
る点にある。

（課題を解決するための手段） 前記の目的を達成するため、本発明に係るシールド掘削
機後方の地盤沈下防止装置は、シールド掘削機のスキン
プレートの内側に沿つて延び、同スキンプレート後尾に
装着されたテールパツキングを貫通するように配設さ
れ、且つ先端部に逆止弁が装着された裏込注入管、前記
スキンプレートにおけるテールパツキング前方に配設さ
れたセグメント側に指向して延びる前後に相隣る環状隔
壁板、及び同両環状隔壁板内に嵌装され、前記セグメン
ト外周面に捲装されたワイヤー芯入りパツキング材と、
同パツキング材のワイヤーの両端部を滑車を経由して緊
張固定する緊張装置とより構成されたことを特徴とする
ものである。

（作用） 本発明は前記したように構成されているので、シールド
掘削機の掘進時、前記スキンプレートの前後に隣る隔壁
板内に装架された、セグメント外周面に捲装されたワイ
ヤー芯入りパツキング材によつてセグメント外周面を水
密に圧着し、スキンプレートとセグメントとの間隙を水
密に填隙し、地下水、泥水の坑内への流入を防止する。
この際前記パツキング材のワイヤーの両端部を滑車を経
由して緊張固定する緊張装置が設けられているので、同
緊張装置によるワイヤーの引き締めによつて、前記パツ
キングのセグメントに対する密着の度合いが調整され
る。

またシールド掘削機の掘進と同時に、裏込注入管より裏
込材をセグメントと地山との間に注入するものであり、
この際、テールパツキングを貫通するように配設された
前記裏込注入管の先端には逆止弁が装着されているの
で、裏込注入管を介しての地下水、泥水の同管内への流
入が阻止される。

（実施例） 以下本発明を図示の実施例について説明する。

(1)はシールド掘削機のスキンプレート、(2)は同スキン
プレート(1)の後尾に装着されたテールパツキング、(3)
はシールドジヤツキ、(4)はカツタ、(5)は同カツタ駆動
用モータ、(6)は隔壁、(7)は泥漿注入管、(8)は▲ずり
▼出しスクリユコンベヤ、(9)は同コンベヤ駆動モー
タ、(10)は前記コンベヤの排土ゲート、(11)は▲ずり▼
排出用ベルトコンベアである。

(12)は裏込注入管で、先端に逆止弁(13)が装着され、ス
キンプレート(1)の内側に沿つてシールド掘削機の前後
方向に延び、先端部はテールパツキング(2)を貫通する
ように配設されている。なお前記注入管(12)は必要に応
じてその前部には予備のバルブが取付られる。

前記スキンプレート(1)におけるテールパツキング(2)よ
り切羽側の位置に、セグメント(14)側に指向して垂直に
延びる環状の隔壁板(15)が突設され、同隔壁板(15)には
後述のパツキング装置(A)が装着されている。

図中(14a)はセグメント(14)に設けた裏込材注入口であ
る。（第１図参照） 第２図に示すように、シールド掘削機とセグメント(14)
との間隔を小さくすることによつて、掘削量及び裏込材
注入量を節減するために、第３図及び第４図に示すよう
にワイヤー(20)を芯にしたグランドパツキング(21)を使
用し、水圧や裏込材注入圧やシールド掘削機の掘進によ
つて移動しないように前後に隣る隔壁板(15)(15)間に嵌
入させるとともに、第３図に示すようにセグメント(14)
に捲着し、両端のワイヤー(20)を滑車(22)を介して方向
転換させ緊張固定する。

グランドパツキング(21)のセグメント(14)に対する密着
の度合は、ワイヤー(20)の引き締めによつて調整する。

（発明の効果） 本発明によればスキンプレートの後尾に装着された従来
のテールパツキングに加えて、更にスキンプレートとセ
グメントとの間隙に、スキンプレートに配設された前後
に相隣る環状隔壁板と、同両隔壁板間に装着されたパツ
キング装置を配設するとともに、スキンプレート後尾の
テールパツキングを貫通するように配設された裏込注入
パイプ先端に逆止弁を装着したことによつて、たとえ被
圧水下の施工でも地下水や泥水の坑内流入を防止するこ
とができ、掘削地山の崩壊や裏込充填不備による地盤沈
下を招来することなく、安全確実に施工ができる。

また前記裏込注入管はスキンプレートの内側に配設され
ているので、シールド掘削機の掘進と同時に支障なく裏
込材を注入しうるとともに、シールド掘削機の方向制御
が支障を招来することなく容易に行なわれる。

また前後環状隔壁板内に装架されたパツキング装置は、
ワイヤー芯入りパツキング材は、セグメント外周面に捲
着され、両端ワイヤーが滑車を経由して緊張装置によ
り、緊張固定して構成されたことによつて、セグメント
とスキンプレートとの間を水密に閉塞するとともに、両
者の間隔を小さくし、掘削土量及び裏込注入量を低減で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の装置を具えたシールド掘削機の作動状
況を示す縦断側面図、第２図はそのパツキング装置部分
を拡大した縦断側面図で、第１図の矢視IV−IV図、第３
図はパツキング装置部分を示す斜面図、第４図はグラン
ドパツキングの縦断側面図、第５図は第４図の矢視IX−
IX図である。 (1)……スキンプレート、(2)……テールパツキング、(1
2)……裏込注入管、(13)……逆止弁、(14)……セグメン
ト、(15)……隔壁板、(20)……ワイヤー、(21)……グラ
ンドパツキング、(22)……滑車。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シールド掘削機のスキンプレートの内側に
   沿つて延び、同スキンプレート後尾に装着されたテール
   パツキングを貫通するように配設され、且つ先端部に逆
   止弁が装着された裏込注入管前記スキンプレートにおけ
   るテールパツキング前方に配設されたセグメント側に指
   向して延びる前後に相隣る環状隔壁板、及び同両環状隔
   壁板内に嵌装され、前記セグメント外周面に捲装された
   ワイヤー芯入りパツキング材と、同パツキング材のワイ
   ヤーの両端部を滑車を経由して緊張固定する緊張装置と
   より構成されたことを特徴とするシールド掘削機後方の
   地盤沈下防止装置。