JPH0645881B2 - 連続処理ラインにおける鋼板の浸珪処理方法 - Google Patents
連続処理ラインにおける鋼板の浸珪処理方法Info
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- JPH0645881B2 JPH0645881B2 JP61071481A JP7148186A JPH0645881B2 JP H0645881 B2 JPH0645881 B2 JP H0645881B2 JP 61071481 A JP61071481 A JP 61071481A JP 7148186 A JP7148186 A JP 7148186A JP H0645881 B2 JPH0645881 B2 JP H0645881B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、連続処理ラインにおける鋼板の浸珪処理方法
に関する。
に関する。
被処理材に対し金属、セラミック等をコーティングする
方法として化学気相蒸着(以下CVDと称す。)法が知
られている。このCVD法は雰囲気ガス(反応ガス+キ
ャリアガス)を加熱した被処理材表面に供給し、反応ガ
スを、被処理材表面に接触させ、化学反応によりガス中
の成分を被処理材表面に析出させものである。この方法
は選択できるコーティング材及び被処理材の種類が多様
で、しかもコーティングの密着性、つきまわり性に優れ
る等多くの利点を有しており、近年広い分野で利用され
るようになってきた。
方法として化学気相蒸着(以下CVDと称す。)法が知
られている。このCVD法は雰囲気ガス(反応ガス+キ
ャリアガス)を加熱した被処理材表面に供給し、反応ガ
スを、被処理材表面に接触させ、化学反応によりガス中
の成分を被処理材表面に析出させものである。この方法
は選択できるコーティング材及び被処理材の種類が多様
で、しかもコーティングの密着性、つきまわり性に優れ
る等多くの利点を有しており、近年広い分野で利用され
るようになってきた。
従来、このCVD法により鋼板にSiを富化(浸珪処
理)し、高珪素鋼板を得る方法が知られている。しか
し、このCVD法はSiの蒸着速度が小さいため処理時
間がかかり、鋼帯連続処理ラインに適用した場合、処理
炉が長大なものとなってしまうという問題があり、加え
て、CVD法では蒸着膜厚が不均一になり易く、特に連
続ラインではこの傾向がより大きくなるという問題があ
り、このためCVD法を高珪素鋼板の連続製造ラインに
適用することは事実上困難であった。
理)し、高珪素鋼板を得る方法が知られている。しか
し、このCVD法はSiの蒸着速度が小さいため処理時
間がかかり、鋼帯連続処理ラインに適用した場合、処理
炉が長大なものとなってしまうという問題があり、加え
て、CVD法では蒸着膜厚が不均一になり易く、特に連
続ラインではこの傾向がより大きくなるという問題があ
り、このためCVD法を高珪素鋼板の連続製造ラインに
適用することは事実上困難であった。
本発明はこのような問題に鑑み、連続ラインにおける鋼
板の浸珪処理をラインの長大化や蒸着膜厚の不均一化等
の問題を生ぜしめることなく行うことができる方法を提
供せんとするものである。
板の浸珪処理をラインの長大化や蒸着膜厚の不均一化等
の問題を生ぜしめることなく行うことができる方法を提
供せんとするものである。
本発明者等は、従来の鋼板の浸珪処理における蒸着速度
及び蒸着膜厚の不均一性について検討を加えた。この結
果、これらの問題が被処理材の反応界面におけるガスの
流動性に深くかかわっていることを見い出した。すなわ
ち従来では、CVD処理で雰囲気ガスを大きく流動させ
ると、蒸着ムラが発生する、蒸着層での気孔の発生或い
は層内への気泡の混入がある、さらには蒸着層の純度も
低下する等とされ、このためガス流動は必要最小限にと
どめるという考え方が定着していた。しかし本発明者等
の研究では、このようにガス流動が抑えられる結果、逆
に反応ガスの被処理材界面への拡散移動、及び反応副生
成物(反応生成ガス)の界面表層からの離脱がスムーズ
に行われず、このため処理に長時間を要すること、ま
た、ガス流動が抑えられるため処理室内の反応ガス濃度
に分布を生じ、この結果蒸着膜厚が不均一になることが
判った。
及び蒸着膜厚の不均一性について検討を加えた。この結
果、これらの問題が被処理材の反応界面におけるガスの
流動性に深くかかわっていることを見い出した。すなわ
ち従来では、CVD処理で雰囲気ガスを大きく流動させ
ると、蒸着ムラが発生する、蒸着層での気孔の発生或い
は層内への気泡の混入がある、さらには蒸着層の純度も
低下する等とされ、このためガス流動は必要最小限にと
どめるという考え方が定着していた。しかし本発明者等
の研究では、このようにガス流動が抑えられる結果、逆
に反応ガスの被処理材界面への拡散移動、及び反応副生
成物(反応生成ガス)の界面表層からの離脱がスムーズ
に行われず、このため処理に長時間を要すること、ま
た、ガス流動が抑えられるため処理室内の反応ガス濃度
に分布を生じ、この結果蒸着膜厚が不均一になることが
判った。
そして、このような事実に基づきさらに検討を加えた結
果、CVD処理室において吹付ノズルにより雰囲気ガス
を特定の条件で鋼板面に吹き付けることにより、高い蒸
着速度でしかも蒸着膜の不均一化を抑えつつ浸珪処理で
きることを見出した。このため本発明は、鋼板を化学気
相蒸着処理室を通過させて珪素化合物と鋼板との反応に
より浸珪処理する、連続ラインにおける鋼板の浸珪処理
方法において、化学気相蒸着処理室内において、吹付ノ
ズルにより、雰囲気ガスを鋼板面に対して斜め方向から
吹き付けることをその基本的特徴とする。
果、CVD処理室において吹付ノズルにより雰囲気ガス
を特定の条件で鋼板面に吹き付けることにより、高い蒸
着速度でしかも蒸着膜の不均一化を抑えつつ浸珪処理で
きることを見出した。このため本発明は、鋼板を化学気
相蒸着処理室を通過させて珪素化合物と鋼板との反応に
より浸珪処理する、連続ラインにおける鋼板の浸珪処理
方法において、化学気相蒸着処理室内において、吹付ノ
ズルにより、雰囲気ガスを鋼板面に対して斜め方向から
吹き付けることをその基本的特徴とする。
このようにして特定の条件でガス吹付を行うことによ
り、高い蒸着速度でしかも蒸着膜厚の不均一化を抑えつ
つ、鋼板に目的とする蒸着膜を形成することができる。
一般に、雰囲気ガスは5Nm/sec以下の流速で鋼板面に吹
付けられる。
り、高い蒸着速度でしかも蒸着膜厚の不均一化を抑えつ
つ、鋼板に目的とする蒸着膜を形成することができる。
一般に、雰囲気ガスは5Nm/sec以下の流速で鋼板面に吹
付けられる。
このような本発明法によれば、例えば雰囲気ガス中に反
応ガスとしてSiCl4を含有させ、この雰囲気ガスで鋼
板を処理することにより、鋼板に均一且つ効率的にSi
を富化することができる。
応ガスとしてSiCl4を含有させ、この雰囲気ガスで鋼
板を処理することにより、鋼板に均一且つ効率的にSi
を富化することができる。
以下本発明の詳細を説明する。
鋼板の浸珪処理では、反応ガスとしてSiCl4等のハロ
ゲン化物が用いられ、次のような反応によりSiが鋼板
面に蒸着する。
ゲン化物が用いられ、次のような反応によりSiが鋼板
面に蒸着する。
5Fe+SiCl4→Fe3Si+2FeCl2↑ すなわち、この反応ではFeと反応ガス中のSiとが鋼
板表面で置換することで、Siが鋼中に取り込まれる。
これは置換型CVD反応と呼ばれるもので、鋼板表面す
なわち固体側からFeCl2が気体(反応生成ガス)とし
て発生する。一般にCVD反応と呼ばれているものの多
くは、気相中でのガスの反応によって生成(析出)した
ものが基板面に付着するものであり、この反応の場合の
副生成物(反応生成ガス)は気相中で生じ、固体側から
発生するものではない。このように、鋼板の浸珪処理の
ような置換型CVD反応を伴う処理においては、反応生
成ガスが固体側から生じるという点で、一般に知られた
CVD反応とは異なる反応生成ガスの生成挙動を示す。
板表面で置換することで、Siが鋼中に取り込まれる。
これは置換型CVD反応と呼ばれるもので、鋼板表面す
なわち固体側からFeCl2が気体(反応生成ガス)とし
て発生する。一般にCVD反応と呼ばれているものの多
くは、気相中でのガスの反応によって生成(析出)した
ものが基板面に付着するものであり、この反応の場合の
副生成物(反応生成ガス)は気相中で生じ、固体側から
発生するものではない。このように、鋼板の浸珪処理の
ような置換型CVD反応を伴う処理においては、反応生
成ガスが固体側から生じるという点で、一般に知られた
CVD反応とは異なる反応生成ガスの生成挙動を示す。
そして、このような置換型CVD反応では、反応ガスを
含む雰囲気ガスを鋼板表面に次々に供給し、且つ反応生
成ガス(FeCl2等)を反応界面から速やかに離脱させ
ることが反応を促進させる上で極めて重要である。
含む雰囲気ガスを鋼板表面に次々に供給し、且つ反応生
成ガス(FeCl2等)を反応界面から速やかに離脱させ
ることが反応を促進させる上で極めて重要である。
この意味で、鋼板面に吹付ノズルによって雰囲気ガスを
吹き付けることは、反応界面への反応ガスの供給と反応
生成ガスの反応界面からの離脱を促進することができう
という利点がある。
吹き付けることは、反応界面への反応ガスの供給と反応
生成ガスの反応界面からの離脱を促進することができう
という利点がある。
しかし、同じく吹付ノズルにより雰囲気ガスを鋼板面に
吹き付ける場合でも、その吹付方法により上記の作用効
果に大きな差を生じる。第6図(a)、(b)は雰囲気ガスを
吹付ノズル3から鋼板面に垂直に吹き付けた場合(第6
図(a))と、同じく斜め方向から吹き付けた場合(第6
図(b))におけるガスの流れを模式的に示したものであ
る。
吹き付ける場合でも、その吹付方法により上記の作用効
果に大きな差を生じる。第6図(a)、(b)は雰囲気ガスを
吹付ノズル3から鋼板面に垂直に吹き付けた場合(第6
図(a))と、同じく斜め方向から吹き付けた場合(第6
図(b))におけるガスの流れを模式的に示したものであ
る。
これによれば、第6図(a)のように吹付ノズル3から鋼
板面に垂直にガス(反応ガス:SiCl4)を吹き付けた
場合には、ノズル直下の鋼板面上に雰囲気ガス噴流の澱
み部が形成され、その上流側から次々供給される雰囲気
ガスが、鋼板面から発生する反応生成ガス(FeCl2)
を押さえ込む形となるため、反応生成ガスの逃げ場がな
くなり、反応界面からの離脱ができなくなる。このた
め、その部分での反応が進まなくなる。またこのため、
ノズル直下部分でのSi富化量がその周辺部に較べて極
端に不足し、その部分で大きなSi濃度勾配を生じ、特
に濃度勾配が急になる部分が収縮変形するという問題も
生じる。
板面に垂直にガス(反応ガス:SiCl4)を吹き付けた
場合には、ノズル直下の鋼板面上に雰囲気ガス噴流の澱
み部が形成され、その上流側から次々供給される雰囲気
ガスが、鋼板面から発生する反応生成ガス(FeCl2)
を押さえ込む形となるため、反応生成ガスの逃げ場がな
くなり、反応界面からの離脱ができなくなる。このた
め、その部分での反応が進まなくなる。またこのため、
ノズル直下部分でのSi富化量がその周辺部に較べて極
端に不足し、その部分で大きなSi濃度勾配を生じ、特
に濃度勾配が急になる部分が収縮変形するという問題も
生じる。
これに対し、第6図(b)のように雰囲気ガスを鋼板面に
対して斜め方向から吹き付けた場合には、第6図(a)の
ようなガスの澱みが生じないため、反応生成ガスは鋼板
面から極めてスムーズに離脱することができ、このため
反応が非常に促進され、大きな処理速度を得ることがで
きる。また、この方法では常に濃度一定の新鮮な反応ガ
スが反応面に供給され、反応生成ガスの反応界面からの
離脱もスムーズになされるため、反応ガス濃度分布によ
る蒸着膜厚の不均一化という問題を生じることがなく、
また特に、ノイズ直下近傍部で上記のような大きなSi
濃度勾配が生じるようなことがないため、急激なSi濃
度分布による収縮変形という問題を生じることもない。
対して斜め方向から吹き付けた場合には、第6図(a)の
ようなガスの澱みが生じないため、反応生成ガスは鋼板
面から極めてスムーズに離脱することができ、このため
反応が非常に促進され、大きな処理速度を得ることがで
きる。また、この方法では常に濃度一定の新鮮な反応ガ
スが反応面に供給され、反応生成ガスの反応界面からの
離脱もスムーズになされるため、反応ガス濃度分布によ
る蒸着膜厚の不均一化という問題を生じることがなく、
また特に、ノイズ直下近傍部で上記のような大きなSi
濃度勾配が生じるようなことがないため、急激なSi濃
度分布による収縮変形という問題を生じることもない。
以上のような理由から、本発明では吹付ノズルにより、
雰囲気ガスを鋼板面に対して斜め方向から吹き付けるこ
とを要件とする。
雰囲気ガスを鋼板面に対して斜め方向から吹き付けるこ
とを要件とする。
第1図は、本発明法による鋼帯の浸珪処理状況を示すも
ので、1は加熱炉、2はCVD処理炉、3は該CVD処
理炉内に配置された吹付ノズルである。この吹付ノズル
3は、第2図に示すように鋼板面に対して斜め方向から
雰囲気ガスを吹き付ける。
ので、1は加熱炉、2はCVD処理炉、3は該CVD処
理炉内に配置された吹付ノズルである。この吹付ノズル
3は、第2図に示すように鋼板面に対して斜め方向から
雰囲気ガスを吹き付ける。
鋼帯Sは加熱炉1でCVD処理温度またはその近傍温度
まで加熱され、引き続きCVD処理炉2内に連続的に導
入される。このCVD処理炉2内では、吹付ノズル3に
より、第2図に示すように鋼帯両面に斜め方向から反応
ガスを含む雰囲気ガスが吹き付けられ、浸珪処理がなさ
れる。
まで加熱され、引き続きCVD処理炉2内に連続的に導
入される。このCVD処理炉2内では、吹付ノズル3に
より、第2図に示すように鋼帯両面に斜め方向から反応
ガスを含む雰囲気ガスが吹き付けられ、浸珪処理がなさ
れる。
第3図は、以上のような連続ラインによりSi蒸着処理
を行った場合の、雰囲気ガス(SiCl4+キャリアガ
ス)の流速(鋼帯衝突時の流速)とSi蒸着速度との関
係を調べたものである。この場合のSi蒸着速度増分と
は、ノズル吹付を行わない場合のSi蒸着速度を零と
し、その差分の蒸着速度を示している。なお、ここでS
i蒸着速度とは、母材1gについて単位時間(1min)当り
何molのSi原子が蒸着されたかを示している。同図か
ら判るように、本発明法に従い吹付ノズルから雰囲気ガ
スを鋼板面に対して吹き付けることによりSi蒸着速度
が顕著に増加している。なお、同図に示すようにSi蒸
着速度はガスの鋼帯表面に対する衝突流速の増大に比例
して大きくなるが、流速を過剰に大きくしても界面にお
ける反応律速となるためそれ以上のSi富化効果は期待
できない。一般的には、5Nm/sec以下の流速で十分な効
果が得られる。
を行った場合の、雰囲気ガス(SiCl4+キャリアガ
ス)の流速(鋼帯衝突時の流速)とSi蒸着速度との関
係を調べたものである。この場合のSi蒸着速度増分と
は、ノズル吹付を行わない場合のSi蒸着速度を零と
し、その差分の蒸着速度を示している。なお、ここでS
i蒸着速度とは、母材1gについて単位時間(1min)当り
何molのSi原子が蒸着されたかを示している。同図か
ら判るように、本発明法に従い吹付ノズルから雰囲気ガ
スを鋼板面に対して吹き付けることによりSi蒸着速度
が顕著に増加している。なお、同図に示すようにSi蒸
着速度はガスの鋼帯表面に対する衝突流速の増大に比例
して大きくなるが、流速を過剰に大きくしても界面にお
ける反応律速となるためそれ以上のSi富化効果は期待
できない。一般的には、5Nm/sec以下の流速で十分な効
果が得られる。
次に、吹付ノズル3によって鋼板面に斜め方向から雰囲
気ガスを吹き付けることによる作用効果を、具体例を挙
げて説明する。
気ガスを吹き付けることによる作用効果を、具体例を挙
げて説明する。
第7図は、第6図(a)に示すように吹付ノズル3から鋼
板面に対して垂直に雰囲気ガスを吹き付けた場合におけ
る鋼板面のSi富化量の一例を示したもので、略1150℃
に加熱された鋼板面に約40mm離れたノズル(スリット
ノズル)から雰囲気ガス(SiCl4濃度15%、残部
N2)を吹き付ける処理を行い、処理時間0.5分、1.0分、
3.0分の各場合について、ノズル直下およびその周辺の
鋼板面でのSi富化量を調べたものである。
板面に対して垂直に雰囲気ガスを吹き付けた場合におけ
る鋼板面のSi富化量の一例を示したもので、略1150℃
に加熱された鋼板面に約40mm離れたノズル(スリット
ノズル)から雰囲気ガス(SiCl4濃度15%、残部
N2)を吹き付ける処理を行い、処理時間0.5分、1.0分、
3.0分の各場合について、ノズル直下およびその周辺の
鋼板面でのSi富化量を調べたものである。
第7図によれば、第6図(a)の説明で述べたようにノズ
ル直下での反応生成ガスの離脱が阻害されるため、その
部分でのSi富化量が極端に不足し、凹状のSi富化分
布となっており、十分な処理速度が得られていないこと
が判る。また、このように極端なSi濃度分布を生じる
と、濃度勾配が特に急になる部分が収縮変形するという
問題も生じる。
ル直下での反応生成ガスの離脱が阻害されるため、その
部分でのSi富化量が極端に不足し、凹状のSi富化分
布となっており、十分な処理速度が得られていないこと
が判る。また、このように極端なSi濃度分布を生じる
と、濃度勾配が特に急になる部分が収縮変形するという
問題も生じる。
一方、第8図は、第6図(b)に示すように鋼板面に斜め
方向から雰囲気ガスを吹き付けた場合における鋼板面の
Si富化量の一例を示したもので、その処理条件は上記
の第7図の場合と同じ(但し、処理時間:3分)であ
る。なお、図中の数値は鋼板面の垂線に対するガス吹付
方向の傾き角度を示している。第7図と比較して判るよ
うに、鋼板面に対して斜め方向からガスを吹き付けるこ
とにより、反応生成ガスの離脱が極めてスムーズになさ
れ、第7図のような極端なSi濃度分布もなく、反応が
円滑に生じ、大きな処理速度が得られていることが判
る。また、急激なSi濃度勾配を生じないため、上述し
たような収縮変形を生じる恐れもない。
方向から雰囲気ガスを吹き付けた場合における鋼板面の
Si富化量の一例を示したもので、その処理条件は上記
の第7図の場合と同じ(但し、処理時間:3分)であ
る。なお、図中の数値は鋼板面の垂線に対するガス吹付
方向の傾き角度を示している。第7図と比較して判るよ
うに、鋼板面に対して斜め方向からガスを吹き付けるこ
とにより、反応生成ガスの離脱が極めてスムーズになさ
れ、第7図のような極端なSi濃度分布もなく、反応が
円滑に生じ、大きな処理速度が得られていることが判
る。また、急激なSi濃度勾配を生じないため、上述し
たような収縮変形を生じる恐れもない。
なお、本発明はコイル化された鋼帯の連続CVD処理に
限らず単品のCVD処理にも適用でき、この場合には、
これら材料をベルト等により連続的に移動させ、その途
中でCVD処理する。
限らず単品のCVD処理にも適用でき、この場合には、
これら材料をベルト等により連続的に移動させ、その途
中でCVD処理する。
小型のCVD処理炉−拡散処理炉を用い、本発明法(吹
付ノズルで雰囲気ガスを鋼板面に対して斜め方向から吹
き付ける方法)及び比較法(ノズル吹付を行わずCVD
処理を行う方法)により、通常の成分の冷延鋼帯にSi
を蒸着させるCVD処理を施した後、拡散熱処理を施
し、高珪素鋼帯を製造した。第4図は雰囲気ガス中のS
iCl4濃度と鋼帯中Siの富化割合との関係、第5図は
CVD処理温度と鋼帯中Siの富化割合との関係を示す
もので、図中Aが本発明法(鋼帯面でのガス衝突流速0.
5m/s)、Bが比較法によるものを示している。なお、S
i富化割合とは、母材当初のSi濃度に対するCVD処
理−拡散熱処理後のSi増加分を意味している。
付ノズルで雰囲気ガスを鋼板面に対して斜め方向から吹
き付ける方法)及び比較法(ノズル吹付を行わずCVD
処理を行う方法)により、通常の成分の冷延鋼帯にSi
を蒸着させるCVD処理を施した後、拡散熱処理を施
し、高珪素鋼帯を製造した。第4図は雰囲気ガス中のS
iCl4濃度と鋼帯中Siの富化割合との関係、第5図は
CVD処理温度と鋼帯中Siの富化割合との関係を示す
もので、図中Aが本発明法(鋼帯面でのガス衝突流速0.
5m/s)、Bが比較法によるものを示している。なお、S
i富化割合とは、母材当初のSi濃度に対するCVD処
理−拡散熱処理後のSi増加分を意味している。
これら図面から判るように、雰囲気ガス中で単に鋼帯を
通板させるだけの比較法に較べ、本発明法に従ってノズ
ル吹付を行った場合、格段に優れたSi富化効果(=蒸
着速度)が得られている。
通板させるだけの比較法に較べ、本発明法に従ってノズ
ル吹付を行った場合、格段に優れたSi富化効果(=蒸
着速度)が得られている。
以上述べた本発明によれば、鋼板面上でガスの澱みが生
じないため、反応生成ガスが鋼板面から極めてスムーズ
に離脱することができ、このため反応が非常に促進さ
れ、大きな処理速度を得ることができる。また、この方
法では常に濃度一定の新鮮な反応ガスが反応面に供給さ
れ、反応生成ガスの反応界面からの離脱もスムーズにな
されるため、反応ガス濃度分布による蒸着膜厚の不均一
化という問題を生じることがなく、また特に、ノズル直
下近傍部で上記のような大きなSi濃度勾配が生じるよ
うなことがないため、急激なSi濃度分布による収縮変
形という問題を生じることもない。以上のことから品質
の優れた珪素鋼板を連続ラインにより能率的に製造する
ことができる。
じないため、反応生成ガスが鋼板面から極めてスムーズ
に離脱することができ、このため反応が非常に促進さ
れ、大きな処理速度を得ることができる。また、この方
法では常に濃度一定の新鮮な反応ガスが反応面に供給さ
れ、反応生成ガスの反応界面からの離脱もスムーズにな
されるため、反応ガス濃度分布による蒸着膜厚の不均一
化という問題を生じることがなく、また特に、ノズル直
下近傍部で上記のような大きなSi濃度勾配が生じるよ
うなことがないため、急激なSi濃度分布による収縮変
形という問題を生じることもない。以上のことから品質
の優れた珪素鋼板を連続ラインにより能率的に製造する
ことができる。
第1図は本発明の一実施状況を示す説明図である。第2
図は吹付ノズルによる吹付方法を示す説明図である。第
3図は本発明法における雰囲気ガス流速とSi蒸着速度
との関係を示すものである。第4図は雰囲気ガス中のS
iCl4濃度と鋼帯中Si富化割合との関係を、本発明法
と比較法について示すものである。第5図は、CVD処
理温度と鋼板中Siの富化割合との関係を、本発明法と
比較法について示すものである。第6図(a)、(b)は雰囲
気ガスを吹付ノズルから鋼板面に垂直に吹き付けた場合
と、同じく斜め方向から吹き付けた場合におけるガスの
流れを模式的に示した説明図である。第7図は、吹付ノ
ズルから鋼板面に対して垂直に雰囲気ガスを吹き付けた
場合における鋼板面のSi富化量の一例を示した説明図
である。第8図は、吹付ノズルにより鋼板面に斜め方向
から雰囲気ガスを吹き付けた場合における鋼板面のSi
富化量の一例を示した説明図である。 図において、1は加熱炉、2はCVD処理炉、3は吹付
ノズル、Sは鋼帯である。
図は吹付ノズルによる吹付方法を示す説明図である。第
3図は本発明法における雰囲気ガス流速とSi蒸着速度
との関係を示すものである。第4図は雰囲気ガス中のS
iCl4濃度と鋼帯中Si富化割合との関係を、本発明法
と比較法について示すものである。第5図は、CVD処
理温度と鋼板中Siの富化割合との関係を、本発明法と
比較法について示すものである。第6図(a)、(b)は雰囲
気ガスを吹付ノズルから鋼板面に垂直に吹き付けた場合
と、同じく斜め方向から吹き付けた場合におけるガスの
流れを模式的に示した説明図である。第7図は、吹付ノ
ズルから鋼板面に対して垂直に雰囲気ガスを吹き付けた
場合における鋼板面のSi富化量の一例を示した説明図
である。第8図は、吹付ノズルにより鋼板面に斜め方向
から雰囲気ガスを吹き付けた場合における鋼板面のSi
富化量の一例を示した説明図である。 図において、1は加熱炉、2はCVD処理炉、3は吹付
ノズル、Sは鋼帯である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−104659(JP,A) 特開 昭55−170842(JP,A) 特開 昭49−99962(JP,A) 特開 昭49−89717(JP,A) 実開 昭53−37340(JP,U)
Claims (1)
- 【請求項1】鋼板を化学気相蒸着処理室を通過させて珪
素化合物と鋼板との反応により浸珪処理する、連続ライ
ンにおける鋼板の浸珪処理方法において、化学気相蒸着
処理室内において、吹付ノズルにより、雰囲気ガスを鋼
板面に対して斜め方向から吹き付けることを特徴とする
連続処理ラインにおける鋼板の浸珪処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61071481A JPH0645881B2 (ja) | 1986-03-28 | 1986-03-28 | 連続処理ラインにおける鋼板の浸珪処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61071481A JPH0645881B2 (ja) | 1986-03-28 | 1986-03-28 | 連続処理ラインにおける鋼板の浸珪処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62227091A JPS62227091A (ja) | 1987-10-06 |
JPH0645881B2 true JPH0645881B2 (ja) | 1994-06-15 |
Family
ID=13461870
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61071481A Expired - Fee Related JPH0645881B2 (ja) | 1986-03-28 | 1986-03-28 | 連続処理ラインにおける鋼板の浸珪処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0645881B2 (ja) |
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JPS5934231B2 (ja) * | 1980-12-19 | 1984-08-21 | 旭硝子株式会社 | Cvd装置の吐出装置 |
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1986
- 1986-03-28 JP JP61071481A patent/JPH0645881B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPS62227091A (ja) | 1987-10-06 |
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