JPH0643611B2 - 連続ラインにおける高珪素鋼帯の製造方法 - Google Patents

連続ラインにおける高珪素鋼帯の製造方法

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JPH0643611B2
JPH0643611B2 JP61071492A JP7149286A JPH0643611B2 JP H0643611 B2 JPH0643611 B2 JP H0643611B2 JP 61071492 A JP61071492 A JP 61071492A JP 7149286 A JP7149286 A JP 7149286A JP H0643611 B2 JPH0643611 B2 JP H0643611B2
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正広 阿部
和久 岡田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、連続ラインにおける化学気相蒸着(以下、C
VDと称す)法による高珪素鋼帯の製造方法に関する。
[従来の技術] 電磁鋼板として高珪素鋼板が用いられている。この種の
鋼板はSiの含有量が増すほど鉄損が低減され、Si: 6.5
%では、磁歪が0となり、最大透磁率もピークとなる等
最も優れた磁気特性を呈することが知られている。
従来、高珪素鋼板を製造する方法として、圧延法、直接
鋳造法及び滲珪法があるが、このうち圧延法はSi含有量
4%程度までは製造可能であるが、それ以上のSi含有量
では加工性が著しく悪くなるため冷間加工は困難であ
る。また直接鋳造法、所謂ストリップキャスティングは
圧延法のような加工性の問題は生じないが、未だ開発途
上の技術であり、形状不良を起し易く、特に高珪素鋼板
の製造は困難である。
これに対し、滲珪法は低珪素鋼を溶製して圧延により薄
板とした後、表面からSiを浸透させることより高珪素鋼
板を製造するもので、これによれば加工性や形状不良の
問題を生じることなく高珪素鋼板を得ることができる。
[発明が解決しようとする問題点] この滲珪法は、五弓、阿部により提案され、三谷、大西
らにより詳しく検討されたものであるが、従来提案され
た方法はいずれも浸透処理時間が30分以上と長く、また
CVD処理後に行われる拡散熱処理も、蒸着したSiを母
材内部に均一に拡散させる必要から比較的長時間を要
し、事実上連続ラインには適用できないという根本的な
問題がある。またCVD処理温度も1230℃程度と極めて
高いことから浸透処理後の薄鋼板の形状が極めて悪く、
加えて処理温度が高過ぎるためエツジ部が過加熱によつ
て溶解するおそれがあり、連続ラインでの安定通板が期
待できない。
また、滲珪法では蒸着反応により鋼板面のFeが FeCl 2
等の形で放散され、これによって板厚が減少する。しか
しこの種の処理では、雰囲気ガス濃度分布の不均一性等
の原因で蒸着(膜厚)が不均一になり易く、この結果板
厚の減り方にバラツキを生じ、板厚が幅方向、長手方向
で不均一になり易いという問題がある。
加えて、Si含有量が 4.0%以上の高珪素鋼板は脆性であ
り、処理後鋼板をコイルに捲取る場合破断し易いという
問題もある。
本発明はこのような従来技術の欠点を改善するためにな
されたもので、滲珪法を用い、連続ラインにおいて短時
間でしかも高品質の高珪素鋼帯を安定して製造すること
ができる方法の提供を目的とする。
[問題を解決するための手段] このため本発明の基本的特徴とするところは以下の通り
である。
(1) 鋼帯を無酸化性ガス雰囲気中で連続的に通板させつ
つ、SiCl4をmolで分率で5〜35%含んだ無酸化性
ガスを吹付ノズルから鋼帯面に吹き付けて1023〜1
200℃の温度で連続的に滲珪処理し、次いで、SiC
4を含まない無酸化性ガス雰囲気中でSiを鋼帯内部
に拡散させる拡散処理するに当り、該拡散処理を、表層
Si濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よりも高い状
態にあるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方向で不均一
な鋼帯を得、続く冷却過程において鋼帯を磁場中冷却す
るとともに、該磁場中冷却の前または後若しくは途中に
おいて、鋼帯を200〜600℃で圧延により塑性加工
することを特徴とする連続ラインにおける高珪素鋼帯の
製造方法。
(2) 鋼帯を無酸化性ガス雰囲気中で連続的に通板させつ
つ、SiCl4をmolで分率で5〜35%含んだ無酸化性
ガスを吹付ノズルから鋼帯面に吹き付けて1023〜1
200℃の温度で連続的に滲珪処理し、次いでSiCl
4を含まない無酸化性ガス雰囲気中でSiを鋼帯内部に
拡散させる拡散処理するに当り、該拡散処理を、表層S
i濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よりも高い状態
にあるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方向で不均一な
鋼帯を得、続く冷却過程において鋼帯を磁場中冷却する
とともに、該磁場中冷却の前または後若しくは途中にお
いて、鋼帯を200〜600℃で圧延により塑性加工
し、最終冷却後、絶縁皮膜コーティング及び焼付処理す
ることを特徴とする連続ラインにおける高珪素鋼帯の製
造方法。
(3) 鋼帯を無酸化性ガス雰囲気中で連続的に通板させつ
つ、SiCl4をmolで分率で5〜35%含んだ無酸化性
ガスを吹付ノズルから鋼帯面に吹き付けて1023〜1
200℃の温度で連続的に滲珪処理し、次いでSiCl
4を含まない無酸化性ガス雰囲気中でSiを鋼帯内部に
拡散させる拡散処理するに当り、該拡散処理を、表層S
i濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よりも高い状態
にあるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方向で不均一な
鋼帯を得、続く冷却過程の途中または冷却後、鋼帯を2
00〜600℃で圧延により塑性加工し、最終冷却後、
絶縁皮膜コーティング及び焼付処理し、続く冷却過程に
おいて磁場中冷却することを特徴とする連続ラインにお
ける高珪素鋼帯の製造方法。
(4) 鋼帯を無酸化性ガス雰囲気中で連続的に通板させつ
つ、SiCl4をmolで分率で5〜35%含んだ無酸化性
ガスを吹付ノズルから鋼帯面に吹き付けて1023〜1
200℃の温度で連続的に滲珪処理し、次いでSiCl
4を含まない無酸化性ガス雰囲気中でSiを鋼帯内部に
拡散させる拡散処理するに当り、該拡散処理を、表層S
i濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よりも高い状態
にあるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方向で不均一な
鋼帯を得、続く冷却過程において鋼帯を磁場中冷却する
とともに、該磁場中冷却の前または後若しくは途中にお
いて、鋼帯を200〜600℃で圧延により塑性加工
し、最終冷却後、絶縁皮膜コーティング及び焼付処理
し、続く冷却過程において磁場中冷却することを特徴と
する連続ラインにおける高珪素鋼帯の製造方法。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明において、母材たる鋼帯(出発薄鋼帯)の成分組
成は、特に限定はないが、優れた磁気特性を得るため以
下のように定めるのが好ましい。
3〜 6.5%Si−Fe合金の場合 C: 0.01 %以下、Si:0〜 4.0%、 Mn :2%以下、その他不可避不純物は極力低い方が望
ましい。
センダスト合金の場合 C: 0.01 %以下、Si:4%以下、Al :3〜8%、N
i:4%以下、Mn :2%以下、Cr ,Ti などの耐食
性を増す元素5%以下、その他の不可避不純物は極力低
い方が望ましい。
鋼帯は熱間圧延−冷間圧延により得られるものに限ら
ず、直接鋳造・急冷凝固法により得られたものでもよ
い。
なお、上述したように鋼帯はCVD処理により板厚が減
少するものであり、このため最終製品板厚に対し減少板
厚分を付加した板厚のものを用いる必要がある。
本発明は、このような鋼帯にCVD法による滲珪処理−
拡散処理に施すことにより高珪素鋼帯を得るものであ
る。
第1図は本発明法を実施するための連続処理ラインを示
すもので、1は加熱炉、2はCVD処理炉、3は拡散処
理炉、4は冷却炉である。
鋼帯Sは加熱炉1でCVD処理温度またはその近傍まで
無酸化加熱された後、CVD処理炉2に導かれ、 SiCl
4 を含む無酸化性ガス雰囲気中でCVD法による滲珪処
理が施される。 SiCl 4 を含む無酸化性ガスとは、中性
或いは還元性ガスを意味し、 SiCl 4 のキャリアガスと
してはAr ,N2 ,He ,H2 ,CH4 等を使用するこ
とができる。これらキャリアガスのうち、排ガスの処理
性を考慮した場合、H2 ,CH4 等はHCl を発生させ
その処理の必要性が生じる難点があり、このような問題
を生じないAr ,He ,N2 が望ましく、さらに材料の
窒化を防止するという難点からすればこれらのうちでも
特にAr ,He が最も好ましい。
CVD処理における鋼帯表面の主反応は、 5Fe+ SiCl 4 →Fe3 Si+2FeCl 2 ↑ である、Si1原子が鋼帯面に蒸着してFe3 Si層を形成
し、Fe2原子が FeCl 2 となり、 FeCl 2 の沸点1023℃
以上の温度において気体状態で鋼帯表面から放散され
る。したがってSi原子量が28.086、Fe原子量が55.847で
あることから、鋼帯は質量減少し、これに伴い板厚も減
少することになる。ちなみに、Si3%鋼帯を母材とし、
CVD処理でSi6.5 %鋼帯を製造すると、質量は 8.7%
減少し、板厚は約 7.1%減少する。
従来法においてCVD処理に時間がかかり過ぎるのは、
そのCVD処理条件に十分な検討が加えられていなかっ
たことによるものと考えられる。本発明者等が検討した
ところでは、CVD処理を迅速に行うための要素には次
のようなものがあることが判った。
雰囲気ガス中の SiCl 4 濃度の適正化。
処理温度の適正化。
SiCl 4 の鋼帯表面への拡散及び FeCl 2 の鋼帯表
面からの放散の促進。
このため本発明ではCVD処理における雰囲気ガス中の
Si濃度及び処理温度を規定するものである。
まず、CVD処理における無酸化性ガス雰囲気中の SiC
l 4 濃度をmol 分率で5〜35%に規定し、このような雰
囲気中で鋼帯を連続的にCVD処理する。
雰囲気中の SiCl 4 が5%未満であると期待するSi富化
効果が得られず、また、例えば鋼帯のSiを 1.0%富化す
るために5分以上も必要となる等、処理に時間がかかり
過ぎ、連続プロセス化することが困難となる。
一方、 SiCl 4 を35%を超えて含有させても界面におけ
る反応が律速になり、それ以上のSi富化効果が期待でき
なくなる。
またCVD処理では、 SiCl 4 濃度が高いほど所謂カー
ケンダールボイドと称する大きなボイドが生成し易い。
このボイドは SiCl 4 濃度が15%程度まではほとんど見
られないが、15%を超えると生成しはじめる。しかし、
SiCl 4 濃度が35%以下では、ボイドが生成してもCV
D処理に引き続き行われる拡散処理によりほぼ完全に消
失させることができる。ボイドが消滅するために要する
時間は、拡散処理温度に強く依存し、拡散開始後に表層
Si濃度の低下に応じて処理温度を上げることにより、短
時間でボイドを消滅させることができる。しかしなが
ら、 SiCl 4 濃度が35%を越えると、発生するボイドの
径が大きくなり、また隣接するボイドが合体してさらに
大きなものとなり、長時間拡散均熱処理を施してもボイ
ドが残存してしまう。これに対し、 SiCl 4 濃度が35%
以下であれば、あまり大きなボイドにはならないため拡
散処理で消滅可能である。
CVD処理温度は1023〜1200℃の範囲とする。CVD処
理反応は鋼帯表面における反応であるから、この処理温
度は厳密には鋼帯表面温度である。
CVD処理による反応生成物である FeCl 2 の沸点は10
23℃であり、この温度未満では FeCl 2 が鋼帯表面から
気体状態で放散されず、鋼帯表面に液体状に付着して蒸
着反応を阻害してしまう。本発明者らが行った基礎実験
の結果では、この FeCl 2 の沸点を境に、単位時間当り
のSiの富化割合が著しく異なり、1023℃未満では蒸着速
度が小さいため連続プロセスへ適用は困難である。この
ため処理温度の下限は1023℃とする。
一方、上限を1200℃と規定する理由は次の通りである。
Fe3 Siの融点は、第4図に示すFe−Si状態図から明らか
なように1250℃であるが、発明者等の実験によれば、12
50℃より低い1230℃程度で処理した場合でも、鋼帯表面
が部分的に溶解し、また、鋼帯エッジ部分が過加熱のた
め溶解する。このように1250℃以下でも鋼帯が溶解する
のは、鋼帯表面ではFe3 Si相当のSi濃度14.5%以上にSi
が蒸着されているためであると推定される。これに対し
処理温度が1200℃以下であれば鋼帯表面の溶解は全く認
められず、また、エッジの過加熱も、鋼帯中心部の平均
温度を1200℃とすることで、1220℃程度におさえること
が可能であり、微量な溶解で済むことが実験的に確認で
きた。以上の理由から、CVD処理温度は1023℃〜1200
℃と規定する。
CVD処理速度を鋼帯の連続処理を可能ならしめるまで
高めるには、上述したように雰囲気ガス中のSiCl4
濃度と処理温度の適正化を図ることが必要であるが、こ
れに加え鋼帯表面へのSiCl4の供給・拡散と反応副
生成物たるFeCl2の鋼帯表面から放散(離脱)とを
促進することによりCVD処理速度をより高めることが
必要となる。
従来では、CVD処理で反応ガスを大きく流動させる
と、蒸着層にボイドが発生し、また蒸着層の純度も低下
するとされ、このためガス流動は必要最小限にとどめる
という考え方が定着していた。しかし本発明者等の研究
では、このようにガス流動が抑えられることにより、反
応ガスの母材界面への拡散移動、及び反応副生成物の界
面表層からの離脱がスムースに行われず、このため処理
に長時間を要すること、さらにはガス流動が抑えられる
ためCVD処理炉内の反応ガス濃度に分布を生じ、この
結果蒸着膜厚の不均一化を招くことが判った。
そして、このような事実に基づきさらに検討を加えた結
果、CVD処理炉において吹付ノズルにより雰囲気ガス
を被処理材に吹付けることによりSiCl4の鋼帯表面
への拡散及び反応生成物たるFeCl2の鋼帯表面から
の放散を著しく促進し、高い蒸着速度でしかも蒸着膜の
不均一化を抑えつつCVD処理できることが判った。
一般にCVD反応と呼ばれているものの多くは、気相中
でのガスの反応によって生成(析出)したものが基板面
に付着するものであり、この反応の場合の副生成物(反
応生成ガス)は気相中で生じ、固体側から発生するもの
ではない。これに対して鋼帯の滲珪処理では、Feと反
応ガス中のSiとが鋼帯表面で置換することで、Siが
鋼中に取り込まれる。これは置換型CVD反応と呼ばれ
るもので、鋼帯表面すなわち固体側からFeCl2が気
体(反応生成ガス)として発生する。したがって、この
ような置換型CVD反応を伴う処理では、反応生成ガス
が固体側から生じるという点で、一般に知られたCVD
反応とは異なる反応生成ガスの生成挙動を示す。
そして、このような置換型CVD反応では、反応ガスを
含む雰囲気ガスを鋼帯表面に次々に供給し、且つ反応生
成ガス(FeCl2等)を反応界面から速やかに離脱さ
せることが反応を促進させる上で極めて重要である。
この意味で、鋼帯面に吹付ノズルによって雰囲気ガスを
吹き付けることは、反応界面への反応ガスを供給と反応
生成ガスの反応界面からの離脱を促進することができる
という大きな利点がある。
第6図はこのノズル吹付方式による実施状況を示すもの
で、CVD処理炉2内に鋼帯Sに面して吹付ノズル5が
配置され、鋼帯表面にSiCl4を含む雰囲気ガスが吹
き付けられる。第7図(イ)及び(ロ)は、吹付ノズルによる
吹付状況を示すもので、同図(イ)に示すように鋼帯面に
対して直角方向から、或いは(ロ)に示すように斜め方向
からガスを吹付けることができる。
このようなノズル吹付による単位時間当りのSi富化割
合は、ガスの鋼帯表面に対する衝突流速の増大に比例し
て大きくなるが、流速を過剰に大きくしても界面におけ
る反応律速となるためそれ以上のSi富化効果は期待で
きない。一般的には、5Nm/sec以下の流速で十分
な効果が得られる。
以上のようにしてCVD処理された鋼帯Sは、引き続き
拡散炉3に導かれ SiCl 4 を含まない無酸化性ガス雰囲
気中で拡散処理される。すなわち、CVD処理直後で
は、鋼帯表面近くは中心部に較べ、Si濃度が極めて高
く、鋼帯を均熱することによって表面に過濃状態にある
Siを鋼帯内部に拡散させる処理をする。しかし、本発明
では、この拡散熱処理によりSiを鋼帯内に均一に分散さ
せるようなことはせず、表層Si濃度が鋼帯厚み方向中心
部のSi濃度よりも高い状態にあるうちに拡散処理を打ち
切り、Si濃度が厚み方向で不均一な鋼帯とするものであ
る。
本発明者等が拡散処理時間を短縮化するという観点から
CVD処理鋼材のSi濃度分布と磁気特性との関係等につ
いて検討を加えた結果、高珪素鋼材の磁気特性は鋼材表
層部の結晶粒径とSi濃度に大きく支配され、表層部を所
定の粒度とSi濃度に調整することにより、Si濃度を板厚
方向で均一としなくとも十分な磁気特性が得られること
を見い出した。そして、このような傾向は特に高周波磁
気特性において顕著であることも判った。
このため本発明では、CVD処理に続く拡散処理を、表
層Si濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よも高い状態に
あるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方向で不均一な鋼帯
を得るようにしたものである。
このような方法によれば短時間の拡散熱処理により磁気
特性が十分確保された鋼帯を得ることができる。加え
て、このようにして得られた鋼帯は、厚みの中心部が低
Si濃度に維持されているため、靭性が確保され、その破
断を適切に防ぐことができる。
第5図は本発明法における鋼帯板厚方向のSi濃度分布の
変化を示すものであり、3%Si添加鋼の鋼帯を母材と
し、これをCVD処理−拡散処理した場合を示してい
る。(A) はCVD処理直後の状態を示しており、鋼帯表
面にはFe3 Si相当(Si:14.5%)のSiが蒸着している。
本発明ではこのような鋼帯を(B) の状態まで拡散熱処理
し、板厚方向でSi濃度が不均一な鋼帯で得る。(B) に示
す例では表層のSi濃度が 6.5%になるまで拡散熱処理が
施されたものであり、板厚中心部はほぼ母材Si濃度たる
3%に維持されている。
このようにして得られる鋼帯は、拡散熱処理温度と処理
時間を選択して表層部を適当な粒径とSi濃度に調整する
ことにより、優れた磁気特性、特に高周波磁気特性を確
保することができる。
この拡散処理は、鋼帯表面を酸化させない為に、無酸化
雰囲気中で行う必要が有り、また高温で行うほど処理時
間が少なくて済む。
拡散処理は、一定温度で行ってもよいが、第4図のFe−
Si状態図から判るように、拡散の進行とともに鋼帯表層
部のSi濃度が減少しその融点が上がることから、拡散の
進行に伴い鋼帯を溶解させない程度に徐々に昇温させる
(例えば複数段階で昇温させる)ことにより、処理を短
時間で行うことができる。
このような拡散処理後、鋼帯Sは冷却炉4で冷却され、
しかる後捲取られるが、本発明では、この冷却過程の一
部において鋼帯を磁場中冷却するとともに、この磁場中
冷却前または磁場中冷却後若しくは磁場中冷却の途中に
おいて、鋼帯Sを200〜600℃の温間状態で圧延に
より塑性加工する。
珪素鋼板は磁場中冷却を行うことによりその磁気特性が
著しく向上することが知られており、本発明では冷却過
程の一部において鋼帯Sを磁場中に通板し、磁場中冷却
を実施する。
鋼帯Sはキューリー点以下の温度において磁気の影響を
受け、磁場中冷却はこのキューリー点以下の温度で実質
的な効果を発揮する。特に、磁場中冷却を鋼帯温度がA
2 変態点を通過する際に行うことにより著しく磁気特性
が向上する。第12図は珪素鋼板の板温と磁場中冷却効果
との関係を示すもので、例えば 6.5wt%Si鋼帯の場合、
温度t1 がキューリー点、温度t2 がA2 変態点であ
り、磁場中冷却は通常温度t1 より高目の温度TS (例
えば 750℃)から開始され、温度t2 を通過して温度T
F で終了する。
第13図ないし第15図は磁場中冷却設備の一構成例を示す
もので、冷却炉に設けられる磁場印加用コイル8を中空
の銅管9により構成し、この銅管9内に冷却媒体10を通
すことにより、磁場印加用コイル8内を通板する鋼帯S
に磁場を印加しつつ、コイル内側面から放射冷却を行う
ようにしている。なお、前記銅管9への外面には絶縁皮
膜11(SiO2 等)が形成される。
前記冷却媒体としては、水を用いることもできるが、電
気的な問題がある場合、例えば絶縁性の大きいフッ素系
不活性液体を使用することもできる。
第16図は他の構成例を示すもので、磁場印加用コイル8
の鋼帯出側位置に冷却ガスをコイル内部に供給するため
のノズル12を設け、さらに、磁場印加用コイル8の上部
及び下部に冷却ガス導入ダクト15及びフード14を設け、
ファン13により冷却ガスをコイル外側に供給するよう構
成したものである。
第17図は、第13図ないし第15図に示す方式の装置におい
て、磁場印加用コイル8の間隔(銅管の間隔)を鋼帯S
の入側から出側にかけて順次或いは段階的に密にするこ
とにより均一な冷却と磁場冷却効果の向上を図るように
したものである。すなわち、冷却帯たるコイルが密であ
るほど鋼帯の冷却が大きく、このためこのようなコイル
内で鋼帯Sを通板させることにより、同図に示すように
鋼帯Sを一定速度で冷却することが可能であり、これに
よって板厚方向に均一な冷却を行うことができ、この結
果変態をスムーズに移行させ優れた磁気特性が得られ
る。また、コイルが密であるほど鋼帯に強磁場をかける
ことができるが、上述したように、鋼帯はキューリー点
以下の低温域、特にA2 変態点で磁場の影響を強く受け
るものであり、このため低温側でコイルを密にし、少な
くとも上記A2 変態点通過時に強磁場をかけることによ
り大きな磁場中冷却効果を得ることができる。
なお場合によっては、上記とは逆に磁場印加用コイル8
の間隔を鋼帯Sの入側で密にし、出側に向って順次疎に
するような構造を採ることもできる。このような構造で
は、鋼帯の急冷が可能であり、また少なくとも鋼帯がA
2 変態点を通過するまでコイルを比較的密なものとして
おくことにより、大きな磁場中冷却効果も確保すること
ができる。
さらに本発明では、このような磁場中冷却の前または
後、若しくは途中において鋼帯Sを200〜600℃の
温間状態で圧延により塑性加工する。
上述したようにCVD処理では蒸着反応により鋼帯面の
Feが FeCl 2 の形で放散され、その分板厚が減少するこ
とになるが、CVD処理炉2内での雰囲気ガス濃度分布
の不均一によりSi蒸着が不均一になり易く、このためC
VD処理−拡散処理後の鋼帯Sは幅方向、長手方向で板
厚にバラツキを生じている。そこで本発明では温間状態
にある鋼帯Sに圧延(スキンパス圧延または通常圧延)
を施すことにより、板厚を均一化するものであり、かか
る圧延により形状矯正と表面粗さの調整も合せて行うこ
とができる。
本発明は高珪素鋼帯を製造対象とするもので、このため
鋼帯Sの温度が 200〜600 ℃の温間状態で圧延により塑
性加工を行う。すなわち鋼帯温度が 200℃未満では所望
の塑性加工性が得られない。この圧延により塑性加工
は、前記磁場中冷却の前または後、若しくは途中のいず
れで行ってもよい。前述したように、磁場中冷却は、鋼
帯温度がA2 変態点(6.5%Si鋼の場合には約 300℃)を
通過する際に磁場を印加しておくことにより磁気特性向
上効果が特に大きい性質があり、したがって冷却過程に
おいて鋼帯温度が少なくともこのA2 変態点を通過する
際に磁場中冷却が行われるよう、磁場中冷却と圧延によ
り塑性加工を組み合せることが好ましい。両処理の組み
合せとしては、例えば次のようなものが考えられる。
−拡散処理−初期冷却−磁場中冷却−圧延−最終冷
却−冷間捲取 −拡散処理−初期冷却−磁場中冷却−圧延−温間捲
取 −拡散処理−初期冷却(600〜400 ℃程度まで冷却)
−圧延−磁場中冷却(−最終冷却)−冷間捲取 −拡散処理−初期冷却(600〜400 ℃程度まで冷却)
−圧延−磁場中冷却−温間捲取 −拡散処理−初期冷却−磁場中冷却−圧延−磁場中
冷却(−最終冷却)−冷間捲取 −拡散処理−初期冷却−磁場中冷却−圧延−磁場中
冷却−温間捲取 鋼帯Sは通常、常温ないし 300℃までの温間状態で捲取
られる。一般にSi含有量が多く(例えば 4.0%以上)、
板厚が比較的厚い鋼帯は温間で捲取ることが好ましく、
この場合には上記,,のように、磁場中冷却、圧
延後、温間状態で捲取られる。
第3図は磁場中冷却及び圧延による塑性加工を行うため
の冷却炉の具体的な構造例を示すもので、冷却炉4の途
中には中間室16が設けられ、この中間室16にスキンパス
ミル17が配設されている。この中間室前段の前部冷却室
41内には磁場印加用コイル8が配設されている。
このような設備により、例えば上記,の工程を実施
する場合、拡散炉3を出た鋼帯Sは冷却炉4の前部冷却
室41で所定の温度まで冷却された後、引き続き磁場印加
用コイル8中を通板することにより温間状態まで磁場中
冷却され、次いで中間室16のスキンパスミル17で圧延さ
れ、最終冷却されることなく温間状態でそのまま捲取ら
れるか、或いは引き続き後部冷却室42で室温まで冷却さ
れた後、捲取られる。
なお、実ラインにおいてミルの上流に板厚計、プロフィ
ル計を設け、これによる板厚板形状の検出に基づきミル
が制御される。
また本発明では、上記拡散処理−冷却及び圧延による塑
性加工後、鋼帯に連続的に絶縁皮膜コーティングを施
し、焼付処理後捲取るようにすることができる。第2図
はこのための連続処理ラインを示すもので、6はコーテ
ィング装置、7は焼付炉である。
電磁鋼板は通常積層状態で使用され、この場合積層され
る各鋼板はそれぞれ絶縁される必要がある。このため電
磁鋼板には絶縁皮膜コーティングが施される。Si含有量
が 4.0%以上の鋼帯は、常温状態では脆性材料であり、
ほとんど塑性変形しない。このため絶縁皮膜コーティン
グをCVD処理ラインと別ラインで行った場合、コイル
の捲戻し、捲取り時に鋼帯が破断するおそれがある。そ
こで、本発明は拡散処理−冷却及び圧延による塑性加工
後、鋼帯Sにコーティング装置6で絶縁塗料を塗料し、
次いで塗装焼付炉7で焼付処理する。
絶縁塗料としては、無機系、有機系の適宜なものを用い
ることができる。無機系塗料としては、例えばリン酸マ
グネシウム、無水クロム酸、シリカゾル等が、また有機
系塗料としてはプラスチック樹脂等が用いられる。塗料
はロールコータ方式、スプレー方式等により鋼帯Sに塗
布され、無機系塗料の場合には約 800℃程度、有機系塗
料の場合には 200〜300 ℃程度で焼付処理する。
以上のような絶縁皮膜コーティング−焼付処理を行う場
合、磁場中冷却を行う時期が問題となる。すなわち、コ
ーティング後の焼付処理では塗膜を700 ℃以上の高温で
焼付ける場合があり、このように高温焼付を行うと、仮
に前工程たるCVD処理−拡散処理後の冷却において磁
場中冷却を行ってもその効果が消失してしまう。
したがって絶縁皮膜コーティング−焼付処理を行う工程
では、磁場中冷却を、塗装焼付温度等に応じ、拡散処理
後の冷却過程または焼付処理後の冷却過程で行うことが
できる。磁場中冷却の効果が消失する再加熱温度は約 6
50℃前後とされており、このため焼付処理温度が 650℃
以上の場合には焼付処理後の冷却過程で、また焼付処理
温度が650 ℃未満の場合にはCVD処理−拡散処理後の
冷却過程でそれぞれ磁場冷却を行うようにすることが好
ましい。
一般に無機系塗料を焼付ける場合には、鋼帯を 800℃程
度まで加熱し、したがってこの場合には、コーティング
前に磁場中冷却しても意味がなく、焼付処理後の冷却過
程で磁場冷却することが好ましい。また有機系塗料の場
合には 200〜300 ℃程度の焼付温度で済み、この場合に
はCVD処理−拡散処理後の冷却過程で磁場中冷却を実
施することができる。
また、磁場冷却は、場合によってはCVD処理−拡散処
理後の冷却過程とコーティング−焼付処理後の冷却過程
の両方で行うことができる。
このような絶縁皮膜コーティング−焼付処理を伴う連続
プロセスにおける磁場中冷却と圧延による塑性加工の組
み合せとしては、例えば次のようなものが考えられる。
−拡散処理−初期冷却−磁場中冷却−圧延−最終冷
却−絶縁皮膜コーティング−焼付処理−冷却−冷間捲取 −拡散処理−初期冷却−磁場中冷却−圧延−最終冷
却−絶縁皮膜コーティング−焼付処理(−冷却)−温間
捲取 −拡散処理−初期冷却(600℃〜400 ℃程度まで冷
却)−圧延−磁場中冷却(−最終冷却)−絶縁皮膜コー
ティング−焼付処理−冷却−冷間捲取 −拡散処理−初期冷却(600〜400 ℃程度まで冷却)
−圧延−磁場中冷却(−最終冷却)−絶縁皮膜コーティ
ング−焼付処理(−冷却)−温間捲取 −拡散処理−初期冷却−磁場中冷却−圧延−磁場中
冷却(−最終冷却)−絶縁皮膜コーティング−焼付処理
−冷却−冷間捲取 −拡散処理−初期冷却−磁場中冷却−圧延−磁場中
冷却(−最終冷却)−絶縁皮膜コーティング−焼付処理
−冷却−温間捲取 −拡散処理−初期冷却−圧延−最終冷却−絶縁皮膜
コーティング−焼付処理(−初期冷却)−磁場冷却(−
最終冷却)−冷間または温間捲取 −拡散処理−初期冷却−磁場中冷却−圧延−最終冷
却−絶縁皮膜コーティング−焼付処理(−初期冷却)−
磁場中冷却(−最終冷却)−冷間または温間捲取 −拡散処理−初期冷却(600〜400 ℃まで冷却)−圧
延−磁場中冷却−最終冷却−絶縁皮膜コーティング−焼
付処理(−初期冷却)−磁場中冷却(−最終冷却)−冷
間または温間捲取 なお、前記加熱炉1では無酸化加熱が行われるものであ
り、このため電気間接加熱、誘導加熱、ラジアントチュ
ーブ間接加熱、直火還元加熱等の加熱方式を単独または
適当に組み合せた加熱方法が採られる。なお、間接加熱
方式を採る場合、加熱に先立ち電気洗浄等の前処理が行
われる。前処理を含めた加熱方式として例えば次のよう
なものを採用できる。
前処理−〔予熱〕−電気間接加熱(または誘導加
熱) 前処理−〔予熱〕−ラジアントチューブ加熱−電気
間接加熱(または誘導加熱) 〔予熱〕−直火還元加熱−電気間接加熱(または誘
導加熱) 前処理−〔予熱〕−ラジアントチューブ間接加熱
(セラミックラジアントチューブ方式) 〔予熱〕−直火還元加熱 また、冷却炉4での冷却方式に特に限定はなくガスジェ
ット冷却、ミスト冷却、放射冷却等の各種冷却方式を単
独または組合せた形で採用することができる。
本発明は、 6.5%Si鋼帯のような珪素含有量が極めて高
い鋼帯の製造に好適なものであることは以上述べた通り
であるが、従来、圧延法で製造する場合に変形が多く歩
留りが悪かったSi:2〜4%程度の高珪素鋼帯も容易に
製造できる利点がある。
[実施例] ○ 実施例−1 小型のCVD処理炉を用い、CVD処理性に対する SiC
l 4 濃度及びCVD処理温度の影響を調べた。その結果
を第8図及び第9図に示す。
図中、Aが雰囲気法、すなわちノズル吹付を行わないで
CVD処理した場合、またBがノズル吹付法、すなわち
第6図に示すように雰囲気ガスを鋼帯面に 0.5m/Sの
流速で吹き付けつつCVD処理した場合を示す。なお、
Si富化割合とは、母材当初のSi量に対するCVD処理後
のSi量増加分を示す。
これによれば、 SiCl 4 濃度5%以上、CVD処理温度
1023℃以上において大きなSi富化効果が得られている。
また同じ条件でも、吹付ノズルにより雰囲気ガスを吹付
ける方法の場合、単に雰囲気中で鋼帯を通板せしめる場
合に較べ格段に優れたSi富化効果(CVD処理性)が得
られていることが判る。
第10図は同様のCVD処理炉を用い、雰囲気法Aとノズ
ル吹付法Bの蒸着時間と鋼帯中Si濃度(母材Si量+蒸着
Si量)との関係を、Si:3%、板厚 0.5mmの鋼帯を SiC
l 4 濃度21%、処理温度1150℃でCVD処理した場合に
ついて調べたものである。なお、ノズル吹付法では、ス
リットノズルにより鋼帯に対し垂直方向から 0.2Nm/
sec の流速で雰囲気ガスを吹付けた。同図から判るよう
に、 6.5%Si鋼相当のSi蒸着量を得るために雰囲気法A
では7分かかるのに対し、ノズル吹付法Bでは 1.5分で
処理することができた。
第11図はノズル吹付法における衝突ガス流速と鋼帯のSi
富化割合(第8図及び第9図と同様)との関係を示すも
のであり、所定レベルまでは衝突ガス流速に比例して鋼
帯のSi富化割合が増大している。
○ 実施例−2 第1図に示す連続プロセスにより、それぞれ同量のSi蒸
着量で拡散処理時間を変えた鋼帯を製造し、これらの鋼
帯のSi拡散の度合い及び磁気特性を調べた。
具体的には板厚 0.35 mm、板幅 900mmのSi3%含有鋼帯
を素材とし、ラインスピードを5〜50mpm の範囲で変化
させることにより拡散炉の通過時間を変え、CVD処理
を行った。なお、ラインスピードの違いによってSi蒸着
量が変化しないようにするため、ラインスピードに応じ
CVD雰囲気ガス中の SiCl 4 濃度、及びガス吹付ノズ
ルからの雰囲気ガス吹付量を変え、Siの蒸着量がライン
スピードに関係なく一定となるよう調整した。本実施例
では、母材を含めた平均Si濃度が 6.5wt%となるような
蒸着量でSiを蒸着させ、また一連の処理は第19図に示す
熱サイクルで行った。なお、拡散処理時間が短い鋼帯に
ついては、表層部のSi量が非常に多いことから、表層の
ヒビ割れを防止するため温間(250〜 300℃)で捲取っ
た。
第20図はCVD処理ままの鋼帯、及び拡散時間が各5
分、10分、20分、40分の上記鋼帯について、板厚方向断
面のSi濃度およびFe温度をXMAにより測定したもの
で、約40分の拡散処理(1200℃)でほぼ均一にSiが拡散
されている。
第21図は上記と同様条件により拡散時間を変えて得られ
たサイクルについて、磁気特性たる鉄損を測定した結果
を示すもので、拡散処理時間10分程度、すなわち第20図
(c) 程度のSi拡散状態でSiを均一拡散させた場合とぼぼ
同等の十分に高い磁気特性が得られていることが判る。
○ 実施例−3 実施例−2と同様の素材鋼帯について、連続プロセスに
より各種 SiCl 4 濃度の雰囲気でCVD処理をし、引き
続き1200℃×10分の拡散均熱処理を施し、ボイドの残存
度合いを調べた。その結果を第1表に示す。
このように SiCl 4 30%、35%ではボイドの残存が認め
られた。そこで、 SiCl 4 濃度30%、35%について、処
理温度を、 A) 1200℃一定×10分 B) 1200℃×5分→1250℃×5分 C) 1200℃×3分→1250℃×3分→ 1280℃×4分 の3水準に設定した鋼帯を製造し、それらのボイド残存
を調査した。その結果を第2表に示する。
このように拡散処理条件を選択することにより SiCl 4
35%でもある程度満足し得る製品が得られる。但し、実
際には、若干の温度制御によりボイドを消滅させること
ができる SiCl 4 濃度30%以下が好ましい。
○ 実施例−4 CVD処理−拡散処理後の鋼帯をその冷却過程で磁場中
冷却し、その磁気特性を調べた。
第18図はその結果を示すもので、図中が磁場冷却をか
けない場合、,が本発明材であり、このうち、が
均等ピッチで巻き付けたコイルにより30Oe の磁場をか
けた場合、が第16図に示す装置により同図に示すよう
に段階的に磁場を強くして磁場中冷却した場合をそれぞ
れ示している。また′,′は比較材で、蒸着Siを鋼
帯内に均一に拡散させたものであり、このうち′が
と同様の、また′がと同様の磁場中冷却を施したも
のである。同図から明らなかように、本発明材ではSiを
均一拡散させた比較材と劣らない磁気特性が得られてい
る。また特にA2 変態点通過前後に強磁場がかかるよう
にした第17図の方式で磁場中冷却を実施することによ
り、極めて優れた磁気特性が得られていることが判る。
○ 実施例−5 第1図に示す連続プロセスに第3図のスキンパスミルを
組み込んだプロセスラインにおいて、板厚 0.33 mmのSi
3.5%含有鋼帯を母材とし、50mpm のラインスピードに
より、目標板厚 0.30 mm、幅 900mmのSi 6.5%含有鋼帯
を製造した。この際、次の4条件によりそれぞれ鋼帯を
製造した。なおいずれも拡散処理は1200℃×10分で行っ
た。
A) CVD処理を、Ar 80%、 SiCl 4 20%の雰囲気
中で実施し、スキンパス圧延を実施しない。
B) A)と同様のCVD処理を行い、スキンパス圧延
を実施した。
C) CVD処理を、Ar 80%、 SiCl 4 20%の反応ガ
スをノズル吹付法で鋼帯に対し、0.5Nm/sec ガス流
速で衝突させることにより実施し、スキンパス圧延を実
施しない。
D) CVD処理をC)と同様に行い、スキンパス圧延
を実施した。
第3表は各ケースのサンプルについて、板厚偏差(目標
板厚に対する増減)及び表面粗さを測定した結果を示し
たもので、スキンパス圧延を実施することにより板厚が
精度良く均一化いていることが判る。
[発明の効果] 以上述べた本発明によれば、連続ラインにおいて短時間
のCVD処理及び拡散熱処理により優れた磁気特性の高
珪素鋼帯を得ることができ、また1200℃以下の温度でC
VD処理を行うため鋼帯の形状不良やエッジ部溶解等の
問題を生じさせることがなく、加えて鋼帯の磁気特性を
損うことなく優れた靭性を確保し且つ板厚を均一化させ
ることができ、このためラインの長大化を招くことなく
高品質の高珪素鋼板を能率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図はそれぞれ本発明法を実施するための
連続処理ラインを示す説明図である。第3図は第1図及
び第2図における冷却炉の具体的構成例を示す説明図で
ある。第4図はFe−Si系状態図である。第5図(A) ,
(B) は本発明の拡散熱処理における鋼帯板厚方向のSi濃
度分布の変化を示すものである。第6図及び第7図
(イ),(ロ)はノズル吹付方式によるCVD処理状況を示す
もので、第6図は全体説明図、第7図(イ)及び(ロ)はそれ
ぞれノズル吹付方法を示す説明図である。第8図はCV
D処理におけるガス中 SiCl 濃度と鋼帯Si富化割合と
の関係、第9図はCVD処理温度と鋼帯Si富化割合との
関係をそれぞれ示すものである。第10図は本発明におけ
るSi蒸着時間と鋼帯中Si濃度との関係を、雰囲気法及び
ノズル吹付法で比較して示したものである。第11図はノ
ズル吹付法によるCVD処理において、雰囲気ガスの鋼
帯に対する衝突ガス流速と鋼帯Si富化割合との関係を示
すものである。第12図は珪素鋼板の板温と磁場中冷却効
果との関係を示すものである。第13図ないし第15図は磁
場中冷却設備の一構成例を示すもので、第13図は斜視
図、第14図はコイルの断面図、第15はコイルを構成する
銅管の断面図である。第16図は磁場中冷却設備の他の構
成例を示す説明図である。第17図は磁場中冷却の好まし
い設備及びこれによる磁場中冷却方法を示す説明図であ
る。第18図は磁場冷却した場合の磁気特性を、単純冷却
の場合と比較して示すものである。第19図は実施例で採
った熱サイクルを示すものである。第20図(a) 〜(e) は
実施例における各供試材のSi濃度分布を示すものであ
る。第21図は実施例における各供試材の磁気特性を示す
ものである。 図において、1は加熱炉、2はCVD処理炉、3は拡散
処理炉、4は冷却炉、6はコーティング装置、7は焼付
炉、8は磁場印加用コイル、9はスキンパスミル、Sは
鋼帯である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 16/54 7325−4K (56)参考文献 特公 昭45−21181(JP,B1) 特公 昭47−25564(JP,B1) 特公 昭53−42019(JP,B2)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼帯を無酸化性ガス雰囲気中で連続的に通
    板させつつ、SiCl4をmol分率で5〜35%含んだ無
    酸化性ガスを吹付ノズルから鋼帯面に吹き付けて102
    3〜1200℃の温度で連続的に滲珪処理し、次いでS
    iCl4を含まない無酸化性ガス雰囲気中でSiを鋼帯
    内部に拡散させる拡散処理するに当り、該拡散処理を、
    表層Si濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よりも高
    い状態にあるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方向で不
    均一な鋼帯を得、続く冷却過程において鋼帯を磁場中冷
    却するとともに、該磁場中冷却の前または後若しくは途
    中において、鋼帯を200〜600℃で圧延により塑性
    加工することを特徴とする連続ラインにおける高珪素鋼
    帯の製造方法。
  2. 【請求項2】鋼帯を無酸化性ガス雰囲気中で連続的に通
    板させつつ、SiCl4をmol分率で5〜35%含んだ無
    酸化性ガスを吹付ノズルから鋼帯面に吹き付けて102
    3〜1200℃の温度で連続的に滲珪処理し、次いでS
    iCl4を含まない無酸化性ガス雰囲気中でSiを鋼帯
    内部に拡散させる拡散処理するに当り、該拡散処理を、
    表層Si濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よりも高
    い状態にあるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方向で不
    均一な鋼帯を得、続く冷却過程において鋼帯を磁場中冷
    却するとともに、該磁場中冷却の前または後若しくは途
    中において、鋼帯を200〜600℃で圧延により塑性
    加工し、最終冷却後、絶縁皮膜コーティング及び焼付処
    理することを特徴とする連続ラインにおける高珪素鋼帯
    の製造方法。
  3. 【請求項3】鋼帯を無酸化性ガス雰囲気中で連続的に通
    板させつつ、SiCl4をmol分率で5〜35%含んだ無
    酸化性ガスを吹付ノズルから鋼帯面に吹き付けて102
    3〜1200℃の温度で連続的に滲珪処理し、次いでS
    iCl4を含まない無酸化性ガス雰囲気中でSiを鋼帯
    内部に拡散させる拡散処理するに当り、該拡散処理を、
    表層Si濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よりも高
    い状態にあるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方向で不
    均一な鋼帯を得、続く冷却過程の途中または冷却後、鋼
    帯を200〜600℃で圧延により塑性加工し、最終冷
    却後、絶縁皮膜コーティング及び焼付処理し、続く冷却
    過程において磁場中冷却することを特徴とする連続ライ
    ンにおける高珪素鋼帯の製造方法。
  4. 【請求項4】鋼帯を無酸化性ガス雰囲気中で連続的に通
    板させつつ、SiCl4をmol分率で5〜35%含んだ無
    酸化性ガスを吹付ノズルから鋼帯面に吹き付けて102
    3〜1200℃の温度で連続的に滲珪処理し、次いでS
    iCl4を含まない無酸化性ガス雰囲気中でSiを鋼帯
    内部に拡散させる拡散処理するに当り、該拡散処理を、
    表層Si濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よりも高
    い状態にあるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方向で不
    均一な鋼帯を得、続く冷却過程において鋼帯を磁場中冷
    却するとともに、該磁場中冷却の前または後若しくは途
    中において、鋼帯を200〜600℃で圧延により塑性
    加工し、最終冷却後、絶縁皮膜コーティング及び焼付処
    理し、続く冷却過程において磁場中冷却することを特徴
    とする連続ラインにおける高珪素鋼帯の製造方法。
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