JPH0643608B2 - 連続ラインにおける高珪素鋼帯の製造方法 - Google Patents

連続ラインにおける高珪素鋼帯の製造方法

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JPH0643608B2
JPH0643608B2 JP61071489A JP7148986A JPH0643608B2 JP H0643608 B2 JPH0643608 B2 JP H0643608B2 JP 61071489 A JP61071489 A JP 61071489A JP 7148986 A JP7148986 A JP 7148986A JP H0643608 B2 JPH0643608 B2 JP H0643608B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、連続ラインにおける化学気相蒸着(以下、C
VDと称す)法による高珪素鋼帯の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
電磁鋼板として高珪素鋼板が用いられている。この種の
鋼板はSiの含有量が増すほど鉄損が低減され、Si:6.
5 %では、磁歪が0となり、最大透磁率もピークとなる
等最も優れた磁気特性を呈することが知られている。
従来、高珪素鋼板を製造する方法として、圧延法、直接
鋳造法及び滲珪法があるが、このうち圧延法はSi含有
量4%程度までは製造可能であるが、それ以上のSi含
有量では加工性が著しく悪くなるため冷間加工は困難で
ある。また直接鋳造法、所謂ストリツプキヤステイング
は圧延法のような加工性の問題は生じないが、未だ開発
途上の技術であり、形状不良を起し易く、特に高珪素鋼
板の製造は困難である。
これに対し、滲珪法は低珪素鋼を溶製して圧延により薄
板とした後、表面からSiを浸透させることにより高珪
素鋼板を製造するもので、これによれば加工性や形状不
良の問題を生じることなく高珪素鋼板を得ることができ
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
この滲珪法は、五弓、阿部により提案され、三谷、大西
らにより詳しく検討されたものであるが従来提案された
方法はいずれも浸透処理時間が30分以上と長く、また
CVD処理後に行われる拡散熱処理も、蒸着したSiを母
材内部に均一に拡散させる必要から比較的長時間を要
し、事実上連続ラインには適用できないという根本的な
問題がある。またCVD処理温度も1230℃程度と極
めて高いことから浸透処理後の薄鋼板の形状が極めて悪
く、加えて処理温度が高過ぎるためエツジ部が過加熱に
よつて溶解するおそれがあり、連続ラインでの安定通板
が期待できない。
加えて、Si含有量が4.0%以上の高珪素鋼板は脆性であ
り、処理後鋼板をコイルに捲取る場合破断し易いという
問題もある。
本発明はこのような従来技術の欠点を改善するためにな
されたもので、滲珪法を用い、連続ラインにおいて短時
間でしかも高品質の高珪素鋼帯を安定して製造すること
ができる方法の提供を目的とする。
〔問題を解決するための手段〕
このため本発明は、鋼帯を無酸化性ガス雰囲気中で連続
的に通板させつつ、SiCl4をmol分率で5〜35%含
んだ無酸化性ガスを吹付ノズルから鋼帯面に吹き付けて
1023〜1200℃の温度で連続的に滲珪処理し、次
いでSiCl4を含まない無酸化性ガス雰囲気中でSi
を鋼帯内部に拡散させる拡散処理するに当り、該拡散処
理を、表層Si濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よ
りも高い状態にあるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方
向で不均一な鋼帯を得ることをその基本的特徴とする。
また本発明は、上記拡散処理−冷却後、絶縁皮膜コーテ
ィング及び焼付処理を施すことを他の基本的特徴とす
る。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明において、母材たる鋼帯(出発薄鋼帯)の成分組
成は、特に限定はないが優れた磁気特性を得るため以下
のように定めるのが好ましい。
3〜6.5%Si−Fe合金の場合 C:0.01%以下、Si:0〜4.0%、Mn:2%以下、その
他不可避不純物は極力低い方が望ましい。
センダスト合金の場合 C:0.01%以下、Si:4%以下、Al:3〜8%、Ni:4
%以下、Mn:2%以下、Cr,Tiなどの耐食性を増す元素
5%以下、その他の不可避不純物は極力低い方が望まし
い。
鋼帯は熱間圧延−冷間圧延により得られるものに限ら
ず、直接鋳造・急冷凝固法により得られたものでもよ
い。
なお、鋼帯はCVD処理により板厚が減少するものであ
り、このため最終製品板厚に対し減少板厚分を付加した
板厚のものを用いる必要がある。
本発明は、このような鋼帯にCVD法による滲珪処理−
拡散処理に施すことにより高珪素鋼帯を得るものであ
る。
第1図は本発明法を実施するための連続処理ラインを示
すもので、(1)は加熱炉、(2)はCVD処理炉、(3)は拡
散処理炉、(4)は冷却炉である。
鋼帯(S)は加熱炉(1)でCVD処理温度またはその近傍
まで無酸化加熱された後、CVD処理炉(2)に導かれ、S
iCl4を含む無酸化性ガス雰囲気中でCVD法による滲珪
処理が施される。SiCl4を含む無酸化性ガスとは、中性
或いは還元性ガスを意味し、SiCl4のキヤリアガスとし
てはAr,N2,He,H2,CH4等を使用することができる。
これらキヤリアガスのうち、排ガスの処理性を考慮した
場合、H2CH4等はHClを発生させその処理の必要性が生じ
る難点があり、このような問題を生じないAr,He,N2
望ましく、さらに材料の窒化を防止するという観点から
すればこれらのうちでも特にAr,Heが最も好ましい。
CVD処理における鋼帯表面の主反応は、 5Fe+SiCl4→Fe3Si+2FeCl2↑ である、Si1原子が鋼帯面に蒸着してFe3Si層を形成
し、Fe2原子がFeCl2となり、FeCl2の沸点1023℃以
上の温度において気体状態で鋼帯表面から放散される。
したがつてSi原子量が28.086、Fe原子量が55.
847であることから、鋼帯は質量減少し、これに伴い
板厚も減少することになる。ちなみに、Si3%鋼帯を母
材とし、CVD処理でSi 6.5%鋼帯を製造すると、質量
は8.7%減少し、板厚は約7.1%減少する。
従来法においてCVD処理に時間がかかり過ぎるのは、
そのCVD処理条件に十分な検討が加えられていなかつ
たことによるものと考えられる。本発明者等が検討した
ところでは、CVD処理を迅速に行うための要素には次
のようなものがあることが判つた。
雰囲気ガス中のSiCl4濃度の適正化。
処理温度の適正化。
SiCl4の鋼帯表面への拡散及びFeCl2の鋼帯表面からの
放散の促進。
このため本発明ではCVD処理における雰囲気ガス中の
Si濃度及び処理温度を規定するものである。
まず、CVD処理における無酸化性ガス雰囲気中のSiCl
4濃度mol分率で5〜35%に規定し、このような雰囲気
中で鋼帯を連続的にCVD処理する。
雰囲気中のSiCl4が5%未満であると期待するSi富化効
果が得られず、また、例えば鋼帯のSiを1.0%富化する
ために5分以上も必要となる等、処理に時間がかかり過
ぎ、連続プロセス化することが困難となる。
一方、SiCl4を35%を超えて含有させても界面におけ
る反応が律速になり、それ以上のSi富化効果が期待でき
なくなる。
またCVD処理では、SiCl4濃度が高いほど所謂カーケ
ンダールボイドと称する大きなボイドが生成し易い。こ
のボイドはSiCl4濃度が15%程度まではほとんど見ら
れないが、15%を超えると生成しはじめる。しかし、
SiCl4濃度が35%以下では、ボイドが生成してもCV
D処理に引き続き行われる拡散処理によりほぼ完全に消
失させることができる。ボイドが消滅するために要する
時間は、拡散処理温度に強く依存し、拡散開始後に表層
Si濃度の低下に応じて処理温度を上げることにより、短
時間でボイドを消滅させることができる。しかしなが
ら、SiCl4濃度が35%を超えると、発生するボイドの
径が大きくなり、また隣接するボイドが合体してさらに
大きなものとなり、長時間拡散均熱処理を施してもボイ
ドが残存してしまう。これに対し、SiCl4濃度が35%
以下であればあまり大きなボイドにはならないため拡散
処理で消滅可能である。
CVD処理温度は1023〜1200℃の範囲とする。
CVD処理反応は鋼帯表面における反応であるから、こ
の処理温度は厳密には鋼帯表面温度である。
CVD処理による反応生成物であるFeCl2の沸点は10
23℃であり、この温度未満ではFeCl2が鋼帯表面から
気体状態で放散されず、鋼帯表面に液体状に付着して蒸
着反応を阻害してしまう。本発明者らが行つた基礎実験
の結果では、このFeCl2の沸点を境に、単位時間当りのS
iの富化割合が著しく異なり、1023℃未満では蒸着
速度が小さいため連続プロセスへの適用は困難である。
このため処理温度の下限は1023℃とする。
一方、上限を1200℃と規定する理由は次の通りであ
る。Fe3Siの融点は、第3図に示すFe−Si状態図から明
らかなように1250℃であるが、発明者等の実験によ
れば、1250℃より低い1230℃程度で処理した場合で
も、鋼帯表面が部分的に溶解し、また、鋼帯エツジ部分
が過加熱のため溶解する。このように1250℃以下で
も鋼帯が溶解するのは、鋼帯表面ではFe3Si相当のSi
濃度14.5%以上にSiが蒸着されているためである
と推定される。これに対し処理温度が1200℃以下で
あれば鋼帯表面の溶解は全く認められず、また、エツジ
の過加熱も、鋼帯中心部の平均温度を1200℃とする
ことで、1220℃程度におさえることが可能であり、
微量な溶解で済むことが実験的に確認できた。以上の理
由から、CVD処理温度は1023℃〜1200℃と規
定する。
CVD処理速度を鋼帯の連続処理を可能ならしめるまで
高めるには、上述したように雰囲気ガス中のSiCl4
濃度と処理温度の適正化を図ることが必要であるが、こ
れに加え鋼帯表面へのSiCl4の供給・拡散と反応副
生成物たるFeCl2の鋼帯表面からの放散(離脱)と
を促進することによりCVD処理速度をより高めること
が必要となる。
従来では、CVD処理で反応ガスを大きく流動させる
と、蒸着層にボイドが発生し、また蒸着層の純度も低下
するとされ、このためガス流動は必要最小限にとどめる
という考え方が定着していた。しかし本発明者等の研究
では、このようにガス流動が抑えられることにより、反
応ガスの母材界面への拡散移動、及び反応副生成物の界
面表層からの離脱がスムースに行われず、このため処理
に長時間を要すること、さらにはガス流動が抑えられる
ためCVD処理炉内の反応ガス濃度に分布を生じ、この
結果蒸着膜厚の不均一化を招くことが判った。
そして、このような事実に基づきさらに検討を加えた結
果、CVD処理炉において吹付ノズルにより雰囲気ガス
を被処理材に吹付けることによりSiCl4の鋼帯表面
への拡散及び反応生成物たるFeCl2の鋼帯表面から
の放散を著しく促進し、高い蒸着速度でしかも蒸着膜の
不均一化を抑えつつCVD処理できることが判った。
一般にCVD反応と呼ばれているものの多くは、気相中
でのガスの反応によって生成(析出)したものが基板面
に付着するものであり、この反応の場合の副生成物(反
応生成ガス)は気相中で生じ、固体側から発生するもの
ではない。これに対して鋼帯の滲珪処理では、Feと反
応ガス中のSiとが鋼帯表面で置換することで、Siが
鋼中に取り込まれる。これは置換型CVD反応と呼ばれ
るもので、鋼帯表面すなわち固体側からFeCl2が気
体(反応生成ガス)として発生する。したがって、この
ような置換型CVD反応を伴う処理では、反応生成ガス
が固体側から生じるという点で、一般に知られたCVD
反応とは異なる反応生成ガスの生成挙動を示す。
そして、このような置換型CVD反応では、反応ガスを
含む雰囲気ガスを鋼帯表面に次々に供給し、且つ反応生
成ガス(FeCl2等)を反応界面から速やかに離脱さ
せることが反応を促進させる上で極めて重要である。
この意味で、鋼帯面に吹付ノズルによって雰囲気ガスを
吹き付けることは、反応界面への反応ガスの供給と反応
生成ガスの反応界面からの離脱を促進することができる
という大きな利点がある。
第5図はこのノズル吹付方式による実施状況を示すもの
で、CVD処理炉2内に鋼帯Sに面して吹付ノズル5が
配置され、鋼帯表面にSiCl4を含む雰囲気ガスが吹
き付けられる。第6図(イ)及び(ロ)は、吹付ノズルによる
吹付状況を示すもので、同図(イ)に示すように鋼帯面に
対して直角方向から、或いは(ロ)に示すように斜め方向
からガスを吹付けることができる。
このようなノズル吹付による単位時間当りのSi富化割
合は、ガスの鋼帯表面に対する衝突流速の増大に比例し
て大きくなるが、流速を過剰に大きくしても界面におけ
る反応律速となるためそれ以上のSi富化効果は期待で
きない。一般的には、5Nm/sec以下の流速で十分
な効果が得られる。
以上のようにしてCVD処理された鋼帯(S)は、引き続
き拡散炉(3)に導かれSiCl4を含まない無酸化性ガス雰囲
気中で拡散処理される。すなわち、CVD処理直後で
は、鋼帯表面近くは中心部に較べ、Si濃度が極めて高
く、鋼帯を均熱することによつて表面に過濃状態にある
Siを鋼帯内部に拡散させる処理をする。しかし、本発
明では、この拡散熱処理によりSiを鋼帯内に均一に拡散
させるようなことはせず、表層Si濃度が鋼帯厚み方向中
心部のSi濃度よりも高い状態にあるうちに拡散処理を打
ち切り、Si濃度が厚み方向で不均一な鋼帯とするもので
ある。
本発明者等が拡散処理時間を短縮化するという観点から
CVD処理鋼材のSi濃度分布と磁気特性との関係等につ
いて検討を加えた結果、高珪素鋼材の磁気特性は鋼材表
層部の結晶粒径とSi濃度に大きく支配され、表層部を所
定の粒度とSi濃度に調整することにより、Si濃度を板厚
方向で均一としなくとも十分な磁気特性が得られること
を見い出した。そして、このような傾向は特に高周波磁
気特性において顕著であることも判つた。
このため本発明では、CVD処理に続く拡散処理を、表
層Si濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よりも高い
状態にあるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方向で不均一
な鋼帯を得るようにしたものである。
このような方法によれば短時間の拡散熱処理により磁気
特性が十分確保された鋼帯を得ることができる。加え
て、このようにして得られた鋼帯は、厚みの中心部が低
Si濃度に維持されているため靭性が確保され、破断を適
切に防ぐことができる。
第4図は本発明法における鋼帯板厚方向のSi濃度分布の
変化を示すものであり、3%Si添加鋼の鋼帯を母材と
し、これをCVD処理−拡散処理した場合を示してい
る。(A)はCVD処理直後の状態を示しており、鋼帯表
面にはFe3Si相当(Si:14.5%)のSiが蒸着している。
本発明ではこのような鋼帯を(B)状態まで拡散熱処理
し、板厚方向でSi濃度が不均一な鋼帯で得る。(B)に示
す例では表層のSi濃度が6.5%になるまで拡散熱処理
が施されたものであり、板厚中心部はほぼ母材Si濃度た
る3%に維持されている。
このようにして得られる鋼帯は、拡散熱処理温度と処理
時間を選択して表層部を適切な粒径とSi濃度に調整する
ことにより優れた磁気特性、特に高周波磁気特性を確保
することができる。
この拡散処理は、鋼帯表面を酸化させない為に、無酸化
雰囲気中で行う必要があり、また高温で行うほど処理時
間が少なくて済む。
拡散処理は、一定温度で行つてもよいが、第3図のFe−
Si状態図から判るように、拡散の進行とともに鋼帯表層
部のSi濃度が減少しその融点が上がることから、拡散の
進行に伴い鋼帯を溶解させない程度に徐々に昇温させる
(例えば複数段階で昇温させる)ことにより、処理を短
時間で行うことができる。
このような拡散処理後、鋼帯(S)は冷却炉(4)で冷却さ
れ、しかる後捲取られる。鋼帯(S)は通常、常温ないし
300℃までの温間状態で捲取られる。一般に、Si含有
量が多く(例えば4.0%以上)、板厚が比較的厚い鋼
帯は温間で捲取るのが好ましい。
また本発明では、上記拡散処理−冷却後、鋼帯に連続的
に絶縁皮膜コーテイングを施し焼付処理後捲取るように
することができる。第2図はこのための連続処理ライン
を示すもので、(6)はコーテイング装置、(7)は焼付炉で
ある。
電磁鋼板は通常積層状態で使用され、この場合積層され
る各鋼板はそれぞれ絶縁される必要がある。このため電
磁鋼板には絶縁皮膜コーテイングが施される。
Si含有量が4.0%以上の鋼帯は、常温状態ではぜい性
材料であり、ほとんど塑性変形しない。このため絶縁皮
膜コーテイングをCVD処理ラインと別ラインで行つた
場合、コイルの捲戻し、捲取り時に鋼帯が破断するおそ
れがある。そこで、本発明は拡散処理−冷却後、鋼帯
(S)にコーテイング装置(6)で絶縁塗料を塗布し、次い
で塗装焼付炉(7)で焼付処理する。
絶縁塗料としては、無機系、有機系の適宜なものを用い
ることができる。無機系塗料としては、例えばリン酸マ
グネシウム、無水クロム酸、シリカゾル等が、また有機
系塗料としてはプラスチツク樹脂等が用いられる。塗料
はロールコータ方式、スプレー方式等により鋼帯(S)に
塗布され、無機系塗料の場合には約800℃程度、有機
系塗料の場合には200〜300℃程度で焼付処理す
る。
なお前記加熱炉(1)では無酸化加熱が行われるものであ
り、このため電気間接加熱、誘導加熱、ラジアントチユ
ーブ間接加熱、直火還元加熱等の加熱方式を単独または
適当に組み合せた加熱方法が採られる。なお、間接加熱
方式を採る場合、加熱に先立ち電気洗浄等の前処理が行
われる。前処理を含めた加熱方式として例えば次のよう
なものを採用できる。
前処理−〔予熱〕−電気間接加熱(または誘導加熱) 前処理−〔予熱〕−ラジアントチユーブ加熱−電気間
接加熱(または誘導加熱) 〔予熱〕−直火還元加熱−電気間接加熱(または誘導
加熱) 前処理−〔予熱〕−ラジアントチユーブ間接加熱(セ
ラミツクラジアントチユーブ方式) 〔予熱〕−直火還元加熱 また、冷却炉(4)での冷却方式に特に限定はなくガスジ
エツト冷却、ミスト冷却、放射冷却等の各種冷却方式を
単独または組合せた形で採用することができる。
本発明は、6.5%Si鋼帯のような珪素含有量が極めて高
い鋼帯の製造に好適なものであることは以上述べた通り
であるが、従来、圧延法で製造する場合に変形が多く歩
留りが悪かつたSi:2〜4%程度の高珪素鋼帯も容易に
製造できる利点がある。
〔実施例〕 実施例−1 小型のCVD処理炉を用い、CVD処理性に対するSiCl
4濃度及びCVD処理温度の影響を調べた。その結果を
第7図及び第8図に示す。
図中、Aが雰囲気法、すなわちノズル吹付を行わないで
CVD処理した場合、またBがノズル吹付法、すなわち
第5図に示すように雰囲気ガスを鋼帯面に0.5m/sの流速
で吹き付けつつCVD処理した場合を示す。なお、Si富
化割合とは、母材当初のSi量に対するCVD処理後のSi
量増加分を示す。
これによれば、SiCl4濃度5%以上、CVD処理温度102
3℃以上において大きなSi富化効果が得られている。ま
た同じ条件でも、吹付ノズルにより雰囲気ガスを吹付け
る方法の場合、単に雰囲気中で鋼帯を通板せしめる場合
に較べ格段に優れたSi富化効果(CVD処理性)が得
られていることが判る。
第9図は同様のCVD処理炉を用い、雰囲気法Aとノズ
ル吹付法Bの蒸着時間と鋼帯中Si濃度(母材Si量+蒸着
Si量)との関係を、Si:3%、板厚0.5mmの鋼帯をSiCl4
濃度21%、処理温度1150℃でCVD処理した場合
について調べたものである。なお、ノズル吹付法では、
スリツトノズルにより鋼帯に対し垂直方向から0.2Nm/se
cの流速で雰囲気ガスを吹付けた。同図から判るよう
に、6.5%Si鋼相当のSi蒸着量を得るために雰囲気法A
では7分かかるのに対し、ノズル吹付法Bでは1.5分で
処理することができた。
第10図はノズル吹付法における衝突ガス流速と鋼帯の
Si富化割合(第7図及び第8図と同様)との関係を示す
ものであり、所定レベルまでは衝突ガス流速に比例して
鋼帯のSi富化割合が増大している。
実施例−2 第1図に示す連続プロセスにより、それぞれ同量のSi蒸
着量で拡散処理時間を変えた鋼帯を製造し、これらの鋼
帯のSi拡散の度合い及び磁気特性を調べた。
具体的には板厚0.35mm、板幅900mmのSi3%含有鋼帯
を素材とし、ラインスピードを5〜50mpmの範囲で変
化させることにより拡散炉の通過時間を変え、CVD処
理(CVD処理温度1050〜1150℃)−拡散処理
を行つた。なお、ラインスピードの違いによつてSi蒸着
量が変化しないようにするため、ラインスピードに応じ
CVD雰囲気ガス中のSiCl4濃度(10〜30%)、及
びガス吹付ノズルからの雰囲気ガス吹付量を変え、Siの
蒸着量がラインスピードに関係なく一定となるよう調整
した。本実施例では母材を含めた平均Si濃度が6.5
wtとなるような蒸着量でSiを蒸着させ、また一連の処
理は第11図に示す熱サイクルで行つた。なお、拡散処
理時間が短い鋼帯については、表層部のSi量が非常に
多いことから、表層のヒビ割れを防止するため温間(25
0〜300℃)で巻取つた。
第12図はCVD処理ままの鋼帯及び拡散時間が各5
分、10分、20分、40分の上記鋼帯について、板厚
方向断面のSi濃度およびFe温度をXMAにより測定した
もので、約40分の拡散処理(1200℃)でほぼ均一
にSiが拡散されている。
第13図は上記と同様条件により拡散時間を変えて得ら
れたサンプルについて、磁気特性たる鉄損を測定した結
果を示すもので、拡散処理時間10分程度、すなわち第
12図(C)程度のSi拡散状態でSiを均一拡散させた場合
とぼぼ同等の十分に高い磁気特性が得られていることが
判る。
実施例−3 実施例−2と同様の素材鋼帯について、連続プロセスに
より各種SiCl4濃度の雰囲気でCVD処理をし、引き続
き1200℃×10分の拡散均熱処理を施し、ボイドの
残存度合いを調べた。その結果を第1表に示す。
このようにSiCl4濃度30%、35%ではボイドの残存
が認められた。そこで、SiCl4濃度30%、35%につ
いて、処理温度を、 A) 1200℃一定×10分 B) 1200℃×5分→1250℃×5分 C) 1200℃×3分→1250℃×3分→1280℃×4分 の3水準に設定して鋼帯を製造し、それらのボイド残存
を調査した。その結果を第2表に示する。
このように拡散処理条件を選択することによりSiCl4
5%でもある程度満足し得る製品が得られる。但し、実
際には若干の温度制御によりボイドを消滅させることが
できるSiCl4濃度30%以下が好ましい。
〔発明の効果〕
以上述べた本発明によれば、連続ラインにおいて短時間
のCVD処理及び拡散熱処理により優れた磁気特性の高
珪素鋼帯を得ることができ、また1200℃以下の温度
でCVD処理を行うため鋼帯の形状不良やエツジ部溶解
等の問題を生じさせることがなく、加えて磁気特性を損
うことなく鋼帯の靭性を向上させることができ、このよ
うなことからラインの長大化を招くことなく高品質の高
珪素鋼板を能率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図はそれぞれ本発明法を実施するための
連続処理ラインを示す説明図である。第3図はFe−Si系
状態図である。第4図(A)(B)は本発明の拡散熱処理にお
ける鋼帯板厚方向のSi濃度分布の変化を示すものであ
る。第5図及び第6図(イ)(ロ)はノズル吹付方式によるC
VD処理状況を示すもので、第5図は全体説明図、第6
図(イ)及び(ロ)はそれぞれノズル吹付方法を示す説明図で
ある。第7図はCVD処理におけるガス中SiCl4濃度と
鋼帯Si富化割合との関係、第8図はCVD処理温度と
鋼帯Si富化割合との関係をそれぞれ示すものである。第
9図は本発明におけるSi蒸着時間と鋼帯中Si濃度と
の関係を、雰囲気法及びノズル吹付法で比較して示した
ものである。第10図はノズル吹付法によるCVD処理
において、雰囲気ガスの鋼帯に対する衝突ガス流速と鋼
帯Si富化割合との関係を示すものである。第11図は
実施例で採つた熱サイクルを示すものである。第12図
(a)〜(e)は実施例における各供試材のSi濃度分布を示す
ものである。第13図は実施例における各供試材の磁気
特性を示すものである。 図において、(1)は加熱炉、(2)はCVD処理炉、(3)は
拡散処理炉、(4)は冷却炉、(6)はコーテイング装置、
(7)は焼付炉、(S)は鋼帯である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭45−21181(JP,B1) 特公 昭47−25564(JP,B1) 特公 昭53−42019(JP,B2)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼帯を無酸化性ガス雰囲気中で連続的に通
    板させつつ、SiCl4をmol分率で5〜35%含んだ無
    酸化性ガスを吹付ノズルから鋼帯面に吹き付けて102
    3〜1200℃の温度で連続的に滲珪処理し、次いでS
    iCl4を含まない無酸化性ガス雰囲気中でSiを鋼帯
    内部に拡散させる拡散処理するに当り、該拡散処理を、
    表層Si濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よりも高
    い状態にあるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方向で不
    均一な鋼帯を得ることを特徴とする連続ラインにおける
    高珪素鋼帯の製造方法。
  2. 【請求項2】鋼帯を無酸化性ガス雰囲気中で連続的に通
    板させつつ、SiCl4をmol分率で5〜35%含んだ無
    酸化性ガスを吹付ノズルから鋼帯面に吹き付けて102
    3〜1200℃の温度で連続的に滲珪処理し、次いでS
    iCl4を含まない無酸化性ガス雰囲気中でSiを鋼帯
    内部に拡散させる拡散処理するに当り、該拡散処理を、
    表層Si濃度が鋼帯厚み方向中心部のSi濃度よりも高
    い状態にあるうちに打ち切り、Si濃度が厚み方向で不
    均一な鋼帯を得、冷却後絶縁皮膜コーティング及び焼付
    処理することを特徴とする連続ラインにおける高珪素鋼
    帯の製造方法。
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