JPH064511B2 - 耐熱低膨脹リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体およびその製造方法 - Google Patents
耐熱低膨脹リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体およびその製造方法Info
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- JPH064511B2 JPH064511B2 JP62129874A JP12987487A JPH064511B2 JP H064511 B2 JPH064511 B2 JP H064511B2 JP 62129874 A JP62129874 A JP 62129874A JP 12987487 A JP12987487 A JP 12987487A JP H064511 B2 JPH064511 B2 JP H064511B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は低膨脹セラミックスおよびその製造方法に関す
るもので、更にくわしくは、耐熱衝撃性、耐熱性に優れ
たリン酸ジルコニル・ジルコン系低膨脹セラミックスお
よびその製造方法に関するものである。
るもので、更にくわしくは、耐熱衝撃性、耐熱性に優れ
たリン酸ジルコニル・ジルコン系低膨脹セラミックスお
よびその製造方法に関するものである。
(従来の技術) 近年工業技術の進歩に従い、耐熱性、耐熱衝撃性に優れ
た材料の要求が増加している。セラミックスの耐熱衝撃
性は、材料の熱膨脹率、熱伝導率、強度、弾性率、ポア
ソン比等の特性に影響されると共に、製品の大きさや形
状、さらに加熱、冷却状態即ち熱移動速度にも影響され
る。
た材料の要求が増加している。セラミックスの耐熱衝撃
性は、材料の熱膨脹率、熱伝導率、強度、弾性率、ポア
ソン比等の特性に影響されると共に、製品の大きさや形
状、さらに加熱、冷却状態即ち熱移動速度にも影響され
る。
耐熱衝撃性に影響するこれらの諸因子のうち特許に熱膨
脹係数の寄与率が大であり、とりわけ、熱移動速度が大
であるときには熱膨脹係数のみに大きく左右されること
が知られており、耐熱衝撃性に優れた低膨脹材料の開発
が強く望まれている。
脹係数の寄与率が大であり、とりわけ、熱移動速度が大
であるときには熱膨脹係数のみに大きく左右されること
が知られており、耐熱衝撃性に優れた低膨脹材料の開発
が強く望まれている。
(発明が解決しようとする問題点) 従来、40℃から800℃の間の熱膨脹係数が、5〜20×10
-7(1/)℃程度の比較的低膨脹なセラミック材料として
コージェライト(MAS)、リチウム・アルミニウム・シリ
ケート(LAS)等があるが、その融点は前者が1450℃、後
者が1423℃と低く例えば自動車用触媒浄化装置の触媒担
体に用いるセラミックハニカムの場合、触媒の浄化効率
を高めるために触媒コンバーターの装着位置を従来のア
ンダーベッドからエンジン近傍に変更するか、または燃
費向上、出力向上を目的としてターボチャージャーを装
着する等の設計変更により、排気ガス温度が従来より上
昇し、それに伴ない触媒床温度も100〜200℃上昇するた
め、融点が高いコージェライト質ハニカム担体でも溶融
による目詰りが起る可能性があることがわかり、コージ
ェライトと同等以上の耐熱衝撃性をもち耐熱性が優れた
低膨脹材料の開発が強く望まれていた。
-7(1/)℃程度の比較的低膨脹なセラミック材料として
コージェライト(MAS)、リチウム・アルミニウム・シリ
ケート(LAS)等があるが、その融点は前者が1450℃、後
者が1423℃と低く例えば自動車用触媒浄化装置の触媒担
体に用いるセラミックハニカムの場合、触媒の浄化効率
を高めるために触媒コンバーターの装着位置を従来のア
ンダーベッドからエンジン近傍に変更するか、または燃
費向上、出力向上を目的としてターボチャージャーを装
着する等の設計変更により、排気ガス温度が従来より上
昇し、それに伴ない触媒床温度も100〜200℃上昇するた
め、融点が高いコージェライト質ハニカム担体でも溶融
による目詰りが起る可能性があることがわかり、コージ
ェライトと同等以上の耐熱衝撃性をもち耐熱性が優れた
低膨脹材料の開発が強く望まれていた。
また比較的低熱膨脹で、耐熱性の高いセラミックスとし
ては、ムライト(3A12O3・2SiO2、熱膨脹係数:53×10-7
/℃、融点:1750℃)、ジルコン(ZrO2・SiO2、熱膨脹係
数:42×10-7/℃、融点:1720℃)しかなく、共に熱膨
脹係数が高く、耐熱衝撃性が低い欠点を有している。
ては、ムライト(3A12O3・2SiO2、熱膨脹係数:53×10-7
/℃、融点:1750℃)、ジルコン(ZrO2・SiO2、熱膨脹係
数:42×10-7/℃、融点:1720℃)しかなく、共に熱膨
脹係数が高く、耐熱衝撃性が低い欠点を有している。
さらに、リン酸ジルコニルを主成分とする低膨脹セラミ
ックスの公知例としては、特公昭61-12867号公報に示さ
れるSiO2/Nb2O5:1〜8モル比混合物を2〜10モル%
とAl2O3を1〜6モル%含む高強度燐酸ジルコニル焼結
体や、特開昭60-21853号公報に示されるリン酸マグネシ
ウムを焼結助剤として0.5〜6重量%含有するリン酸ジ
ルコニウム低膨脹磁器、特開昭61-219753号公報に示さ
れる焼結促進剤としてのZnO,MgO,Bi2O3,MnO2,Co
2O3,NiO,TiO2,CeO2,Nb2O5またはTa2O5の組と粒成長
抑制剤としてのSiO2または珪酸塩との組との各組から1
種以上合計2種以上の0.3〜10重量%、各組0.1重量以上
を添加する低熱膨脹性リン酸ジルコニルセラミックスの
製造法さらに名古屋工学大学窯業技術研究施設年報9
P.23〜30(1982)に示される、MgO,MnO2,Fe2O3,Zn
O等の添加剤を2重量%含有するリン酸ジルコニウムセ
ラミックスがあるが、いずれもジルコンを主たる第二相
として含有せず、その焼結機構が低融点の液相を生成す
ることによる液相焼結のため耐熱性に難があり、上述し
た要望を満たすことができなかった。
ックスの公知例としては、特公昭61-12867号公報に示さ
れるSiO2/Nb2O5:1〜8モル比混合物を2〜10モル%
とAl2O3を1〜6モル%含む高強度燐酸ジルコニル焼結
体や、特開昭60-21853号公報に示されるリン酸マグネシ
ウムを焼結助剤として0.5〜6重量%含有するリン酸ジ
ルコニウム低膨脹磁器、特開昭61-219753号公報に示さ
れる焼結促進剤としてのZnO,MgO,Bi2O3,MnO2,Co
2O3,NiO,TiO2,CeO2,Nb2O5またはTa2O5の組と粒成長
抑制剤としてのSiO2または珪酸塩との組との各組から1
種以上合計2種以上の0.3〜10重量%、各組0.1重量以上
を添加する低熱膨脹性リン酸ジルコニルセラミックスの
製造法さらに名古屋工学大学窯業技術研究施設年報9
P.23〜30(1982)に示される、MgO,MnO2,Fe2O3,Zn
O等の添加剤を2重量%含有するリン酸ジルコニウムセ
ラミックスがあるが、いずれもジルコンを主たる第二相
として含有せず、その焼結機構が低融点の液相を生成す
ることによる液相焼結のため耐熱性に難があり、上述し
た要望を満たすことができなかった。
本発明の目的は上述した不具合を解消して、高い耐熱性
と低い熱膨脹係数を有するリン酸ジルコニル・ジルコン
複合焼結体およびその製造方法を提供しようとするもの
である。
と低い熱膨脹係数を有するリン酸ジルコニル・ジルコン
複合焼結体およびその製造方法を提供しようとするもの
である。
(問題点を解決するための手段) 本発明の耐熱低膨脹リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼
結体は、化学組成がZrO258.8〜65.3重量%、P2O517.6〜
37.1重量%、SiO21.5〜16.4重量%、Nb2O50.1〜4重量
%で、主たる結晶相としてリン酸ジルコニル、第二結晶
相としてジルコンを含み、室温から1400℃までの熱膨脹
係数が30×10-7/℃以下、融点が1600℃以上であること
を特徴とするものである。
結体は、化学組成がZrO258.8〜65.3重量%、P2O517.6〜
37.1重量%、SiO21.5〜16.4重量%、Nb2O50.1〜4重量
%で、主たる結晶相としてリン酸ジルコニル、第二結晶
相としてジルコンを含み、室温から1400℃までの熱膨脹
係数が30×10-7/℃以下、融点が1600℃以上であること
を特徴とするものである。
また、本発明のリン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体
の製造方法は、リン酸ジルコニル((ZrO)2P2O7)にジルコ
ン(ZrSiO4)を5〜50重量%添加したバッチ混合物100部
にNb2O5を0.1〜4部添加混合して焼結することにより、
主たる結晶相がリン酸ジルコニル、第二結晶相としてジ
ルコリンを含み、室温から1400℃までの熱膨脹係数が30
×10-7/℃以下、融点が1600℃以上のリン酸ジルコニル
・ジルコン複合焼結体を得ることを特徴とするものであ
る。
の製造方法は、リン酸ジルコニル((ZrO)2P2O7)にジルコ
ン(ZrSiO4)を5〜50重量%添加したバッチ混合物100部
にNb2O5を0.1〜4部添加混合して焼結することにより、
主たる結晶相がリン酸ジルコニル、第二結晶相としてジ
ルコリンを含み、室温から1400℃までの熱膨脹係数が30
×10-7/℃以下、融点が1600℃以上のリン酸ジルコニル
・ジルコン複合焼結体を得ることを特徴とするものであ
る。
(作用) 上述した構成において、耐熱性が高く比較的低膨脹であ
るジルコン(ZrSiO4)を低膨脹セラミックスであるリン酸
ジルコニル((ZrO)2P2O7)に共存させ複合体としたもの
で、40〜1400℃までの熱膨脹係数が30×10-7/℃以下
で、融点が1600℃以上であり耐熱性と耐熱衝撃性に優れ
たセラミックスを得ることができる。
るジルコン(ZrSiO4)を低膨脹セラミックスであるリン酸
ジルコニル((ZrO)2P2O7)に共存させ複合体としたもの
で、40〜1400℃までの熱膨脹係数が30×10-7/℃以下
で、融点が1600℃以上であり耐熱性と耐熱衝撃性に優れ
たセラミックスを得ることができる。
リン酸ジルコニルに共存させるジルコンは、リン酸ジル
コニルの難焼結性を補って、焼結を促進する。またリン
酸ジルコニルはアルカリ・アルカリ土類金属酸化物と低
融点の液相を生じ易いため、これら不純物が共存すると
異常粒成長を起して低強度の焼結体となったり、高温で
の軟化変形を起すことがあるが、ジルコンを共存させる
ことによりこの異常粒成長や高温での軟化変形を抑制で
きる。ジルコンを共存させた焼結体に於いてNb2O5をさ
らに添加することにより、耐熱性を低下させることな
く、開気孔率を低減させ強度を向上させることができ
る。
コニルの難焼結性を補って、焼結を促進する。またリン
酸ジルコニルはアルカリ・アルカリ土類金属酸化物と低
融点の液相を生じ易いため、これら不純物が共存すると
異常粒成長を起して低強度の焼結体となったり、高温で
の軟化変形を起すことがあるが、ジルコンを共存させる
ことによりこの異常粒成長や高温での軟化変形を抑制で
きる。ジルコンを共存させた焼結体に於いてNb2O5をさ
らに添加することにより、耐熱性を低下させることな
く、開気孔率を低減させ強度を向上させることができ
る。
本発明の製造法において、リン酸ジルコニルにジルコン
を5〜50重量%添加すると限定する理由は、ジルコンが
5重量%未満であると所定の強度を得ることができない
とともに、50重量%を超えると熱膨脹係数が大になるた
めで、5〜35重量%の範囲がより好ましい。
を5〜50重量%添加すると限定する理由は、ジルコンが
5重量%未満であると所定の強度を得ることができない
とともに、50重量%を超えると熱膨脹係数が大になるた
めで、5〜35重量%の範囲がより好ましい。
本発明の耐熱低膨脹セラミックスに含まれるアルカリ・
アルカリ土類金属酸化物の合量は、0.5重量%以下であ
ることが耐熱性を改善できるため好ましい。そのため、
用いる原料としては、焼結体中のアルカリ・アルカリ土
類金属酸化物量を限定するためにアルカリ・アルカリ土
類金属酸化物の含量がそれぞれ0.5重量%以下である、
リン酸ジルコニル原料、ジルコン原料およびNb2O5原料
が好ましい。
アルカリ土類金属酸化物の合量は、0.5重量%以下であ
ることが耐熱性を改善できるため好ましい。そのため、
用いる原料としては、焼結体中のアルカリ・アルカリ土
類金属酸化物量を限定するためにアルカリ・アルカリ土
類金属酸化物の含量がそれぞれ0.5重量%以下である、
リン酸ジルコニル原料、ジルコン原料およびNb2O5原料
が好ましい。
リン酸ジルコニル原料のZrO2/P2O5モル比は1.80〜2.00
であることが好ましい。このようなモル比に限定したリ
ン酸ジルコニル原料を用いることにより、焼結体中のm-
ZrO2の析出を抑制することができ、焼結体の熱膨脹係数
を小さくでき、さらに析出したm-ZrO2の相変態による異
常膨張収縮を抑制できる。析出したm−ZrO2の異常膨脹
収縮は、約1000℃の温度で可逆的に起るため、熱サイク
ル下での使用時に焼結体に損傷を与え、低強度化、マイ
クロクラックの生長による寸法変化を起し実用上非常に
有害である。
であることが好ましい。このようなモル比に限定したリ
ン酸ジルコニル原料を用いることにより、焼結体中のm-
ZrO2の析出を抑制することができ、焼結体の熱膨脹係数
を小さくでき、さらに析出したm-ZrO2の相変態による異
常膨張収縮を抑制できる。析出したm−ZrO2の異常膨脹
収縮は、約1000℃の温度で可逆的に起るため、熱サイク
ル下での使用時に焼結体に損傷を与え、低強度化、マイ
クロクラックの生長による寸法変化を起し実用上非常に
有害である。
(実施例) 以下本発明の実施例について説明する。
第1表に記載する調合割合に従って予め粒度調整され
た、リン酸ジルコニル、ジルコン、マグネシア、ムライ
ト、リン酸アルミニウム、アルミナ、スピネル、カオリ
ン、Nb2O5を混合した。リン酸ジルコニルの粒度調整に
は、直径約5mmのZrO2焼結体玉石を充填した振動ミル、
ポットミルまたはアトライターを使用した。ZrO2焼結体
玉石はMgOで安定化されたものとY2O3で安定化されたも
のを使用した。使用した玉石の化学組成を第2表に示
す。また用いた原料の化学分析値を第3表に示す。
た、リン酸ジルコニル、ジルコン、マグネシア、ムライ
ト、リン酸アルミニウム、アルミナ、スピネル、カオリ
ン、Nb2O5を混合した。リン酸ジルコニルの粒度調整に
は、直径約5mmのZrO2焼結体玉石を充填した振動ミル、
ポットミルまたはアトライターを使用した。ZrO2焼結体
玉石はMgOで安定化されたものとY2O3で安定化されたも
のを使用した。使用した玉石の化学組成を第2表に示
す。また用いた原料の化学分析値を第3表に示す。
第1表に示す調合物を混合物100重量部に10%PVA水溶液
を5重量部添加して充分に混合し、25×80×6mmの金型
にて100kg/cm2の圧力でプレス成形後、2ton/cm2の圧力
にてラバープレスを行ない乾燥させた。この成形体を乾
燥後、大気中電気炉にて第1表に示す条件にて焼成し
た。昇温速度は5℃/h〜1,700であった。焼成後、この
焼結体をJIS R1601(1981)に示される3×4×40mmの
抗折試験片に加工し,40〜1400℃までの熱膨脹係数、4
点曲強度、自重軟化量、開気孔率、融点を測定した。熱
膨脹係数の測定には、高純度アルミナ焼結体を用いた押
棒示差式熱膨脹計を使用した。測定温度範囲は40〜1400
℃である。4点曲強度はJIS R 1602に示される方法に従
って測定した。自重軟化量は、第7図に示される30mmの
巾の支えの間に、前記3×4×40mmの抗折試験片を置き
大気中にて1300℃×5hの熱処理を行ないその時の自重
変形量Δxを測定することにより次式にて求めた。
を5重量部添加して充分に混合し、25×80×6mmの金型
にて100kg/cm2の圧力でプレス成形後、2ton/cm2の圧力
にてラバープレスを行ない乾燥させた。この成形体を乾
燥後、大気中電気炉にて第1表に示す条件にて焼成し
た。昇温速度は5℃/h〜1,700であった。焼成後、この
焼結体をJIS R1601(1981)に示される3×4×40mmの
抗折試験片に加工し,40〜1400℃までの熱膨脹係数、4
点曲強度、自重軟化量、開気孔率、融点を測定した。熱
膨脹係数の測定には、高純度アルミナ焼結体を用いた押
棒示差式熱膨脹計を使用した。測定温度範囲は40〜1400
℃である。4点曲強度はJIS R 1602に示される方法に従
って測定した。自重軟化量は、第7図に示される30mmの
巾の支えの間に、前記3×4×40mmの抗折試験片を置き
大気中にて1300℃×5hの熱処理を行ないその時の自重
変形量Δxを測定することにより次式にて求めた。
自重軟化率=Δx/l×100(%) 開気孔率はアルキメデス法により測定した。融点は、3
×4×5mmの形状に切出した焼結体を1650℃の電気炉中
にて10分間熱処理し、溶融するかどうかを目視にて判断
した。また焼結体の結晶相量は、ジルコン(ZrSiO4)の(1
01)面反射ピーク及びリン酸ジルコニル*(β(ZrO)2P2O
7)の(002)面反射ピーク値を用いて定量した。その他の
異種結晶相については、その有無のみをX線回折図形に
より同定した。
×4×5mmの形状に切出した焼結体を1650℃の電気炉中
にて10分間熱処理し、溶融するかどうかを目視にて判断
した。また焼結体の結晶相量は、ジルコン(ZrSiO4)の(1
01)面反射ピーク及びリン酸ジルコニル*(β(ZrO)2P2O
7)の(002)面反射ピーク値を用いて定量した。その他の
異種結晶相については、その有無のみをX線回折図形に
より同定した。
*Communication of the American Ceramic Society,C-
80(1984) 第1表に示す実施例1〜8、比較例10〜23の結果より、
ZrO258.8〜65.3重量%、P2O517.6〜37.1重量%、SiO21.
5〜16.4重量%、Nb2O50.1〜4重量%の範囲で主たる結
晶相としてリン酸ジルコニル、第二結晶相としてジルコ
ンを含む場合に、本発明の目的である室温から1400℃ま
での熱膨脹係数が30×10-7/℃以下、融点が1600℃以上
の焼結体が得られた。またそのような結晶体はリン酸ジ
ルコニルにジルコンを5〜50重量%添加したバッチ混合
物100部にNb2O5を0.1〜4部加えた調合割合の混合物を
第1表に示す焼成条件にて焼結させた時に得られた。第
1図にジルコン添加量と熱膨脹係数の関係を、第2図に
ジルコン添加量と4点強度の関係を示す。
80(1984) 第1表に示す実施例1〜8、比較例10〜23の結果より、
ZrO258.8〜65.3重量%、P2O517.6〜37.1重量%、SiO21.
5〜16.4重量%、Nb2O50.1〜4重量%の範囲で主たる結
晶相としてリン酸ジルコニル、第二結晶相としてジルコ
ンを含む場合に、本発明の目的である室温から1400℃ま
での熱膨脹係数が30×10-7/℃以下、融点が1600℃以上
の焼結体が得られた。またそのような結晶体はリン酸ジ
ルコニルにジルコンを5〜50重量%添加したバッチ混合
物100部にNb2O5を0.1〜4部加えた調合割合の混合物を
第1表に示す焼成条件にて焼結させた時に得られた。第
1図にジルコン添加量と熱膨脹係数の関係を、第2図に
ジルコン添加量と4点強度の関係を示す。
さらに、焼結体中のアルカリ・アルカリ土類酸化物の合
量が0.5%を超えると1300℃での自重軟化率が増大し、
耐熱性が低下することが、リン酸ジルコニル・ジルコン
複合焼結体の1300℃における自重軟化率とアルカリ・ア
ルカリ土類酸化物合量との関係を示す第3図、自重軟化
率とNb2O5含量との関係を示す第4図より明らかであ
る。このような焼結体を得るためには、リン酸ジルコニ
ル、ジルコン原料及びNb2O5原料に含まれるアルカリ・
アルカリ土類金属酸化物の合量が0.5重量%以下である
ことが必要である。
量が0.5%を超えると1300℃での自重軟化率が増大し、
耐熱性が低下することが、リン酸ジルコニル・ジルコン
複合焼結体の1300℃における自重軟化率とアルカリ・ア
ルカリ土類酸化物合量との関係を示す第3図、自重軟化
率とNb2O5含量との関係を示す第4図より明らかであ
る。このような焼結体を得るためには、リン酸ジルコニ
ル、ジルコン原料及びNb2O5原料に含まれるアルカリ・
アルカリ土類金属酸化物の合量が0.5重量%以下である
ことが必要である。
また、リン酸ジルコニル原料のZrO2とP2O5のモル比を1.
80〜2.00の範囲に制御することも重要で、この値が2.00
を超えると単結晶のZrO2が析出し焼結体の熱膨脹係数を
増大させたり、単結晶ZrO2の正方晶への相変態による急
激な収縮や、正方晶から単傾斜へ相変態するときの急激
な膨脹のために焼結体に重大なダメージを与えるため、
実用上使用できない。また、この値が1.80より小である
場合には(ZrO)2P2O7相の析出が充分でないため、焼結体
の熱膨脹係数が増大し、低膨脹材料として使用できな
い。第5図にZrO2/P2O5モル比と熱膨脹係数との関係を
示す。
80〜2.00の範囲に制御することも重要で、この値が2.00
を超えると単結晶のZrO2が析出し焼結体の熱膨脹係数を
増大させたり、単結晶ZrO2の正方晶への相変態による急
激な収縮や、正方晶から単傾斜へ相変態するときの急激
な膨脹のために焼結体に重大なダメージを与えるため、
実用上使用できない。また、この値が1.80より小である
場合には(ZrO)2P2O7相の析出が充分でないため、焼結体
の熱膨脹係数が増大し、低膨脹材料として使用できな
い。第5図にZrO2/P2O5モル比と熱膨脹係数との関係を
示す。
第6図に実施例3のリン酸ジルコニル・ジルコン複合焼
結体のX線回折図形を示す。液晶相の主成分がリン酸ジ
ルコニル、第二結晶相がジルコンであることが分かる。
結体のX線回折図形を示す。液晶相の主成分がリン酸ジ
ルコニル、第二結晶相がジルコンであることが分かる。
第7図は実施例3のリン酸ジルコニル・ジルコン複合焼
結体の熱膨脹曲線で室温から1400℃まで、軟化を起こし
ていない様子が分る。
結体の熱膨脹曲線で室温から1400℃まで、軟化を起こし
ていない様子が分る。
(発明の効果) 以上詳細に説明したところから明らかなように、本発明
の耐熱低膨脹リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体お
よびその製造法によれば、ZrO258.8〜65.3重量%、P2O5
17.6〜37.1重量%、SiO21.5〜16.4重量%、Nb2O50.1〜
4重量%の化学組成で、主たる結晶相としてリン酸ジル
コニル、第二結晶相としてジルコンを含ませることによ
り、室温から1400℃までの温度範囲で30×10-7/℃以下
の低膨脹性と、1600℃以上の融点を有する耐熱低膨脹セ
ラミックスを得ることができる。
の耐熱低膨脹リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体お
よびその製造法によれば、ZrO258.8〜65.3重量%、P2O5
17.6〜37.1重量%、SiO21.5〜16.4重量%、Nb2O50.1〜
4重量%の化学組成で、主たる結晶相としてリン酸ジル
コニル、第二結晶相としてジルコンを含ませることによ
り、室温から1400℃までの温度範囲で30×10-7/℃以下
の低膨脹性と、1600℃以上の融点を有する耐熱低膨脹セ
ラミックスを得ることができる。
そのためその応用範囲は耐熱衝撃性の要求される低膨脹
材料として広く、例えば押出成形等によりハニカム構造
体に成形した場合には回転蓄熱式セラミック熱交換体
や、伝熱式熱交換体、さらに、泥漿鋳込成形法やプレス
成形法、射出成形法等により成形されるセラミックター
ボチャージャーローター用ハウジングまたはエンジンマ
ニホールド内の断熱材等、充分な実用性を備えている。
材料として広く、例えば押出成形等によりハニカム構造
体に成形した場合には回転蓄熱式セラミック熱交換体
や、伝熱式熱交換体、さらに、泥漿鋳込成形法やプレス
成形法、射出成形法等により成形されるセラミックター
ボチャージャーローター用ハウジングまたはエンジンマ
ニホールド内の断熱材等、充分な実用性を備えている。
第1図、はリン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の熱
膨脹係数のジルコン添加量依存性を示す図、 第2図は、リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の4
点曲強度のジルコン添加量依存性を示す図、 第3図は、リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の13
00℃における自重軟化率と、アルカリ・アルカリ土類酸
化物合量との関係を示す図、 第4図は、リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の13
00℃に於ける自重軟化率とNb2O5添加量との関係を示す
図、 第5図は、リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の製
造に用いるリン酸ジルコニル原料のZrO2/P2O5モル比と
リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の熱膨脹係数の
関係を示す図、 第6図は、実施例3のリン酸ジルコニル・ジルコン複合
焼結体のX線回折図形を示す図、 第7図は、実施例3のリン酸ジルコニル・ジルコン複合
焼結体の熱膨脹曲線を示す図、 第8図は自重軟化率の測定方法を示す図である。
膨脹係数のジルコン添加量依存性を示す図、 第2図は、リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の4
点曲強度のジルコン添加量依存性を示す図、 第3図は、リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の13
00℃における自重軟化率と、アルカリ・アルカリ土類酸
化物合量との関係を示す図、 第4図は、リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の13
00℃に於ける自重軟化率とNb2O5添加量との関係を示す
図、 第5図は、リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の製
造に用いるリン酸ジルコニル原料のZrO2/P2O5モル比と
リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の熱膨脹係数の
関係を示す図、 第6図は、実施例3のリン酸ジルコニル・ジルコン複合
焼結体のX線回折図形を示す図、 第7図は、実施例3のリン酸ジルコニル・ジルコン複合
焼結体の熱膨脹曲線を示す図、 第8図は自重軟化率の測定方法を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】化学組成がZrO258.8〜65.3重量%、P2O51
7.6〜37.1重量%、SiO21.5〜16.4重量%、Nb2O50.1〜4
重量%で、主たる結晶相としてリン酸ジルコニル、第二
結晶相としてジルコンを含み、室温から1400℃までの熱
膨脹係数が30×10-7/℃以下、融点が1600℃以上である
ことを特徴とする耐熱低膨脹リン酸ジルコニル・ジルコ
ン複合焼結体。 - 【請求項2】化学組成がZrO258.8〜64.7重量%、P2O52
2.7〜37.1重量%、SiO21.5〜11.5重量%、Nb2O50.1〜4
重量%で、主たる結晶相としてリン酸ジルコニル、第二
結晶相としてジルコンを含み、室温から1400℃までの熱
膨脹係数が20×10-7/℃以下である特許請求の範囲第1
項記載の耐熱低膨脹リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼
結体。 - 【請求項3】アルカリ・アルカリ土類金属酸化物の合量
が0.5重量%以下である特許請求の範囲第1項記載の耐
熱低膨脹リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体。 - 【請求項4】リン酸ジルコニル((ZrO)2P2O7)にジルコン
(ZrSiO4)を5〜50重量%添加したバッチ混合物100部にN
b2O5を0.1〜4部添加混合して焼結することにより、主
たる結晶相がリン酸ジルコニル、第二結晶相としてジル
コンを含み、室温から1400℃までの熱膨脹係数が30×10
-7/℃以下、融点が1600℃以上のリン酸ジルコニル・ジ
ルコン複合焼結体を得ることを特徴とするリン酸ジルコ
ニル・ジルコン複合焼結体の製造方法。 - 【請求項5】ジルコンの添加量が5〜35重量%であり、
室温から1400℃までの熱膨脹係数が20×10-7/℃以下で
ある特許請求の範囲第4項記載のリン酸ジルコニル・ジ
ルコン複合焼結体の製造方法。 - 【請求項6】アルカリ・アルカリ土類金属酸化物の含量
がそれぞれ0.5重量%以下であるリン酸ジルコニル、ジ
ルコン原料およびNb2O5原料を用いる特許請求の範囲第
4項記載のリン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の製
造方法。 - 【請求項7】リン酸ジルコニル原料のZrO2/P2O5モル比
が1.80〜2.00の値である特許請求の範囲第4項記載のリ
ン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体の製造方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62129874A JPH064511B2 (ja) | 1987-05-28 | 1987-05-28 | 耐熱低膨脹リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体およびその製造方法 |
US07/094,743 US4883781A (en) | 1986-09-13 | 1987-09-09 | Heat resisting low expansion zirconyl phosphate-zircon composite |
EP87308063A EP0260893B1 (en) | 1986-09-13 | 1987-09-11 | Heat resisting low expansion zirconyl phosphate-zircon composite bodies and process for producing the same |
DE8787308063T DE3778102D1 (de) | 1986-09-13 | 1987-09-11 | Waermebestaendige zirkonylphosphat-zirkoniumsilikat-verbundkoerper mit niedriger ausdehnung und verfahren zu ihrer herstellung. |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62129874A JPH064511B2 (ja) | 1987-05-28 | 1987-05-28 | 耐熱低膨脹リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63297269A JPS63297269A (ja) | 1988-12-05 |
JPH064511B2 true JPH064511B2 (ja) | 1994-01-19 |
Family
ID=15020443
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62129874A Expired - Lifetime JPH064511B2 (ja) | 1986-09-13 | 1987-05-28 | 耐熱低膨脹リン酸ジルコニル・ジルコン複合焼結体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH064511B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7341970B2 (en) * | 2004-03-31 | 2008-03-11 | Corning Incorporated | Low thermal expansion articles |
CN114671679B (zh) * | 2022-04-11 | 2023-04-18 | 武汉科技大学 | 一种焦磷酸锆复相陶瓷材料及其制备方法 |
-
1987
- 1987-05-28 JP JP62129874A patent/JPH064511B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63297269A (ja) | 1988-12-05 |
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