JPH0644815U

JPH0644815U - 構造用多機能パネル

Info

Publication number: JPH0644815U
Application number: JP7920792U
Authority: JP
Inventors: 橋茂信高; 井正夫石; 村良夫松
Original assignee: Kaneka Corp
Current assignee: Kaneka Corp
Priority date: 1992-11-17
Filing date: 1992-11-17
Publication date: 1994-06-14

Abstract

(57)【要約】【目的】結露によるパネル内の断熱材の破壊を防止
し、長期にわたり適性な断熱効果を維持でき、壁、床、
屋根などに用いて好適な構造用多機能パネルを提供する
こと。【構成】発泡合成樹脂からなる板状の断熱材１１と該
断熱材１１の両面に貼着される構造用合板１２、１３と
を備え、土台１５上に端部同士を突き合わせて建並べる
ことによって、自立する建築物の壁を構成でき、かつ建
築物の壁上に端部同士を突き合わせて配置することによ
って、それ自体で荷重負担可能な天井あるいは床を構成
できる構造用多機能パネル１０において、前記一方の構
造用合板１２に、複数個の小孔２２を形成するととも
に、防湿層３３および透湿層３４を配設する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は構造用多機能パネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】

木造建築物などでは、建物内部の気密性・断熱性を高めるため、発泡合成樹脂などからなる断熱材が広く使用されている。

【０００３】一方、木造建築物の施工作業の簡略化を図るとの観点から、断熱材の両面に合板などの板材を接合し、パネル化したものが開発され、実用化されている。このようなパネルを、特に両面の合板に所定の強度を持たせて形成すれば、従来必要であった柱、根太など木造建築物の構造部材を使用しないで壁面、床面などを構築することができる。

【０００４】また、このようなパネルを用いた工法によれば、これら構造部材を省略できるばかりでなく、組立が容易で大工技能が殆ど不要になり、工期の短縮化が図れ、しかもパネルの一貫生産によりコスト低減を図れるといった利点がある。

【０００５】図６はこのような従来の構造用多機能パネルを示したものである。このパネル１は、発泡ポリスチレンからなる断熱材２を芯材とし、その両面に、所定の強度をもった合板３、３が貼着されている。

【０００６】このようなパネル１と１とを合致させる場合には、図７に示したように、端部同士を突き合わせるとともに副板４、４が断熱材２の隙間に差し渡されて両者間が接合されている。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、このようなパネル１では、一般に両側の板材３、３が同一の部材から形成されている。また、板材３の透湿抵抗と断熱材２の透湿抵抗の大小は、何ら考慮されておらず、場合によっては、板材３の透湿抵抗の方が断熱材２のそれよりも大きい場合がある。

【０００８】このため、このようなパネル１を建築物に組み込んだ場合、冬期等には、以下のような問題がある。すなわち、冬期等には、室内側が屋外側に比べて高温、多湿になっている。したがって、室内側の水蒸気は内側の板材３’を通って外方に発散される傾向にある。しかしながら、板材３’、３の透湿抵抗が芯材である断熱材２の透湿抵抗に比べて大きいと、一旦、室内側の合板３’を通過してしまった水蒸気は断熱材２内に留まり、外方に発散することができない。したがって、温度が冷えた夜間などに、この断熱材２内で水蒸気が結露してしまう恐れがある。

【０００９】本考案は上記実情に鑑み、結露によるパネル内の断熱材の破壊を防止し、長期にわたり適性な断熱効果を維持でき、壁、床、屋根などに用いて好適な構造用多機能パネルを提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決しようとする手段】

上記目的を達成するため、本考案に係る第１の構造用多機能パネルでは、発泡合成樹脂からなる板状の断熱材と該断熱材の両面に貼着される構造用板材とを備え、土台上に端部同士を突き合わせて建並べることによって、自立する建築物の壁を構成し、かつ建築物の壁上に端部同士を突き合わせて配置することによって、それ自体で荷重負担可能な天井あるいは床を構成する構造用多機能パネルにおいて、前記一方の構造用板材に、複数個の小孔を形成したことを特徴としている。

【００１１】また、本考案に係る第２の構造用多機能パネルでは、上記第１の基本構成に加えて、前記小孔を設けた構造用板材と前記断熱材との間に、空気を透し難く水蒸気を透しやすい透湿層を配設したことを特徴としている。

【００１２】また、本考案に係る第３の構造用多機能パネルでは、上記第１、第２の基本構成に加えて、前記小孔が形成されていない側の構造用板材と前記断熱材との間に、水蒸気を透し難い防湿層を介在させたことを特徴としている。

【００１３】

【作用】

上記第１の構成によれば、室内が高温多湿になって室内側の水蒸気が一方の構造用板材を介して中央の断熱材内に侵入しても、その水蒸気は、他方の構造用板材に形成された複数の小孔を通って速やかに外方に発散される。これにより、パネル内に水蒸気が留まる恐れがない。

【００１４】また、第２の構造用多機能パネルでは、断熱材の室外側に透湿層が配置されるので、断熱材の表面近くにある水蒸気がこの透湿層内に導かれ、小孔を介して外方に放出される。

【００１５】また、第３の構造用多機能パネルでは、断熱材の室内側に防湿層が配置されるので、例え室内側から水蒸気がパネルの板材内に侵入したとしても、その水蒸気は、板材を通った時点で防湿層に突き当たり、それ以上の浸透が防止される。これにより、断熱材の内部への水蒸気の侵入そのものを防止できる。

【００１６】したがって、これらのパネルを長期にわたり使用しても、断熱材内で結露が発生するおそれはなく、これにより気密性に優れた高断熱の建物の提供に寄与することができる。

【００１７】また、このパネルは、それ自体で壁、床、屋根などの構成材となるので例えば壁パネルとして用いた場合には、柱、間柱などの構造用部材が不要になり、大工技能を殆ど不要にできるとともに、工期の短縮化が図れる。

【００１８】また、パネルの組合せにより自由な設計も可能である。

【００１９】

【実施例】

以下、図面に示した実施例を参照しながら本考案を説明する。図１は、本考案の一実施例による多機能パネル１０を示したものである。

【００２０】この多機能パネル１０は、板状の断熱材１１と、断熱材１１の両面に貼着される矩形の構造用板材１２、１３とからなっている。板状の断熱材１１は発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレンなどの合成発泡樹脂からなっている。

【００２１】また、その他の所定の断熱性能を有する断熱材として、例えば無機充填材を含有する塩化ビニル系樹脂又は塩素化塩化ビニル系樹脂を主成分とする発泡体からなる準不燃性以上の材料で構成される断熱材がある。この場合には、断熱性能のみならず、耐火性能、軽量性にも優れているといった利点がある。さらに、他の断熱材としては、例えばアクリル樹脂、塩素化ビニル、フェノール樹脂などから形成された断熱材であっても良い。要は、断熱性能を有する合成樹脂であればよく、材質は何ら限定されない。また、発泡倍率は任意である。

【００２２】板状の断熱材１１は長手方向に立設した状態で上下部に所定の空隙Ｓ、Ｓが形成されている。つまり、断熱材１１の長手方向の長さは構造用合板１２、１３よりも短く設定されている。また、立設した状態で断熱材１１の横方向の端面には、後に副板を差し込むための凹所１４、１４が形成され、これにより、端面は凸状に形成されている。

【００２３】構造用板材１２、１３は、例えば、チップボード、ウェハーボードなどの構造用合板からなり、十分な強度を保つため、所定の厚さを有している。構造用板材１２には、該板材の強度を逸することのない複数の小孔２２が所定の間隙をもって略全面に形成されている。なお、このような複数の小孔２２が形成された構造用板材１２は、建屋の外側に配置される。

【００２４】実施例において、構造用板材１３の透湿抵抗をＰ₁、断熱材１１の透湿抵抗をＰ₂、構造用板材１２の透湿抵抗をＰ₃としたとき、これらはＰ₁＞Ｐ₂＞Ｐ₃ となるように予め材料が選定されると良い。

【００２５】このように形成されたパネル１０は複数個用意され、例えば図２に示したように、壁パネルとして使用することができる。すなわち、基礎１５の上に床材１６を配置する。この床材１６もパネル１０から構築しても良い。

【００２６】さらに、床材１６の上部に、下枠１７を釘等で打ちつける。この下枠１７は、上記パネル１０の上下に設けた間隙に嵌まり合う形状の長尺物からなっている。このような下枠１７を打ちつけた後、パネル１０は、この下枠１７内に下部を挟み込み、位置合わせを行なって立設する。

【００２７】こうして１つのパネル１０が載置されたならば、このパネル１０と隣位のパネル１０との間に、構造用接着剤を全面に塗布し、さらに図３に示したように副板１８、１８を凹所１４、１４内に差込む。次いで、パネル１０の外側から、図４に示したように釘２０を所定の間隔をもって打ち込んでパネル間を接合する。

【００２８】なお、副板１８と構造用板材１２、１３との間にも構造用接着剤が塗布される。こうしてパネル１０と隣位のパネル１０とが並んで配列され、壁が構築されていく。したがって、柱、間柱、筋交などの構造部材を用いることなく、壁部を構築できる。

【００２９】また、パネル１０の上部には、下枠１７と同様に長尺物の上枠１９が差し渡される。なお、必要に応じて、建物のコーナ部や鉛直荷重をうける部分には、パネル内にスタッド材を挿入しても良い。

【００３０】本実施例のように壁材としてパネル１０を用いれば、柱などの構造部材が全く必要でなく、さらに窓などを設置する場合には、パネル１０の所定場所に予め切込みを形成させておき、この部分に窓枠を嵌め込めば良い。これにより、現場で容易に開口部などの処理を行なうことができる。

【００３１】また、本実施例のパネル１０で壁部が構築されると、冬場などに室内側が高温多湿となり、水蒸気が室内側の構造用板材１３に侵入すると、その水蒸気は透湿抵抗の違いにより断熱材１１内に導かれ、さらにその水蒸気は次第に構造用板材１２側に導かれ、さらに構造用板材１２に形成された複数個の小孔２２を通って外側に発散される。したがって、例え室内の水蒸気がパネル１０内に侵入したとしても、パネル内で露結が発生することはない。しかも、この小孔２２はパネルの略全面に渡って形成されていることから、水蒸気が構造用板材１２の周辺に部分的に滞在してしまうこともない。

【００３２】以上、本考案の一実施例を説明したが、本考案は、上記実施例に限定されない。例えば、図１と同一要素を同一符号で示す図５に示すようなパネル３０であっても良い。

【００３３】このパネル３０では、中央の断熱材１１と内側に配置される構造用板材１３との間に、水蒸気を透しにくい防湿層３３が配設されている。防湿層３３は、例えばウレタン樹脂などの接着性を有する塗膜防水層により形成される。このような樹脂を塗布する場合、その厚さは０．５〜１ｍｍ以上である。また、その他の防湿層としては、ポリエチレン、塩化ビフェニール、塩化ビニリデン等のプラスチックフィルムがある。これらのフィルムを接着して防湿層を形成しても良い。その場合、フィルムの厚さとしては、１００μ〜３００μ程度である。また、さらに他の防湿層としては、１〜２ｍｍ程のアスファルトシートを接着して形成しても良い。あるいは、３０〜１００μ程のアルミ箔、アルミ蒸着フィルムなどを貼着しても良い。

【００３４】さらに、このパネル３０では、中央の断熱材１１と外側に配置される構造用板材１２との間に、空気は透し難く水蒸気は透し易い例えばポリエチレンなどからなる透湿層３４が配設されている。

【００３５】このように透湿層３３および防湿層３４を上記の位置に配設すれば、断熱材１１と構造用板材１２、１３との接合性を向上させることができるばかりか、室内側の水蒸気が断熱材１１内に侵入することを、防湿層３３で極力抑えることができる。また、一旦断熱材１１内に侵入してしまった水蒸気を、断熱材１１を通過させた後、透湿層３４を介して小孔２２から排出させることができる。このとき、高温の空気は逃がされにくいので、温度が下がる恐れもない。

【００３６】また、パネル３０では、透湿層３３と防湿層３４とがともに配設されているが、これらの一方を省くこともできる。また、以上の実施例では、例えば壁パネルとして本考案を適用したが、これらのパネルは床パネルあるいは屋根パネルとして用いることができる。

【００３７】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案に係る多機能パネルによれば、例え室内側から水蒸気がパネルの構造用板材内に侵入したとしても、その水蒸気は、板材を通って断熱材内を通過し、さらに他方の板材に形成された複数個の小孔を介して外方に発散されるので、パネル内に水蒸気が留まる恐れがない。

【００３８】また、防湿層を設ければ、断熱材内に水蒸気が侵入することを極力防止することができる。また、透湿層を設ければ、断熱材表面近くの水蒸気を熱を逃がさずに小孔から逃がすことができる。

【００３９】したがって、このパネルを長期にわたり使用しても、断熱材内での結露のおそれがなく、これにより気密性に優れた高断熱の建物の提供に寄与することができる。

【００４０】また、このパネルは、それ自体で壁、床、屋根などの構成材となるので例えば壁パネルとして用いた場合には、柱、間柱などの構造用部材が不要になり、大工技能を殆ど不要にできるとともに、工期の短縮化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案の一実施例により形成される構造
用多機能パネルの斜視図である。

【図２】図２は本考案の一実施例に係る構造用多機能パ
ネルを壁部に適用した住宅の斜視図である。

【図３】図３は一実施例の突き合わせ部の構造を拡大し
て示す分解斜視図である。

【図４】図４は同突き合わせ部の断面図である。

【図５】図５は本考案の他の実施例に係る構造用多機能
パネルの一部破断斜視図である。

【図６】図６は従来のパネルの突き合わせ部を示す斜視
図である。

【図７】図７は同従来のパネルの突き合わせ部を示す断
面図である。

【符号の説明】

１０、３０多機能パネル１１断熱材１２、１３構造用板材２２小孔３３防湿層３４透湿層

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】発泡合成樹脂からなる板状の断熱材と該断
熱材の両面に貼着される構造用板材とを備え、土台上に
端部同士を突き合わせて建並べることによって、自立す
る建築物の壁を構成し、かつ建築物の壁上に端部同士を
突き合わせて配置することによって、それ自体で荷重負
担可能な天井あるいは床を構成する構造用多機能パネル
において、前記一方の構造用板材に、複数個の小孔を形成したこと
を特徴とする構造用多機能パネル。
【請求項２】発泡合成樹脂からなる板状の断熱材と該断
熱材の両面に貼着される構造用板材とを備え、土台上に
端部同士を突き合わせて建並べることによって、自立す
る建築物の壁を構成し、かつ建築物の壁上に端部同士を
突き合わせて配置することによって、それ自体で荷重負
担可能な天井あるいは床を構成する構造用多機能パネル
において、前記一方の構造用板材に、複数個の小孔を形成するとと
もに、この小孔を設けた構造用板材と前記断熱材との間
に、空気を透し難く水蒸気を透しやすい透湿層を配設し
たことを特徴とする構造用多機能パネル。
【請求項３】発泡合成樹脂からなる板状の断熱材と該断
熱材の両面に貼着される構造用板材とを備え、土台上に
端部同士を突き合わせて建並べることによって、自立す
る建築物の壁を構成し、かつ建築物の壁上に端部同士を
突き合わせて配置することによって、それ自体で荷重負
担可能な天井あるいは床を構成する構造用多機能パネル
において、前記一方の構造用板材に、複数個の小孔を形成するとと
もに、この小孔が形成されていない側の構造用板材と前
記断熱材との間に、水蒸気を透し難い防湿層を介在させ
たことを特徴とする構造用多機能パネル。