JPH0644585Y2 - マシニングセンタの多軸工具ヘッド給送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、所望の位置に複数の工具を予め配置した多
軸工具ヘッドを、マシニングセンタの主軸ヘッドのクラ
ンプ板に給送する装置に関する。

従来の技術 従来このような給送装置は、例えば実開昭60−190555号
に開示してある。この考案は、マシニングセンタの主軸
ヘッドを昇降自在に備えた移動型コラムの左側には工具
を一本ずつ交換する工具交換装置を、右側には多軸工具
ヘッドを搭載してある多軸工具ヘッド交換装置が装備し
てある。そしてこの多軸工具ヘッドの交換装置は、上下
に一対のレールが２組上下に配置され、これらのレール
１対に対しそれぞれ１つの多軸工具ヘッドが主軸ヘッド
の方向に案内され、この多軸工具ヘッドの側部に設けた
突起を、ロッドタイプの直動シリンダに接続した連結片
と係脱して主軸ヘッドとレール間で移送するようにして
ある。

考案が解決しようとする課題 前記によれば、ロッドタイプの直動シリンダにより多軸
工具ヘッドを給送しているので、長いストロークのシリ
ンダが必要となり、レールの後端よりさらに大きく右方
向にシリンダが突出し、マシニングセンタ全体の機幅が
大きくなる問題があった。また、直動シリンダによる直
線運動であるので、多軸工具ヘッドを移動させて停止さ
せるときに、多軸工具ヘッドに停止に伴うショックが発
生しやすく、多軸工具ヘッドの移動速度を大きくするこ
とができない問題もあった。

この考案の課題は、多軸工具ヘッドを交換するようにし
たマシニングセンタの横幅を狭くでき、かつ、多軸工具
ヘッドの移動速度を大きくしても、静粛な停止が可能な
多軸工具ヘッドの給送装置を提供することにある。

課題を解決するための手段 そこでこの考案では、前記のような多軸工具ヘッド交換
装置において、レールの背面側のサイドコラムに竪軸を
回動自在に支承し、竪軸にヘッド給送腕を軸方向に摺動
すると共に一体回動可能に楔着連結し、このヘッド給送
腕にヘッド給送腕の竪軸軸線方向移動用のシリンダを連
結し、このシリンダの作動により、ヘッド給送腕に設け
た係合ローラが、多軸工具ヘッドに設けた係合長穴に、
竪軸軸線に沿う方向から係脱するように構成し、一方、
竪軸に取付けた竪軸回動腕の案内溝にロータリアクチュ
エータの駆動腕先端のカムフォロアを案内して、竪軸回
動腕を、カムフォロアが竪軸回動腕の案内溝に対してほ
ぼ接線方向となる揺動端位置の間で揺動するように構成
し、これらの揺動端位置は、夫々前記ヘッド給送腕が多
軸工具ヘッドをサイドコラムのレール上に位置させる後
退端位置と主軸ヘッドのクランプ板上に位置させる前進
端位置とに対応していることを特徴とする。

作用 前記によれば、シリンダを作用させて、ヘッド給送腕を
竪軸軸線方向へ移動させて、その先端の係合ローラを多
軸工具ヘッドの係合長穴に係合させ、その状態で、ロー
タリアクチュエータを作動し、駆動腕のカムフォロアに
よって竪軸回動腕が一方の揺動端位置から他方の揺動端
位置へ向けて揺動する。これにより、竪軸が揺動され、
ヘッド給送腕が前進端位置から後退端位置へ（あるいは
その逆）揺動し、多軸工具ヘッドをレールとクランプ板
との間で給送する。給送後、係合ローラを多軸工具ヘッ
ドの係合長穴から外す。前進端位置、または、後退端位
置に停止するとき、これらの位置に対応する揺動端位置
では駆動腕のカムフォロアが竪軸回動腕の案内溝に対し
てほぼ接線方向となっており、竪軸回動腕は回動され
ず、ヘッド給送腕を静粛に停止させることができる。

実施例 第１図において、マシニングセンタ１は、ベッド２上の
サーボモータ３のねじ軸４により前後するテーブル５を
備えている。このテーブル５の上にコラム６がサーボモ
ータ７のねじ軸８により左右移動するようにしてある。
コラム６には、サーボモータ９のねじ軸10により主軸ヘ
ッド11が上下するように装着してある。このコラム６に
はその上部に多数の工具Ｔを備えた工具マガジン12が回
転割り出し自在に配置してある。そして、工具交換の際
には、前記主軸ヘッド11を工具交換位置に上昇させて、
前記主軸ヘッド11の主軸13との間で、工具Ｔを直接交換
するようにしてある。主軸13先端には、工具Ｔまたは、
多軸工具ヘッドの駆動軸19と係合する駆動キー13aが固
着してある。主軸ヘッド11には、実開昭60−190555号あ
るいは第２図に示すようにクランプ板14が、クランプシ
リンダ15及びガイドロッド16により、レール31と一直線
となる位置から、主軸ヘッド11方向へ引寄せられるよう
にしてある。主軸ヘッド11には、多軸工具ヘッド32の背
面の位置決め孔32aと係合する位置決めピン17が配設さ
れると共に、背面と当接する受け部材18が固着してあ
る。このコラム６の左側のベッド２上にはサイドコラム
20が固着され、このサイドコラム20に多軸工具ヘッド交
換装置30が装着してある。

次に、多軸工具ヘッド交換装置30を説明する。第２図に
おいて、サイドコラム20の前面には上下一対のレール31
が２組固着してあり、このレール31に多数の回転工具T1
を所定位置に配設した多軸工具ヘッド32が左右に摺動可
能に案内されている。このサイドコラム20には、レール
31の背面側において、第４図に示すように上下の竪軸33
が、両端で軸受34により回動自在に支承してある。この
竪軸33の上端には、第６図のように竪軸回動腕35がキー
連結され、この竪軸回動腕35には案内溝36が形成してあ
る。この案内溝36には、サイドコラム20の上面に固着し
たロータリアクチュエータ37の駆動腕38先端のカムフォ
ロア39が案内してあり、第３図に示すように駆動腕38の
カムフォロア39が竪軸回動腕35の案内溝36に対しほぼ接
線方向となる２つの揺動端位置の間で竪軸回動腕35を揺
動するようにしてあり、これらの揺動端位置で後述のヘ
ッド給送腕40が後退端位置Ａと前進端位置Ｂに位置する
ようになっている。

前記竪軸33には、第６図のようにヘッド給送腕40の基部
フランジ部41が、クラッチスリーブ42をはさんだ上下位
置に夫々竪軸33に対し、軸方向に摺動、かつ、回動可能
に嵌合してある。このフランジ部41には、クラッチスリ
ーブ42と対向する端面にクラッチ爪43が形成してある。
また、軸受34と対向する側面には、シフト溝44が設けて
ある。このシフト溝44には、先端が２又のシフトレバー
45が係合してある。これらのシフトレバー45はサイドコ
ラム20から立ち上げた支持バー46にその中間部がピン支
持され、端部はヘッド給送腕作動用の油圧シリンダ47の
ピストンロッド48に連結してある。そして、このピスト
ンロッド48の進退によりヘッド給送腕40を上下にシフト
し、ヘッド給送腕40先端の係合ローラ49を、多軸工具ヘ
ッド32の後端に固着した給送ブラケット50の係合長穴51
と竪軸軸線方向から係脱するように構成してある。

次に前記クラッチスリーブ42は第６図に示すように竪軸
33に対し、軸方向にのみ摺動可能にキー52によって楔着
案内されている。クラッチスリーブ42の軸方向中間外周
にはシフト溝53が形成され、このシフト溝53には第５図
に示すように前記油圧シリンダ47とシフトレバー45の連
結と同様にクラッチ切換シリンダ54のピストンロッド55
の一端を連結したシフトレバー56の先端２又部が係合し
てある。クラッチスリーブ42の、フランジ部41と対向す
る端面には、前記クラッチ爪43と係脱するクラッチ爪57
がそれぞれ形成してある。そして、対向するクラッチ爪
43とクラッチ爪57の一方の組合せが噛み合っていると
き、他方の組合せは噛み合わないようにしてある。この
クラッチスリープ42の上下ストロークと、前記フランジ
部41の上下ストロークは、互いのクラッチ爪43、57が噛
み合った側において、フランジ部41がシフトされてヘッ
ド給送腕40の先端の係合ローラ49が、給送ブラケット50
の係合長穴51から外れてもなお、互いのクラッチ爪43,5
7は噛み合っているように設定してあり、このようにし
てヘッド給送腕40は、クラッチスリーブ42を介して竪軸
33と楔着嵌合されている。

このクラッチスリーブ42のシフトレバー56の中間を回動
自在に支持するピン58は、更に第４図に示すようにほぼ
Ｔ字状の回り止めレバー59を揺動可能に支持している。
この回り止めレバー59は、クラッチ切換シリンダ54のピ
ストンロッド55に一端が連結してあり、クラッチスリー
ブ42を噛み合い方向の一方へ移動させた時、腕59aをそ
の逆側へ揺動し、噛み合っていない側のフランジ部41に
設けた回り止め溝41aに係止させ、噛み合っていない側
のヘッド給送腕40の回動を止めるようにしてある。

このような構成によれば、多軸工具ヘッド32の交換は次
のように行なわれる。主軸13に装着した、工具Ｔによる
下降を終えると、主軸ヘッド11は工具交換位置へ上昇し
てこの工具Ｔを工具マガジン12へ返す。そして、主軸13
に工具を持たない状態で下降し、次に必要とする多軸工
具ヘッド32、例えば上側の多軸工具ヘッド32の横位置
（多軸工具交換位置）まで下降する。このとき、主軸１
のクランプ板14は前進端にあって、サイドコラム20のレ
ール31と一直線になる。このときまでに、クラッチ切換
シリンダ54のピストンロッド55が突出して、クラッチス
リーブ42を上方へシフトし、上側のクラッチ爪43,57を
噛みあわせる。次いでロータリアクチュエータ37が駆動
され、駆動腕38が回動し、竪軸33を所定角度回動させ
る。竪軸33の回転は、キー52を介してクラッチスリーブ
42に伝達され、クラッチ爪43,57を介してヘッド給送腕4
0を後退端位置Ａから、前進端位置Ｂへ移動させ、多軸
工具ヘッド32をサイドコラム20のレール31から、主軸ヘ
ッド11のクランプ板14上に給送する。この給送の際、前
進端位置Ｂと後退端位置Ａでは、駆動腕38のカムフォロ
ア39が竪軸回動腕35の案内溝36に対して接線方向に移動
するので、ロータリアクチュエータ37の回動速度を速め
ても、極めて静粛に多軸工具ヘッド32を停止させること
ができる。また、多軸工具ヘッド32の幅方向中央位置を
ヘッド給送腕40で押すので、レール31に対し、こじれを
生じない。給送された多軸工具ヘッド32は、クランプシ
リンダ15の引き込みにより主軸ヘッド11側に引き込ま
れ、多軸工具ヘッド32の位置決め孔32aが位置決めピン1
7に嵌合して位置決めクランプされる。このとき、主軸1
3の駆動キー13aに多軸工具ヘッド32の工具T1駆動用の駆
動軸19のキー溝が嵌合する（これらは予めオリエンテー
ションしてある）。こうして多軸工具ヘッド32が主軸ヘ
ッド11に給送されると、上側の油圧シリンダ47のピスト
ンロッド48が引き込み状態から突出され、上側のヘッド
給送腕40を軸方向上方に移動させる。この移動により、
上側のヘッド給送腕40先端の係合ローラ49が給送ブラケ
ット50の係合長穴51から外れる。しかし、上側のクラッ
チ爪43,57は噛み合っているので、ロータリアクチュエ
ータ37を逆転させ、上側のヘッド給送腕40をその前進端
位置Ｂからわずかに後退端位置Ａ側に移動した待機位置
Ｃに後退させる。こうして上側のヘッド給送腕40が待機
すると、多軸工具ヘッド32を装着した主軸ヘッド11は加
工のために移動を開始する。

このとき、下側のヘッド給送腕40は、クラッチ切換シリ
ンダ54のピストンロッド55の突出により回り止めレバー
59の下側の腕59aが、後退端位置Ａにある下側のヘッド
給送腕40のフランジ部41の回り止め溝41aと係止してお
り、下側の多軸工具ヘッド32は後退端位置で停止、保持
されている。

さて、多軸工具ヘッド32での加工が完了すると、主軸ヘ
ッド11は再び多軸工具交換位置に位置する。そして、ク
ランプ板14をアンクランプして、クランプ板14とレール
31とを一直線にする。次に、待機位置Ｃにあった上側の
ヘッド給送腕40がロータリアクチュエータ37の回転によ
り前進端位置Ｂに位置し、次いで、上側の油圧シリンダ
47のピストンロッド48を前進端から引き込む。これによ
り上側のヘッド給送腕40が下方へシフトされ、上側のヘ
ッド給送腕40先端の係合ローラ49が主軸ヘッド11の給送
ブラケット50の係合長穴51と係合する。そして、上側の
ヘッド給送腕40を前進端位置Ｂから後退端位置Ａへ移動
させ、主軸ヘッド11上から多軸工具ヘッド32をサイドコ
ラム20へ戻し、多軸工具ヘッド32の交換が完了する。

他の実施例 第７図には、上下のレール対に対応して夫々、ロータリ
アクチュエータ37をもうける場合について説明する。な
お、上下の機構は全く同一なので、一方のみについて説
明する。竪軸33は回動自在に支持されており、この竪軸
33にヘッド給送腕40のフランジ部41が軸方向摺動自在に
スプライン嵌合してある。このフランジ部のシフト機
構、竪軸の回動機構は前記と同様である。

考案の効果 以上のようにこの考案の多軸工具ヘッド給送装置によれ
ば、レールの背面側のサイドコラムに竪軸を回動自在に
支承し、竪軸にヘッド給送腕を軸方向に摺動すると共に
一体回動可能に楔着連結し、このヘッド給送腕にヘッド
給送腕の竪軸軸線方向移動用のシリンダを連結し、この
シリンダの作動により、ヘッド給送腕に設けた係合ロー
ラが、多軸工具ヘッドに設けた係合長穴に、竪軸軸線に
沿う方向から係脱するように構成し、一方、竪軸に取付
けた竪軸回動腕の案内溝にロータリアクチュエータの駆
動腕先端のカムフォロアを案内して、竪軸回動腕を、カ
ムフォロアが竪軸回動腕の案内溝に対してほぼ接線方向
となる揺動端位置の間で揺動するように構成し、これら
の揺動端位置は、夫々前記ヘッド給送腕が多軸工具ヘッ
ドをサイドコラムのレール上に位置させる後退端位置と
主軸ヘッドのクランプ板上に位置させる前進端位置とに
対応しているので、レール背面側に総ての機構を配置で
き、レール後方へ給送機構が飛びだすことなく、マシニ
ングセンタ全体の機幅を狭くできる。従って、マシニン
グセンタの前方に給送機構が無いため、マシニングセン
タに対する接近性が向上する。しかも、多軸工具ヘッド
の給送停止時には、給送速度を速めても極めて静粛に停
止できる利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図はマシニングセンタの正面図、第２図は要部拡大
正面図、第３図は第２図の平面図、第４図は第２図のIV
−IV視図、第５図は第４図のＶ−Ｖ断面拡大図、第６図
は第３図のVI−VI断面図、第７図は他の実施例である。 １…マシニングセンタ、６…コラム、11…主軸ヘッド、
14…クランプ板、20…サイドコラム、32…多軸工具ヘッ
ド、33…竪軸、35…竪軸回動腕、36…案内溝、37…ロー
タリアクチュエータ、38…駆動腕、39…カムフォロア、
40…ヘッド給送腕、47…油圧シリンダ、49…係合ロー
ラ、51…係合長穴、Ａ…後退端位置、Ｂ…前進端位置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】コラム側方に配置されたサイドコラムのレ
   ールに装着した多軸工具ヘッドを、サイドコラムのレー
   ルと主軸ヘッドに配設したクランプ板間で給送する多軸
   工具ヘッド交換装置において、レールの背面側のサイド
   コラムに竪軸を回動自在に支承し、竪軸にヘッド給送腕
   を軸方向に摺動すると共に一体回動可能に楔着連結し、
   このヘッド給送腕にヘッド給送腕の竪軸軸線方向移動用
   のシリンダを連結し、このシリンダの作動により、ヘッ
   ド給送腕に設けた係合ローラが、多軸工具ヘッドに設け
   た係合長穴に、竪軸軸線に沿う方向から係脱するように
   構成し、一方、竪軸に取付けた竪軸回動腕の案内溝にロ
   ータリアクチュエータの駆動腕先端のカムフォロアを案
   内して、竪軸回動腕を、カムフォロアが竪軸回動腕の案
   内溝に対してほぼ接線方向となる揺動端位置の間で揺動
   するように構成し、これらの揺動端位置は、夫々前記ヘ
   ッド給送腕が多軸工具ヘッドをサイドコラムのレール上
   に位置させる後退端位置と主軸ヘッドのクランプ板上に
   位置させる前進端位置とに対応していることを特徴とす
   るマシニングセンタの多軸工具ヘッド給送装置。