JPH0644355Y2 - 移動脱穀機の揚穀装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、コンバイン等のように走行装置上に脱穀部
と、該脱穀部により脱穀処理され、揚穀手段により揚上
される穀粒を収容するグレンタンクを並設した移動脱穀
機の揚穀装置に関する。

（従来の技術） 従来、この種移動脱穀機の揚穀装置としては、例えば実
公昭56-36255号公報に示されるごとく、円筒内にスパイ
ラーを内装した揚穀筒を用い、この揚穀筒を走行装置上
に並設する脱穀部とグレンタンクとの間に配設して、該
揚穀筒の下部を一番コンベヤに連設すると共に、その上
部をグレンタンクに連通させ、脱穀部からの穀粒を揚上
して上部から前記グレンタンク内に供給する構成になっ
ている。

（考案が解決しようとする課題） ところが、前記した従来の揚穀装置にあっては、前記揚
穀筒が前記脱穀部とグレンタンクの間に配設されるた
め、機体全幅が大きくなると共に、穀粒の貯留状態によ
って機体の左右バランスが変動し易い問題があり、ま
た、前記揚穀筒では、スパイラー外周端の摩耗や円筒と
スパイラーとの隙間での穀粒の噛み込み等が生じる問題
を有していた。

さらに、従来の揚穀筒にあっては、その上部から投出さ
れる穀粒がグレンタンク内の側壁から一方向に向けて投
出されるため、グレンタンク内の隅々まで行き届かず、
このため、供給された穀粒をグレンタンクの隅々まで行
きわたらせて均平化し、充填率を高めるためにグレンタ
ンク内に強制搬送装置等を特設する必要があり、コスト
高となるものであった。

本考案の目的は、機体全幅の縮小並びに機体の左右バラ
ンスを向上させることができると共に、穀粒の損傷や穀
粒による接触摩耗を防止でき、かつ、グレンタンク内に
強制搬送装置などを用いることなく、穀粒をグレンタン
ク内の隅々まで行きわたらせて貯留できる移動脱穀機の
揚穀装置を提供するにある。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は走行装置（２）上
に脱穀部（３）とグレンタンク（４）とを並設すると共
に、前記脱穀部（３）の下部に設ける一番コンベヤ（3
6）に揚穀手段を連設して、該揚穀手段により脱穀処理
された穀粒を前記グレンタンク（４）に供給すべく成し
た移動脱穀機の揚穀装置において、穀粒吐出側に投口
（28）をもつバケットエレベータ（20）を前記一番コン
ベヤ（36）に連設すると共に、このバケットエレベータ
（20）を、前記グレンタンク（４）を上下に貫通させて
配設し、かつ、該バケットエレベータ（20）の投口（2
8）を前記グレンタンク（４）の上壁（41）に開設した
穀粒落下口（42）に連通させたのである。

（作用） しかして、前記バケットエレベータ（20）がグレンタン
ク（４）を上下に貫通しているので、該バケットエレベ
ータ（20）のスペースに関係なく、グレンタンク（４）
と脱穀部（３）とを接近させて設けることができ、これ
により、機体全幅の縮小並びに左右バランスの向上が図
れるのであり、また、穀粒のグレンタンク（４）内への
投入が、バケットエレベータ（20）によりグレンタンク
（４）の上面より行われるので、穀粒は前記グレンタン
ク（４）内に自然落下して充填されてグレンタンク
（４）内の隅々まで行きわたらせて貯留でき、かつ、揚
上時における穀粒の損傷及びバケットエレベータ（20）
のエレベータケース壁面の穀粒との接触摩耗が防止でき
るのである。

（実施例） 実施例について、図面を参照して説明する。

第２図及び第３図は汎用型コンバインの全体構造を示し
ており、機体（１）の下部両側に走行装置（２）を設
け、かつ前記機体（１）の上の左側には、上下にスクリ
ュー式扱胴（31）と揺動選別装置（32）などを備えた脱
穀部（３）を搭載すると共に、その右側には、前記脱穀
部（３）と並列状に機体進行前後方向に長尺なグレンタ
ンク（４）を搭載する一方、該グレンタンク（４）の前
方に運転席（５）を受け、この運転席（５）と前記脱穀
部（３）の前方にフィーダハウス（６）を介して掻込リ
ール（７）と掻込オーガー（８）及び刈刃（10）などを
備えた刈取部（10）を連設している。

斯くして、前記掻込リール（７）で掻込まれて、刈刃
（10）で刈り取られた穀稈は、掻込オーガー（８）から
フィーダハウス（６）内の搬送チェン（61）を介して脱
穀部（３）の扱室（30）内に搬送され、該脱穀部（３）
で脱穀処理されて、受網（33）から漏下した漏下物は揺
動選別装置（32）による選別と唐箕ファン（34）による
選別風によって風選され、穀粒は一番樋（35）に、二番
物は二番樋（37）にそれぞれ落下し、一番樋（35）に落
下した穀粒は一番樋（35）における一番コンベヤ（36）
の一側部から揚穀手段を介して前記グレンタンク（４）
内に供給貯留され、二番物は揚穀筒（38）により前記揺
動選別装置（32）の始端側に還元されて、再選別される
ようにしている。

また、前記グレンタンク（４）内に収容した穀粒は該グ
レンタンク（４）内に設ける排出コンベヤ（11）で揚上
され、グレンタンク（４）の上壁（41）上に配設される
旋回自在の取出筒（12）で外部へと取り出されるのであ
る。

しかして、前記一番コンベヤ（36）からグレンタンクへ
の揚穀手段として、エレベータケース（21）の下部に駆
動スプロケット（22）をもつ駆動軸（23）を、上部に従
動スプロケット（24）をもつ従動軸（25）をそれぞれ設
け、これら両スプロケット（22）（24）間に複数のバケ
ット（26）をもつバケットチェン（27）を回行駆動可能
に掛設して成るバケットエレベータ（20）を用い、該バ
ケットエレベータ（20）を前記一番コンベヤ（36）にチ
ェン伝動装置（50）を介して連動連結する一方、前記エ
レベータケース（21）の上部に、機体進行方向前方に膨
出して下方に開放する投口（28）を形成すると共に、前
記バケットエレベータ（20）を、前記グレンタンク
（４）を上下に貫通させて配設し、かつ、該バケットエ
レベータ（20）の前記エレベータケース（21）における
投口（28）を前記グレンタンク（４）の上壁（41）の脱
穀部（３）側に開設した穀粒落下口（42）に連通させた
のである。

また、前記バケットエレベータ（20）は前記一番コンベ
ヤ（36）にチェン伝動装置（50）を介して連動連結され
ている。

この場合、第６図乃至第８図に示す如く蓋付伝動チェン
ケース（51）内に、伝動スプロケット（52）と入力スプ
ロケット（53）とを軸受を介して回転自在に支持し、か
つ、これら両スプロケット（52）（53）間に伝動チェン
（54）を掛設してユニット化したチェン伝動装置（50）
を形成し、該チェン伝動装置（50）を前記エレベータケ
ース（21）の前記脱穀部（３）とは反対側の外側面に固
着する一方、前記伝動チェンケース（51）の一側方か
ら、前記伝動スプロケット（52）におけるボス部（52
a）のスプライン溝に一番コンベヤ（36）におけるコン
ベヤ軸（36a）のスプライン（36b）を挿入してスプライ
ン嵌合し、また、前記入力スプロケット（53）における
ボス部（53a）にバケットエレベータ（20）における駆
動軸（23）のスプライン（23a）を挿入してスプライン
嵌合し、前記一番コンベヤ（36）のコンベヤ軸（36a）
を入力源として、前記前記伝動スプロケット（52）から
伝動チェン（54）を介して前記駆動軸（23）に動力を伝
達し、該駆動軸（23）の駆動スプロケット（22）を介し
てバケットチェン（27）を駆動するようにしている。

斯くして、一つにユニット化したチェン伝動装置（50）
の前記伝動スプロケット（52）と入力スプロケット（5
3）に、前記一番コンベヤ軸（36a）及び駆動軸（23）を
スプライン嵌合した状態で、前記伝動チェンケース（5
1）を前記エレベータケース（21）に着脱可能に取り付
けるべく構成している。

本考案は以上の如く構成するもので前記一番コンベヤ
（36）によりグレンタンク（４）側に送られる穀粒は、
バケットエレベータ（20）の下部に受け継がれ、バケッ
トエレベータ（20）のバケット（26）によってグレンタ
ンク（４）よりも上方に汲上げられその汲上げ上昇位置
から下降側に変わる上部の回行動作で、投口（28）を介
して投出され、投出された穀粒は拡散されながらグレン
タンク（４）の穀粒落下口（42）を介してグレンタンク
（４）内に拡散収容されるのであり、斯かる拡散によ
り、穀粒をグレンタンク（４）内の隅々にまで行きわた
らせることができ、かつ、グレンタンク（４）内の上部
に強制搬送装置を不要にできるので充填率も高くできる
のである。

また、本実施例では前記チェン伝動装置（50）として、
蓋付伝動チェンケース（51）に伝動スプロケット（52）
と入力スプロケット（53）とを回転自在に支持し、か
つ、これら両スプロケット（52）（53）間に伝動チェン
（54）を掛設してユニット化した前記チェン伝動装置
（50）を用い、該チェン伝動装置（50）の伝動スプロケ
ット（52）と入力スプロケット（53）に、一番コンベヤ
軸（36a）と駆動軸（23）とをスプライン嵌合して前記
バケットエレベータ（20）を一番コンベヤ（36）に連動
連結すると共に、前記チェン伝動装置（50）における伝
動チェンケース（51）を前記バケットエレベータ（20）
に固着したので、前記伝動スプロケット（52）と入力ス
プロケット（53）との間隔は常に一定であり、これによ
り、伝動チェン（54）の弛みや異常緊張がなく、また、
前記チェンケース（51）における伝動スプロケット（5
2）のボス部（52a）のスプライン溝に一番コンベヤ軸
（36a）のスプライン（36b）を挿入して動力伝達を行う
ので、一番コンベヤ（36）とバケット（26）の受継ぎス
ペースも一定にできるので、受け継ぎスペースのバラツ
キによる受継ぎのトラブルが防止できる。

その上、前記一番コンベヤ（36）を脱穀部（３）外側方
に引き抜いて、一番コンベヤ軸（36a）の伝動スプロケ
ット（52）への差し込みを外すのみで、一番コンベヤ軸
（36a）と伝動スプロケット（52）との連結を外すこと
ができることから、例えば、前記グレンタンク（４）の
底部（43）におけるバケットエレベータ（20）の貫通孔
周りに着脱又は移動可能な開閉板（44）を設けておけ
ば、該開閉板（44）の取外し又は移動によって前記貫通
孔部分を大きく開放することにより、バケットエレベー
タ（20）に前記伝動チェンケース（51）を固着した状態
のまま、該バケットエレベータ（20）をグレンタンク
（４）から取外すことができ、これにより、バケットエ
レベータ（20）内部の複雑な補修点検も、該バケットエ
レベータを機外に取り外した状態で容易に行えるのであ
る。

（考案の効果） 以上の如く、本考案の揚穀装置によれば、走行装置
（２）上に脱穀部（３）とグレンタンク（４）とを並設
すると共に、前記脱穀部（３）の下部に設ける一番コン
ベヤ（36）に揚穀手段を連設して、該揚穀手段により脱
穀処理された穀粒を前記グレンタンク（４）内に供給す
べく成した移動脱穀機の揚穀装置において、穀粒吐出側
に投口（28）をもつバケットエレベータ（20）を前記一
番コンベヤ（36）に連設すると共に、このバケットエレ
ベータ（20）を、前記グレンタンク（４）を上下に貫通
させて配設し、かつ、該バケットエレベータ（20）の投
口（28）を前記グレンタンク（４）の上壁（41）に開設
した穀粒落下口（42）に連通させたものであるから、前
記バケットエレベータ（20）がグレンタンク（４）を上
下に貫通しているので、該バケットエレベータ（20）の
スペースに関係なく、グレンタンク（４）と脱穀部
（３）とを接近させて設けることができ、これにより、
機体全幅の縮小並びに左右バランスの向上が図れるので
ある。

また、穀粒のグレンタンク（４）内への投入が、バケッ
トエレベータ（20）によりグレンタンク（４）の上方よ
り自然落下させて行われるので、穀粒は前記グレンタン
ク（４）内の隅々まで行きわたらせて均平化し、充填率
を高めることができ、これにより、グレンタンク（４）
内に強制搬送装置などの附加機能が不要にでき、かつ、
穀粒の損傷やバケットエレベータ（20）のエレベータケ
ース壁面の穀粒との接触摩耗が防止できるのである。

その上、前記バケットエレベータ（20）が前記走行装置
（２）の幅内で、かつ、全長の略中央に立設しているの
で、機体の旋回時に、バケットエレベータ（20）に大き
な遠心力が作用することもないのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る移動脱穀機の揚穀装置の要部の縦
断面図、第２図は同揚穀装置を適用した汎用型コンバイ
ンの全体の側面図、第３図は同平面図、第４図はグレン
タンク上部の縦断面図、第５図は一部切欠平面図、第６
図は伝動チェーンケースの取付状態を示す側面図、第７
図は第６図VII-VII線断面図、第８図は第６図VIII-VIII
線断面図である。 （２）……走行装置 （３）……脱穀部 （４）……グレンタンク （20）……バケットエレベータ （28）……投口 （36）……一番コンベヤ （40）……上壁 （41）……穀粒落下口

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】走行装置（２）上に脱穀部（３）とグレン
   タンク（４）とを並設すると共に、前記脱穀部（３）の
   下部に設ける一番コンベヤ（36）に揚穀手段を連設し
   て、該揚穀手段により脱穀処理された穀粒を前記グレン
   タンク（４）に供給すべく成した移動脱穀機の揚穀装置
   において、穀粒吐出側に投口（28）をもつバケットエレ
   ベータ（20）を前記一番コンベヤ（36）に連設すると共
   に、このバケットエレベータ（20）を、前記グレンタン
   ク（４）を上下に貫通させて配設し、かつ、該バケット
   エレベータ（20）の投口（28）を前記グレンタンク
   （４）の上壁（41）に開設した穀粒落下口（42）に連通
   させたことを特徴とする移動脱穀機の揚穀装置。