JPH06439Y2 - 材料装入装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、加熱炉、冷却炉等所謂熱処理炉（以下単に炉
という）に材料を装入する装入装置に関する。

［従来の技術とその問題点］ 従来、鋼片等の材料を炉内に装入する方法として、第一
に材料を載置した架台から炉内にまでレールを差し渡
し、材料を炉に向けて押し出してレール上面を滑べら
せ、もって炉内に材料を装入するプッシャー方式があ
る。しかし、このプッシャー方式は、材料がレールと擦
れるため材料底面に傷が付く問題点がある。

第二に前記架台から炉内にわたってローラを敷設し、そ
のローラ上に材料を滑らせて炉内に該材料を装入するコ
ロローラ方式がある。しかし、このコロローラ方式は、
材料に傷が付きにくいけれどもローラのメンテナンスに
費用が掛る問題点がある。

そして、第三の方法は、進退動装置を支点として傾動自
在でかつ進退動装置の駆動により長手方向に進退動する
ように設けられた装入アームを用いるもので、架台上に
ある材料を装入アームの先端で持ち上げ、そのまま装入
アームを炉入口から炉内に突入させ、該炉内でその先端
を降下させて固定ビーム上に材料を載置させるウォーキ
ングビーム方式である。このウォーキングビーム方式に
よれば第一のプッシャー方式のように材料に傷が付くと
いった問題がなく、また、第二のコロローラ方式に比べ
てメンテナンスの費用が安い利点がある。しかし、この
ウォーキングビーム方式には次のような問題点が従来か
らあった。

すなわち、ウォーキングビーム方式は、装入アームを傾
動させるために、起伏自在に軸支したリフトアームの上
端に装入アームを摺動自在に支持させ、該リフトアーム
の起伏によって装入アームの傾動を行なわせるもので、
該装入アームはリフトアームの支持点から突出した部分
が片持梁状になるため、その突出部の長さに比例して支
持点に生じる曲げモーメントが大きくなった。従ってこ
の曲げモーメントに耐え得るようにするには装入アーム
の断面積を大きくしなければならず、それ故装入アーム
自体のコストが高くなり、かつまた、装入アームの重量
が重くなって該装入アームの進退動及び傾動動作に多大
な動力を費すものであった。

［問題点を解決するための手段］ そこで本考案は、進退動装置１を支点として傾動自在で
かつ該進退動装置１の駆動により長手方向に進退動する
ように設けられた装入アーム６と、該進退動装置１と炉
入口10aの略中間位置及び炉入口10aの近傍に夫々起伏自
在に軸支され前記進退動装置１の支点からの距離に比例
した長さを持つ第一リフトアーム８ａ及び第二リフトア
ーム８ｂと、該第一リフトアーム８ａと第二リフトアー
ム８ｂとを連結するリンク13と、第一リフトアーム８ａ
または第二リフトアーム８ｂに連結した駆動手段14とか
らなり、第一リフトアーム８ａおよび第二リフトアーム
８ｂの上端に前記装入アーム６を摺動自在に支持して材
料装入装置Ａを構成し、もって問題点の解決を図ったも
のである。

［作用］ 第一リフトアーム８ａまたは第二リフトアーム８ｂのう
ち、例えば第一リフトアーム８ａに駆動手段14を連結し
た場合、該駆動手段14により第一リフトアーム８ａを起
伏させると、第二リフトアーム８ｂは第一リフトアーム
８ａにリンク13によって連結されているため第一リフト
アーム８ａの起伏動作に連動して起伏動作する。また、
第一リフトアーム８ａと第二リフトアーム８ｂは進退動
装置１の支点からの距離に比例した長さを持っているた
め、第一リフトアーム８ａの起立動作によって生ずる装
入アーム６先端の変位に見合う分だけ第二リフトアーム
８ｂも起立し、常に第一リフトアーム８ａと第二リフト
アーム８ａによって装入アーム６を支持する。

［実施例］ 以下に本考案の実施例を図面と共に説明する。

進退動装置１は、床面２に固設した枠体３にピニオンギ
ヤ４とガイドローラ５を鉛直線上に並べて軸支してなる
もので、該ピニオンギヤ４とガイドローラ５の間に細長
直方体形状の装入アーム６を挿通し、この装入アーム６
の下面に刻設したラック７を前記ピニオンギヤ４に噛合
させ、ピニオンギヤ４をモータ４ａによって正逆回転さ
せることにより装入アーム６を進退動させることができ
る。また、装入アーム６はピニオンギヤ４とガイドロー
ラ５に挟まれた一点支持状であって、ピニオンギヤ４を
支点として傾動自在である。

８ａ，８ｂは上端にローラ９，９を有する第一リフトア
ームと第二リフトアームであって、第一リフトアーム８
ａは前記進退動装置１と炉10の炉入口10aとの略中間位
置に、また、第二リフトアーム８ｂは炉入口10aの近傍
に夫々配置され、床面２に立設した支持台11a,11bに夫
々軸12a,12bで軸支されて起伏自在である。この第一リ
フトアーム８ａと第二リフトアーム８ｂは進退動装置１
の支点からの距離に比例した長さを夫々有する。すなわ
ち、進退動装置１の支点から第一リフトアーム８ａの軸
12aまでの距離をｌ_１、同じく第二リフトアーム８ｂの
軸12bまでの距離をｌ_２、第一リフトアーム８ａと第二
リフトアーム８ｂの軸12a,12bからローラ９，９上端ま
での長さを夫々ｍ_１，ｍ_２とすると、ｍ_１／ｌ_１＝ｍ_２
／ｌ_２の関係にある。そして、第一リフトアーム８ａと
第二リフトアーム８ｂはリンク13によって連結される。
このリンク13は、第一リフトアーム８ａの軸12aと第二
リフトアーム8bの軸12bを結ぶ直線に平行となるように
し、そして両リフトアーム８ａ，８ｂを夫々平行にして
軸着される。従って、第一リフトアーム８ａと第二リフ
トアーム８ｂは常に平行を保ち、かつ前記したように第
一リフトアーム８ａと第二リフトアーム８ｂの長さや進
退動装置１までの距離との間にｍ_１／ｌ_１＝ｍ_２／ｌ_２
なる関係があるため、進退動装置１の支点たるピニオン
ギヤ４と第一リフトアーム８ａの軸12a及び第一リフト
アーム８ａのローラ９頂部を結んで形成される三角形
と、同じくピニオンギヤ４と第二リフトアーム８ｂの軸
12b及び第二リフトアーム８ｂのローラ９頂部を結んで
形成される三角形とが相似形となり、このため進退動装
置１の支点（ピニオンギヤ４）と両リフトアーム８ａ，
８ｂのローラ９，９頂部とが常に一直線上に並ぶ。

そして、第一リフトアーム８ａには油圧シリンダ等の駆
動手段14のロッド14aが連結される。なお、この駆動手
段14は第二リフトアーム８ｂに連結してもよい。また、
駆動手段14は油圧シリンダの他、偏心カムを利用した
り、或いはクランク機構を用いるものであってもよい。

次に、上記のように構成される材料装入装置Ａの作用に
つき説明する。

鋼板等の材料Ｂはローラコンベア15によって炉10まで搬
送され、炉入口10aの前で停止している。

本考案の材料装入装置Ａはローラコンベア15のローラ間
に複数台設置されており、各装入アーム６は第１図のよ
うに最も後退した位置にあって材料Ｂの下に臨んでい
る。そして、これらの駆動手段14を一斉に作動させて第
一リフトアーム８ａを起立動作させるとリンク13により
連結された第二リフトアーム８ｂも同時に起立する。こ
の時装入アーム６は最も後退した位置にあって第二リフ
トアーム８ｂから外れているものの、第一リフトアーム
８ａにより支持されているため該第一リフトアーム８ａ
の起立に伴って第１図鎖線のように上向きに傾動する。
この傾動によりローラコンベア15上にある材料Ｂが装入
アーム６の先端により持ち上げられる。

次に進退動装置１のピニオンギヤ４を第１図において時
計回りに回転させると装入アーム６が材料Ｂを持ち上げ
たまま第一リフトアーム８ａのローラ９上を摺動して炉
10に向って前進する。このとき、第二リフトアーム８ｂ
は前記第一リフトアーム８ａの起立と共に起立して装入
アーム６の下面に接する状態にあるため、該装入アーム
６が第一リフトアーム８ａと第二リフトアーム８ｂの双
方により支持される。この状態でさらに装入アーム６が
前進して炉10内に入り所定の位置に達することによって
ピニオンギヤを止めると装入アーム６が停止する。次い
で、駆動手段14を逆に作動させて両リフトアーム８ａ，
８ｂを倒伏させると、装入アーム６がピニオンギヤ４を
支点として下に向って傾動し、炉10内の固定ビーム16よ
り低くなると材料Ｂが該固定ビーム16上に載置される。
そして、進退動装置１のピニオンギヤ４を逆転させて装
入アーム６を後退させ、第１図の状態に戻す。

なお、本考案の材料装入装置Ａは、装入アーム６を第１
図実線の状態で炉10内にそのまま突入させ、炉10内で装
入アーム６を上向き傾動させ、次いでこれを炉10から後
退させるように操作することによって炉10内にある材料
Ｂを抽出することもできる。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案の材料装入装置Ａによれば、
装入アーム６が第一リフトアーム８ａと第二リフトアー
ム８ｂの双方により支持されるため、リフトアームが一
本である従来技術に較べて装入アーム６が片持梁状に突
出する部分が短かくなる。従って、支持部（第二リフト
アーム）における曲げモーメントが小さくなるため、従
来に比し装入アーム６の断面積を小さくすることができ
る。これにより、装入アーム６自体のコスト低減、及び
装入アーム６を進退動及び傾動させるに必要な動力が小
さくなるので駆動源が大型化しない利点がある。

また、第一リフトアーム８ａと第二リフトアーム８ｂを
リンク13で連結し、両リフトアーム８ａ，８ｂを常に一
体的に連動させるようにしたため、装入アーム６傾動用
の駆動手段14が一個でよいなどコストを掛けずに上記の
種々の効果が達成される有益なものである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示すもので、第１図は装入アー
ムを後退させた状態の正面図、第２図はその平面図、第
３図は装入アームを炉内に装入した状態を示す正面図で
ある。 １‥‥進退動装置、６‥‥装入アーム、８ａ‥‥第一リ
フトアーム、８ｂ‥‥第二リフトアーム、10a‥‥炉入
口、13‥‥リンク、14‥‥駆動手段、Ａ‥‥材料装入装
置、Ｂ‥‥材料。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】進退動装置を支点として傾動自在でかつ該
   進退動装置の駆動により長手方向に進退動するように設
   けられた装入アームと、該進退動装置と炉入口の略中間
   位置及び炉入口の近傍に夫々起伏自在に軸支され前記進
   退動装置の支点からの距離に比例した長さを持つ第一リ
   フトアーム及び第二リフトアームと、該第一リフトアー
   ムと第二リフトアームとを連結するリンクと、第一リフ
   トアームまたは第二リフトアームに連結した駆動手段と
   からなり、第一リフトアームおよび第二リフトアームの
   上端に前記装入アームを摺動自在に支持してなることを
   特徴とする材料装入装置。