JPH0643942Y2 - シラン架橋絶縁電線 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、シラン架橋絶縁電線の着色の改良に関するも
のである。

〈従来の技術〉 従来から、シラン架橋絶縁電線を色で識別するために、
絶縁体全体を着色したり、或いは絶縁体を２層構造とし
て外層部分だけを着色したりすることが行われている。

〈考案が解決しようとする問題点〉 ところが、シラン架橋の場合、架橋度を上げると、着色
がしにくくなり、又外観も不良となることが多く、逆に
架橋度を下げると、着色性は改善されるが、機械的特性
が悪化するという問題がある。

一方、絶縁体を２層構造とし外層部分のみを着色する方
法では、当該外層部分の着色が不十分な場合、例えば、
外層部分の厚さが薄くて、均一で十分な着色ができない
場合、色識別の用途に適さないことがある。と言うの
は、ポリエチレン自体は半透明であるため、内層部分が
無着色であると、内部導体（銅、アルミニウム等）の地
色が発現して、外層部の色が不明瞭、又は打ち消されて
色識別が困難になることがある。

本考案は、このような従来の問題点に鑑みてなされたも
ので、絶縁体を２層構造とすると同時に、外層は勿論の
こと、内層の絶縁体もを外層部分の着色と特定の関係を
持って着色し、色識別性をより明瞭にした絶縁電線を提
供せんとするものである。

〈問題点を解決するための手段及びその作用〉 かゝる本考案の特徴とする構成は、導体の絶縁体が２層
構造で、外層絶縁体が着色された架橋又は非架橋のポリ
エチレンからなり、内層絶縁体が白色に着色されたシラ
ン架橋ポリエチレン又は上記外層絶縁体と同色に着色さ
れ且つその着色剤量が当該外層絶縁体と同量かそれ以下
であるシラン架橋ポリエチレンからなるシラン架橋絶縁
電線にある。

これを図示すると、第１図の如くで、図中、１は導体、
２は２層構造の絶縁体で、その外層絶縁体2bは着色され
た架橋又は非架橋のポリエチレンからなり、内層絶縁体
2aは白色に着色されたシラン架橋ポリエチレン又は上記
外層絶縁体と同色に着色され且つその着色剤量が当該外
層絶縁体と同量かそれ以下であるシラン架橋ポリエチレ
ンからなる。

本考案では、外層絶縁体2bが例えばシラン架橋ポリエチ
レンの場合、着色性を良好にするため、その架橋度を低
めに抑える。又これにより、良好な外観も得られる。非
架橋のポリエチレンを使用する場合には、着色性の問題
は特になく、良好な着色ができる。

内層絶縁体2aの着色は、外層絶縁体2bの着色の発現性を
より鮮明にするためのもので、白色の場合は、少なくと
も導体側の地色を遮蔽し、且つ外層絶縁体2bの着色に対
しては白色下地として、色識別性を向上させる。又、外
層絶縁体2bと同色に着色した場合には、外層絶縁体2bの
着色を補強して、やはり色識別性を向上させる。この
際、着色剤の量は外層絶縁体2bと同量かそれ以下にす
る。と言うのは、一般に、内層絶縁体2aの厚さは外層絶
縁体2bの厚さより大きいため、内層絶縁体2aの着色剤量
が少なくとも十分な効果が上げられるからである。更に
着色剤の使用量の軽減によりコストダウンにもなる。

この内層絶縁体2aのシラン架橋ポリエチレンの架橋度
は、着色性を損なわない範囲で、なるべく高くすること
が好ましい。高い架橋度により、良好な機械的特性が得
られるからである。

本考案で使用する着色剤としては、特に限定されないが
カーボンブラック、チタン白、ウオッチングレッド、シ
アンブルー等が挙げられる。

〈実施例〉 5.5mm²の銅撚線導体上に内層絶縁体厚が0.9mm、外層絶
縁体厚が0.1mmの絶縁体を押出して絶縁電線を製造し
た。

この際の絶縁材料の配合組成は第１表に示してある。こ
の第１表で、配合ペレットＡ〜Ｄはグラフトマーであ
り、ニーダ混練機に入れ、200℃で５分間混練した後、
ペレット化した。配合ペレットＥは非架橋用であり、又
配合ペレットＦは触媒マスターバッチであり、いずれも
混練後、ペレット化した。

上記各ペレットＡ〜Ｆは、第２表の組み合わせにより、
内外層の絶縁体として押出を行った。

触媒マスターバッチＦを使用した場合は、グラフトマー
95重量部と当該触媒マスターバッチ５重量部を混合して
押出機ポッパーに供給した。

このようにして得られた絶縁電線の着色の良・不良、及
び２日間室温放置後の内外層の絶縁体のゲル分率は、上
記第２表に併記した。

尚、ゲル分率の測定は次のようにして行った。

内外層の絶縁体約0.5gを80℃のキシレン約100ml中に入
れ、80℃のキシレンで24時間押出する。押出後、90℃に
設定した真空乾燥器中に入れ、５時間真空乾燥する。そ
して、ゲル率は次式により求めた。

〈考案の効果〉 以上の説明から明らかなように、本考案によれば、絶縁
体を２層構造とすると同時に、外層は勿論のこと、内層
の絶縁体をも外層部分の着色と特定の関係を持って着色
してあるため、他の特性（外観や機械的特性等）を損な
うことなく、色識別性に優れたシラン架橋絶縁電線を得
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るシラン架橋絶縁電線の一例を示し
た縦断面図である。 図中、１……導体、 ２……絶縁体、 2a……内層絶縁体、 2b……外層絶縁体。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−88213（ＪＰ，Ａ) 実開 昭49−6482（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−110471（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭56−169314（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭42−4623（ＪＰ，Ｂ１)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】導体の外周にポリエチレンを被覆した絶縁
   電線において、絶縁体が２層構造で、外層絶縁体が着色
   された架橋又は非架橋のポリエチレンからなり、内層絶
   縁体が白色に着色されたシラン架橋ポリエチレン又は上
   記外層絶縁体と同色に着色され且つその着色剤量が当該
   外層絶縁体と同量かそれ以下であるシラン架橋ポリエチ
   レンからなることを特徴とするシラン架橋絶縁電線。