JPH0643933U - 移動用ケーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 テンションメンバにその弾性限界以上の張力
が加わった場合にも、周りに配置された他の線心または
ケーブルユニットに張力が加わって断線することがない
ような移動用ケーブルを提供する。 【構成】 鋼より線１の外周に、鋼線が緊密に巻回され
て形成されたコイルスプリング２が設けられており、鋼
より線１に生じる伸びが吸収緩和されるように構成され
ている。またコイルスプリング２の上には、保護被覆３
が設けられ、その周りには、複数本の電力用絶縁線心４
と、複数本の制御、信号用の複合ケーブルユニット５が
配置されており、これらの外側には、ゴム、プラスチッ
クシース６が設けられている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、移動用ケーブルに係わり、特に移動用のロボット等に電力や信号を 供給するためのケーブルに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、移動用のロボットに電力や信号を供給するために使用されるケーブ ルとしては、JIS G 3540に規定される操作用ワイヤーロープや、JIS G 3535に規 定される航空機用ワイヤーロープのようなステンレス鋼より線が、テンションメ ンバ（抗張力体）として中心に配置されたケーブルが広く使用されている。

【０００３】 ところで、このようなステンレス鋼より線においては、素材のステンレス鋼自 体としての弾性領域と、ステンレス鋼線のより線としての弾性領域との両方が存 在している。また、前記ケーブルを製造する際には、ある程度のバックテンショ ン（数 10kgf）をかけてステンレス鋼線をより合わせているが、その力（荷重） は弾性限界の数％にすぎない。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このようにより合わせられたステンレス鋼より線をテンションメンバとする前 記移動用ケーブルにおいて、使用の際にステンレス鋼より線の弾性領域の限界に 近い力（荷重）が加えられた場合には、より線を構成するステンレス鋼線が塑性 変形して伸びが生じ、制御、信号用等の他の線心あるいはユニットが断線すると いう問題があった。

【０００５】 すなわち、通常時テンションメンバであるステンレス鋼より線の張力が小さい 場合には、その周囲に配置された光ファイバケーブルまたはユニットのような制 御、信号用の線心あるいはユニットは弛んだ状態にあり、そのため鋼より線にの み張力が加わる。それに対して、非常時ロボットをテンションメンバのみにより 引張らなければならない場合には、ステンレス鋼より線の弾性領域の限界に近い 張力が加えられるため、ステンレス鋼線が伸びてテンションメンバに弛みが生じ る。そのため光ファイバユニット等に張力が加わり、断線を生じるという問題が あった。

【０００６】 本考案はこのような問題を解決するためになされたもので、テンションメンバ にその弾性領域の限界以上の張力が加わった場合にも、周りに配置された他の線 心またはケーブルユニットに張力が加わり断線することがない、移動用ケーブル を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案の移動用ケーブルは、中心にテンションメンバを有する移動用ケーブル において、前記テンションメンバが、金属線の外周にコイルスプリングを密接し て被着したものであることを特徴とする。

【０００８】

【作用】

本考案の移動用ケーブルにおいては、鋼より線のような金属線の外周にコイル スプリングが密接して被着された複合線材が、テンションメンバとして中心に配 置されているので、金属線にその弾性限界以上の張力が加えられた場合に、その 上に密着被嵌されたコイルスプリングが、金属線に生じる伸びを吸収し緩和する 。そのため、金属線に弛みが生じることがなく、張力が金属線にのみ加わるので 、周りに配置された制御、信号用の線心あるいはケーブルユニット等に断線が生 じることがない。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案を図面に示す実施例について説明する。

【００１０】 図１は、本考案の移動用ケーブルの一実施例を示す横断面図である。

【００１１】 図において、符号１はステンレス鋼等の鋼線をより合わせた鋼より線を示し、 その外周には、ステンレス鋼やばね鋼等の鋼線が緊密に巻付けられており、コイ ルスプリング２が形成されている。またその上には、ポリ塩化ビニル等の保護被 覆３が設けられている。さらに、このような構造のテンションメンバの周りには 、例えば導体上に架橋ポリエチレン絶縁体を設けた電力用の絶縁線心４や、光フ ァイバ／メタル複合ケーブルユニットのような制御、信号用の複合ケーブルユニ ット５が配置されており、これらの外側には、ゴム、プラスチックシース６が設 けられている。

【００１２】 このような構造の実施例の移動用ケーブルにおいては、テンションメンバを構 成する鋼より線１の外周に、鋼線を巻付けることにより形成されたコイルスプリ ング２が密接して被嵌されており、鋼より線１にその弾性領域の限界以上の張力 が加えられた場合に、このコイルスプリング２が鋼より線１に生じる伸びを吸収 緩和するので、鋼より線１に弛みが生じることがない。したがって、張力が鋼よ り線１にのみ加わり、周りに配置された制御、信号用の複合ケーブルユニット５ に張力が加わらないので、断線が生じない。

【００１３】 なお、本考案の移動用ケーブルはこのような実施例に限定されず、鋼より線１ の外周にコイルスプリング２が被嵌されたテンションメンバの周りに、電力用と 制御、信号用の線心またはケーブルユニットをそれぞれ配置した構造のものであ れば、どのような構造でも良い。また、コイルスプリング２の上の保護被覆３は 特に設けなくとも同様な効果を上げることができる。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように本考案の移動用ケーブルによれば、鋼より線等のテンショ ンメンバに、その弾性領域の限界以上の張力が加えられた場合に、テンションメ ンバの伸びがコイルスプリングにより吸収緩和されるため、弛みが生じることが なく、したがって、張力がテンションメンバにのみ加わり、周りに配置された制 御、信号用の複合ケーブルユニットのような他の線心あるいはケーブルユニット に断線が生じない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の移動用ケーブルの一実施例を示す横断
面図。

【符号の説明】

１………鋼より線 ２………コイルスプリング ３………保護被覆 ４………電力用絶縁線心 ５………制御、信号用複合ケーブルユニット ６………ゴム、プラスチックシース

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心にテンションメンバを有する移動用
   ケーブルにおいて、 前記テンションメンバが、金属線の外周にコイルスプリ
   ングを密接して被着したものであることを特徴とする移
   動用ケーブル。