JPH0643676Y2 - スクラップ予熱工程における集塵機の保護装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案はスクラップ予熱工程における集塵機の保護装置
に関する。

金属溶解に電気炉が広く利用されているが、該電気炉か
らは、原料をアーク熱により溶解する性質上、高温の排
ガスが発生する。かかる排ガスは一般に、燃焼塔で所謂
自己燃焼により燃焼された後、クーラ及び集塵機を経て
大気中へ放出される。しかし、電気炉からの排ガスの顕
熱を特に有効利用することなく大気中へ放出するのでは
熱エネルギの著るしい無駄である。そこで、燃焼塔とク
ーラとの間にスクラップ予熱機を設置して、電気炉から
の排ガスの顕熱を原料であるスクラップの予熱に利用す
ることが行なわれている。

ところで、電気炉からの排ガスをスクラップ予熱機へ導
入してスクラップ予熱機に装入されているスクラップを
予熱すると、スクラップ予熱後の排ガス中には、スクラ
ップ予熱機へ導入する排ガスの温度や風量更にはスクラ
ップの性状等との関係で相応する悪臭成分や白煙成分が
含まれてくる。そしてこれらの悪臭成分や白煙成分はス
クラップ予熱機と集塵機との間の配管途中に油分として
付着蓄積し、かかる油分に起因してしばしば火災が発生
する。この火災は、これをそのまま放置すると、スクラ
ップ予熱機と集塵機との間の配管途中を次第に下流方向
へ広がり、遂には集塵機へと至って、集塵機を損なって
しまう。

本考案は上記のような火災の延焼から集塵機を保護する
装置に関するものである。

〈従来の技術、その課題〉 従来、電気炉からの排ガスをスクラップ予熱機へ導入し
て該スクラップ予熱機に装入されているスクラップを予
熱し、そしてスクラップ予熱後の排ガスを集塵機で処理
してから大気中へ放出するスクラップ予熱工程におい
て、前述したような火災の延焼から集塵機を有効に保護
する手段は提案されていない。スクラップ予熱機と集塵
機との間の配管途中で発生する火災の延焼によって集塵
機が損なわれてしまうことを防止するために、集塵機へ
散水することも考えられるが、集塵機、例えばバグフィ
ルタへ散水すると、該バグフィルタが使用不能になって
しまう。

実情は、前述したような火災の延焼から集塵機を有効に
保護することが課題となっているのである。

〈考案が解決しようとする課題、その解決手段〉 本考案は、叙上の如き従来の課題を解決する、スクラッ
プ予熱工程における集塵機の保護装置を提供するもので
ある。

しかして本考案は、電気炉からの排ガスをスクラップ予
熱機へ導入して該スクラップ予熱機に装入されているス
クラップを予熱し、そしてスクラップ予熱後の排ガスを
集塵機で処理してから大気中へ放出する、スクラップ予
熱工程における集塵機の保護装置であって、スクラップ
予熱機と集塵機との間の配管途中に火災検出器が取付け
られており、火災検出器は制御装置に接続されていて、
火災検出器からの信号により制御装置を介してスクラッ
プ予熱機と集塵機との間の配管途中及び集塵機へ窒素ガ
ス及び／又は二酸化炭素ガスを送入するように構成して
成ることを特徴とするスクラップ予熱工程における集塵
機の保護装置に係る。

本考案において、スクラップ予熱機は電気炉と集塵機と
の間に介装されており、スクラップ予熱機と集塵機との
間の配管途中、好ましくはスクラップ予熱機とその下流
側のクーラとの間の配管途中に火災検出器が取付けられ
ている。火災検出器としては、温度の連続測定時におい
て該温度の異常な急上昇を検出するものや、光透過率の
連続測定時において該光透過率の異常な急下降を検出す
るもの等、既に実用化されているものを採用することが
できる。かかる火災検出器は制御装置に接続されてお
り、火災検出器からの信号により制御装置を介して、例
えばガス供給源へと接続された配管途中に介装されてい
る自動バルブを開き、ガス供給源から窒素ガス及び／又
は二酸化炭素ガスを、スクラップ予熱機と集塵機との間
の配管途中及び集塵機、好ましくはスクラップ予熱機と
クーラとの間の配管途中及び集塵機へと送入するように
なっている。

〈作用〉 スクラップ予熱機と集塵機との間の配管途中で火災が発
生すると、それを火災検出器が検出し、火災が発生した
ことを知らせる火災検出器からの信号により制御装置を
介して、スクラップ予熱機と集塵機との間の配管途中及
び集塵機へ窒素ガス及び／又は二酸化炭素ガスを送入す
るので、かかる配管途中における火災の延焼それ自体を
防止して、集塵機を保護することができる。窒素ガス及
び／又は二酸化炭素ガスを送入することによって火災の
延焼を防止し、集塵機を保護するので、集塵機が使用不
能になることはない。集塵機へ窒素ガス及び／又は二酸
化炭素ガスを送入する場合、集塵機、例えばバグフィル
タを複数の室に区画し、ダンパ操作で複数の室の一部を
遮断して、遮断した室へ窒素ガス及び／又は二酸化炭素
ガスを送入することにより、遮断した室を火災の延焼か
ら完全保護することもできる。

以下、図面に基づいて本考案の構成を更に詳細に説明す
る。

〈実施例〉 第１図は本考案の一実施例を電気炉との関係で略示する
全体図である。電気炉11からの排ガスは、燃焼塔12で所
謂自己燃焼により燃焼された後、それがスクラップを予
熱するに適当な場合（温度、風量、操作段階等が適当な
場合）にはダンパ13を介してスクラップ予熱機21へと導
入され、またそれがスクラップを予熱するに不適当な場
合にはダンパ14を介してクーラ31へと短絡されるように
なっている。スクラップ予熱機21へと導入された排ガス
は、スクラップ予熱機21のバケット22に装入されている
スクラップの予熱に供された後、ダンパ15、クーラ31及
び吸引ファン41を介して集塵機51へと至り、集塵機51で
処理されてから大気中へ放出されるようになっていて、
前述したようにクーラ31へと短絡された排ガスも、吸引
ファン41を介して集塵機51へと至り、集塵機51で処理さ
れてから大気中へ放出されるようになっている。

そして、スクラップ予熱機21とクーラ31との間の配管途
中に火災検出器61が取付けられており、火災検出器61は
制御装置62に接続されていて、スクラップ予熱機21とク
ーラ31との間の配管途中及び集塵機51のそれぞれへガス
供給源71からの配管が自動バルブ81,82を介し接続さ
れ、火災検出器61からの信号により制御装置62を介し自
動バルブ81,82を所定時間開くようになっている。

スクラップ予熱後の排ガス中に含まれてくる悪臭成分や
白煙成分がスクラップ予熱機21とクーラ31との間の配管
途中に油分として付着蓄積し、かかる油分に起因して火
災が発生すると、それを火災検出器61が検出し、火災検
出器61から発せられる信号により制御装置62を介し自動
バルブ81,82が開かれて、ガス供給源71から窒素ガス及
び／又は二酸化炭素ガスがスクラップ予熱機21とクーラ
31との間の配管途中及び集塵機51へ送入される構成であ
る。かくしてスクラップ予熱機21の下流側の配管途中に
おける火災の延焼それ自体が防止され、集塵機51が保護
される。

説明を省略するが、スクラップ予熱機が２機以上接続さ
れている場合やスクラップ予熱機の下流側にアフターバ
ーナが接続されている場合でも、以上説明したことと同
様である。

〈考案の効果〉 既に明らかなように、以上説明した本考案には、スクラ
ップ予熱機と集塵機との間の配管途中で発生する火災の
延焼それ自体を防止して、集塵機を保護することができ
るという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を電気炉との関係で略示する
全体図である。 11……電気炉、12……燃焼塔、13〜15……ダンパ、21…
…スクラップ予熱機、22……バケット、31……クーラ、
41……吸引ファン、51……集塵機、61……火災検出装
置、62……制御装置、71……ガス供給源、81,82……自
動バルブ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】電気炉からの排ガスをスクラップ予熱機へ
   導入して該スクラップ予熱機に装入されているスクラッ
   プを予熱し、そしてスクラップ予熱後の排ガスを集塵機
   で処理してから大気中へ放出する、スクラップ予熱工程
   における集塵機の保護装置であって、スクラップ予熱機
   と集塵機との間の配管途中に火災検出器が取付けられて
   おり、火災検出器は制御装置に接続されていて、火災検
   出器からの信号により制御装置を介してスクラップ予熱
   機と集塵機との間の配管途中及び集塵機へ窒素ガス及び
   ／又は二酸化炭素ガスを送入するように構成して成るこ
   とを特徴とするスクラップ予熱工程における集塵機の保
   護装置。
2. 【請求項２】スクラップ予熱機とクーラとの間の配管途
   中に火災検出器が取付けられており、スクラップ予熱機
   とクーラとの間の配管途中及び集塵機へ窒素ガス及び／
   又は二酸化炭素ガスを送入する請求項１記載のスクラッ
   プ予熱工程における集塵機の保護装置。