JPH0643456Y2 - 空冷エンジンの冷却風案内装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は、強制空冷エンジンや液冷併用空冷エンジン
等、冷却風によってエンジン本体を冷却する空冷エンジ
ンでの冷却風案内装置に関する。

《従来技術》 一般に空冷エンジンでは、エンジン本体の前側に冷却フ
ァンを配置し、この冷却ファンを取り囲む状態で配設し
たスパイラルケースでエンジン本体の前面を覆い、この
スパイラルケースに連続する状態でカウリングを配置
し、冷却ファンで起風した冷却風をスパイラルケース及
びカウリングで案内することにより、冷却風をエンジン
本体に効果的に作用させるようにしている。

《解決しようとする課題》 従来の空冷エンジンでは、カウリングをシリンダ部の一
側面から後面に亘って配置し、冷却風をシリンダ部のほ
ぼ全周に亘って作用させるようにしてあり、エンジン本
体を冷却した後の冷却風を排気消音装置に送り込んで、
排気消音装置を冷却するように構成してあることから、
排気消音装置の配設個所がある程度限定されてしまい、
排気消音装置が突出して、エンジンを小型コンパクトに
まとめることができないという問題があった。

本考案はこのような点に着目してなされたもので、エン
ジンを小型化できるうえ、斬新なデザインのエンジンを
提供することを目的とする。

《課題を解決するための手段》 上述の目的を達成するために、本考案では、エンジン本
体のシリンダブロックの横側後部から後側部分に亘って
排気消音装置を配置し、この排気消音装置のシリンダブ
ロック側に位置する内側面をシリンダブロックに突設さ
れている冷却フインの角部の外周形状に合わせて折り曲
げ状に形成し、排気消音装置をその内側面が冷却フイン
の外端縁と非接触で沿う状態に配置することにより、排
気消音装置の内側面をシリンダブロックでの冷却風案内
面に構成したことを特徴としている。

《作用》 本考案では、排気消音装置のシリンダブロック側に位置
する内側面をシリンダブロックでの冷却風案内面に構成
しているので、この排気消音装置の内側面がシリンダブ
ロック部分のカウリングを兼ねる。

しかも、この排気消音装置の内側面をシリンダブロック
に突設されている冷却フインの角部の外周形状に合わせ
て折り曲げ状に形成してあるので、シリンダブロックの
横側の冷却フイン間を通過した冷却風は、排気消音装置
の内側面に衝突して十分に接触したのち、この内側面と
冷却フインに沿ってシリンダブロックの後側へ案内され
る。

また、上記排気消音装置をシリンダブロックの横側後部
から後側部分に亘って配置し、シリンダブロック側に位
置する内側面を冷却フインの角部の外周形状に合わせて
折り曲げ状に形成し、内側面が冷却フインの外端縁と非
接触で沿う状態に配置してあるので、一定容積を有する
排気消音装置のエンジン本体からの出っ張りを小さくす
ることができるうえ、デザイン的にも斬新なものが得ら
れる。

《実施例》 図面は本考案の実施例を示し、第１図は要部を切欠いた
平面図、第２図は液冷併用空冷エンジンの縦断側面図、
第３図は要部の取り出し断面図である。

このエンジンは、クランクケース（１）とシリンダブロ
ック（２）とを一体に形成し、シリンダブロック（２）
の上側にヘッドブロック（３）を固定してエンジン本体
（Ｅ）を形成し、クランクケース（１）の前壁（４）か
ら突出しているクランク軸（５）の前端に冷却ファン
（６）を固定し、冷却ファン（６）をスパイラルケース
（７）で取囲み、冷却ファン（６）で起風した冷却風を
シリンダブロック（２）部及びヘッドブロック（３）部
に送給することにより、エンジンを冷却するようにして
ある。

また、このエンジン本体（Ｅ）には、副燃焼室の周囲お
よびシリンダ（８）の周壁の一部に冷却液が流通するジ
ャケット（９）が形成してあり、このジャケット（９）
には、潤滑油ポンプ（図示略）で圧送される潤滑油の一
部が冷却液として供給されるようになっている。

スパイラルケース（７）の上側には、副燃焼室の周辺部
を冷却した後の潤滑油を冷却するためのオイルクーラ
（10）が配置してあり、このオイルクーラ（10）に冷却
ファン（６）で起風した冷却風の一部を作用させるよう
に構成してある。そして、オイルクーラ（10）を通過す
ることにより放熱して油温を低下させた潤滑油は、プッ
シュロッド挿通孔で形成した潤滑油戻し路（11）を通っ
てクランクケース（１）の底部に設けられている潤滑油
溜まり部（12）に戻されるように構成してある。

シリンダブロック（２）の横側後部から後側部分に亘っ
て、マフラ（13）とマフラ（13）の外周面を覆うマフラ
カバー（14）とで構成された排気消音装置（15）が配置
してある。そして、第３図に示すように、マフラ（13）
のシリンダブロック（２）に対向している側面（内側
面）（16）はシリンダブロック（２）に突設されている
冷却フィン（17）の角部の外周形状に合致するように折
り曲げ状に形成してあり、マフラ（13）はその内側面
（16）が冷却フィン（17）に接触しない状態で、シリン
ダブロック（２）に近接して配置してある。また、マフ
ラカバー（14）はシリンダブロック（２）側を開放した
状態に形成されており、マフラ（13）の外側壁に断熱支
持されている。

このように形成した排気消音装置（15）をシリンダブロ
ック（２）の後側に配置すると、マフラ（13）の内側面
（16）が冷却風を案内する案内面として作用することに
なり、カウリングを省略することができる。また、マフ
ラ（13）の壁面が冷却風に曝されることなるから、マフ
ラ（13）を強力に冷却して、排気音の低減をはかること
ができる。

第４図は排気消音装置（15）の別実施例を示し、これ
は、マフラ（13）の外周を二つ割り可能な箱型のマフラ
カバー（14）で完全に覆うようにし、マフラカバー（1
4）のシリンダブロック側部材（14a）をシリンダブロッ
ク（２）に固定支持させるとともに、シリンダブロック
側部材（14a）に被付ける蓋部材（14b）をマフラ（13）
に断熱支持するようにしたものであり、シリンダブロッ
ク側部材（14a）のシリンダブロック（２）と対向して
いる内側面（16）部分を、冷却フィン（17）の外周形状
と合致するように形成してある。

第５図は第４図に示すものの変形例を示し、これはマフ
ラカバー（14）の蓋部材（14b）をマフラ（13）に支持
させることなく、シリンダブロック側部材（14a）に固
定支持させるようにしたものであり、シリンダブロック
側部材（14b）の内側面（16）は前例と同様冷却フィン
（17）の外周形状と合致するように形成してある。

《効果》 本考案では上記のように構成され作用することから、次
の効果を奏することができる。

（イ）排気消音装置の内側面がシリンダブロック部分の
カウリングを兼ねることになり、カウリングを簡素化で
きる。

（ロ）排気消音装置の内側面を冷却フインの角部の外周
形状に合わせて折り曲げ状に形成してあるので、この内
側面に冷却風が衝突して十分に接触するうえ、冷却風と
の接触面積を大きくとることができ、排気消音装置を強
力に冷却することができる。

（ハ）排気消音装置をシリンダブロックの横側後部から
後側部分に亘って配置していることから、シリンダブロ
ック部分からの音がカウリング外に漏れ出すことを低減
できる。

（ニ）排気消音装置をシリンダブロックの横側後部から
後側部分に亘って配置し、シリンダブロック側に位置す
る内側面を冷却フインの角部の外周形状に合わせて折り
曲げ状に形成し、内側面が冷却フインの外端縁と非接触
で沿う状態に配置してあるので、一定容積を有する排気
消音装置の出っ張りを小さくしてエンジンを小型化する
ことができ、さらにデザイン的にも斬新なものを得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は要部を切欠いた
平面図、第２図は液冷併用空冷エンジンの縦断側面図、
第３図は要部の取り出し断面図、第４図は別実施例の第
３図相当図、第５図は変形例の第３図相当図である。 Ｅ……エンジン本体、２……シリンダブロック、６……
冷却ファン、７……スパイラルケース、15……排気消音
装置、16……排気消音装置の内側面、17……冷却フイ
ン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジン本体（Ｅ）の前側に冷却ファン
   （６）を配置し、この冷却ファン（６）を取り囲む状態
   で配設したスパイラルケース（７）でエンジン本体
   （Ｅ）の前面を覆うようにした空冷エンジンにおいて、 エンジン本体（Ｅ）のシリンダブロック（２）の横側後
   部から後側部分に亘って排気消音装置（15）を配置し、 この排気消音装置（15）のシリンダブロック（２）側に
   位置する内側面（16）をシリンダブロック（２）に突設
   されている冷却フイン（17）の角部の外周形状に合わせ
   て折り曲げ状に形成し、 排気消音装置（15）をその内側面（16）が冷却フイン
   （17）の外端縁と非接触で沿う状態に配置することによ
   り、排気消音装置（15）の内側面（16）をシリンダブロ
   ック（２）での冷却風案内面に構成したことを特徴とす
   る空冷エンジンの冷却風案内装置。