JPH0642944U - 摩擦材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブレーキ鳴きを防止ないしは極力減少させる
ことができるディスクパッド、ブレーキライニング等の
摩擦材を提供する。 【構成】 摩擦部材（ディスクパッド）の中央部の硬度
を端部より高くする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は自動車などの制動装置に用いられるディスクパッド、ブレーキライニ ング等の摩擦材に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車などの制動装置として、例えばディスクパッドを用いたディスクブレー キが使用されている。ディスクブレーキは、車輪と一体に回転するブレーキディ スクと、これに押し付けられるディスクパッド及びディスクパッドを保持、押し 付けるシステムから構成されるが、制動時に鳴きが発生する。

【０００３】 この原因は、ディスクパッドをブレーキディスクに押し付けた際に発生する熱 によるパッド自体の変形などのためにディスクパッドの面圧分布が不均一となり 、スティックスリップ現象が発生し、ディスクパッドが振動してブレーキ鳴き現 象になるものと考えられる。面圧分布が不均一になるのを防ぐため、裏板と押付 部材との間にシムを介在させたり、パッド両端のモールド部を斜めにカットした りする方法が一般的に知られている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記に示す方法によっても鳴きが発生する場合がある。これはデ ィスクパッドの摩擦部材（ライニング部分）の物性、特に密度及び硬度が中央部 に比較し端部の方が高い場合、ブレーキディスクにディスクパッドを押し付けた ときに面圧分布が高くなることが原因と考えられる。

【０００５】 上記の他に特開昭６１−１８４２３２号公報に示されるように、ディスクパッ ドの摩擦部材を数分割し、密度及び摩擦係数分布を変えた材料を用いて鳴きの発 生を防止しようとする方法があるが、この方法では特にサイズの小さなディスク パッドにおいては、摩擦部材として２種類以上の材料を用いなければならず製作 するのが困難である。

【０００６】 本考案はブレーキ鳴きを防止ないしは極力減少させることができるディスクパ ッド、ブレーキライニング等の摩擦材を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は摩擦部材の中央部の硬度を端部より高くした摩擦材に関する。

【０００８】 本考案において硬度の高い部分、即ち摩擦部材の中央部の面積は、摩擦部材全 面積の４／５以下であることが好ましく１／３程度であればさらに好ましい。

【０００９】 本考案になる摩擦材は、例えば成形金型にテーパーを設けタブレットの材料投 入時に両端部の材料を少なくするか又は加熱成形時に両端部を厚く成形すること により製作することができる。

【００１０】 本考案になる摩擦材を得るのに用いられる材料としては特に制限はなく、従来 公知の繊維状物質、充てん剤、結合剤等が用いられる。

【００１１】

【作用】

本考案は、摩擦部材の中央部の硬度を端部より高くすることにより、制動時に おける両端部の面圧が極端に高くなることが抑制され、スティックスリップ現象 に起因する鳴きの発生を防止ないしは極力減少させることができる。

【００１２】

【実施例】

以下図面により本考案を説明する。 図１は本考案の実施例になるディスクパッドの平面図であり、１は摩擦部材の 硬度の高い部分を示し、２は摩擦部材の硬度の低い部分を示す。またＡ、Ｂ、Ｃ 、Ｄ、Ｅ及びＦは硬度測定箇所を示し、図２にその硬度を示す。

【００１３】 本考案になるディスクパッドは次の工程により得ることができる。先ず表１に 示す成分を配合し、混合機で均一に混合したのちタブレットを成形する。このと きタブレット加圧面にテーパを付け、タブレットの両端には材料が少なく、厚み が薄くなるようにしておく。ついで金型内で１５０℃±２．５℃、圧力４９ＭＰ ａの条件で５分間加熱加圧成形し、さらに２００℃で５時間焼成した後、所定の 厚みに研磨してディスクパッドとされる。

【００１４】

【表１】

【００１５】 次に摩擦部材の硬度の高い部分の面積が１／３（実施例１とする）、１／５ （実施例２とする）及び摩擦部材の硬度が全て均一（比較例１とする）であるデ ィスクパッドを製作し、実際の車に装着して鳴きの発生状態の比較試験を行った 。その結果を表２に示す。試験は各々試料を３ケずつロットを変えて行った。

【００１６】 なお試験方法は下記の通りである。 キャリパ型式：コレットタイプ（シリンダ面積２５ｃｍ²） テスト車：２リットル乗用車 試験方法：市街地一般送行にて確認。鳴き官能レベルを５段階評価

【数１】

【００１７】

【表２】

【００１８】 表２に示されるように本発明の実施例になるディスクパッドは、鳴きが生じな いか又は生じても小さいことがわかる。なお、図１ではディスクパッドの両端部 がフラットな面の例で示したが、両端部が斜めにカットされている場合は、フラ ットな部分の端の部分を端部とする。

【００１９】

【考案の効果】

本考案になる摩擦材は、制動時の面圧分布が中央部及び両端部がほぼ一定とな るためブレーキ鳴きを防止ないしは極力減少させることができ、工業的に極めて 好適な摩擦材である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例になるディスクパッドの平面図
である。

【図２】図１に示すディスクパッドの硬度分布を示すグ
ラフである。

【符号の説明】

１ 硬度の高い部分 ２ 硬度の低い部分

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 摩擦部材の中央部の硬度を端部より高く
   した摩擦材。
2. 【請求項２】 硬度の高い部分が摩擦部材全面積の４／
   ５以下である請求項１記載の摩擦材。