JPH0642844Y2 - 輪転印刷機のロ−ラ機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、輪転印刷機の印圧を調節し得るように改良し
たローラ機構に係り、特に、グラビア輪転印刷機に好適
なローラ機構に関するものである。

〔従来技術〕

グラビア輪転機には軽印圧用と高印圧用との区別が有
る。

軽印圧用は第３図に示すように版胴１と圧胴２との間に
紙４を挾んで押しつけながら回転させて紙を送りつつ印
刷する。この場合、圧胴２によつて印圧を与えられ、版
胴１によつて回転駆動される。この形式は薄紙やフイル
ムに印刷をする場合に用いられる。

高印圧用は第４図に示す如く、圧胴２の上から更にバツ
クアツプローラ３で押圧して印圧を高める。

第５図は従来の高印圧形の輪転印刷機の１例を示す側面
図である。

圧胴２は圧胴軸受８によつて支承され、バツクアツプロ
ーラ３はバツクアツプローラ軸受７によつて支承されて
いる。

上記のバツクアツプローラ軸受７はガイド６によつて上
下摺動自在に支承され、かつ、シリンダ５により、油圧
力若しくは空気圧力で圧下力を付勢される。

前記の圧胴軸受８は、バツクアツプローラ軸受７に設け
られたアーム7aに対して、枢支軸10により上下傾動自在
に支承されている。

14は、圧胴２および圧胴軸受８の自重を支承して印圧を
調整しているスプリング、13は調節ネジである。

第５図に例示した高印圧用のグラビア輪転印刷機におい
て、ローラ類の回転駆動は版胴１に対して行われ、圧胴
２とバツクアツプローラ３とは紙４を介して摩擦伝動を
受けて回転する。従つて、この高印圧用のグラビア輪転
機で薄紙やフイルムに印刷すると、紙（フイルムを含
む）に強いテンシヨンが掛かつて切れたり皺を生じたり
する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来のグラビア用の輪転印刷機においては、高印圧用輪
転機と低印圧用輪転機とが別型式の機械装置として設
計、製作されていた。

本考案の目的は、薄紙やフイルムの印刷も厚紙の印刷
も、同じ機械装置によつて行い得る、輪転印刷機のロー
ラ機構を提供しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するための本考案の構成について、そ
の実施例に対応する第１図（，第６図）を参照して述べ
ると次のごとくである。すなわち、 上下摺動自在に支承されるとともに上下駆動手段を備え
たバツクアツプローラ軸受７に対して、圧胴軸受け８を
上下動可能に支承した軸転印刷機のローラ機構であっ
て、前記の圧胴軸受８をバツクアツプ軸受７に対して離
間せしめる方向に押動する機能と、押動を保持する機能
と、押動を解除する機能とを備えたカム機構が設けられ
ており、かつ、 上記のカム機構は、前記バツクアツプローラ軸受７に取
りつけられた軸11と、上記の軸に支持されて回動せしめ
られるカム12（,16）とより成り、 輪転印刷機の運転状態のとき前記のカム機構によって圧
胴軸受８に対してバツクアツプローラ軸受７を離間方向
に押動すると、バツクアツプローラ３が圧胴２から離間
するようになっていることを特徴とする。

〔作用〕

上記のように構成したローラ機構によれば、前記の印圧
調整手段によつて圧胴軸受とバツクアツプローラ軸受と
（以下、両軸受と略称する）を離間させると、バツクア
ツプローラが圧胴に接触しなくなり、シリンダ（第５図
の例における５）に与える流体圧力を加減して任意の印
圧を与えて低印圧乃至中印圧の印刷を行うことが出来
る。その上、バツクアツプローラ３の回転抵抗が圧胴２
に加えられなくなって、版胴１の回転駆動の負荷が減少
すると共に、紙に対する無理な力が掛からなくなる。

また、高印圧で印刷するには印圧調整手段による両軸受
の離間作業を解除すると、バツクアツプローラが圧胴に
接触して該圧胴が印圧によつて撓むことを防止し、シリ
ンダに与える流体圧力を上昇させて高印圧の印刷を行う
ことが出来る。

このようにして、シリンダ（第５図の例における５の供
給流体圧を調節して任意の印圧を与えるとともに、印圧
による圧胴の撓み具合に応じてバツクアツプローラのバ
ツクアツプ作用を任意に制御出来、１台の機械装置によ
つて薄紙（フイルムを含む）乃至厚紙の何れに対しても
高品質の輪転印刷を行うことが出来る。

〔実施例〕

次に、第１図及び第２図について本考案の１実施例を説
明する。

第１図は高印圧の印刷を行つている状態を示し、第２図
は低印圧の印刷を行つている状態を示す。

この実施例は、第５図に示した従来の高印圧式輪転印刷
機に本考案を適用して改良した１例であつて、第５図と
同一の図面参照番号を付したものは前述の従来例におけ
ると同様、乃至は類似の構成部材である。

第５図に示した従来例に比して異なる点は次記の如くで
ある。

バツクアツプローラ軸受７に対して、軸11によつてカム
12を取りつけ、圧胴軸受８に摺触せしめる。上記のカム
12を回動させることにより、該カム12は両軸受（7,8）
を離間させたり、離間作用を解除したりすることが出来
る。また、前記のカム12の回動を停止させると、両軸受
（7,8）の相対的な位置が保持される。

第１図に示した状態において、カム12のロブが圧胴軸受
８に接しておらず、バツクアツプローラ３が圧胴２に接
触してその撓みを防止するようにバツクアツプしてい
る。この状態でシリンダ５に高圧の作動流体を供給して
バツクアツプローラ軸受７を強い力で圧下すると、厚紙
に対して高印圧で輪転印刷を行い得る。

カム12を回動させて、第２図に示すように両軸受（7,
8）を離間させ、バツクアツプローラ３と圧胴２との間
に微小間隙Δｃを形成させると、バツクアツプローラ３
は作用しなくなる。この状態において、印圧による圧胴
の撓みが不具合を生じない程度の範囲内で、シリンダ５
の供給圧力を調整し、低印圧乃至中印圧の輪転印刷を行
うことが出来る。

第６図は前記と異なる実施例の説明図で、前例（第１
図，第２図）に示した切欠円形のカム12に代えて偏心円
形カム16を用いてある。

〔考案の効果〕

以上詳述したように、本考案のローラ機構を適用した輪
転印刷機によれば、１台の機械装置で薄紙やフイルムの
印刷も厚紙の印刷も出来るという優れた実用的効果を奏
し、特にグラビア輪転印刷機の汎用性向上に貢献すると
ころ多大である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例の側面図を示し、
第１図は高印圧で印刷するように操作した状態、第２図
は低印圧で印刷するように操作した状態である。 第３図は低印圧輪転機の説明図、第４図は高印圧輪転機
の説明図、第５図は従来の高印圧輪転機の１例の側面図
である。 第６図はそれぞれ前記と異なる実施例の説明図である。 ６…ガイド、10…枢支軸、11…カム軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上下摺動自在に支承されるとともに上下駆
   動手段を備えたバツクアツプローラ軸受（７）に対し
   て、圧胴軸受（８）を上下動可能に支承した輪転印刷機
   のローラ機構であって、前記の圧胴軸受（８）をバツク
   アツプローラ軸受（７）に対して離間せしめる方向に押
   動する機能と、押動を保持する機能と、押動を解除する
   機能とを備えたカム機構が設けられており、かつ、 上記のカム機構は、前記バツクアツプローラ軸受（７）
   に取りつけられた軸（11）と、上記の軸に支持されて回
   動せしめられるカム（12,16）とより成り、 輪転印刷機の運転状態のとき前記のカム機構によって圧
   胴軸受（８）に対してバツクアツプローラ軸受（７）を
   離間方向に押動すると、バツクアツプローラ（３）が圧
   胴（２）から離間するようになっていることを特徴とす
   る、輪転印刷機のローラ機構。