JPH0229068Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は郵便物の自動押印機等に用いて有効な
紙葉類の分離給送機構に関するものである。

（従来の技術） 従来、葉書等の郵便物の自動押印機に於ける分
離給送機構は第１図および第２図に示す如く構成
されるのが一般的であつた。第１図はその要部を
示す平面図、第２図はその一部切断右側面図であ
る。

同図に於いて１は葉書等の給送方向に正転駆動
されている繰込ローラーであり、２はこの繰込ロ
ーラー１とは逆方向に回転駆動されている逆転ロ
ーラーである。この逆転ローラー２は支軸３によ
つて回転自在に枢支された支持アーム４に取付け
られている。また、５は押圧板であり、繰込ロー
ラー対応部に窓があけられ、支持アーム４と同一
の支軸３に回動自在に枢支されている。

これらの支持アーム４および押圧板５は押圧作
用を有する調整機構６，７によつて夫々繰込ロー
ラー側へ付勢されるとともに、繰込ローラー１と
の間隔が調整され、繰込ローラー１と逆転ローラ
ー２との間隔および繰込ローラー１と押圧板５と
の間隔が所望の値に設定される。この繰込ローラ
ー１と逆転ローラー２との間隔は、分離給送され
る紙葉類の最も薄いものに合せて調整される。
８，９は葉書等の被押印物Ｘを繰込ローラー１と
逆転ローラー２との間に送り込む給送ローラーで
ある。

この給送ローラー８，９によつて繰込ローラー
１と逆転ローラー２との間に送り込まれた被押印
物Ｘは、一方の面に繰込ローラー１による給送方
向の力が加わり、他方の面に逆転ローラー２によ
る逆方向の力が加わる。また、この被押印物Ｘは
押圧板５によつて繰込ローラー１側に押圧される
ため、第２図に示す如くわずかながら凹凸が形成
される。そのため、被押印物Ｘに加わる力は逆転
ローラー２によるものより繰込ローラー１による
ものの方が大きくなり、被押印物Ｘは所定の給送
方向へ送られる。また、この繰込ローラー１と逆
転ローラー２との間に２枚の被押印物Ｘが重なつ
たままで送り込まれて来た場合、その一方には所
定の給送方向への力が加わり、他方には逆方向の
力が加えられる。従つて、重なつた被押印物Ｘは
分離されて１枚だけが給送方向へ送られる。

この様な従来の紙葉類の分離給送機構では、極
端に厚さの異なる紙葉類が混ざつている場合には
逆転ローラー２が邪魔をして厚い紙葉類の給送が
困難なものになつてしまい、また、厚手のものの
みを分離給送するために逆転ローラー２と繰込ロ
ーラー１との間隔を調整機構６によつて調整して
も、厚手のものは繰込ローラー１に沿つて折曲が
りにくいものであるため給送詰りが起こりやす
く、封書の場合には無理な力が加わつて袋がやぶ
れてしまうこともあつた。

（考案の目的） 本考案は以上の如き諸点に着目してなされたも
ので、厚さの異なる紙葉類が混ざつていても何の
支障もなく分離給送でき、封書等でも袋が破れる
ことなく分離給送ができる紙葉類の分離給送機構
の提供を目的とするものである。

（考案の構成） そのため紙葉類の給送方向に正転する繰込ロー
ラーと、逆送方向に回転する逆転ローラーとを微
小間隔を置いて対向配置し、該逆転ローラーを支
軸に回動可能に軸支した支持アームに取付け、こ
の支持アームを常に前記逆転ローラーが前記繰込
ローラに近付く方向に付勢するとともに、この支
持アームに前記繰込ローラーと前記逆転ローラと
の間隔を調整するための調整機構を設け、ストツ
カー内に重ねて収容された紙葉類を１枚ずつ分離
して給送する紙葉類の分離給送機構に於いて、前
記支持アームに進退可能に取り付けられ、厚手の
紙葉類が供給された際に反り返つた先端が逆転ロ
ーラーより先に当接する位置迄延設されたガイド
板と、該ガイド板に穿設された長穴から前記逆転
ローラーが前記繰込ローラーの方へ突出する突出
量を調整可能とする進退機構とを備え、紙葉類の
先端が前記ガイド板に当接すると前記支持アーム
と共に前記逆転ローラーが一体的に支軸を中心に
回動後退して、繰込ローラーと前記逆転ローラー
との間隔を調整することを特徴とする紙葉類の分
離給送機構を提供することにより目的を達成せん
とするものである。

（実施例） 次に、本考案の実施の一例を図面を参照しなが
ら説明する。

第３図は本考案に係る紙葉類の分離給送機構の
一実施例の要部を示す平面図、第４図はその一部
切断右側面図である。同図に於いて、１１は繰込
ローラーであつて、矢印Ａで示す如く、紙葉類で
ある被押印物Ｘの給送方向に正転駆動されてい
る。この繰込ローラー１１は外周面に多数の軸方
向の溝１１ａと１本の円周方向の溝１１ｂとが刻
設されており、その幅を従来の繰込ローラーに比
べて第４図に示すように略２倍程度に広くしてあ
る。

１２は逆転ローラーであつて、矢印Ｂで示す如
く逆方向に回転駆動されている。この逆転ローラ
ー１２は従来のそれと同様に支軸１３で回動自在
に枢支された支持アーム１４に取付けられてい
る。また、この支持アーム１４も従来のそれと同
様に調整機構１６によつて繰込ローラー側へ付勢
されるとともに、繰込ローラー１１と逆転ローラ
ー１２との間隔が調整される。即ち、ねじ１６ａ
の調整によつて逆転ローラー１２と繰込ローラー
１１との対向表面の間隔ｄを、分離給送される紙
葉類の最も薄いものに合せて調整し、スプリング
１６ｂの反発力で支持アーム１４を繰込ローラー
側へ付勢している。

支持アーム１４にはガイド板１５が設けてあ
る。

このガイド板１５は、支軸１３寄り及び逆転ロ
ーラー１２近傍で支持アーム１４を貫通する互に
平行で真直な突棒１５ａ及びねじ棒１５ｂを一体
に有し、このねじ棒１５ｂに螺合する進退調整ナ
ツト１７ａと、このねじ棒１５ｂの外周に巻装し
た図示しない圧縮ばねとを含む進退機構１７を備
え、当該圧縮ばねで繰込ローラー１１に近付く方
向へ付勢されており、進退調整ナツト１７ａを回
すことによつて、逆転ローラー１２が繰込ローラ
ー１１側へ突出する量ｔを調整できるようになつ
ている。また、ガイド板１５は、逆転ローラー１
２の突出する長穴が穿設されるとともに紙葉類の
受入側端部に緩やかな湾曲部を備えていて、分厚
い紙葉類が送り込まれてこの部分が押圧される
と、支持アーム１４を矢印Ｃ方向に回動させて、
繰込ローラー１１と逆転ローラー１２の対向表面
の間隔ｄを当該紙葉類の厚さに自動的に適合させ
る。

ここで、前記突出量ｔは紙葉類の分離給送に微
妙に影響するもので、この突出量ｔを0.25mmに設
定した場合、葉書から厚さ４mm程度の封書までが
混在している紙葉類の分離給送もスムーズに行な
うことができた。

この様に構成された紙葉類の分離給送機構で
は、薄手の紙葉類は直接繰込ローラー１１と逆転
ローラー１２との間に送り込まれ、また、厚手の
紙葉類は先ず、ガイド板１５に当接してこれを押
圧するため、支持アーム１４が矢印Ｃ方向に回動
して、間隔ｄが拡げられた繰込ローラー１１と逆
転ローラー１２との間に送り込まれる。従つて、
厚手の紙葉類であつても逆転ローラー１２に邪魔
されて給送できなくなるようなことはない。

この様にして繰込ローラー１１と逆転ローラー
１２との間に送り込まれた紙葉類は、繰込ローラ
ー１１の外周面に軸方向の溝１１ａが多数刻設さ
れていて摩擦係数を大きくしているため、繰込ロ
ーラー１１に引かれて給送方向へ移動する。この
場合、繰込ローラー１１のゴム筒体１１ｂの厚さ
を逆転ローラー１２のゴム筒体１２ａの厚さの２
倍程度に厚くしていることも紙葉類の給送方向へ
の移動には有効に作用する。また、繰込ローラー
１１と逆転ローラー１２との間に２枚の紙葉類が
重なつて送り込まれた場合には、その一方に給送
方向への力が加わり、他方には逆方向の力が加わ
るため、紙葉類は分離されて１枚だけが給送方向
へ送られる。

以上図示の実施例について詳細に説明したが、
本考案はこれにのみ限定されるものではなく、繰
込ローラーの形状、溝の刻設等に種々なバリエー
シヨンを含むものであり、また、ガイド板の進退
機構を割愛したものでも、逆転ローラーの摩耗等
の対策を考慮しておけば充分実用に耐えるものと
なる。

また、その応用機器も郵便物の自動押印装置の
みではなく、各種の自動押印装置への適応が可能
であるばかりか、その他、自動給紙を必要とする
各種機器等、その応用範囲は拡範なものである。

（考案の効果） 本考案は以上の如く構成され、繰込ローラーの
外周に軸方向の溝を多数刻設してその摩擦係数を
大きくしてあるため、特に押圧板を設けなくとも
紙葉類の分離が確実に行なえ、紙葉類が繰込ロー
ラーに沿つて折曲がることはなく、紙葉類に無理
な力が加わることがないため、給送詰りが起りに
くく、封書等の分離給送に用いても袋が破れる等
の事故が起ることはなくなる。

また、厚手の紙葉類が送り込まれた場合、紙葉
類が先ずガイド板を押圧して、あらかじめ繰込ロ
ーラーと逆転ローラーの間隔を自動的に拡げるた
め、厚手の紙葉類でも逆転ローラーに邪魔される
ことがない。したがつて種々の厚さのものが混在
する紙葉類の分離給送も全く支承なく行なえる。

更に、当該ガイド板から前記逆転ローラーが前
記繰込ローラーの方へ突出する量を調整可能とす
る進退機構を備えたので、逆転ローラーが摩耗し
た場合にも、進退機構でガイド板からの突出量を
調整し、容易に対応できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の紙葉類の分離給送機構の一例の
要部を示す平面図、第２図はその一部切断右側面
図であり、第３図は本考案の一実施例の要部を示
す平面図、第４図はその一部切断右側面図であ
る。 ｄ……対向表面の間隔、ｔ……突出量、Ｘ……
被押印物（紙葉類）、１，１１……繰込ローラー、
１１ａ……溝、２，１２……逆転ローラー、３，
１３……支軸、４，１４……支持アーム、１５…
…ガイド板、６，７，１６……調整機構、１６ａ
……ねじ、１６ｂ……スプリング、１７……進退
機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 紙葉類の給送方向に正転する繰込ローラーと、
   逆送方向に回転する逆転ローーラーとを微小間隔
   を置いて対向配置し、該逆転ローラーを支軸に回
   動可能に軸支した支持アームに取付け、この支持
   アームを常に前記逆転ローラーが前記繰込ローラ
   ーに近付く方向に付勢するとともに、この支持ア
   ームに前記繰込ローラーと前記逆転ローラーとの
   間隔を調整するための調整機構を設け、ストツカ
   ー内に重ねて収容された紙葉類を１枚ずつ分離し
   て給送する紙葉類の分離給送機構に於いて、前記
   支持アームに進退可能に取り付けられ、厚手の紙
   葉類が供給された際に反り返つた先端が逆転ロー
   ラーより先に当接する位置迄延設されたガイド板
   と、該ガイド板に穿設された長穴から前記逆転ロ
   ーラーが前記繰込ローラーの方へ突出する突出量
   を調整可能とする進退機構とを備え、紙葉類の先
   端が前記ガイド板に当接すると前記支持アームと
   共に前記逆転ローラーが一体的に支軸を中心に回
   動後退して、繰込ローラーと前記逆転ローラーと
   の間隔を調整することを特徴とする紙葉類の分離
   給送機構。