JPS6130853Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は印刷機のインキ出し装置に関するもの
で、より詳細には平版オフセツト印刷機のインキ
出しに関する。

印刷機のインキ出し装置は第１図に示すよう
に、インキ出しローラ１の外周面に近接してイン
キドクタナイフ２の支え台３が配置され、前記支
え台３にはインキドクタナイフ２を一体的に取り
付けた取付台４が印刷紙面巾方向（第１図の紙面
に対して垂直方向）に適宜個配置されているボル
ト（図示せず）を介して固定されている。５はイ
ンキドクタナイフ２と接触してインキ出しローラ
１とインキドクタナイフ２との間隙を調整する多
数のカムで、同カム５は支え台３にピン６を介し
て枢支されており、支え台３に螺着している調整
ネジ７が該カム５の各背面に接している。

しかしてインキ量を調整するには、作業者が調
整を必要とする部分の調整ネジ７を正または負方
向に回動するとカム５がピン６を支点にして正ま
たは負方向に回動して、インキドクタナイフ２の
先端がインキ出しローラ１に対しわずかの距離、
接近するかまたは離間するので、インキ出しロー
ラ１とインキドクタナイフ２との間隙が局部的に
微調整される。

このように従来のインキ出し装置におけるイン
キ量の調整はいちいち調整ネジ７を直接、作業者
が手動で操作しなければならずさらにインキ量の
過不足に対する検討が印刷完了した排紙部で行な
われるので、排紙部から調整ネジ７の所まで行つ
て操作しなければならなくなり、多くの労力や時
間が調整に必要となるとともに印刷物に多くの損
紙を生じていた。

本考案はかかる点にかんがみなされたもので、
インキ出しローラに接近もしくは当接する外周の
一部を円弧にしたカムレバーおよびインキ出しロ
ーラとの間隙の調整を遠隔的に行なうことにより
印刷物の損紙や隙間の調整時間を大幅に縮小する
ことを目的とした印刷機のインキ出し装置を提供
するものである。

以下本考案の詳細を図面により説明する。第２
図は本考案の実施例を示すインキ出し装置の概略
構造図で、図中第１図と同一作用のものは同一符
号で示す。１０は支え台３に軸受１１、ピン１３
を介してボルト１２で回転自在に装着されピン１
３を中心に回動するようにしたカムレバーで、同
カムレバー１０のインキ出しローラ１に近接もし
くは当接する外周の一部が円弧になつている。１
５は支え台３に螺着されたエアシリンダ１５のピ
ストンロツドの先端１５ａにはインキ出しローラ
１とカムレバー１０とで構成される隙間よりイン
キ１４が流れるときに、通常必要とする膜厚の制
御範囲を得るためにインキ１４の膜圧力によりか
なり大きな反力を生じ、その反力を制御してカム
レバー１０を定位置に保持するための当金１６を
固着している。

なお、エアシリンダ１５のかわりに油圧シリン
ダまたはソレノイドを使用してもよい。１７は支
え台３に装着された軸受１８を介して回転可能に
軸支された軸１９に歯車２０を介して連結されて
いる。なおモータ１７の駆動力は止め金２１を摺
動させる際の摩擦抵抗に打ちかつだけでよくさら
に該モータ１７はパルスモータまたはステツピン
グモータでもよい。前記止め金２１は一端が支え
台３に固着された軸受２３に摺動自在に挿着され
ており、他端がカムレバー１０およびインキ出し
ローラ１との間隙を設定するときにカムレバー１
０の位置を定めるため、カムレバー１０に取着し
たピン２２に接触する基準面２８を有している。
ネジ軸２４は支え台３に装着された軸受１８およ
び止め金２１に設けたネジ機構に螺着して回転自
在に軸支されており、歯車２０と噛合つてネジ軸
２４に螺着されている歯車２５により回転して止
め金２１を前記モータ１７により図で前後に移動
させる。ここでピン２２に接触する基準面２８に
対してカムレバー１０に取着したピン２２が突接
するまでエアシリンダ１５により当金１６をカム
レバー１０に押し当てると、カムレバー１０はピ
ン１３を支点にして回動させられインキ出しロー
ラ１とカムレバー１０との隙間を調整する。２７
はインキ１４の溜まりのもれ止め板で、同もれ板
２７は取付台４に取り付けられインキ出しローラ
１とカムレバー１０および図示しない側板とでイ
ンキ１４の溜まりを構成している。

なおカムレバー１０の回動により変動するもれ
止め板２７の先端とカムレバー１０の外周との隙
間からのインキ１４が漏れないように、本実施例
ではカムレバー１０の外周のうちもれ止め板２７
の先端との接触部周辺については、カムレバー１
０の回転中心つまりピン１３の回転中心からの半
径が同じとなるようにカムレバー１０の外周を形
成することによつてカムレバー１０の外周ともれ
止め板２７の先端との位置関係はカムレバー１０
が回転しても変化しないように一定に保持が出来
るし、あるいはもれ止め板２７の先端後側（イン
キ１４の溜まりの反対側）にカムレバー１０の回
動でも該カムレバー１０の外周面から離れない程
度に変形させた弾性体、例えばゴム板をインキ出
しローラ１の軸心方向に沿つて接着してある。

かかる構成にあつてもオフセツト印刷機に使用
するインキの粘度は300〜1000センチポアズ（水
の粘度は１センチポアズ）で、インキ缶からヘラ
で取り出してもヘラを逆さにしてもインキが下へ
たれさがらない硬さなので、もれ止め板２７の先
端とカムレバー１０の外周との間隙からのインキ
漏れは生じない。以上のインキ出し装置は必要に
応じてインキ出しローラ１の軸長方向（第２図に
おいて紙面に大して垂直方向）に複数個取り付け
られている。

次に本考案の動作を説明する。インキ出しロー
ラ１とカムレバー１０との間隙の調整量が決ま
り、インキ出しローラ１とカムレバー１０との間
隙を大きくする場合には図示しない操作台により
エアシリンダ１５に作用していた空気圧を逃がす
ことにより当金１６を介してカムレバー１０に作
用した力が解除され、カムレバー１０はピン１３
を中心に反時計方向に回動しカムレバー１０の固
定点が解かれる。次いでインキ出しローラ１とカ
ムレバー１０との隙間の必要な調整量に相当する
だけの距離をモータ１７の回転により歯車２０，
２５、ネジ軸２４を介して止め金２１が所要量第
２図で右行に移動すると止め金２１のピン２２の
接触面も協動し、エアシリンダ１５に空気圧が作
用して新たに設定された止め金２１に対してピン
２２が突接して、該ピン２２を介してカムレバー
１０が固定される。

一方、インキ出しローラ１とカムレバー１０と
の間隙を小さくしてインキを絞る場合には、エア
シリンダ１５に作用していた空気圧を逃がすこと
によりカムレバー１０に作用している力が解除さ
れ、カムレバー１０はピン１３を中心にして反時
計方向に回動してカムレバー１０の固定点が解か
れる。次いでインキ出しローラ１とカムレバー１
０との隙間の必要な調整量に相当するだけの距離
をモータ１７の回転により歯車２０，２５ネジ軸
２４を介して止め金２１が第２図で左行に所要量
移動すると止め金２１のピン２２の接触面も協動
し、エアシリンダ１５に空気圧が作用した新たに
設定された止め金２１に対してピン２２が突接し
て、該ピン２２を介してカムレバー１０が固定さ
れる。

以上説明したように本考案はインキ出しローラ
とカムレバー１０との隙間の調整の際にカムレバ
ーを遠隔操作により制御することにより、インキ
量を調整するための労力、時間が大巾に縮小でき
るばかりでなく、隙間調整時間における印刷物の
損紙も大巾に節約できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のインキ出し装置の構造図、第２
図は本考案の実施例を示すインキ出し装置の概略
構造図である。 １０……カムレバー、１１，１８，２３……軸
受、１２……ボルト、１３，２２……ピン、１４
……インキ、１５……エアシリンダ、１５ａ……
ピストンロツド、１６……当金、１７……モー
タ、２０，２５……歯車、２１……止め金、２４
……ネジ、２７……もれ止め板、２８……基準
面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インキ出しローラと、回転中心が前記インキ出
   しローラの回転中心および該ローラの外周に近接
   もしくは当接する面に設けた円弧の円弧中心とを
   結んだ直線上よりも上方にあり、前記円弧および
   前記インキ出しローラとの間隙を調節する回動可
   能なカムレバーと、同カムレバーと前記インキ出
   しローラとの間隙の設定時に前記カムレバーの位
   置を定めるのに前記カムレバーに取着したピンに
   突接する基準面を有する止め金と、同止め金を移
   動させる駆動装置と、前記インキ出しローラおよ
   び前記カムレバーとの間隙より流れるインキの膜
   圧力に打ち勝つて前記カムレバーを前記止め金の
   基準面に、押しつけて前記カムレバーを定位置に
   保持する保持機構とからなり、前記保持機構で前
   記カムレバーを介して同カムレバーに取着したピ
   ンを前記止め金の基準面に接触させることによ
   り、前記インキ出しローラと前記カムレバーとの
   間隙を調整することを特徴とする印刷機のインキ
   出し装置。