JPH0642433A - 燃料噴射式エンジン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、空気圧縮機の作動で生じる水滴
を除去し、空気供給系のメンテナンスを不要にする燃料
噴射式エンジンを提供する。 【構成】 燃料噴射式エンジン１７は、所定のタイミン
グで気筒１８内に空気と燃料とを噴射する燃焼室燃料噴
射装置４０と、この燃焼室燃料噴射装置４０に供給され
る燃料に圧力を与える燃料ポンプ４８と、燃焼室燃料噴
射装置４０に供給される空気に圧力を与える空気圧縮機
４７と、この空気圧縮機４７と燃焼室燃料噴射装置４０
とを連結し圧縮した空気を供給する供給配管５５と、こ
の空気の圧力に基づき燃料の圧力を調整するレギュレー
タ５３と、空気圧縮機４７の下流側の供給配管５５に配
置され空気圧縮機４７の作動で生じる水分を除去する除
湿器５７とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば自動二輪車に
搭載される燃料噴射式エンジンに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば自動二輪車においては、燃料制御
の精度を向上させ、或いは排気ガスの清浄化、低燃費等
の観点から燃料供給として、従来の気化器に代えて燃料
噴射装置を備える燃料噴射式エンジンを搭載するものが
ある。

【０００３】この燃料噴射式エンジンの燃料噴射装置で
は、空気と燃料とを所定のタイミングで気筒内に噴射す
るようになっており、この燃料噴射装置に供給される空
気に空気圧縮機によって圧力を与えるとともに、この空
気の圧力に基づき燃料の圧力をレギュレータで調整して
燃料噴射装置から燃料を円滑に噴射するようにしてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、空気圧縮機
の作動により空気が圧縮されることで水滴が生じて、こ
の水滴が燃料噴射装置に燃料を供給する経路に侵入する
ことがあり、特に空気の圧力に基づき燃料の圧力を調整
するレギュレータに溜ると、レギュレータの作動が正確
に行なわれなくなることがある。従って、空気圧縮機か
ら燃料噴射装置へ圧縮空気を送る空気供給系のメンテナ
ンスを定期的に行なう必要があり、特にレギュレータの
メンテナンスに手数を要する等の問題がある。

【０００５】この発明は、かかる点に鑑みなされたもの
で、空気圧縮機にて生じる水滴を除去し、空気供給系の
メンテナンスを不要にする燃料噴射式エンジンを提供す
ることを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明の燃料噴射式エンジンは、所定のタイミン
グで気筒内に空気と燃料とを噴射する燃料噴射装置と、
この燃料噴射装置に供給される燃料に圧力を与える燃料
ポンプと、前記燃料噴射装置に供給される空気に圧力を
与える空気圧縮機と、この空気圧縮機と前記燃料噴射装
置とを連結し圧縮した空気を供給する供給配管と、この
空気の圧力に基づき燃料の圧力を調整するレギュレータ
と、前記空気圧縮機の下流側の供給配管に配置され前記
空気圧縮機の作動で生じる水分を除去する除湿器とを備
えること特徴としている。

【０００７】

【作用】この発明では、空気圧縮機で燃料噴射装置に供
給される空気に圧力を与え、供給配管で燃料噴射装置に
供給して燃料を噴射させるが、この空気の圧力に基づき
レギュレータで燃料の圧力を調整し、燃料噴射装置から
燃料を円滑に噴射するようにしている。この空気圧縮機
の下流側の供給配管には除湿器が配置され、この除湿器
で空気圧縮機の作動で生じる水分を除去する。

【０００８】

【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面に基づい
て詳細に説明する。図１は燃料噴射式エンジンを搭載し
た自動二輪車の側面図、図２は燃料噴射式エンジンの側
面図、図３は燃料噴射式エンジンの要部の拡大図、図４
は図３のIVーIV線に沿う断面図、図５はレギュレータの
取付状態を示す平面図、図６は図３のVIーVI線に沿う断
面図、図７は空気供給系の配管図である。

【０００９】自動二輪車の車体フレーム１を構成するヘ
ッドパイプ２にはフロントフォーク３が旋回可能に支持
され、このフロントフォーク３の下部には前輪４が支持
され、上部にはバーハンドル５が設けられている。ヘッ
ドパイプ２の後側にはメインフレーム６及びダウンチュ
ーブ７が接続され、このメインフレーム６の後方には左
右一対のシートピラチューブ８が接続され、またダウン
チューブ７にも同様に左右一対の支持フレーム９が接続
され、この支持フレーム９及びシートピラチューブ８の
後端部が接続されている。

【００１０】メインフレーム６の後端から後方へは左右
一対のシートレール１０が延びており、このシートレー
ル１０はバックステー１１でシートピラチューブ８に支
持されている。シートピラチューブ８に設けたブラケッ
ト１２にはリヤアーム１３が軸支され、このリヤアーム
１３の後端部に後輪１４が支持されている。メインフレ
ーム６には燃料タンク１５が跨ぐようにして載置され、
この燃料タンク１５の後方をシート１６が覆っており、
このシート１６はシートレール１０に載置されている。

【００１１】車体フレーム１のメインフレーム６、ダウ
ンチューブ７、シートピラチューブ８及び支持フレーム
９で囲まれる部分には燃料噴射式エンジン１７が搭載さ
れ、この燃料噴射式エンジン１７は単気筒の２サイクル
エンジンが用いられている。燃料噴射式エンジン１７の
クランクケース１８には気筒１９が車体前側へ傾斜して
設けられ、この気筒１９の前側に排気管２０が接続さ
れ、この排気管２０は燃料噴射式エンジン１７の右側を
通って後方へ延び、排気管２０の後部にはサイレンサ２
１が設けられている。

【００１２】気筒１９を構成するシリンダブロック２２
はクランクケース１８に載置され、このシリンダブロッ
ク２２にはシリンダヘッド２３が取付けられている。ま
た、シリンダブロック２２にはピストン２４が往復動可
能に設けられ、このピストン２４の頭部とシリンダヘッ
ド２３との間には燃焼室２５が形成されている。このピ
ストン２４はクランクケース１８に軸支されたクランク
軸２６にコンロッド２７を介して連結されている。

【００１３】気筒１９の上方位置にはダウンチューブ７
に沿ってラジエータ２８が配置され、このシリンダヘッ
ド２３の吐出部２３ａとラジエータ２８の導入部２８ａ
とが送りパイプ２９で連結され、ラジエータ２８の吐出
部２８ｂとクランクケース１８に配置された水ポンプ３
０が戻りパイプ３１で連結され、この水ポンプ３０の駆
動で冷却水を循環させてエンジンを冷却するようになっ
ている。

【００１４】シリンダヘッド２３の後部の両側には左右
一対のステー３２が一体に形成されており、この左右一
対のステー３２にそれぞれ車体側取付ブラケット３３が
ボルト３４で取付けられ、このそれぞれの車体側取付ブ
ラケット３３はメインフレーム６の後方下部に溶接され
た補強ブラケット３５にボルト３６で取付けられてい
る。この補強ブラケット３５は、メインフレーム６とダ
ウンチューブ７との間に配置されたフレームテンション
パイプ３７のメインフレーム６側溶接部を補強してい
る。

【００１５】シリンダヘッド２３の中央には点火プラグ
３８が燃焼室２５の略ボア中心に臨むように取付けら
れ、またシリンダヘッド２３の前側側方には点火プラグ
３９が燃焼室２５の前側に臨むように取付けられてい
る。このシリンダヘッド２３の後方で、左右一対のステ
ー３２及び車体側取付ブラケット３３の間の位置には、
燃焼室２３内に空気と燃料とを噴射する燃焼室燃料噴射
装置４０が備えられ、燃焼室２５の後方から点火プラグ
３８，３９の先端部方向に向かって、横方向から空気と
燃料を噴射するようになっている。

【００１６】そして、シリンダヘッド２３には２箇所に
点火プラグ３８，３９が配置され、燃焼室燃料噴射装置
４０の噴射孔から点火プラグ３８，３９のスパーク部３
８ａ，３９ａでの距離が異なっており、点火プラグ３
８，３９のスパークで混合気を燃焼させる機会が２度あ
り、稀薄燃焼エンジンに良好な点火状態を可能にしてい
る。この燃焼室燃料噴射装置４０には燃料を噴射する燃
料噴射インジェクタ４１と電磁バルブ４２とが備えら
れ、この電磁バルブ４２を図示しない制御装置によって
所定のタイミングで作動させることで、空気と燃料を混
合して燃焼室２５へ噴射する。

【００１７】また、燃料噴射式エンジン１７のクランク
ケース１８には吸気管４３が接続され、この吸気管４３
にはリードバルブ４４が設けられ、さらにこのリードバ
ルブ４４の上流側には吸気管４３に燃料を噴射する吸気
管燃料噴射インジェクタ４５が設けられている。吸気管
４３にはエアクリーナ４６から空気がスロットル弁２０
０の作動で供給され、エアクリーナ４６は燃料噴射式エ
ンジン１７の後方位置で、車体フレーム１のシートピラ
チューブ７、シートレール１０及びバックステー１１に
囲まれる部分に配置されている。

【００１８】吸気管４３近傍のクランクケース１８の上
部位置には空気圧縮機４７及び燃料ポンプ４８がそれぞ
れ近接して設けられ、それぞれクランク軸２６の動力が
動力伝達機構４９を介して伝達され、空気圧縮機４７及
び燃料ポンプ４８はこの動力伝達機構４９により効果的
に駆動される。この空気圧縮機４７のシリンダ４７０と
ケース４７１とが接合して取付けられ、このシリンダ４
７０に往復運動可能に設けられたピストン４７２はコン
ロッド４７３を介してクランク軸４７４に連結されてい
る。このクランク軸４７４はベアリング４７５，４７６
を介してシリンダ４７０とケース４７１の軸部４７０
ａ，４７１ａ及び軸部４７０ｂ，４７１ｂに軸支されて
いる。このクランク軸４７４の端部には駆動ギヤ４７７
がナット４７８で取付けられ、この駆動ギヤ４７７は連
結ギヤ４７９の小径ギヤ部４７９ａに噛合されている。
この連結ギヤ４７９はクランクケース１８とカバー１８
０に設けられた支持軸１８１に回動可能に設けられ、連
結ギヤ４７９の大径ギヤ部４７９ｂは動力伝達機構４９
を構成する減大ギヤ１８２に噛合しており、クランク軸
２６の回転に連動して減大ギヤ１８２が回転すると、連
結ギヤ４７９、駆動ギヤ４７７を介してクランク軸４７
４が回転し、これでピストン４７２が往復運動して空気
を圧縮する。

【００１９】この空気圧縮機４７のクランク軸４７４に
取付けた駆動ギヤ４７７の外形Ｄ１は、クランクケース
１８に取付けられたカバー１８０に形成された取付孔１
８０ａの内径Ｄ２より小径に形成されている。従って、
空気圧縮機４７を駆動ギヤ４７７側からクランク軸４７
４を取付孔１８０ａに挿入し、そのシリンダ４７０とケ
ース４７１とで形成される軸部４７０ａ，４７１ａをカ
バー１８０に形成された取付孔１８０ａに挿着し、シリ
ンダ４７０とケース４７１とをカバー１８０にボルト４
９０で締付固定して取付けられ、空気圧縮機４７が単品
で着脱可能になっている。

【００２０】このように、空気圧縮機４７は単品で着脱
可能になっており、これで容易に取付け、取外しがで
き、メンテナンスの作業性が向上する。また、空気圧縮
機４７は単品で着脱可能になっているため、故障判断等
の品質検査が可能である。この空気圧縮機４７は供給配
管５５を介して燃焼室燃料噴射装置４０に接続され、燃
焼室燃料噴射装置４０に常に所定の圧力の空気を供給し
ている。この燃焼室燃料噴射装置４０にはレギュレータ
５３が接続され、このレギュレータ５３で燃料の圧力を
調整するようになっている。空気圧縮機４７の下流側の
供給配管５５には除湿器５７が配置され、この除湿器５
７には圧力で自動開閉する自動排出弁６０が設けられ、
この自動排出弁６０で除湿器５７に溜る水、油を排出す
るようになっている。

【００２１】さらに、除湿器５７の下流側で燃焼室燃料
噴射装置４０及びレギュレータ５３の上流側にチェック
バルブ５８を設け、さらにこのチエックバルブ５８の下
流側と除湿器５７とはパージ通路５９で連結されてい
る。

【００２２】従って、空気圧縮機４７の作動で、燃焼室
燃料噴射装置４０に供給される空気に圧力を与え、供給
配管５５で燃焼室燃料噴射装置４０に供給して燃料を噴
射させるが、この空気の圧力に基づきレギュレータ５３
で燃料の圧力が調整され、燃焼室燃料噴射装置４０から
燃料を円滑に噴射する。この空気圧縮機４７の下流側の
供給配管５５には除湿器５７が配置されており、この除
湿器５７で空気圧縮機４７の作動で生じる水滴を除去
し、このとき空気圧縮機４７のオイル分も水滴と同時に
除去される。

【００２３】また、燃料噴射式エンジン１７が停止され
ると、空気圧縮機４７の作動が停止されるため、供給配
管５５の空気の圧力が低下するが、チェックバルブ５８
で燃焼室燃料噴射装置４０及びレギュレータ５３の上流
側の空気圧力の低下が抑えられ、この空気圧力はパージ
通路５９を介して除湿器５７にかかり、この空気圧力で
除湿器５７の自動排出弁６０が開き溜った水、油が排出
される。

【００２４】これにより、空気圧縮機４７の作動で、空
気が圧縮されることで水滴が生じて、この水滴が燃焼室
燃料噴射装置４０に燃料を供給する経路に侵入し、特に
燃料の圧力を調整するレギュレータ５３に溜ることが防
止され、レギュレータ５３の作動が正確に行なわれる。
従って、空気圧縮機４７から燃焼室燃料噴射装置４０へ
圧縮空気を送る供給系のメンテナンスが不要になる。

【００２５】また、燃焼室燃料噴射装置４０で空気と燃
料が噴射されるが、空気噴射量は排気量に関係なく一定
以上に設定される。この空気噴射量は、燃料噴射量によ
ってほぼ一定に保つようになっており、燃料噴射量が少
なく、即ち排気量が少なくなるに従い空気噴射量も減少
させているが、これにより出力性能の低下、不整燃焼の
増加となっていた。従って、燃焼室燃料噴射装置４０で
は空気噴射量を排気量に関係なく一定以上に設定するこ
とで、小排気量エンジンにおいても稀薄燃焼による出力
低下なく、良好な燃焼状態が得られる。

【００２６】しかも、この空気圧縮機４７及び燃料ポン
プ４８と燃焼室燃料噴射装置４０とは、この燃焼室燃料
噴射装置４０が気筒１９の後側で横方向へ傾斜させて設
けられているため、近接した位置に配置されている。

【００２７】この燃料ポンプ４８の吸入部４８ａは導入
配管５０を介して燃料タンク１５と連結され、また吐出
部４８ｂには燃料フィルタ５１が接続され、この燃料フ
ィルタ５１の吐出部５１ａには供給配管５２を介してレ
ギュレータ５３のジョイント部５３ａに接続され、この
ジョイント部５３ａには供給配管５４を介して燃焼室燃
料噴射装置４０の燃料噴射インジェクタ４１に接続され
ている。レギュレータ５３は吸気管４３に一体に形成さ
れたステー２０１にボルト２０２で取付けられ、吸気管
４３の上方位置に配置されている。

【００２８】また、レギュレータ５３には供給配管１０
０を介して吸気管燃料噴射インジェクタ４５が接続さ
れ、この供給配管１００から吸気管燃料噴射インジェク
タ４５に燃料が供給される。この吸気管燃料噴射インジ
ェクタ４５には燃料の圧力はレギュレータ５６が設けら
れ、このレギュレータ５６で燃料の圧力が調整される。

【００２９】

【発明の効果】前記のように、この発明は、所定のタイ
ミングで気筒内に空気と燃料とを噴射する燃料噴射装置
と、この燃料噴射装置に供給される燃料に圧力を与える
燃料ポンプと、燃料噴射装置に供給される空気に圧力を
与える空気圧縮機と、この空気圧縮機と燃料噴射装置と
を連結し圧縮した空気を供給する供給配管と、この空気
の圧力に基づき燃料の圧力を調整するレギュレータと、
空気圧縮機の下流側の供給配管に配置され空気圧縮機の
作動で生じる水分を除去する除湿器とを備えるから、空
気圧縮機の作動で空気が圧縮されることで水滴が生じて
も、この水滴は除湿器で除去され、気圧縮機から燃料噴
射装置へ圧縮空気を送る供給系のメンテナンス、特にレ
ギュレータのメンテナンスが不要になる。

【００３０】また、水滴が燃料噴射装置に燃料を供給す
る経路に侵入したり、特に空気圧力を調整するレギュレ
ータに溜ることがなく、レギュレータの圧力調整を正確
に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】燃料噴射式エンジンを搭載した自動二輪車の側
面図である。

【図２】燃料噴射式エンジンの側面図である。

【図３】燃料噴射式エンジンの要部の拡大図である。

【図４】図３のIVーIV線に沿う断面図である。

【図５】レギュレータの取付状態を示す平面図である。

【図６】図３のVIーVI線に沿う断面図である。

【図７】空気供給系の配管図である。

【符号の説明】

１５ 燃料タンク １７ 燃料噴射式エンジン １８ 気筒 ４０ 燃焼室燃料噴射装置 ４７ 空気圧縮機 ５３ レギュレータ ５５ 供給配管 ５６ レギュレータ ５７ 除湿器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定のタイミングで気筒内に空気と燃料
   とを噴射する燃料噴射装置と、この燃料噴射装置に供給
   される燃料に圧力を与える燃料ポンプと、前記燃料噴射
   装置に供給される空気に圧力を与える空気圧縮機と、こ
   の空気圧縮機と前記燃料噴射装置とを連結し圧縮した空
   気を供給する供給配管と、この空気の圧力に基づき燃料
   の圧力を調整するレギュレータと、前記空気圧縮機の下
   流側の供給配管に配置され前記空気圧縮機の作動で生じ
   る水分を除去する除湿器とを備えること特徴とする燃料
   噴射式エンジン。