JPH0641710U - 骨接合具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 骨接合具に打込部材を設けることにより骨接
合具の仮止めを可能として、接合手術中における位置決
め及び固定時の作業性向上を図る。 【構成】 チタン製の骨接合具１には、直線状に伸びた
本体２にほぼ等間隔に固定孔２ａが穿設されるととも
に、滑らかな面をもつ表面２ｂと骨表面に接触する底面
２ｃとが形成されている。本体２の両端部の底面上には
ハーケン３，４が突出するように取付けられており、そ
の基部３ａ，４ａは本体２に溶接されている。本体２の
一端には把持部５が一体に取付けられており、その端部
は充分な把持面積をもつ把手５ａとなっている。把持部
５と本体２との境界部分には、その表面側から横溝６を
穿設することにより薄肉部が形成される。この骨接合具
は頭骨等の作業性の悪い部位における接合に特に有効で
ある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、骨折部を横断する状態で骨表面にねじ等により取付けられて使用さ れる、骨折部を固定するための骨接合具に係り、特に頭骨や顔面部の骨の接合に 適した小型の骨接合板に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から骨折部を整合状態に固定するための骨接合具として、長板状や梯子形 の本体に埋設ねじを挿通するための固定孔を複数設けたものが用いられている。 これらは一般にＴｉなどの不活性材料から形成され、体内に長時間若しくは永久 に埋め込まれるものである。骨接合具の取付けは、まず骨折部を整合させた状態 で骨折線を跨ぐように骨接合具を骨表面上に位置決めし、ねじ埋設用ねじ穴の位 置を決める。次に決められた位置にねじ穴を穿設する。最後に再び骨接合具を骨 表面上に位置決めし、埋設ねじを固定孔に挿通してねじ穴内に螺入し、骨接合具 を骨に固定する。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来の骨接合具では、一人で骨折部を整合状態に保持した まま骨接合具を位置決めすること自体が困難であるうえにねじ穴の位置を決める 作業が必要であり、その作業性は非常に劣っていた。特に頭部周辺の接合手術、 例えば頭骨、鼻骨、顎骨等を修復する場合には、骨折部及び骨接合具の双方が小 さくなり、また骨の支持の困難な部位でもあるため、迅速かつ適切な手術ができ ないという問題点があった。 上記問題点に鑑み、本考案は、実際の骨接合時における作業性、特に位置決め 及び固定作業における取扱性を向上し、以て迅速かつ適切な手術を行うことので きる骨接合具を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために本考案が講じた手段は、骨接合具の本体に形成され た骨表面に面すべき底面から突出する、例えばハーケンなどの打込部材を設ける ものである。 ここに、打込部材には突出方向に対して角度をもつ表面溝、例えばハーケンの 周囲に形成された環状の溝や螺旋溝などを形成することが望ましく、また、本体 に対してその軸線を中心に回動可能に取付けることが好ましい。 特に、本体を端部以外の部分で底面に対して角度をもつ方向に屈曲させ、この 屈曲部の両側部分を互に略平行に延在するように形成し、この両側部分には互に その底面を表裏反対側に形成することが効果的である。 さらに、上記各骨接合具には本体の周縁に接続された把持部を設け、本体と把 持部との接続部分における表面に溝を設けて薄肉部を形成することが望ましい。

【０００５】

【作用】

かかる手段によれば、接合すべき骨に打込部材を打ち込むことにより骨接合具 が骨に対して仮止めされて位置決め作業が容易になり、打ち込み直しも簡単にで きる。また埋設用ねじ穴等を穿設する際に骨接合具を一旦取外しても、打ち込み 跡を印として再度同じ位置に取付けできる。さらに埋設ねじ等による装着中にお いても、骨接合具がハーケンで位置決め固定されているので作業性が向上する。 打込部材に表面溝を形成すると、骨の再生に伴って再生骨が溝内に食い込むこ とにより骨接合具が強力に固定される。また打込部材を回動可能に取り付けると 位置決め作業において骨接合具を回動させて最適な位置を探ることができる。 打込部材が屈曲部を備えた形状である場合には、切除した頭骨などを接合する 際の位置決めにおいて、切除部が骨接合具から外れる危険がなく、安心して作業 を行うことができる。 把持部は本体の位置決めや支持のために用いられるが、表面の溝で形成された 薄肉部により、把持部を除去した際に発生するバリを本体表面側に残さないよう にすることができる。

【０００６】

【実施例】 次に図面を参照して本考案に係る実施例を説明する。 （第１実施例） 図１及び図２は本考案に係る純チタン又はチタン合金等の材料で構成される骨 接合具の第１実施例を示すものである。この骨接合具１は、直線状に伸びた本体 ２にほぼ等間隔に固定孔２ａが形成されたもので、固定孔２ａの内面上部は上方 に開いたテーパ面となっており、このテーパ面が埋設ねじの頭縁の下面に当接す るようになっている。本体２の表面２ｂはエッジのない滑らかな面で構成され、 骨外組織を損傷しないように配慮される。本体２の底面２ｃは骨に接触する面で あり、例えば大腿骨に適用される場合には幅方向に湾曲した面に形成される。 本体２の両端部には、その底面２ｃから突出したハーケン３，４が設けられて いる。このハーケン３，４の基部３ａ，４ａは本体内の孔に挿入され、溶接によ り固定されている。ハーケン３，４は基本的に一端部のみに設けてもよく、また その形状は所要の強度が得られるとともに骨に打ち込まれ得るものであれば如何 様のものでも構わない。

【０００７】 上記第１実施例を用いた接合手術では、例えば接合されるべき片方の骨表面に ハーケン３を外れない程度に打ち込み、次に他方の骨との整合状態を調整して接 合具の位置を確認する。ここで、位置に問題がなければハーケン３を完全に打ち 込んで固定し、他方の骨との整合をとった上でハーケン４も打ち込む。そしてこ のまま骨表面からネジ穴を穿設し、埋設ねじで従来通り固定する。 ここで、接合具の取付け位置に問題があれば、簡単に取り外して再度他の位置 に打ち込むことができる。また、接合具を一旦取り外してからねじ穴を穿設する ことも可能で、この場合ねじ穴を形成した後に再び以前の打ち込み跡にハーケン ３を打ち込むようにすれば、同じ位置に正確に取付けることができる。そして埋 設ねじによる本固定時においても、ハーケンにより接合具が取付けられているの で容易に作業を行うことができる。 この実施例では本体２の両端部にハーケンが設けられているが、上述の作業性 向上は一端のみにハーケンを設けた場合でも得られる。但しこの場合にはハーケ ンの打ち込みにより骨折部を整合状態に保持することはできない。ハーケンの長 さ、径、断面形状などは、骨に打設可能なものであれば特に限定されず、修復部 の骨の厚さや形状により適宜選定されるべきである。

【０００８】 本実施例では、本体２の一端に把持部５が一体に取り付けられており、その端 部には充分な把持面積をもつ把手５ａが形成される。そして、把持部５と本体２ との境界部分には表面側から横溝６を穿設することにより、境界部分に薄肉部が 形成される。この把持部５によれば、把手５ａを持って上述のような接合具の位 置決め作業や取付位置の保持を行うことができ、特に頭蓋骨の接合に用いる等の 小型の接合具に取付けると効果的である。 この時、元々把持部５自体が不必要な強度を持たないように細幅に形成されて いる上に横溝６により本体２と把持部５との接続部分が薄肉化されているため、 接合具を骨に取付固定した後に、きわめて僅かな力で把持部をちぎって取り外す ことができる。そして、この横溝６は表面側から形成されているので、把持部５ の除去後にバリが発生したとしても本体２の底面２ａ側に残るだけで皮下組織へ の悪影響が少ない。これは特に皮膚の薄い頭部に適用する場合に重要である。

【０００９】 （第２実施例） 図３には本考案の第２実施例を示す。この接合具１１の本体１２は、横方向に 伸びる接続板１２ｂと縦方向に伸びる接続板１２ｃとから構成された全体として 梯子形のものである。この梯子形の各交差部には一つずつ固定孔１２ａが穿設さ れており、最も先端の交差部では、上記第１実施例と同様のハーケン１３，１４ （図示せず）が底面下に突出するように、その基部１３ａ，１４ａを溶接により 固着している。また、把持部１５、把手１５ａ及び横溝１６は第１実施例と同様 のものである。 このような梯子形の接合具は平面内の複数点において骨を支持できるので、複 数の骨折線をもつ複雑な骨折部分を修復する場合にも用いられる。接合具の平面 形状としては、この他にＸ形、Ｙ形など修復部分に適合したものが選定されるべ きであり、このような平面形状に従って上記ハーケンの取付位置も適宜選定され るべきである。例えばハーケンの取付位置は本体の端部に限らず、使用に適する ならば本体中央部近傍に取付けてもよい。

【００１０】 （第３実施例） 図４は本考案に係る第３実施例である接合具２１を示す。この実施例では、本 体２２はその中央に屈折部２４を備え、この屈折部２４の両側に存在する支持部 ２３，２５は互いに表裏反対に形成された底面２３ｂ及び２５ｂを持つ。そして この底面形成に対応して、ねじ孔２３ａと２５ａとは互いに上下逆方向に傾斜し たテーパ面を有し、さらにハーケン２６と２７（ハーケン２７は設けない場合も ある。）も上下逆方向に突出するように取付けられている。支持部２３，２５は 基本的には相互に平行に延在するように形成されるが、接合部における骨の形状 により全体に湾曲させたり、平行から僅かにずらして形成することもある。 本実施例を用いて頭骨の接合を行う場合の説明図を図５に示す。例えば頭骨Ａ の一部Ｂを切除して手術を行った後、この切除部Ｂの接合は以下のようにして行 う。まず切除部Ｂを取り外した状態で、その裏面に接合具２１（図５のように複 数の接合具を用いる場合もある。）のハーケン２６を打込み仮止めする。そして 、仮止めされた接合具２１とともに切除部Ｂを頭骨に整合させ、図５に示すよう に支持部２５を頭骨Ａの表面に当接させる。この状態で切除部Ｂの位置を調整し つつ、接合具２１の位置が妥当なものであるかを検討する。ここで問題がなけれ ば再び切除部Ｂを取り出してねじ孔２３ａを用いてねじ固定し、再度頭骨に整合 させてねじ孔２５ａを用いて頭骨Ａにも固定する。また、接合具２１の位置が良 くない場合やねじ穴穿設のために一時接合具２１を取り外す場合には上述の第１ 実施例と同様に行えばよい。

【００１１】 この実施例では、上記第１実施例の効果の他に、ハーケンによる仮止めをした 場合において位置決め作業中にハーケンが抜けて切除部Ｂが頭蓋内に落下する危 険がないという利点がある。さらに、ハーケン２６が切除部Ｂの落下方向から打 設されているために心理的に安心して手術を行えるという効果もある。 また、本体２２の屈折形状に基づき切除部Ｂが支持部２５によって周囲の頭骨 Ａに支持されるので、手術中に手を離しても図５に示す状態に維持され、作業性 が向上する。この実施例は特に頭骨の永久固定に適した接合具であり、術者の物 理的及び心理的負担を大幅に軽減することができる。

【００１２】 図６は上記各実施例に用いられていたハーケンの別の例を示すもので、このハ ーケン３０は、基部３０ａを接合具の本体に設けられた取付孔に底面側から挿入 し、固定部材３２を表面側から嵌合させて、溶接等により相互に固着することに より取付けられる。このとき、ハーケン３０は接合具の本体に対してはその軸線 を中心に回動可能となっている。したがって、接合具を仮止めした場合に打ち込 まれたハーケンを中心に接合具を骨に対して回動させることができるので、接合 具の位置決めやねじ穴の位置決め作業がきわめて容易になるとともに、接合具を 回動させることによるハーケンの抜けが防止される。 また、このハーケン３０は基部３０ａから先端部３０ｂに至る間に複数の表面 溝３１を備えており、これらの表面溝３１は打ち込み状態で骨内部に埋設される ので、骨の再生に従って溝内に骨が食い込むことにより接合具が強力に固定され るようにしたものである。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案は骨接合具に仮止め又は位置決め用の打込部材を 設けたことに特徴を有するので、以下の効果を奏する。 接合すべき骨に打込部材を打ち込むことにより骨接合具が骨に対して仮止 めされて位置決め作業が容易になり、打ち直しも簡単にできる。また、埋設用ね じ穴等を穿設する際に骨接合具を一旦取外しても、打ち込み跡を印として再度同 じ位置に取付けできる。さらに、埋設ねじ等による装着中においても、骨接合具 がハーケンにより位置決め固定されているために作業性が向上する。従って骨の 接合作業の負担が大幅に軽減され、迅速かつ適切に手術を行うことができる。 打込部材に表面溝を形成すると、骨の再生作用により骨接合具を確実に固 定することができる。 打込部材を回動可能に取り付けることにより骨接合具を回動させて最適な 位置を探ることができるので、位置決め作業をさらに容易に行うことができる。 打込部材が屈曲部を備えた形状である場合には、切除した頭骨などを接合 する際の位置決め作業において、切除部が骨接合具から外れる危険を無くするこ とができ、安心して作業を行うことができる。 把持部は本体の位置決めや支持のために用いられるが、表面の溝で形成さ れた薄肉部により、把持部を除去した際に発生するバリを本体表面側に残さず、 皮下組織を損傷するおそれが少ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る骨接合具の第１実施例の構造を示
す側面図である。

【図２】同第１実施例の構造を示す平面図である。

【図３】本考案に係る骨接合具の第２実施例の構造を示
す平面図である。

【図４】本考案に係る骨接合具の第３実施例の構造を示
す側面図である。

【図５】同第３実施例を頭骨の接合に用いた状態を示す
断面図である。

【図６】各実施例におけるハーケンの別の例を示す側面
図である。

【符号の説明】

２，１２，２２ 本体 ２ａ，１２ａ，２３ａ，２５ａ ねじ孔 ３，４，２６，２７，３０ ハーケン ５，１５ 把持部 ６，１６ 横溝 ２３，２５ 支持部 ２４ 屈折部 ３１ 表面溝 ３２ 固定部材

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 骨折部を横断して骨表面上に固定される
   本体に少なくとも２つの相互に離隔して形成された固定
   軸受入れ用の固定孔を備えた、骨折部の接合固定を行う
   ための骨接合具であって、該本体には比較的滑らかな表
   面と骨表面に面すべき底面とを有し、該底面から突出す
   る打込部材を備えたことを特徴とする骨接合具。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記打込部材には、
   突出方向に対して角度をもつ表面溝が形成されているこ
   とを特徴とする骨接合具。
3. 【請求項３】 請求項１において、前記打込部材は、前
   記本体に対してその軸線を中心に回動可能に取付けられ
   ていることを特徴とする骨接合具。
4. 【請求項４】 請求項１において、前記本体は、その端
   部以外の部分でその底面に対して角度をもつ方向に屈曲
   し、この屈曲部の両側部分が互に略平行に延在してお
   り、該両側部分には、互にその底面が表裏反対側に形成
   されていることを特徴とする骨接合具。
5. 【請求項５】 請求項１において、前記本体の周縁に接
   続された把持部を設け、前記本体と把持部との接続部分
   における表面に溝を設けることにより薄肉部を形成した
   ことを特徴とする骨接合具。