JPH0641161B2 - スチレン系樹脂発泡シートの製造方法及び加熱成形用スチレン系樹脂発泡シート - Google Patents

スチレン系樹脂発泡シートの製造方法及び加熱成形用スチレン系樹脂発泡シート

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JPH0641161B2
JPH0641161B2 JP63035690A JP3569088A JPH0641161B2 JP H0641161 B2 JPH0641161 B2 JP H0641161B2 JP 63035690 A JP63035690 A JP 63035690A JP 3569088 A JP3569088 A JP 3569088A JP H0641161 B2 JPH0641161 B2 JP H0641161B2
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foam sheet
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resin
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基滋 林
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、スチレン系樹脂発泡シートの製造方法、及
びこうして得られた加熱成形用スチレン系樹脂発泡シー
トに関するものである。さらに詳しく云えば、この発明
は、寸法安定性がよくてしかも無害なスチレン系樹脂発
泡シートを提供し、これを加圧成形して成形品とするに
適したスチレン系樹脂発泡シートを提供しようとするも
のである。
(従来の技術) スチレン系樹脂発泡シートは、一般に寸法安定性がよく
て、しかも無害なものとして知られ、食品類の容器とし
て広く使用されている。ところが、実際に調べて見る
と、市販の分解性発泡剤によるスチレン系樹脂発泡シー
トは、発泡剤として用いた種々の化学薬品などを残留さ
せており、従つて好ましいものとは云えないことがわか
つた。また、市販の揮発性発泡剤によるスチレン系樹脂
発泡シートは、発泡剤を残留させているために、これを
加熱するとさらに大きく発泡するので、寸法安定性が悪
く、従つて、これに印刷したのちにこれを加熱して皿な
どに加圧成形するに適していなかつた。
スチレン系樹脂発泡シートを作るには、発泡剤を含んだ
スチレン系樹脂をシート状に押出して作られる。この場
合、発泡剤としては色々なものが使用された。大別する
と、発泡剤は、分解性発泡剤と揮発性発泡剤とに分けら
れる。
分解性発泡剤は、さらに無機系のものと有機系のものと
に分けられるが、何れも固体状のものである。前者の例
は、炭酸アンモニウム及び重炭酸ソーダであり、後者の
例は、アゾ化合物、スルホヒドラジド化合物、アジド化
合物、ニトロソ化合物である。これらのものを使用する
と、少量ではあるが未分解の発泡剤及び分解残渣が樹脂
中に必らず残留することとなる。従つて、残留する発泡
剤及び分解残渣のために得られた発泡体が着色していた
り、発泡体の使用中に発泡剤及び分解残渣が水に溶解し
て酸性若くはアルカリ性を呈したり、又は食品などに移
行したりして、接触する商品に悪影響を及ぼすこともあ
つた。
揮発性発泡剤には、炭化水素とハロゲン化炭化水素とが
含まれている。揮発性の発泡剤は、何れもスチレン系樹
脂の軟化温度以下の沸点を持ち、常温で気体又は液体状
を呈する有機化合物である。その例は、脂肪族炭化水素
に属するものでは、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキ
サン、石油エーテル等があり、他方ハロゲン化脂肪族炭
化水素に属するものでは、メチルクロライド、フレオン
11、フレオン12等がある。
揮発性発泡剤は、スチレン系樹脂に含まれやすい特性を
持つているから、これを加圧して液状に保持しながら、
スチレン系樹脂に接触させ、さらに加熱すると、スチレ
ン系樹脂に容易に含浸させることができる。従つて、そ
の含浸は容易である。含浸された揮発性発泡剤は、スチ
レン系樹脂が軟化されると、樹脂中で気化し、樹脂中に
気泡を生じさせて樹脂を発泡させる。揮発性発泡剤は含
浸されやすいものであるから、樹脂の発泡したあともな
お樹脂中に一部が残留し、従つて気泡中又は気泡壁にと
どまつている。従つて、揮発性発泡剤を用いると、発泡
を容易に行うことができ、また高倍率に一様に発泡させ
ることができるが、反面得られた発泡体は発泡剤を含ん
でいるので、のちの使用に悪影響を生じさせる。
そのほか、二酸化炭素や窒素も発泡剤として用い得ると
された。ところが、二酸化炭素や窒素は、気体であるか
ら上述の揮発性発泡剤に近いが、揮発性発泡剤とは違つ
て、スチレン系樹脂に含まれにくいものである。だか
ら、二酸化炭素や窒素などの不活性気体を使つて、市販
できるような良質の発泡体を作ることは困難であつた。
従つて、二酸化炭素や窒素を発泡剤として使用して、ス
チレン系樹脂発泡シートを作ることは工業的にはまだ実
施されていない。
特開昭51−7068号公報は、100重量部の樹脂に
対し0.5〜5重量部の二酸化炭素を圧入して発泡体が得
られると記載しており、そのために二酸化炭素を液状に
して使用すべきこととしている。ところが、液状の二酸
化炭素を取出してこれをスチレン系樹脂中に圧入したの
では、二酸化炭素が樹脂中に均等に分散せず、局部的な
発泡ムラを生じることとなり、従つて品質の一定な発泡
体を得ることが困難であつた。
また、特開昭58−126127号公報は、発泡剤とし
て広く加圧気体を使用する樹脂発泡体の製造方法を記載
している。加圧気体としては空気、窒素、二酸化炭素が
例示され、そのほか水も使用できるとされている。これ
らの加圧気体は、一般に樹脂中に含浸させることが困難
なものであるから、この方法は、溶融樹脂を特殊な流路
に入れて加圧気体を圧入すべきこととしている。しか
し、このように特殊な流路を用いることは、装置を複雑
にし、従つて操作を煩瑣なものとし、しかもその割合に
は安定して発泡させることができず、良質の発泡体を得
ることができない。従つて、この公報記載の方法も、工
業的に実施することは容易でない。
上述のように、スチレン系樹脂を発泡させるために色々
の発泡剤が提案され、発泡剤の然質に応じて種々の方法
が開発され、さらにそれによつて作られた発泡体も一長
一短を持つこととなつた。すなわち、分解性発泡剤又は
揮発性発泡剤を用いた場合には、樹脂に発泡剤を含ませ
ることが容易となるが、発泡剤が発泡体中に残留するた
めに、好ましくない色を帯びることとなつたり、 また
形状安定性が悪く、また使用中に悪影響を表わすことと
なつた。他方、二酸化炭素や窒素などのいわゆる不活性
物質は、発泡剤として使用できるとされているものの、
実際にはこのような発泡剤を用いて安定して発泡した一
様な発泡シートを工業的に容易に製造することはできな
かつた。
(発明が解決しようとする問題点) この発明は、形状安定性がよく、無害であつて且つ一様
に高倍率に発泡した、良質のスチレン系樹脂発泡シート
を工業的容易に製造できる製造方法を提供しようとする
ものである。また、この発明は、形状安定性がよくて且
つ無害であつて、皿などの製品に加圧成形するのに適し
た良質のスチレン系樹脂発泡シートを提供しようとする
ものである。
(問題を解決するための手段) この発明は、気泡核剤として非イオン性の無機質微粉末
を用いることとし、これをスチレン系樹脂中に混合して
おき、また発泡剤として二酸化炭素を用い、しかも二酸
化炭素を加圧下で気体の状態で使用することとし、気体
の状態の二酸化炭素を押出機内で溶融されたスチレン系
樹脂中に圧入して押出発泡を行うという手段を用いる。
このようにすると、二酸化炭素をスチレン系樹脂中に均
一に含ませることができることがわかつた。また、こう
して二酸化炭素を含浸された樹脂を押出発泡させると、
発泡シートは気泡中に空気の成分だけを含むものとな
り、従つて無害なものとなり、また寸法安定性の良いも
のとなることが見出された。寸法安定性の良いことは、
こうして得られた発泡シートをその製造の直後にビカツ
ト軟化点より20℃だけ高い温度の気体中に3分間加熱
したとき、膨張率が30%以下であり、従来品の100
%以上になるのに比べると、膨張率の小さいことから明
らかである。
この発明は、加圧した二酸化炭素を臨界温度以上に維持
して気体の状態でタンクに溜め、タンク内の圧力の95
%以下の圧力に減圧して100kg/cm2以上の圧力で押
出機に送り、非イオン性の無機質微粉末を含有して押出
機内で溶融されているスチレン系樹脂1kgに、005〜
0.5モルの割合で上記二酸化炭素を圧入し、次いでシー
トとして低圧領域へ押出し発泡させることを特徴とす
る、スチレン系樹脂発泡シートの製造方法に関するもの
である。
また、こうして作られた発泡シートは、この製造直後に
も再び加熱して成形するに適していることが見出され
た。すなわち、この発泡シートは発泡直後に発泡剤を殆
んど放出してしまい、気泡内には空気の成分だけを含む
ものとなり、従つて再び加熱しても大きく膨張すること
がなく、そのために所望どおり正確に加圧成形すること
ができることがわかつた。また、この発泡シートは、有
害な発泡剤を含まないので、無害であり、従つて食品類
を入れる皿などの商品に成形するのに適していることが
わかつた。さらに、この発泡シートは、これを厚み0.5
〜2.5mmとし、また厚さ1mmあたりの単位重量を200
−500g/m2に調整すると、あとで再び加熱して成形
するとき、延伸性及び形状保持にすぐれているので、加
圧成形するのにとくに好適であることが見出された。従
つて、この発明は、加圧成形するのにとくに適したスチ
レン系樹脂発泡シートをも対象とするものである。
特開昭61−293235号公報は、スチレン系樹脂を
発泡体とするとき、スチレン系樹脂にポリブタジエンや
ポリイソプレン等のエラストマーを混入すると良好な発
泡体が得られると記載している。しかし、エラストマー
をどのような状態にすべきかということまでは明らかに
していない。この発明者は、スチレン系樹脂に対し0.5
−5重量%のエラストマーをスチレン系樹脂に加え、2
0ミクロン以下の微粒子としてスチレン系樹脂中に分散
させると、二酸化炭素の吸収が良好となり、従つて発泡
体として一層良質のものとなることを見出した。
この発明で用いることのできるスチレン系樹脂は、スチ
レンだけの単独重合体に限らず、共重合体及びそれらの
混合物であつてもよい。共重合体としては、例えばブタ
ジエンとの共重合体、アクリロニトリルとの共重合体、
メチルメタクリレートとの共重合体、ブタジエン及びア
クリロニトリルとの三者共重合体である。また、混合物
としては、例えば、スチレンとブタジエンとの共重合体
と、スチレンとアクリロニトリルとの共重合体とを混合
してなるABS樹脂である。
この発明で用いることのできる非イオン性の無機質微粉
末としては、タルク、クレー、雲母、シリカ、けい酸カ
ルシウム等である。これらは単独又は2種以上のものを
混合して用いることができる。その微粉末の程度は、粒
径20ミクロン以下とする。その添加量は樹脂に対し0.
1−5重量%とする。
押出機としては各種のものを用いることができる。すな
わち、単軸スクリユ形式のもの、二軸スクリユ形式のも
のの何れをも用いることができる。押出機には、バレル
の途中に二酸化炭素の圧入口を設け、押出機内で加熱溶
融されたスチレン系樹脂中へ二酸化炭素を直接圧入でき
るようにする。好ましい押出機の形式は、2個の押出機
を縦に連結して、第1の押出機内で溶融された樹脂中に
二酸化炭素を圧入し、こうして二酸化炭素の圧入された
樹脂を次いで第2の押出機内へ入れ、第2の押出機内で
さらに均一に混合し発泡温度に調整したのち、口金を通
して低圧領域へ押出すようにしたものである。
二酸化炭素を押出機へ圧入する際には、二酸化炭素を気
体の状態で使用することを確実にするために、例えば第
1図に示したような装置を用いる。第1図の装置では、
ボンベ1に貯蔵されている二酸化炭素を使用することと
し、液状の二酸化炭素から直接取出すことを避けて、ボ
ンベ内の二酸化炭素の気相部分から取出すようにしてい
る。液相から取出す場合には気化器を通す必要がある。
こうして気体状の二酸化炭素を取出したのちも、二酸化
炭素が液状になるのを防ぐために、所定の温度における
二酸化炭素の蒸気圧以上の圧力に上昇する通路を臨界温
度以上の温度に保持する。この状態で二酸化炭素を圧縮
して、105Kg/cm2以上の圧力を保持させこれをタン
ク4に貯蔵する。圧縮は複数段に分けて行う。例えば初
めの圧縮機2で21Kg/cm2から65Kg/cm2に昇圧さ
せ、次いで第2の圧縮機3で65Kg/cm2から310Kg
/cm2に昇圧させる。
タンク4内は、二酸化炭素の臨界温度以上に保持する。
こうしてタンク4内に溜められた二酸化炭素は、減圧弁
5によりタンク内の圧力の95%以下の圧力に減圧され
て、100Kg/cm2以上の圧力となつて、流量計6、流
量調節器7及び逆止弁8を経て、押出機のバレル9内へ
圧入される。圧入された二酸化炭素は、そこに存在する
溶融樹脂と混合され、押出機のスクリユによつて混練さ
れながら、押出機の先端に向つて送られる。圧入時の圧
力を100Kg/cm2以上とする理由は、圧入を安定化さ
せることと、微小な気泡を得るためである。
流量計6で流量を設定し、流量調節器7の開度を自動調
整して、圧入する二酸化炭素の量が樹脂1Kgに対し0.05
〜0.5モルの割合となるようにする。注入圧力を安定化
させるために重要なことは、流量調節器7と逆止弁8と
の間の容積を、二酸化炭素の1分間あたりの所望流量の
30%以下、望ましくは10%以下とすることである。
この発明方法によれば、加圧した二酸化炭素を臨界温度
以上に保持することとするから、二酸化炭素の量を圧力
及び体積の関係から確認把握することができ、従つて圧
入量を正確に制御することができる。また、加圧した二
酸化炭素をタンクに溜め、次いでタンク内の圧力の95
%以下の圧力に減圧して100Kg/cm2以上の圧力で押
出機に送ることとしたから、二酸化炭素を圧力の変動な
く充分な圧力をもつて、安定して供給することができ、
また確実に樹脂中へ圧入することができる。他方、スチ
レン系樹脂は、非イオン性の無機質微粉末を含有してい
るから、発泡にあたつて無機質微粉末が気泡核剤となつ
て微細な気泡を生じることとなり、従つて発泡体は均一
微細に発泡することとなり、しかも発泡したあとでは無
機質微粉末が水に溶解しないから、接触する商品に悪影
響を及ぼすことがない。さらに、二酸化炭素は、スチレ
ン系樹脂1Kgに対し0.05〜0.5モルの割合で圧入されて
のち、その混合物がシート状に成形されて低圧領域へ押
出されるから、スチレン系樹脂は数倍に発泡することと
なり、従つて実用上充分な程度に発泡したものとなる。
しかも、二酸化炭素を発泡剤として使用しているから、
発泡とともに大部分の二酸化炭素が発泡シートから逸散
し、あとに残らない。従つて、発泡シートは気泡中に空
気の成分だけを含むこととなり、無害で、寸法安定性の
よいシートとなる。だから、この発明方法によれば、食
品類や精密機器を収容するに適した容器を容易に製造で
きることとなり、大きな利益をもたらすこととなる。
また、こうして得られたスチレン系樹脂発泡シートを厚
さ0.5〜2.5mmとし、さらに厚さ1mmあたりの単位重量を
200〜500g/m2にすると、この発泡シートは加熱
成形用シートとして好適なものとなる。その理由は、厚
さを0.5mm以下としたのでは、発泡シートの伸びが少な
くて深絞りの成形ができなくなるが、0.5mm以上とした
ので深絞りの成形ができることとなり、逆に厚さが2.5m
m以上となると内部まで一様に加熱することが困難とな
るが、2.5mm以下としたので均一加熱が容易であつて、
加熱成形が容易となるからである。また、1mmあたりの
単位重量が200g/m2以下では、伸びが少なくて成形
しようとするシートが破断することとなるが、200g
/m2以上としたのでそのような不都合もなく、逆に単位
重量が500g/m2以上となると、加熱時にシートが自
重によつて垂れ下がることとなるが、500g/m2以下
としたのでそのような不都合もなく、従つて加熱成形が
容易である。さらに、上述のように発泡剤として二酸化
炭素を使用したので、発泡シート中に発泡剤の残留がな
く、気泡中には空気の成分だけを含んでいるから、加熱
したとき寸法安定性がよい。すなわち、このスチレン系
樹脂発泡シートをスチレン系樹脂のビカツト軟化点より
200℃だけ高い温度の気体中で、3分間加熱したとき
の体積膨張率が30%以下である。従つて、この発泡シ
ートに、それが平担な状態のとき印刷しておき、あとで
これを加熱成形しても印刷が大きくずれることがなく、
従つて、平面印刷を行つてあとで加圧成形することが可
能となり、印刷した成形品を安価に作ることができる。
次に実施例と比較例とを挙げて、この発明方法及び発明
品のすぐれている点を具体的に説明する。以下で単に部
というのは重量部を意味する。
実施例 1 この実施例では、押出機として内径50mmのシリンダ
と、内径65mmのシリンダとが縦に連結された押出機を
用い、内径50mmのシリンダの中央部付近に発泡剤注入
口を設けたものを使用した。内径50mmの押出機に、ポ
リスチレン樹脂(旭化成社製、スタイロン#683)1
00部とタルク1.5部との混合物を供給した。
発泡剤としての二酸化炭素は、第1図に示すようにボン
ベの気相部分から取り出し、二段圧縮を行い、まず第1
段の圧縮機2でボンベの圧力21Kg/cm2から65Kg/c
m2に上昇させ、次いで第2段の圧縮機3で65Kg/cm2
から310Kg/cm2に上昇させ、タンク4内に310Kg
/cm2の圧力で貯蔵した。この間、タンク4を50℃に
保持した。この温度は二酸化炭素の臨界温度以上であ
る。
次いで、タンク4内の二酸化炭素を減圧弁5に通し、こ
こで270Kg/cm2に減圧し、流量計6を見ながら流量
調節器7を作動させて流量を一定に保ち、逆止弁8を経
由してバレル9内に圧入した。このときの二酸化炭素の
1分間あたりの流量を1.27リツトル/分とし、この流量
から樹脂1Kgあたりの二酸化炭素の圧入量を0.20モル/
Kgを算出した。また、流量調節器7と逆止弁8との間の
容積(以下、これを機器容積という)を0.05リツトルと
した。
こうして、内径50mmの押出機内で、溶融されたポリス
チレン1Kgに対して0.20モルの割合で二酸化炭素を圧入
し、スクリユで均一に混合し、この混合物を内径65mm
の押出機に送り、ここで樹脂温度を180℃に調整し、
口金から大気圧下に時間あたり樹脂17Kgの割合で押出
した。口金としては、出口間隙が0.6mm、直径が60mm
のサーキユラーダイを使用した。押出された樹脂は円筒
状に成形されており、口金を出ると同時に発泡し、口金
の先に設置された円筒に被せられ、円筒に沿つて軸方向
に進行し、引取機によつて引き取られるとともに軸方向
に延伸され、厚さ1.6mmのチユーブ状発泡シートとなつ
た。この発泡シートは、冷却後に厚さ1.6mm、密度0.220
g/cm3、厚さ1mmあたりの重量は220g/m2であ
り、均一微細に発泡していた。
この発泡シートは、製造後5日を経過したとき、その中
の残留ガスを調べたところ、使用した二酸化炭素は全く
認められなかつた。また、この発泡シートを125℃の
雰囲気中に3分間放置して加熱したとき、もとの体積に
対してどれだけの比率になつているか(以下、体積膨張
率という)を調べた。製造後5日を経過した発泡シート
について体積膨張率を調べたところ、体積膨張率は11
6%であつて、僅か16%の体積を増すに過ぎず、寸法
安定性が良好であると認められた。また、そのシート
は、これを加熱すると容易に加圧成形することができた
(以下、これを成形性良好という)。
実施例 2 この実施例は、実施例1と同様に実施したが、ただ二酸
化炭素の圧入量を変えて、樹脂1Kgに対し0.14モルの二
酸化炭素を圧入することとし、また、機器容積を0.05リ
ツトルとした。
得られた発泡シートは厚さが0.91mm、密度が0.318g/c
m3で、厚さ1mmあたりの単位重量が318g/m2で、均
一微細に発泡していた。また、実施例1と全く同様にし
て製造後69日経過したときの体積膨張率を調べたとこ
ろ、もとの体積の91%であり、成形性は良好であつ
た。
実施例 3 この実施例も、実施例1と同様に実施したが、二酸化炭
素の圧入量を0.10モル/Kgとし、また機器容積を0.05
リツトルとした。
得られた発泡シートは、厚さが1.0mm、密度が0.432g/
cm3、厚さ1mmあたりの単位重量が432g/m2で、均
一微細に発泡していた。製造方後69日経過した発泡シ
ートについて、体積膨張率を調べたところ8%の増加で
あつたので、寸法安定性がよいと認められた。また成形
性は良好であつた。
実施例 4 この実施例は、実施例1と同様に実施したが、ただ樹脂
としてポリスチレン(旭化成社製スタイロン#683)
85部と耐衝撃性スチレン樹脂(新日本製鉄化学社製ス
チレンS−61)15部とを混合したものを用い、また
圧入量0.01モル/Kgとし、機器容積を0.05リツトルとし
た。
得られた発泡シートは、厚さが0.74mm、密度が0.410g
/cm3、厚さ1mmあたりの単位重量が410g/m2で、
均一微細に発泡していた。製造後6日を経過した発泡シ
ートについて、体積膨張率を調べたところ25%の増加
であつたので、寸法安定性がよいと認められた。また成
形性は良好であつた。
実施例 5 この実施例は、実施例1と同様に実施したが、ただ樹脂
として実施例4と同様にポリスチレンと耐衝撃性スチレ
ン樹脂との混合物(混合比は85対15)を用い、また
圧入量を0.19モル/Kgとし、機器容積を0.05リツトルと
した。
得られた発泡シートは、厚さが1.16mm、密度が0.235g
/cm3、厚さ1mmあたりの単位重量が235g/m2で、
均一微細に発泡していた。製造後69日を経過した発泡
シートについて、体積膨張率を調べたところ、1%の増
加であつたので、寸法安定性は良好と認められた。ま
た、成形性は良好であつた。
比較例 1 この比較例は、実施例1と同様に実施したが、ただ発泡
剤として二酸化炭素を用いないで、代わりに液状ブタン
を用い、従来使われていた2連のプランジヤーポンプで
圧入し、圧入量を0.44モル/Kgとした。
得られた発泡シートは、厚さが2.04mm、密度が0.200g
/cm3、厚さ1mmあたりの単位重量が200g/m2で、
均一微細に発泡していた。製造後65日経過した発泡シ
ートについて、体積膨張率を調べたところ、112%の
増加であつたので、寸法安定性は悪いと判断された。ま
た加熱して加圧成形すると厚みが大きくなつて変形した
ので、成形性は不良と判断された。
比較例 2 この比較例は、実施例1と同様に実施したが、二酸化炭
素の圧入量を0.28モル/Kgとし、機器容積を0.05リツ
トルとした。
得られた発泡シートは、厚さが2.04mm、密度が0.156g
/cm3、厚さが1mmあたりの単位重量が156g/m2
あつたが、表面に大きく縞模様が現われた。製造後63
日経過した発泡シートについて、体積膨張率を調べたと
ころ9%の増加であつたので、寸法安定性は良好と判断
された。しかし、加熱して加圧成形すると、シートが破
れたので、成形性は不良と判断された。
比較例 3 この比較例は、実施例1と同様に実施したが、ただ樹脂
として実施例4のように、ポリスチレンと耐衝撃性スチ
レン樹脂(混合比85対15)との混合物を用い、二酸
化炭素の圧入量を0.24モル/Kgとし、機器容積を0.05リ
ツトルとした。
得られた発泡シートは、厚さが0.40mm、密度が0.180g
/cm3、厚さ1mmあたりの単位重量が180g/m2で、
均一微細に発泡していた。製造後63日を経過した発泡
シートについて、体積膨張率を調べたところ24%の増
加であつたので、寸法安定性は良好と判断された。しか
し、加熱して加圧成形すると、シートが破れたので、成
形性は不良と判断された。
比較例 4 実施例1において、減圧弁5から逆止弁8までの保温を
やめたところ、注入圧力が変動し、安定した発泡シート
が得られなかつた。
比較例 5 実施例1において、流量調節器7と逆止弁8との配管の
長さを大きくし、機器容積を0.5リツトルにしたとこ
ろ、注入圧力が変動し、安定した発泡シートが得られな
かつた。
比較例 6 比較例1と同じ装置を使用して、二酸化炭素を液状で圧
入したところ、注入圧力が変動し、安定した発泡シート
が得られなかつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明方法の一実施態様を装置とともに模
型的に示したものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加圧した二酸化炭素を臨海温度以上に維持
    して気体の状態でタンクに溜め、タンク内の圧力の95
    %以下の圧力に減圧して100kg/cm2以上の圧力で押
    出機に送り、非イオン性の無機質微粉末を含有して押出
    機内で溶融されているスチレン系樹脂1kgに、0.05〜0.
    5モルの割合で上記二酸化炭素を圧入し、次いでシート
    として低圧領域へ押出発泡させることを特徴とする、ス
    チレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  2. 【請求項2】二酸化炭素を発泡剤として押出発泡により
    作られたスチレン系樹脂発泡シートであって、一様に発
    泡して独立気泡性の微細な気泡を持ち、厚さが0.5〜2.5
    mmであり、厚さ1mmあたりの単位重量が200〜500
    g/m2であり、気泡核剤として非イオン性の無機質微粉
    末のみを含み、気泡内には空気の成分だけを含み、ビカ
    ット軟化点より20℃だけ高い温度の気体中で3分間加
    熱したときの体積膨張率が30%以下であることを特徴
    とする、加熱成形用スチレン系樹脂発泡シート。
  3. 【請求項3】スチレン系樹脂が、スチレン系樹脂のほか
    に0.5〜5重量%のポリブタジエン、ポリイソプレン又
    はこれらに水素を添加して得られたゴム分を含み、スチ
    レン系樹脂中に分散されたものであることを特徴とす
    る、特許請求の範囲第2項に記載する、加熱成形用スチ
    レン系樹脂発泡シート。
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