JP3507699B2 - ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低密度で、粒径お
よび発泡密度が均一で、成形性に優れたポリプロピレン
系樹脂予備発泡粒子を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂の発泡成形体は機
械的強度が大きく、緩衝性、耐磨耗性、耐薬品性等が優
れていることから、自動車部品等の機械部品の通い箱
や、液晶用ガラス基板や精密電子機器のデバイス等の搬
送用容器として広く用いられている。ポリプロピレン系
樹脂発泡成形体の密度は通常0.04〜0.2g/cm
3に設定されるが、これは密度が大きすぎると弾性が不
足し、落下や振動等による衝撃を吸収する能力が低下す
るからであり、逆に密度が小さすぎると強度が不足し、
衝撃によって発泡成形体が破損し易くなるからである。
【0003】ポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、一般
に、ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて予
備発泡し、得られた予備発泡粒子を所望の型に充填して
スチーム等で加熱して再度発泡させる、いわゆる型内成
形法によって製造される。
【0004】発泡成形体の原料となる予備発泡粒子を製
造する方法は、特公昭56−1344号公報、特開昭5
8−76232号公報、特開昭58−197027号公
報、特開昭59−30836号公報、特開昭59−12
7734号公報および特開平3−28239号公報に開
示されている。上記公報によれば、密閉容器内でポリプ
ロピレン系樹脂粒子を水性分散媒中に分散させ、発泡剤
を圧入して樹脂粒子中に含浸させた後、高温高圧状態に
ある容器の一端を解放して、樹脂粒子と水性分散媒とを
同時に低圧雰囲気に放出させることによって樹脂粒子が
発泡し、低密度の予備発泡粒子を得ることができる。
【0005】しかし、上記公報に開示の方法では、発泡
に適した樹脂粘度を維持するために結晶性を有するポリ
プロピレン系樹脂の融点近傍で微妙な温度制御が必要に
なったり、放出部の開口面積や形状等によって予備発泡
粒子の粒径や発泡密度が変動したりするという問題があ
る。さらに、放出の初期と終期で容器内の温度や圧力が
わずかな変化が生じたり、あるいは低圧域の温度が変化
したりすることによって、予備発泡粒子の粒径や発泡密
度にバラツキが生じるといった問題もある。従って、高
品質の予備発泡粒子を得るには上記の諸条件を厳密に調
整することが不可欠となり、工業的レベルの製造には数
々の制御装置が必要となるため、コストアップの要因と
なっていた。
【0006】また、上記公報に開示の方法で使用される
発泡剤は、トリクロロメタン(CFC−11)、ジクロ
ロジフルオロメタン(CFC−12)、ジクロロトリフ
ルオロエタン(HCFC−11)、モノクロロジフルオ
ロエタン(HCFC−142b)、テトラフルオロエタ
ン(HFC−134a)等のハロゲン化炭化水素;プロ
パン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水
素;二酸化炭素、窒素、空気等のガスであるが、上記C
FC系やHCFC系のハロゲン化炭化水素は発泡性の面
で有利であるものの予備発泡粒子の気泡径が非常に微細
なものとなり、収縮の大きな発泡成形体しか得られなか
ったり、予備発泡粒子の嵩倍率が予備発泡時の蒸気圧力
によって大きく変動するため、一定の嵩倍率を得ようと
するには蒸気圧力を厳密に調整しなければならないな
ど、製造条件の設定に難があった。さらには、近年CF
C系やHCFC系のハロゲン化炭化水素の使用が環境問
題等の観点から使用が制限されているという問題もあ
る。一方、脂肪族炭化水素は可燃性を有することから、
高温高圧下から一気に低圧環境下に放出させる際、静電
気等による引火爆発の危険性がある。二酸化炭素等のガ
スは引火爆発の危険性がなく、しかも安価に入手できる
ものの、発泡剤を含浸させるのにより一層高い圧力が必
要となり、含浸設備やその付帯設備にかかるコストが多
くなって、結局は製品コストの上昇を招いてしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一方、発泡ポリスチレ
ン等の製造方法として公知の発泡ビーズを用いる方法、
すなわち耐圧容器内で水性分散媒中に樹脂粒子を分散さ
せ、さらに発泡剤を圧入して樹脂粒子に含浸させた後、
分散液を大気圧下で取り出し、水性分散媒を除去して発
泡性樹脂粒子とし、この発泡性樹脂粒子を加熱して予備
発泡粒子とする方法をポリプロピレン系樹脂粒子の予備
発泡に適用すれば、比較的簡易な設備で予備発泡を実施
でき、しかも発泡剤として脂肪族炭化水素を使用するの
も容易となると考えられる。
【0008】しかしながら、この方法では優れた品質の
発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子を得ることができな
い。これは、予備発泡粒子の工業生産では、ポリプロピ
レン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて多量の発泡性樹脂
粒子をあらかじめ作製し、次いでバッチ処理にて予備発
泡粒子を作製されることに起因する。すなわち、発泡性
樹脂粒子の熟成期間が不十分な初期のロットでは、未発
泡粒子や極高密度の粒子が混在して、密度のバラツキが
大きくなるという問題が生じてしまう。一方、発泡剤の
含浸後数十分を経過すると熟成が完了するものの、ポリ
プロピレン系樹脂は発泡剤の保持性が低いために、大気
圧下では予備発泡前に発泡性樹脂粒子から発泡剤が急激
に放出されてしまう。このため、時間が経過する毎に発
泡性が低下して、とりわけロットの終期では発泡性が大
きく低下するという問題が生じる。
【0009】従って、工業的生産においては、同一バッ
チでも初期ロットでは熟成不良による密度のばらつきの
問題が生じ、初期以降(とりわけロットの終期)では発
泡密度が大きく低下した粒子しか得られないという問題
が生じて、結果的に安定した発泡成形体を得ることがで
きなかった。
【0010】そこで本発明の目的は、低密度で、粒径お
よび発泡密度が均一で、しかも成形性に優れたポリプロ
ピレン系樹脂予備発泡粒子を、炭化水素系発泡剤を使用
し、容易にかつ低コストでもって製造することのできる
方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、エチレン−プロ
ピレンランダム共重合体を含む樹脂組成物からなるポリ
プロピレン系樹脂粒子を水性分散媒中に分散し、密閉系
内でイソブタンと環状脂肪族炭化水素との混合発泡剤と
ともに加熱、加圧して発泡剤を含浸させた後、系の加圧
状態を維持しつつ発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子を発
泡させたときは、低密度で、粒径および発泡密度が均一
で、しかも成形性に優れたポリプロピレン系樹脂予備発
泡粒子を、容易にかつ低コストでもって製造することが
できるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに
至った。
【0012】すなわち、本発明のポリプロピレン系樹脂
粒子の製造方法は、エチレン−プロピレンランダム共重
合体を含む樹脂組成物を押出機で溶融混練し、造粒して
ポリプロピレン系樹脂粒子を作製した後、(1) 当該樹脂
粒子を水性分散媒中に分散しつつ、密閉系内でイソブタ
ンと環状脂肪族炭化水素との混合発泡剤を添加して加
熱、加圧し、混合発泡剤を前記樹脂粒子中に含浸させ、
(2) 系の加圧状態を維持しつつ水性分散媒を分離除去し
て、イソブタンを5〜12重量%および環状脂肪族炭化
水素を0.3〜3重量%含有する発泡性ポリプロピレン
系樹脂粒子を作製し、(c) 引続いて系の加圧状態を維持
しつつ、発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子をスチーム加
熱によって発泡させることを特徴とする。
【0013】本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒
子の製造方法によれば、ポリプロピレン系樹脂粒子に上
記混合発泡剤を含浸させた後、加圧状態を維持した状態
で予備発泡処理を行うことから、ロットの初期と終期と
で粒径や発泡密度にバラツキが生じることがなく、低密
度で、粒径および発泡密度が均一で、しかも成形性に優
れたポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を安定して得る
ことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリプロピレン系
樹脂予備発泡粒子の製造方法について詳細に説明する。
〔ポリプロピレン系樹脂粒子〕
【0015】本発明におけるポリプロピレン系樹脂粒子
としては、エチレン−プロピレンランダム共重合体を含
む樹脂組成物を溶融混練し、造粒したものが用いられ
る。
【0016】前記エチレン−プロピレンランダム共重合
体には、例えばエチレン成分の含有量が3〜20重量%
であるものが好適に用いられる。エチレン成分の含有量
が3重量%を下回ると、高発泡の予備発泡粒子が得られ
なくなる。逆に、含有量が20重量%を超えると、発泡
成形体の剛性が失われる。エチレン成分の含有量は、上
記範囲の中でも特に3〜10重量%であるのが好まし
く、3〜5重量%であるのがより好ましい。
【0017】前記樹脂組成物には、例えば230℃にお
けるMFR(メルトフローレート)が0.1〜5g/1
0分であるものが好適に用いられる。MFR(230
℃)が前記範囲を下回ると樹脂の流動性が低くなりすぎ
て、高発泡の予備発泡粒子が得られなくなるおそれがあ
る。逆に、MFR(230℃)が前記範囲を超えると樹
脂自体の流動性が高くなりすぎて、成形性が大きく低下
するおそれがある。樹脂組成物のMFR(230℃)
は、上記範囲の中でも特に1〜3g/10分であるのが
好ましい。
【0018】本発明においては、前記樹脂組成物を造粒
してポリプロピレン系樹脂粒子を作製する際、あるいは
当該樹脂粒子に発泡剤を含浸する際に、造核剤、帯電防
止剤、難燃剤、紫外線防止剤、熱安定剤等の各種添加剤
を適宜添加することができる。
【0019】エチレン−プロピレンランダム共重合体を
含む樹脂組成物の溶融混練や造粒時における条件は特に
限定されるものではなく、従来公知の樹脂粒子の製造方
法に準じて行えばよい。
【0020】なお、溶融混練には押出機を用いるのが好
ましい。押出機を用いる場合、溶融混練物を押出し、引
続いて裁断して樹脂粒子を造粒できることから、生産性
が高く経済的である。また、溶融混練の温度は、樹脂組
成物が均一に混練され、かつ分解反応等で樹脂粒子の物
性が劣化することのないように、樹脂組成物の溶融温度
等に応じて設定される。通常、その温度は160〜28
0℃に設定される。ポリプロピレン系樹脂粒子の大きさ
は特に限定されるものではないが、発泡剤の含浸し易
さ、予備発泡時や発泡成形体作製時の作業性等の観点か
ら、1粒子当りの重量が0.5〜10mg程度にそれぞ
れ設定される。
【0021】〔水性分散媒〕ポリプロピレン系樹脂粒子
に発泡剤を含浸させる際に用いられる水性分散媒として
は、水を単独で用いるほか、ポリプロピレン系樹脂粒子
の分散性向上とを目的として分散安定剤を配合した水を
用いることができる。
【0022】分散安定剤としては従来公知の種々のもの
を使用することができ、例えばピロリン酸マグネシウ
ム、リン酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム等
の難溶性無機物質;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等のアニオ
ン性界面活性剤;ポリビニルアルコール、メチルセルロ
ース、N−ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子など
が挙げられる。
【0023】分散安定剤の配合の有無およびその配合量
については特に限定されないが、水性分散媒中での樹脂
粒子の分散性が不充分であると、発泡性ポリプロピレン
系樹脂粒子における発泡剤の含有割合にバラツキが生じ
るおそれがある。一方、分散安定剤の配合量が多すぎる
と、発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子中に不純物が多量
に含まれてしまうおそれがある。このため、分散安定剤
を配合する場合には、その配合量は水性分散媒に対して
0.05〜5重量%程度に設定するのが適当である。
【0024】〔発泡剤〕本発明における発泡剤として
は、イソブタンと環状脂肪族炭化水素との混合系が用い
られる。
【0025】環状脂肪族炭化水素としては、例えばシク
ロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、
メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタ
ン等の炭素数が4〜8であるシクロアルカン等が挙げら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合し
て用いてもよい。
【0026】本発明においては、上記例示の環状脂肪族
炭化水素の中でも特に、シクロペンタン、シクロヘキサ
ンおよびメチルシクロヘキサンからなる群より選ばれる
少なくとも1種の環状脂肪族炭化水素を使用するのが、
低密度で粒径および発泡密度が均一な予備発泡粒子を得
るという観点から好ましい。
【0027】混合発泡剤におけるイソブタンと環状脂肪
族炭化水素との割合は、ポリプロピレン系樹脂中での両
者の含有割合に応じて適宜設定される。
【0028】また、混合発泡剤全体の使用量は、発泡性
ポリプロピレン系樹脂粒子のイソブタン含有量が5〜1
2重量%に、かつ環状脂肪族炭化水素の含有量が0.3
〜3重量%になるように調整されるものであって、具体
的には発泡剤を含浸させる際の密閉系の大きさ、ポリプ
ロピレン系樹脂粒子の量、発泡剤含浸時の加圧条件等に
応じて適宜設定される。従って、混合発泡剤全体の使用
量は特に限定されないが、通常、密閉系内のポリプロピ
レン系樹脂粒子100重量部に対してイソブタンの量が
10〜30重量部、環状脂肪族炭化水素の量が0.5〜
10重量部となるように設定される。
【0029】〔ポリプロピレン系樹脂粒子への発泡剤の
含浸方法〕ポリプロピレン系樹脂粒子への発泡剤の含浸
は、前述のように、ポリプロピレン系樹脂粒子を水性分
散媒中に分散し、さらに耐圧容器等の密閉系内でイソブ
タンと環状脂肪族炭化水素との混合発泡剤を圧入した
後、分散液を加熱して加圧状態とすることによって行わ
れる。 密閉系内に混合発泡剤を圧入したときの系内の
内圧は特に限定されるものではなく、前述の発泡剤の使
用量や、混合発泡剤を圧入した後で加熱する際の系内の
圧力等に応じて適宜設定される。
【0030】発泡剤を圧入後、加熱する際の温度は、ポ
リプロピレン系樹脂粒子の軟化温度以上、通常80〜1
50℃に設定される。また、加熱中の密閉系内の内圧は
特に限定されないが、通常10〜40kgf/cm2
度となるように設定するのが好ましい。加熱時間は1〜
20時間であって、加熱後は密閉系内の内圧が通常10
kgf/cm2 程度以下になるまで冷却する。
【0031】〔発泡剤含浸後の発泡性樹脂粒子の分離処
理〕ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させた
後、系の加圧状態を維持しつつ、水性分散媒と余剰の発
泡剤とを分離除去することによって、発泡性ポリプロピ
レン樹脂粒子が分離、回収される。
【0032】発泡性ポリプロピレン樹脂粒子を分離、回
収する際、系の加圧状態が解かれたり、系の内圧が2k
gf/cm2 程度を下回ると、発泡性ポリプロピレンの
発泡剤含有量が低下するという問題が生じる。発泡性ポ
リプロピレン系樹脂粒子を回収する際に系の内圧を維持
するには、回収に用いる耐圧容器等の系の内圧をあらか
じめ3〜10kgf/cm2 程度となるように設定して
おき、発泡剤を含浸させる系と発泡性ポリプロピレン系
樹脂粒子を分離、回収する系とを均圧ラインで連結すれ
ばよい。
【0033】発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子を回収す
る系の内圧を調整するには、イソブタン等の発泡剤、ま
たは発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子の発泡性に影響を
与えることのない希ガスや窒素ガス等を用いればよい。
【0034】〔発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子の予備
発泡〕発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子を水性分散媒か
ら分離した後、系の加圧状態を維持しつつ、前記粒子の
一部を耐圧計量タンクに導入して1回の予備発泡操作に
必要な所定量を計量する。さらに、系の加圧状態を維持
しつつ、耐圧で密閉可能な発泡機に導入し、1.0〜
4.0kgf/cm2 程度の加圧状態でスチーム加熱す
ることによって、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子が
得られる。
【0035】発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子を、発泡
機に隣接して設置した耐圧計量タンクに導入する際、発
泡機内の加圧状態が解かれたり、発泡機の内圧が2kg
f/cm2 程度を下回ると、予備発泡粒子の嵩倍率が低
下するという問題が生じる。発泡機に導入する際に系
(発泡機)の内圧を維持するには、当該系の内圧をあら
かじめ3〜10kgf/cm2 程度となるように設定し
ておき、導入経路を均圧ラインで連結すればよい。
【0036】発泡機の内圧を調整するには、前述の発泡
性ポリプロピレン系樹脂粒子を回収する際と同様に、イ
ソブタン等の発泡剤、または発泡性ポリプロピレン系樹
脂粒子の発泡性に影響を与えることのない希ガスや窒素
ガス等を用いればよい。
【0037】こうして得られたポリプロピレン系樹脂予
備発泡粒子は、所望の型に充填した上でスチーム等によ
って再度加熱、発泡させることにより、発泡成形体とす
ることができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
説明する。
【0039】実施例1 (ポリプロピレン系樹脂粒子の作製)エチレン含有量が
4.5重量%であるプロピレン−エチレン共重合体を押
出機に投入し、230±5℃で溶融混練した。押出機
は、かみ合い型同方向回転2軸スクリュー混練機(スク
リュー外径37mm、L/D比31.1)を使用した。
【0040】次いで、溶融混練物をストランド状に押出
してペレタイズし、1粒子当りの重量が2.5mg、2
30℃でのMFRが2.3g/10分であるポリプロピ
レン系樹脂粒子を得た。
【0041】(発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子の作
製)内容積50リットルのオートクレーブに水200重
量部、ピロリン酸マグネシウム(分散安定剤)1.5重
量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(分
散安定剤)0.05重量部を混合して水性分散媒とし
た。
【0042】この水性分散媒に前記ポリプロピレン系樹
脂粒子100重量部を加え、撹拌して分散させた。さら
に、所定量のイソブタンおよびメチルシクロヘキサン
(発泡剤)をオートクレーブ内に圧入してから分散液を
120℃まで昇温し、この温度を4時間保持してポリプ
ロピレン系樹脂粒子中に発泡剤を含浸させた。
【0043】次に、オートクレーブの内圧が4.5kg
f/cm2 になるまで分散液を冷却し、余剰の発泡剤を
回収、除去した。そして、分散液の全量をオートクレー
ブの真下に接続された内容積30リットルの耐圧容器に
導入した。耐圧容器への分散液の導入に際し、耐圧容器
にはあらかじめイソブタンを添加して内圧を4.0kg
f/cm2 に調整しておいた。また、導入時には耐圧容
器とオートクレーブとを均圧ラインで結び、さらに耐圧
容器の底に設けた排水溝から水媒体を分離除去させつつ
導入を行った。
【0044】その後、耐圧容器内の発泡性ポリプロピレ
ン系樹脂粒子の一部を、発泡機に隣接して設置した耐圧
計量タンクに導入して1500gを計量した。なお、耐
圧容器と耐圧計量タンクとは均圧ラインで接続し、さら
に耐圧計量タンク内にはあらかじめイソブタンを添加し
て、内圧を4.0kg/cm2 に調整しておいた。
【0045】この時点で、耐圧計量タンク内の発泡性ポ
リプロピレン系樹脂粒子を一部採取し、ガスクロマトグ
ラフィ法にて発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子における
発泡剤〔イソブタンとメチルシクロヘキサン(C6 6
CH3 )〕の含有量(重量%)を定量した。その結果を
表1に示す。 (ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の作製)第1回目
の予備発泡操作として、前記耐圧計量タンク内の発泡性
ポリプロピレン系樹脂粒子の全量を、耐圧で密閉可能な
発泡機に導入した。そして、スチームを発泡機に入れ
て、発泡機の内圧を2.5kgf/cm2 で40秒間保
持して発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子を予備発泡させ
た後、発泡粒子を発泡機外に排出した。
【0046】こうして得られた予備発泡粒子の嵩密度
(g/cm3 )を測定した。その結果を表1に示す。
【0047】さらに、上記と同様の操作によって発泡性
ポリプロピレン系樹脂粒子の計量と予備発泡とを9回繰
り返した。そして、最終(第10回目)の発泡操作の際
に、耐圧計量タンク内の発泡性ポリプロピレン系樹脂粒
子を一部採取してガスクロマトグラフィ法にて発泡剤の
含有量(重量%)を定量し、予備発泡後の嵩密度(g/
cm3 )の測定も行った。その結果を表1に示す。 実施例2〜5 発泡剤の配合量を変更したほかは、実施例1と同様にし
て発泡性樹脂粒子およびその予備発泡粒子を作製し、さ
らに発泡性樹脂粒子の発泡剤含有量および予備発泡粒子
の嵩密度を測定した。その結果を表1に示す。 実施例6および7 メチルシクロヘキサンに代えてシクロヘキサン(実施例
6)、シクロペンタン(実施例7)を使用したほかは、
実施例1と同様にして発泡性樹脂粒子およびその予備発
泡粒子を作製し、さらに発泡性樹脂粒子の発泡剤含有量
および予備発泡粒子の嵩密度を測定した。その結果を表
1に示す。 比較例1および2 発泡剤としてイソブタンのみを使用したり(比較例
1)、発泡剤(イソブタンおよびメチルシクロヘキサ
ン)の配合量を変えたりした(比較例2)ほかは、実施
例1と同様にして発泡性樹脂粒子およびその予備発泡粒
子を作製し、さらに発泡性樹脂粒子の発泡剤含有量およ
び予備発泡粒子の嵩密度を測定した。その結果を表1に
示す。
【0048】比較例3 (発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子の作製)内容積50
リットルのオートクレーブに実施例1の「発泡性ポリプ
ロピレン系樹脂粒子の作成」で使用したのと同じ水性分
散媒を加え、さらに実施例1で作製したポリプロピレン
系樹脂粒子100重量部を加え、撹拌して分散させた。
次いで、所定量のイソブタンおよびメチルシクロヘキサ
ン(発泡剤)をオートクレーブ内に圧入してから分散液
を120℃まで昇温し、この温度を4時間保持してポリ
プロピレン系樹脂粒子中に発泡剤を含浸させた。
【0049】次に、オートクレーブの内圧が4.5kg
f/cm2 になるまで分散液を冷却し、余剰の発泡剤を
回収、除去した。そして、大気圧下にて分散液の全量を
容器に排出し、水性分散媒を分離除去して発泡性ポリプ
ロピレン系樹脂粒子を得た。
【0050】この時点での、発泡性ポリプロピレン系樹
脂粒子の発泡剤含有量をガスクロマトグラフィ法にて定
量した。その結果を表1に示す。 (ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の作製)発泡性ポ
リプロピレン樹脂粒子を作製後、大気圧下で速やかに1
500gを計量し、密閉可能な発泡機に導入したほか
は、第1回目の予備発泡操作を実施例1と同様にして行
った。 さらに、上記と同様の操作によって発泡性プロ
ピレン系樹脂粒子の計量と予備発泡とを9回繰り返し、
第1回目および第10回目の発泡操作の際に、発泡性ポ
リプロピレン系樹脂粒子における発泡剤の含有量と、予
備発泡後の嵩密度の測定を行った。その結果を表1に示
す。
【0051】
【表1】 表1より明らかなように、実施例1〜7では、第1回目
と第10回目のいずれの発泡操作においても、発泡性ポ
リプロピレン系樹脂粒子中の発泡剤の含有量が良好であ
り、かつ充分な嵩密度が得られた。すなわち、発泡密度
にバラツキがなく、良好な予備発泡粒子が得られた。
【0052】これに対し、比較例1では、第1回目と第
10回目のいずれの発泡操作においても、未発泡粒子や
極めて高密度なものが多く混入していることがわかっ
た。
【0053】イソブタンの含有量が低い比較例2では、
充分に低密度な予備発泡粒子が得られなかった。
【0054】また、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後に
大気圧下に粒子を排出した比較例3では、第1回目の発
泡操作では特に問題が生じなかったものの、l第10回
目の発泡操作になると、発泡剤の拡散に伴って発泡性が
低下し、充分な嵩密度を得ることができなかった。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のポリプロ
ピレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法によれば、オゾン
層を破壊する等の環境問題を有するフロンガスや、高価
な製造設備を必要とする二酸化炭素を発泡剤として使用
することがなく、かつ樹脂粒子中に発泡剤を含浸させる
操作を良好な作業環境でもって行うことができる。
【0056】さらに本発明によれば、低密度で、粒径お
よび発泡密度が均一で、しかも成形性に優れたポリプロ
ピレン系樹脂予備発泡粒子を容易にかつ低コストでもっ
て製造することができる。 こうして得られた予備発泡
粒子は、機械部品の通い箱、基板搬送用容器等の原料と
して好適である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン−プロピレンランダム共重合体を
    含む樹脂組成物を溶融混練し、造粒してポリプロピレン
    系樹脂粒子を作製した後、(1) 当該樹脂粒子を水性分散
    媒中に分散しつつ、密閉系内でイソブタンと環状脂肪族
    炭化水素との混合発泡剤を添加して加熱、加圧し、混合
    発泡剤を前記樹脂粒子中に含浸させ、(2) 系の加圧状態
    を維持しつつ水性分散媒を分離除去して、イソブタンを
    5〜12重量%および環状脂肪族炭化水素を0.3〜3
    重量%含有する発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子を作製
    し、(3) 引続いて系の加圧状態を維持しつつ、発泡性ポ
    リプロピレン系樹脂粒子をスチーム加熱によって発泡さ
    せることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒
    子の製造方法。
  2. 【請求項2】環状脂肪族炭化水素がシクロペンタン、シ
    クロヘキサンおよびメチルシクロヘキサンからなる群よ
    り選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のポリプ
    ロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
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