JPH064089U - 織機のヘルドフレーム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヘルドフレームの運転時の騒音発生を押さえ
ると共に、軽量化を図る。 【構成】 ヘルドフレーム１はフレームステーブ２とサ
イドステー３とからなる。フレームステーブ２は軽金属
製で、内部が中空であり、その表裏両壁面に孔６を有す
る。中空部７にはウレタンフォーム製の吸音材８を充填
する。吸音材８の表面にはシート９を宛てがう。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は織機、特に高速織機に用いるヘルドフレームの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ヘルドフレームは、上下枠となるフレームステーブと、左右枠となるサイドス テーとで構成される。この内、フレームステーブは、通常、アルミニウムなどの 軽金属製であり、その上、軽量化のために中空形状に成形されている。また、騒 音防止の為に、フレームステーブの中空部に発泡合成樹脂を充填したものも既に 提案されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ヘルドフレームは織機運転時に上下動させられる高速織機の場合にはその上下 動が一層速くなる。この為、ヘルドとキャリヤロッドとが激しく衝突し合う上に 、これにより生じた振動がヘルドフレーム全体に伝わり、大きな騒音が発生する 。特にフレームステーブが中空形状のものでは、中空部の存在が共振や共鳴を助 長するので、運転時の騒音が一層高くなる。しかし、従来のように単に中空部に 発泡合成樹脂を充填しただけでは、騒音が僅かに数ｄＢ低下する程度で、消音効 果は不充分である。

【０００４】 本考案はこのような点に鑑み、運転時の騒音が低く、かつ、軽量化を図ったヘ ルドフレームを提供せんとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案のヘルドフレームの技術的手段は、内部が中空なフレームステーブと、 中空部に充填された弾性吸音材とからなり、フレームステーブの壁面には孔を有 し、かつ、この孔から吸音材が膨出しないように処理されていることにある。

【０００６】 また、フレームステーブの中空部に充填する吸音材の表面にシートを介装する ようにしてもよい。

【０００７】

【作用】

本考案のヘルドフレームでは、フレームステーブが中空であり、かつ、壁面に は孔が設けられているので、その分、軽量である。フレームステーブの壁面の孔 と、中空部に充填した弾性吸音材とにより、フレームステーブの共振や共鳴が小 さくなり、騒音の発生が押さえられる。

【０００８】 また、吸音材の表面にシートを宛てがったり、吸音材の表面を硬化処理して、 フレームステーブの孔からの吸音材の膨出を阻止しているので、ヘルドフレーム の上下動に支障を与えることはない。

【０００９】

【実施例】

本考案のヘルドフレームの一実施例を図面について説明する。ヘルドフレーム １は上下枠となるフレームステーブ２と、左右枠となるサイドステー３とで構成 される。図示例のヘルドフレーム１はライダレス形と呼ばれるもので、キャリヤ ロッド４は上下のフレームステーブ２に直接固着されている。５はヘルドで、上 下のキャリヤロッド４に掛け渡されている。

【００１０】 フレームステーブ２はアルミニウムやアルミニウム合金などの軽金属製であり 、内部は中空になっている。またフレームステーブ２の壁面には孔６が設けられ ている。孔６の形状は自由であるが、応力集中の生ずる形状を避け、フレームス テーブ２自体に強度低下をおよぼさない形状とするのがよい。また孔６は大きな ものにした方が、消音効果が大である。

【００１１】 フレームステーブ２の中空部７には、軟質発泡合成樹脂製、例えばウレタンフ ォーム製などの弾性吸音材８が充填される。吸音材８には膨張状態で中空部７よ り厚いものを用い、充填に際しては、これを圧縮して、速やかに中空部７内に挿 入する。弾性吸音材８は中空部７内で膨張し、フレームステーブ２に一定の内圧 を加え、共振や共鳴を押さえる役割を果たす。また孔６からの弾性吸音材８の膨 出を避ける為、硬質乃至やや硬質のシート９を両者間に介装する。このシート９ には合成樹脂製の薄板、金属箔ラミネート薄板など種々の材料を使用できる。ま た、このシート９は吸音材８の表面に予め貼着して、一体状にしておいてもよく 、或いは弾性吸音材８の表面を硬化処理することによって代えることも可能であ る。

【００１２】 なお、孔６は図３のようにフレームステーブ２の両面に設けても、或いは、図 ４のように片面にのみ設けるようにしてもよい。また、孔６が片面のみの場合は 、シート９の介装や表面の硬化処理は片側のみに行えばよい。なお、図４では表 面を硬化処理した弾性吸音材８を用いている。

【００１３】 試験結果： 以下の３種のフレームステーブを有するヘルドフレームを織機に取付けて、７ ００ＲＰＭで織機を運転した時の騒音を測定した。 Ａ： 両側壁に孔６を有し、中空部に吸音材８を充填したもの。 Ｂ： 孔６を有さず、中空部に吸音材８を充填したもの。 Ｃ： 孔６を有さず、吸音材８の充填もないもの。 （騒音測定値） Ａ ８４ｄＢ Ｂ ９０ｄＢ Ｃ ９５ｄＢ Ａの騒音防止効果が高いことが判明した。また、Ａは高周波域でのノイズ低減 効果が大きかった。

【００１４】 なお、本考案のヘルドフレームは前記の実施例に限定されるものではなく、実 用新案登録請求の範囲の記載の範囲内で自由に変形実施可能である。特に、フレ ームステーブ２の形状、孔６の形状、吸音材８やシート９の材質などは同様の作 用効果の達成できるものであれば、実施例以外のものを自由に採択可能である。

【００１５】

【考案の効果】

本考案のヘルドフレームは、フレームステーブの中空部に充填された吸音材と 、壁面の孔との存在によって、共振や共鳴が少なくなり、運転時の騒音を防止で きる。また、壁面の孔からの吸音材の膨出がないので、ヘルドフレームの上下運 動に支障の出ることはない。

【００１６】 請求項２のものでは、シートの存在により、フレームステーブの壁面の孔から の吸音材の膨出が完全に阻止され、かつ、防振性が向上し、騒音防止効果を一層 高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のヘルドフレームの正面図。

【図２】フレームステーブの部分拡大図。

【図３】フレームステーブの断面図。

【図４】他の実施例のフレームステーブの断面図。

【符号の説明】

１ ヘルドフレーム ２ フレームステーブ ３ サイドステー ６ 孔 ７ 中空部 ８ 吸音材 ９ シート

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部が中空なフレームステーブと、中空
   部に充填された弾性吸音材とからなり、フレームステー
   ブの壁面には孔を有し、かつ、この孔から吸音材が膨出
   しないように処理されている織機のヘルドフレーム。
2. 【請求項２】 フレームステーブの中空部に充填する吸
   音材の表面にシートが介装されている請求項１記載の織
   機のヘルドフレーム。