JPH0640718A - 含水炭酸カルシウムおよびその製造方法 - Google Patents

含水炭酸カルシウムおよびその製造方法

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JPH0640718A
JPH0640718A JP28780991A JP28780991A JPH0640718A JP H0640718 A JPH0640718 A JP H0640718A JP 28780991 A JP28780991 A JP 28780991A JP 28780991 A JP28780991 A JP 28780991A JP H0640718 A JPH0640718 A JP H0640718A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水分供給剤、保湿剤、保冷剤、消火剤とし
て、実用上利用価値の高い安定化した含水炭酸カルシウ
ムおよび効率良く確実なその製造方法を提供する。 【構成】 水酸化カルシウムの水懸濁液を炭酸化反応さ
せて炭酸カルシウムを製造するにあたり、水懸濁液中
に、リン酸、カルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、
アミノ酸あるいはこれらの金属塩の少なくとも1種を添
加して、含水量が30〜55wt%の範囲にあり、5℃
以上、45℃以下の環境下で安定な含水炭酸カルシウム
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、含水炭酸カルシウムお
よびその製造方法に関するもので、さらに詳しくは水分
供給剤、保湿剤、保冷剤、消火剤として、実用上利用価
値の高い含水炭酸カルシウムおよびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】炭酸カルシウムは、天然の石灰石の機械
的粉砕により製造した重質炭酸カルシウムと化学的な反
応により製造した合成(軽質、沈降性とも呼ばれる)炭
酸カルシウムに大別される。これらの炭酸カルシウム
は、様々な形状や粒度のものが利用できること、安価で
あること、着色が容易であること、人体に無害であるこ
となどから、製紙用や樹脂用のフィラーをはじめ様々な
分野で大量に使用されている。
【0003】このように工業的には広くかつ普通に使用
されている炭酸カルシウムであるが、今日まで安価な無
機粉体としての利用にとどまっており、機能性材料とし
ての炭酸カルシウムの例はほとんど知られていない。
【0004】そのような中で、機能性材料として期待で
きかつこれまでその存在が確実視されている炭酸カルシ
ウムに、CaCO3・H2O(一水和物)とCaCO3
6H2O(六水和物)とがある。これらのうちでも後者
の六水和物は一水和物に比べ良く知られており、古くは
J.Chem.Soc.,123,2409〜2417
(1923)において、サッカロースを添加して合成、
評価した実験が報告されており、Trans.Roy.
Soc.London,Vol.243 A,145〜
167(1950)では、塩化カルシウム水溶液と炭酸
ナトリウム水溶液とを混合させる際に、「カルゴン(C
algon)」と呼ばれるある種のリン酸塩を作用させ
て含水炭酸カルシウムを合成している。また、Wate
r Res.,14,799〜804(1980)に
は、河川水を軟水化する際に生成する六水和物につい
て、その特性が述べられている。
【0005】これらをはじめとする種々の文献によれ
ば、六水和物は、サッカロース、リン酸イオン等が存在
する条件の下、低温環境で生成しやすいこと、0℃以下
では安定であるがそれ以上の温度における安定性に関し
ては不明な点が多いこと、52wt%の水を含んでお
り、分解反応においては50kJ/molの吸熱と水の
放出があること等が明らかにされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように含水炭酸カ
ルシウムに関する研究の歴史は長く、興味ある特性を備
えているにもかかわらず、これまでのところ積極的に合
成しようとした例は皆無といって良い。それは含水炭酸
カルシウムが本来不安定であり、生成しても簡単に分解
してしまい保存できないことに由来すると考えられる。
【0007】このような事情に鑑み、本発明者らは鋭意
研究の結果、効率良く、かつ従来より高い温度まで安定
な含水炭酸カルシウムを確実に製造できる方法を見い出
し本発明に到達した。すなわち、本発明の課題は水分供
給剤、保湿剤、保冷剤、消火剤として、実用上利用価値
の高い安定化した含水炭酸カルシウムおよびその製造方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は上記の
課題を、含水量が30〜55wt%の範囲にあり、5℃
以上、45℃以下の環境下で安定な含水炭酸カルシウム
を得ることにより解決した。
【0009】また本発明は、水酸化カルシウムの水懸濁
液を炭酸化反応させて炭酸カルシウムを製造する方法に
おいて、当該懸濁液中に、リン酸、カルボン酸、塩酸、
硫酸、硝酸、ホウ酸、アミノ酸あるいはそれらの金属塩
の少なくとも1種を添加することにより上記課題を解決
した。
【0010】さらに生成した含水炭酸カルシウムの水懸
濁液に、リン酸、カルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ
酸、アミノ酸あるいはそれらの金属塩の少なくとも1種
を添加し安定化させることによっても上記課題を解決す
る。
【0011】以下に、本発明の詳細について説明する。
【0012】本発明の含水炭酸カルシウムは、従来知ら
れているカルシウムイオンを含む水溶液と炭酸イオンを
含む水溶液との混合によらず、水酸化カルシウムスラリ
ー(以下、石灰乳という)にリン酸、カルボン酸、塩
酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、アミノ酸あるいはそれらの金
属塩の少なくとも1種を添加し炭酸化反応させることに
より製造される。石灰乳を調整する際に使用する原料と
しては、国内資源として豊富にある石灰石を焼成して製
造される酸化カルシウムや水酸化カルシウムが実際的で
あるが、金属カルシウム等を使用しても、以下に述べる
ような濃度と温度に調整すれば何等支障はない。石灰乳
の濃度は、水酸化カルシウム量で40重量%以下、望ま
しくは1〜20重量%である。濃度が低すぎると製造効
率が低下し、高すぎると十分な撹拌ができず均一な反応
が行われない。また炭酸化開始温度は0〜30℃、望ま
しくは5〜20℃である。これは低温である方が添加剤
の量が少なくてすみ、また低温環境の方が含水炭酸カル
シウムが安定して生成・存在しうることによる。特に、
炭酸化過程では反応熱により石灰乳温度が上昇するので
注意が必要である。このような条件に調整した石灰乳に
リン酸等の添加剤を加える。添加剤の量は、水酸化カル
シウム100gに対し、0.01〜20g、望ましくは
0.1〜10gである。少なすぎると含水炭酸カルシウ
ム以外にカルサイトが混入したり、目標の安定性が得ら
れないことがある。反対に添加剤を多く添加してもその
効果には限界があり、添加剤の無駄になる。炭酸化反応
は、炭酸ガスを使用してもよいし、炭酸塩化合物を利用
してもよい。炭酸ガスを使用する場合はボンベから得ら
れる純ガスでもよいが、一般に工業的に利用されている
生石灰製造時のキルンからの廃ガスを利用することも可
能である。炭酸塩化合物としては炭酸アンモニウム、炭
酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等を
例示できる。この場合はガス撹拌が行われないので、機
械撹拌が必要となる。
【0013】生成過程は、炭酸化中のスラリーの導電率
を継続的に測定することにより把握できる。例えば、炭
酸カルシウムを合成する最も一般的な方法である石灰乳
に炭酸ガスを連続して導入する方法では、導電率は、最
初降下し、引き続きやや回復した後、再度降下する。最
初の降下では主として非晶質炭酸カルシウムが生成して
おり、回復過程では含水炭酸カルシウムの種結晶の析出
が、再度の降下では結晶の成長が主として進行している
と考えられる。再度の降下で導電率が最も下がり切った
ところが炭酸化の完了点となる。
【0014】含水炭酸カルシウムの水懸濁液にリン酸、
カルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、アミノ酸ある
いはこれらの金属塩を添加しても、安定化した含水炭酸
カルシウムを得ることができる。この場合の添加剤の添
加量も、水酸化カルシウム100gに対し0.01〜2
0g、望ましくは0.1〜10gである。
【0015】このようにして得られた含水炭酸カルシウ
ムは、母液中45℃以下では長期にわたり保存が可能で
ある。また必要に応じて乾燥粉として取り出すことも可
能である。
【0016】本発明によれば、国内に豊富にある石灰石
資源を利用して、従来不安定で簡単に分解してしまうと
されていた含水炭酸カルシウムを安定化した状態で容易
にかつ効率良く製造でき、乾燥粉として取り出すことも
できることにより、含水炭酸カルシウムの工業的利用が
可能となった。しかも当該炭酸カルシウムは、充填剤や
顔料として工業的に広く利用されている所謂「タンカル
(炭酸カルシウム粉)」とは全く性質が異なるもので、
含水量は30〜55wt%の範囲にある。例えば、六水
和物のみからなるときは52wt%の水分を含んでお
り、分解反応においては50kJ/molの吸熱と水分
の放出がある。そして分解後はカルサイトとなり、分解
前後共、人体はもちろん、生物界に対しても全く無害で
ある。すなわち、この含水炭酸カルシウムは、水分供給
剤、保湿剤、保冷剤、消火剤とし安心して使用でき、地
球環境上の心配も全くない新材料といえる。
【0017】
【実施例】以下に本発明の実施例および比較例をあげて
さらに具体的に説明する。
【0018】実施例1 容量3リットルの筒型フラスコに水道水を2kg入れ、
撹拌しながら−325meshに粉砕した工業用消石灰
150gを投入後、ピロリン酸ナトリウム1gを添加
し、5℃まで冷却した。この時の導電率は9.8mS/
cmであった。この石灰乳を500rpmで撹拌しなが
ら5℃に維持し、0.4リットル/minの速度で炭酸
ガスの導入を開始した。導入開始後1分で導電率は8.
5mS/cmまですみやかに低下したが、その後は徐々
に低下し炭酸化開始後28分で6.2mS/cmまで低
下した後は上昇に転じ、47分後、導電率は8.4mS
/cmまで回復した。しかしその後はまた低下し始め、
90分後、導電率が0.5mS/cmまで低下し、炭酸
化は終了した。
【0019】光学顕微鏡下で生成物を観察すると、大き
さ5〜50μmの粒状〜六角厚板状の透明な結晶であっ
た。また生成物を濾過し粉末X線回折を行ったところ、
回折パターンのデータであるJCPDSカードの37−
416(CaCO3・6H2O)に非常に近い回折パター
ンが得られた。さらに乾燥粉末の示差熱重量分析を行っ
たところ、120℃までに50.59wt%の減量が見
られ、その開始温度は41.1℃であった。
【0020】実施例2 実施例1と同一条件で含水炭酸カルシウムを合成した。
次にこのスラリーを0.7℃/minの速度で加温し、
導電率およびpHに変化の現れた時のスラリー温度を含
水炭酸カルシウムの分解温度とした。得られた値は29
℃であった。
【0021】実施例3 工業用生石灰を水和させ水酸化カルシウム固形分で7w
t%の石灰乳を調整し、容量3リットルの筒型フラスコ
に2.15kg入れた。この石灰乳にクエン酸5gを添
加し、5℃まで冷却した。この時の導電率は9.1mS
/cmであった。この石灰乳を500rpmで撹拌しな
がら5℃に維持し、0.4リットル/minの速度で炭
酸ガスの導入を開始した。導入開始後1分で導電率は
7.4mS/cmまですみやかに低下したが、その後は
徐々に低下し炭酸化開始後17分で6.5mS/cmま
で低下した後は上昇に転じ、22分後、導電率は7.1
mS/cmまで回復した。しかしその後はまた低下し始
め、87分後、導電率が0.5mS/cmまで低下し、
炭酸化は終了した。
【0022】光学顕微鏡下で生成物を観察すると、大き
さ5〜50μmの粒状の透明な結晶であった。また生成
物を濾過し粉末X線回折を行ったところ、JCPDSカ
ードの37−416に非常に近い回折パターンが得られ
た。さらに乾燥粉末の示差熱重量分析を行ったところ、
120℃までに50.93wt%の減量が見られ、その
開始温度は42.4℃であった。
【0023】実施例4 実施例3と同一条件で含水炭酸カルシウムを合成した。
次に実施例2と同様の方法で含水炭酸カルシウムの分解
温度を測定し、28℃の値を得た。
【0024】実施例5 容量3リットルの筒型フラスコに水道水を2kg入れ、
撹拌しながら−325meshに粉砕した工業用消石灰
150gを投入後、ピロリン酸ナトリウム2gとサッカ
ロース3gを添加し、15℃に調整した。この時の導電
率は9.9mS/cmであった。この石灰乳を500r
pmで撹拌しながら15℃に維持し、1.0リットル/
minの速度で炭酸ガスの導入を開始した。導入開始5
分後、導電率が6.0mS/cmの時、炭酸ガスの導入
を中断した。炭酸化開始96分後、導電率が8.1mS
/cmまで回復した時、再度炭酸ガスを1.0リットル
/minの速度で導入し、164分後、導電率が0.7
mS/cmまで低下し、炭酸化は終了した。
【0025】光学顕微鏡下で生成物を観察すると、大き
さ5〜120μmの粒状〜六角厚板状の透明な結晶であ
った。また生成物を濾過し粉末X線回折を行ったとこ
ろ、JCPDSカードの37−416に非常に近い回折
パターンが得られた。
【0026】実施例6 容量3リットルの筒型フラスコに純水を2kg入れ、撹
拌しながら試薬金属カルシウム25gと試薬水酸化カル
シウム100gを投入し、さらにピロリン酸ナトリウム
3gを添加し、5℃に調整した。この時の導電率は9.
2mS/cmであった。この石灰乳を500rpmで撹
拌しながら10℃に維持し、0.4リットル/minの
速度で炭酸ガスの導入を開始した。導入開始後1分で導
電率は8.1mS/cmまですみやかに低下したが、そ
の後は徐々に低下し炭酸化開始後31分で4.7mS/
cmまで低下した後は上昇に転じ、48分後、導電率は
7.8mS/cmまで回復した。しかしその後はまた低
下し始め、103分後、導電率が0.9mS/cmまで
低下し、炭酸化は終了した。
【0027】光学顕微鏡下で生成物を観察すると、大き
さ5〜50μmの粒状〜六角厚板状の透明な結晶であっ
た。また生成物を濾過し粉末X線回折を行ったところ、
JCPDSカードの37−416に非常に近い回折パタ
ーンが得られた。
【0028】実施例7 水道水20kgを入れた容量30リットルのステンレス
容器に、撹拌しながら工業用消石灰1.5kgとサッカ
ロース30gを投入した。この時の導電率は9.6mS
/cm、温度は15℃であった。この石灰乳に、炭酸ガ
ス濃度30%の空気との混合ガスを撹拌しながら16.
7リットル/minの速度で導入した。導入開始15分
後、導電率が4.4mS/cmまで低下した時、炭酸ガ
ス導入を止め、空気のみを導入した。導電率は7.1m
S/cmまですみやかに、その後は徐々に上昇した。導
入開始88分後、導電率が9.4mS/cmまで回復し
た時、ピロリン酸ナトリウム10gを添加し、再度炭酸
ガス濃度30%の空気との混合ガスを撹拌しながら1
6.7リットル/minの速度で導入した。導入開始2
08分後、導電率が0.9mS/cmまで低下し、炭酸
化は終了した。
【0029】光学顕微鏡下で生成物を観察すると、大き
さ5〜50μmの粒状〜六角厚板状の透明な結晶であっ
た。また生成物を濾過し粉末X線回折を行ったところ、
JCPDSカードの37−416に非常に近い回折パタ
ーンが得られた。
【0030】実施例8 容量3リットルの筒型フラスコに水道水を1.5kg入
れ、撹拌しながら−325meshに粉砕した工業用消
石灰100gを投入後、ピロリン酸ナトリウム3gを添
加し、5℃に調整した。別に炭酸アンモニウム154g
を水道水0.5kgに溶解した炭酸アンモニウム水溶液
を調整し、撹拌して5℃に維持しながら、前記のように
調整した石灰乳に徐々に添加した。35分で添加は終了
し、そのまま15分間撹拌を継続した。
【0031】光学顕微鏡下で生成物を観察すると、大き
さ5〜50μmの粒状〜六角厚板状の透明な結晶であっ
た。また生成物を濾過し粉末X線回折を行ったところ、
JCPDSカードの37−416に非常に近い回折パタ
ーンが得られた。
【0032】実施例9 実施例8で合成した含水炭酸カルシウムの分解温度を、
実施例2と同様の方法で測定し、35℃の値を得た。
【0033】比較例1 容量3リットルの筒型フラスコに水道水を2kg入れ、
撹拌しながら−325meshに粉砕した工業用消石灰
150gを投入し、5℃に調整した。この時の導電率は
9.8mS/cmであった。この石灰乳を500rpm
で撹拌しながら5℃に維持し、0.4リットル/min
の速度で炭酸ガスの導入を開始した。導入開始後1分で
導電率は9.2mS/cmまですみやかに低下したが、
その後は徐々に低下し、炭酸化開始25分後、5.9m
S/cmまで低下した後は上昇に転じ、43分後、導電
率は8.6mS/cmまで回復した。しかし、その後は
また低下し始め、74分後、導電率が0.3mS/cm
まで低下し、炭酸化は終了した。
【0034】光学顕微鏡下で生成物を観察すると、六水
和物独特の結晶はわずかしか認められず、生成物を濾過
して得た含水ケーキをそのままホルダーに詰め、すみや
かに粉末X線回折を行ったが、ほとんどがカルサイトの
ピークであった。
【0035】比較例2 容量3リットルの筒型フラスコに水道水を2kg入れ、
撹拌しながら−325meshに粉砕した工業用消石灰
150gを投入後、サッカロース1gを添加し、5℃に
調整した。この時の導電率は9.6mS/cmであっ
た。この石灰乳を500rpmで撹拌しながら5℃に維
持し、0.4リットル/minの速度で炭酸ガスの導入
を開始した。導入開始後1分で導電率は7.7mS/c
mまですみやかに低下したが、その後は徐々に低下し、
炭酸化開始7分後、6.6mS/cmまで低下した後は
上昇に転じ、26分後、導電率は8.6mS/cmまで
回復した。しかし、その後はまた低下し始め、84分
後、導電率が0.3mS/cmまで低下し、炭酸化は終
了した。
【0036】光学顕微鏡下ですみやかに生成物を観察す
ると、大きさ5〜50μmの粒状の六水和物独特の透明
な結晶であったが、生成物を濾過して得た含水ケーキを
そのままホルダーに詰め、すみやかに粉末X線回折を行
ったが、ほとんどがカルサイトのピークしか認められ
ず、生成した六水和物が短時間で分解する不安定なもの
であることが明らかになった。
【0037】実施例10 比較例2と同一条件でサッカロースを添加し、石灰乳の
炭酸化を完了した直後にピロリン酸ナトリウムを1g添
加した。この水懸濁液の一部を濾過し、粉末X線回折を
行ったところ、JCPDSカードの37−416に非常
に近い回折パターンが得られた。さらに実施例2と同様
の方法でこの含水炭酸カルシウムの分解温度を測定した
ところ、32℃であった。
【0038】以上の他に更に各添加物について、実施例
1、2と同様の方法で合成し、六水和物の分解温度を測
定した結果を以下に示す。
【0039】
【表1】
【0040】比較例2と同様の方法でサッカロースを添
加して合成し、安定化剤としてピロリン酸ナトリウムま
たはクエン酸を添加して安定化した含水炭酸カルシウム
の実施例2と同様の方法で測定した分解温度を以下に示
す。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、国内に豊富にある石灰
石資源を利用して、従来不安定で簡単に分解してしまう
とされていた含水炭酸カルシウムを安定化した状態で容
易にかつ効率よく製造できる。また乾燥粉として取り出
すこともできることにより、含水炭酸カルシウムの工業
的利用が可能になった。しかも本発明の含水炭酸カルシ
ウムは、含水量30〜55wt%の範囲にある。例え
ば、六水和物のみからなる場合は52wt%の水分を含
んでおり、分解反応においては、50kJ/molの吸
熱と水分の放出がある。従って、本発明の含水炭酸カル
シウムは、水分供給剤、保湿剤、保冷剤、消火剤とし
て、そして地球環境上も全く問題のない機能性新材料と
して実用上の利用価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた含水炭酸カルシウムの示差
熱重量分析結果である。
【図2】実施例1で得られた含水炭酸カルシウムの粉末
X線回折パターンである。
【図3】実施例1で得られた含水炭酸カルシウムの光学
顕微鏡写真(170倍)である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年9月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた含水炭酸カルシウムの示差
熱重量分析結果である。
【図2】実施例1で得られた含水炭酸カルシウムの粉末
X線回折パターンである。
【図3】実施例1で得られた含水炭酸カルシウムの粒子
構造の光学顕微鏡写真(170倍)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 克幸 東京都三鷹市下連雀8−10−16 日鉄鉱業 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含水量が30〜55wt%の範囲にあ
    り、5℃以上、45℃以下の環境下で安定な含水炭酸カ
    ルシウム。
  2. 【請求項2】 水酸化カルシウムの水懸濁液を炭酸化反
    応させて炭酸カルシウムを製造するにあたり、前記水懸
    濁液中に、リン酸、カルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホ
    ウ酸、アミノ酸あるいはこれらの金属塩の少なくとも1
    種を添加することを特徴とする含水炭酸カルシウムの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 含水炭酸カルシウムの水懸濁液に、リン
    酸、カルボン酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、アミノ酸
    あるいはこれらの金属塩の少なくとも1種を添加し安定
    化させることを特徴とする請求項1に記載の含水炭酸カ
    ルシウムの製造方法。
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