JPH0639060Y2 - ロータリピストンエンジンの補機駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はロータリピストンエンジンの補機駆動装置に関
し、特に偏心軸に取付けられる補機を駆動するギヤの耐
久性向上対策に関する。

（従来の技術） 従来、多気筒ロータリピストンエンジンとして、例えば
特開昭60-69208号公報に開示されるように、３つの気筒
を備えるとともに、ハウジングに支承される偏心軸を略
その全長に亘る第１偏心軸と上記ハウジングの第１気筒
における該第１偏心軸に嵌合する第２偏心軸とにより構
成し、該第２偏心軸で上記第１気筒のロータを支承する
とともに第１偏心軸で第２気筒および第３気筒のロータ
を支承するようにしたものが知られている。このエンジ
ンでは、偏心軸の軸中心回りに生じるロータによる不釣
合モーメントを吸収すべく、偏心軸の軸中心に対してア
ンバランスなウェイトを有するバランサをハウジングか
ら突出た第１偏心軸の軸端部に取付けている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、このようなエンジンでは、上記第１偏心軸の
軸端部に補機を駆動するためのドライブギヤを設けるこ
とが行われている。しかし、この場合、第１偏心軸に第
２偏心軸が嵌合するので、第２偏心軸の外径がロータに
より制限される関係上、第１偏心軸の外径が細くて剛性
の小さいいものになる。このため、第４図に実線で示す
ように、バランサウェイトに作用する遠心力より第１偏
心軸の軸端部の振れ量が増大してドライブギヤと補機の
従動ギヤとの間の面圧が増大し、ギヤの耐久性が低下す
るという問題が生じる。

本考案はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目
的とするところは、補機のドライブギヤを予めバランサ
ウェイトが振れる方向と逆の方向にオフセットしてドラ
イブギヤの補機の従動ギヤへの押付け力を軽減すること
にある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本考案の解決手段は、軸端部
がハウジングから突出るようにハウジングに支承される
偏心軸を、略その全長に亘る第１偏心軸と、上記ハウジ
ングにおける該第１偏心軸に嵌合してロータを支承する
第２偏心軸とにより構成する。さらに、ハウジングから
突出た第１偏心軸の軸端部に該第１偏心軸の軸中心に対
してアンバランスなウェイトを有するバランサと補機を
駆動するためのドライブギヤとを設ける。そして、該ド
ライブギヤを第１偏心軸の軸中心に対して上記バランサ
の反ウェイト方向にオフセットする構成としたものであ
る。

（作用） 上記の構成により、本考案では、バランサウェイトに作
用する遠心力により第１偏心軸の軸端部の振れ量が増大
しても、補機のドライブギヤを第１偏心軸の軸中心に対
して上記バランサの反ウェイト方向にオフセットしてい
るので、ドライブギヤの補機の従動ギヤへの押付け力が
軽減されてドライブギヤと従動ギヤとの間の面圧が減少
し、ギヤの耐久性が向上する。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図〜第５図は本考案の実施例に係る補機駆動装置を
備えたロータリピストンエンジンを示す。第１図〜第３
図において、１〜７はそれぞれ前（第１図の左側）から
順に配設されたフロントハウジング、フロントロータハ
ウジング、インタメディエイトハウジング、センターロ
ータハウジング、インタメディエイトハウジング、リヤ
ロータハウジング、リヤハウジングであって、該各ハウ
ジング１〜７によりその内部に前から順に第１〜第３の
３つの気筒8,8,8が形成されている。該各気筒８内には
それぞれ多角形状のロータ９が配置され、該各ロータ９
が遊星回転運動することによって、各気筒８内に区画形
成された３つの作動室10に吸気、圧縮、爆発、膨張およ
び排気の各行程を順に行わせるものである。

また、上記ロータ9,9,9はそれぞれ偏心軸11に支承さ
れ、該偏心軸11は上記フロントハウジング１、インタメ
ディエイトハウジング3,5およびリヤハウジング７に支
持され、かつその前端部および後端部がそれぞれフロン
トハウジング１およびリヤハウジング７から突出るよう
に配されている。該偏心軸11は第１気筒８のロータ９と
第３気筒８のロータ９とが同位相になりかつ第２気筒８
のロータ９がこれらとは逆位相になるように形成されて
いる。

上記偏心軸11は第１偏心軸11aと第２偏心軸11bとの２つ
に分割されている。該第１偏心軸11aは上記偏心軸11の
全長に亘って設けられ、第２気筒８のロータ９と第３気
筒８のロータ９とを支承している。一方、第２偏心軸11
bは上記略フロントロータハウジング２に亘って設けら
れ、第１偏心軸11aに嵌合して第１気筒８のロータ９を
支承している。

さらに、上記フロントハウジング１の前側にはギヤケー
ス12が設けられている。該ギヤケース12内において、フ
ロントハウジング１から突出た第１偏心軸11aの軸端部
はバランサ20が取付けられている。第１図〜第３図に示
すように、該バランサ20は第１偏心軸11aに嵌合されか
つキーで締結されたボス部20aと、該ボス部20aから第２
気筒８のロータ９が偏心する側（各図の上側）にその軸
方向から見て略半円状に設けられたウェイト20bとから
なり、この第１偏心軸11aの軸中心に対してアンバラン
スなウェイト20bに作用する遠心力により、偏心軸11の
軸中心回りに生じるロータ9,9,9による不釣合モーメン
トを吸収するようにしている。

また、上記ギヤケース12にはトロコイド式のオイルポン
プ30がそのロータ軸30aを偏心軸11の方向に一致せしめ
て配設されており、該ロータ軸30aの後端にはこのロー
タ軸30aを駆動するための従動ギヤ32が取付けられてい
る。一方、上記第１偏心軸11aの軸端部におけるバラン
サ20の前側には上記従動ギヤ32に噛合するドライブギヤ
31が取付けられており、第１偏心軸11aによりオイルポ
ンプ30を駆動するようにしている。

そして、第３図に示すように、上記ドライブギヤ31の軸
中心C2は第１偏心軸11aの軸中心C1に対して上記バラン
サ20の反ウェイト方向にδだけオフセットされている。
このオフセット量δは第４図に示すように、オフセット
していない従来例のものの最高回転数Ｎにおける第１偏
心軸11aの振れ量Δの２分の１に設定されている。

次に、上記実施例の作用について説明するに、偏心軸11
を２分割タイプのものにしたことにより第１偏心軸11a
の剛性が低下し第１偏心軸11aの軸端部の振れ回りが増
大しようとするが、オイルポンプドライブギヤ31のオフ
セット配置により第３図に仮想線で示すように第１偏心
軸11aの振れ量が最高回転数Ｎでδ（＝Δ/2）だけ減少
し、第４図に実線で示すようにその変化幅が破線で示し
た従来のものに比べて小さくなる。このことにより、ド
ライブギヤ31の従動ギヤ32への押付け力が軽減されてド
ライブギヤ31と従動ギヤ32との間の面圧が減少し、ギヤ
31,32の耐久性が向上する。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案のロータリピストンエンジ
ンの補機駆動装置によれば、偏心軸を略その全長に亘る
第１偏心軸と上記ハウジングにおける該第１偏心軸に嵌
合してロータを支承する第２偏心軸とにより構成し、ハ
ウジングから突出た第１偏心軸の軸端部にバランサと補
機のドライブギヤとを設け、該ドライブギヤを第１偏心
軸の軸中心に対して上記バランサの反ウェイト方向にオ
フセットしたので、バランサウェイトに作用する遠心力
による第１偏心軸の軸端部の振れ回りに拘らずドライブ
ギヤの補機の従動ギヤへの押付け力が軽減されてドライ
ブギヤと従動ギヤとの間の面圧が減少し、ギヤの耐久性
を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を例示し、第１図はロータリピス
トンエンジンの縦断側面図、第２図は第１図の要部拡大
図、第３図は要部の正面図、第４図はエンジン回転数に
対する偏心軸の振れ量を示す説明図、第５図は偏心軸の
回転角に対する偏心軸の振れ量の変化幅を示す説明図で
ある。 １〜７……ハウジング、11……偏心軸、11a……第１偏
心軸、11b……第２偏心軸、20……バランサ、20b……ウ
ェイト、30……オイルポンプ、31……ドライブギヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】軸端部がハウジングから突出るようにハウ
   ジングに支承される偏心軸を略その全長に亘る第１偏心
   軸と上記ハウジングにおける該第１偏心軸に嵌合してロ
   ータを支承する第２偏心軸とにより構成し、ハウジング
   から突出た第１偏心軸の軸端部に該第１偏心軸の軸中心
   に対してアンバランスなウェイトを有するバランサと補
   機を駆動するためのドライブギヤとを設けるとともに、
   該ドライブギヤを第１偏心軸の軸中心に対して上記バラ
   ンサの反ウェイト方向にオフセットしたことを特徴とす
   るロータリピストンエンジンの補機駆動装置。