JPH0638787Y2 - 自動二輪車の車体後部覆い構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、座席の後方に位置して、車体後部の頂面およ
び両側面を覆う後部車体覆い（通常は、リヤ・カウル）
を備えた自動二輪車における車体後部小物入れ装置に関
するものである。

従来技術 座席の後方に位置するリヤ・カウル内空間を物入れ空間
として利用した自動二輪車は公知である。その形式とし
て、二人乗り用座席の後部座席をリヤ・カウルで覆
い、該後部座席とリヤ・カウルで挟まれた空間部分を物
入れ用空間として利用したもの、一人乗り用座席の後
方をリヤ・カウルで覆い、該リヤ・カウル内に保持用の
紐を備えた物品収納袋を装入するとともに、リヤ・カウ
ルの頂壁を開閉して該物品収納袋を出し入れする構造を
採用したものがある。

解決しようとする課題 しかしながら、いずれの形式も物入れ用空間が狭く、か
つ構造が複雑で、車輌制作費が増大し、外観性が損なわ
れ易いという不具合がある。

課題を解決するための手段および作用効果 本考案は、この様な不具合を解消した自動二輪車の車体
後部覆い構造の改良に係り、座席の後方に位置し該座席
よりも上方に突出して車体後部の頂面および両側面を覆
う後部車体覆いを備えた自動二輪車において、座席の後
方で物品収納用空間を画成する後部車体覆いの前面壁に
窓を形成するとともに、該窓を座席背当りの基板にて開
閉可能に閉成し、かつ前記背当りを前記座席の座面から
上方へ離間して配設し、その背当りの下方に前記基板を
窓に係止する錠止器具を配設し、前記背当りを前記錠止
器具の前面よりも前方に膨出して配設したことを特徴と
するものである。

本考案は前記した様に構成されているので、座席の後方
空間を十分広く活用し、前記物品収納用空間内の物品収
納筒に各種の物品を多数収納することができる。

また本願考案では、座席の座面から上方へ離間して背当
りを配設し背当りの下方の空間に錠止器具を配設したの
で、開閉蓋および錠止器具の存在が目立たず外観性が良
いとともに、座席と背当りの間を離間して空間を有して
も腰を安定して維持させるのに影響を与えず、錠止器具
より前方に背当りを膨出させているので、乗員のお尻が
錠止器具に当ることを阻止して常に背当りにお尻を支持
でき座り心地を良くすることができる。

さらに背当りが錠止器具より膨出しているが、錠止器具
は座席と背当りとの間の離間空間に臨んでいるので、同
空間によって該錠止器具の解錠操作または施錠操作を容
易に行うことができる。

実施例 以下、第１図ないし第３図に示した本考案の一実施例に
ついて説明する。

第１図は、自動二輪車10を車体左側面として示してお
り、そのエンジンＥが前、後車輪FW,RWの間に位置し、
エンジンＥの上方に燃料タンクＴと燃料タンクＴの後方
に一人乗り用座席Ｓが、それぞれ配設されている。ま
た、座席Ｓの下方ないし後方に隣接し、車体左、右側面
および後部車体を覆って、その全体形状がほぼコ字状を
なす樹脂製後部車体覆い14（サイドカバーとリヤ・カウ
ルを一体化したもの）が、車体フレーム12に装着されて
いる。

後部車体覆い14は、A,B二点で、車体フレーム側の部材
に固定され、座席Ｓの後方で大きく上方に脹らみ、後車
輪RWを上方から覆う断面彎曲形状（ただし、頂壁の一部
は平坦に形成されている）の後部車輪覆い30（リヤ・フ
ェンダ）と協働して、閉じた物品収納用空間Ｒを画成し
ている。そして、後部車体覆い14の前面壁16に形成され
た窓、すなわち物品出し入れ口を脱着可能に塞いで蓋体
18が装着されている。（第２図参照）。この蓋体18の基
板20には、座席Ｓと対をなす背当り22が螺着され、かつ
背当り22の下位にて錠止器具24が付設されて、前面壁16
の内面に固定された受金17と結合せしめられている。な
お、錠止器具24の係止部は、左、右の車体フレーム12
（座席支持フレーム）を連結する形態で、それ等に溶接
された横架部材13Aと干渉する位置にあたるため、横架
部材13Aの該当箇所に凹部を形成してその干渉を避けて
いる。

また、基板20の上辺には、断面Ｌ字形状の屈曲片20aが
形成され、防振ゴム20bを介して後部車体覆い14の前面
壁16に係止されている。それ故、錠止器具24を解錠した
後、蓋体18の下辺側を車体前方へ引けば、後部車体覆い
14本体から蓋体18を取外すことができる。

さらに、横架部材13Aよりも後方で、横架部材13Aと同様
に左、右の車体フレーム12に溶着された横架部材13Bの
頂面に左、右一対の円形係止口13Cが形成され、その係
止口13Cに対し、物品収納用空間Ｒ内に装入された有底
筒状をなす樹脂製物品収納筒40の底壁42に突設された
左、右一対のピン44が、それぞれ防振ゴム48を介して嵌
入せしめられている。物品収納筒40の底壁42は、第３図
図示の如く、防振ゴム48を介して横架部材13Bに支持さ
れるとともに、後部車輪覆い30の平坦な頂面と接してそ
れに支持されている（第２図参照）。そして、横架部材
13Bの側面に形成された円形開口部に引っ掛け係止され
た針金製係止片52をその下端部に備えるゴム輪50の上端
が、物品収納筒40の両側壁に突設された爪45に係止され
ており、その係止関係によって、物品収納筒40が横架部
材13Bに固定される。

本実施例は、前記の様に構成されており、第２図に示す
状態から、物品収納筒40内に収納されている物品を取出
すには、錠止器具24を解錠して蓋体18を取外し、更に開
成された前面壁16の窓を通じて蓋体46を取外し、前方を
向いた物品収納筒40の開口を開放して行えば良い。

斯様に、本実施例における後部車体覆い14は、座席Ｓの
後方において大きく上方に脹らみ、後部車輪覆い30と協
働して物品収納用空間Ｒを画成しているため、座席Ｓの
後方空間を十分広く活用し、物品収納筒40を余裕をもっ
て収めることができ、また、防振ゴム48、ゴム輪50およ
び係止片52を利用した取付け構造は簡単で着脱を容易に
行うことができるとともに、物品収納筒40およびその収
納物品に対する車体振動の影響を、可及的に低減化する
ことが可能である。

さらに、後部車体覆い14の前面壁16に窓を設け、該部分
に背当り22を有する蓋体18を錠止可能、かつ着脱可能に
装着したため、蓋体18の存在が目立たず、サイドカバー
とリヤ・カウルとを一体物として形成したこととも相俟
って、後部車体覆い14と座席Ｓとの一体感が得られ、外
観性が極めて良好である。

背当り22が座席Ｓから上方へ離間して配設されて、その
背当り22の下方空間に錠止器具24を配設したので錠止器
具24の存在が目立たず外観性を良くし、座席Ｓと背当り
22の間を離間しても腰を安定して維持させることが可能
である。

錠止器具24より前方に背当り22を膨出させているので、
乗員のお尻が錠止器具24に当ることを阻止して座り心地
を良く保つことができる。

なお背当り22が錠止器具24より膨出していても錠止器具
24は座席Ｓと背当り22との間の空間に臨んでいるので、
同空間により錠止器具24の解錠・施錠操作を容易に行う
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る小物入れ装置を備えた
自動二輪車の車体左側側面図、第２図はその要部拡大
図、第３図は第２図におけるIII-III線要部断面図であ
る。 10……自動二輪車、12……車体フレーム、13A,13B……
横架部材、13C……係止口、14……後部車体覆い、16…
…前面壁、17……受金、18……蓋体、20……基板、20a
……屈曲片、20b……防振ゴム、22……背当り、24……
錠止器具、30……後部車輪覆い、40……物品収納筒、42
……底壁、44……ピン、45……爪、46……蓋体、48……
防振ゴム、50……ゴム輪、52……係止片、Ｅ……エンジ
ン、Ｒ……物品収納用空間、Ｓ……座席、Ｔ……燃料タ
ンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】座席の後方に位置し該座席よりも上方に突
   出して車体後部の頂面および両側面を覆う後部車体覆い
   を備えた自動二輪車において、 座席の後方で物品収納用空間を画成する後部車体覆いの
   前面壁に窓を形成するとともに、該窓を座席背当りの基
   板にて開閉可能に閉成し、かつ前記背当りを前記座席の
   座面から上方へ離間して配設し、その背当りの下方に前
   記基板を窓に係止する錠止器具を配設し、前記背当りの
   前面を前記錠止器具よりも前方に膨出して配設したこと
   を特徴とする自動二輪車の車体後部覆い構造。