JPH0638595Y2 - Ｖ型シリンダブロック用鋳型構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、Ｖ型シリンダブロックを鋳造成形するために
用いられるＶ型シリンダブロック用鋳型構造に関するも
のである。

（従来の技術） 従来一般に、Ｖ型エンジン用のＶ型シリンダブロックを
鋳造成形するために、ボア中子、ウォータジャケット中
子など複数の中子を組付けて構成された鋳型を用いるこ
とは知られている。（例えば、特開昭61−126943号公報
参照）。

そして、通常Ｖ型のシリンダブロックのトップデッキ面
を形成させるデッキ面形成中子（通常枕芯と呼ばれ他の
複数の中子の組付け基準となる）は、ボア中子に設けら
れる複数のボア形成部の先端に外嵌される孔を有すると
ともに、左右のボア形成部群に対応させて左右に分割し
て設けられている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上述するボア形成部は鋳造時に熱変形を
することがあるため、その影響で左右のデッキ面形成中
子同士に前後方向（シリンダ列方向）のずれを生ずるこ
とがある。その結果、得られるシリンダブロックは、左
右の形状が全体的に前後にずれたものになって破棄せね
ばならなくなり、歩留まりが悪い。

すなわち、本考案の課題は、Ｖ型シリンダブロック用の
複数の中子の組付け基準となるデッキ面形成中子を左右
に分割したタイプの鋳型構造をおいて、当該左右のデッ
キ面形成中子同士にずれを生じないようにすることにあ
る。

（課題を解決するための手段） 本考案は、このような課題に対して、ボア中子のボア形
成部とデッキ面形成中子とを、嵌め合わせによって固定
するのではなく、該ボア形成部の熱変形を許容するよう
に組付ける一方、左右のデッキ面形成中子に互いの前後
の位置ずれを阻止する位置決め形状部を形成し、さら
に、該位置決め形状部に主型に対する位置決め部を設け
て、その解決を図るものである。

すなわち、上記課題を解決する手段は、 ベースとなる中子体に、各々当該中子体の前後方向に並
ぶ複数のボア形成部よりなる左右のボア形成部群が当該
前後方向にみて互いにＶ状になるように連設されてなる
ボア中子と、 上記ボア中子の左右のボア形成部群に各々該ボア形成部
群との間に所定間隙が形成されるように外嵌される一対
のウォータジャケット中子と、 上記ボア中子の前後端面に対して各々所定間隙を介して
設置されるフロント及びリアの各中子と、 上記左右のボア形成部群に対応させて別個に設けられ各
々上記フロント及びリアの各中子上に組付られてＶ型シ
リンダブロックの左右のトップデッキ面を形成する左右
のデッキ面形成中子と、 上記各中子から成る組立中子体が組付けられる主型とに
より構成されるＶ型シリンダブロック用鋳型構造を前提
とし、 上記左右のデッキ面形成中子の各々には、対応する上記
左右のボア形成部群の各々のボア形成部の先端が該ボア
形成部との間に所定の間隙が形成されるように挿入され
る複数の孔部が形成されている一方、 上記左右のデッキ面形成中子の合わせ部には、互いの前
後方向への相対的な位置ずれを阻止するように係合する
位置決め形状部が設けられ、該位置決め形状部から該両
デッキ面形成中子を上記主型に対して位置決めする位置
決め部が当該主型側へ延設されていることを特徴とす
る。

（作用） 上記鋳型構造においては、鋳造時にボア中子のボア形成
部に熱変形を生じても、該熱変形は各デッキ面形成中子
の孔部と当該ボア形成部との間の間隙によって吸収され
る。そうして、かかる熱変形吸収手段を備えた上で、左
右のデッキ面形成中子の合わせ部に互いに前後方向への
相対的な位置ずれを阻止するように係合する位置決め形
状部が設けられているから、当該位置ずれは確実に防止
される。

すなわち、各デッキ面形成中子の孔部とボア形成部との
間に間隙を設けて、鋳造時に生ずる熱変形をＶ型シリン
ダブロックにおける変形の影響がさほど問題にならない
ボア部で吸収することができるようにしたから、上記左
右のデッキ面形成中子同士の前後方向への相対的な位置
ずれを、上記合わせ部の位置決め形状部によって確実に
防止することができるものである。

また、上記左右のデッキ面形成中子は、ボア中子、フロ
ント中子、リア中子等の組付け基準となるが、このよう
な他の中子の組付け基準となる左右のデッキ面中子同士
の位置決め形状部に、当該左右のデッキ面形成中子を主
型に位置決めするための位置決め部を設けているから、
組立中子体と主型との間の位置決め精度も高くなる。

（考案の効果） 以上のように、本考案によれば、左右のデッキ面形成中
子にボヤ形成部先端が所定の間隙を介して挿入される複
数の孔部を形成し、上記左右のデッキ面形成中子の合わ
せ部に、互いの前後方向への相対的な位置ずれを阻止す
るように係合する位置決め形状部を設けるとともに、該
位置決め形状部に該両デッキ面形成形成中子を主型に対
して位置決めする位置決め部を設けたから、鋳造時に生
ずる熱変形をＶ型シリンダブロックにおける変形の影響
がさほど問題にならないボア部で吸収し、上記左右のデ
ッキ面形成中子同士の前後方向（シリン列方向）への相
対的な位置ずれを確実に防止して、寸法精度が高いＶ型
シリンダブロックを鋳造成形することができる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を第１図ないし第３図に従って説
明する。

第１図はＶ型６気筒エンジンのシリンダブロックを鋳造
する際に使用される中子を示す。この第１図において、
１はボア中子、２は左右で対をなすウォータジャケット
中子、３はフロント中子、４はリア中子、5a,5bは左右
で対をなすデッキ面形成中子としての枕芯中子である。

上記ボア中子１は、クランクケースを形成するためのベ
ースとなる中子体７と、各々当該中子体７の前後方向
（シリンダ列方向）に所定ピッチで並ぶ３つのボア形成
部６よりなる左右のボア形成部群とよりなり、左右のボ
ア形成部群の各ボア形成部６は、上記前後方向にみて互
いにＶ状になるように上記中子体７から傾斜して立ち上
げられている。

上記左右のウォータジャケット中子2,2の各々は、対応
する左右のボア形成部群の各ボア形成部６が嵌合するよ
うに上記ピッチで１列に配設された３つの嵌合孔８を有
する。この嵌合孔８の径は、上記ボア形成部６の径より
も所定寸法だけ大きく形成されている。

また、枕芯中子5a,5bは、シリンダブロックのトップデ
ッキ面を形成するためのものであって、上記左右の各ボ
ア形成部群に対応させて別個に設けられており、各々上
記ボア形成部６の先端部が挿入される上記ピッチで１列
に並んだ３つの孔部９を有するとともに、フロント及び
リアの各中子3,4の先端の凹部10a,10bに当接する当接部
11a,11bを有している。上記孔部９の径は、ボア形成部
６の先端部の径よりも大きく形成され、該ボア形成部６
の若干の熱変形を吸収できるようになっている。

そして、上記左右の枕芯中子5a,5bの互いの合わせ部に
は、互いに係合する位置決め凹部13と位置決め凸部14と
が設けられている。位置決め凹部13は左側の枕芯中子5a
に設けられ、位置決め凸部14は右側の枕芯中子5bに設け
られていて、左右の枕芯中子5a,5b同士の前後方向（シ
リンダ列方向）への相対的な位置ずれを阻止するように
係合する。この位置決め凹部13と位置決め凸部14とは、
枕芯中子5a,5bの造形時に同時に形成されているもので
ある。

さらに、上記位置決め凸部14からは、枕芯中子5a,5b、
ひいては全ての中子が組付けられてなる組立中子体（第
２図参照）を主型（第３図参照）16に対して位置決めす
るための位置決め部15が上方に延設されている。

次に、上記シリンダブロック用鋳型の組付手順を説明す
る。

まず、ボア中子１に対して、その左右のボア形成部６群
の各々にウォータジャケット中子2,2を嵌めるととも
に、そのウォータジャケット中子2,2をフロント及びリ
アの中子3,4に支持させる。そして、左右の枕芯中子5a,
5bの孔部９をボア形成部６の先端部に嵌めるとともに、
該枕芯中子5a,5bの当接部11a,11bをフロント及びリアの
中子3,4の凹部10a,10bに嵌める。

次に、以上の如くして組み立てられた第２図に示す組立
中子体を第３図に示すように主型16に組付ける。このと
き、枕芯中子5bの位置決め部15によって組立中子体の全
体が主型16に対し位置決められることになる。

その後、主型16の所定部位から溶湯を鋳型内に注入して
Ｖ型シリンダブロックを鋳造する。この時、ボア形成部
６に若干の熱変形を生じても、枕芯中子5a,5bの孔部９
がボア形成部６の先端部よりも大径に形成されているか
ら、当該熱変形は孔部９の内部で吸収されることになっ
て、枕芯中子5a,5bへの影響はなくなり、さらに、位置
決め凹部13と位置決め凸部14とが係合しているので、左
右の枕芯中子5a,5bの相対的な前後方向の位置ずれは生
じない。よって、所期の形状のＶ型シリンダブロックを
得ることができる。

なお、本実施例においては、左側の枕芯中子5aに位置決
め凹部13を設け、右側の枕芯中子5bに位置決め凸部14を
設けたが、位置決め凹部13と位置決め凸部14との位置関
係は逆にしてもよい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は中子組
立体の分解斜視図、第２図は中子組立体の斜視図、第３
図は中子組立体を主型に組み込んだ状態を示す断面図で
ある。 １……ボア中子、２……ウォータジャケット中子、３…
…フロント中子、４……リア中子、5a,5b……枕芯中子
（デッキ面形成中子）、６……ボア形成部、７……中子
体、９……孔部、13……位置決め凹部（位置決め形状
部）、14……位置決め凸部（位置決め形状部）、15……
位置決め部、16……主型

フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭60−46932（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−56135（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭54−152213（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ベースとなる中子体に、各々当該中子体の
   前後方向に並ぶ複数のボア形成部よりなる左右のボア形
   成部群が当該前後方向にみて互いにＶ状になるように連
   設されてなるボア中子と、 上記ボア中子の左右のボア形成部群に各々該ボア形成部
   群との間に所定間隙が形成されるように外嵌される一対
   のウォータジャケット中子と、 上記ボア中子の前後端面に対して各々所定間隙を介して
   設置されるフロント及びリアの各中子と、 上記左右のボア形成群に対応させて別個に設けられ各々
   上記フロント及びリアの各中子上に組付られてＶ型シリ
   ンダブロックの左右のトップデッキ面を形成する左右の
   デッキ面形成中子と、 上記各中子から成る組立中子体が組付けられる主型とに
   より構成されるＶ型シリンダブロック用鋳型構造におい
   て、 上記左右のデッキ面形成中子の各々には、対応する上記
   左右のボア形成部群の各々のボア形成部の先端が該ボア
   形成部との間に所定の間隙が形成されるように挿入され
   る複数の孔部が形成されている一方、 上記左右のデッキ面形成中子の合わせ部には、互いの前
   後方向への相対的な位置ずれを阻止するように係合する
   位置決め形状部が設けられ、該位置決め形状部から該両
   デッキ面形成中子を上記主型に対して位置決めする位置
   決め部が当該主型側へ延設されていることを特徴とする
   Ｖ型シリンダブロック用鋳型構造。