JPH0637411B2 - 1,6−ヘキサンジオールの溶融晶析製造法 - Google Patents

1,6−ヘキサンジオールの溶融晶析製造法

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JPH0637411B2
JPH0637411B2 JP7599488A JP7599488A JPH0637411B2 JP H0637411 B2 JPH0637411 B2 JP H0637411B2 JP 7599488 A JP7599488 A JP 7599488A JP 7599488 A JP7599488 A JP 7599488A JP H0637411 B2 JPH0637411 B2 JP H0637411B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、シクロヘキサンを分子状酸素含有ガスで液
相酸化して、カルボン酸化合物を生成させ、そのカルボ
ン酸化合物をアルコールでエステル化し、さらに、その
エステル化物を水添処理して得られる1,6−ヘキサン
ジオールを主として含有する混合物から、ポリウレタ
ン、不飽和ポリエステル、可塑剤、医薬、農薬などに用
途を持つ1,6−ヘキサンジオールを、高純度で得る方
法に関するものである。
〔従来技術の説明〕
従来、シクロヘキサンを分子状酸素含有ガスで液相酸化
することを出発点とする1,6−ヘキサンジオールの製
造方法について、種々提案がなされている。
例えば、ドイツ国特許第1206417号明細書には、シクロ
ヘキサンの液相酸化反応液を水抽出して、水層から大部
分のアジピン酸を除去した後の母液を、アルコールでエ
ステル化し、次いで、このエステル化物を触媒の存在
下、水素添加して1,6−ヘキサンジオールを製造する
方法が記載されている。
米国特許第3524892号明細書には、シクロヘキサンの液
相酸化反応液を水抽出して、水層を水蒸気蒸留し、未反
応シクロヘキサン、シクロヘキサノールおよびシクロヘ
キサノンなどの非酸性物質を留去して、残留液をアルコ
ールでエステル化し、次いで、このエステル化物を触媒
の存在下で水素添加して、1,6−ヘキサンジオールを
製造する方法が記載されている。
また、特公昭第58-18482号明細書には、(1)シクロヘキ
サンの分子状酸素含有ガスによる液相酸化反応液に、1
5重量%ないし飽和濃度の芒硝水溶液を前記反応液1重
量部に対して0.01〜0.3重量部の割合になるように加え
て水層と油層とに分離する工程;(2)前記工程で分離さ
れた水層中に主として含まれるアジピン酸、オキシカプ
ロン酸およびそのオリゴマーを有機溶剤で抽出する工
程;(3)前記工程で得られた抽出物を、炭素数1〜8個
を有する1価アルコールおよび炭素数2〜8個を有する
多価アルコールからなる群から選ばれた1種以上のアル
コールでエステル化する工程;(4)前記工程で得られた
カルボン酸エステルを触媒の存在下、150〜300℃
の温度で、150kg/cm2G以上の水素分圧下において
水素添加する工程、からなることを特徴とする1,6−
ヘキサンジオールの製造方法が記載されている。
さらに、特公昭53-33567明細書には、(1)シクロヘキサ
ンの分子状酸素含有ガスによる液相酸化反応液を苛性ソ
ーダで鹸化する際に得られるアルカリ液を、硫酸でpH3
以下に中和し、水層中の芒硝濃度が15重量%以上にな
るように調節して水層と油層とに分離する工程;(2)前
記工程で分離された油層を有機化合物をほとんど含まな
い芒硝濃度が15重量%以上の芒硝水溶液で抽出する工
程;(3)前記(1)工程で分離された水層と前記(2)工程で
得た抽出液中に主として含まれるアジピン酸、オキシカ
プロン酸およびそのオリゴマーを有機溶剤で抽出する工
程;(4)前記工程で得られた抽出物を、炭素数1〜8個
を有する1価アルコールおよび炭素数2〜8個を有する
多価アルコールからなる群から選ばれた1種以上のアル
コールでエステル化する工程;(5)前記工程で得られた
カルボン酸エステルを触媒の存在下、150〜300℃
の温度で、150kg/cm2G以上の水素分圧下において
水素添加する工程、からなることを特徴とする1,6−
ヘキサンジオールの製造方法が記載されている。
しかしながら、シクロヘキサンの分子状酸素含有ガスに
よる液相酸化反応液中には、未反応シクロヘキサン、シ
クロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシル
ハイドロパーオキサイドなどの非酸性物質、アジピン
酸、グルタル酸、コハク酸などの二塩基酸類、カプロン
酸、吉草酸、酪酸などの一塩基酸類、オキシカプロン
酸、オキシ吉草酸、これらのオリゴマーなどのオキシ酸
類、前記酸類のエステル、アルデヒド類、アルコール類
およびその他の種々の未知物質が含有されている。
従って、このように多種の組成物を含有するシクロヘキ
サンの分子状酸素含有ガスによる液相酸化反応液を用い
て、1,6−ヘキサンジオール合成のための鹸化・エス
テル化・水添反応を行うと、アジピン酸、オキシカプロ
ン酸およびそれらのオリゴマーなどの1,6−ヘキサン
ジオール合成のための有効成分、ならびに、共存酸より
同族体および異性体を含有した反応液が生成する。
ところで、前記いずれの特許明細書記載の方法において
も、この反応液より、1,6−ヘキサンジオールを分離
精製するためには、蒸留操作が用いられている。
しかしながら、この反応液を蒸留して得られる1,6−
ヘキサンジオール留分中には、沸点の近接するモノアル
コール類、ジオール同族体および異性体類ならびに反応
時生成する高沸物類が含まれており、このような留分か
ら1,6−ヘキサンジオールを蒸留で選択的に分離する
ことは、経済的な分離精製としては、困難であるのであ
る。
従って、シクロヘキサンの分子状酸素含有ガスによる液
相酸化反応液から、エステル化工程および水素添加工程
を経由して得られる反応液を蒸留操作によって精製する
従来公知の方法によれば、水分(重量%)、AV値(酸
価であり、製品1g中に含まれる酸性物質を中和するの
に必要な水酸化カリウムのmg数をいう。)、EV値(エ
ステル価であり、製品1g中に含まれるエステルを完全
にケン化するために必要な水酸化カリウムのmg数をい
う。)などの品質としては十分満足の行くものが得られ
るが、純度が低いという欠点があったのである。
〔解決しようとする問題点〕
シクロヘキサンの分子状酸素含有ガスによる液相酸化反
応液から、エステル化工程、次いで、水素添加工程を経
由して得られる反応液を蒸留操作によって精製する方法
は、前述したように、前記反応液を蒸留して得られる
1,6−ヘキサンジオール留分中に沸点の近接するモノ
アルコール類、ジオール同族体および異性体類ならびに
反応時生成する高沸物類が含まれており、このような留
分から1,6−ヘキサンジオールを蒸留で選択的に分離
することが、経済的に困難であり、純度が低いという問
題点があったのである。
この発明の目的は、シクロヘキサンの分子状酸素含有ガ
スによる液相酸化反応液をエステル化し、次いで、水素
添加して得られる反応液、もしくはこの反応液をさらに
蒸留して得られる1,6−ヘキサンジオール留分を精製
する工程において、蒸留操作のみでは分離精製できない
副生物を除去し、従来公知の製造法に比べて、水分、A
V値、EV値などの品質を落とさずに、高純度の1,6
−ヘキサンジオールを製造する方法を提供することにあ
る。
〔問題を解決するための手段〕
すなわち、この発明は、 (A)シクロヘキサンを酸化して、カルボン酸化合物を生
成させる工程; (B)前記(A)工程で生成されたカルボン酸化合物をアルコ
ールでエステル化する工程; (C)前記(B)工程で得られたエステル化物を水添処理し
て、1,6−ヘキサンジオールを主として含有する混合
物(水添処理液)を生成させる工程; (D)前記(C)工程で生成された水添処理液を、もしくは、
この水添処理液を一旦蒸留することにより得られた10〜
50重量%の副生物を含有する1,6−ヘキサンジオール
留出物(粗ジオール液)を、42℃以下、かつ副生物の
融点以上の温度に冷却して、1,6−ヘキサンジオール
の結晶を析出させる工程; (E)前記(D)工程で得られた結晶物を分離後、その結晶物
を炭素数3〜20個の有機ケトン類または水からなる群
から選ばれた少なくとも1種以上の溶媒で洗浄する工
程; からなることを特徴とする1,6−ヘキサンジオールの
製造法に関する。
〔本発明の各要件の詳しい説明〕
次に、この発明の方法を、各工程について具体的に説明
する。
(A)〜(C)工程 これらの工程は、シクロヘキサンを出発原料として1,
6−ヘキサンジオールを主として含有する生成混合物を
得る工程であり、従来公知の方法、例えば、前記ドイツ
国特許第1206417号明細書や特公昭53-33567明細書に記
載の方法が採用されている。
(D)工程 この工程で処理される溶液は、前記(C)工程で生成され
た1,6−ヘキサンジオールを主として含有する混合物
(水添処理液)、もしくは、その水添処理液から後述の
方法で得られた粗ジオール液である。
1,6−ヘキサンジオールの前記水添処理液または粗ジ
オール液中における溶解度は、温度が高くなるほど大き
くなることはいうまでもないが、この工程の目的は、前
記(C)工程で得られた水添処理液またはこの工程で後述
する方法で得られた粗ジオール中の1,6−ヘキサンジ
オールを副生物の共存下に冷却して、高純度の1,6−
ヘキサンジオールの結晶を析出させることにある。
そこで、この工程は、前記(C)工程で得られた水添処理
液またはこの工程で後述する方法で得られた粗ジオール
液を、まず、1,6−ヘキサンジオールの融点である4
2℃以下、かつ副生物の融点(0℃以下)以上の温度に
冷却して、1,6−ヘキサンジオールの結晶を析出させ
るのである。
この場合、前記水添処理液または粗ジオール液は、晶析
装置に設けられた内部蛇管その他の内部冷却装置、或い
は又、外部ジャケットその他の外部冷却装置による直接
冷却、前記水添処理液または粗ジオール液中の副生物の
1つであるモノアルコール類を蒸発させ、その蒸発潜熱
を利用して冷却する方法、その他通常工業的に用いられ
る冷却方法にて徐冷されるが、さらに、前記晶析装置に
攪拌機を設け、攪拌しながら、上記冷却操作を行うのが
望ましい。また、前記水添処理液または粗ジオール液を
外部循環することにより攪拌し、その外部循環系の途中
にクーラーを設けて、上記冷却操作を行っても良い。
なお、前記(C)工程で得られた水添処理液をこの工程で
処理する場合、この発明の好ましい実施態様は、この工
程での処理に先立って、次の前処理を行うことである。
すなわち、前記(C)工程で得られた水添処理液は、未反
応のエステル(エステル価:20mg-KOH/g)を含有するの
で、アルカリ水溶液により鹸化反応を行い、エステルを
低減(エステル価:2mg-KOH/g以下)する。この場合ア
ルカリ水溶液としては、一般に苛性ソーダ水溶液が使用
される。アルカリ鹸化反応液は、次に蒸留操作によっ
て、水および低沸物を留去し、また、アルカリ鹸化反応
により生成するカルボン酸の塩および高沸物を釜残とし
て分離し、不純物を混在する1,6−ヘキサンジオール
留分を得る。そして、この不純物を混在する1,6−ヘ
キサンジオール留分を、上記のようなこの工程での処理
に供するのである。
次に、この工程で処理される粗ジオール液の製造法につ
いて述べてみる。
前記(C)工程でエステル化物の水添反応により生成した
1,6−ヘキサンジオールを主として含有する混合物
(水添処理液)を蒸留して、10〜50重量%の副生物を含
有する1,6−ヘキサンジオール留出物(粗ジオール
液)を得る。
上記水添処理液の蒸留は、2段階で行われる。
すなわち、前記1,6−ヘキサンジオールを主として含
有する混合物(水添処理液)を、例えば、予熱器で21
0℃以上に予熱して、第1蒸留塔に供給し、還流比1:
1で、常圧下、120〜230℃の温度条件で蒸留し、
頂部より水および1価アルコール類(中質油)を留出さ
せ、缶液は、第2蒸留塔へ導く。
水および中質油をカットした第1蒸留塔の缶液中には、
未反応エステルが残っている。このエステル中には、水
添すればジオール類となる高沸のエステルと低沸のエス
テルがある。第2蒸留塔では、例えば、40mmHgの減圧
下に170〜230℃の温度条件で減圧蒸留が行われ、
頂部より10〜50重量%の副生物(1,6−ヘキサンジオ
ールと沸点の近接するモノアルコール類、ジオール同族
体および異性体類など)を含有する1,6−ヘキサンジ
オール留出物(粗ジオール液)を留出させ、缶液のエス
テルは、前記水添処理工程〔(C)工程〕に回収する。
なお、蒸留塔の型式としては、充填塔あるいは泡鐘塔な
どが採用される。
(E)工程 前記(D)工程で析出した結晶物の分離は、遠心分離機を
使用しても良いし、フィルターによる濾過分離を行って
も良いし、その他結晶を容易に分離できる方法であれ
ば、どのような方法であっても良い。
この工程では、1,6−ヘキサンジオールの晶析・分離
後、前記水添処理液または粗ジオール液中に含まれてい
た副生物は、溶液のまま存在するので、生成した結晶に
付着する母液を、洗浄溶媒を用いて洗浄除去するのであ
る。
そこで、この発明においては、生成した結晶の洗浄に用
いられる溶媒の選定が重要である。
工業的に採用可能な溶媒は、低温で、1,6−キサンジ
オールの溶解度が小で、前記副生物(1,6−ヘキサン
ジオールと沸点の近接するモノアルコール類、ジオール
同族体および異性体類等)の溶解度が大なる溶媒が適当
であり、前述のように、3〜20個の炭素原子、好まし
くは4〜15個の炭素原子を有する飽和脂肪族ケトン類
または脂環式ケトン類である。
これらの条件を満足する有機ケトン類としては、具体的
には、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、
メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルブチル
ケトンなどの飽和脂肪族ケトン類、シクロヘキサノン、
メチルシクロヘキサノンなどの脂環式ケトン類、或い
は、これらの混合物などを挙げることができる。
また、炭化水素系溶媒は、それに対する1,6−ヘキサ
ンジオールの溶解度が大であるが、それを循環して再使
用するために蒸留精製を行う場合容易に蒸留できる溶媒
であれば、洗浄溶媒として使用することは可能である。
さらに、極性溶媒のうちで水は、低温での1,6−ヘキ
サンジオールの溶解度が比較的大であるが、上記ケトン
系溶媒の場合に比べ、回収および循環装置などが不要と
なるので有用な洗浄溶媒となり得る。
ところで、1,6−ヘキサンジオール結晶物の洗浄に用
いられる上記洗浄溶媒の使用量は、1,6−ヘキサンジ
オールの結晶重量に対し、1〜50重量%、好ましくは、
10〜20重量%である。
なお、この1,6−ヘキサンジオール結晶物の上記溶媒
による洗浄においては、1,6−ヘキサンジオール自身
もその溶解度に相当する量だけ母液側に移行するため、
母液中に含まれる1,6−ヘキサンジオールの回収も必
要となる。
さらに、上記溶媒による洗浄後の1,6−ヘキサンジオ
ール結晶物に付着する上記溶媒を、例えば、通常工業的
に用いられる蒸留により除去することが望ましい。
従って、この発明は、このように効果が大きい洗浄溶媒
を発明できたことにより、シクロヘキサンの分子状酸素
含有ガスによる液相酸化反応液から、オキシカプロン
酸、アジピン酸およびそれらのオリゴマーなどの1,6
−ヘキサンジオール合成のための有効成分を取り出すの
に、これら酸類を経済的な抽出条件で抽出・分離し、低
純度の有効成分を得る段階に止めた後、ジオール合成工
程を経由した後で溶融晶折精製することによって、高純
度の1,6−ヘキサンジオールの製造方法を確立できた
ものである。
〔実施例〕
以下、実施例により、この発明をさらに詳しく説明す
る。
実施例1 シクロヘキサンの分子状酸素含有ガスで液相酸化し、次
いで、苛性ソーダ水溶液で鹸化処理して得られたアルカ
リ廃液から、中和・抽出工程を経て得られるカルボン酸
化合物をアルコールでエステル化した後、そのエステル
化物を水添処理して、主成分として1,6−ヘキサンジ
オール(融点:42℃)60重量%、1,5−ペンタン
ジオール(融点:−18℃)9重量%、n−ブチルアル
コール(融点:−90.2℃)1重量%、n−アミルアルコ
ール(融点:−79℃)1重量%などを含む水添処理液
を得た。
この水添処理液を、そのままの組成で20℃まで冷却し
結晶を析出させ、遠心分離機にて結晶を分離し、この結
晶の付着母液を除去するためにメチルイソブチルケトン
を1,6−ヘキサンジオール結晶重量に対し10%用い
て洗浄した。さらに、結晶に付着する溶媒(メチルイソ
ブチルケトン)を40〜60mmHgの減圧下に、温度40
〜170℃で蒸留して除去し、精製された1,6−ヘキ
サンジオールを得た。
得られた精製1,6−ヘキサンジオールの純度は、精製
前77%のものが、精製後99%であった。また、不純
物の指標となる過マンガン酸カリウム消費量を示すKZ
値(1,6−ヘキサンジオール中の還元性物質を、硫酸
酸性水溶液下で、過マンガン酸カリウムと反応させて、
その消費量より求めるもので、1,6−ヘキサンジオー
ル1kgに対するN/10KMnO4溶液の消費m数で表す。)
は、精製前の値350m/kgが精製後15m/kgの
値が得られ、精製効果が大であった。
実施例2 実施例1と同様にして得られた水添処理液を、そのまま
の組成で20℃まで冷却し結晶を析出させ、遠心分離機
にて結晶を分離し、この結晶の付着母液を除去するため
にn−ヘキサンを1,6−ヘキサンジオール結晶重量に
対し20%用いて洗浄した。
次に、結晶に付着するn−ヘキサンを20〜40mmHgの
減圧下に、温度40〜150℃で蒸留して除去した。精
製1,6−ヘキサンジオールの純度は、処理前の70%
が洗浄後、98%となり精製効果が大であった。
実施例3 実施例1と同様にして得られた水添処理液を、そのまま
の組成で20℃まで冷却し結晶を析出させ、遠心分離機
にて結晶を分離し、この結晶の付着母液を除去するため
に純水による洗浄を行った。水は、1,6−ヘキサンジ
オール結晶重量に対し10%用いて洗浄した。
次に、結晶に付着する水を10〜30mmHgの減圧下に、
温度40〜150℃で蒸留して除去した。精製1,6−
ヘキサンジオールの純度は、処理前の70%が洗浄後、
97%となり精製効果が大であった。
実施例4 シクロヘキサンを分子状酸素含有ガスで液相酸化し、次
いで、苛性ソーダ水溶液で鹸化処理して得られたアルカ
リ廃液から、中和・溶媒抽出工程を経て得られるカルボ
ン酸化合物をアルコールでエステル化した後、そのエス
テル化物を水添処理して得られた主として1,6−ヘキ
サンジオールを含有する混合液(水添処理液)から、蒸
留によって、主成分として1,6−ヘキサンジオール
(融点:42℃)72重量%、1,5−ペンタンジオー
ル(融点:−18℃)12重量%、n−アミルアルコー
ル(融点:−79℃)1.2重量%などを含む1,6−
ヘキサンジオール留出物(粗ジオール液)を得た。
この粗ジオール液をそのままの組成で25℃まで冷却し
結晶を析出させ、遠心分離機にて結晶を分離し、この結
晶の付着母液を除去するためにメチルイソブチルケトン
を1,6−ヘキサンジオール結晶重量に対し10%用い
て洗浄した。さらに、結晶に付着する溶媒を30〜40
mmHgの減圧下に、温度160〜180℃で蒸留して除去
し、精製された1,6−ヘキサンジオールを得た。
精製1,6−ヘキサンジオールの純度は、精製前78%
のものが精製後99.4%であった。また、不純物の指標と
なる過マンガン酸カリウム消費量を示すKZ値は、精製
前の値236m/kgが、精製後20m/kgの値が得
られ、精製効果が大であった。
実施例5 実施例4と同様にして得られた粗ジオール液を、そのま
まの組成で25℃まで冷却し結晶を析出させ、遠心分離
機にて結晶を分離し、この結晶の付着母液を除去するた
めにn−ヘキサンを1,6−ヘキサンジオール結晶重量
に対し20%用いて洗浄した。
次に、結晶に付着するn−ヘキサンを20〜40mmHgの
減圧下に、温度40〜150℃で蒸留して除去した。精
製1,6−ヘキサンジオールの純度は、処理前の70%
が洗浄後、98%となり精製効果が大であった。
実施例6 実施例4と同様にして得られた粗ジオール液を、そのま
まの組成で20℃まで冷却し結晶を析出させ、遠心分離
機にて結晶を分離し、この結晶の付着母液を除去するた
めに純水による洗浄を行った。水は、1,6−ヘキサン
ジオール結晶重量に対し10%用いて洗浄した。
次に、結晶に付着する水を30〜50mmHgの減圧下に、
温度60〜120℃で蒸留して除去した。精製1,6−
ヘキサンジオールの純度は、処理前の79%が洗浄後、
97%となり精製効果が大であった。
〔作用効果の説明〕
この発明の製造方法は、前述のように、シクロヘキサン
の分子状酸素含有ガスによる液相酸化反応液からカルボ
ン酸化合物を分離後、エステル化し、次いで、水素添加
して得られる反応液、もしくは、それを蒸留して得られ
る1,6−ヘキサンジオール留出物中には、沸点の近接
するモノアルコール類、ジオール同族体および異性体類
ならびに反応時生成する高沸物類が含まれており、この
ような反応液、もしくは、留出物から1,6−ヘキサン
ジオールを選択的かつ経済的に分離精製するには困難で
あり、従って純度が低いという問題点があった従来公知
の蒸留操作に対して、水素添加して得られる前記反応液
またはこの反応液の蒸留により得られる前記1,6−ヘ
キサンジオール留出物をそのままの組成で冷却し晶析
後、有機ケトン系溶媒或いは水で結晶を洗浄し、さら
に、前記有機ケトン系溶媒或いは水の蒸留除去を行え
ば、蒸留操作のみでは分離精製できない前記副生物を除
去でき、従来公知の蒸留操作に比べて、水分、AV値、
EV値などの品質を落とすことなく、高純度の1,6−
ヘキサンジオールを製造する方法を提供し得る効果を奏
するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 53/126 9356−4H (72)発明者 滝口 寿々夫 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部 興産株式会社宇部ケミカル工場内化学事業 本部開発部 (72)発明者 大畑 幸策 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部 興産株式会社宇部ケミカル工場内化学事業 本部開発部 審査官 船岡 嘉彦

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)シクロヘキサンを酸化して、カルボン
    酸化合物を生成させる工程; (B)前記(A)工程で生成されたカルボン酸化合物をアルコ
    ールでエステル化する工程; (C)前記(B)工程で得られたエステル化物を水添処理し
    て、1,6−ヘキサンジオールを主として含有する混合
    物(水添処理液)を生成させる工程; (D)前記(C)工程で生成された水添処理液を、42℃以
    下、かつ副生物の融点以上の温度に冷却して、1,6−
    ヘキサンジオールの結晶を析出させる工程; (E)前記(D)工程で得られた結晶物を分離後、その結晶物
    を炭素数3〜20個の有機ケトン類または水からなる群
    から選ばれた少くとも1種以上の溶媒で洗浄する工程; からなることを特徴とする1,6−ヘキサンジオールの
    製造法。
  2. 【請求項2】(D)工程において、(C)工程で得られた水添
    処理液を蒸留することにより、その各成分の融点が0℃
    以下である副生物を10〜50重量%含有する1,6−ヘキ
    サンジオール留出物(粗ジオール液)を得て、その粗ジ
    オール液を、42℃以下、かつ副生物の融点以上の温度
    に冷却して、1,6−ヘキサンジオールの結晶を析出さ
    せることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載した
    方法。
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