JPH0637278Y2 - フロート弁の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は気体と液体の比重差を利用して、開放又は密閉
のフロートで弁手段を駆動し、気液混合系から一方の流
体を選択的に自動的に排出するフロート弁の構造に関す
る。

上記フロート弁は、気体と液体が混在する系から気体又
は液体の一方を選択的に自動的に排出するときに用い
る。蒸気配管系に発生する復水を自動的に排出するスチ
ームトラップ、圧縮空気配管系に発生する凝縮水を自動
的に排出するエアートラップ、水配管系に混在する空気
を自動的に排出するエアーベント等である。

従来のフロート弁は一般に、同一型式のフロート弁につ
いて、一組の出入口を上下に設けた鉛直配管用と、左右
に設けた水平配管用の二種類のケーシングを作らなけれ
ばならなかった。

従来の技術 そこで、共通のケーシングを用いて水平にも鉛直にも配
管できるようにしたものとして、特公昭63−34358号公
報に示されたものがある。ここに示されたものは、ケー
シングに一組の出入口を形成し、ケーシングとは別体に
隔壁部材を形成し、入口を弁室に導入する導入口と弁室
を出口に連通する弁口を隔壁部材に形成し、隔壁部材に
フロート座部材を、出入口の水平あるいは鉛直配管位置
に応じて、弁口の軸を中心として180度回転せしめた位
置で溶接し、ケーシングと隔壁部材を溶接するようにし
たものである。

本考案が解決しようとする課題 上記のものでは、フロート座部材を隔壁部材に溶接し、
ケーシングと隔壁部材を溶接するので、水平あるいは鉛
直配管構造として一旦組立てた後は、水平あるいは鉛直
の配管構造を変更することができない不都合があった。

従って、本考案の技術的課題は、水平あるいは鉛直の配
管構造を変更できるようにすることである。

課題を解決するための手段 ケーシングに一組の出入口を形成し、隔壁部材をケーシ
ングとは別体の部材で形成し、隔壁部材の外側とケーシ
ングの間に入口が連通する入口側連結通路と出口に連通
する出口側連結通路を、内側に弁室を形成し、入口側連
結通路と弁室を連通する導入口と、弁室と出口側連結通
路を連通する弁口を、それぞれ出入口の軸線及び出入口
の軸線と垂直な軸線に対して傾斜せしめて隔壁部材に形
成し、外表面が直接当接して弁口を開閉するフロートを
弁室内に自由状態で収容し、フロートが弁口を完全に塞
ぐ位置を定めるフロート座部材を隔壁部材に取付け、ケ
ーシングの円形開口と隔壁部材を結合するようにしたも
のに於いて、ケーシングの円形開口の外周にフランジを
形成し、隔壁部材を球形に形成し、ケーシングの円形開
口の内周と隔壁部材の外周との間にガスケットを介在さ
せ、ケーシングのフランジをボルトで締付けるようにし
た、ものである。

作用 上記の技術的手段の作用は下記の通りである。

隔壁部材は球形に形成され、導入口と弁口を出入口の軸
線及び出入口の軸線と垂直な軸線に対して傾斜せしめて
形成しているので、ケーシングが水平あるいは鉛直配管
位置であっても、隔壁部材の外周とケーシングの円形開
口との間をガスケットで密閉することができる。そして
ケーシングのフランジ同志をボルトで締付けるので、分
解し配管位置を変更して再度組立てることができる。

実施例 上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する（第
１図と第２図参照）。

これは密閉フロート型スチームトラップであり、第１図
は水平配管位置を、第２図は鉛直配管位置を示す。

先ず、第１図の水平配管用の構造を説明する。弁ケーシ
ング部材10、11は鋳物で作る。形状は互いに対称であ
る。鉛直方向の円形開口の外側に形成したフランジ部1
2,13をボルト14で結合する。入口15と出口16は同一軸上
で水平方向に開口している。入口15と出口16には配管用
のねじを形成する。

半球殻形状の隔壁部材17,18はステンレス鋼をプレス成
型して作る。円形開口同志を付合わせて溶接し、研磨し
て真球に仕上げる。隔壁部材17,18の外側と弁ケーシン
グ10,11の間に入口側連結通路19と出口側連結通路20
が、内側に弁室21が形成される。隔壁部材17の上部に導
入口22を開ける。隔壁部材18の下部に弁口23を形成した
弁座部材24を溶接する（番号25の箇所）。導入口22と弁
口23は対向して形成し、その軸線は出入口の軸線及び出
入口の軸線と垂直な軸線に対して傾斜せしめている。弁
口23は弁室21に向かって開口する。

弁室21に球形フロート26を自由状態で収容する。フロー
ト26はステンレス鋼薄板で中空に作る。弁座部材24にフ
ロート座部材27を一体に形成する。フロート座部材27は
弁口23の軸からフロート26の半径の長さ離れた、当該軸
に平行の二本の足を有する。フランジ部12,13の内周に
環状溝を形成し、そこに環状のガスケット28,29を配置
し、隔壁部材17,18との間を密閉する。

組立順序は、隔壁部材18に弁座部材24を取付け、フロー
ト26を内部に入れて、隔壁部材18と導入口22を開けた隔
壁部材17を取り付け、隔壁部材17,18を内部に入れて、
ガスケット28,29を介して、弁ケーシング10,11をボルト
14で締結する。

上記スチームトラップの作動は次の通りである。入口15
は蒸気使用機器等の復水発生箇所に接続する。復水と蒸
気が入口側連結通路19から導入口22を通って弁室21に流
入し、復水が下部に蒸気が上部に分離して溜る。フロー
ト26は、水面が上昇すると浮力が大きくなるので、弁座
部材24から離れて浮上し、弁口23を開く。弁室21の復水
は弁口23から出口側連結通路20を通り、出口16から流出
する。排出により水面が下がると、それと共にフロート
26が下降し、フロート座部材27に乗った位置で弁口23を
塞ぎ、蒸気の流出を防ぐ。この様な動作を自動的に繰り
返して行なう。

次に、第２図の鉛直配管用の構造は、第１図の隔壁部材
17,18をそのままにして、ケーシング部材10,11を90度回
転したものである（参照番号は第１図に対応する箇所に
第１図と同じ番号を付した）。組立順序、作動は第１図
と同様である。従って、詳細な説明は省略する。

尚、上記のフロート弁はスチームトラップとしてではな
く、そのままで圧縮空気系統から凝縮水を自動的に排出
するエアートラップとして用いることも出来る。また、
第１、２図に図示の配置状態を上下逆にすれば、水配管
系統から空気を排出するエアーベントとしても用いるこ
とが出来る。

考案の効果 本考案は下記の特有の効果を生じる。

上記のように、本考案によれば、繰り返し水平あるいは
鉛直配管構造に組み変えることができる。また、弁や弁
座等が摩耗した場合でも、ケーシングを再利用すること
ができる。

【図面の簡単な説明】 第１図と第２図は本考案の実施例の密閉フロート型スチ
ームトラップの断面図で、それぞれ水平、鉛直配管用の
構造を示す。 10,11:弁ケーシング 17,18:隔壁部材 19,20:連結通路 26:フロート 28,29:ガスケット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ケーシングに一組の出入口を形成し、隔壁
   部材をケーシングとは別体の部材で形成し、隔壁部材の
   外側とケーシングの間に入口が連通する入口側連結通路
   と出口に連通する出口側連結通路を、内側に弁室を形成
   し、入口側連結通路と弁室を連通する導入口と、弁室と
   出口側連結通路を連通する弁口を、それぞれ出入口の軸
   線及び出入口の軸線と垂直な軸線に対して傾斜せしめて
   隔壁部材に形成し、外表面が直接当接して弁口を開閉す
   るフロートを弁室内に自由状態で収容し、フロートが弁
   口を完全に塞ぐ位置を定めるフロート座部材を隔壁部材
   に取付け、ケーシングの円形開口と隔壁部材を結合する
   ようにしたものに於いて、ケーシングの円形開口の外周
   にフランジを形成し、隔壁部材を球形に形成し、ケーシ
   ングの円形開口の内周と隔壁部材の外周との間にガスケ
   ットを介在させ、ケーシングのフランジをボルトで締付
   けるようにした、フロート弁の構造。