JPH0635809B2 - タ−ビン制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、蒸気タービンに流入する蒸気量を調節して、
タービンの回転速度およびタービン出力を制御するター
ビン制御装置に関する。

〔従来の技術〕

蒸気タービン制御系統は、蒸気発生装置からの高温・高
圧の蒸気が主蒸気止め弁バイパス弁(Main Stop Valve B
y-Pass Valve：以下MSV-BVと言う)と蒸気加減弁(Contro
l Valve：以下CVと言う)を通りタービンに流入してター
ビンを回転させ、このタービンの回転により発電機出力
を得るものである。

一般に、定常運転中においてはタービンへの蒸気流入量
の調節は、ＭＳＶを全開にして、ＣＶの弁開度を制御し
て行なわれる。しかしながら、タービン起動時や比較的
長時間低負荷で運転する場合には、ＭＳＶを閉じＣＶを
全開にしてMSV-BVの弁開度を制御する全周噴射が行われ
る。このため、タービン蒸気流入量の制御をMSV-BVとＣ
Ｖのいずれで行なうかを選択する機構が設けてある。

これらMSV-BV、ＣＶの弁開度制御を行なうタービンの運
転では、タービン回転速度を所定の速度設定値に追従さ
せるタービン調速運転とタービン出力を一定にする様、
タービン蒸気流入量を負荷設定値に合わせる負荷設定運
転との一方に従って行なっている。

以下、第３図の従来のタービン制御装置の回路図を参照
して説明する。タービンの実回転速度を検出するタービ
ン回転速度検出器１とタービンの回転速度に対して速度
設定値を出力する速度設定器２との出力信号を比較する
比較器３がある。この比較器３からの回転速度誤差信号
ｖ₁ を入力して、この回転速度誤差信号ｖ₁ を零にする
よう補正されたそれぞれMSV-BV，ＣＶに対する弁開度の
指令信号ｖ₂，ｖ₃を出力する係数器４，５が設けてあ
る。またタービン蒸気流入量の制御をMSV-BVとＣＶのい
ずれで行なうかを設定する弁切換設定器６とこの弁切換
設定器６により設定された方の弁開度信号に対して弁の
熱ひずみを低減させる時定数を持たせて徐々に全閉信号
を出力し、他方の弁開度信号に対して同様に時定数を持
たせて徐々に全開信号を出力するバイアス発生器７とが
設けてある。したがってそれぞれMSV-BVとＣＶに対して
の係数器４，５の出力信号ｖ₂，ｖ₃とバイアス発生器７
の出力信号ｖ₄，ｖ₅を加算して、タービン調速運転系の
弁開度指令信号ｖ₆，ｖ₇とする加算器８，９が設けてあ
る。

また、タービン出力を一定にする様、タービン蒸気流入
量を決める負荷設定値ｖ₈を設定する負荷設定器10と全
開信号ｖ₉を出力する全開バイアス発生器11とがある。
負荷設定器10からの負荷設定値ｖ₈ はMSV-BVに対しての
負荷設定運転系の弁開度指令信号ｖ₁₀と常閉接点12-bを
介して接続され、ＣＶに対しての負荷設定運転系の弁開
度指令信号ｖ₁₁と常開接点12-aを介して接続されてい
る。そして全開バイアス発生器11からの全開信号ｖ₉
は、弁開度指令信号ｖ₁₀と常開接点13-aを介して接続さ
れ、弁開度指令信号ｖ₁₁と常閉接点13-bを介して接続さ
れている。これら接点12-a,12-b,13-a,13-bは、弁切換
設定器６でＣＶを選択したときに、励磁される補助継電
器14と連動する。各々のMSV-BV,CV に対して、前述のタ
ービン調速運転系の弁開度指令信号ｖ₆，ｖ₇とこの負荷
設定運転系の弁開度指令信号ｖ₁₀，ｖ₁₁とを入力して、
低い値の方を最終のMSV-BV弁開度指令信号ｖ₁₂，ＣＶ弁
開度指令信号ｖ₁₃を出力する低値選択器15，16が設けて
ある構成である。

上述のタービン制御装置における運転を説明する。ター
ビン起動時は、タービン調速運転を行なうため、低値選
択器15，16では、タービン調速運転系の弁開度指令信号
ｖ₆，ｖ₇が選ばれる様に負荷設定値ｖ₈ は全開相当に設
定される。タービン蒸気流入量をMSV-BVで制御させるた
め、弁切換設定器６でMSV-BVを設定する。これによりバ
イアス発生器７は、MSV-BV側の加算器８には全閉信号を
出力し、ＣＶ側の加算器９には全開信号を出力する。し
たがってMSV-BV側では、加算器８の弁開度指令信号ｖ₆
は、タービン調速運転されるべき係数器４の出力信号ｖ
₂ となり、低値選択器15で選ばれこの出力信号ｖ₂ が最
終のMSV-BV弁開度指令信号ｖ₁₂となる。ＣＶ側では、加
算器９の弁開度指令信号ｖ₇は、バイアス発生器７の全
開信号Ｖ₅となり、低値選択器16での最終のＣＶ弁開度
指令信号ｖ₁₃も全開信号となる。その後、MSV-BVにより
タービン蒸気流量を制御して、タービンが速度設定器２
で設定される定格速度に達すると発電機を電力系統に併
入する。

〔発明が解決しようとする問題点〕

発電機を電力系統に併入以降の運転において、電力系統
周波数の変動が大きくなるとMSV-BV又はＣＶの弁開度を
制御してタービン蒸気流入量を変化させるが、この変動
に対して蒸気発生装置側が追従できなくなったり、また
発電機の電力系統併入時にタービン調速運転では、発電
機の負荷が電力系統に比べ低負荷の場合があり、これで
は、発電機がモータリングとなって逆電力継電器の動作
により発電機トリップとなることがある。

このため、発電機の電力系統併入直後からは、タービン
調速運転を電力系統周波数の変動の影響を受れない負荷
設定運転を行う。

しかしながら、負荷設定運転中に発電機の負荷が規定負
荷に到達後タービン蒸気流入量の制御はMSV-BVからＣＶ
に切換える必要がある。しかし、負荷設定運転中に単に
弁切換設定器６でＣＶを選択すると補助継電器14が励磁
されて、接点12-a，13-aは閉路し、接点12-b，13-bは閉
路する。よって、最終のMSV-BV弁開度指令信号ｖ₁₂は時
定数を持たず急激に全開信号ｖ₉ と接続されて、最終の
ＣＶ弁開度指令信号ｖ₁₃も同様負荷設定値ｖ₈ の接続さ
れる。この様に弁を急激に開き、蒸気を通すと熱歪みを
生じる。この歪みによる構造的不具合をなくすためには
一度タービン調速運転とした後、バイアス発生器７を使
用して、時定数をたせ徐々に弁切換が行なわれる必要が
ある。またこのためのタービン調速運転にも上述の電力
系統周波数の影響が存在するため電力系統が安定してい
るときのみタービン調速運転として弁を切換えることと
なり発電所の運用が限定されていた。

したがって、MSV-BVとＣＶによる制御の弁切換えをター
ビン調速運転、負荷設定運転のいかんにかかわらず可能
とするタービン制御装置を提供する。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明を第１図のタービン制御装置の回路図を用いて説
明する。

タービンの回転速度を所定の速度設定値に追従させるタ
ービン調速運転とタービン出力を一定にするタービン蒸
気流入量を負荷設定値にする負荷設定運転との一方によ
りタービン蒸気流入量を主蒸気止め弁バイパス弁あるい
は蒸気加減窒の弁開度で制御するタービン制御装置にお
いて、 前記速度設定値とタービン実回転数との差に対応する値
ｖ₂，ｖ₃と前記負荷設定値ｖ₈ とを入力して、これらの
低い値を各々の弁開度指令信号ｖ₁₄，ｖ₁₅として、出力
する低値選択器15，16と、 タービン蒸気流入量の制御を前記主蒸気止め弁バイパス
弁と前記蒸気加減弁のいずれで行なうかを設定する弁切
換設定器６と、 この弁切換設定器６により設定された方の前記弁開度指
令信号ｖ₁₄またはｖ₁₅に対しては徐々に全閉信号を加算
させ、かつ他方の前記弁開度指令信号ｖ₁₅またはｖ₁₄に
対しては徐々に全開信号を加算させるバイアス発生７と
を具備するタービン制御装置である。

〔作用〕

各々の弁側の低値選択器15，16は、各々の弁に対しての
タービン調速運転系の弁開度指令信号ｖ₂，ｖ₃と負荷設
定運転系の負荷設定値ｖ₈ を入力する。そして、それぞ
れ低い値の方を選択し、各々弁開度指令信号ｖ₁₄，ｖ₁₅
として出力する。弁切換設定器６により設定される一方
の弁の弁開指令信号ｖ₁₅に徐々に減少する全閉信号を加
し、かつ他方の弁の弁開度指令信号ｖ₁₅あるいはｖ₁₄に
徐々に増加する全開信号を加算して設定された弁により
タービン蒸気流入量が制御される。

〔実施例〕

本発明の一実施例を第１図および第２図を用いて説明す
る。第１図は、本発明のタービン制御装置を示す回路図
であり、第３図と同一または相当する機器信号には、同
一符号を付けてある。タービン調速運転系において、タ
ービンの実回転速度を検出するタービン回転速度検出器
１とタービン回転速度に対して速度設定値を出力する速
度設定器２との出力信号を比較して、回転速度誤差信号
ｖ₁を出力す比較器３とこの回転速度誤差信号ｖ₁を入力
してこの回転速度誤差信号ｖ₁を零にするよう補正され
た各々MSV-BV，ＣＶに対する弁開度の指令信号ｖ₂，ｖ₃
を出力する係数器４，５とを設ける。負荷設定運転系に
おいて、タービン蒸気流入量を決める負荷設定値ｖ₈ を
出力する負荷設定器10を設ける。各々MSV-BV，ＣＶに対
して、タービン調速運転系の弁開度の指令信号ｖ₂，ｖ₃
と負荷設定運転系の負荷設定値ｖ₈ を入力して、低い値
の方を選択して出する低値選択器15，16を設ける。

また、タービン蒸気流入量の制御をMSV-BV，CVのいずれ
で行なうかを設定する弁切換設定器６とこの弁切換設定
器６の出力信号ａに対応するバイアス出力信号ｖ₄，ｖ₅
を出力するバイアス発生器７を設ける。この出力信号ａ
とバイアス出力信号ｖ₄，ｖ₅の関係を第２図の特性に示
す。この出力信号ａの増減はある割合で徐々に変化する
ので、バイアス出力信号ｖ₄，ｖ₅も全閉指令信号から全
開指令信号へ、全開指令信号から全閉指令信号への変化
も徐々に変わる。

前述の各々MSV-BV，ＣＶに対する低値選択器15，16の出
力信号ｖ₁₄，ｖ₁₅とバイアス発生器７のバイアス出力信
号ｖ₄，ｖ₅を加算して、最終のMSV-BV弁開度指令信号ｖ
₁₆，ＣＶ弁開度指令信号ｖ₁₇を出力する加算器17，18を
設ける。

以上のような構成であるタービン制御装置における運転
を説明する。タービン起動時は、タービン調速運転を行
うために、低値選択器15，16でタービン調速運転系の弁
開度の指令信号ｖ₂,ｖ₃が選択される様に、負荷設定値
ｖ₈ は全開相当に設定する。タービン蒸気流入量は、ま
ずMSV-BVで制御するため、弁切換設定器６の出力信号ａ
はａ₁ からa₂に徐々に増加して、バイアス発生器７のバ
イアス出力信号ｖ₄ は、全閉信号のままで、バイアス出
力信号ｖ₅ は、全閉信号から徐々に全開信号と与る。し
たがって、MSV-BV側の加算器17のMSV-BV弁開度指令信号
ｖ₁₆は、係数器４の出力の指令信号ｖ₂ の値となりＣＶ
側の加算器18のＣＶ弁開度指令信号ｖ₁₇は、全開信号と
なる。その後、タービン調速運転をMSV-BVの制御により
行い、タービンが速度設定器２で設定される定格速度に
達すると、発電機を電力系統に併入する。併入後は、電
力系統周波数の影響を受けない負荷設定運転を行なう。
負荷設定値ｖ₈ は、全開相当の設定から発電機の規定負
荷に切換え、速度設定値は全開相当に設定する。これに
より低値選択器15，16の出力信号ｖ₁₄，ｖ₁₅は負荷設定
値ｖ₈ が選択されて、MSV-BV側の加算器17のMSV-BV弁開
度指令信号ｖ₁₆は、負荷設定値ｖ₈ となり、ＣＶ弁開度
指令信号ｖ₁₇は全開信号のままである。その後、負荷設
定運転をMSV-BVの制御により行い、発電機の負荷が規定
負荷に到達後、タービン蒸気流入量の制御はMSV-BVがＣ
Ｖに切換る場合は、弁切換設定器６でＣＶを選択する。
すると弁切換設定器６の出力信号ａは、a₂からa₀に徐々
に減少して、バイアス発生器７のバイアス出力信号ｖ₄
は全閉信号から全開信号に徐々に変化し、バイアス出力
信号ｖ₅ は全開信号から全閉信号に変化する。したがっ
てMSV-BV弁開度指令信号ｖ₁₆は、負荷設定値ｖ₈ から全
開信号に徐々に変化し、ＣＶ弁開度指令信号ｖ₁₇は、全
開信号から負荷設定値ｖ₈ まで徐々に変化する。その
後、ＣＶの制御により負荷設定運転を行う。

よって、MSV-BV、ＣＶの熱歪みをおさえ、タービン蒸気
流入量を制御をMSV-BVで行なうか、ＣＶで行なうかの弁
切換えを、タービン調速運転、負荷設定運転のいかんか
かわらず可能である。

〔発明の効果〕

本発明により、弁切換に従うバイアス発生器の出力信号
をタービン調速運転系の弁開度指令と負荷設定運転系の
弁開度指令との低値選択した出力信号に加算する構成し
たことにより、各運転のいかにかかわらず、弁切換がで
きるタービン制御装置を得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明のタービン制御装置を示す回路図、第
２図はバイアス発生巧の特性図、第３図は従来のタービ
ン制御装置を示す回路図である。 １……タービン回転速度検出器 ２……速度設定器 ３……比較器 4,5……係数器 ６……弁切換設定器 ７……バイアス発生器 10……負荷設定器 15,16……低値選択 17,18……加算器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】タービンの回転速度を所定の速度設定値に
   追従させるタービン調速運転とタービン出力を一定にす
   るタービン蒸気流入量を負荷設定値にする負荷設定運転
   との一方によりタービン蒸気流入量を主蒸気止め弁バイ
   パス弁あるいは蒸気加減弁の弁開度で制御するタービン
   制御装置において、 前記速度設定値とタービン実回転数との差に対応する値
   と前記負荷設定値とを入力して、これらの低い値を各々
   の弁開度指令信号として出力する低値選択器と、 タービン蒸気流入量の制御を前記主蒸気止め弁バイパス
   弁と前記蒸気加減弁のいずれで行なうかを設定する弁切
   換設定器と、 この弁切換設定器により設定された方の前記弁開度指令
   に対しては徐々に全閉信号を加算させ、かつ他方の前記
   弁開度指令に対しては徐々に全開信号を加算させるバイ
   アス発生器とを具備することを特徴とするタービン制御
   装置。