JPH0635755B2

JPH0635755B2 - 防音床材

Info

Publication number: JPH0635755B2
Application number: JP6549087A
Authority: JP
Inventors: 哲吉見; 陽一郎古賀
Original assignee: Daiken Trade and Industry Co Ltd
Current assignee: Daiken Trade and Industry Co Ltd
Priority date: 1987-03-19
Filing date: 1987-03-19
Publication date: 1994-05-11
Anticipated expiration: 2009-05-11
Also published as: JPS63233161A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、床衝撃音が階下へ伝播するのを低減する防音
床材に関し、特にコンクリート床スラブ等の床下地上に
接着剤等で直貼りして、主に床面を人が歩行する時に生
じる床衝撃音を低減させるようにしたものに係る。

（従来の技術）従来より、木質床板の下面に発泡プラスチックシートや
ゴムシート、あるいはフェルト、繊維板等の弾性緩衝材
を接着一体化して、コンクリートスラブ等の床下地に直
接施工できるようにした直貼り床材は公知である。この
ものは、特別な下地組みが不要でかつ床下地の不陸を吸
収して施工できるので、工期が短かくて済み、中高層住
宅の床材として、また店舗等の改装用床材として近年多
く利用されつつある。

一方、中高層住宅の床仕上げにはカーペットや木質フロ
アー等の種々の仕上げ材が用いられているが、近年、清
潔さやメインテナンスの容易さ及び意匠性の点から、木
質の床仕上げ材を用いることが多くなっている。この木
質床材の場合には、カーペットと異なって、床面を歩行
する時の音が階下に伝播しやすいという難点があり、防
音性の向上が望まれている。

（発明が解決しようとする課題）ところで、上記従来の直貼り床材において防音性の向上
を図ろうとするには、緩衝材層として柔かいものでかつ
厚さの厚いものを用いる必要がある。しかし、緩衝材層
を柔かくすると、歩行感が悪く、また床材の継目に段違
い等が発生するなどの問題が新たに生じる。また、緩衝
材層を厚くすると、床面の高さが高くなって室内空間を
狭める原因となると共に高価になるという問題がある。
このため、充分な防音性能を得ることは困難であった。

その一例として、発泡プラスチックシートを１２mm厚さ
にして、９〜１２mm厚さの木質床板の下面に貼着した床
材を、コンクリート床スラブ（１５０mm厚）上に直接貼
着した場合、ＪＩＳ−Ａ１４１８の軽量床衝撃試験（タ
ッピングマシン）による遮音性能は、日本建築学会基準
で規定する軽量床衝撃音の遮音等級でＬ−６０程度であ
り、歩行音がやや聞こえて気になるという性能しか得ら
れなかった。

また、特に、上記緩衝材層が繊維質のものや連続気泡の
発泡プラスチックのものの場合には、床衝撃力が作用し
たとき、緩衝材層が圧縮変形してその内部の空気圧が上
昇し、この圧縮空気圧を介して衝撃力が床下地に伝わり
やすくなるという問題もあった。

本願の第１及び第２発明はかかる諸点に鑑みてなされた
もので、その目的は、従来の直貼り床材の構造に改良を
加えて、緩衝材層をさほど柔かく又厚くしないでＬ−５
５以下ないしＬ−５０程度まで軽量床衝撃音を低減させ
ることができる防音床材を提供することにある。

（課題を解決するための手段）上記の目的を達成するため、本願の第１及び第２発明
は、床衝撃力で緩衝材層が圧縮変形した時にその内部の
空気を上方に導いて床板にて横方向に拡散させることに
より、緩衝材層内部での空気圧の上昇を防止するもので
ある。

具体的に、本願の第１発明の講じた解決手段は、床板下
面に弾性緩衝材層が一体に設けられてなり、床下地上に
直貼りされる防音床材を前提とする。そして、上記緩衝
材層に、上下に貫通する複数の貫通孔を略均一に分散さ
せて形成する。さらに、上記床板下面もしくは内部に、
上記貫通孔と連通するように下方に開口した空気通路を
形成し、かつ該空気通路の終端部を床板側面に開口させ
る構成としたものである。

また、本願の第２発明の講じた解決手段は、床板下面に
弾性緩衝材層が一体に設けられてなり、床下地上に直貼
りされる防音床材を前提とする。そして、上記緩衝材層
には、下に貫通する複数の貫通孔が略均一に分散して形
成されている。また、上記床板下面もしくは内部には、
上記貫通孔と対向して下方に開口した空気通路が形成さ
れている。さらに、上記緩衝材層上面と床板下面との間
には複数の通気孔を有する中間材が介在されていて、該
通気孔を介して上記緩衝材層の貫通孔と床板の空気通路
とが連通しているとともに、上記空気通路の終端部は床
板側面に開口しているものとする。

（作用）上記の構成により、本願の第１及び第２発明の防音床材
をコンクリート床スラブ等の床下地に直貼りた場合、緩
衝材層の貫通孔と床板下面ないし内部の空気通路とを直
接又は中間材の通気孔を介して連通させて積層一体化さ
れているので、床板下方の緩衝材層が衝撃で変形した
時、貫通孔内の空気が床板の空気通路で横方向に拡散し
て、緩衝材層内部での空気圧の上昇が防止され、圧縮空
気による衝撃力の伝播を抑制することができる。

即ち、床衝撃力が作用すると、床板下方の緩衝材層は貫
通孔によって実効バネ定数が小さくされ、しかも該貫通
孔内の空気は床板の空気通路で横方向に拡散されるの
で、緩衝材層内部での空気圧の上昇がないと共に、その
空気がスムーズに排出されることによって、緩衝材層の
変形が床板全体に亘って均一に生じるようになり、衝撃
力の吸収性が向上する。

また、床板の振動でで生じる音は、下方の緩衝材層の貫
通孔によって吸音されるので、放射音の伝播も小さくす
ることができる。また、床衝撃力の作用時、上述の如く
床板下面で空気流が生じるようになり、床下が多湿化す
るのを防ぐこともできる。

（実施例）以下、本願の第１発明の実施例について図面に基づいて
説明する。

第１図および第２図は本願の第１発明の一実施例に係る
防音床材Ａを示し、該防音床材Ａはコンクリート床スラ
ブ等の床下地上に直接貼着されて使用されるものであ
る。

上記防音床材Ａは、床板１の下面に弾性緩衝材層２が積
層一体化されてなる。上記床板１は、合板、ＬＶＬ（La
minated Veneer Lumber：単板積層材）、パークティク
ルボード、中比重繊維板（ＭＤＦ）等よりなる木質床板
の他、木質基材の表面に合成樹脂化粧板１ａ等を貼った
硬質床板等が用いられ、また繊維強化セメント板等の無
機質板を組合せたものを用いてもよい。また、上記緩衝
材層２を構成する緩衝材としては、ゴム、プラスチック
発泡体、インシュレーションボード、グラスウールマッ
ト、フェルト等の繊維質のもの、ゴム質のもの、発泡体
系のものの単独又は積層等の組合わせによるものが使用
される。

そして、上記床板１にはその下面に下方に開口した格子
状溝又は平行状溝による空気通路３が形成されている。
この空気通路３は、床板基材下面を切削して形成した切
欠き溝による他、床板基材の下面に棒状又はブロック状
体を部分的に貼着して溝状の凹所を形成したものでもよ
い。また、上記空気通路３は、床板１の側面まで連通し
て設けられており、床板１下面で空気流が流れるように
なっている。

さらに、上記緩衝材層２には、上記床板１下面の空気通
路３と連通するように上下に貫通する多数の貫通孔４，
４…が略均一に分散して設けられている。この貫通孔４
の形状は等に限定されず、円形、多角形、その他種々の
形状のものが採用可能である。

ここで、上記貫通孔４は、床板１に対する緩衝材層２の
有効面積比を低下させて、衝撃に対する緩衝材層２の変
形を容易にかつ全面に亘って均一になるようにすること
により、厚みを増大させることなく変形量を増して衝撃
吸収を行うものであり、緩衝材層２に面積比で１０〜５
０％程の開口率に設けることが望ましい。すなわち、面
積比で１０〜５０％開口させておくことで、床板１に対
する緩衝材層２のバネ定数が実際の緩衝材自体のバネ定
数の５０〜９０％に低下して、小さい衝撃力によって床
板１全体が均一に沈み込み変位が生じ、床面に対する衝
撃力を緩和吸収する作用を行う。また、上記貫通孔４個
々の孔径は５mm〜１００mm程度の範囲に設定すればよ
い。

次に、本願の第２発明の実施例について述べるに、上記
実施例の防音床材Ａでは、緩衝材層２の貫通孔４と床板
１下面の空気通路３とを直接連通させて積層一体化され
ているが、床板１下面と緩衝材層２上面との間に、有孔
板や網状体等の，通気孔を有する中間材を介在させて積
層してもよい。この中間材としては、例えば有孔合板、
有孔樹脂板、合成繊維のネット等の孔有きシートが用い
られ、特にこの好有きシートとして粘弾性に優れたＳＢ
Ｒ等のゴムシートや高比重合成樹旨シート等の制振材を
用いると、床板１の振動を短時間で減衰させることがで
きて好ましい。その一例として、第３図および第４図で
は、緩衝材層２の上面に有孔板等の通気孔５ａを有する
中間材５がその通気孔５ａを緩衝材層２の貫通孔４と同
一径にかつ合致せしめて積層されたものである。また、
床板１の相対向する一側端部に雌実部１ｂが、他側端部
に該雌実部１ｂに嵌合可能な雄実部１ｃがそれぞれ形成
されていて防音床材同志を本実接合可能に構成されてい
る。

また、第５図および第６図では、中間材５として、緩衝
材層２の貫通孔４よりも孔径の小さい通気孔５ａを有す
る有孔板を用いたものであり、この場合、中間材５の通
気孔５ａと緩衝材層２の貫通孔４とでホルムヘルツの吸
音孔が構成されて、吸音性がさらに向上し、階下への音
を伝播をより小さくすることが可能である。

尚、このようなホルムヘルツの吸音孔を、第７図に示す
ように緩衝材層２の貫通孔４自体を大径孔４ａと小径孔
４ｂとからなる段付き孔することにより構成してもよ
い。

また、第８図は他の実施例を示し、床板１を中空パネル
で構成し、該中空パネルの下面に中空部と緩衝材層２の
貫通孔４とを連通する連通孔１ｄを設けて、上記中空パ
ネルの中空部を空気通路３としたものである。

（実験例）今、具体的に、１２mm厚さの合板を基材とする木質床板
の下面に、４０mm幅で深さ５mmの凹溝を４０mm間隔で格
子状に切削して床板となし、この床板下面に、厚さ２mm
の有孔合板（孔径８mm、孔ピッチ２mm）よりなる中間材
を介して、１０mm厚さの発泡ポリエチレンシートに径８
０mmの貫通孔を３００mmピッチで設けた孔有き緩衝材層
を積層一体化して防音床材を形成した（実施例）。

これに対し、比較例として、凹溝のない上記床板と貫通
孔のない上記緩衝材層とを積層一体化した床材を形成し
た。

これら各例の１５０mmのコンクリート床スラブに直貼り
して、ＪＩＳ−Ａ１４１８によるタッピングマシンで軽
量床衝撃音の遮音性能の試験を行ったところ、第９図に
示すような結果が得られた。この第９図により、比較例
では、日本建築学会基準の軽量床衝撃音の遮音等級がＬ
−６０であるのに対し、実施例ではＬ−５０となり、遮
音性能が大幅に向上することが判る。

（発明の効果）以上説明したように、本願の第１及び第２発明の防音床
材によれば、床衝撃力の作用時に緩衝材層内での空気圧
の上昇を抑え、かつその空気をスムーズに外部に排出し
て、緩衝材層を厚くすることなくその衝撃力に対する吸
収性を高めることができるとともに、床板の振動音に対
する吸音性も有していて、床衝撃音の階下への伝播を大
幅に低減できる防音性に優れた直貼り床材を提供するこ
とができる。また、床下の多湿化を防止できる利点も併
せ有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第８図は本願の第１及び第２発明の実施例を例
示し、第１図および第２図はそれぞれ一実施例の防音床
材を示す断面図および部分斜視図であり、第３図および
第４図はそれぞれ変形例を示す断面図および部分斜視
図、第５図および第６図はそれぞれ他の変形例を示す断
面図および部分斜視図、第７図は別の変形例を示す断面
図、第８図は他の実施例を示す断面図である。第９図は
軽量床衝撃音の遮音性能を示す測定結果図である。１……床板、２……緩衝材層、３……空気通路、４……
貫通孔、５……中間材、５ａ……通気孔。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】床板下面に弾性緩衝材層が一体に設けられ
てなり、床下地上に直貼りされる防音床材であって、上記緩衝材層には、上下に貫通する複数の貫通孔が略均
一に分散して形成されていると共に、上記床板下面もしくは内部には、上記貫通孔と連通する
ように下方に開口した空気通路が形成されていて、該空
気通路の終端部は床板側面に開口していることを特徴と
する防音床材。
【請求項２】床板下面に凹溝による空気通路が形成さ
れ、この床板下面に緩衝材層を一体に設けた特許請求の
範囲第(1)項記載の防音床材。
【請求項３】床板下面に弾性緩衝材層が一体に設けられ
てなり、床下地上に直貼りされる防音床材であって、上記緩衝材層には、上下に貫通する複数の貫通孔が略均
一に分散して形成されており、上記床板下面もしくは内部には、上記貫通孔と対向して
下方に開口した空気通路が形成されており、上記緩衝材層上面と床板下面との間には複数の通気孔を
有する中間材が介在されていて、該通気孔を介して上記
緩衝材層の貫通孔と床板の空気通路とが連通していると
ともに、上記空気通路の終端部は床板側面に開口してい
ることを特徴とする防音床材。