JPH0635175U - 鮮度保持段ボールケース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】雰囲気ガス組成調節効果を高めながら、封緘作
業を容易にし、作業性が良く、しかも鮮度保持効果の高
い大量輸送容器を完成させること。 【構成】ガス遮蔽層を有する段ボールケースの内部に、
更にガス遮蔽性を有する材料を配置し、加えてその内部
に二酸化炭素ガス発生剤又は（及び）酸素ガス発生剤を
内包せしめた段ボールケースを鮮度保持ケースとして使
用すること。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は鮮度保持段ボールケースに関し、更に詳しくは封緘作業の容易な鮮度 保持段ボールケースに関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、青果物の鮮度保持技法の一つとして、簡易型雰囲気ガス組成調節技術（ Modified Atmosphere：以下ＭＡという、Method）を用いた容器での鮮度保持輸 送が行われるようになった。これは主に青果物の呼吸作用と、プラスチックフィ ルムの種類や厚さの選択により異なってくるガス透過度合の違いとを利用して、 容器内のガス組成を空気の組成に較べて、低酸素高二酸化炭素濃度に調節して、 青果物の呼吸量を抑制して鮮度保持を図ろうとするものである。

【０００３】 従来行われている、この技法を利用した具体例としては、適当なプラスチック フィルム袋と段ボールケースとの組み合わせ、或いは段ボールケースにプラスチ ックフィルムをラミネートした容器を用いること等が多く行われている。段ボー ルケースにプラスチックフィルム袋を併用する場合には、中の袋を封緘した上に 更に段ボールケースを封緘する等作業が繁雑である。また段ボールケースにプラ スチックフィルムをラミネートした場合には、段ボールシートは剛性があり形状 の加工が比較的難しいため、形態的に封緘時の密封度合を高める工夫が難しく、 その効果を充分には発揮しえていない。また、密封度合を高める手段としては、 プラスチックテープによる封緘等も試みられているが、プラスチックテープによ る封緘は作業性が悪く、しかも厳密に密封することも難しい。これらのことから ＭＡ容器として段ボールケースを、大量輸送に用いるにはまだまだ多くの問題点 があり一般的にはなっていない。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案が解決しようとする課題は、ＭＡ効果を高めながら、封緘作業を容易に し、作業性が良く、しかも鮮度保持効果の高い大量輸送容器を完成させることで ある。従来の手法では、唯単に容器の封緘を厳密に行おうとするものであり、本 考案の課題とは大きくその目的を異にしている。更に本考案の課題を詳しく説明 すると、本考案は、青果物の鮮度保持に関する挙動就中、酸素−二酸化炭素の濃 度（窒素バランス下）関係を基本とし、青果物の鮮度保持手段としての新しい環 境を求め、惹いては従来の欠点を解消しうる青果物の鮮度保持容器を開発しよう とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この課題は、青果物の輸送容器を、ガス遮蔽層をラミネートした段ボールケー スの内部に、更にガス遮蔽性を有する材料を配置し、加えてその内部に二酸化炭 素ガス発生剤又は（及び）酸素ガス発生剤を内包する段ボールケースとなすこと により解決される。

【０００６】 本考案者は上記の問題点を克服し、より良い鮮度保持容器を見いだすために、 段ボールケースの形態と素材とを種々に変え、実際に青果物を入れて検討した結 果、段ボールケース素材としては、プラスチックフィルム或は金属箔等のガス遮 蔽層をラミネートした段ボールが良いこと、これらの複合段ボールケース内にガ ス遮蔽性を有する材料を更に配置し、青果物の種類に応じた発生量の二酸化炭素 発生剤又は（及び）酸素発生剤を内包させることにより、段ボールケースの封緘 作業が容易で作業性が良く、しかも容器内部の青果物の鮮度を良好に保持出来る こと、また、複合段ボールケース内に青果物を入れた場合には、内部に結露水が 溜まり易く、その為、段ボールケース内部に配置するガス遮蔽性材料に更に吸水 性を併せ持たせることにより、更に良好に青果物の鮮度保持が達成出来ることを 見いだし本考案を完成した。

【０００７】

【考案の作用並びに構成】

本考案の基本は図１に示す通り、プラスチックフィルム或は金属箔等のガス遮 蔽層（１）をラミネートした段ボールケース（２）に、更にガス遮蔽性を有する 材料（３）を配置し、内部に二酸化炭素ガス発生剤又は（及び）酸素ガス発生剤 （４）を内包せしめた青果物の鮮度保持用包装容器である。また、更に青果物よ り発生するエチレンを除去するためのエチレン除去剤等を併用する場合には更に 鮮度保持効果が高くなるのは言うまでもない。

【０００８】 ガス遮蔽層をラミネートした段ボールケースとしては、ＡＢフルート、Ａフル ート、Ｂフルート或はＥフルートの段ボールケースの外側または内側の片面にプ ラスチックフィルム若しくは金属箔をラミネートした段ボールケース、外側と内 側の両面にプラスチックフィルム或は金属箔をラミネートした段ボールケース、 外側にプラスチックフィルムをラミネートし内側に金属箔をラミネートした段ボ ールケース、反対に外側に金属箔内側にプラスチックフィルムをラミネートした 段ボールケース、或はプラスチックフィルムをライナ原紙の層間にラミネートし た段ボールケース等が例示出来、要はガス遮蔽層を有する段ボールケースであれ ば良い。

【０００９】 段ボールケース内部に配置するガス遮蔽性を有する材料としては、上記ガス遮 蔽層を持つシート、トレイ或は袋状のものが例示できる。また更にガス遮蔽性に 吸水性を併せ持たせた材料としては、段ボールケースの内面に接する片面にガス 遮蔽層を配置乃至ラミネートしたパルプ層を内包した吸水シート、吸水性ポリマ ーを内包した吸水シート、両面段ボールシート、または片面段ボールシートから 成るものであり、たとえばこれらから成る平面シート、トレイ或は袋状のものを 例示出来る。

【００１０】 また段ボールケースの形態がＪＩＳ−Ｚ−１５０７に規定されている０２０１ 型の様な、天地に封緘部がある段ボールケースや、少なくとも一箇所にフラップ の突き合わせによる封緘部がある段ボールケースである場合には、青果物の出し 入れが容易であり、大量輸送容器として優れた特質を有するが、形態的に密封性 に劣る欠点がある。作業性に優れるが密封性には劣るこれらの形態からなるガス 遮蔽層を有する段ボールケースの封緘部がある天面や地面に、ガス遮蔽性を有す る材料を更に配置し、段ボールケース内部に二酸化炭素ガス発生剤又は（及び） 酸素ガス発生剤を配置することにより、本考案の効果は特に顕著となる。

【００１１】 また本段ボールケースに内包する二酸化炭素ガス発生剤や酸素発生剤はパック 詰め状、錠剤或はシート状等、形状を問わない。

【００１２】 段ボールケースにラミネートするプラスチックフィルム或は吸水性材料の片面 に使用するプラスチックフィルムとしては、高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）、 低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、ポリアミド（ＰＡ）、ポリエチレンテレフタ レート（ＰＥＴ）、ブタジエンラバー（ＢＲ）、エチレン酢酸ビニル共重合ポリ マー（ＥＶＡｃ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリスチレン（ＰＳ）等を例示す ることができる。

【００１３】 また金属箔としてはたとえばアルミ箔、錫箔や銅箔等が例示できる。 二酸化炭素ガス発生剤としては、炭酸塩と酸とを組み合わせた発生剤、例えば 炭酸カルシウムと有機酸、重炭酸ソーダと有機酸又は無機酸との組み合わせ、こ れらに更に無機塩類や無機フィラーを加えたもの等比較的発生時間の長いものを 効果の高い例として示すことが出来る。短時間に発生の終了するドライアイス等 は本考案には適さない。有機酸や無機酸としてはたとえばクエン酸、コハク酸、 フマール酸、マレイン酸、酒石酸、ホウ酸、ピロリン酸等を好ましいものとして 例示出来る。無機塩類としては炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナト リウム、塩化ナトリウム、硫酸バリウム、硝酸ナトリウム、硫酸カルシウム等が 、また無機フィラーとしてはゼオライト等が例示出来、通常１０〜５０％程度加 えられる。

【００１４】 酸素ガス発生剤としては、比較的長時間酸素ガスを発生しうるものであればよ く、例えば過炭酸ソーダ、過硫酸ソーダ、過酸化ソーダ、過酸化カリ等更にはこ れらに無機フィラーを加えたもの等を具体例として例示できる。

【００１５】 以下に本考案の鮮度保持段ボールケースに用いられる基材についてその代表的 なものを図１〜７に示す。また、本考案の段ボールケースを用いて実際に青果物 を包装する場合の代表例を図８〜１３に示す。但しこれ等の図面に於けるＡ〜Ｈ の記号は以下のことを示し、また図１４及び図１５は図８〜１３の段ボールケー スの構成部分を示す説明図である。

【００１６】 Ａ：青果物 Ｂ：ガス遮蔽属 Ｃ：吸水層 Ｄ：二酸化炭素発生剤、酸素発生剤 Ｅ：段ボールケース Ｆ：表ライナー Ｇ：裏ライナー Ｈ：中芯

【００１７】 以下に実際に本考案の段ボールケースを用いて、所定の果実を所定条件で輸送 した時の各種ガス濃度と果実の状態を調査した。この結果を表１〜表３に示す。 但し表１〜３は夫々以下の通りであり、これら表１〜３のラミとはラミネートを 示す。

【００１８】 ブロッコリー常温輸送３日目のガス濃度と花蕾の鮮度状態。

【００１９】

【表１】

【００２０】 ここで上記段ボールケースは普通段ボールケース、及びフィルムラミネート段 ボールケースいずれもＡ−２２０×（ＳＣＰ−１２５×３）×Ａ−２２０の原紙 構成のＡＢＦを基本構成としている。尚、フィルムやアルミ箔のラミネートは段 ボールケースの裏ライナ表面あるいは層間にラミネートした。

【００２１】 また二酸化炭素発生剤、エチレン除去剤及び酸素発生剤としては夫々炭酸カル シウム、クエン酸混合物と臭素付加活性炭を使用し、夫々の使用量は２５０g、 ２０gであった。

【００２２】 カリフラワー常温輸送３日目の各種ガス濃度と花蕾の鮮度状態。

【００２３】

【表２】

【００２４】 ここで上記段ボールケースは普通段ボールケース及びフィルムラミ段ボールケ ースいずれも表１と同じ基本原紙構成のものを用いた。尚、フィルムのラミネー トは段ボール表裏両ライナ層間にサンドイッチ状にラミネートした。

【００２５】 また二酸化炭素発生剤としては炭酸ナトリウムとフマール酸とクレーの混合物 ３００g使用し、エチレン除去剤としては臭素付加活性炭を１０g使用した。

【００２６】 カボス２kgを１５℃で６日間貯蔵したときの段ボールケース内のガス組成、及 び開封時の果皮色並びに果汁の酸濃度。

【００２７】

【表３】

【００２８】 ここで上記段ボールケースは普通段ボールケース及びアルミ箔ラミネート段ボ ールケースいずれもＡ−２２０×（ＳＣＰ−１２５×３）×Ａ−２２０の原紙構 成のＡＢＦを基本構成としている。尚、フィルムのラミネートは表ライナ層間に 、アルミ箔のラミネートは裏ライナ表面にラミネートした。

【００２９】 表１から明らかな通り、唯単に普通の段ボールケースやプラスチックフィルム ラミネート段ボールケースでは鮮度保持は明らかに不良である。これに対し本考 案の段ボールケースではいずれも同じワイヤーステッチャー封緘という簡単な封 緘作業で極めて優れた鮮度保持効果を発揮している。 表２及び表３についても表１と同じ様な結果が認められる。

【００３０】

【提出日】平成５年６月２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００２

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００２】

【従来の技術】

近年、青果物及び生花（以下単に青果物という）の鮮度保持技法の一つとして 、簡易型雰囲気ガス組成調節技術（Ｍｏｄｉｆｉｅｄ Ａｔｍｏｓｐｈｅｒｅ： 以下ＭＡという、Ｍｅｔｈｏｄ）を用いた容器での鮮度保持輸送が行われるよう になった。これは主に青果物の呼吸作用と、プラスチックフィルムの種類や厚さ の選択により異なってくるガス透過度合の違いとを利用して、容器内のガス組成 を空気の組成に較べて、低酸素高二酸化炭素濃度に調節して、青果物の呼吸量を 抑制して鮮度保持を図ろうとするものである。

【図面の簡単な説明】

【００３１】

【図１】

【００３２】本考案の段ボールケースに用いられる基材
一例を示す説明図である。

【００３３】

【図２】

【００３４】本考案の段ボールケースに用いられる基材
の一例を示す説明図である。

【００３５】

【図３】

【００３６】本考案の段ボールケースに用いられる基材
の一例を示す説明図である。

【００３７】

【図４】

【００３８】本考案の段ボールケースに用いられる基材
の一例を示す説明図である。

【００３９】

【図５】

【００４０】本考案の段ボールケースに用いられる基材
の一例を示す説明図である。

【００４１】

【図６】

【００４２】本考案の段ボールケースに用いられる基材
の一例を示す説明図である。

【００４３】

【図７】

【００４４】本考案の段ボールケースに用いられる基材
の一例を示す説明図である。

【００４５】

【図８】

【００４６】本考案の段ボールケースを用いて実際に青
果物を包装する場合の一例を示す断面図である。

【００４７】

【図９】

【００４８】本考案の段ボールケースを用いて実際に青
果物を包装する場合の一例を示す断面図である。

【００４９】

【図１０】

【００５０】本考案の段ボールケースを用いて実際に青
果物を包装する場合の一例を示す断面図である。

【００５１】

【図１１】

【００５２】本考案の段ボールケースを用いて実際に青
果物を包装する場合の一例を示す断面図である。

【００５３】

【図１２】

【００５４】本考案の段ボールケースを用いて実際に青
果物を包装する場合の一例を示す断面図である。

【００５５】

【図１３】

【００５６】本考案の段ボールケースを用いて実際に青
果物を包装する場合の一例を示す断面図である。

【００５７】

【図１４】

【００５８】段ボールケースの構成部分を表示する説明
図である。

【００５９】

【図１５】

【００６０】段ボールケースの構成部分を表示する説明
図である。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ガス遮蔽層を有する段ボールケースの内部
   に、更にガス遮蔽性を有する材料を配置し、加えてその
   内部に二酸化炭素ガス発生剤又は（及び）酸素ガス発生
   剤を内包せしめた鮮度保持段ボールケース。
2. 【請求項２】ガス遮蔽層を有する段ボールケースの内部
   に配置するガス遮蔽性材料が、ガス遮蔽性と吸水性とを
   併せ持つ材料であることを特徴とする請求項第１項記載
   の鮮度保持段ボールケース。
3. 【請求項３】ガス遮蔽性と吸水性を併せ持つ材料が、段
   ボールケースの内面に接する片側面にガス遮蔽層を有
   し、パルプ層を内包する吸水シート、吸水性ポリマーを
   内包した吸水シート、両面段ボールシート、または片面
   段ボールシートであることを特徴とする第２項記載の鮮
   度保持段ボールケース。
4. 【請求項４】ガス遮蔽層を有する段ボールケースの形態
   が、少なくとも１箇所のフラップ突き合わせによる封緘
   部を有する形態であることを特徴とする請求項第１〜３
   項のいずれかに記載の鮮度保持段ボールケース。