JPH063504U - チャック爪 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐久工具化、コスト低下及び交換作業性の向
上を図る。 【構成】 主軸台に軸支されたチャック5 前面5Aに、放
射方向に移動可能でかつ着脱自在に取付けられる複数個
一対のチャック爪1 であって、爪本体2 とその先端2Aに
着脱自在に取付けた円柱状の生爪ピース3 とからなり、
生爪ピース3 のみを消耗品として交換する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、旋盤等の工作機械において、ワークの把持部径と同寸法に切削でき るチャック爪に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、旋盤等には主軸台に軸支された主軸端にチャックが取付けられ、該チ ャックの前面に放射方向に移動可能でかつ着脱自在に複数個一対のチャック爪が 取付けられている。 従来、高精度を要求される製品には、図７及び図８に示すように、チャック30 の前面に複数個の生爪31をボルト32により取付け、この生爪31をワークの把持部 径Ｄと同寸法に切削した後、該生爪31によりワークを保持するようにしたチャッ ク爪が使用されている。そして、生爪31を所要寸法に切削する場合、図７、図８ に示すように、基準円板33を予めチャック30の生爪31に把持させてからチャック 30を回転させ、バイト34により切削している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来技術では、チャック爪全体が生 (焼入れしていない）で消耗品として 取扱われ、非常にコスト高になるほか、基準円板33を使ってワーク把持部径Ｄと 同寸法に切削するので、基準円板33の厚さ分だけワーク把持長さＬが短かく、把 持力不足を生じ、加工精度を確保できなくなる恐れがあるなどの問題がある。

【０００４】 本考案は、上述のような実状に鑑みてなされたもので、その目的とするところ は、チャック爪を消耗品とせず、破損するまで長時間使用でき、コスト低下及び 交換作業性の向上を図りうる切削可能なチャック爪を提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。 即ち、本考案は、主軸台に軸支されたチャックの前面に、放射方向に移動可能 でかつ着脱自在に取付けられる複数個一対のチャック爪であって、爪本体とその 先端に着脱自在に取付けた生爪ピースとから成ることを特徴としている。

【０００６】 また、本考案は、前記生爪ピースが円柱状とされていることを特徴としている 。

【０００７】

【作用】

本考案によれば、チャック爪にワークを把持させるに先立って、基準円板又は 治具を把持させてから、チャック爪先端の生爪ピースを、ワーク把持部径と同寸 法に切削する。そして、生爪ピースをその限界まで切削して使用し盡すと、チャ ック爪本体から切削済生爪ピースを取り外し、新品の生爪ピースを取付けて前記 と同様に切削し使用する。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。 図１〜図４は本考案の実施例を示し、1 はチャック爪で、爪本体2 とその先端 の生爪ピース3 及びピース取付ねじ4 とから成っている。そして、爪本体2 は、 チャック5 の前面5Aに取付ボルト6 により着脱自在にかつ放射方向に移動可能に 取付けられており、前記チャック5 が主軸台7 に回転自在に軸支された主軸8 の 先端に取付けられ、一体的に回転するようになっている。

【０００９】 前記爪本体2 は、略四角柱状を呈し、その先端部の側壁が先端に向って幅狭に なるように若干細くされると共に、先端面2Aに前面2B側から半円形断面の生爪ピ ース嵌着凹部9 が設けられ、該凹部底9Aによって生爪ピース3 の位置決めがされ るようになっている。 そして、爪本体2 には、その後面の幅方向中央には長手方向に延びる凹溝10が 設けられると共に、該溝10の両側後面に幅方向に延びるねじ溝11が全面に設けら れ、前面2B側から２つの段付取付孔12が設けられており、爪本体外側面2Cから先 端2Aに向けて取付ねじ4 取付工具挿入孔13,14 及び段付のねじ取付孔15が設けら れ、前記取付ねじ4 が挿入係止されるようになっている。なお、該各孔13,14,15 は同一軸線上に設けられ、かつ取付ボルト6 に干渉しない前面2B端寄りに位置し ている。

【００１０】 また、前記取付ねじ挿通孔13,14 及び取付孔15は、前後２列に設けて、２本の 取付ねじにより生爪ピース3 を固定することができる。そして、完成された爪本 体2 は、焼入れ処理が行なわれ耐久工具として仕上げられ、精度が長期にわたり 確保される。 前記生爪ピース3 は、円柱形を呈し、前記爪本体2 のねじ取付孔15に対応して 、軸線 (長手) 方向に２つのねじ孔16,17 が設けられ、両ねじ孔16,17 は生爪ピ ース3 を軸線方向に反転させても前記取付孔15と合致するようになっており、該 ピース3 の軸線方向端部が爪本体2 の前面2Bより若干突出している。なお、生爪 ピース3 は、焼入れ処理のされていない切削工具によって容易に切削できるもの である。

【００１１】 上記実施例において、生爪ピース3 をワーク把持部径Ｄに合わせて予め切削す る場合、図１、図４に鎖線Ｍで示す基準円板をチャック爪1 の爪本体2 の先端部 2A後部で把持した後、バイド等の工具で旋削できるが、図４及び図５に示す治具 18を用いて、チャック爪1 をチャック5 に固定することができる。 即ち、治具18は図５に示すように、リング状治具本体19と、位置決め固定ピン 20及びその固定ナット21とからなり、治具本体19には 120度間隔でピン固定用の 段付長孔22が放射方向に設けられ、該長孔22に前記固定ピン20が挿入固定される ようになっており、位置決め固定ピン20には段付長孔22を貫通して端部に前記ナ ット21を螺着できるねじ部23が設けられている。

【００１２】 そして、該治具18によりチャック爪1 を固定する場合、図４に示すように、治 具本体19をその生爪ピース基準孔24内に、各生爪ピース3 が入るように (図５参 照）すると共に、各位置決め固定ピン20を各爪本体2 の取付孔12に嵌合させて爪 本体2 前面2Bに当接し、チャック爪1 を放射方向外方に移動させて生爪ピース3 により治具本体19を把持した後、ナット21を締め付けて位置決め固定ピン20を治 具本体19に固定する。

【００１３】 このようにして、治具18をチャック爪1 に取付けることによって、生爪ピース 3 の施削加工中にチャック爪1 がチャック5 に対して動くことがなく、生爪ピー ス3 のワーク把持部径Ｄを精度よく切削加工でき、ワーク把持長さをチャック前 面5Aまで十分に確保できる。 上記実施例において、生爪ピース3 を何度も切削加工して使用不能な状態にな れば、前記取付ねじ4 を緩めて抜き出すことにより容易に生爪ピース3 を取外す ことができ、新品の円柱状生爪ピース3 を爪本体2 先端の前記凹部9 に嵌合し、 取付ねじ4 により固定すればよく、爪本体2 をチャック5 から取外すことなく生 爪ピース3 の取替えが短時間で能率的に行える。

【００１４】 図７に示すものは、本考案の他の実施例であり、内張用チャック爪である。 この内張用チャック爪1 は、加工物の内周面を掴持するものである。このチャ ック爪1 は、爪本体2 とその先端に取付けられた生爪ピース3 とピース取付ねじ 4 とから成っている。 前記爪本体2 の前面には、十字状の嵌合凹溝25と嵌合突条26とが形成されてい る。生爪ピース3 の爪本体取付面には、前記嵌合凹溝25と嵌合突条26とに嵌合す る突条27と凹溝28とが十字状に形成されている。そして、爪本体2 の嵌合凹溝25 と嵌合突条26に、生爪ピース3 の嵌合突条27と凹溝28が嵌合した状態において、 その十字の中心に前記取付ねじ4 が螺合され、生爪ピース3 を爪本体2 に固定し ている。

【００１５】 本考案は、上記実施例に限定されるものではなく、例えば、生爪ピース3 の形 状は角柱状又は断面長円形の柱状とすることができ、生爪ピース3 に基準円板当 接部を設けて、基準円板によって生爪ピース3 の切削長さが制限されないように することができる。

【００１６】

【考案の効果】

本考案は、上述のように、主軸台に軸支されたチャックの前面に、放射方向に 移動可能でかつ着脱自在に取付けられる複数個一対のチャック爪であって、爪本 体とその先端に着脱自在に取付けた生爪ピースとから成ることを特徴とするもの であるから、生爪ピースのみを消耗品として交換すればよくかつ、爪本体を長期 間使用でき、生爪ピースをストックすればよいのでコスト低下を図りうると共に 、爪本体をチャックに取付けたまゝで生爪ピースを容易にかつ短時間で能率的に 交換でき、作業性の向上を図ることができる。

【００１７】 また、本考案は、生爪ピースが円柱状とされているので、把持径の小さいワー クを把持できると共に、生爪ピースの加工及び爪本体の生爪ピース嵌着凹部の成 形加工が容易であり、安価に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示しチャックに取付けた状態
の正面図である。

【図２】同実施例の拡大側面図である。

【図３】同中央縦断側面図である。

【図４】同実施例のチャックに治具を用いて固定した状
態を示す断面図である。

【図５】治具の背面図である。

【図６】本考案の他の実施例を示す組立分解図である。

【図７】従来例を示す正面図である。

【図８】図７のＡ−Ａ線断面図である。

【符号の説明】

１ チャック爪 ２ 爪本体 2A 先端 ３ 生爪ピース ５ チャック 5A 前面 ７ 主軸台

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 主軸台に軸支されたチャックの前面に、
   放射方向に移動可能でかつ着脱自在に取付けられる複数
   個一対のチャック爪であって、爪本体とその先端に着脱
   自在に取付けた生爪ピースとから成ることを特徴とする
   チャック爪。
2. 【請求項２】 前記生爪ピースが円柱状とされているこ
   とを特徴とする請求項１のチャック爪。