JPH06346367A - 合成繊維用処理剤 - Google Patents

合成繊維用処理剤

Info

Publication number
JPH06346367A
JPH06346367A JP13359093A JP13359093A JPH06346367A JP H06346367 A JPH06346367 A JP H06346367A JP 13359093 A JP13359093 A JP 13359093A JP 13359093 A JP13359093 A JP 13359093A JP H06346367 A JPH06346367 A JP H06346367A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
synthetic fiber
alkylene oxide
yarn
treating agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP13359093A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3089895B2 (ja
Inventor
Hideo Nagahara
秀夫 長原
Eiji Otsubo
栄治 大坪
Toshiharu Hoshino
敏晴 星野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP13359093A priority Critical patent/JP3089895B2/ja
Publication of JPH06346367A publication Critical patent/JPH06346367A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3089895B2 publication Critical patent/JP3089895B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 合成繊維の各単糸の交絡性、耐熱性、平滑性
および糸と金属ローラーとの平滑性がよく、長時間安定
操業ができる合成繊維用処理剤を提供する。 【構成】 分子量が600〜1000でアルキレンオキ
サイドを含有しない二価脂肪酸エステル合物A、分子量
が600〜1000でエチレンオキサイドを20〜50
重量%含有する二価脂肪酸エステル合物B、分子量が1
500〜2500アルキレンオキサイドを38〜63重
量%含有する多価アルコールアルキレンオキサイド付加
エステル化合物C、および分子量が1000〜2000
でアルキレンオキサイドを5〜20重量%含有する高級
アルコールアルキレンオキサイド付加物Dを、前記Aが
35〜45重量%、前記Bが35〜45重量%、前記C
が5〜20重量%、前記Dが5〜20重量%の範囲で混
合して得られた混合物が90重量%以上を占める合成繊
維用処理剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合成繊維用処理剤に関
するものである。詳しくは、産業用途、とくにエアバッ
クなどの高強力布帛用の高強力合成繊維用処理剤に関す
るものであり、さらに詳しくは、高強力合成繊維の製糸
性およびこの合成繊維をウォータージェットルームを用
いて織成するなどの製織工程における製織性を向上し得
る合成繊維用処理剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、チオジプロピオン酸エステルとヒ
マシ油、もしくは硬化ヒマシ油にエチレンオキサイド付
加物を配合した組成物からなる合成繊維用処理剤を合成
繊維に付与することは、例えば特開昭54−14721
4号公報に記載されている。
【0003】前記特開昭54−147214号公報に記
載された合成繊維用処理剤は、耐熱性にすぐれ、この処
理剤が付与された合成繊維は製糸性が向上し、高倍率延
伸を可能として高強力糸が得られると共に、合成繊維の
製造工程における発煙も少なく、作業環境を向上するこ
とのできるものである。
【0004】一方、合成繊維の製糸性を向上する方法と
して、合成繊維を形成する各単糸を交絡することが特公
昭36−12230号公報により知られている。
【0005】本発明者らは、合成繊維の製造工程におい
て、前記の特開昭54−147214号公報に記載され
た合成繊維用処理剤を付与すると共に、前記の特公昭3
6−12230号公報に記載された記載された各単糸の
交絡技術を兼用することによって、より製糸性が向上
し、高倍率延伸が可能となり、高強力糸が得られるかど
うかについて試みた。
【0006】しかしながら、前記の特開昭54−147
214号公報に記載された合成繊維用処理剤と、前記の
特公昭36−12230号公報に記載された技術との双
方を併合しても、各々の作用効果を兼ね備えた合成繊維
を得ることができないことが判った。
【0007】その最大の理由の一つは、前記特開昭54
−147214号公報に記載された合成繊維用処理剤
は、耐熱性がすぐれることによって、製糸性の向上には
一応の効果が認められるものの、この合成繊維用処理剤
が付与された合成繊維は、各単糸の交絡性および交絡保
持性が劣り、この結果例え前記特公昭36−12230
号公報に記載の技術を組合わせたとしても、各単糸の交
絡性向上による製糸性向上効果についてはほとんど期待
できないのである。
【0008】さらにその原因を追及した結果、前記特開
昭54−147214号公報に記載された合成繊維用処
理剤を使用した場合には、延伸ローラにおける加熱ロー
ラ、例えばホットローラの表面にタールが付着し、長時
間安定した操業ができないという問題を生じていたこと
が判明した。
【0009】さらに、前記特開昭54−147214号
公報に記載された合成繊維用処理剤を用いた場合は、水
との相溶性が悪いため、水と接するとスカムが発生する
という問題点が見出され、この処理剤を適用した合成繊
維は、ウォータージェットルームで製織する用途には不
適切であることが判った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術が有する欠点を解決するためになされたものであ
り、合成繊維の各単糸間の摩擦係数を高くし、各単糸の
交絡性および交絡保持性がすぐれ、かつ耐熱性、平滑性
および糸と金属ローラーとの平滑性がよく、さらに加熱
ローラーの表面にタールが堆積され難く、長時間安定し
た操業を行うことのできる合成繊維用処理剤の提供を目
的とするものである。
【0011】上記特性を有する合成繊維用処理剤を適用
した合成繊維は、製糸工程における糸切れ、単糸切れが
少なく、品位の良い高強力糸が得られる。
【0012】そして、上記特性を有する合成繊維用処理
剤が適用された合成繊維は、例えばウォータージェット
ルーム製織する際に、合成繊維に付着されている処理剤
によるスカムが発生せず、容易に水に溶解するため、製
織が極めてスムーズに行われる。
【0013】本発明のさらに他の目的は、合成繊維を製
織した後の精練工程で脱油する際に、効率よく脱油する
ことの可能な合成繊維用処理剤を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の合成繊維用処理剤は、分子量が600〜
1000でアルキレンオキサイドを含有しない二価脂肪
酸エステル合物(A)、分子量が600〜1000でエ
チレンオキサイドを20〜50重量%含有する二価脂肪
酸エステル合物(B)、分子量が1500〜2500で
アルキレンオキサイドを38〜63重量%含有する多価
アルコールアルキレンオキサイド付加エステル化合物
(C)、および分子量が1000〜2000でアルキレ
ンオキサイドを5〜20重量%含有する高級アルコール
アルキレンオキサイド付加物(D)を、前記(A)が3
5〜45重量%、前記(B)が35〜45重量%、前記
(C)が5〜20重量%、前記(D)が5〜20重量%
の範囲で混合して得られた混合物が90重量%以上を占
めることを特徴とする。
【0015】
【実施態様】本発明に係る合成繊維用処理剤について、
以下具体的に詳述する。
【0016】本発明に係る合成繊維用処理剤は、分子量
が600〜1000でアルキレンオキサイドを含有しな
い二価脂肪酸エステル合物(A…以下、単に化合物Aと
呼ぶ)を35〜45重量%、分子量が600〜1000
でエチレンオキサイドを20〜50重量%含有する二価
脂肪酸エステル合物(B…以下、単に化合物Bと呼ぶ)
を35〜45重量%、分子量が1500〜2500でア
ルキレンオキサイドを38〜63重量%含有する多価ア
ルコールアルキレンオキサイド付加エステル化合物(C
…以下、単に化合物Cと呼ぶ)を5〜20重量%および
分子量が1000〜2000でアルキレンオキサイドを
5〜20重量%含有する高級アルコールアルキレンオキ
サイド付加物(D…以下、単に化合物Dと呼ぶ)を5〜
20重量%の割合で混合した混合物を、90重量%以上
の主成分として含有するものである。
【0017】前記化合物(A)としては、1,6−ヘキ
サンジオール、ネオペンチルグライコール、ネオペンチ
ルグライコールオキシピバレートなどと、一塩基酸、例
えばオレイン酸、エルシン酸、イソステアリン酸、ラウ
リン酸、オクチル酸などとのエステル、ジオレイルアジ
ペート、ジイソステアリルアジペート、ジオクチルアジ
ペートなどのアジビン酸エステル、ジオレイルセバケー
ト、ジオクチルセバケートなどのセバシン酸エステル、
ジオレイルチオジプロピオネート、ジオクチルプロピオ
ネートなどのチオジプロピオネート酸エステルなどが好
ましく用いられる。
【0018】前記化合物(A)の分子量が600未満に
なると、合成繊維用処理剤を付与した合成繊維の極圧性
が低く、延伸時に糸条と延伸ローラとの間で油膜切れを
起こし、糸条と延伸ローラとの摩擦が増大する結果、製
糸性が低下して合成繊維を高倍率延伸できなくなり、7
g/d以上を有する高強度の合成繊維を得ることができ
なくなるため好ましくない。
【0019】また、前記化合物(A)の分子量が100
0を越えると、糸条と延伸ローラーなどとの摩擦、すな
わち対金属摩擦が高くなり、高倍率延伸によるローラー
表面と合成繊維の各単糸との摺動が円滑に行われなくな
って、単糸切れが生じやすくなるため好ましくない。
【0020】したがって、前記化合物(A)の分子量を
600〜1000とすることによって、製糸性を安定さ
せて高倍率延伸を施すことが可能となり、高強度の合成
繊維を得ることができる。
【0021】また、本発明で使用される化合物(B)と
しては、ジオクチルアルコールEO3 アジペート、ジラ
ウリルアルコールEO3 アジペートおよびジオレイルア
ルコールEO3 アジペートなどのアジピン酸エステル、
ならびにセバチン酸エステル、ジオクチルアルコールE
3 チオジプロピオネートジラウリルアルコールEO3
チオジプロピオネートおよびジオレイルアルコールEO
3 チオジプロピオネートなどのチオジプロピオン酸エス
テルなどが挙げられる。
【0022】この化合物(B)の分子量が600未満で
は、極圧性が不足して製糸性が低下する傾向となり、ま
た1000を越えると、糸条と金属ローラとの摩擦が高
くなり、製糸性が低下する傾向となるため好ましくな
い。
【0023】なお、この化合物(B)は、エチレンオキ
サイドを含有することが必須であり、エチレンオキサイ
ドの含有量が20重量%未満の場合には、製織工程にお
いて処理剤成分と水とを混合する際の粘度が高くなり、
この混合物の処理が困難となるため好ましくない。
【0024】一方、化合物(B)中のエチレンオキサイ
ドの含有量が50重量%を越えると、合成繊維用処理剤
を付与した合成繊維の極圧性が低く、延伸時に糸条と延
伸ローラとの間で油膜切れを起こし、糸条と延伸ローラ
との摩擦が増大する結果、製糸性が低下して、合成繊維
を高倍率延伸できなくなり、得られた合成繊維を7g/
d以上の高強度とすることが困難となる。
【0025】したがって、化合物(B)中のエチレンオ
キサイドの含有量は、20〜50重量%、好ましくは3
0〜45重量%の範囲にする必要がある。
【0026】本発明で使用する化合物(C)としては、
高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、多価アル
コールアルキレンオキサイド付加物、または多価アルコ
ールアルキレンオキサイド付加物にモノカルボン酸を反
応して得られる非イオン活性剤などが挙げられる。
【0027】前記化合物(C)における多価アルコール
のアルキレンオキサイド付加物とは、多価アルコールに
対し、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなど
のアルキレンオキサイドを付加したものであり、具体的
には硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、ヒマシ油
エチレンオキサイド付加物、ソルビトールエチレンオキ
サイド付加物およびトリメチロールプロパンエチレンオ
キサイド付加物などが挙げられる。なかでも好ましくは
硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、ソルビトール
エチレンオキサイド付加物または高級アルコールアルキ
レンオキサイド付加物である。
【0028】この化合物(C)の分子量が1500未満
の場合は、合成繊維を高倍率熱延伸する際に、ホットロ
ーラなどの加熱体の表面にタール状の汚れを発生しやす
くなるばかりか、発煙も多くなる傾向となるため好まし
くない。
【0029】また、化合物(C)の分子量が2500を
越える場合には、糸条と延伸ローラーなどとの摩擦、す
なわち対金属摩擦が高くなって、高倍率延伸できず、高
強度の合成繊維が得られなくなるため好ましくない。
【0030】なお、この化合物(C)は、アルキレンオ
キサイドを含有することが必須であり、アルキレンオキ
サイドの含量が38重量%未満の場合は、低分子で炭化
水素の割合が増えることにより、合成繊維を高倍率熱延
伸する際に、熱ローラーなどの加熱体の表面の汚れ発生
が著しく、また発煙量も多くなるため好ましくない。
【0031】一方、活性剤(C)におけるアルキレンオ
キサイドの含量が63重量%を越えると、合成繊維と延
伸ローラーとの摩擦、すなわち対金属摩擦が高くなって
合成繊維を高倍率延伸できなくなり、したがって合成繊
維を高強度とすることができなくなるため好ましくな
い。
【0032】したがって、前記化合物(C)は、その分
子量を1500〜2000、とくに1800〜220
0、アルクレングリコールの含有量を38〜63重量%
とする必要がある。
【0033】前記化合物(D)の分子量が1300未満
の場合は、合成繊維を高倍率熱延伸する際に発煙が多
く、環境を著しく悪化すると共に、延伸ローラーなどの
加熱体の表面の汚れが生じやすく、この汚れによって延
伸中の合成繊維の単糸切れおよび糸切れを生じ、高強力
の合成繊維を得ることができなくなるため好ましくな
い。
【0034】一方、化合物(D)の分子量が2000を
越えると、合成繊維の各単糸間同士、すなわち単糸と単
糸との摩擦が低くなって交絡性が低下すると共に、交絡
保持性が低く、製織工程において単糸切れした単糸の端
部が製織された基布の表面に突出し、この基布にエラス
トマーを塗布した際に前記単糸端部の突出部分にエラス
トマーが多く付着する傾向になるため、その周辺部は逆
に薄くなったり、また単糸端部が突出した部分の影の部
分にエラストマーが存在しなくなることがあり、このよ
うなエラストマーコーティング布帛を例えばエアーバッ
クに用いた場合に、折り畳まれた布帛を膨脹空気で急激
に拡開する際に、一部が破裂するなどの障害を生じ、エ
アーバックとしての機能を満足し得ないものとなって、
産業用途への使用が制限されることから好ましくない。
【0035】なお、この化合物(D)は、アルキレンオ
キサイドを含有することが必須であり、アルキレンオキ
サイドの含量が5重量%未満の場合は、熱ローラーなど
の加熱体の表面の汚れ発生および発煙量が多くなり、ま
た20重量%を越えると、対金属摩擦が高くなって合成
繊維を高倍率延伸できなくなり、高強度の合成繊維が得
られない傾向となるため好ましくない。
【0036】したがって、前記化合物(D)は、その分
子量を1200〜2000、とくに1300〜160
0、アルクレングリコールの含有量を5〜20重量%と
する必要がある。
【0037】前記化合物(D)における高級アルコール
としては、例えばオクチルアルコール、2−エチルヘキ
シルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコー
ル、ミリスチルアルコール、オレイルアルコールおよび
イソステアリルアルコールなどが挙げられ、なかでも2
−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコールおよび
ラウリルアルコールが好ましく用いられる。
【0038】本発明の合成繊維用処理剤の主成分を構成
する混合物における前記化合物(A)、化合物(B)、
活性剤(C)および化合物(D)の配合比は、前記
(A)が35〜45重量%、前記(B)が35〜45重
量%、前記(C)が5〜20重量%、前記(D)が5〜
20重量%の範囲内である。
【0039】前記混合物における化合物(A)と化合物
(B)の合計配合割合が70重量%未満になると、すな
わち例えば化合物(A)および(B)の内いずれか一方
が35重量%で、他方が35重量%未満となった場合
は、合成繊維を高倍率延伸する際に、合成繊維の表面と
延伸ローラーとの摩擦、すなわち対金属摩擦が高くな
り、合成繊維の高倍率延伸が円滑に行われず、単糸切れ
が生じやすくなると共に、高強度の合成繊維を得ること
ができなくなるため好ましくない。
【0040】一方、前記混合物における化合物(A)と
化合物(B)の合計配合割合が90重量%を越えると、
すなわち、例えば化合物(A)および(B)の内いずれ
か一方が45重量%で、他方が45重量%を越える場合
は、合成繊維の交絡性および交絡保持性が低下して、延
伸中に糸割れを生じると共に、得られた合成繊維を布帛
となす製織工程において、製織される布帛の表面に単糸
切れした単糸の端部が突出し易くなり、高品質の布帛を
得ることが困難となるため好ましくない。
【0041】前記混合物における活性剤(C)の配合割
合が5重量%未満の場合、合成繊維の延伸工程で糸割
れ、単糸切れによる毛羽の発生、糸切れを生じやすく、
高品質の高強力合成繊維を得ることができないため好ま
しくない。
【0042】一方、前記混合物における活性剤(C)の
配合割合が20重量%を越えると、合成繊維の単糸と単
糸との摩擦が低くなって交絡性が低下すると共に、交絡
保持性が低く、製織工程において単糸切れした単糸の端
部が突出し、高品位の布帛を得ることができないため好
ましくない。
【0043】前記混合物における化合物(D)の配合割
合が重量%未満の場合、合成繊維の単糸と単糸との摩擦
が低くなって、糸条を形成する各単糸の表面が滑りやす
く、交絡を形成しにくくなるばかりか、交絡下後の交絡
保持性が低く、単糸が遊離しやすくなり、さらには延伸
時に単糸切れを生じた単糸の端部が糸条から遊離して、
製織工程で得られた布帛の表面に突出し、高品位の布帛
を得ることができなくなるため好ましくない。
【0044】一方、前記混合物における化合物(D)の
配合割合が20重量%を越えると、合成繊維を高倍率延
伸することができなくなり、単糸切れ、糸切れが多くな
る。
【0045】前記のように、混合物における化合物
(A)、化合物(B)、活性剤(C)および化合物
(D)の混合比率は、製糸性および製織後の布帛の品質
に大きく影響する。
【0046】前記混合物は合成繊維用処理剤の主成分で
あり、合成繊維用処理剤全体の90重量%以上を占める
ようにすることによって、合成繊維の製糸性および得ら
れた合成繊維の製織性を維持し、混合物に含まれる化合
物(A)、化合物(B)、活性剤(C)および化合物
(D)を形成する各配合物の作用を十分に発揮させるこ
とができる。
【0047】したがって、本発明の構成要件である上記
各成分(A)〜(D)に、PH調整剤、制電防止剤、粘
度安定剤および極圧剤などの調整剤を必要に応じて追加
混合して用いることができ、これらの調整剤などの添加
量は、処理剤全体に対して10重量%未満の範囲内であ
る。
【0048】本発明に係る合成繊維用処理剤を繊維に付
与する方法としては、非水系油剤、あるいは水で乳化し
エマルジョン処理剤となし、ローラーあるいはガイド給
油装置を用いて紡糸工程あるいは延伸工程で付与する方
法がある。
【0049】本発明に係る合成繊維用処理剤は極圧性、
潤滑性、耐熱性にすぐれており、繊維の製造工程および
/または加工工程で付与されるが、とくにナイロン、ポ
リエステルなどの強度の高い産業資材用合成繊維に適す
る。
【0050】したがって、本発明の合成繊維用処理剤で
処理された合成繊維は、タイヤコード、シートベルト、
エアバック用基布、漁網、ロープ、およびVベルトなど
の各種産業用途に対し、好適に適用することができる。
【0051】以下に、実施例を挙げて、本発明の構成お
よび効果についてさらに詳述する。
【0052】
【実施例】各実施例および各比較例における評価は、次
の方法で行い、表示した。
【0053】延伸性:ポリマーの重量で1トン分のナイ
ロン66フィラメントを延伸する間に発生した糸切れ回
数により示した。
【0054】延伸時の糸割れ:延伸時の糸割れ状況を肉
眼で観察した。 ○;糸割れがほとんどない ×;糸割れが多い。
【0055】発煙性:延伸時のホットローラーにおける
発煙状態を肉眼観察した。 ○;発煙がない △;発煙がほとんどない ×;発煙が多い。
【0056】ホットローラの汚れ:延伸時のホットロー
ラーにおける汚れの状態を観察した。 ○;汚れがない △;汚れがほとんどない ×;汚れが多い。
【0057】糸−糸間の摩擦: ○;摩擦係数0.26以上 △;摩擦係数0.25〜0.26 ×;摩擦係数0.25以下。
【0058】交絡性:無撚の糸に100gの荷重を加え
たピンを引掛け、ピンが移動した距離により交絡性を算
出する。
【0059】製織性:製織効率で判断。95%以上を良
とする。
【0060】油剤の脱落性:水への浸漬前後の残指率で
判断。水に浸漬して落ちやすいものを良とする。
【0061】[実施例1,2、比較例1〜4]840デ
ニール、132フィラメントのナイロン66フィラメン
トを通常の方法で溶融紡糸し、得られた糸条に表1の組
成からなる処理剤をローラー給油法により糸条に対し、
1重量%付与した後、巻き取ることなく200℃で延伸
倍率5倍に、ホットローラーを用いて多段熱延伸した。
【0062】表1における処理剤成分の各記号の詳細は
下記に示した通りである。
【0063】A1……ジイソステアリルアジペート A2……C24〜26アルコールチオジプロピオン酸エステ
ル A3……2エチルヘキシルパルミテート B1……ジオクチルアルコールEO2 アジペート B2……ジラウリルアルコールEO3 チオジプロピオン
酸エステル B3……オレイルオレート C1……硬化ヒマシ油EO付加物分子量2000 C2……トリメチロールプロパンEO24ジステアレート D1……ソルビトールEO付加物分子量850 D2……C8 アルコールPOEO付加物分子量1400 D3……高級アルコールEO7
【表1】 上記評価を行ったところ、表2に示すような結果が得ら
れた。表2から明らかなごとく、実施例1,2は、比較
例1〜4に比較して、延伸性、交絡性、および水への脱
落性が著しく向上している。
【0064】
【表2】 [実施例3,4、比較例5〜8]840デニール、13
2フィラメントのナイロン66フィラメント糸を、通常
の方法で溶融紡糸し、得られた糸条に表3の組成からな
る処理剤をローラー給油法により繊維に対し、1重量%
付与した後、巻き取ることなく200℃で延伸倍率5倍
に、ホットローラーを用いて多段熱延伸した。
【0065】繊維に対する処理剤付着量は1.0重量%
であった。
【0066】延伸時のホットロラーでの発煙性、ホット
ローラーの汚れ状態、延伸性(延伸時の糸切れ回数)な
どを測定した。
【0067】表3における処理剤成分の各記号の詳細は
下記に示した通りである。
【0068】A4……ジイソステアリルアルコールチオ
ジプロピオン酸エステル A3……オレイルオレート B4……ジイソステアリルアルコールEO3 チオジプロ
ピオン酸エステル B5……ジラウリルアルコールEO3 チオジプロピオン
酸エステル C1……硬化ヒマシ油EO付加物分子量2000 D1……ソルビトールEO付加物ジステアレート分子量
850 D4……トリメチロールプロパンEO付加物分子量20
00 D5……ラウリルアルコールEOPO付加物分子量15
00 D6……C12〜13アルコールEO9 D3……高級アルコールEO7
【表3】 上記評価を行ったところ、表4に示すような結果が得ら
れた。表4から明らかなごとく、本発明に係る実施例
3,4は、比較例5に比較して延伸性、水への脱落性が
すぐれ、比較例6、7に比較して交絡性、耐熱性がすぐ
れ、比較例8に比較して延伸性、延伸時の糸割れにすぐ
れている。
【0069】
【表4】 [実施例5,6、比較例9〜12]840デニール、1
32フィラメントのナイロン66フィラメント糸を通常
の方法で溶融紡糸し、得られた糸条に表5の組成からな
る処理剤をローラー給油法により繊維に対し、1重量%
付与した後、巻き取ることなく200℃で延伸倍率5倍
に、ホットローラーを用いて多段熱延伸した。
【0070】繊維に対する処理剤付着量は1.0重量%
であった。
【0071】延伸時のホットロラーでの発煙性、ホット
ローラーの汚れ状態、延伸性(延伸時の糸切れ回数)を
測定した。
【0072】表5における処理剤成分の各記号の詳細は
下記に示した通りである。 A5……ジラウリルアルコールEO2 アジペート A6……ジオクチルアルコールEO3 チオジプロピオン
酸エステル B4……ジイソステアリルアルコールEO3 チオジプロ
ピオン酸エステル B6……ジオレイルチオジプロピオン酸エステル B7……C24〜26アルコールチオジプロピオン酸ジエス
テル C3……硬化ヒマシ油EO付加物分子量3000 C1……硬化ヒマシ油EO付加物分子量2000 C4……硬化ヒマシ油EO付加物分子量1000 D7……トリメチロールプロパンEO24ジステアレート D8……C18アルコールEOPO付加物分子量2000 D9……C18アルコールEOPO付加物分子量3000
【表5】 上記評価を行ったところ、表6に示すような結果が得ら
れた。表6から明らかなごとく、本発明に係る実施例
5,6は、比較例9に比較して交絡性、製織性、水への
脱落性にすぐれ、比較例10、11、12に比較して延
伸性、発煙性、延伸時の糸割れにすぐれている。
【0073】
【表6】
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の合成繊維
用処理剤を付与することにより、糸〜金属間の動摩擦係
数減少および耐熱性向上がはかれるため、製糸時の糸切
れを減らすことができ、また各単糸間の摩擦係数を高く
し、各単糸の交絡性および交絡保持性を高めることがで
きる。
【0075】さらに、ウォータージェットルーム製織工
程では、合成繊維に付着されている処理剤によるスカム
が発生せず、容易に水に溶解するため、製織がスムーズ
に行われ、製織効率を著しく高めることができる。
【0076】すなわち、本発明に係る合成繊維用処理剤
は、原糸強度7g/d以上の高強力の合成繊維を得る際
に糸切れがなく、高倍率延伸が可能な高強度繊維を得る
製糸性および製織性にすぐれた効果を奏すると共に、単
糸の飛び出しがない高品質の産業用布帛、とくにエアバ
ック用基布が得られるというすぐれた効果をも奏する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子量が600〜1000でアルキレン
    オキサイドを含有しない二価脂肪酸エステル合物
    (A)、分子量が600〜1000でエチレンオキサイ
    ドを20〜50重量%含有する二価脂肪酸エステル合物
    (B)、分子量が1500〜2500アルキレンオキサ
    イドを38〜63重量%含有する多価アルコールアルキ
    レンオキサイド付加エステル化合物(C)、および分子
    量が1000〜2000でアルキレンオキサイドを5〜
    20重量%含有する高級アルコールアルキレンオキサイ
    ド付加物(D)を、前記(A)が35〜45重量%、前
    記(B)が35〜45重量%、前記(C)が5〜20重
    量%、前記(D)が5〜20重量%の範囲で混合して得
    られた混合物が90重量%以上を占めることを特徴とす
    る合成繊維用処理剤。
JP13359093A 1993-06-03 1993-06-03 合成繊維用処理剤 Expired - Lifetime JP3089895B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13359093A JP3089895B2 (ja) 1993-06-03 1993-06-03 合成繊維用処理剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13359093A JP3089895B2 (ja) 1993-06-03 1993-06-03 合成繊維用処理剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06346367A true JPH06346367A (ja) 1994-12-20
JP3089895B2 JP3089895B2 (ja) 2000-09-18

Family

ID=15108371

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13359093A Expired - Lifetime JP3089895B2 (ja) 1993-06-03 1993-06-03 合成繊維用処理剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3089895B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008031149A (ja) * 2006-06-29 2008-02-14 Hiroshima Univ 新規ジカルボン酸ジエステル化合物、化学物質改質剤及びその利用
WO2011162073A1 (ja) * 2010-06-24 2011-12-29 松本油脂製薬株式会社 エアバッグ用合成繊維処理剤、エアバッグ用合成繊維フィラメントおよびエアバッグ用基布

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008031149A (ja) * 2006-06-29 2008-02-14 Hiroshima Univ 新規ジカルボン酸ジエステル化合物、化学物質改質剤及びその利用
WO2011162073A1 (ja) * 2010-06-24 2011-12-29 松本油脂製薬株式会社 エアバッグ用合成繊維処理剤、エアバッグ用合成繊維フィラメントおよびエアバッグ用基布
JP4940382B2 (ja) * 2010-06-24 2012-05-30 松本油脂製薬株式会社 エアバッグ用合成繊維処理剤、エアバック用合成繊維フィラメントおよびエアバッグ用基布
CN102947501A (zh) * 2010-06-24 2013-02-27 松本油脂制药株式会社 气囊用合成纤维处理剂、气囊用合成纤维纤丝及气囊用基布
CN102947501B (zh) * 2010-06-24 2014-11-26 松本油脂制药株式会社 气囊用合成纤维处理剂、气囊用合成纤维纤丝及气囊用基布

Also Published As

Publication number Publication date
JP3089895B2 (ja) 2000-09-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH06346367A (ja) 合成繊維用処理剤
JP3089764B2 (ja) 合成繊維用処理剤
JP3089763B2 (ja) 合成繊維用処理剤
JP3378181B2 (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JPH05148764A (ja) 合成繊維用処理剤
JPH07173768A (ja) 合成繊維用処理剤
JPH05148765A (ja) 合成繊維用処理剤
JPH05148763A (ja) 合成繊維用処理剤
JPH08269870A (ja) エアーバッグ用ポリエステルマルチフィラメント糸及びエアーバッグ用ポリエステル織物の製造方法
JPH05148767A (ja) 合成繊維用処理剤
EP0163403A2 (en) Wholly aromatic polyamide fiber
JP2000017573A (ja) 合成繊維用処理剤および合成繊維
JP3804771B2 (ja) ポリケトン繊維
JP2874331B2 (ja) 合成繊維用処理剤
JP3132271B2 (ja) 合成繊維の処理方法
JP2948022B2 (ja) 産業資材織物用合成繊維
JPH0784707B2 (ja) 無撚無糊織物経糸用の油剤組成物および該油剤組成物を用いる高速製糸方法
JPS5926547A (ja) ポリアミドフイラメント平織物
JP3909265B2 (ja) 合成繊維の延伸仮撚加工方法
JPH0127195B2 (ja)
JPH05148762A (ja) 合成繊維用処理剤
JPH09273078A (ja) 合成繊維用処理剤及び該処理剤が付着したポリアミド繊維
US7579047B2 (en) Lubricant and soil release finish for textured yarns, methods using same and fabrics produced therefrom
JPH06173169A (ja) 合成繊維用処理剤
JPH01306684A (ja) 高速摩擦仮撚に適した油剤

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090721

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090721

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100721

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100721

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120721

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130721

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term