JPH06346192A - 耐衝撃性に優れた薄鋼板 - Google Patents

耐衝撃性に優れた薄鋼板

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JPH06346192A
JPH06346192A JP14082593A JP14082593A JPH06346192A JP H06346192 A JPH06346192 A JP H06346192A JP 14082593 A JP14082593 A JP 14082593A JP 14082593 A JP14082593 A JP 14082593A JP H06346192 A JPH06346192 A JP H06346192A
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JP
Japan
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strength
steel sheet
steel
static
impact resistance
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JP14082593A
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English (en)
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Kazuya Miura
和哉 三浦
Eiji Iizuka
栄治 飯塚
Kazunori Osawa
一典 大沢
Makoto Imanaka
誠 今中
Takaaki Hira
隆明 比良
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄鋼板における静的強度値に対する動的強度
の値が、軟鋼板のそれと同等以上に高い耐衝撃性に優れ
た自動車用薄鋼板を提供すること。 【構成】 C:0.010 〜1.50wt%、B:0.0002〜0.0070
wt%およびMn:8.0 〜16.0wt%を含有する高Mn薄鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高Mn含有鋼であって、
主として自動車用部品として、プレス成形等の加工が施
されて用いられる自動車用鋼板として有利に用いられ、
なかでも自動車が走行中に万一衝突した場合に優れた特
性, 即ち耐衝撃性が求められる部位の素材として好適に
用いられる薄鋼板に関しての提案である。最近、地球環
境保全の機運が高まってきたことから、自動車からのCO
2 排出量の低減が求められている。そのために、自動車
車体の軽量化が図られており、それはまた、鋼板の高強
度化によって板厚を低減させることを意味することか
ら、素材としてはプレス成形性と強度の両方に優れたも
のが求められている。さらに、自動車車体の設計思想に
着目すると、鋼板の単なる高強度化のみでなく、より大
切なことは走行中に万一衝突した場合の耐衝撃性に優れ
た鋼板、すなわち高歪速度で変形した場合の変形抵抗の
大きくしかも薄い鋼板の開発が必要であり、これを実現
してこそ自動車の安全性の向上を伴った車体の軽量化が
図られ、より望ましい自動車用鋼板を提供することがで
きる。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用鋼板の材質強化の方法
は、フェライト単相組織鋼では主としてSi, Mn, Pとい
った置換型元素添加による固溶強化、あるいはNb, Tiと
いった炭・窒化物形成元素を添加することによる析出強
化といった方法が一般的である。例えば、特開昭56−13
9654号公報等に記載されているように、加工性、時効性
を改善するために極低炭素鋼にTi, Nbを含有させ、さら
に加工性を害しない範囲でP等の強化成分を含有させて
高強度化を図った鋼板が数多く提案されている。この他
にも、例えば特開昭59−193221号公報には、Si添加によ
ってさらに高強度化を図る方法の提案もなされている。
【0003】たしかに、このような方法での鋼板の高強
度化によって、自動車ボディーの板厚減少はある程度可
能となった。しかしながら、これらの提案は、鋼板強度
の指標である降伏強度あるいは引張強度を、歪速度が10
-3〜10-2(s-1) と極めて遅い静的な評価方法に基づいて
判断している。しかしながら、実際の自動車ボディーの
設計では、このような“静的”な強度よりも、衝突時の
安全性を考慮した、歪速度10〜104 (s-1) での衝撃的な
変形を伴う“動的”な強度の方がより重要になるため、
従来のかような提案では、自動車車体の軽量化に対して
は真に有効な手段を提供するものとは言えない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】というのは、従来、上
述した静的な強度と動的な強度とは、同じ傾向をもつも
のとして一義的に取り扱っており、主として静的な強度
のみを基準にして判断していた。ところが、発明者らの
研究によると、動的な強度は、必ずしも静的な強度に対
応しておらず、従って、各種改良素材の静的強度の改良
がそのまま動的強度の向上にはつながらないということ
が判った。そして、この傾向は、とくに高張力鋼板につ
いて著しいものがあった。
【0005】すなわち 図1は、変形速度と強度との関
係に及ぼす軟鋼と高張力鋼との影響を示すものである。
この図に明らかなように、軟鋼板における変形速度10-3
〜10 -2(s-1) の静的強度と、10〜104 (s-1) の動的強度
は軟鋼板の静的強度ほどには高い値を示さないことが判
る。このことは、自動車用高張力鋼板の板厚を静的強度
値に基づいて薄肉化した場合には、動的強度, 即ち、耐
衝撃強度の方は不足するという結果になることを意味し
ている。そして、このことはまた、静的強度値だけを基
準にして高張力鋼板の薄肉化を図ってきた従来の考え方
は見直さなければならないことを示唆している。本発明
の目的は、上述した従来技術が抱えている問題点を克服
することにあり、とくに薄鋼板における静的強度値に対
する動的強度の値が、軟鋼板のそれと同等以上に高い耐
衝撃性に優れた自動車用薄鋼板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題に対してそ
の解決を目指して鋭意研究した結果、軟鋼のように低歪
速度下における強度のみならず、高歪速度下における強
度、即ち、耐衝撃強度にも優れた薄鋼板とするには、単
に静的強度だけが高い値を示すものでは不十分であるこ
とが判った。このことはまた、単に高歪速度下における
強度、即ち動的強度だけが高い値を示すものを開発する
こと(不経済である)で足りることを意味しておらず、
いわゆる、静的強度と動的強度とがうまく釣り合ってい
ることが必要であるということが判った。すなわち、プ
レス成形性に優れかつ高歪速度下での耐衝撃強度にも優
れた鋼板は、 静動比=(歪速度 102(s-1) での降伏応力)/(歪速度10
-3(s-1)での降伏応力) で定義される、静動比が 1.6以上の薄鋼板であれば、自
動車用部品として用いられた場合に、高歪速度下でも軟
鋼板と同等以上の高い強度の歪速度依存性が得られるの
で、自動車車体の安全性向上を軽量化の実現にあわせて
達成することができることが判った。
【0007】このような知見に基づき発明者らはさら
に、上記静動比におよぼす化学組成の影響を詳細に検討
し、以下に述べるような要旨構成からなる本発明自動車
用鋼板とそれの製造方法を開発した。すなわち、本発明
は、 C:0.010 〜1.50wt%、B:0.0002〜0.0070wt% Mn:8.0 〜16.0wt% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる耐衝
撃性に優れた薄鋼板、である。
【0008】
【作用】発明者らは、上述した薄鋼板の静動比を向上さ
せるべく、まず、13%Mn鋼をベースに、静動比に及ぼす
冶金学的要因の影響、とくに化学組成について検討を重
ねた。その結果、高Mn化により鋼中に残留γ相を多く析
出させることが、該静動比の向上に極めて有効であるこ
とを知見した。すなわち、この残留γの増大が何故、静
動比に影響を与えるのかは、必ずしも明確とは言えない
が、本発明者らの考察では、残留γの歪誘起変態によっ
て鋼板が強化されるが、同一歪量であっても歪が導入さ
れる速度によって歪誘起変態は異なり、とくに歪速度が
大きくなると変態が促進される結果として、静動比の向
上が達成されるとの結論に達した。従って、静動比を向
上させるためには、かかる歪速度を大きくする成分組成
にすることが必要である。
【0009】さらに、薄鋼板における上記の静動比が、
軟鋼板の静動比: 1.6以上を示すようになるには、上記
高Mn鋼中に含まれるCの制御ならびにBの添加を検討す
ることが、高・低両歪速度下での各強度の向上に対して
とりわけ有効に作用するという知見を得た。
【0010】すなわち、本発明を構成する各成分元素と
含有量は、静動比と同時に成形性向上のために、次のよ
うな理由によって限定される。 C:0.010 〜1.50wt% Cは、γの安定化作用を通じて残留γ相を析出させる作
用を担う元素である。この作用は、C:0.010 wt%以上
の含有で顕れる。一方、このCの含有量が1.50wt%を超
えると、鋼板が硬質化してプレス成形性が著しく低下す
ると共に、静動比の低減を招く傾向が強くなる。従っ
て、C含有量は、0.010 〜1.50wt%の範囲に限定した。
【0011】B:0.0002〜0.0070wt% このBは、粒界偏析を抑制することにより静動比を向上
させるのに有効な元素である。すなわち、PやSなどの
不純物が粒界に偏析すると粒界の変形能が低下する結
果、変形中の応力場は、静動比の向上に有効な転位運動
で支配される短距離応力場から、熱活性過程が寄与しな
い粒界間で形成される長距離応力場に変化し、静動比が
減少する。これに対して、Bを添加すると粒界偏析が抑
制されて静動比が向上するのである。このようなBの作
用効果は、0.0002wt%以上の添加によって顕われるが、
0.0070wt%にて添加効果が飽和する。従って、B含有量
は0.0002〜0.0070wt%に限定した。
【0012】Mn:8.0 〜16.0wt% このMnは、本発明において最も重要な役割を担う元素で
あり、いわゆるγを安定化して残留γを析出させるのに
有効である。この作用は、8.0 wt%の添加によって初め
て得られるものである。しかし、このMn含有量が16.0wt
%を超えると、鋼板が硬質化してプレス成形性が著しく
低下する。従って、Mn含有量は、8.0 〜16.0wt%に限定
した。
【0013】次に、本発明製造方法について説明する。
本発明は、上述した成分組成の鋼素材を溶製, 鋳造して
得た鋼片について、常法に従って熱間圧延ならびに冷間
圧延を行う。そして、これらの圧延後最終焼鈍を1100℃
以上で行った後、冷却過程での平均冷却速度を 500℃以
下の温度まで毎秒10℃以上の冷却速度で行う。なお、本
発明鋼は、自動車用鋼板を対象としているが、同様に高
歪速度下での強度を要求される用途にも有効であること
はいうまでもない。
【0014】
【実施例】表1に示すような種々の化学組成の鋼を転炉
にて溶製し、連続鋳造して鋳片を得た。その鋳片を熱間
圧延して35mmtの熱延鋼板を得た。さらにこれらの熱延
鋼板を冷間圧延して0.7mmtの冷延鋼板を製造した。そし
て、得られたこれらの熱延鋼板, 冷延鋼板について、引
張試験により歪速度10-3(S-1) と102 (S-1) での降伏強
度を測定して静動比ならびに伸び(%)を求めた。その
特性を表1中にまとめて示す。この表1に示す結果から
明らかなとおり、本発明に適合する鋼(No.3, 4, 7, 8,
13〜16, 19, 20) , 静動比ならびに成形性のいずれもが
優れた薄鋼板であることが判る。これに対し、Cが少な
い例 (No.1, 2)、多い例 (No. 21, 22) はいずれも静動
比が 1.6を超えることはなく、またBが不足( No. 5 ,
6), または過剰( No.11,12) のものでは静動比が小さ
く、そしてMnが過剰(No.17, 18) のものでは十分な成形
性が得られないという結果となった。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
薄鋼板の成分組成を適正化することによって、従来より
も静動比が格段に優れた薄鋼板を製造することができる
と共に、これらを自動車用鋼板に利用することによっ
て、自動車車体の軽量化と安全性の向上を図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】変形速度と強度との関係に及ぼす軟鋼と高張力
鋼との影響を示す説明図。
フロントページの続き (72)発明者 大沢 一典 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 今中 誠 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 比良 隆明 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.010 〜1.50wt%、B:0.0002〜0.00
    70wt% Mn:8.0 〜16.0wt% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる耐衝
    撃性に優れた薄鋼板。
JP14082593A 1993-06-11 1993-06-11 耐衝撃性に優れた薄鋼板 Pending JPH06346192A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100711361B1 (ko) * 2005-08-23 2007-04-27 주식회사 포스코 가공성이 우수한 고망간형 고강도 열연강판 및 그 제조방법
US20090308499A1 (en) * 2006-07-11 2009-12-17 Arcelormittal France Process for manufacturing iron-carbon-manganese austenitic steel sheet with excellent resistance to delayed cracking, and sheet thus produced

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US9200355B2 (en) * 2006-07-11 2015-12-01 Arcelormittal France Process for manufacturing iron-carbon-manganese austenitic steel sheet with excellent resistance to delayed cracking, and sheet thus produced
US10006099B2 (en) 2006-07-11 2018-06-26 Arcelormittal Process for manufacturing iron-carbon-maganese austenitic steel sheet with excellent resistance to delayed cracking
US10131964B2 (en) 2006-07-11 2018-11-20 Arcelormittal France Iron-carbon-manganese austenitic steel sheet

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