JPH06346094A

JPH06346094A - 非引火性洗浄剤組成物

Info

Publication number: JPH06346094A
Application number: JP5156167A
Authority: JP
Inventors: Noriaki Kumagai; 典昭熊谷; Takeo Hosogai; 武郎細貝
Original assignee: Kuraray Co Ltd
Current assignee: Kuraray Co Ltd
Priority date: 1993-06-02
Filing date: 1993-06-02
Publication date: 1994-12-20

Abstract

(57)【要約】【目的】火災の危険性が無く、幅広い種類の油脂性物
質に対応して優れた洗浄力を有し、かつ、安価に供給し
得る等の諸種の要求を満足し、しかも、地球環境の悪化
の要因となることのない洗浄剤組成物を提供する。【構成】３−メトキシ−３−メチルブタノール１０〜
８４重量％と、水９０〜１６重量％とからなる非引火性
洗浄剤組成物、または、３−メトキシ−３−メチルブタ
ノール１０〜８０重量％と、水９０〜２０重量％と、脂
肪族二価アルコールモノ低級アルキルエーテルアセテー
ト、炭素数６〜１２の一価アルコール、炭素数３〜６の
Ｎ−アルキルアミド化合物及び炭素数８〜１２のケトン
化合物の中から選択される化合物０〜６０重量％と、界
面活性剤０〜２０重量％とからなる非引火性洗浄剤組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば、金属加工、電
子部品加工または光学部品加工等の際に必要な油脂性物
質、あるいはこれらの加工の際に付着した油脂性物質を
取り除くための非引火性洗浄剤組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】金属加工、電子部品加工または光学部品
加工等の際に必要な油脂性物質、あるいはこれらの加工
の際に付着した油脂性汚染物質を取り除くための非引火
性洗浄剤としては、該油脂性物質に対する洗浄力が優れ
ていること、及び火災の危険性が無いこと等の性質によ
り、１，１，１−トリクロロエタン、四塩化炭素、１，
１，２−トリクロロ−１，２，２−トリフルオロエタン
等からなる塩素系化合物や弗素系化合物が使用されてい
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記した塩
素系化合物や弗素系化合物による洗浄剤は、成層圏のオ
ゾン層を破壊したり、温室効果をもたらしたり等の地球
環境の悪化の要因となることが明らかになっており、各
国でその使用の全廃が決定している。

【０００４】このため、地球環境の悪化の要因となるこ
とのない代替洗浄剤が種々提案されているが、火災の危
険性が無く、しかも、幅広い種類の油脂性物質に対応し
て優れた洗浄力を有し、かつ、安価に供給し得る等の諸
種の要求を満足し得るものは、未だ実在していないのが
現状である。

【０００５】これに対して本発明は、火災の危険性が無
く、幅広い種類の油脂性物質に対応して優れた洗浄力を
有し、しかも、地球環境の悪化の要因となることも無
く、かつ、安価に供給し得る新規な非引火性洗浄剤組成
物を提供する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、第１成分とし
ての３−メトキシ−３−メチルブタノール１０〜８４重
量％と、第２成分としての水９０〜１６重量％とからな
る非引火性洗浄剤組成物からなる。また、本発明は、第
１成分としての３−メトキシ−３−メチルブタノール１
０〜８０重量％と、第２成分としての水９０〜２０重量
％と、第３成分としての脂肪族二価アルコールモノ低級
アルキルエーテルアセテート、炭素数６〜１２の一価ア
ルコール、炭素数３〜６のＮ−アルキルアミド化合物及
び炭素数８〜１２のケトン化合物の中から選択される化
合物０〜６０重量％と、第４成分としての界面活性剤０
〜２０重量％とによる非引火性洗浄剤組成物からなる。

【０００７】前記構成による本発明の非引火性洗浄剤組
成物を形成する各成分は、それぞれが安価に入手し得る
ものであり、かかる点において本発明の非引火性洗浄剤
組成物は安価に供給し得る。

【０００８】本発明の非引火性洗浄剤組成物における第
１成分としての３−メトキシ−３−メチルブタノール
は、該化合物の単独であっても例えば液晶加工工程等に
おける洗浄剤等の特定の洗浄用途に供されており、その
洗浄力が確認されている。しかしながら、３−メトキシ
−３−メチルブタノールは引火点を有する化合物であ
り、消防法区分による危険物第４類第２石油類に分類さ
れるものであるため、３−メトキシ−３−メチルブタノ
ール単独による洗浄剤は、防爆設備中で取り扱わなけれ
ばならないという煩雑性を有する。

【０００９】本発明の非引火性洗浄剤組成物における第
２成分としての水は、本発明の洗浄剤組成物に非引火性
能を与えるための成分であり、３−メトキシ−３−メチ
ルブタノールと水とによる洗浄剤組成物の場合には、水
分率が約１６重量％以上になっていれば着火源を近付け
ても着火することなく消火し、引火の危険性が全く無い
ことが確認されている。

【００１０】しかしながら、３−メトキシ−３−メチル
ブタノールと水との組成物に対して、さらに、第３成分
としての脂肪族二価アルコールモノ低級アルキルエーテ
ルアセテート、炭素数６〜１２の一価アルコール、炭素
数３〜６のＮ−アルキルアミド化合物及び炭素数８〜１
２のケトン化合物の中から選択される化合物が添加され
ると、かかる第３成分をなす化合物の種類や量等によ
り、洗浄剤組成物中の水分率と引火の性質との関係が若
干相違すること、及び、作業上の安全性をより確実にす
ること等の観点から、第２成分としての水を２０重量％
以上の割合で含有していることがより好ましい。

【００１１】本発明の非引火性洗浄剤組成物における第
２成分としての水の割合は、洗浄剤組成物の非引火性の
観点からは高い程好ましいが、被洗浄剤物質である油脂
性物質に対する洗浄能力の点から、多くても９０重量％
好適には４０重量％以下である。

【００１２】本発明の非引火性洗浄剤組成物における第
３成分としての脂肪族二価アルコールモノ低級アルキル
エーテルアセテート、炭素数６〜１２の一価アルコー
ル、炭素数３〜６のＮ−アルキルアミド化合物及び炭素
数８〜１２のケトン化合物から選択される化合物は、洗
浄の対象物である油脂性物質の溶解性を高める作用を果
たすもので、被洗浄物である油脂性物質の種類に応じて
は必ずしも必要なものでは無く、被洗浄物である油脂性
物質の種類に応じて適切な第３成分が選択される。本発
明の非引火性洗浄剤組成物における第３成分の割合は、
被洗浄物であるである油脂性物質の種類に応じて適宜決
定されるが、０〜６０重量％好ましくは０〜５０重量％
の範囲で含有される。

【００１３】第３成分としての脂肪族二価アルコールモ
ノ低級アルキルエーテルアセテートの具体例は、３−メ
トキシ−３−メチルブチルアセテート、プロピレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート等である。また、
炭素数６〜１２の一価アルコールの具体例は、ベンジル
アルコール、１−オクタノール等である。さらに、炭素
数３〜６のＮ−アルキルアミド化合物の具体例は、Ｎ，
Ｎ’−ジメチルホルムアミド、Ｎ−メチルピロリドン等
である。また、炭素数８〜１２のケトン化合物の具体例
はイソホロン等である。

【００１４】本発明の非引火性洗浄剤組成物における第
４成分である界面活性剤も、第３成分と同様に洗浄の対
象物である油脂性物質の種類に応じては必ずしも必要な
ものでは無く、被洗浄物である油脂性物質の種類に応じ
て適宜使用される。界面活性剤は、入手が容易な非イオ
ン性、アニオン性、カチオン性等のいずれのものであっ
ても良く、本発明の非引火性洗浄剤組成物中において０
〜２０重量％の範囲で含有される、経済的観点から５重
量％以下で含有されることが好ましい。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の非引火性洗浄剤組成物の具体
的な構成を実施例に基づいて説明する。実施例１〜実施例１１、比較例１〜４［表１］〜［表３］の所定欄に記載されている成分組成
による本発明の非引火性洗浄剤組成物の実施例品と、比
較例品である洗浄剤（組成物）とを得た。なお、［表
１］〜［表３］において、ＭＭＢは３−メトキシ−３−
メチルブタノールの略記であり、ＭＭＢ−Ａｃは３−メ
トキシ−３−メチルブチルアセテートの略記である。

【００１６】

【表１】

【００１７】

【表２】

【００１８】

【表３】

【００１９】［実験１］実施例１〜実施例１１及び比較
例１〜４の各洗浄剤（組成物）の引火点（℃）を、ＪＩ
Ｓ規格に基づき、タグ密閉式引火点測定装置またはクリ
ーブランド式引火点測定装置によって測定した。結果を
［表４］に示す。

【００２０】

【表４】

【００２１】［実験２］実施例１、実施例６及び実施例
９の洗浄剤組成物による油性切削油、水性切削油、プレ
ス油及びワックスに対する洗浄性能試験を、以下の方法
によって行なった。結果を［表５］に示す。

【００２２】「洗浄性能試験方法」ステンレススチール
金属片（材質ＳＵＳ−３０４，１００ｍｍ×５０ｍ
ｍ、厚さ１ｍｍ）からなる試験片をメタノールとアセト
ンとで順次洗浄し、次いで、４０℃の乾燥器中に３０分
間放置した後、デシケーター中で室温に冷却してから最
小単位０．１ｍｇの精度で秤量した。

【００２３】この試験片の下半分に洗浄の対象物質であ
る油脂性物質を筆を利用して塗布し、１００℃のオーブ
ン中に３０分間保持した後、室温に冷却してから重量を
測定し、洗浄の対象物質である油脂性物質の試験片への
付着量を秤量により求めた。

【００２４】続いて、前記洗浄の対象物質である油脂性
物質が付着している試験片を、実施例１、実施例６及び
実施例９による各洗浄剤組成物３００ｍｌ中に浸漬し、
６０℃にて２分間の超音波（２８ＫＨｚ，２５０Ｗ）を
当てて洗浄した後、試験片を洗浄剤組成物中から取り出
し、３００ｍｌの蒸留水に浸漬し、室温にて２分間の超
音波（２８ＫＨｚ，２５０Ｗ）を当ててリンスし、上層
に浮いた油脂性物質をデカンテーションで除去した。

【００２５】次いで、蒸留水中から試験片を取り出し、
８０℃の温風乾燥器中で５分間乾燥した後、試験片を秤
量し、各試験片に付着している油脂性物質の重量を測定
することにより、洗浄剤組成物による油脂性物質の除去
率（％）を算出し、各洗浄剤組成物の洗浄性能試験を行
なった。

【００２６】なお、前述の洗浄性能試験に利用した油脂
性物質は、油性切削油・・・・プラスドールＣＵ９５、水性
切削油・・・・ベースゾール９５、プレス油・・・・オメガ６１
３、ワックス・・・・パラフィンワックスである。

【００２７】

【表５】

【００２８】［実験３］実施例２、実施例３、実施例７
及び比較例４による洗浄剤組成物による油性プレス油に
対する洗浄性能試験を行なった。なお、洗浄性能試験方
法は、［実験２］の方法による洗浄性能試験方法におい
て、蒸留水によるリンスの代わりに、被洗浄物の洗浄に
利用した洗浄剤組成物と同一組成の新たな洗浄剤組成物
を利用してリンスを行ない、それ以外の手順については
全て［実験２］の対応する手順と同一の方法により実施
した。被洗浄物である油性プレス油としては、鉱油（Ｔ
Ｐ−６０）を使用した。結果を［表６］に示す。

【００２９】

【表６】

【００３０】

【発明の効果】本発明の非引火性洗浄剤組成物は、第１
成分としての３−メトキシ−３−メチルブタノール１０
〜８４重量％と、第２成分としての水９０〜１６重量％
とからなる。また、本発明の非引火性洗浄剤組成物は、
第１成分としての３−メトキシ−３−メチルブタノール
１０〜８０重量％と、第２成分としての水９０〜２０重
量％と、第３成分としての脂肪族二価アルコールモノ低
級アルキルエーテルアセテート、炭素数６〜１２の一価
アルコール、炭素数３〜６のＮ−アルキルアミド化合物
及び炭素数８〜１２のケトン化合物の中から選択される
化合物０〜６０重量％と、第４成分としての界面活性剤
０〜２０重量％とからなる。

【００３１】前記構成による本発明の非引火性洗浄剤組
成物は、引火の危険性が無いため、防爆設備中で取り扱
わなければならない等の使用上の煩雑性が無く、また、
例えば、油性切削油、水性切削油、プレス油、ワックス
等の広範囲の種類の油脂性物質に対して良好な洗浄作用
を有しており、しかも、塩素系化合物や弗素系化合物に
よる洗浄剤のような成層圏のオゾン層の破壊や、温室効
果等の地球環境の悪化の要因となることがなく、従来の
塩素系化合物や弗素系化合物よりなる非引火性洗浄剤の
代替え洗浄剤として極めて高度の利用価値を有する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｃ１１Ｄ 7:32）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】第１成分としての３−メトキシ−３−メ
チルブタノール１０〜８４重量％と、第２成分としての
水９０〜１６重量％とからなることを特徴とする非引火
性洗浄剤組成物。
【請求項２】第１成分としての３−メトキシ−３−メ
チルブタノール１０〜８０重量％と、第２成分としての
水９０〜２０重量％と、第３成分としての脂肪族二価ア
ルコールモノ低級アルキルエーテルアセテート、炭素数
６〜１２の一価アルコール、炭素数３〜６のＮ−アルキ
ルアミド化合物及び炭素数８〜１２のケトン化合物の中
から選択される化合物０〜６０重量％と、第４成分とし
ての界面活性剤０〜２０重量％とからなることを特徴と
する非引火性洗浄剤組成物。