JPH0634504Y2 - シート部材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は建築要素の分野に属し、外装材や屋根材等に
利用される。

（従来の技術） 従来の接着による複合板の大面積のパネルの製作におい
て、シーム溶接やスポツト溶接で接合しようとすれば接
着剤が燃焼したり、抵抗溶接の場合は接着剤が絶縁物と
なつたりして接合が困難であつた。又、複合板の表面材
が溶接不可能材であつたり溶融点が低かつたりした場
合、裏面材が溶接可能材としても溶接による接合は難し
かつた。

（考案が解決しようとする問題点） この考案は確実な溶接接合で敷設強度を保証した後で全
接合部をはぜ折り接合により水密性を確保できるシート
部材を提供するものである。

（問題点を解決するための手段） この考案は溶接性の良い裏面材と難溶接性の表面材との
接着接合から成る矩形状複合板において、裏面材の左右
の上隅と下隅にそれぞれ所要の切り欠き部を欠設し、表
面材の左右の上隅においては前記裏面材の切り欠き部に
対して下端と上部側端の切り欠き端を等しくして一部縦
長面の裏面材を露出する切り欠き部を欠設し、左右側縁
と上下辺縁にそれぞれ所要面積の無接着領域を配設し、
左右の無接着領域のそれぞれの内方下端において表面材
に所要の切り込みを縦設して成るものである。

（作用） 上記構成によれば、溶接時にはステンレス板より鉛板を
仮分離でき、全接合部がはぜ潰し接合で緊結される。

（実施例） この考案を実施例により具体的に説明すると、第１図に
示すように溶接性の良い裏面材（ステンレス板、鋼板
等）であるステンレス板１と難溶接性の表面材（鉛板、
亜鉛板、プラスチツクフイルム等）である鉛板２との接
着接合から成る複合板は、基準寸法を１単位（以下、10
mmを１単位とする。）として、長手方向においては左辺
で端縁より３単位幅、右辺で端縁より２単位幅をそれぞ
れステンレス板１と鉛板２とが接着していない無接着領
域３とし、短手方向においては上辺で上端より２単位
幅、下辺で下端より２単位幅をそれぞれ前記と同様の無
接着領域３としている。左上隅では左辺より４単位幅で
上辺より１単位幅、左辺より２単位幅で上辺より５単位
幅の寸方でステンレス板１を階段状に切除した切り欠き
部４を設け、同上隅の鉛板２においては左辺より４単位
幅で上辺より１単位幅、左辺より３単位幅で上辺より５
単位幅の寸法で階段状に切除した切り欠き部５を設け、
右上隅では右辺より３単位幅で上辺より１単位幅、右辺
より１単位幅で上辺より５単位幅の寸法でステンレス板
１を階段状に切除した切り欠き部６を設け、同上隅の鉛
板２においては右辺より３単位幅で上辺より１単位幅、
右辺より２単位幅で上辺より５単位幅の寸法で切り欠い
た切り欠き部７を設け、左下隅では左辺より４単位幅で
下辺より１単位幅の寸法でステンレス板１を切除した切
り欠き部８を設け、同左下隅の鉛板２には左辺より３単
位幅の位置で下辺より１単位にわたつて切り込み９を入
れ、右下隅では右辺より３単位幅で下辺より１単位幅の
寸法でステンレス板１を切除した切り欠き部10を設け、
同右下隅の鉛板２には右辺より２単位幅の位置で下辺よ
り１単位にわたつて切り込み11を入れて成るものであ
る。

このようにして成るシート部材ａはロール成形機により
長手方向において、第２図に示すように左辺で４単位幅
を90°で曲げ上げて立ちあがり縁12とし、同縁12の先端
より１単位幅をほぼ75°外側へ曲げ下げてひさし縁13を
形成し、右辺では３単位幅90°曲げ上げて立ちあがり縁
14を形成する。次に板金作業により短手方向の上辺、下
辺の左右短部より10単位左右辺へ下がつた地点相互間に
おける上記長手方向の曲げ処理を平面に戻す。次いで板
金作業により短手方向において、第３図に示すように上
辺より３単位幅で90°曲げ上げて立ちあがり縁15とし、
下辺より３単位幅で90°曲げ上げて立ちあがり縁16を成
形して準備される。

このように準備されたシート部材ａは、第４図に示すよ
うに一方のシート部材ａの下辺の立ちあがり縁16と他方
のシート部材ａの上辺の立ちあがり縁15とが並び合わさ
れ、それぞれ辺端より２単位で幅短手方向全幅にわたる
無接着領域３の鉛板２をステンレス板１より仮分離し、
この状態でステンレス板１相互をシーム溶接して接合
し、その後この仮分離した鉛板２に接着剤をつけるか予
め離形紙付きの接着剤を貼付しておいたものをもつて左
辺より３単位幅、右辺より２単位幅の領域を除いてステ
ンレス板１に鉛板２を接着する。次に、第５図に示すよ
うに１単位幅で上辺より下辺に向けて、すなわち、下辺
の立ちあがり縁16を上方にして第１段目のはぜ折りを施
し、その後第６図に示すようにはぜ潰し処理を施す。こ
のはぜ潰しの際、一方のシート部材ａにおける左右各下
隅のステンレス板１の切り欠き部８、10の長手方向の切
除端は他方のシート部材ａの左右各上隅におけるステン
レス板１の切り欠き部４、６の長手方向の切除端に合致
し、第７図に示すように一方のシート部材ａの左右下端
の切り込み９、11により左下隅では３単位幅で、右下隅
では２単位幅にわたつて一方のシート部材ａの下辺の鉛
板２が他方のシート部材ａの左辺、右辺の鉛板２（左辺
は３単位幅、右辺は２単位幅で）に重合接着される。次
いでこの状態のはぜ折り接合部を含む平面の長手方向の
左辺、右辺において、ロール成形機により第２図に示す
ような曲げ加工を施す。最後に一方のシート部材ａの左
辺の立ちあがり縁12と他方のシート部材ａの右辺の立ち
あがり縁14とを並び合わせ、第８図に示すように左辺に
おいては３単位幅目まで、右辺では２単位幅目まで無接
着領域３の鉛板２をステンレス板１より仮分離し、ステ
ンレス板１相互をシーム溶接して接合し、仮分離した鉛
板２に接着剤を付けるか、予め離形紙付きの接着剤を配
して鉛板２を溶接後のステンレス板１に接着し、次いで
第９図に示すようにひさし縁13を曲げ下げて第１段目の
はぜ折りをし、その後左辺の立ちあがり縁12を上方にし
て第10図に示すように２単位幅ではぜ折りし最後に第11
図に示すようにはぜ潰しして長手方向の一側の接合を完
了する。順次に同様の容量で各例のはぜ折り接合、はぜ
潰しを施して長尺、かつ、大面積のパネルを得るもので
ある。

（考案の効果） この考案によれば、敷設されるシート部材は表面材を除
いて全周溶接接合されるので表面材を傷めずに敷設強度
が確保されると共に耐候性が保証され、しかも全接合部
がはぜ潰し接合されるので緊結状態で外力（積雪荷重、
風圧等）を受けることになるため、より一層の水密性が
保証される等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のシート部材の平面図、第２図は長手
方向の左辺、右辺を曲げ加工した状態の一部省略断面
図、第３図は短手方向の上辺、下辺に曲げ加工を施した
状態の一部省略断面図、第４図から第６図まで短手方向
のシート部材相互間の接合状態を示す断面図、第７図は
短手方向のはぜ潰し接合部の一部省略部分平面図、第８
図から第11図までは長手方向のシート部材相互間の接合
状態の断面図。 図中、１はステンレス板、２は鉛板、３は無接着領域、
４、５、６、７、８、10は切り欠き部、９、11は切り込
み、12、14、15、16は立ちあがり縁、13はひさし縁。 ａはシート部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】溶接性の良い裏面材と難溶接性の表面材と
   の接着接合から成る矩形状複合板において、裏面材の左
   右の上隅と下隅にそれぞれ所要の切り欠き部を欠設し、
   表面材の左右の上隅においては前記裏面材の切り欠き部
   に対して下端と上部側端の切り欠き端を等しくして一部
   縦長面の裏面材を露出する切り欠き部を欠設し、左右側
   縁と上下辺縁にそれぞれ所要面積の無接着領域を配設
   し、左右の無接着領域のそれぞれの内方下端において表
   面材に所要の切り込みを縦設して成るシート部材。