JPH0634494Y2 - フラットスラブの柱頭部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、プレストレストコンクリート造のスラブを柱
頭部で支持するフラットスラブの柱頭部構造に係り、特
に柱頭部下面にドロップパネルやキャピタルをなくした
フラットスラブの柱頭部構造に関するものである。

〔従来の技術〕

梁を用いないでスラブを直接柱で支持する構造のフラッ
トスラブ構造は目障りな梁がなく、屋内空間の有効利用
ができる等の利点があるため、倉庫や工場等に広く適用
されている。

しかしながら従来のフラットスラブ構造では、柱頭部に
おけるフラットスラブの押抜き剪断を主としてコンクリ
ートの強度で抵抗させるため、柱頭部のスラブ支持領域
にコンクリートのドロップパネルやキャピタルを付加し
てスラブの剪断耐力を補強している。

〔考案が解決しようとする問題点〕 ところで前記従来のフラットスラブ構造では柱頭部下面
に突出部が生じ、フラットスラブの利点が最大限に生か
されないという問題があった。

本考案は上記従来技術の問題点を解決するために創案さ
れたものであって、フラットスラブ構造の強度を低下さ
せることなく、従来のドロップパネルやキャピタルをな
くし、見た目の目障りをなくすと共に、屋内空間の最大
限の有効利用がはかれるフラットスラブの柱頭部構造を
提供することを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成させるために本考案は、スラブを直接柱
で支持するフラットスラブの柱頭部構造において、柱頭
部に、打設するフラットスラブの厚さと同厚で所定の底
面積を有する高強度コンクリート製台形のコンクリート
版を固設し、該コンクリート版は、内部に同心ループ状
に補強筋が配筋されると共に縦横のメッシュ筋がその端
部を該コンクリート版の周面より所定定着長さ延出させ
て配筋され、また打設するフラットスラブにプレストレ
スを導入するPS鋼線の挿通孔が予め形成されており、上
記PS鋼線の貫通孔にPS鋼線を挿通してPS鋼線を配筋し、
該コンクリート版の上下面と同一平面にしてフラットス
ラブを打設して成る構造としたものである。

〔作用〕

柱頭部に固設した高強度コンクリート製台形のコンクリ
ート版はそれ自身のもつ高い強度と内部に配筋された同
心ループ状の補強筋と、縦横のメッシュ筋との協力効果
により、従来のフラットスラブにドロップパネルやキャ
ピタルを付加した補強構造と同等以上の剪断耐力をもつ
ため、フラットスラブの強度を低下させることなく、従
来の柱頭部下面の突出部をなくすことができる。

また高強度コンクリート製台形のコンクリート版は工場
生産のできるプレキャストコンクリートとすることによ
り工事の能率化をはかることが可能となる。

〔実施例〕

以下本考案を図示の実施例に基づいて説明する。第１図
は本考案に係る柱頭部構造の縦断面図、第２図および第
３図は夫々同上構造の補強筋配筋面およびメッシュ筋配
筋面の段違い平断面を並示した平断面図である。

図において１は独立性、２は独立性１の柱頭部に固設す
る本考案の主要部をなす高強度コンクリート製台形のプ
レキャストコンクリート版である。

コンクリート版２は例えば約400kg/cm²以上の高強度コ
ンクリートを使用し、打設するフラットスラブ３の厚さ
と同厚で所定の底面積を有する台形に形成され、内部に
同心ループ状の補強筋４と縦横のメッシュ筋５が夫々複
数層配筋され、メッシュ筋５は所定定着長さｌだけ端部
を該コンクリート版２の周面より延出されている。また
上面近くに、打設するフラットスラブ３にプレストレス
を導入するアンボンドPS鋼線６の挿通孔７が予め形成さ
れている。

なお第２図に示す補強筋４は同心円形ループ状、第３図
に示す補強筋４′は同心方形ループ状のものを例示して
いるが、この何れでも効果は同様である。またコンクリ
ート版２は図示例では正方角形台形であるが円柱等に対
して円錐形台形としてもよく、この台形周面の斜角は45
度以下が適当である。

上述のコンクリート版２は現場打ち、もしくはプレキャ
ストコンクリート製とし、プレキャストコンクリート製
とした場合工場生産して現場に搬入し、既に出来上がっ
た階層の独立柱１の柱頭部鉄筋1aに組付け柱コンクリー
トを打設し固設する。しかしてフラットスラブ３の上筋
８および下筋８′を配筋すると共に、フラットスラブ３
にプレストレスを導入するアンボンドPS鋼線６をコンク
リート版２の挿通孔７に挿通して配筋し、該コンクリー
ト版２の下面と同一面に支保した型枠９にスラブコンク
リートを打設し、コンクリート版２と同厚にフラットス
ラブ３を仕上げる。コンクリートの硬化後型枠を外しア
ンボンドPS鋼線６に張力を付与しフラットスラブ３にプ
レストレスを導入して完成する。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案は、スラブを直接柱で支持す
るフラットスラブの柱頭部構造において、柱頭部に、打
設するフラットスラブの厚さと同厚で所定の底面積を有
する高強度コンクリート製台形のコンクリート版を固設
し、該コンクリート版は、内部に同心ループ状に補強筋
が配筋されると共に縦横のメッシュ筋がその端部を該コ
ンクリート版の周面より所定定着長さ延出させて配筋さ
れ、また打設するフラットスラブにプレストレスを導入
するPS鋼線の挿通孔が予め形成されており、上記PS鋼線
の貫通孔にPS鋼線を挿通してPS鋼線を配筋し、該コンク
リート版の上下面と同平面にしてフラットスラブを打設
して成る構造としたから、柱頭部に固設した高強度コン
クリート製台形のコンクリート版はそれ自身がもつ高い
強度と内部に配筋された同心ループ状の補強筋と、縦横
のメッシュ筋との協力効果により、従来のフラットスラ
ブにドロップパネルやキャピタルを付加した補強構造と
同等以上の剪断耐力を発揮し、フラットスラブの強度を
低下させることなく、従来の柱頭部下面の突出部をなく
すことができ、施工上ではドロップパネルやキャピタル
の複雑な型枠工事がなくなると共に配管工事もドロップ
パネルやキャピタルに妨げられず単純化できる。また、
コンクリート版は工場生産のできるプレキャストコンク
リート製とすることにより工事の能率化が達成され、結
果として工費並びに工期の低減が実現される。そして完
成後は屋内に目障りなものがなく、かつ屋内空間の最大
限の有効利用がはかれる等の諸効果を奏するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は本考案に係る柱
頭部構造の縦断面図、第２図は同上構造の補強筋配筋面
およびメッシュ筋配筋面の段違い平断面を並示した平断
面図、第３図は補強筋の別の実施例の第２図と同様の平
断面図である。 １……独立柱、２……コンクリート版、３……フラット
スラブ、４……補強筋、５……メッシュ筋、６……PS鋼
線、７……PS鋼線の挿通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】スラブを直接柱で支持するフラットスラブ
   の柱頭部構造において、柱頭部に、打設するフラットス
   ラブの厚さと同厚で所定の底面積を有する高強度コンク
   リート製台形のコンクリート版を固設し、該コンクリー
   ト版は、内部に同心ループ状に補強筋が配筋されると共
   に縦横のメッシュ筋がその端部を該コンクリート版の周
   面より所定定着長さ延出させて配筋され、また打設する
   フラットスラブにプレストレスを導入するPS鋼線の挿通
   孔が予め形成されており、上記PS鋼線の貫通孔にPS鋼線
   を挿通してPS鋼線を配筋し、該コンクリート版の上下面
   と同一平面にしてフラットスラブを打設して成るフラッ
   トスラブの柱頭部構造。