JPH06344852A - 自動車用エアバッグドアの構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車室側部材の開口部にエアバッグドアを簡単
かつ容易に、しかも両者の間にわずかな組付け上のずれ
が生じた場合にも容易に位置修正を行って、エアバッグ
ドアを精度よく確実にかつ外観上美麗に装着することが
できる構造を提供する。 【構成】 車室側部材２０に設けられたエアバッグ展開
開口部２１を被覆するために該開口部に取り付けられる
エアバッグドア１０であって、前記エアバッグドアは一
端がエアバッグドアの裏面側に取り付けられ他端が前記
開口部内のエアバッグ収容部２２に取り付けられた可撓
性ヒンジ部材１５を介して結合されていることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は自動車のエアバッグ装
置において、車室側部材に設けられたエアバッグ展開開
口部を被覆するために該開口部に取り付けられるエアバ
ッグドアの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば自動車の助手席側のエアバッグ装
置は、助手席前面の車室側部材（具体的にはインストル
メントパネル）内部に装着される。この車室側部材には
エアバッグ展開開口部が形成されていて、該開口部は平
時には車室側部材と同種の外観をもったエアバッグドア
によって覆われている。そして、一旦衝突等によって車
両が大きな衝撃を受けたときには、前記開口部内のエア
バッグ収容部（キャニスター）に収納されているエアバ
ッグが作動し膨張して、このエアバッグの膨張によって
前記展開開口部を覆っているエアバッグドアが押し広げ
られ、該開口部より該エアバッグが車室内へ展開し乗員
を安全に保護する。

【０００３】この種エアバッグドアの従来構造の一例を
図９および図１０に示す。符号９０はエアバッグドア、
９１はエアバッグ収容部、９３は展開開口部、９９はイ
ンストルメントパネルからなる車室側部材である。図示
されるように、このエアバッグドア９０は、車室側部材
９９と外観および風合いの均一性を保つように、例えば
塩化ビニール等の表皮９４とポリウレタン等の発泡体層
９５とからなり、ヒンジ部材９７を介して前記収容部９
１に取り付けられ展開開口部９３を覆っている。この実
施例において、前記ヒンジ部材９７はエアバッグドア９
０の裏面に一体に形成されておりそのコア材を構成す
る。なお、後述するように合成樹脂の一体成形によって
ドア形状に形成されたものもあり、この場合にはドア本
体樹脂によりヒンジ部材が一体に形成されることもあ
る。

【０００４】ヒンジ部材９７は、アルミニウムなどの金
属または合成樹脂によって、図のように屈曲形状に形成
されていて、その一端をエアバッグ収容部９１の開口端
部に、他端をエアバッグドア９０の裏面にボルトまたは
リベット、あるいは一体成形等によって固定されてい
る。前記ヒンジ部材９７は、収容部９１内のエアバッグ
Ｂが膨張した場合に、エアバッグＢの膨張圧力によって
外方向に屈曲してエアバッグドア９０を開き、もってエ
アバッグＢを車室内に展開せしめる。

【０００５】なお、図９中の符号１００はエアバッグド
ア９０の所定位置に設けられたクリップ部材で、エアバ
ッグドア９０が閉じているときに車室側部材９９の係止
孔９８と係合し前記ドアを車室側部材９９に係止するも
のである。エアバッグの膨張時にはこのクリップ部材１
００は破断してドア９０が開かれる。

【０００６】ところで、このエアバッグドア９０は予め
エアバッグ収容部９１と連結組付けされた後、車体の車
室側部材９９の展開開口部９３に装着されるのである
が、この場合、エアバッグドア９０は車室側部材９９の
開口部９３にぴったりと合致するように装着されなけれ
ばならない。しかしながら、現実には、エアバッグドア
９０とエアバッグ収容部９１との連結組付け時および該
エアバッグドア９０を組付けたエアバッグ収容部９１を
車両に取り付ける際に、わずかな位置ずれを生ずること
がしばしばある。

【０００７】しかるに、このような場合に、この従来構
造よりなるエアバッグドア９０にあっては、該エアバッ
グドア９０が金属や樹脂などの柔軟性を有しない材質よ
りなるヒンジ部材９７を介してエアバッグ収容部９１と
固く連結固定されているものであるから、車室側部材５
９の開口部５３との間でわずかな位置修正さえも困難で
あった。

【０００８】従って、このようなエアバッグドアの取付
上のずれを吸収するために、車室側部材の開口部とエア
バッグドアとの合わせ面に若干の逃がし寸法を含ませる
必要があるが、今度はその逃がし寸法が隙間となって車
室側部材表面に現れ外観上の問題を生ずる。

【０００９】また、この従来のエアバッグドア構造にあ
っては、ヒンジ部材が金属やプラスチックよりなるため
に重くなるという問題がある。さらに、ヒンジ部材が一
体成形によって形成された樹脂製ドアにあっては、車室
内の温度や湿度の変化によって経時的に樹脂伸縮が生
じ、車室側部材との間に隙間を生じたり、互いに干渉し
て反りを生じるおそれもある。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、このよう
な問題点に鑑み提案されたものであって、車室側部材の
開口部にエアバッグドアを簡単かつ容易に、しかも両者
の間にわずかな組付け上のずれが生じた場合にも容易に
位置修正を行って、エアバッグドアを精度よく確実にか
つ外観上美麗に装着することができる自動車用エアバッ
グドアの構造を提供しようとするものである。

【００１１】また、この発明は、ヒンジ部材が軽量で、
また温度や湿度の影響を受けにくい自動車用エアバッグ
ドアの構造を提供するものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
車室側部材に設けられたエアバッグ展開開口部を被覆す
るために該開口部に取り付けられるエアバッグドアであ
って、前記エアバッグドアは一端がエアバッグドアの裏
面側に取り付けられ他端が前記開口部内のエアバッグ収
容部に取り付けられた可撓性ヒンジ部材によって結合さ
れていることを特徴とする自動車用エアバッグドアの構
造に係る。

【００１３】

【実施例】以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説
明する。図１はこの発明の一実施例を示すエアバッグド
ア構造の要部の分解斜視図、図２はその組付け状態の断
面図、図３はネット状ヒンジ部材を用いたエアバッグド
アの斜視図、図４はヒンジ部材をベルト状物によって構
成したエアバッグドアの斜視図、図５はさらにヒンジ部
材をひも状物によって構成したエアバッグドアの斜視
図、図６はネット状ヒンジ部材とエアバッグドアとの取
付状態の一例を示す要部の斜視図、図７は同じく他の取
付例を示す要部の斜視図、図８はさらに他の取付例を示
す要部の斜視図である。

【００１４】図１および図２に図示したように、この発
明構造は、エアバッグドア１０を自動車のインストルメ
ントパネル等の車室側部材２０に精度良く取り付けるた
めの構造である。この実施例においてエアバッグドア１
０は、所定のドア形状に形成された公知の構造よりな
り、車室側部材２０に設けられたエアバッグ展開開口部
２１に取り付けられて当該展開開口部２１を被覆する。
符号１８はエアバッグドア１０を車室側部材２０に取り
付けるためのクリップ部材で、２８はこのクリップ部材
１８と係合する車室側部材２０の係止孔である。

【００１５】エアバッグ展開開口部２１の内側には、エ
アバッグ収容部（キャニスター）２２が装置される。こ
のエアバッグ収容部２２内にはエアバッグＢが折り畳ま
れて収納されている。

【００１６】この発明構造においては、エアバッグドア
１０は可撓性ヒンジ部材を介して前記展開開口部２１に
取り付けられている。可撓性ヒンジ部材としては、図１
および図３に図示のようなネット状ヒンジ部材１５が使
用される。

【００１７】このネット状物よりなる可撓性ヒンジ部材
１５は、図示のように、一端がエアバッグドア１０の裏
面に取り付けられ、他端はエアバッグ収容部２２の上方
の取付部２４に取り付けられている。この可撓性ヒンジ
部材１５は、エアバッグドア１０を収容部２２に対して
柔軟かつ屈曲可能に連結することにより、前記エアバッ
グドア１０をエアバッグ展開開口部２１に対して比較的
自由度をもって装着できるようにしたものである。符号
２５，２６はネット状ヒンジ部材１５両端の取付板、２
５ａ，２６ａはその取付具である。

【００１８】なお、可撓性ヒンジ部材としては、上のネ
ット状物１５のほか、図４に図示したベルト状物６５、
または図５に図示のひも状物７５が例示される。符号６
０および７０はエアバッグドア、６６および７６はドア
側取付部、６７および７７はエアバッグ収容部側への取
付部、６７ａ，７７ａはその取付具である。

【００１９】上記した各可撓性ヒンジ部材を構成する材
質としては、エアバッグドアが展開する際の引張荷重に
耐えうる強度を有することが必要である。例えば、ナイ
ロン６またはナイロン６−６繊維、あるいはポリエステ
ル繊維、アラミド繊維等の強靱な繊維は好ましい材質で
ある。

【００２０】可撓性ヒンジ部材をネット状物１５によっ
て構成する場合、そのネットを組成する繊維は引張強度
１００ｋｇ／５ｃｍ以上、伸度１５％以上、その繊維径
は縦横共に１０００デニール以上を有していることが好
ましい。また、ネットは公知の平織または絡め織りタイ
プのものが用いられ、メッシュ径は０．５〜３ｍｍ程度
である。さらに、エアバッグドア裏面での位置ずれを防
止し熱による劣化を防ぐため、前記ネット状物の表面を
ポリウレタン等によって被覆することが好ましい。

【００２１】また、可撓性ヒンジ部材がベルト状物６５
である場合、取り付けられるエアバッグドアの大きさや
展開時に受ける引張荷重などにもよるが、その幅は約１
０ｍｍ以上で引張強度は１００ｋｇ／ｃｍ以上を有して
いることが望ましい。

【００２２】さらに、可撓性ヒンジ部材をひも状物７５
より構成する場合には、ひもの直径が約３ｍｍ以上で１
００ｋｇ／本以上の引張強度を有していることが好まし
い。

【００２３】図６はネット状ヒンジ部材３５のエアバッ
グドア３０への取付例を示したものである。この例にお
いて示されるエアバッグドア３０は、表皮３１と該表皮
３１の内側に形成された発泡樹脂３２と金属製のコア３
３とから構成されている。この例では、エアバッグドア
３０の裏面に現れる金属製コア３３に適宜数のヒンジ部
材取付孔３４が設けられる。そして、ネット状ヒンジ部
材３５が取付板３７を介してリベット３８によって前記
ヒンジ部材取付孔３４に固定される。

【００２４】図７はさらにエアバッグドア４０を樹脂に
よって構成した例である。この例では、エアバッグドア
を成形する際にネット状ヒンジ部材４５を型内にインサ
ートし、エアバッグドア４０の成形と同時に一体に可撓
性ヒンジ部材４５が固着される。

【００２５】また、図８は樹脂よりなるエアバッグドア
裏面５０に適宜数の突部５１を設け、当該突部５１の上
からネット状ヒンジ部材５５を被せ、取付板５４によっ
て挟着して固着する例である。取付板５４には前記突部
５１に対応する孔５３が設けられており、前記孔５３か
ら突出する突部５１を熱によりカシメてネット状ヒンジ
部材５５がエアバッグドア裏面５０に連結固定される。

【００２６】

【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明構
造によれば、エアバッグドアとエアバッグ収納部とが可
撓性を有するヒンジ部材によって連結されているので、
車室側部材の開口部にエアバッグドアを簡単かつ容易
に、しかも両者の間にわずかな組付け上のずれが生じた
場合にも容易に位置修正を行って、エアバッグドアを精
度よく確実にかつ外観上美麗に装着することができる。
また、この発明構造によれば、ヒンジ部材が比較的軽量
で、また温度や湿度の影響を受けにくく、自動車用エア
バッグドアの構造として極めて有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示すエアバッグドア構造
の要部の分解斜視図である。

【図２】その組付け状態の断面図である。

【図３】ネット状ヒンジ部材を用いたエアバッグドアの
斜視図である。

【図４】ヒンジ部材をベルト状物によって構成したエア
バッグドアの斜視図である。

【図５】さらにヒンジ部材をひも状物によって構成した
エアバッグドアの斜視図である。

【図６】ネット状ヒンジ部材とエアバッグドアとの取付
状態の一例を示す要部の斜視図である。

【図７】同じく他の取付例を示す要部の斜視図である。

【図８】さらに他の取付例を示す要部の斜視図である。

【図９】従来のエアバッグドア構造の要部の分解斜視図
である。

【図１０】その組付け状態の断面図である。

【符号の説明】

１０ エアバッグドア １５ ネット状ヒンジ部材 ２０ 車室側部材 ２１ 展開開口部 ２２ エアバッグ収納部 ６５ ベルト状ヒンジ部材 ７５ ひも状ヒンジ部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車室側部材に設けられたエアバッグ展開
   開口部を被覆するために該開口部に取り付けられるエア
   バッグドアであって、前記エアバッグドアは一端がエア
   バッグドアの裏面側に取り付けられ他端が前記開口部内
   のエアバッグ収容部に取り付けられた可撓性ヒンジ部材
   によって結合されていることを特徴とする自動車用エア
   バッグドアの構造。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記可撓性ヒンジ部
   材がネット状物もしくはベルト状物もしくはひも状物で
   ある自動車用エアバッグドアの構造。