JPH0634412U - 移植機の植付部取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、移植装置の後輪フレーム内に空間
を確保して植付駆動部を付設し且つハンドルの操作性を
良くする。 【構成】 機体１に前後輪１２，１３を備え、後方に移
植用植付部６９を設けたものにおいて、機体フレーム２
の後端に支柱１６を設けてゲート状の後輪フレーム１４
を取付け、上記支柱１６には植付部駆動用揺動アーム７
４の駆動用固定支点８６を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は玉ねぎ等のねぎ類，とうもろこしその他比較的細身な野菜苗の移植 機の植付部取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来上記のような野菜苗を連続的に機械植えするには、株分けされた苗をテー プに付着したものをロール状供給装置で連続供給して、テープをカットしながら 畝内の溝に落下させた後覆土するか、ばら苗をコンベア状の苗供給装置に人手で 苗供給し、植付部で落下させて上記同様の植付作業を行うものが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし上記植付装置の植付部は機体の後方に取り付けられるが、田植機のよう に植付部に苗を保持して土中に差し込む構造のものを付設しようとすると、植付 部の昇降や爪の開閉等を行わせる複雑で且つ大型化し易い、駆動機構を機体後方 に設けざるを得ないため、機体構成上無理があるほか、ハンドル操作等の妨げに なるという問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記ような問題点を解決するための本考案の植付部取付構造は、前輪１２及び 後輪１３を軸支した走行機体１上に植付苗２９の供給装置２７を設け、該供給装 置２７の終端部下方に植付苗２９を受取って圃場に植付ける植付部６９を設け、 該植付部６９の揺動アーム７４を機体フレーム２側に取付けたものにおいて、機 体フレーム２の後端に上方で後輪フレーム１４を懸架する支柱１６を立設し、該 支柱１６に上記揺動アーム７４を揺動させる固定支点８６を設けたことを特徴と している。

【０００５】

【作用】 植付部６９を昇降せしめる揺動アーム７４の後端は、支柱１６側の固定支点８ ６を固定支点として揺動を案内され、植付部６９は該固定支点８６に案内されて 植付作動が行われる。 そしてこのような揺動アーム７４の駆動部が後輪フレーム１４の下方空間内に 設置されるので、複雑で大きい軌跡を備えたものでも付設することができ、且つ 支柱近傍の空間は、歩行型走行機体のハンドル操作の妨げにもならない。

【０００６】

【実施例】

図１〜図３は玉ねぎの移植装置の全体側面図、平面図、要部背面図を示し、走 行機体１の機体フレーム２は前端のトランスミッション３と後方の植付伝動ケー ス４とが接続されて構成されており、トランスミッション３上にはエンジン６が 搭載され、エンジン出力プーリ７はエンジン後方に軸支されるとともに、トラン スミッション３上に併設されたカウンタ軸８を介し、トランスミッション３には 前方の入力プーリ９より動力が入力される構成となっている。この構成により入 力プーリ９の径が大小自由に決められる。

【０００７】 上記トランスミッション３には後端が揺動自在なチェンケース１１を介して前 輪１２が昇降自在に付設され、後輪１３は伝動ケース４の後端に固設されたゲー ト状の後輪フレーム１４の両側に軸支されている。後輪フレーム１４は、伝動ケ ース４の後端に立設された支柱１６、該支柱１６上にフレーム受け１７によって 着脱自在にＴ字形に横設された六角形断面のパイプからなるビーム１８、該ビー ム１８の両端にアーム受け１９を介して下向きに着脱自在に取付けられたアーム ２１とで構成され、後輪１３は該アーム２１の下端に軸支されている。

【０００８】 ２２は機体中心部後方に延びる伝動ケース４の後方左右位置に、取付プレート ２３を介して取付けられている２本のパイプからなるハンドルで、該ハンドル２ ２の間には機体の操作ボックス２４が付設され、左右のハンドル２２は後方上部 に広がって後輪１３より後方位置まで延びている。

【０００９】 機体フレーム２の前半位置上には背面視逆三角形状をなす苗台フレーム２６が 取付けられ、該苗台フレーム２６の上面には後方に向かって下降傾斜するように 苗供給装置２７が設置され、該供給装置２７は下段において左右二列のコンベア からなる苗送り装置２８と、該苗送り装置２８に株分けされた多数の植付苗２９ を供給し且つストックするカセット状の給苗器３１とからなっている。

【００１０】 苗送り装置２８は、図１〜図３及び図７，図８に示すように苗台フレーム２６ 上に前後方向に架設されたコンベアフレーム３２の前後端に、左右に振分けて軸 支（３０）されたスプロケット３３に、チェン３４を巻掛けた二列のチェンコン ベアからなり、上記各チェン３４外周には多数のＬ字形断面のプレート３６が一 定ピッチで左右方向に固着され、該プレート３６間に植付苗２９が１本ずつ収容 されて後部終端方向に間欠的に送られる。２５はコンベアのガイド底板である。

【００１１】 図７，図８に示すように上記コンベアフレーム３２の終端における左右両端に はサイドプレート３７が、また中央にはセンタープレート３８がそれぞれ立設さ れ、該プレート３７，３８の上端には左右方向にガイド軸３９が支持されており 、ガイド軸３９には各チェンコンベアの終端上を近接位置で覆うようにガイドカ バー４１の上端がスリーブ４２を介して回動自在に軸支され、コンベア終端で苗 ２９が不規則に放出されるのを防止している。上記スリーブ４２の両側には弾力 性を有するゴム又はプラスチック製のリング４３が嵌着され、スリーブ４２の左 右動を規制している。 上記苗送り装置２８は、コンベア終端部のスプロケット３３と一体的に軸支さ れたラチェットホイル４４を間欠的に回転させることで送り駆動され、該送り駆 動は連動ワイヤ４６（図１，図９，図１０参照）を介して後述する植付部の植付 作動に連動して間欠的に行われる。

【００１２】 給苗器３１は図４〜図６に示すように、上記苗送り装置２８の各コンベアの長 さに対応した左右の側枠４７間に、コンベアの幅（苗長さ）に対応した多数の仕 切板４８を左右方向に且つコンベア側のプレート３６と同一ピッチで上下二段に 横設した苗枠４９の中間部（上下の仕切板４８の間）と底部に、シャッター５１ を側方から挿脱自在に挿入したもので構成されている。 そして各仕切板４８間はコンベアのプレート３６と対応した苗収容部５２を形 成するとともに、各シャッター５１は各苗収容部５２の底部を構成し、上段のシ ャッター５１は苗収容部５２を上下に区切る役割を果たし、シャッター５１を重 ねて挿入すると上下二段の収容部が形成される。５３，５４はそれぞれ苗枠４９ の前後端とシャッター５１の外側端に付設された取扱用の把手である。 図示する例ではシャッター５１は上下二段、前後二枚がそれぞれ独自に挿脱可 能に分割構成されており、上段のシャッター５１は、その挿入時には下段の仕切 板４８の上端に支持され且つ案内されるが、下段のシャッター５１は側枠４７の 下方に横設された棒状のシャッターガイド５６に案内され且つ支持される。

【００１３】 上記構成に係わる給苗器３１においては、先ず下段のシャッター５１のみを差 込んだ状態で、各苗収容部５２内に株分けされた苗２９の根元を内側に揃えて収 容し、下段が満杯になると上段のシャッター５１を差込んで、同時に上段の収容 部に苗２９を収容する。次いで給苗器３１を各コンベア上に整置して取付け、先 ず下段のシャッター５１を抜き取ることで、下段の収容部５２内の苗をコンベア 上に落下させる。コンベア上の苗２９が植付作業により用い尽くされるとその直 前にコンベアを停止して上段のシャッター５１を抜き取り上段の苗をコンベア上 に落下させて次の植付作業を行う。

【００１４】 図４，図５に示すように各給苗器３１の内側端側の側枠４７にはアングル状断 面の取付金具５７が付設されており、該取付金具５７の長孔５８に、コンベア３ ２上に突設したボルト５９を挿通し、つまみ付のスリーブナット６１によって給 苗器３１は着脱自在に位置合せしながら取付けられる。上記のようなカセット状 の給苗器３１は予め苗２９を収容したものを多数用意して、植付作業の進行とと もに順次別のカセットと交換着脱することができる。またカセット状給苗器３１ は多数段積み重ねることが可能である。

【００１５】 苗送り装置２８の各コンベアの終端部下方には、取付プレート６２（図７参照 ）を介して漏斗状に上下部が開いた苗受け用のホッパー６３が付設され、コンベ アから送られて落下した苗２９を受け取って苗２９の根元部分を下向きにして落 下収容させるようになっている。苗２９は玉ねぎでは根元部分に玉が形成されて いるので自重により自然に下向きに落下するが、苗の状況等によって逆向き又は 横向きのまま残らないように、ホッパー６３の上部開口部には、苗２９の葉先側 が落下時に当接して根元部を先に落下させるようなガイドバー６４（図２，図１ ０参照）が縦方向に架設されている。

【００１６】 またホッパー６３には内部に落下した苗２９を立ち姿勢のまま受け止めて一時 的に保持するストッパー６４が開閉自在に付設されている。該ストッパー６４は 図１０に示すように下端が前方に折曲げられた逆Ｌ字形のプレートからなり、そ の上端はホッパー６３の背面側に軸６６によって揺動自在に軸支されるとともに 、ホッパー６３側面との間にスプリング６７が張設されて、下端折曲部が常時ホ ッパー６３の下部開口端６８を開閉自在に塞ぐように前方に付勢されている。 ストッパー６６が閉状態な時に苗２９はホッパー６３内に保持され、後方に揺 動して開いた時に苗は下方の植付部６９方向に立姿勢のまま落下する。そして上 記ストッパー６４は後述する植付部６９の植付昇降作動に連系して開閉する。

【００１７】 次に植付部の構造と作用について述べると、植付部６９は図９〜図１２に示す ように、ホッパー状をなして下部が開口部７２をなすガイド７１と、該ガイド７ １の下端に前後開閉自在に付設される一対のビーク状の植付爪７３ａ，７３ｂを 供えている。そして前方の植付爪７３ａは上端をガイド７１に固定された固定爪 をなし、該固定爪７３ａには後向きの揺動アーム７４の先端が一体的に固着され るとともに、該揺動アーム７４の先端にはＬ字形のレバー７６が軸７７によって 回動自在に軸支され、該レバー７６の先端に後方の植付爪７３ｂが開閉爪として 回動開閉自在に固着されている。 上記開閉爪７３ｂが固定爪７３ａと重ねられて閉じられた状態で苗２９を内部 に保持しており、開かれた状態で苗を下方に落下放出する機構になっている。

【００１８】 一方伝動ケース４の後端両側には反時計方向に回転する作業用出力軸７８が突 出しており、該出力軸７８にはクランクアーム７９の基端部が一体固着されると ともに、クランクアーム７９の先端にはクランク軸８１が一体的に固着され、ク ランク軸８１には前記揺動アーム７４の後端部が回動自在に軸支されている。 さらに上記クランク軸８１の外側端には接線カム２が一体固着され、クランク アーム７９が回転駆動されると揺動アーム７４の基端部は、上記クランク軸８１ の回転軌跡８２に沿って反時計方向に回転する。また前記揺動アーム７４の基端 部には上向きのレバー８３が一体的に立設され、該レバー８３の上端と支柱１６ 側に突設したブラケット８４の固定支点８６との間はガイドリンク８７で連結さ れている。

【００１９】 上記機構により、クランクアーム７９とともに揺動アーム７４の基端部が回転 すると、レバー８３の上端がガイドンク８７の揺動支点８８の揺動軌跡８９に従 って揺動する。これらの作動により植付部６９の固定爪７３ａの先端は図１０に 示すように機体１の停止状態では、植付軌跡９１ａのように作動し、機体走行時 には軌跡９１ｂに従って、上昇位置ではガイド７１によるホッパー６３からの苗 ２９の受け取りを行い、下降位置では植付爪７３による圃場への植付作動を行う 。

【００２０】 上記植付作動に際し、植付爪７３の下降する過程で、開閉爪７３ｂを後方に聞 かせるために、レバー７６の上端を前方向に揺動させるような機構が設けられて いる。 即ちガイドリンク８７の揺動支点８８の外側端には爪開閉ガイド用のリンク（ 開閉リンク）９２が軸支されるとともに、開閉リンク９２の下端には常時前述し た接線カム８２に弾力的に外接するロール９３が回転自在に軸支されている。上 記開閉リンク９２の中間部とレバー７６の上端はロッドエンド９５を介して開閉 ロッド９４で連結されており、開閉リンク９２が、接線カム８２の回転とロール ９３の外接とによって揺動すると、レバー７６が揺動して開閉爪７３ｂが前後に 回動開閉する機構となっている。

【００２１】 また上記開閉ロッド９４は、植付後の苗に当接しないように揺動アーム７４上 に沿って配設されているが、その中間部で揺動アーム７４上に立設したブラケッ ト９６に挿通されるとともに、その前方の開閉ロッド９４に前後位置調節自在に 嵌合されたスプリング受９０との間にはスプリング９７が外挿されている。 上記スプリング９７は、接線カム８２がクランク軸８１のクランク回転によっ て移動し且つ姿勢変化する際に、開閉リンク９２を前方に付勢してロール９３を 常に前方に弾力的に引き寄せることによって、ロール９３を常時接線カム８２に 外接させるように作用するものである。従って上記接線カム８２の形状如何によ り開閉爪７３ｂの昇降作動中の開閉姿勢は影響を受ける。

【００２２】 本実施例では図１０に示すように、植付部６９が上昇してホッパーから苗２９ を受け取った後、圃場面に下降する迄は閉状態を保持し、植付爪７３が下限位置 付近まで下降すると、開閉爪７３ｂが後方に開いて苗２９を圃場に差し込んだ状 態で植付を完了し、開状態のまま苗を残して上昇する機構となっており、カム８ ２の形状もこのような作動を可能ならしめる形状に設計されている。

【００２３】 次にホッパー６３から植付部６９への苗の受け渡しについて説明すると、図１ ０に示すようにホッパー状のガイド７１の側方には、ストッパー開閉駆動用の棒 状の開閉ガイド１０１が上下方向に立設され、その上端は後方に傾斜するように 折曲形成されている。これに対し、ストッパー６４側には植付部６９が上限位置 から下降する時にのみ上記開閉ガイド１０１の上端部背面に当接し、ストッパー ６４を後方に揺動せしめるアタッチメント１０２が付設されている。 そして植付部６９が上昇するときは、その上昇軌跡によって開閉ガイド１０１は アタッチメント１０２に接触しないが、上限位置から下降する際に接触してスト ッパー６４を後方に揺動し、ホッパー開口部６８を開いて内部の苗２９を植付部 ６９内に立姿勢のまま落下させる。植付部６９が下方に下降するとストッパー６ ４はスプリング６７により閉状態に復元する。

【００２４】 なお苗送り装置２８のコンベアにおけるスプロケット３３を間欠駆動させるた めのワイヤ４６の基端部は、前述したガイドリンク８７の基端部側にワイヤエン ド１０３を介して連結されており、その結果植付部６９の昇降、即ち植付作動に 同期連動して苗送り装置２８が間欠作動し、植付速度及びタイミングに応動して 苗供給が行われている。

【００２５】 図１３，図１４は４条植用の移植装置の例を示し、図２〜図１２に示した２条 植のものは苗供給装置２７から植付部６９に至るものがすべて２条用のものであ るのに対し、この例では２条植用の装置の両側に、苗供給装置２７及びホッパー ６３、植付部６９及びこれらの駆動機構等を付加したものである。 即ち、植付部６９の揺動アーム７４の先端に外側方向に延びる補助フレーム７ ０を付設して外側端に植付部６９を増設するとともに、レバー７６の軸７７を補 助フレーム７０に平行に延長したものを用い、各軸７７にブラケットレバー７６ ａを増設している。

【００２６】 また図１４は苗供給装置２７の苗送り装置２８及び給苗器３１を左右各一列増 設したものを示しており、図１〜図１２に示す構造の装置ではこのように植付条 数の増加を容易に行うことができる。

【００２７】

【考案の効果】

本考案の植付部は以上のように取付けられ、後輪フレーム下方の支柱近傍にゲ ート状の空間が形成されるので、後輪側に近接してハンドルグリップを設けても ハンドル操作や歩行の妨げとならず、機体の操作性を良くすることができるほか 、上記ゲート状空間を利用して支柱に植付部揺動アームの基端部側駆動用の固定 支点を設けることにより、揺動アーム基端部の複雑な作動軌跡を十分に取ること ができる等の利点を備えている。

【図面の簡単な説明】

【図１】移植装置の全体側面図。

【図２】移植装置の全体平面図。

【図３】移植装置の要部背面図。

【図４】給苗器の平面図。

【図５】給苗器の端部背面図。

【図６】給苗器の要部拡大断面図。

【図７】苗送り装置終端部の拡大側面図。

【図８】苗送り装置の終端部の苗送り案内装置の背面
図。

【図９】植付部及び植付部駆動機構の側面図。

【図１０】植付部及び植付部駆動機構の作動説明図。

【図１１】植付部及び植付部駆動機構の一部断面平面
図。

【図１２】植付部及び植付部駆動機構の一部断面背面
図。

【図１３】植付部の増設例を示す要部平面断面図。

【図１４】植付部及び苗供給装置の増設例を示す移植機
の全体平面図。

【符号の説明】

１ 機体 ２ 機体フレーム １２ 前輪 １３ 後輪 １６ 支柱 ２７ 苗供給装置 ２８ 苗送り装置 ２９ 植付苗 ３１ 給苗器 ４７ 側枠 ４８ 仕切板 ５１ シャッター ５２ 苗収容部 ６３ ホッパー ６９ 植付部 ７１ ガイド ７３ 植付爪 ７３ａ 固定爪 ７３ｂ 開閉爪

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前輪（１２）及び後輪（１３）を軸支し
   た走行機体（１）上に植付苗（２９）の供給装置（２
   ７）を設け、該供給装置（２７）の終端部下方に植付苗
   （２９）を受取って圃場に植付ける植付部（６９）を設
   け、該植付部（６９）の揺動アーム（７４）を機体フレ
   ーム（２）側に取付けたものにおいて、機体フレーム
   （２）の後端に上方で後輪フレーム（１４）を懸架する
   支柱（１６）を立設し、該支柱（１６）に上記揺動アー
   ム（７４）を揺動させる固定支点（８６）を設けてなる
   移植機の植付部取付構造。