JP3870077B2 - 甘薯苗の移植機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、甘薯苗の移植機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平8−89030号公報に示されるように、土壌内を浅く長く進行する植付軌跡で苗を植え付ける苗植付け体により、甘薯苗を舟引き植えして該甘薯苗の蔓を土壌面に対して傾斜した姿勢で土壌内へ移植する苗移植機が知られている。この甘薯苗の蔓を土壌面に対して傾斜した姿勢で移植して蔓を土壌内へ埋めることにより、蔓の節部から伸びる不定根が多数発生し、それに伴って根に実る甘薯を数多く栽培でき、収量の増加を図ることができるのである。
【0003】
尚、甘薯苗は、母体となる甘薯の種いもから多数伸長した蔓苗を一本づつ分離して採取されるが、種いもの側部から伸長する蔓は該蔓の節部から分岐して伸びる枝の先端部につく葉により太陽光等の光を受けるべく上方に伸びようとする。このとき、蔓の強度が弱いので、蔓が上方に伸びるべく特に蔓の下端部が曲がって伸長するが、蔓は葉の重みの影響もあって完全な鉛直方向には伸長せず、側面視で斜めに傾斜した方向に伸長する。すると、葉は上向きに伸びようとするので、傾斜した蔓に対して葉が上側に集中的につく。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、苗植付け体を前後に長い軌跡に沿って作動させたとき、苗植付け体により土壌を大きく崩さずに土壌の植付穴を小さく維持して苗の移植を適正にすることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、次の技術的手段を講じた。
【0006】
すなわち、請求項1に係る発明は、甘薯苗(N)の蔓(t)の後端部をクリップ(49)で保持して甘薯苗(N)を前後方向に向けた姿勢で植付供給位置(A)へ供給する苗搬送部(5)と、前側に傾斜した状態で上下に延びる一対の苗植付け挟持具(31)により植付供給位置(A)にある甘薯苗(N)の蔓(t)の後端部を挾持して土壌内へ搬送し植え付ける苗植付け体(6)とを設け、駆動アーム(34)の先端部に苗植付け体(6)の 支持リンク部(36)の上端部を連結し、該支持リンク部(36)の下端部に揺動リンク(37)の前端部を連結し、前記駆動アーム(34)の駆動回転により前記苗植付け挟持具(31)が植付軌跡(T)に沿って作動して前後に移動する構成とし、該苗植付け挟持具(31)の中途部に屈曲して前側に突出する突出部(31a)を設け、該突出部(31a)が土壌面(D)に位置する状態で、該突出部(31a)の下部が土壌面(D)に近い前後方向に向いて前後に移動する構成とした甘薯苗の移植機とした。
【0007】
従って、請求項1に記載の甘薯苗の移植機によると、作業者が甘薯苗の蔓の後端部をクリップへ固定させて供給すると、苗搬送部により甘薯苗を前後方向に向けた姿勢で植付供給位置へ搬送して供給し、駆動アームの先端部に苗植付け体の支持リンク部の上端部を連結し、該支持リンク部の下端部に揺動リンクの前端部を連結し、前記駆動アームの駆動回転により前側に傾斜した状態で上下に延びる一対の苗植付け挟持具が植付供給位置にある甘薯苗を蔓の後端部を挾持して植付軌跡に沿って前後に移動しながら土壌内へ搬送し植え付ける。そして、苗植付け挟持具の中途部に屈曲して前側に突出する突出部を設け、該突出部が土壌面に位置する状態で、該突出部の下部が土壌面に近い前後方向に向いて前後に移動する構成としたので、苗植付け挟持具を前後に作動させ、機体側面視で前記突出部が土壌面に位置する状態で前後に大きく移動しても、突出部の下部が土壌面に近い方向に向くため土壌内へ突入したり土壌内から突出したりするときに土壌を大きく崩さない。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、苗植付け挟持具(31)における植付軌跡(T)の上昇過程で、一対の苗植付け挟持具(31)の間に後側から突入するブラシ(94)を設けた請求項1に記載の甘薯苗の移植機とした。
【0009】
従って、請求項2に記載の甘薯苗の移植機によると、請求項1に記載の甘薯苗の移植機の作用に加えて、ブラシにより一対の苗植付け挟持具の間に詰まった土等を取り除いて清掃することができる。
【0010】
【発明の効果】
請求項1に記載の甘薯苗の移植機によると、駆動アームの先端部に苗植付け体の支持リンク部の上端部を連結し、該支持リンク部の下端部に揺動リンクの前端部を連結し、前記駆動アームの駆動回転により前記苗植付け挟持具が甘薯苗を蔓の後端部を挾持して植付軌跡に沿って前後に移動しながら土壌内へ搬送し植え付ける。そして、該苗植付け挟持具の中途部に屈曲して前側に突出する突出部を設け、該突出部が土壌面に位置する状態で、該突出部の下部が土壌面に近い前後方向に向いて前後に移動する構成としたため、土壌内へ突入したり土壌内から突出したりするときに土壌を大きく崩さず、土壌の植付穴を小さく維持できて苗の移植を適正にできる。
【0011】
請求項2に記載の甘薯苗の移植機によると、請求項1に記載の甘薯苗の移植機の効果に加えて、ブラシにより一対の苗植付け挟持具の間に詰まった土等を取り除いて清掃することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態としての甘薯苗移植機1を以下に説明する。尚、以下の図示例についての説明で前又は後というときは、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン3を配置した側を前そしていう。そして、右又は左というときは、機体後部において機体前部側を前側として立つ作業者から見て右手側を右とし、左手側が左としていう。
【0013】
苗移植機は、走行装置4と操縦ハンドル2を備えた機体に、甘薯苗Nを搬送する苗搬送部5と、該苗搬送部5によって搬送されてきた苗Nを圃場に植付ける苗植付け体6とを備えている。
走行装置4は、図示例では、エンジン3と、該エンジン3の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の後輪7と、該後輪7の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪8とを備えたものとしている。
【0014】
エンジン3の後部には、ミッションケース9を配置し、そのミッションケース9は、その左側部からエンジン3の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン3の左側部と連結している。このケース部分にエンジン3の出力軸が入り込んでミッションケース9内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。ミッションケース9の左右両側部に伝動ケース10を回動自在に取り付け、この伝動ケース10の回動中心にミッションケース9から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで伝動ケース10内の伝動機構に走行用の動力を伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース10内の伝動機構を介して、機体後方側に延びてその後端側側方に突出する車軸11に伝動し、後輪7が駆動回転するようになっている。
【0015】
また、伝動ケース10のミッションケース9への取付部には、上方に延びるアーム12を一体的に取り付けていて、これがミッションケース9に固定された昇降用油圧シリンダ13のピストンロッド先端に上下軸心周りに回動自在に取り付けた天秤杆14の左右両側部と連結している。その連結部の右側はロッド15で連結し、左側は伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダ16で連結している。
【0016】
昇降用油圧シリンダ13が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右の前記アーム12は後方に回動し、これに伴い伝動ケース10が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ13のピストンロッドが機体前方に引っ込むと、左右の前記アーム12は前方に回動し、これに伴い伝動ケース10が上方に回動して、機体が下降する。この昇降用油圧シリンダ13は、機体に対する畝上面高さを検出するセンサー17の検出結果に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう作動するよう構成しており、また、操縦ハンドル2近傍に配置した植付昇降レバー18の人為操作によって、機体を上昇或は下降させるよう作動する構成でもある。尚、前記植付昇降レバー18は、苗植付け体6及び苗搬送部5の駆動の入切の操作が行える。また、植付昇降レバー18の側方には、ミッションケース9内の主クラッチ(図示せず)を操作して走行装置4の走行の入切操作が可能な主クラッチレバー19を設けている。
【0017】
また、前記左右水平制御用油圧シリンダ16が伸縮作動すると、前記天秤杆14が、その左右中央部の昇降用油圧シリンダ13のピストンロッド先端と連結する上下軸心周りに回動して左右の伝動ケース10を互い違いに上下動させ機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダ16は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出するセンサ(図示せず)の検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動するよう構成している。
【0018】
前記左右前輪8は、エンジン3下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた前輪支持フレーム20の左右両側部の下方に延びるアーム部分21の下端部側方に固定した車軸22に回転自在に取り付けている。従って、左右前輪8は、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。
【0019】
前記操縦ハンドル2は、ミッションケース9に前端部を固定したハンドルフレーム23の後端部に取り付けている。ハンドルフレーム23は、機体の左右中央から右側に偏った位置に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、ハンドルフレーム23の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aとしている。操縦ハンドル2の左右のグリップ部2a,2aは、作業者がそのグリップ部2a,2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。なお、図例ではグリップ部2a,2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
【0020】
尚、上記走行装置4は、四輪構成としたものであるが、左右一対の駆動輪のみの2輪構成でもよいし、前輪の替わりに畝上面を転動する鎮圧輪としてもよい。また、クローラー式の走行装置としてもよい。
次に、苗植付け体6及び苗搬送部5について説明する。
【0021】
苗植付け体6は、その苗植付け作用部6aを昇降動させる駆動部と連結し、該苗植付け体4の苗植付け作用部6a(一対の苗植付け挟持具31)が、苗搬送部5により搬送されてきた苗に作用して苗を圃場に植付ける構成としたものである。
【0022】
苗植付け体6を駆動する駆動部は、ミッションケース9内から苗植付け具駆動用の動力を受けて伝動する伝動機構を内装する植付け伝動ケース32に設けている。図例のように植付け伝動ケース32は、その前部がミッションケース9の後部に連結しそこから後斜め上方に延びる第一ケース部32aと、この第一ケース部32aの上部左側部に固定され左側方に延びる第二ケース部32bと、その第二ケース部32bの左端部に固定され後斜め下方に延びる第三ケース部32cとを有するものとしている。これら第一ケース部32aから第三ケース部32c内に苗植付け体6を駆動するための動力を伝達する伝動機構を内装している。尚、前記第三ケース部32cは、第二ケース部32bの出力軸すなわち該第三ケース部32cの入力軸33回りに回動自在に設けられている。そして、苗植付け体6及び苗搬送部5は、走行装置4に対してこの第三ケース部32cの入力軸33回りに回動自在に設けられている。また、第一ケース部32a内に内装した伝動機構には、苗植付け体6をその昇降動最上位の位置で或はその近傍位置で設定時間停止させる間欠駆動機構(図示せず)と、苗植付け体6及び苗搬送部5を作動停止させる植付クラッチ(図示せず)とを備える。間欠駆動機構によって停止する時間は、該間欠駆動機構が備える変速機構(図示せず)によって調節され、この調節によって苗植付け体6による苗植付株間が変更調節されるようになっている。
【0023】
そして、苗植付け体6は、その駆動部としての駆動回転する駆動アーム34と連結して駆動される。駆動アーム34は、前記第三ケース部32cの後部右側部から突出し駆動回転する駆動軸35に固定されている。そして、駆動アーム34の先端部に苗植付け体6の支持リンク部36の上端部を回転自在に連結し、その支持リンク部36の下端部に揺動リンク37の前端部を回転自在に連結している。揺動リンク37の後端部は、第三ケース部32cに前部が固定されて後方に延びる支持フレーム38の後端部に設けた支持軸39で回転自在に支持している。従って、苗植付け体6は、駆動アーム34が駆動回転すると、その先端部(下端部)の苗植付け作用部6aが、図1に示すような軌跡Tを描いて運動することになる。なお、図1に示すような軌跡Tは、機体に対して苗植付け作用部6aが描く運動軌跡であり、軌跡T’は、設定した作業時速度で機体が前進走行したときの圃場に対して苗植付け作用部6aが描く運動軌跡である。
【0024】
図5の苗植付け体6の拡大斜視図に示すように、苗植付け体6は連結軸40回りに回動連結される一対の支持部41と該支持部41の先端部に固着した苗を挟持する一対の苗植付け挟持具31と、支持部41の連結軸40に対して前記苗植付け挟持具31とは反対側に支持部41に固着した一対の苗植付け挟持具作動アーム42とから構成されている。尚、これらの支持部41、一対の苗植付け挟持具31及び一対の苗植付け挟持具作動アーム42は、機体側面視で若干前側に傾斜して上下方向に長い構成となっている。該苗植付け挟持具作動アーム42の上端部にはそれぞれ円板42aを設け、この円板42aがカム43の側面に当接している。連結軸を支持リンク部36に取り付けており、カム43の側面に設けた突部43aが円板42aに当接することにより一対の苗植付け挟持具作動アーム42の互いの間隔が広くなってひいては一対の支持部41が互いに連結軸40回りに回動して、一対の苗植付け挟持具31の間隔が広がるようになっている。従って、カム43により、一対の苗植付け挟持具31を苗を挟持したりその挟持を解除したりする構成となっている。尚、一対の支持部41の間には引張スプリング44を設けており、この引張スプリング44により一対の苗植付け挟持具31を互いに近づく方向へ付勢している。また、苗植付け挟持具31の対向する面にディンプルを設けて苗を挟持し易くしている。
【0025】
カム43は、駆動アーム34の先端側に固着されており、駆動アーム34と一体で回転するようになっている。従って、伝動ケ−ス32cからの駆動力でカム43が回動すると、植付軌跡T(T’)の上死点付近の苗植付け体6への植付供給位置Aで、カム43の突部43aが苗植付け挟持具作動アーム42に当接して一対の苗植付け挟持具31の先端部が閉じる方向に動き、植付供給位置Aにある甘薯苗Nの蔓tの下端部(植付供給位置では甘しょ苗が前後方向に向いているのでその後端部)を挟持する。そして、苗植付け挟持具31により苗を挟持したままで駆動アーム34の回転により植付軌跡T(T’)の下死点付近まで苗植付け体6が苗を土壌内に埋め込みながら作動し、前記下死点付近でカム43の突部43aが苗植付け挟持具作動アーム42から離れ、一対の支持部41の間の引張スプリング44により付勢されて一対の苗植付け挟持具31の先端部が開く方向に動き、挟持していた苗を放して土壌内に移植するようになっている。尚、後述する苗搬送部5により甘薯苗Nを前後方向に向いた姿勢で植付供給位置Aへ供給するので、苗植付け体6が甘薯苗Nをそのまま前後方向に向いた姿勢で土壌内へ移植し、甘薯苗Nの蔓tを土壌面Dに対して傾斜した姿勢で移植するようになっている。尚、苗植付け体6が後下方に延びる植付軌跡T上を作動して植え付けるので、苗が前側に傾いた状態で植え付けられることとなる。
【0026】
苗搬送部5は、甘薯苗Nを蔓tが前後方向に向く姿勢で収容する苗収容部となる苗収容体26を苗搬送方向Cに複数備えるとともに、該苗収容体26を機体上部側で右方向に搬送する上部横搬送り部5aと、該上部横送り部5aにより搬送されてきた苗収容体26を機体下方に搬送する下降送り部5bと、該下降送り部5bにより搬送されてきた苗収容体26を機体上方に搬送し前記上部横送り部5aの搬送始端側に戻す上昇送り部5cとを備えており、苗収容体26を単一のループ状の搬送経路に沿って搬送するようになっている。また、上部横送り部5aは、左側の前輪8及び後輪7より左側にまで突出するように構成され、左端が機体の左側の最外端となっている。また、前記上部横送り部5aの後端は、左側の前輪8及び後輪7より後側の位置に配置されている。従って、作業者は、左側の後輪7及び上部横搬送り部5aの後側で該上部横送り部5aへ苗を供給する。前記搬送経路は側面視で上部横送り部5aが後側に位置するように傾斜しており、苗搬送部5の後側にいる作業者の近い位置に上部横送り部5aの苗収容体26が配置され、作業者が上部横送り部5aの苗収容体26への苗供給作業を容易に行えるようにしている。尚、苗植付け体6は、前記下降送り部5bにより苗搬送部5の搬送軌跡の最下位置の植付供給位置Aへ搬送された苗収容部26の苗を圃場に植付けるようになっている。尚、前記下降送り部5bには、苗が落下しないように苗収容部26内に苗を案内する苗落下防止板45をその上部で支持部材46から支持して設けている。この苗落下防止板45は植付供給位置の苗収容体26の下方まで延長されているが、植付供給位置Aより苗収容体26の搬送方向下手側の部分には苗落下防止板45を支持する部材を設けていないので、苗植付け体6での苗植付時に苗落下防止板45を支持する部材に苗Nが干渉して苗を傷めたり植付が不適正になるのを防止される。
【0027】
苗収容体26は、前後に長い樋状の形態で、上部横送り部5aで苗Nを載せる受け面となる受け板部47と、隣接する苗収容体26とを仕切る面となる側板部48とを備え、上部横送り部5aで上方に開放部を有する形態となっている。尚、苗収容体26は、樹脂で構成され、収容する苗を傷めないようにしている。尚、苗収容体26の受け板部47は、上部横送り部5aに位置するときに後側が下位になるように傾斜しており、苗搬送部5の後側にいる作業者が上部横送り部5aの苗収容体26への苗供給作業を容易に行えるようにしている。また、苗収容体26は、前後にも開放された形状であるが、後端部には苗Nの蔓tの後端部を保持するクリップ49を備えている。このクリップ49は、苗収容体26の左右方向中央位置に設けられ、該苗収容体26と一体で受け板部47から上に突出する固定体50と該固定体50に下端部が2本のビス(螺子)51で取り付けられた可動体52とで構成されている。尚、前記固定体50は、樹脂で構成され、挟持する苗Nの蔓tを傷めないようにしている。固定体50は、上面50aが取り付けた可動体側に若干傾斜した平面状に構成されると共に、可動体52側の側面50bは鉛直方向に向く平面で構成されている。前記可動体52は、板ばねで構成され、上下中央に固定体50と反対側に屈曲して固定体50との間に若干の空間を構成する苗保持部分52aと上端部に上にいくにつれて固定体50から離れる方向に傾斜する傾斜部分52bとを備えている。作業者が上部横送り部5aでクリップ49へ苗を供給するとき、固定体50の上面50aと可動体52の傾斜部分52bとで甘薯苗Nの蔓tを固定体50と可動体52との間に供給しやすくしている。そして、作業者が苗Nを下方に押し込むことにより、可動体52が固定体50と離れる側に撓み、苗Nの蔓tが可動体52の苗保持部分52aに供給されると苗が固定体50と可動体52とで挟持されて固定されたこととなる。尚、可動体52は、苗Nが前記苗保持部分52aに供給されたとき、この苗保持部分52aの固定体50と可動体52との間隔より苗Nの蔓tの径が大きいため、板ばねで構成される可動体52が固定体50側に付勢され蔓tに挟持力が作用する。
【0028】
尚、下降送り部5bでの苗の搬送時に、苗が苗落下防止板45に擦られて該苗Nを傷めるおそれがある。そこで、図8に示すように、苗収容体26の側板部48にゴム製の弾性板53を取り付けることにより、下降送り部5bで該弾性板53が苗落下防止板45に当接して折り曲げられ、弾性板53により苗収容体26の開放部を覆うことができ、苗が苗落下防止板45に接触するのを防止することができる。
【0029】
そして、この苗収容体26をチェン54に複数並べて取り付け、そのチェン54を、機体上部側の左右に各前後一対づつ設けたスプロケット55,56と、機体下部側の左右に各前後一対づつ設けたスプロケット57,58とに巻きかけている。機体上部側の左右のスプロケット55,56は、支持フレーム38に固着した支持部材46で支持した軸59,60に取り付けている。機体下部側の左右のスプロケット57,58は、支持フレーム38に固着した支持プレート61で支持した軸62,63に取り付けている。そして、上部右側のスプロケット56を駆動すると、苗収容体26が設定搬送方向Cに移動するよう苗搬送部5が駆動する構成となっている。そして、苗搬送部5の駆動部64は、揺動リンク37と一体に上下揺動する連動リンク65の先端部と連動ロッド66を介して連動連結している。また、苗植付け体6の苗植付け作用部6aが苗を挟持するときから下降するまでは苗収容体26が停止して、それ以外のときに苗収容体26が移動するよう、苗搬送部5が間欠駆動するように設けている。
【0030】
苗搬送部5の駆動部64の具体的な構造は、例えば、図4に示すようなものとしている。まず、支持部材46で支持した軸60を上部右側のスプロケット56を一体回転するよう取り付けている軸67の後部と軸継手を介して連結し、この軸67に一体回転するよう取り付けた突起68a付きの従動ディスク68を取付ける。そして、この従動ディスク68の後側に駆動アーム69を軸67に回転自在に取付け、この駆動アーム69の先端部に前記連動ロッド66の上端部を回動自在に取付ける。また、駆動アーム69には、従動ディスク68の突起68aに係合する爪70を取り付けていて、この爪70は、駆動アーム69が苗搬送部5の設定搬送方向Cに作動させるようにスプロケット56を駆動回転させる方向に回動するとき(図4では駆動アーム69が上動するとき)には、従動ディスク68の突起68aに係合固定されて従動ディスク68を一体回転させる。反対方向に回動するとき(図4では駆動アーム69が下動するとき)には、従動ディスク68の突起68aに係合しても逃げて従動ディスク68を一体回転させないというように、ラチェット機構を構成している。そして、従動ディスク68を時計回り及び反時計回りの回り止めとして従動ディスク68の突起68aに係合する二つの爪71を設けている。なお、従動ディスク68を一体的に回転するように駆動アーム69が回動すると、前記ラチェット機構を構成する駆動アーム69の爪70が従動ディスク68の突起68aに係合するのに先行して、駆動アーム69と一体に設けた回り止め解除カム72が、従動ディスク68の一体回動を阻止するように回り止め作用をする爪71の先端部を従動ディスク68の突起68aと係合しない位置に移動させるようになっている。そして、駆動アーム69がそのストローク上限位置まで回動して従動ディスク68が設定角度(図4では90度)回動されると、回り止め解除カム72が前記回り止め用の爪71から外れて、該回り止め用の爪71は再び、従動ディスク68の突起68aと係合して従動ディスク68の回転が固定される。
【0031】
よって、苗植付け体6の苗植付け挾持具31が苗を挟持して下降し土壌中に植付けるときには苗収容体26が停止しているので、苗が円滑に苗収容体26から取り出されて適確に苗を圃場に植付けることができる。このように、苗植付け体6又は該苗植付け体6に連結して動作する部材と前記苗搬送部5の駆動部64を連動連結した構成としているため、この苗移植機は、苗植付け体6と苗搬送部5の駆動タイミングを容易にとることができ、しかも苗搬送部5の駆動構成を簡潔なものにできる利点がある。
【0032】
尚、下降送り部5bから前記上昇送り部5cに移行する間に機体下部側で苗収容体26を左右水平状に搬送する下部横送り部5dを設け、該下部横送り部5dに植付供給位置Aを設けている。従って、下降送り部5bから上昇送り部5cに移行する間(図示例では、下部右側スプロケット58と下部左側スプロケット357とで搬送される区間)で、下部横送り部5dにより苗収容体26が機体下部側で左右水平状に搬送され、ここで苗収容体26に収容された苗Nを苗植付け体6が圃場に植付ける。よって、組付け時のずれ等によって苗植付け体6の苗Nへの植付け作用時における苗収容体26の位置がずれても、苗植付け体6は、移動経路中最下端に移動した状態で且つ同じ姿勢の状態にある苗収容体26の苗Nを植付けられることになり、苗植付け状態の変化を極力少なくできる。
【0033】
苗搬送部5の前側には、植付け伝動ケース32の第一ケース部32aから苗載台支持フレーム81を介して苗載台82を設けている。この苗載台82上に収容箱等に収容した状態で甘薯苗を載置するようになっており、作業者は苗載台82上の苗を苗搬送部5の上部横送り部5aへ供給する。
【0034】
苗搬送部5の後側には、ミッションケース9内の伝動機構を切り替えて走行装置4の走行速度を有段変速操作できる変速レバー83をミッションケース9の位置から後側に延ばして設けている。この苗移植機1は、前部に機体を走行させる走行装置4と、所定の搬送経路で苗を搬送する苗搬送部5と該苗搬送部5によって搬送されてきた苗を圃場に植付ける苗植付け体6と後部に操縦ハンドル2とを備えているが、走行装置4から前記苗搬送部5の上部横送り部5a、下降送り部5b及び上昇送り部5cとで囲まれる空間内を通過して苗搬送部5の後側に延びる操作レバ−である変速レバー83を設けた構成となっている。すなわち、変速レバー83は、苗搬送部5の所定のループ状の搬送経路内を通過している。
【0035】
従来、機体とともに歩く作業者が供給した苗を苗植付け体が圃場に植付けていくという歩行型の甘薯苗移植機があり、特開2001−16919号公報に示されるように、前部に機体を走行させる走行装置と所定の搬送経路で苗を搬送する苗搬送部と該苗搬送部によって搬送されてきた苗を圃場に植付ける苗植付け体と後部に操縦ハンドルとを備え、前記苗搬送部を機体上部側で左右一方向に送る上部横送り部と該上部横送り部に続いて下方向に送る下降送り部と該下降送り部に続いて上方向に送り前記上部横送り部の送り始端側に戻す上昇送り部とで構成した苗移植機があり、圃場へ苗の植付け作業を行うとき、走行装置により機体を走行させ、作業者が歩行しながら苗搬送部の上部横送り部に苗を供給し、甘薯苗を移植するようになっている。従って、作業者が歩行しながら苗搬送部の上部横送り部に苗を供給する作業を行うため、作業者は前記上部横送り部の左右方向の側方乃至後方で上部横送り部に近づいて作業をすることになる。ところが、作業者が苗搬送部に近い位置にいるため、その作業者の位置から苗搬送部を隔てた位置例えば該苗搬送部の前側等に操作レバ−等の操作具が配置されていると、苗搬送部へ苗の供給をしながら前記操作具を操作することが困難となり、この操作具の操作を容易に行えなくなるおそれがある。一方、苗搬送部は、作業者が余裕をもって苗供給作業を行えることが苗供給作業の疲労も少なくなり望ましいので、多数の苗を収容できるように搬送経路を長くすることが好ましい。しかしながら、苗搬送部の搬送経路を長くするとその分苗搬送部が大がかりなものとなり、作業者の位置から苗搬送部を隔てた位置にある操作具の操作の容易化を阻害するおそれがある。
【0036】
ところが、本実施の形態の操作具となる変速レバ−83は、苗搬送部5の送り部5a,5b,5cで囲まれる空間内を通過する構成であるので、作業者の位置から苗搬送部5が操作の邪魔にならない位置すなわち苗搬送部5の後側に配置でき、作業者が苗搬送部5へ苗供給作業をしながら容易に操作することができ、苗移植作業を快適に行うことができる。
【0037】
苗植付け体6の後方には、左右一対の鎮圧輪84を設けている。この鎮圧輪84は、遊転輪であり、土壌面に接地して植え付けた苗の上方乃至左右側方の土壌を鎮圧するようになっており、支持フレーム38の後端部に鎮圧輪フレーム85を介して設けられている。従って、この左右一対の鎮圧輪84の接地により、植付け伝動ケース32の第三ケース部32cの入力軸33回りに回動する苗植付け体6及び苗搬送部5が支持され、土壌面Dの凹凸に追従して苗植付け体6及び苗搬送部5が揺動して土壌面Dに対して所定の高さに維持されるようになっている。尚、苗植付け体6及び苗搬送部5の自重が鎮圧輪84に作用するので、鎮圧輪84により充分な鎮圧作用を得ることができる。また、図1に示すように、苗植付け体6の植付軌跡Tの上方に鎮圧輪84が配置されており、鎮圧輪84と植付けた苗Nとの位置関係が近づくので密接となり、鎮圧輪84による鎮圧を適正に維持でき鎮圧効果を良好に得ることができる。
【0038】
従って、この甘しょ苗移植機は、左右の前輪8及び後輪7により畝をまたいだ状態で走行装置4により機体は自走し、その自走する機体の苗搬送部5の上部横送り部5aに左側の前輪8及び後輪7が通る畝の谷部を歩行するべく左側の後輪7の後方にいる作業者から甘薯苗Nが供給される。苗搬送部5は供給された苗Nを搬送し、そして、苗搬送部5によって植付供給位置Aへ搬送されてきた苗Nを苗植付け体6が圃場に植付ける。苗搬送部5は、苗収容体26を苗搬送方向Cに複数備え、この苗収容体26に甘薯苗Nがその蔓tが前後方向に向く姿勢で収容される。上部横送り部5aにより機体上部側で左右一方向に搬送される苗収容体26に作業者が苗Nを供給するわけであるが、作業者は苗Nの蔓tの下端部をクリップ49に供給し苗を苗収容体26に固定する。苗が供給された苗収容体26は、上部横送り部5aに続いて下降送り部5bにより機体下方に搬送される。該下降送り部5bにより搬送されてきた苗収容体26は、上昇送り部5cにより機体上方に搬送されて前記上部横送り部5aの搬送始端側に戻る。苗植付け体6は、その苗植付け作用部6aが駆動部によって昇降動し、下降送り部5bにより植付供給位置Aへ搬送されてきた苗収容体26に収容された苗Nの後端部に該苗収容体26の後側で作用して苗を圃場に植付ける。このとき、苗Nが苗収容体26のクリップ49に挟持され固定されているが、このクリップ49の挟持力より苗植付け体6の苗植付け挾持具31の挟持力の方が大きいため、苗植付け体6が植付軌跡Tに沿って苗を後側に移動させることにより苗Nの蔓tがクリップ49から外れるようになっている。
【0039】
従って、苗搬送部5は、苗収容部26のクリップ49の固定体50と可動体52との間に苗を供給して挾持させて固定し、苗収容体26を所定の搬送経路で搬送することにより苗を搬送する。この固定体50と可動体52との間に苗を供給するとき、固定体50が苗収容体26と一体であるから、苗収容体26に対する固定体50の位置が変化しないため、クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行える。また、苗収容体26に対して位置が変化しない固定体50の上面50aで構成される苗案内部分で苗を案内しながら該固定体50と可動体52との間に供給できるので、クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行える。よって、クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行えるので、作業者の苗収容体26への苗供給作業の作業能率が向上し、移植作業能率を向上させるべく苗搬送部3を高速で作動させることができ、苗搬送部5の苗搬送作業の作業能率の向上を図ることができる。従来のクリップは、苗を挾持する一対の部材が共に可動体により構成されているので、このクリップヘ苗を挟持させるべく供給するとき、一対の可動体が変形するため苗収容部に対するクリップの位置が変化することがあり、更にクリップは搬送経路に沿って移送されることもあって、クリップへ苗を供給する作業が困難になるおそれがある。また、この苗供給作業が面倒なものであると、苗搬送装置の苗搬送作業の作業能率の向上が図れない。
【0040】
尚、可動体52に対して固定体50を搬送経路の搬送方向下手側(上部横送り部3aにおいて右側)に配置してもよい。これにより、上部横送り部5aにおいて搬送方向下手側すなわち固定体50側から苗を供給することにより、作業者が苗Nを固定体50の上面に押さえ付けているだけでクリップ49の移送動作を利用して可動体52を動かせて苗Nを固定体50と可動体52との間に供給することができ、クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行え、苗搬送部52の苗搬送作業の作業能率の向上を図ることができる。
【0041】
尚、図9に示すように、固定体50を苗収容体26の後端に上面50aが水平状で側板部48に連設させ、可動体52を固定体50の上面50aと同じ高さで水平状の上面52cを備えた構成としてもよい。このとき、固定体50と可動体52との双方の上面50a,52cが苗案内部分となる。
【0042】
尚、図10に示すものは、クリップ49の固定体50を苗収容体26と一体の前後2本の棒材で、可動体52をその上端部が2本のビス(螺子)51で苗収容体26に取り付けられる板ばねで構成したもので、可動体52の下端を苗収容体26の下方に位置させ上部横送り部5aに設けた苗収容体26の下方に位置するクリップ作動体90に当接させ、可動体52を強制的に固定体50と反対側に移動させるものである。これにより、作業者が上部横送り部5aで苗を苗収容体26へ供給するときにはクリップ49の挟持部が開いているので、クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行え、苗搬送装置5の苗搬送作業の作業能率の向上を図ることができる。尚、苗収容体26が上部横送り部5aから下降送り部5bへ搬送されると、可動体52の下端がクリップ作動体90から離れるので板ばねである可動体52が固定体50側に移動してクリップ49の挟持部が閉じ、苗が自動的に挟持されて固定される。上部横送り部5aにおける搬送終端部には、苗収容体26へ供給された苗を下方へ案内するガイド体91を設けており、苗がクリップ49により適正な位置で固定されるようにしている。これにより、苗を植付供給位置Aへ確実に供給でき、安定した苗の移植を行える。尚、図12に示すように、前記可動体52は、苗の挟持位置より上側の中途部を細くしているので、撓みやすくなり、クリップ作動体90によりクリップ49の開き量を適正に得ることができる。
【0043】
尚、図13に示すように、可動体52を2枚の板ばねを重ねて構成し、固定体50側の板ばね52dを他方の板ばね52eより固定体50側への付勢力が小さいものとしながら、前記他方の板ばね52eを固定体側の板ばね52dの下端より下側に突出させて該他方の板ばね52eのみがクリップ作動体90により上部横送り部5aで強制的に固定体50と反対側に移動させるようにすることができる。これにより、作業者が上部横送り部5aで苗を苗収容体26へ供給するとき、固定体50側の板ばねのみでクリップ49の挟持力が作用し、作業者が軽い力で楽にクリップ49の挟持部へ苗を供給することができ、クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行える。そして、他方の板ばね52eの下端がクリップ作動体90から離れると、可動体の2枚の板ばね52d,52eでクリップ49が大きい挟持力で苗を挟持し、苗が植付供給位置Aへ確実に供給されて安定した苗の移植を行える。従って、上部横送り部5aで苗が搬送されるとき、少なくとも固定体50側の板ばね52dで苗を挟持しているので苗が位置ずれせず、クリップ49の適正な位置で苗を固定できる。
【0044】
尚、図24に示すように、甘薯苗Nは、母体となる甘薯の種いも92から育成され、種いも92の側部からも芽が出て蔓tが伸長するが、太陽光等の光が上方からふりそそがれるので、それぞれの蔓が種いもの上方へ集中して伸びようとする。このとき、種いも92から鉛直方向に発生しない芽は上方へ向くように特にその蔓の下端部が曲がるが、複数の蔓が種いもの上方へ集中するので鉛直方向に対して傾斜した状態で蔓が伸長し、その蔓の軸心の上側に葉93が集中的につく。そして、種いも92から分離して採取されるそれぞれの蔓が苗となる。
【0045】
この甘薯苗を移植するとき、作業者が苗の蔓tの下端部を苗搬送部5の上部横送り部5aにある苗収容体26のクリップ49へ固定させて供給するが、曲がっている蔓tの下端が下側へ向く状態で供給すると、その苗が苗搬送部5により搬送されて植付供給位置Aで蔓tの下端が上側へ向く状態となり苗の葉93が蔓に対して上側に向く。そして、苗植付け体6によりその姿勢のままで苗を土壌内に移植する。従って、苗植付け体6の苗の土壌内への搬送行程が単純であるため蔓が折れ曲がったりねじれたりしにくく移植精度が向上すると共に、傾斜させた蔓に対して葉が上側に集中的に向けられた状態で甘薯苗を移植できる。また、上下に延びる一対の苗植付け挟持具31が植付供給位置Aで前側に傾斜した状態で上側へ曲がった蔓tの下端を挟持するので、苗植付け挟持具31の向きを曲がった蔓tの下端の向きに対して垂直方向に近い状態にすることができ、植付供給位置Aで苗の位置が多少ずれても苗の挟持の確実化、安定化を図ることができ、適正な姿勢で苗を植え付けることができ、安定した苗の移植を行える。
【0046】
よって、傾斜させた蔓tに対して葉が上側に集中的に向けられた状態で甘薯苗Nを移植できるので、移植された苗の葉93は土壌の外に突出して太陽光等の光を受光することができ、根の伸長も旺盛になり良好な成育が行え甘薯の栽培を旺盛にできる。また、蔓tの特に曲がりやすい蔓の下端の向きにより蔓の軸心に対する葉93の向きを判別して移植するので、この判別が容易となり、クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行え、作業者の苗収容体26への苗供給作業の作業能率が向上し、移植作業能率を向上させるべく苗搬送部5を高速で作動させることができ、苗搬送部5の苗搬送作業の作業能率の向上を図ることができる。
【0047】
尚、図14及び図15は、異なる苗植付け挟持具31を装着した状態を示したものである。この苗植付け挟持具31は、中途部が屈曲して前側(下側)に突出する突出部31aを設けたものである。苗植付け挟持具31を前後に長い植付軌跡Tに沿って作動させると、機体側面視で前記突出部31aが土壌面Dに位置する状態で前後に大きく移動するが、該突出部31aの下部が土壌面Dに近い方向(前後方向)に向くので土壌内へ突入したり土壌内から突出したりするとき土壌を大きく上下に崩さず、土壌の植付穴を小さく維持できて苗の移植を適正にすることができる。また、マルチフィルムを敷設した圃場で移植するときには、移植用のマルチフィルムの穴が無闇に大きくならずに保温効果を良好に得ることができ、苗の栽培を良好に行える。苗植付け挟持具を直線状にすると、土壌の植付穴やマルチフィルムの穴が無闇に大きくなり、苗の移植が不安定になったり苗の栽培を良好に行えなかったりするおそれがある。また、苗植付け挟持具31を先端の板状部分31bを除いて丸棒で構成しているので、マルチフィルムを引っかけにくく、マルチフィルムの穴が無闇に大きくなるのを抑えることができる。
【0048】
また、図14及び図15に示すものは、苗植付け挟持具31の間に突入して該挟持具31間に詰まった土等を取り除いて清掃するブラシ94を設けている。このブラシ94は、支持フレーム38の後端部に設けた左右方向の回動軸95回りに揺動するブラシ取付アーム96に取り付けられ、揺動リンク37の揺動により該リンク37の中途部に設けたブラシ作動用ローラ97がブラシ取付アーム96と一体のブラシ作動用アーム98を持ち上げてブラシ取付アーム96を上動させ、苗植付け挟持具31の植付軌跡Tの上昇過程で該挟持具31間に後側から突入するようになっている。これにより、前後に大きく動く苗植付け挟持具31の清掃ができ、揺動リンク37や駆動アーム34、苗植付け挟持具作動アーム42の作動に邪魔にならないように苗植付け体6の後側にブラシ94やブラシ取付アーム96等を配置できる。ブラシ94を苗植付け体6と共に移動する構成とすると、他の部材と干渉したり苗植付け挟持具31が挟持する苗Nと干渉したりして、苗Nの植付が適正に行えないおそれがある。
【0049】
尚、苗植付け挟持具31をブラシ94との位置ずれがなく確実にブラシ94が当たって清掃できるように、図16及び図17に示すように、苗植付け体6の後側で揺動リンク37からブラシ94を固定して設けることもできる。このブラシ94は、機体側面視で植付軌跡T上に配置され、苗植付け挟持具31の上昇過程で該苗植付け挟持具31の先端に当接して清掃するものである。
【0050】
また、図19は苗植付け挟持具31の先端の板状部分31bを示すものであり、この板状部分31bの挟持面には苗の挟持を確実にするために一対の苗植付け挟持具31で互いに位置をずらせた棒材31cを固着し、挟持面に凹凸を施している。この挟持面の凹凸形状に合致するように、苗植付け挟持具31の間に突入するブラシ94の外面形状に凹凸をつけギザギザに構成すると、挟持面の隅々まで清掃でき、苗植付け挟持具31の苗の挟持が安定する。
【0051】
ところで、植付け伝動ケース32の第三ケース部32cから出力される駆動軸33を不等速駆動するために、第三ケース部32c内の一対の伝動ギヤ100,101を偏心ギヤにする等して駆動軸33を不等速伝動機構を介して駆動することができる。これにより、設定した作業時速度で機体が前進走行したときの圃場に対して苗植付け作用部6aが描く運動軌跡T’を所望の軌跡にすることができる。例えば、苗植付け挟持具31の上昇過程の速度が下降過程の速度より速くなるように駆動軸33を不等速駆動すると、土壌の植付穴を小さく維持したり苗植付け挟持具31による苗の持ち帰りを防止したりでき苗の移植を適正にすることができ、マルチフィルムを敷設した圃場で移植するときには移植用のマルチフィルムの穴が無闇に大きくならないようにできる。逆に、苗植付け挟持具31の下降過程の速度が上昇過程の速度より速くなるように駆動軸33を不等速駆動すると、土壌内での前記運動軌跡T’が前後に長くなり、蔓の長い苗でも確実に移植することができる。
【0052】
また、図20に示すように、支持部材46を上部右側のスプロケット56の駆動軸60回りに上下回動させることにより、上部左側のスプロケット55を上下させて上部横送り部5aの上下位置を変更することができる。これにより、作業者の伸長に合わせて上部横送り部5aの高さを調節でき、苗搬送部5への苗供給作業の容易化を図ることができ、移植作業能率を向上させることができる。尚、上昇送り部5cにおいてチェン54に張力を与えるテンションスプロケット103を設けることにより、上部横送り部5aの上下位置を変更しても、適正に苗収容体26を搬送できるようにしている。
【0053】
尚、図21及び図22に示すように、上部横送り部5aの左側に苗載台104を設けてもよい。この苗載台104から苗を取り出して上部横送り部5aへ苗を供給することにより、苗載台104及び上部横送り部5aが共に作業者から近い位置に配置されているので、上部横送り部5aへの苗供給作業を容易に行うことができる。尚、この苗載台104は、上部左側のスプロケット55の駆動軸59部から前後の苗載台支持フレーム105を介して支持されており、該苗載台支持フレーム105を前記駆動軸59部回りに回動させることにより非作業時に苗載台104を上部横送り部5aの上方へ重複させて機体の左右幅を狭めることができる。尚、この苗載台104は、上部左側のスプロケット55の駆動軸59部から支持されているので、前述の上部横送り部5aの上下位置の変更に伴って上下位置が変更され、苗載台104から上部横送り部5aへの苗供給作業を容易に行うことができる。
【0054】
また、図23に示すように、苗載台106を上部横送り部5aの右側に設けることができる。これにより、機体の左右中央に対して左側に偏位する苗搬送部5及び苗植付け体6に対してその反対側に苗載台106が配置されるので、機体の左右重量バランスが安定し、苗の移植作業を安定して行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】甘薯苗移植機の側面図
【図2】甘薯苗移植機の平面図
【図3】苗搬送部と苗植付け体とを示す一部省略した背面図
【図4】苗搬送部の駆動部を示す背面図
【図5】苗植付け体を示す斜視図
【図6】苗収容体及びクリップを示す斜視図
【図7】クリップを示す背面図
【図8】他の苗収容体を示す背面図
【図9】他のクリップを示す斜視図
【図10】他のクリップを示す斜視図
【図11】他のクリップの構成を判りやすくした苗搬送部の背面図
【図12】他の可動体を示す図
【図13】他の可動体を示す図
【図14】ブラシが作用する状態を示す側面図
【図15】ブラシが作用する前の状態を示す側面図
【図16】他のブラシを装着した甘薯苗移植機の側面図
【図17】他のブラシを装着した状態を示す斜視図
【図18】他のブラシを示す側面図
【図19】他の苗植付け挟持具を示す背面図
【図20】苗搬送部の上部横送り部を高さ変更する状態を判りやすく示す背面図
【図21】他の苗載台を装着した甘薯苗移植機の平面図
【図22】他の苗載台を示す背面図
【図23】他の苗載台を装着した甘薯苗移植機の平面図
【図24】種いもから甘薯苗を採取する状態を示す図
【符号の説明】
1:甘薯苗移植機,5:苗搬送部,6:苗植付け体、31:苗植付け挟持具,31a:突出部、34:駆動アーム、36:支持リンク部、37:揺動リンク、49:クリップ、94:ブラシ、A:植付供給位置,D:土壌面、N:甘薯苗,t:蔓、T:植付軌跡
Claims (2)
- 甘薯苗(N)の蔓(t)の後端部をクリップ(49)で保持して甘薯苗(N)を前後方向に向けた姿勢で植付供給位置(A)へ供給する苗搬送部(5)と、前側に傾斜した状態で上下に延びる一対の苗植付け挟持具(31)により植付供給位置(A)にある甘薯苗(N)の蔓(t)の後端部を挾持して土壌内へ搬送し植え付ける苗植付け体(6)とを設け、駆動アーム(34)の先端部に苗植付け体(6)の支持リンク部(36)の上端部を連結し、該支持リンク部(36)の下端部に揺動リンク(37)の前端部を連結し、前記駆動アーム(34)の駆動回転により前記苗植付け挟持具(31)が植付軌跡(T)に沿って作動して前後に移動する構成とし、該苗植付け挟持具(31)の中途部に屈曲して前側に突出する突出部(31a)を設け、該突出部(31a)が土壌面(D)に位置する状態で、該突出部(31a)の下部が土壌面(D)に近い前後方向に向いて前後に移動する構成とした甘薯苗の移植機。
- 苗植付け挟持具(31)における植付軌跡(T)の上昇過程で、一対の苗植付け挟持具(31)の間に後側から突入するブラシ(94)を設けた請求項1に記載の甘薯苗の移植機。
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