JPH06340427A - 非焼結式アルカリ蓄電池用水酸化ニッケルの製造方法 - Google Patents

非焼結式アルカリ蓄電池用水酸化ニッケルの製造方法

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JPH06340427A
JPH06340427A JP5148284A JP14828493A JPH06340427A JP H06340427 A JPH06340427 A JP H06340427A JP 5148284 A JP5148284 A JP 5148284A JP 14828493 A JP14828493 A JP 14828493A JP H06340427 A JPH06340427 A JP H06340427A
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    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
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    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非焼結式アルカリ蓄電池の正極材料として、
充填密度が高く、かつ活物質として好ましい水酸化ニッ
ケルを製造する。 【構成】 ニッケルを含む水溶液と、苛性アルカリ水溶
液とを同時にかつ連続的に供給して反応液を作製し、反
応液内のニッケルイオン濃度を10〜100mg/l
に、反応温度を20〜80℃の範囲内で一定温度とし、
反応槽容積1m3 あたり0.5kw以上の電力で撹拌し
つつ、1〜10時間の反応時間で水酸化ニッケルを生成
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ電池用水酸化
ニッケルの製造方法に関し、特に、ニッケル−カドミウ
ム蓄電池等の非焼結式アルカリ蓄電池の正極用材料とし
て使用される水酸化ニッケル、及びコバルトやカドミウ
ムを含む水酸化ニッケルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、アルカリ電池用焼結式ニッケル正
極の欠点を解消すべく非焼結式電極の開発が広く行われ
ている。
【0003】この非焼結式電極用の水酸化ニッケルに必
要とされる特性、すなわち活性物質として機能するため
の特性については、特開昭63−152866号公報
に、充填密度が十分に高く、かつ結晶度の低いという条
件があげられている。これは、水酸化ニッケルを非焼結
式電極として用いる場合、水酸化ニッケルと導電剤とを
混合してペースト状にして使用するが、この際の水酸化
ニッケルの充填密度が十分でない場合、水酸化ニッケル
の利用率と放電率とが低くなり、実用的な電極とならな
いからである。
【0004】しかしながら、従来より製造されている水
酸化ニッケルは前記条件を満たすものとなっていない。
すなわち、従来の製法では、硝酸ニッケルや硫酸ニッケ
ル等のニッケル塩水溶液を苛性ソーダや苛性カリウム等
の苛性アルカリ水溶液に作用させて沈澱物とし、その後
固液分離し、乾燥、粗粉砕、水洗、乾燥、粉砕の工程を
経て水酸化ニッケルを得ている。ニッケル塩水溶液と苛
性アルカリ水溶液とを作用させて得られる沈澱物はゲル
状であり、固液分離に長時間を要すると共に、固液分離
後直ちに水洗すると再びゲル状となるので、粉状の水酸
化ニッケルを得るにはゲル状の沈澱物を乾燥し、粗粉砕
をしなければならない。このため、得られた水酸化ニッ
ケルを電極材料とすると必ずしもペースト状にしたとき
の充填密度が高くならないのである。
【0005】従って、前記条件を満たす水酸化ニッケル
を製造する方法に付いて各種の方法が検討され提案され
ている。例えば、特公昭53−6119号公報、特開昭
56−143671号公報、特開昭61−181074
号公報記載の方法は、ニッケル塩水溶液に予めアンモニ
アイオン供給体を添加しておき、または添加してニッケ
ル−アンモニウム錯塩とし、次いで苛性アルカリを添加
して水酸化ニッケルを生成することを骨子とするもので
ある。しかし、これらの方法では、得られる乾燥後の水
酸化ニッケルは固形状または粉末状であっても、その粒
度が大きいため、通常粉砕することが必要であり、その
ため粒子は破断面を有する不規則な形状となり、充填密
度が高くならないという欠点がある。
【0006】また、例えば特開昭63−16555号、
特開昭63−16556号公報記載の方法は、ニッケル
塩水溶液と苛性アルカリ水溶液とを同一水槽内に導入し
て一定条件下で連続的に水酸化ニッケルを取り出すこと
を骨子とするものである。しかし、これらの方法は反応
系を安定化するのに1ケ月もの長時間を要するという大
きな欠点がある上に、これらの方法により得られる水酸
化ニッケルも、その粒子形状は球状とはならず、充填密
度も必ずしも高くないという欠点がある。
【0007】また、例えば特開平2−6340号公報記
載の方法は、反応系をpHを9〜12の範囲の一定値に
保持して、ニッケル塩水溶液、苛性アルカリ水溶液及び
アンモニウムイオン供給体を同時的に添加して、連続的
に水酸化ニッケルを取り出すものである。しかし、この
方法に従っても、上記と同様にして良好な水酸化ニッケ
ルを得ることができない。
【0008】さらに、水酸化ニッケルが活性物質として
機能するための特性を生かすために、カドミウムをはじ
めとする遷移金属が水酸化ニッケルに添加されるが、こ
の場合にも上記のような方法では、結晶性と充填性の双
方を満足する水酸化ニッケルが得にくいという問題があ
る。例えば、結晶性は低いが充填性が悪いというような
ものしか得られない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記状況に鑑
みなされたものであり、ニッケル−カドミウム蓄電池等
の非焼結式アルカリ蓄電池の正極用材料として使用され
るに最適な水酸化ニッケル、及びコバルト及び/または
カドミウムを含む水酸化ニッケルとその製造方法に関す
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、上記課題を解
決する本願の発明は、ニッケルを含む水溶液と、苛性ア
ルカリ水溶液、あるいは苛性アルカリ水溶液とアンモニ
ウムイオン供給体とを同時に、連続的に供給して反応液
を作製し、反応液内のニッケルイオン濃度を10〜10
0mg/lとし、かつ反応温度を20〜80℃の範囲内
で一定の温度とし、反応槽容積1m3 あたり0.5kw
以上の電力で撹拌しつつ、1〜10時間の反応時間で水
酸化ニッケルを生成させる。ここで、アンモニウムイオ
ン供給体を共存させた場合には反応液のpHが9〜12
となるようする。
【0011】さらに、ニッケルを含む水溶液と、コバル
ト及び/またはカドミウムを含む水溶液と、苛性アルカ
リ水溶液、あるいは苛性アルカリ溶液とアンモニウムイ
オン供給体とを同時に、連続的に供給して反応液を作製
し、反応液内のニッケルイオン濃度を10〜100mg
/lとし、かつ反応温度を20〜80℃の範囲内で一定
の温度とし、反応槽容積1m3 あたり0.5kw以上の
電力で撹拌しつつ、1〜10時間の反応時間で水酸化ニ
ッケルを生成させる。
【0012】なお、ここに、一定温度とは、反応温度の
上下限幅を±2℃に維持することをいう。
【0013】
【作用】以下に本発明の製造方法の詳細について説明す
る。
【0014】ニッケルを含む水溶液を得るために用いる
ニッケル塩としては硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化
ニッケルなどの各種水溶性ニッケル塩が挙げられる。ま
た、コバルトを含む水溶液を得るために用いるコバルト
塩としては硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト
などの各種水溶性コバルト塩が挙げられ、そしてカドミ
ウムを含む水溶液を得るために用いるカドミウム塩とし
て硝酸カドミウム、硫酸カドミウム、塩化カドミウムな
どの各種水溶性カドミウムが挙げられる。
【0015】なお、ニッケルを含む水溶液のニッケル濃
度は、低くすぎると生産性が悪化するため、ニッケルイ
オンとして10g/l以上とすることが望ましい。
【0016】苛性アルカリとしては苛性ソーダ、苛性カ
リウムなどを用い、アンモニウムイオン供給体として
は、アンモニア水、アンモニアガスなどを用いる。アン
モニア水の場合、通常10〜28%程度の濃度のものを
使用することが適当である。
【0017】本発明の最大の特徴は、ニッケル水溶液あ
るいはニッケルとコバルト及び/またはカドミウムとを
含む水溶液と、苛性アルカリ水溶液あるいは苛性アルカ
リ水溶液とアンモニウムイオン供給体とを反応液内のニ
ッケルイオン濃度を所定の値に制御すべく、一定以上の
撹拌強度下で反応液内に同時にかつ連続的に供給するこ
とである。
【0018】この際に、苛性アルカリ水溶液単独にする
か、アンモニウムイオン供給体を加えるかは、用いるニ
ッケル水溶液中に存在する陰イオンの形態による。例え
ば、陰イオンが塩基性塩を作りにくい塩素イオンや硝酸
イオンの場合には苛性アルカリのみでよいが、陰イオン
にニッケルの塩基性塩を作り易い硫酸イオンを含む場合
にはアンモニアイオンを添加してニッケル錯イオンを形
成させることによりニッケルイオン濃度を補償しつつ苛
性アルカリを加える。苛性アルカリのみを用いる場合の
pH条件は水酸化ニッケルを得る通常の条件、すなわち
pH7〜8で良く、アンモニア供給体を使用する場合に
はpH9〜12.5とする。
【0019】また、本発明において反応液内のニッケル
イオン濃度を10〜100mg/1になるようにし、反
応温度20〜80℃の一定温度に設定する。すなわち、
温度に関しては、上下限の反応温度の幅は設定温度±2
℃の程度に維持するように調節することが必要である。
これらを満たすための具体的な供給量や加熱量は、それ
ぞれ用いる水溶液の濃度や反応槽の大きさ、反応槽内の
温度維持方法などにより選定する。特にアンモニアは、
反応温度によって反応系外に放出され、反応液内のアン
モニウムイオン濃度が変動するので、反応槽を密閉し、
反応系外へのアンモニアの揮散を出来る限り少なくする
ことが望ましい。
【0020】ニッケル塩水溶液、またはコバルト塩及び
/またはカドミウム塩を含むニッケル塩水溶液、苛性ア
ルカリ水溶液、あるいは苛性アルカリ水溶液とアンモニ
ウムイオン供給体の添加速度は、反応槽の容量、形状な
どにより変動するが、反応系での滞留時間が通常1〜1
0時間程度となるように調節することが必要である。
【0021】反応槽内での撹拌は十分な強度が必要とさ
れる。本発明者らは、用いる撹拌機の消費電力を撹拌強
度の尺度として利用できることを見出した。すなわち、
本発明では、撹拌に所要な電力を反応槽容積1m3 あた
り0.5kw以上とする。この値より低い撹拌所要電力
では、例えば通常湿式反応で採用される0.3kw以下
では、得られる水酸化ニッケルの粒子の充填状態が疎と
なり、結果としてタッピング密度が2.0g/ml以上
で半価幅が0.90度を超える水酸化ニッケルを得るこ
とはできない。すなわちこれが特開平2−6340号公
報記載の方法で良好な水酸化ニッケルが得られない理由
であると思われる。
【0022】上記条件を満たすようにして製造された水
酸化ニッケルや、コバルト及び/またはカドミウムを含
む水酸化ニッケルは、直径1〜100μm程度の球状粒
子であり、ろ過性も良好であり、固液分離後の水酸化ニ
ッケルの含水率が10〜15重量%と低いので、乾燥の
ためのエネルギーコストも小さいという利点が得られ
る。もちろん、何らの粉砕も不要である。
【0023】本発明において得られた水酸化ニッケルあ
るいはコバルト及び/またはカドミウムを含む水酸化ニ
ッケルは、タッピング密度が2.0g/ml以上、(1
01)面の半価幅が0.90度を越える粒子である。こ
れは非焼結式アルカリ蓄電池用正極材料として要求され
るタッピング密度2.0g/ml以上、(101)面の
半価幅0.90度より大きいという条件を満足させるも
のである。
【0024】ここで、(101)半価幅は、X線回析で
の水酸化ニッケルの(101)面の特性ピークの半価幅
で、水酸化ニッケル粒子の結晶化度を示す尺度となる。
(101)半価幅の値が0.90度以下だと、活物質と
して機能する水酸化ニッケルの割合が減少する。
【0025】なお、本発明で得られる水酸化ニッケル
は、10〜20μmの球状粒子であるが、この粒径の水
酸化ニッケルは、結晶性が高いと、半価幅は極めて小さ
くなる。
【0026】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
詳細に説明する。
【0027】
【実施例1】500リットル(l)の反応槽に、定量ポ
ンプを用いて、1リットル(l)当たり420gの硫酸
ニッケル・6水塩(水和物)を含む水溶液を460ml
/分、24%苛性ソーダ水溶液を255ml/分、及び
28重量%アンモニア水を33ml/分の割合で、各々
50℃の温度で給液した。反応槽において、反応温度は
50±1℃に維持し、撹拌機の回転数は360rpmと
した。反応液のpHは11.2〜11.3に維持し、反
応液中のニッケルイオン濃度は25mg/1に制御し
て、連続的に水酸化ニッケルを生成させた。なお、撹拌
所要電力は反応槽容積1m3 あたり0.8kwであり、
反応液の反応槽内における滞留時間は約9時間であっ
た。
【0028】生成した水酸化ニッケルを連続的に取り出
し、これを適宜固液分離し、水洗し、乾燥して粉末状の
水酸化ニッケルAを得た。なお、乾燥前の水酸化ニッケ
ルの含水率は13%であった。この水酸化ニッケルAの
タッピング密度は2.04g/mlであり、X線回折で
求めた(101)面のピークの半価幅は1.20度であ
った。また電子顕微鏡で観察したところ、何れも10〜
20μmの球状粒子であった。
【0029】
【実施例2】反応液中のニッケル濃度を45mg/lと
なるように硫酸ニッケル水溶液の添加量を調整し、反応
液のpHを10.9〜11.0に維持するように苛性ソ
ーダ溶液とアンモニア水の流量とを調節した以外は、実
施例1と同様にして水酸化ニッケルBを得た。
【0030】この水酸化ニッケルBのタッピング密度は
2.02g/mlであり、X線回折で求めた(101)
面のピークの半価幅は1.00度であった。また電子顕
微鏡で観察したところ、何れも10〜20μmの球状粒
子であった。
【0031】
【実施例3】反応液中のニッケル濃度を83mg/lと
なるように硫酸ニッケル水溶液の添加量を調整し、反応
液のpHを10.8〜10.9に維持するように苛性ソ
ーダ溶液とアンモニア水の流量とを調節した以外は、実
施例1と同様にして水酸化ニッケルCを得た。
【0032】この水酸化ニッケルCのタッピング密度は
2.08g/mlであり、X線回折で求めた(101)
面のピークの半価幅は1.00度であった。また電子顕
微鏡で観察したところ、何れも10〜20μmの球状粒
子であった。
【0033】
【実施例4】撹拌所要電力を0.74kw/m3 とした
以外は、実施例1と同様にして水酸化ニッケルDを得
た。この水酸化ニッケルDのタッピング密度は2.04
g/mlであり、X線回折で求めた(101)面のピー
クの半価幅は1.20度であった。また電子顕微鏡で観
察したところ、何れも10〜20μmの球状粒子であっ
た。
【0034】
【実施例5】撹拌所要電力を1.40kw/m3 とした
以外は、実施例1と同様にして水酸化ニッケルEを得
た。この水酸化ニッケルEのタッピング密度は2.13
g/mlであり、X線回折で求めた(101)面のピー
クの半価幅は1.20度であった。また電子顕微鏡で観
察したところ、何れも10〜20μmの球状粒子であっ
た。
【0035】
【実施例6】実施例1における硫酸ニッケル・6水和物
水溶液の代わりに、硫酸カドミウム・8/3水和物を含
む硫酸ニッケル・6水和物水溶液(Ni:Cd=1.
6:0.04(モル/モル))を使用した。そして、反
応液中のニッケルイオン濃度を25mg/lとし、撹拌
所用電力を1.42kw/m3 とし、反応槽での滞留時
間を約8時間とし、反応液のpHを10.9〜11.0
に維持した以外は、実施例1と同様にして水酸化ニッケ
ルFを得た。この水酸化ニッケルFのタッピング密度は
それぞれ2.10g/mlであり、X線回折で求めた
(101)面のピークの半価幅は1.1度であった。ま
た電子顕微鏡で観察したところ、何れも10〜20μm
の球状粒子であった。
【0036】
【実施例7】50リットル(l)の反応槽内に、ニッケ
ル濃度が90g/lの硝酸ニッケル水溶液を55ml/
分、24%苛性ソーダ水溶液を23ml/分の一定速度
で、定量ポンプにより添加し、反応液温50±2℃の一
定値に維持しつつ、550rpmの回転数で撹拌し、反
応液内のニッケルイオン濃度を63mg/lに制御し
て、連続的に水酸化ニッケルを生成させた。このときの
撹拌所要電力は反応槽容積1m3 あたり1.2kwであ
った。また反応槽での滞留時間は約7.5時間であり、
反応液のpHは7.8〜7.9に維持されていた。
【0037】生成した水酸化ニッケルを連続的に取り出
し、これを適宜固液分離し、水洗し、乾燥して粉末状の
水酸化ニッケルGを得た。なお、乾燥前の水酸化ニッケ
ルの含水率は13%であった。この水酸化ニッケルGの
タッピング密度は2.08g/mlであり、X線回折で
求めた(101)面の半価幅は1.00度であった。ま
た電子顕微鏡で観察したところ、10〜30μmの球状
の粒子であった。
【0038】
【実施例8】50リットル(l)の反応槽内に、ニッケ
ル濃度が90g/lの塩化ニッケル水溶液を50ml/
分、24%苛性ソーダ水溶液を36ml/分の一定の速
度で、定量ポンプにより添加し、反応液温50±2℃の
一定値に維持しつつ、530rpmの回転数で撹拌し
て、反応液内のニッケルイオン濃度を52mg/lに制
御して、連続的に水酸化ニッケルを生成させた。このと
きの撹拌所要電力は反応槽容積1m3 あたり1.3kw
であった。また、反応槽での滞留時間は約6.5時間で
あり、反応液のpHは8.6〜8.7に維持されてい
た。
【0039】生成した水酸化ニッケルを連続的に取り出
し、これを適宜固液分離し、水洗し、乾燥して粉末状の
水酸化ニッケルHを得た。なお、乾燥前の水酸化ニッケ
ルの含水率は14%であった。この水酸化ニッケルHの
タッピング密度は2.18/mlであり、X線回折で求
めた(101)面の半価幅は0.95度であった。また
電子顕微鏡で観察したところ、10〜30μmの球状の
粒子であった。
【0040】
【比較例1】反応液中のニッケル濃度を8mg/lとな
るように硫酸ニッケル水溶液の添加量を調整し、反応液
のpHを11.4〜11.5に維持するように苛性ソー
ダ溶液とアンモニア水の流量とを調節し、反応槽での滞
留時間を約8時間とした以外は、実施例1と同様にして
水酸化ニッケルIを得た。
【0041】この水酸化ニッケルIのタッピング密度は
1.71g/mlであり、X線回折で求めた(101)
面のピークの半価幅はそれぞれ0.90度であった。ま
た電子顕微鏡で観察したところ、何れも10〜20μm
の球状粒子であった。
【0042】実施例1の結果と比較すると、ニッケルイ
オン濃度が低いため、半価幅も小さく、タッピング密度
が低くなり、本発明の目的を達成できない。
【0043】
【比較例2】反応液中のニッケル濃度を120mg/l
となるように硫酸ニッケル水溶液の添加量を調整し、反
応液のpHを10.4〜10.5に維持するように苛性
ソーダ溶液とアンモニア水の流量とを調節し、反応槽で
の滞留時間を9.5時間とした以外は、実施例1と同様
にして水酸化ニッケルJを得た。
【0044】この水酸化ニッケルJのタッピング密度は
2.15g/mlであり、X線回折で求めた(101)
面のピークの半価幅はそれぞれ0.60度であった。ま
た電子顕微鏡で観察したところ、何れも10〜20μm
の球状粒子であった。
【0045】実施例1の結果と比較すると、ニッケル濃
度が高いため、タッピング密度は本発明の目的を達成す
るものの、半価幅が低くなり、本発明の目的を達成でき
ない。
【0046】
【比較例3】反応液のpHを10.9〜11.0に維持
し、撹拌所要電力を0.35kw/m3 とした以外は、
実施例1と同様にして水酸化ニッケルKを得た。この水
酸化ニッケルKのタッピング密度は1.72g/mlで
あり、X線回折で求めた(101)面のピークの半価幅
は1.00度であった。この結果から明らかなように、
撹拌所要電力が低い場合、半価幅は本発明の目的を満た
すものの、タッピング密度は低くなり、本発明の目的を
達成できない。
【0047】
【比較例4】反応液のpHを10.9〜11.0に維持
し、撹拌所要電力を0.46kw/m3 とした以外は、
実施例1と同様にして水酸化ニッケルLを得た。この水
酸化ニッケルLのタッピング密度は1.83g/mlで
あり、X線回折で求めた(101)面のピークの半価幅
は0.90度であった。この結果から明らかなように、
撹拌所要動力が低い場合、半価幅は小さく、タッピング
密度も低くなり、本発明の目的を達成できない。
【0048】
【従来例】撹拌強度を従来常識とされている0.3kw
/m3 とし、特開平2−6340号記載の実施例2に従
い、水酸化ニッケルを得た。得られた水酸化ニッケルは
5〜20μmの球状粒子であり、タッピング密度は2.
02g/mlであった。しかし、X線回折で求めた(1
01)面のピークの半価幅は0.90度であり、タッピ
ング密度の条件は満たされていない。
【0049】上記実施例及び比較例の結果を表1にまと
めてある。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明の方法に従えば、1〜100μm
の球状の粒子であり、(101)面の回析ピークの半価
幅が0.90度を越える結晶性が比較的悪くて、活物質
として好ましく、かつタッピング密度が2.0g/ml
以上の水酸化ニッケル粉末を容易に得ることができる。
この水酸化ニッケル粉末は、非焼結式アルカリ蓄電池の
正極用材料として最適である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケルを含む水溶液と、苛性アルカリ
    水溶液とを同時にかつ連続的に供給して反応液を作製
    し、反応液内のニッケルイオン濃度を10〜100mg
    /lに、かつ反応温度を20〜80℃の範囲内で一定の
    温度とし、反応槽容積1m3 あたり0.5kw以上の電
    力で撹拌しつつ、1〜10時間の反応時間で水酸化ニッ
    ケルを生成させるように供給速度を調整することを特徴
    とする非焼結式アルカリ蓄電池用水酸化ニッケルの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 ニッケルを含む水溶液と、苛性アルカリ
    水溶液とアンモニウムイオン供給体とを同時にかつ連続
    的に供給して反応液を作製し、反応液内のニッケルイオ
    ン濃度を10〜100mg/lに、かつ反応温度を20
    〜80℃の範囲内で一定の温度とし、反応液のpHを9
    〜12に維持し、反応槽容積1m3 あたり0.5kw以
    上の電力で撹拌しつつ、1〜10時間の反応時間で水酸
    化ニッケルを生成させるように供給速度を調整すること
    を特徴とする非焼結式アルカリ蓄電池用水酸化ニッケル
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 ニッケルを含む水溶液と、コバルト及び
    /またはカドミウムを含む水溶液と、苛性アルカリ水溶
    液とを同時にかつ連続的に供給して反応液を作製し、反
    応液内のニッケルイオン濃度を10〜100mg/l
    に、かつ反応温度を20〜80℃の範囲内で一定の温度
    とし、反応槽容積1m3 あたり0.5kw以上の電力で
    撹拌しつつ、1〜10時間の反応時間で水酸化ニッケル
    を生成させるように供給速度を調整することを特徴とす
    る非焼結式アルカリ蓄電池用水酸化ニッケルの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 ニッケルを含む水溶液と、コバルト及び
    /またはカドミウムを含む水溶液と、苛性アルカリ水溶
    液とアンモニウムイオン供給体とを同時にかつ連続的に
    供給して反応液を作製し、反応液内のニッケルイオン濃
    度を10〜100mg/lに、かつ反応温度を20〜8
    0℃の範囲内で一定の温度とし、反応液のpHを9〜1
    2に維持し、反応槽容積1m3 あたり0.5kw以上の
    電力で撹拌しつつ、1〜10時間の反応時間で水酸化ニ
    ッケルを生成させるように供給速度を調整することを特
    徴とする非焼結式アルカリ蓄電池用水酸化ニッケルの製
    造方法。 【0001】
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