JPH0633754U - 自動車用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 乗員の安全性を確保すると共に、快適な乗り
心地等が得られる自動車用シートを提供する。 【構成】 シートクッション１とシートバックとを備
え、シートクッション１のクッションスプリング３の下
側に、シートクッション１に着座した乗員に対する制御
部材６を設け、この制御部材６を上下動可能に構成した
ものである。特に制御部材６は、クッションスプリング
３の下側に設けた板体７と、シートクッション１のクッ
ションフレーム５に上下動可能に装着されたガイドピン
１０と、板体７を弾性支持する弾機手段１５とを有し、
制御部材６に対し一定荷重が作用することにより、ガイ
ドピン１０がそのガイド孔１１と係合してロックされる
ようになっている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は自動車用シート、特にそのシートクッションの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

乗用車等の車両のシートには、安全性確保のためにシートベルトが装着されて おり、また、仮に衝突が起きた場合にシートに着座する乗員が前方に滑ってしま うのを規制するための制御部材が設けられている。この制御部材は、シートクッ ション内部に設けられ、衝突時に乗員の前滑りを規制して、シートベルトが乗員 の腹部を圧迫する、所謂サブマリン現象を防止するものである。

【０００３】 図５は従来の自動車用シートの概略構成を示しており、図において、１はシー トクッション、２はシートバックである。シートクッション１のフレームには、 スプリング３，３′が取り付けられていて、このスプリング３，３′は着座した 乗員Ｍを弾性支持する。また、４は制御部材であり、この制御部材４の上部４ａ に乗員Ｍの臀部乃至股部付近が当接するようになっていて、これにより前述のサ ブマリン現象を防止することができる。

【０００４】 従来、制御部材４は、図６に示したように、シートクッション１のクッション パネル１ａと一体成形される場合、または図７に示したように、プレス成形品と してクッションパネルに溶接されて固定される場合等がある。さらに、図８に示 したように、パイプもしくはワイヤ材により形成したものを溶接等によりシート クッション１のフレームに固定する形式のものもある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、かかる従来の自動車用シートにおいて、特にスプリング３のば ね面とその下側に配置された制御部材４との間隔に余裕がない場合、該制御部材 ４が固定式になっているため、シートクッション１において底突きし易く、そこ に着座している乗員Ｍの臀部等がこの制御部材４に当たり、そのため座り心地や 乗り心地等に劣るものであった。

【０００６】 その他、例えば実開昭６３−９８８５５号公報に記載された可動型乗員姿勢制 御装置では、上方に突出可能に構成された制御体をクッションフレームに設置し ており、特に制御体の中央部が屈曲可能な枠体で構成されると共に、前部が回動 可能に構成されている。

【０００７】 この考案は上記の点に鑑み、乗員の安全性を有効に確保すると共に、快適な乗 り心地等を得られる自動車用シートを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案の自動車用シートは、シートクッションとシートバックとを備え、上 記シートクッションのクッションスプリングの下側に、該シートクッションに着 座した乗員に対する制御部材が設けられていて、この制御部材を上下動可能に構 成したものである。

【０００９】 また、特に上記制御部材は、クッションスプリングの下側に設けた板体と、シ ートクッションのクッションフレームに上下動可能に装着されたガイドピンと、 上記板体を弾性支持する弾機手段とを有し、上記制御部材に対し一定荷重が作用 することにより、上記ガイドピンがそのガイド孔と係合してロックされるように なっている。

【００１０】

【作用】

この考案によれば、制御部材が上下動可能になっていて、特に制御部材とその 上側のクッションスプリングとが一時的に干渉した場合でも、弾機手段によって 着座した乗員を弾性支持するようになっているため、常態ではシートクッション において底突きが生ぜず、快適な乗り心地等が得られる。 また、仮に衝突が起きた場合、制御部材に一定荷重が作用することによって、 該制御部材は所定位置にロック・固定される。これにより、衝突時には乗員の前 滑りを規制して、その安全性が向上する。

【００１１】

【実施例】

以下、図１乃至図４に基づき、従来例と実質的に同一部材には同一符号を用い てこの考案による自動車用シートの一実施例を説明する。 図１は本案自動車用シートに係るシートクッション内部の概略構成を示してお り、図において、シートクッション１のフレーム５にはスプリング３が取り付け られている。そして上記フレーム５に横架されたフレーム部材５ａに本案の制御 部材６が設置されるようになっている。

【００１２】 図２はシートクッション１における上記制御部材６の構成・配置例を示してい る。図において、７はスプリング３の下側に配置されている鋼板等で形成された 板体であり、前上がりに傾斜するように配置される（前方を矢印Ｆ、上方を矢印 Ｕによりそれぞれ示す）。なお、スプリング３の上側にはパッド８が設けられて いる。また、９は板体７の適所に溶接等により固着されたブラケット、１０はこ のブラケット９から垂架されるように該ブラケット９に固着するガイドピンであ る。ガイドピン１０をブラケット９に取り付ける場合、図３に示したようにブラ ケット９に下穴９ａを形成しておき、この下穴９ａに挿通させたガイドピン１０ を溶接等により固定する。なお、本実施例では４本のガイドピン１０を列設する ようにしている。

【００１３】 各ガイドピン１０は、上記フレーム部材５ａに形成したガイド孔１１に上下動 可能に嵌入している。１２はガイドピン１０の下端に取り付けた抜け止め用のＥ リングもしくは割りピン、１３はガイドピン１０の周りに被着された、例えば合 成樹脂製のピンカバー、１４はガイド孔１１の対応位置（上下方向）付近におい て、ガイドピン１０の外周の少なくとも前側部分に形成された複数の溝部（この 例では上下３段）である。なお、この溝部１４はガイドピン１０の外周全体に形 成されてもよい。１５は上記フレーム部材５ａ及びブラケット９間に装着された コイルスプリングである。

【００１４】 上記の場合、ブラケット９の高さ位置Ｈは、制御部材６が適正機能を発揮し得 るように必要な高さとなるように設定されている。

【００１５】 この考案の自動車用シートは上記のように構成されており、次にその作用を説 明する。 シートクッション１に乗員Ｍが着座すると、その荷重によって、図２において 点線にて示されるように、スプリング３のスプリング面が下降する。この場合、 乗員Ｍの着座の仕方等によっては、下降するスプリング３が制御部材６と干渉す ることがある。 ところで、板体７はガイドピン１０を介して上下動可能になっていて、且つス プリング３によってフレーム部材５ａ上に弾性的に支持されている。従って、乗 員Ｍの乗り方，座り方により制御部材６及びスプリング３が上記のように干渉し た場合でも、着座した乗員Ｍは弾性支持され、このように常態ではシートクッシ ョン１において底突きが生じず、快適な乗り心地等を得られる。

【００１６】 また、仮に衝突が起きた場合、乗員Ｍの慣性により、制御部材６に対して図２ に示したように前方Ｆ方向の荷重Ｐが作用する。そしてこの荷重Ｐが作用するこ とにより、図４に示したようにピンカバー１３は、フレーム部材５ａのガイド孔 １１の内周縁部によって変形もしくは破断せしめられる。そしてかかるガイド孔 １１の内周縁部は更にガイドピン１０の溝部１４と係合し、これにより制御部材 ６は所定位置にロック・固定される。 従って、シートクッション１に固定された制御部材６によれば、乗員Ｍの前滑 りを規制して、その安全を確保することができる。このように、衝突時時には、 制御部材６がその適正機能を発揮するようにすることができる。

【００１７】

【考案の効果】

上述のようにこの考案の自動車用シートによれば、常態ではシートクッション における底突き等をなくして、快適な乗り心地が得られ、また衝突時には制御部 材がその適正機能を発揮することにより、乗員の安全性を確保することができ、 乗り心地と安全性を両立させるという優れた利点を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の自動車用シートの一実施例によるシ
ートクッション内部の概略構成を示す斜視図である。

【図２】図１の自動車用シートに係る制御部材の構成・
配置例を示す断面図である。

【図３】図２の自動車用シートに係る制御部材の板体の
斜視図である。

【図４】本考案の自動車用シートに係る制御部材の衝突
時の作用を説明する部分断面図である。

【図５】従来の自動車用シートの概略構成を示す図であ
る。

【図６】従来の自動車用シートに係る制御部材の構成例
を示す斜視図である。

【図７】従来の自動車用シートに係る制御部材の他の構
成例を示す斜視図である。

【図８】従来の自動車用シートに係る制御部材の別の構
成例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ シートクッション ２ シートバック ３ スプリング ５ フレーム ５ａ フレーム部材 ６ 制御部材 ７ 板体 ９ ブラケット １０ ガイドピン １１ ガイド孔 １３ ピンカバー １４ 溝部 １５ コイルスプリング

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートクッションとシートバックとを備
   え、上記シートクッションのクッションスプリングの下
   側に、該シートクッションに着座した乗員に対する制御
   部材が設けられている自動車用シートにおいて、上記制
   御部材を上下動可能に構成したことを特徴とする自動車
   用シート。
2. 【請求項２】 前記制御部材は、前記クッションスプリ
   ングの下側に設けた板体と、前記シートクッションのク
   ッションフレームに上下動可能に装着されたガイドピン
   と、上記板体を弾性支持する弾機手段とを有し、上記制
   御部材に対し一定荷重が作用することにより、上記ガイ
   ドピンがそのガイド孔と係合してロックされるようにし
   たことを特徴とする、請求項１に記載の自動車用シー
   ト。